※この作品はR-18です。

見えざる帝国で働く下っ端男の娘滅却師がバンビエッタの性奴隷にされるお話   作:清姫

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 明けましておめでとうございます。
 
 誤字脱字は報告を。
 
 次、リクエスト書きます。


助けられて泣かされた

「私闘、またはそれに準ずる行為は漏れなく規則違反となり〼」

 

 そう言うと、脳天に矢が突き刺さった状態のジゼルをシーツで簀巻きにし、芋虫状態で肩に担ぎキルゲは去って行った。

 

「うう......」

 

 手足の拘束が解かれたマリエッテ。

 血まみれの服のまま、その場で膝を抱く様にして座り、すすり泣いている。

 

「俺達も行くぞ」

 

 そんな事は知らんと言ったように、踵を返すリルトット。

 

「......行くってどこにですか」

 

 少し遅れて、返事をする。

 

「俺の部屋だ」

 

 

 

 

 

「まずは身体洗え、血と精液くさくて鼻が曲がりそうだぜまったく......」

 

 否応なしに手を引っ張られながら連れてこられたリルトットの部屋。

 そこは、テーブルの上に食べ物の包装が散乱しており、床には衣服、キッチンには汚れた食器の山。

 まさに、掃除の出来ない人間の部屋と言った感じのそんな部屋だった。

 

 クローゼットを開き、あれでもないこれでもないと衣服を放り投げるリルトットを一瞥し、辺りを見渡しながら、言われた通り湯船のある風呂場へ。

 ベタベタと乾き始め、異臭を放つ制服を脱ぎ捨て、一瞬迷ってから洗濯籠に放り込むと扉を開き中へ。

 それから、シャワーを浴び、身体を清め外に出ると、ぐしゃぐしゃで皺だらけのタオルとリルトットと同じ制服が置かれていた。

 

 先の一件で、精神的に擦り切れたマリエッテ。

 普段なら、戸惑い躊躇う所をそのままタオルで身体を拭き、制服に袖を通す。

 ノースリーブで脇が丸見えのその服は、不思議と安心した。

 

 リルトットの匂いがする。

 

「食え」

 

 全身から湯気を出し、湯で紅潮した顔でリルトットの方を見ると、綺麗になったテーブルの上にインスタントのカップ麺が十個並んでおり、隙間から湯気が漏れ出た一つを此方に突き出し、残りは順番に湯を注ぎ、タイマーをセットした。

 

 出るタイミング何て分からなかった筈。

 

 となると、自分で食べようとしていた物を先に食べさせる為に譲ったのか。

 

「私は後で良いです」

 

「ああ? 人の好意を無碍にしようってのか?」

 

「............た、べます」

 

 無表情のリルトットの圧に耐えきれず、一緒に出されたフォークを手に取ると、蓋を開き麺をすくい上げ、口に入れる。

 

「美味いか?」

 

 声に出さず、力なく頷く。

 それに『そうか』と素っ気なく返し、テーブルに肘を付き、マリエッテとは別の方向を向いた。

 

「これで分かっただろ? 星十字騎士団の奴らは真面じゃねぇ」

 

「......はい」

 

「―――全部、戦争のせいだ」

 

「......?」

 

 食べる手を止め、彼女を見る。

 すると、マリエッテの顔を一瞥し、帽子を脱ぎ、視線を下に落とすと話始めた。

 

「数千年前。死神のクソと戦争したのは知ってるだろ?」

 

 頷く。

 

「結局、俺達滅却師は惨敗して、こんな影の世界に逃げ込んで来たって訳だ。―――あの時から、どいつもこいつも狂っちまったんだ。今の奴らは誰もかれも親無子無。大半は戦争で死神に殺された奴らばかり。テメェは運が良い方なんだぜ?」

 

「リルトットさんの......その家族も......」

 

「一人も生きちゃいねぇよ。俺だけじゃね、バンビもジジもミニーもキャンディも、星十字騎士団の連中はお前除いて全員、天涯孤独だ。あいつら見てるとつくづく思い知らされるぜ、『人間何か欠けちまったら狂っちまうんだな』ってな。―――でもよ、あんな奴らでも俺の仲間なんだ。クソみたいな奴らだけどよ、偶には一緒に居るのも悪くねぇって思わせてくれる......」

 

「......」

 

「だから......だからよ。許せとは言わねぇし言えねぇ。だが、あいつらにもそんな事があったんだ、ぐらいは思ってやってくれ」

 

「............もしかして、庇ってるんですか?」

 

