◇◇◇
「うっ……ぐ……やめなさい! やめて……あっ」
マリーは首根っこを掴まれ、後ろから犯されていた。
部屋は暗く、首を伸ばしてみてもその正体は判然としない。
「なんでっ……! こんな事を、あァッ……! そこは駄目! やめて!! ……やめてよ……」
暗闇にすすり泣きが響き渡る。
普段のマリーを知るものからすれば、驚愕と言ってもいい事態だ。
マリーは泣かす側であって、決して泣かされる側ではない。
獣の様に犯され、モノの様に扱われ、マリーはその尊厳を粉微塵に砕かれた。
あまりの屈辱に涙がとめどなく零れ落ちる。
だが、マリーが幾ら泣こうが喚こうが、暴漢は決して注挿をやめようとはしなかった。
濡れた何かと濡れた何かがぶつかる音が何度も何度も響く。
だが男の力で押さえられ、術封じの魔術をかけられては抵抗等出来ようはずがない。
無防備なまま、ただただマリーは犯され続けた。
そして、その時が訪れる。
暴漢の体が軽く震え、マリーの尻を掴む手に力が籠もる。
──まさか
マリーは怖気を震った。
「……ッ! お願い! お願いだからやめて!! それだけは嫌よ! ねえ!? 聞いてるの!? ちょっと! あ、いや……あ、熱……」
暴漢の精が膣へ注ぎ込まれるのをマリーは感じた。
余りの嫌悪感と情けなさ、屈辱に、マリーはひっくひっくと喉を鳴らし咽び泣く。
だがマリーにとって、悪夢はまだ終わってはいなかった。
暴漢がマリーの尻肉を掻き開き、誰にも見せたことの無い部分を露にする。
──これ以上、これ以上辱めを受けるのならば
マリーが舌に力を込めようとしたその時。
◇◇◇
「あのさ、マリー……。このやり方、僕もう嫌なんだけど……」
暴漢……いや、ルシアンがうんざりした様子で口を開いた。
「普通にしようよ……なんだって僕がマリーに乱暴をしなきゃならないの?演技でもマリーが泣いているのを見たくないんだけど…。僕が知らずにマリーへ酷い事をしてしまって、僕はその罰かなにかを受けているって事?」
ルシアンはマリーの拘束を解き、その胸に顔を埋め、力の限りマリーを抱き締めた。
マリーも苦笑しながらルシアンを抱き返す。
「ごめんね、でもたまに! たまにならいいでしょ? 普通にするのも好きよ、というかルシアン、あなたとならどんな事だって楽しく、気持ちよく出来るとおもうの。でもほら、なんていうのかしら……趣味というか……私ってこんな性格じゃない? だから反動っていうのかな……こう、そういうアレがあるわけよ! でも相手が誰でもってわけじゃないわ。愛している貴方だからこそ、乱暴にされるのもいいっていうか……」
その髪の色に勝るとも劣らずに顔を真っ赤にしたマリーに、ルシアンは優しくキスをした。
そして顎を掴んで囁く。
「たまにだよ、本当にたまにだからね。分かった? マリー」
ルシアンの問いかけに、マリーは“はい……”と小さく返事をした。