※この作品はR-18です。

見えざる帝国で働く下っ端男の娘滅却師がバンビエッタの性奴隷にされるお話   作:清姫

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 嬉しい事に日間から年間のランキングに乗る事が出来ました。

 次回『分からされた』もお楽しみに。
 
 誤字脱字はご愛敬。




VSバンビエッタ後編

 光の翼を一度はためかせ、憮然とした様子のバンビエッタを睨みつけながら、ハッシュヴァルトとの会話を思い出す―――。

 

「マリエッテが飛簾脚が一息で進める距離は最大で十メートル。諸々の状況を考慮した場合、余裕を持ってもっと近いと思っておいた方が良い。―――覚えておけ、バンビエッタ(あれ)から十メートル以上離れた瞬間」

 

 ―――お前の敗北が決定する。

 

 足元を一瞥し、自身とバンビエッタとの距離を測る。

 距離にして九メートル。

 後少し、後ろに飛ばされていたら、敗北していた。

 

 だが、逆に言えば、彼女の周囲十メートル以内に留まり続ければ、聖文字の能力は使うことが出来ない。

 

 姿形に騙されるな。

 霊圧に気圧されるな。

 

 雰囲気が変われど、距離を詰め続ける以上相手は何もできないのだから。

 

 自身の周囲に光の矢を作り出し、放つ。

 

 聖文字の能力が宿った矢だ、声と違って命中すれば否が応でも『愛』が芽生える筈。

 そうすれば、僕の勝ちだ。

 

「ッ!」

 

 放たれた矢は、バンビエッタが後方に跳躍すると同時に羽根から撒いた小さな光の粒子により爆発し、掻き消された。

 

「ほらほら! ちゃんと付いてこないと死んじゃうわよ!」

 

 地面少し上を浮遊しながら、距離を離そうとする。

 戦略がバレていることに、顔を顰めながら、離されまいと後を追った。

 

 再度、近接戦に持ち込もうとそのまま突っ走る。

 

「ガァアッ!」

 

 もう少しで手を伸ばせば身体に触れる距離で、空中で何かが爆ぜた。

 顔や手の表面が爛れ、視界が霞む。

 

「痛い? あたしの能力は霊子を撃ち込んだ物質を爆弾に変える事が出来る能力。それが何であれ、......空中に漂っている小さな埃や菌であっても爆弾に変える事が出来るのよ」

 

 その声で直ぐに合点がいった。

 バチバチと火花を散ったと思ったものは、微細な爆弾によるモノ。

 マリエッテは頭の何処かで『これは流石に出来ないだろう』と無意識線引きをしていた。

 その、楽観視と言って良い甘い考えでのせいで顔が爆弾による攻撃を受け、視力が一時的に機能不全に陥っているのだ。

 

 マズい!

 

 警鐘が鳴り響く。

 目が見えない以上、相手の位置を把握するのは難しい。

 今、飛簾脚で距離を稼がれたら負けだ。

 

 考えろ、考えろ......。

 

 やるか? でも、こんなのやってることバンビエッタと変らない。

 姑息で卑怯な手。

 しかし、やらなければここで終わる。

 

 やるしかない―――。

 

「バンビエッタ()

 

「ッ! ......何よ」

 

「母親の事。家族の事を救って下さったことに感謝してます。貴方と出会わなければ私は今も、お金の事で頭を悩ませていたでしょう」

 

 バンビエッタの声のする方向に歩きながら、そう言った。

 

「エッテ......」

 

「もう、やめませんか? 私、考えたんです。奴隷とかそう言うのは嫌ですけど......あの、友人とか......こ、恋人なら別にいいんじゃないか? て」

 

 傷が塞がり、視界が晴れる。

 目の前には翼が垂れさがり、戦闘行動を中断したバンビエッタ。

 

 何か思慮を巡れせているようだ。

 

 マリエッテは更に話を続けた。

 

「別に戦わなくたって、私達はやっていける筈です。―――今までの事は全て謝ります。だから、最初からやり直しませんか?」

 

 手を伸ばせば届く距離。

 そこから、ゆっくりと手を伸ばし、バンビエッタの背中に回す。

 

 そして―――。

 

 勝った......。

 

「バーカ」

 

「ッ!!??」

 

 密かに発動していた動血装の力で身体を拘束し、口を大きく開き、その中で展開していた小さな光の針を至近距離でバンビエッタの首筋に打ち込んだ。

 

 血装は間に合わず、首に刺さった針は体内へと入っていく。

 それを意味する所はマリエッテの聖文字の能力発動条件を満たしたということ。

 