 そう言うと、一瞬にして顔を赤くさせ、ボンッ!! と蒸気を発し。顔をそっぽ向けた。

 

「........................ざけんな」

 

 表情を見えないように座り直すと、バッとカップ麺の一つを掴み、ズルズルとすすっていく。

 

 分からない。

 バンビエッタもジゼルも、僕を狙って寄って来た。

 力のままに犯し、自身のモノにしようとしてきたのだ。

 

 そんな者達にどうして同情することが出来るだろうか......。

 

 グルグル考えを巡らせ、胸の底に溜まる沸々とした憎しみを見つめ、ふと僕を犯した二人の顔を思い浮かぶ。

 

 人間の皮を被った獣。

 そんな、人間を庇うリルトットは............。

 

「優しいですね」

 

「......アホ」

 

 

 それから、他愛のない会話を交わしながら食事を行った。

 マリエッテにとって、滅却師として働き始めてから初めての楽しい食事だったようで。

 話の過程で徐々に、顔色が良くなり、眠る頃には身体の強張りは解けていた。

 

 

「―――寝る。ベッドはお前使え」

 

 会話をしながらも、気付かぬ内に全てのカップ麺を平らげていたリルトット。

 箸を放り投げ、容器の一つに投げ込むと、ゴミはそのままにそう言い残しソファに歩いて行った。

 

「リルトットさんが使ってください」 

 

 マリエッテも同じく食べ終わり、容器を持ちゴミ箱を探しながら立ち上がる。

 

「人の好意を無碍にすんじゃねぇ」

 

 ソファの上にあるゴミを払いのけながらそう言うが、やっと見つけたゴミ袋に容器とフォークをツッコみ『なら!』とやや大きな声で更に重ねる。

 

「............一緒に、寝ましょう」

 

「......は?」

 

 片目を顰めた怪訝な表情。

 

「ベッドは一つ。でも、私達は小さいので大人一人分くらい、です。ので、一緒に寝るのは可能だと思います」

 

「テメェ犯されたばっかりだろうが」

 

 赤面しながら言い切ったマリエッテに呆れた顔でソファに座る。

 

「そうです」

 

「そうですじゃねぇよタコ。『人に騙されたばっかりなのに、よく他人と一緒に寝ようって気になれるな』っつってんだ」

 

「リルトットさんには、何度も助けて貰いました、し。......あの。それに、あの二人から感じた変な雰囲気、感じませんでした。―――ので。どうぞ」

 

 トコトコ、この部屋唯一の清潔な場所に移動し、シーツを捲り身体を潜らせると、寝た状態で再びリルトットに見せる様にシーツを広げた。

 それを、唖然とした表情で見つめ、しばらく無言の攻防を行った後、リルトットが折れ『はぁ』とため息を吐くとソファから降りて、その中へと潜っていく。

 

 ベッドに誰かを招き入れる。

 前のマリエッテなら兎に角、今の彼なら絶対にそんな事はしない。

 ましてや、犯された後で異性を迎え入れる何てあり得ない事だ。

 

 だが、彼はそれをやった。

 

「久しぶりに......安心して......眠れ、ます」

 

 心身共に疲労した状態で、安堵した為、一気に眠気がやって来たマリエッテ。

 虚ろ虚ろした様子で、微笑みを浮べながら、天井を見上げ途切れながら呟く。

 

「どあほ」

 

 マリエッテに枕を貸した為、腕で枕を作り、背を向け素っ気なく吐き捨てる。

 だが、その言葉には先のような覇気はなく、真に思っていった感じではなかった。

 

「はい」

 

「早く寝ろ」

 

 ベッドに置いたリモコンで電気を消す。

 

「はい。おやすみなさい」

 

「......ああ」

 

 今晩、マリエッテは初めて安眠(・・)する事が出来た。

 

 

 

 

「......」

 

 時刻は午前一時。

 真っ暗な部屋の中で、寝息は一つ、人影は二つ。

 

 寝返りを打ち、マリエッテの方に視線を移し、観察する。

 

 男とは思えない程、蠱惑的な色気とそれとは真逆な純粋無垢な美貌の少年が、今、無防備な寝顔を晒している。

 幾ら、他意はなくとも、色々考えてしまうのは仕方ないことで、それはリルトットであっても例外ではなく。

 

「......寝れねぇ」

 

 髪の間から覗かせる耳に首筋、時折シーツを整える為に動かす腕からちらりと見える脇、僅かな視覚情報であっても聖文字の能力を漏れ出ているのか、それとも本人の本来の美しさによるモノなのか、分からない。

