①ヨルシカ
「ねえ、この下着って本当に筋肉が鍛えられるのかい…?なんだか嘘をつかれているような…え?そんなことはない?疑うのかって?いや、疑ったりはしないけど…でも…」
ヨハンはヨルシカの疑問には答えなかった。
ミシル謹製の下着は、ミシルの説明によれば肉体に適度な負荷をかけ、ただ着ているだけでも鍛錬効果を発生させるという。
そこに嘘はない。
ヨハンは真顔で口を開いた。
まだもう何枚か受取っている。そっちも試してみるか、と。
ヨルシカもまた真顔になってヨハンがもってきた下着の何枚かに目をやった。
そもそも局部に何も布があてがわれていない物さえもある。
――これはよくない
逃げ出そうとするも、どこからともなく顕れた木の根に四肢を拘束されてしまう。
魔力を廻せば鉄格子すら力づくでへし曲げる事のできるヨルシカだがしかし、ヨハンの膨大な魔力がこめられた木の根を引き千切る事はできなかった。
脚が無理矢理開かれる。
――っあ…!
もはやヨルシカになす術はなかった。
②ヨルシカ
「あ、あのさ…本当にこれって柔軟体操なのかな…確かに剣士に体の柔らかさは重要だけど…何か違うんじゃないかな、ヨハン…。それに、なんで裸になる必要があるんだい?」
ヨハンはヨルシカの疑問には答えなかった。
彼が聞き及んでいた極東の柔軟体操というものが全裸で行うと言う事は嘘ではない。
さらにいえば、一時の羞恥心と剣士としての鍛錬…ひいては自身の命を護る事にも繋がる鍛錬と比べるならば前者の重要性など塵芥にも過ぎない。ヨハンは真顔で指示をした。
もう少し脚をひろげて可動領域を拡張してみろ、と。
③エル・ケセドゥ・アステール
「確かに以前、星辰を廻し大人の体まで成長しようと試みましたがっ…!術は失敗したはず…。まさか水浴び中に術が起動するなんて…」
アステールの最終王統でさえも術の起動に失敗することがある。
積み重ねてきた記憶というアドバンテージはあれども、星術の難しさと言うものを身をもって知ったエル・ケセドゥ・アステールであった。
④ヴィリ&フラウ
「手合わせはヴィリ姐の負けなんだから、約束は守ってね」
「お前さぁ…いいけど、そういう趣味だったのかよ…」
確かに術はなしで手合わせという話であった。
だがまさか自分が、連盟最強の剣士である自分が敗れるとは。ヴィリは妹分の成長に驚愕した。
とはいえ種はある。
勇者の力を継承したフラウは、確かに術は使用してはいなかった。
しかしそもそも勇者としての力自体が強力な身体強化の作用があり、これはわざわざ起動せずとも常時フラウに作用しつづけている…いわば常時起動型の術式である事をヴィリは知らなかった。