 何が原因で声での聖文字が発動しなかったかは分からないが、霊子を直接体内に入れれば、確実に効くはず。

 

『降参して下さい』

 

 後ろに下がりながら、勝ちを確信した。

 そして、どこか申し訳なさそうな表情で、勝利宣言の如くそう言い放った。

 

「......」

 

 俯き、動かないバンビエッタ。

 暫くするとフラフラと進み、僕の傍に近づいてくる。

 

「? 早く降参して―――う゛ッ!」

 

 拳を握りしめたバンビエッタは身体全体の体重を乗せる様に、腹部に向かって殴打した。

 その衝撃は相当なモノで、うめき声をあげ、腹部に両腕で抑えながら蹲ってしまう。

 

 何故聖文字が効いていない!?

 

 そんな疑問すら浮かばない程の痛み。

 

「よくもあたしを......よくも騙したわね......犯してやる。泣いても絶対に許さないから」

 

 先ほどとは違う、冷え冷えとした声。

 心の底から怒り、それを通り越した先にある感情。

 

 再び翼を広げると、上空へと舞い上がる。

 

 今まで必死に保っていた命の距離をあざ笑うかのように十メートル、二十メートルと突き放していく。

 

「細切れになれば、あんたの考えも変わるかもね」

 

「―――」

 

 無数の青い星が、大地へと降り注いだ。

 鼓膜を破壊する程の轟音。神の怒りを体現したかのような、怒りの声にも似たその重々しい音は、マリエッテの居る辺りを無慈悲に鳴り響き続け。

 

 土煙立つ所から絶えず血が辺りに飛び散り、身体の一部だったもの、肉片等、バンビエッタは淡々と自身の行った言葉を実行していく。

 正に有言実行。

 常人なら目を背けたくなるような行為を平然とやってのける辺り、人としてどこか大切なモノをかけているのだろう。

 

 しかし、誰にも見えない。上空で、静かに涙を流す姿は、年相応の少女そのモノ。

 

「好きよ......貴方のこと。ずっとね(・・・・)

 

 心のない化け物であっても、心を取り戻すことがあるのだという事を、爆発音と激痛の地獄の中に居るマリエッテには、知る由もなかった。

 

 

 

 

 

「おいおい。流石に......」

 

 観覧席で足を組み、望遠鏡を構えながら、漏らす様に苦言を呈するアスキン。

 

 爆撃が始まって五分。

 まさか、こんなことになるとは思っていなかった観覧者たちは、どよめき始めた。

 

「バンビちゃんグローい」

 

「やり過ぎだと思うの......」

 

「......ッチ」

 

「幾ら、不死身でもあれは......」

 

 バンビーズも、いつも以上に怒れる主に只ならぬ雰囲気を感じ取っていた。

 

 『やり過ぎだ』

 

 星十字騎士団含めた此処に居る滅却師達が思った言葉。

 

 しかし、思ったとしても既に虐殺へと変わったこの戦いを止める者は出てこない。

 

 目を背けたくなる攻撃は十分にも及び、土煙が晴れた時には全裸のマリエッテが突っ伏している姿が見えた。

 

 

 

 

 

 「―――」

 

 母の声が聞こえて来る。

 

 生まれて直ぐに父を亡くし、弱い身体を鞭打って家族を育ててくれた母親。

 倒れるその日まで、しきりに『学校に行かせて上げられなくてごめんね』と言っていた優しい母親。

 

 最後に会ったのは何時だったか。

 

 ......そうだ、滅却師として銀架城(ジルバーン)で働き出す為に家を出る時だ。

 

 あの時既に病状に伏していた母親。

 

『もう行くの?』

 

『うん、頑張ってお金稼いでくるからね』

 

 笑う僕とは真逆な悲しい顔を張り付ける母。

 

『お願いだから無理しないでね』

 

 それが、最後に交わした言葉。

 母との思いで。

 

 母に会いたい。妹に、弟に合いたい。こんな所で死にたくない。嫌だ、嫌だ.....................。

 

 その時。情報が浮かんできた。

 脳に直接叩き込まれたかのような、その情報の羅列。

 

 ここからは行き当たりばったりの勝負だ。

 

 僕はそう思いながら、意識を現実に戻し、枯れた声で小さく呟いた。

 

「......神の情愛(グドエロ).....................」

 