 だが、とんでもなく悶々とした気持ちにさせるのは明白で、無表情でバンビエッタやジゼルのようにそういった(・・・・・)感情を抱いていない彼女であっても寝れない程の効力を発揮していた。

 

 

 

 

「..............ふぁ」

 

 結局、寝たのは草木も眠る丑三つ時を回った頃で、起きたのは昼を回った辺り。

 

 やや気だるい身体を起こし、大きく欠伸をしながら目を覚まそうとゴミを足で探りながらベッドから降りる。

 しかし、足裏に感じるのは何時ものゴミの感触ではなく、床のつるつるとした感触。

 

「ん?」

 

 顔を下に、床を見ると、そこには昨晩まで散乱していたゴミどころか誇り一つなかった。

 

 刹那的な間。

 疑問が脳内を過ぎるが、ベッドを一瞥し、それは直ぐに霧散した。

 

 原因は分かった。

 後はその元は何処に言ったのか。

 

 それも、直ぐに向こうからやって来た。

 

「おはようございますリルトットさん」

 

 エプロンをした、両手で持っても余りある大きさの皿に、これまた大きなサンドイッチを載せた大皿をピカピカのテーブルに置くマリエッテの姿。

 テーブルの上には既に、湯気立ったカップに入ったコンソメスープ、ボウルに盛ったサラダ、コップとオレンジジュースと水の入ったピッチャーが置かれていた。

 

「ああ」

 

 予想していなかった光景に呆気に取られるが、直ぐに我に返り『顔を洗って来る』と水面台に。

 

「変な感じがするぜ」

 

 どこもかしくも綺麗な状態に清掃されており、若干居心地が悪い様子で身支度を済ませ、席に付く。

 

「どうぞ」

 

「お前が作ったのか?」

 

「はい。掃除を済ませてから起きそうな様子でしたので、手早く作れる物と......リルトットさんよく食べますから、足りなかったらまた作ってきます」

 

「......頂きます」

 

「はい」

 

 パクパク。

 もぐもぐ。

 

 一定のペースで、次々に食べ始める。

 だが、直ぐに食べる手を止め、マリエッテの方を見やる。

 

「テメェは喰わねぇのか?」

 

「......?」

 

「いや、何意外そうな顔してんだ。飯食ったのか?」

 

「い、いいえ。リルトットさんが食べてから食堂で済ませようかと......」

 

 バンビエッタに出会ってから奴隷根性が染みついてしまったマリエッテ。

 彼女と離れてからも健在なようで、席に座ることなく、部屋の隅に立っているマリエッテの姿があった。

 

「座って喰え」

 

 有無も言わせぬその言葉に、口を噤み、表には出さないリルトットの優しさが心を潤した。

 

「え? でも「喰え」......はい」

 

 やや俯き、頬を緩めながら再び顔を上げ、遠慮気味に席に座り『頂きます』と小さく言うと先にリルトットが切り分けてくれたサンドイッチをパクリと頬張った。

 

 食事をして暫く達と、唐突にリルトットが口を開く。

 

「俺は今日から仕事だから、お前自分の部屋に戻れよ」

 

「......え」

 

 彼女のその言葉で穏やかな表情は一変。

 絶望の淵に立たされたかのような、暗い色に染まった顔を向けた。

 

「何だその顔。しょうがねぇだろ」

 

「......はい」

 

「テメェの身はテメェで守れ。気安く人に頼ってんじゃねぇ」

 

「じゃあ、何で」

 

「今回のは特別だ。ミニーの頼みだからな」

 

「ミニーニャさんの頼みなら聞くんですか?」

 

「仲間だからな」

 

「なら、私は」

 

「赤の他人だろう」

 

「......ッ! そう、ですよね」

 

 なに一人で舞い上がってんだ。

 そう自身を攻め、膝に乗せた両手で握り拳を作り、込み上げて来る涙をグッと堪える。

 

「仲間になりたきゃ、使える所見せろ。でなきゃ、一生奴隷やってろ」

 

「......料理とか、出来ます。掃除も、お世話も」

 

給仕(メイド)で間に合ってる」

 

 グルグル思考を回転させ、自身に出来る事を一つ、一つと消していき、残り少ない選択肢の中から誰もが自分に臨んだ事を彼女に提示した。

 

「......私の身体で―――」

 

 言葉は最後まで続かなかった。

 

 突然、水が顔に飛んで来たからだ。

 勿論、飛ばしたのはリルトットであり、彼女に視線を移すとコップを此方に向けた状態で睨みつけていた。

 