 唯一、バンビエッタの猛攻から守り抜いた滅却師十字が青白い閃光を生み出しながら内から弾け飛び、青柱がマリエッテを包み込む。

 身体全体が変わって行くような不可解な感覚を感じながら、心の底から込み上げてくる力の脈動を抑え、半身を起こす。

 

 視界が晴れた時、マリエッテの姿を見た全てのモノ達は驚愕しただろう。

 

 

 

「―――最高にイイ女じゃねぇか!」

 

「異議なし!!」

 

「ああ」

 

 席を立ち、ジゼルのように柵に身を乗り出す様にして完聖体のマリエッテをまじまじと見るアスキンら三人。

 

「「「......」」」

 

「エッテちゃん......エッテちゃん......可愛い、ヤバ、ほんとヤバいよ。もう早くヤリたい。ぼこぼこに殴ってそれから―――」

 

 顔を背けるミニーニャ。

 足を内股に、膝同士を擦り合わせながら俯くキャンディス。

 仏頂面でマリエッテを睨みつけ、頬を紅潮させるリルトット。

 落ちるのではないかと言う程身を乗り出し、目を見開き、眼前に佇んでいる女神の姿を視界にとらえ、情愛の言葉を漏らすジゼル。

 全員が赤面しながら、脳内でマリエッテとの妄想を膨らますのだった。

 

 

 

 頭には二重の輪、背には二対の翼。裸体だったその身には、ワンピースに似た何とも神秘的で美術的なドレスを纏っている。

 腰まで伸びたアメジストの髪は光り輝き、元から庇護欲をそそられる(かんばせ)は、男女問わず、誰もが『自分のモノにしたい』と思うような圧倒的な色香を発していた。

 

 正に女神と言った感じ。

 

「あんた......それ」

 

「滅却師完聖体。―――その身体に叩き込んで上げます。『神の情愛(グドエロ)』の神髄を』」

 

 翼を広げ、そこから霊子の球体を打ち出す。

 ビー玉程の大きさのそれは、上空に停滞しているバンビエッタを捉えていた。

 

「ッ!」

 

 迫る球体に負けじとボール程の球体を飛ばしながら回避行動をとる。

 

 両者の球体が衝突。

 

 バンビエッタの霊子に触れた物質は爆弾と化す。

 

 此処に居る多くのモノが知っている事実。

 故に、マリエッテの攻撃も爆弾になり、打ち消されるものだと思っていた。

 

「「「「「「なッ!?」」」」」」

 

 しかし、星十字騎士団の面々に映し出された光景はそれとは別の者だった。

 

 衝突した時、ビー玉光球は消失。否、粒となりボール光球の中へと入っていく。

 すると、次の瞬間。球体はその場で停止、バンビエッタの管理を離れフワフワと浮いているではないか。

 

 大地を踏みしめ、上空を見上げる女神は、怒りの天使をその双眸に捕え、指先を彼女に向ける。

 

『あれを撃ち落してください』

 

「ッ! ハァッ!!??」

 

 マリエッテの声に呼応するように一度光り輝いたそれは、撃ちだされた主の元へ飛んでいく。

 それを見て、バンビエッタは驚愕の声を露にし、慌ててそれらを撃ち落す為再度、霊子の球を撃ちだす。

 

 結果、自身の球で自身の球を撃墜するという、何とも不可解な行動をとらざるを得なかった。

 

 

 

 

 

 聖文字の能力を勘違いしていた。

 

 全ての者が僕に『愛』を芽生えると思っていたが、そうではなかった。

 通常、誰かに向けた愛と言うのは一つだけ。親愛、情愛、狂愛......愛の派生は数あれど、それの大本となる愛は一つ以上抱く事はない。

 故に、既に『愛』を持っている者に対して新たに『愛』を芽生えさせることは不可能なのだ。

 

 そして、僕の聖文字で生まれた『愛』でない限り、僕の能力を使う事は出来ない。

 

 つまり―――。

 

「本当に私の事が好きだったんですね」

 

 自身の心で芽生えた愛情。

 その純然たる魂の元から生まれた尊き感情には、手を出す事は出来ない。

 

 

 

 故に、バンビエッタに対して聖文字は効かない。

 だが、それは聖文字単体だった場合に限った話だ。

 

 僕の滅却師完聖体(クインシーフォルシュテンディッヒ)神の情愛(グドエロ)は違う。

 

 彼女の能力が『霊子を打ち込んだ物質が爆弾に変わる』ように、僕の完聖体の能力は『霊子を打ち込んだ物質に疑似的な魂を生み出す』。

 