「気安く自分売ってんじゃねぇ売女が。......その染みついた奴隷根性が鼻につくってんだ」

 

「......なら、なら私はどうすればいいんですか。あの人から逃げる為に頑張りました。努力しました。でも、ダメだった。―――ならもう他の誰かに頼るしかないじゃないですか」

 

「そこが鼻につくっていってんだ。頑張った、努力したじゃねぇ。結果が無かったら何にもなんねぇだろうが。努力は結果が伴って初めて価値が生まれんだよ。何も成し遂げてねぇ奴助けたって、また沈んで行くに決まってる。テメェでテメェのケツ拭けねぇ奴が軽々しく努力とか口にすんじゃねぇよ」

 

 反論出来る余地はない、正論。

 涙は流れ、助けてくれる人を失う。それどころか、落胆させてしまった。

 どうすればいい。どうすれば許してくれる......。

 

 そんな、僕の姿を見て、舌打ちを鳴らし、ため息を吐くと、『喰ったら荷物纏めとけ』とコップを音を立てておくと、常人ならあり得ない程の大口を開き、テーブルに乗った料理を次々と放り込み、最後にコンソメスープを流し込むと、ガジガジ音を立て、飲み込む。

 

「バンビエッタが帰ってくるまでは世話してやる。だから泣き止め、泣き虫」

 

 返事を聞く間もなく席を立ち部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 言われた通り、自室に戻り着替えや必要最低限の生活品をバックパックに詰め、帽子と外套を着ると、リルトットの部屋に戻る。

 すると、既に扉の前に大荷物を両手に携えた彼女の姿が見えた。

 

「待たせてんじゃねぇ。......行くぞ」

 

「すみません」

 

 今のマリエッテはリルトットの通常会話の言葉であっても泣きかねない。

 だから、『どこに行くんですか?』と問いたい所だが、これ以上彼女を怒らせたくないので何も言わず進む事に決めた。

 

 時折、横切る通行人の視線から目を逸らし、リルトットの背を追う。

 途中、告白してくる人も居たが、反応する前にリルトットが『うぜぇ』と蹴り倒した。

 

 そんな調子でどんどん進み、人通りが疎らになっていくと、これまで無口だったリルトットが唐突に口を開く。

 

「今から行く場所なら誰も来ねぇ。俺かバンビエッタが帰ってくるまでそこで寝泊りしろ。風呂とトイレは......特別だ俺の部屋の使え」

 

「......はい」

 

 どこに行くんですか? その言葉を抑え込み、小さく返事する。

 

「後そこにカス野郎が一匹いるけど、気にすんな」

 

「え? あの、野郎? 男の人がいるって事ですか?」

 

 その言葉に我慢できず、思わず問を返す。

 

「ああ。と言うか、そこがそいつの部屋だ......いいや部屋って言っていいかどうか分かんねぇけどよ。まあ、お前をどうしようってタマじゃねぇから安心しろ」

 

 そんなことを言われても安心できるわけがない。

 何故なら、マリエッテが持っている力は聖文字、ユーハバッハから下賜された超次元の威力を有する能力。

 バンビエッタは効かなかったが、本来なら制御出来ているとは言え、みだりに他人と一緒に居ていい能力ではない。

 知らない人間なら尚更。

 

 不安と恐怖が胸の底から湧きだしてくる。

 オドオドし始め、リルトットとの距離を近くに、気付かれぬように彼女が背負っている大きなバックパックの端をちょこんと摘まむ。

 

「ここだ―――起きてるかクソ野郎」

 

「起きてるよ」

 

 檻に捕えられた、少年が一人。

 

「こんななりで男だけどよ。変な気起こして襲うなよ童貞野郎」

 

 そう言いながらテキパキと持った荷ほどきを開始。

 『大丈夫、彼の能力は効かないと思うから』と言う言葉を無視し、テントを組み立てた。

 

 それから、持ってきた荷物の使い方を一通り教えると、『じゃあな』と言い残し、最後に合鍵を渡して去って行った。

 

「......えーと............」

 

 何が何だか分からない状況で、捉えられた少年の方を見やる。

 

「短い間だけどよろしく」

 

「こちらこそ。―――私、マリエッテ・マリリージェと申します」

 

 そう言うと細めの少年は僅かに驚き、驚愕の顔を見せる。

 だが、直ぐに元に戻した。

 

「僕はグレミィ・トゥミュー」

 

 これが、僕とグレミィとの邂逅だった。

 

 

 

 

 

 




 感想、評価おくれ。

マリエッテをTSする能力(切り替え可)をもたせて良いと思う?

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