 身体の一部であれ、土であれ、相手の霊子であれ、僕の霊子に触れた者は等しく、個としての魂を有する存在となる。

 魂があれば、感情も生まれる。

 感情があれば、愛が生まれる。

 そして、愛が生まれたのならば―――。

 

「私の意のままに操る事が出来る」

 

「なっ! 無茶苦茶じゃない!」

 

「お互い様です!」

 

 大量の霊子を放つマリエッテ。

 それを撃退する為に同じく攻撃を放つバンビエッタ。

 

 だが、それは相手の手数を増やす事と同義。

 

 無意識的に撃墜する為に放ったそれを、失敗と気付いた時にはもう遅く、マリエッテの愛を受け取った球は彼の号令により、主に大して牙をむいた。

 

 視界を埋め尽くすほどの霊子の固まりを目に、バンビエッタは初めて『死』と言う概念が芽生えた。

 

「―――ッ!!!」

 

 名状しがたい野獣の方向の様な大声と共に、あらん限りの力を用い、鍛錬場全ての至る所に霊子の固まりを打ち込み、爆発させる。

 

 外の観覧席はユーハバッハの防御呪法により守られているが、中の鍛錬場はそうではなく。

 大小様々な爆弾が起爆した事により、鼓膜が破れるのではないかと言う爆音が連鎖的に鳴り響き、それにより起こった土煙で視界ゼロの戦場と化した。

 

「苦し紛れな技......」

 

 マリエッテは自身に命中しそうなものをあらかじめ操り、防御していた為無傷。

 しかし、何も見えない中で動く事も出来ず、耳を凝らし、次の戦いにそなえている。

 

 ―――ザッザッザ

 

 鼓膜を僅かに震わせる土を蹴り上がる音。

 

「そこ!」

 

 音に向けて、数十個の球を撃ちだした。

 それに、時間差に聞こえて来た爆発音。

 

「?」

 

 爆発音が近づいてくる?

 

 追加で数個の球を送る。

 

 そして、同じように爆発音が聞こえて来た。

 

 どういう訳かは分からない。しかし、脳内で警鐘が鳴り響いている。これはマズい。

 

「ッ!!!」

 

 理解不明の危機に音のした方向目掛けて、無数の球を撃ち続けた。

 

『止まれ!』

 

 願い虚しく、止まらない足音、近づく爆発音。

 

 目の前の土煙が揺れ動き、そこから手が見えた。

 

「嘘......でしょ」

 

 そこには、ボロボロの外套を破り捨て、全身傷だらけの状態でツッコんでくるバンビエッタの姿。

 既に完聖体は解除しているようで、翼も頭上の光円も確認できない。

 

 マリエッテはそんなバンビエッタの姿を見た瞬間、理解した。

 

 彼女の完聖体は『爆弾に変える能力』しかし、彼女の聖文字は『爆弾』。能力の性質上、何かと融合しなければその進化を発揮しない完聖体とは違い、聖文字は自身の能力単体で効力を発揮する。

 

 その性質を利用し、僕の霊子を自身の爆弾による爆風で、弾きながら突き進んできたのだ。

 

 何て人間だ!

 

「ヤァァァァッ!!」

 

 だが、彼女の敗北は変わらない。

 今の姿を見て見ろ。

 制服はボロボロ、見える肌は火傷に切り傷、顔は満身創痍と言った感じで今にも意識が飛びそうだ。

 

 それに引き換え、僕はまだ、後一戦交えても有り余る体力が残っている。

 

 幾ら技量が上だと言っても、今のバンビエッタなら恐れるに足らん。

 

「受けて立ちま―――ッ!」

 

 身体が上手く動かない!? 血装が発動しない! 

 

 マリエッテは理解していなかった。強力な能力には何かしらデメリットが存在する可能性を。

 

 鉛のように動きが鈍い体で、防御態勢を取ろうとしたが、時すでに遅し。

 バンビエッタの拳はマリエッテの腹部にめり込んでいた。

 

「あ゛ぁ」

 

 今まで感じたことがない激痛を味わいながら、腹を抑え、失神してしまった。

 

 視界が晴れた時、立っていたのはバンビエッタ一人。

 

 勝者は誰が見ても明らかだった。

 

「―――これからが楽しみね? あたしのマリエッテ(・・・・・・・・・)

 

 そう言い残すと、バンビエッタも前のめりに倒れ込み、意識を落とすのだった。

 




 感想、評価待ってます。

マリエッテをTSする能力(切り替え可)をもたせて良いと思う?

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