※この作品はR-18です。

アーネンエルベの秘め事   作:二ベル

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輝夜さんは胸がでかくちゃあいけないんだ……


ゴジョウノ・輝夜
ゴジョウノ・輝夜A-①


 

 

 

「くぁああ……」

 

「ふあぁああ……」

 

 

昼も過ぎて、所謂『おやつの時間』くらいの頃。

僕と輝夜さんは、本拠の一室――輝夜さんの部屋――で、だらけていた。二人そろって大きな欠伸をして、身を寄せ合う僕達の後ろ姿を見た者はきっと、白と黒で映えるわね羨ましいわと言うことだと思う。実際、アリーゼさんは僕が和装を着て輝夜さんに腕を組まれているところを見てそんなことを言ってた。

 

 

「「眠い」」

 

 

二人して同じことを言う。

僕も輝夜さんも、とても眠たいのだ。

天気は快晴。

お昼ご飯も食べた。

本拠には誰もいないのか、とても静か。

カーテンの隙間から差し込む陽の光が余計に眠気を誘ってくる。輝夜さんは眠気に勝てないと諦めたのか、僕から体を離すと着物を脱いで『衣桁(いこう)』という着物版ハンガーラックに着物を掛けた。着物を脱いだ輝夜さんは、和装用の下着である肌襦袢だけの姿になり、再び僕の横に腰を下ろしてもたれかかってくる。

 

 

「……昼寝、するか」

 

「うん……する」

 

そうして輝夜さんは仰向けに倒れ込み、僕は輝夜さんに引っ張られるような形で倒れ込んだ。僕の頭は自然と彼女の胸元にあって、布越しに彼女の体温と柔らかさと匂いが感じられる。そして輝夜さんは僕の頭を撫でるように手をやると、やがて静かに寝息を立てはじめたのだ。

 

 

 

今朝。

みんなで朝食をすませ、アリーゼさん達が各々本拠を後にすると輝夜さんは僕に声をかけてきた。曰く、今日は非番だから一緒に出掛けよう……というのだ。僕も特にすることがあったわけでもなかったので頷いて、【ゴブニュ・ファミリア】に行ったり、【ディアンケヒト・ファミリア】に行ったり、【デメテル・ファミリア】に行ったり……そして適当なところで昼食を食べて本拠に帰って来た。そして、今、昼寝をするに至っている。

 

【ゴブニュ・ファミリア】では、輝夜さんの刀【彼岸花】を整備に出しに行き、【ディアンケヒト・ファミリア】では、輝夜さんがアミッドさんを捕まえて何かお話をしていた。出て行くときアミッドさんにジトっとした目で睨まれた気がしたけど何だったんだろう?

そして最後、【デメテル・ファミリア】では、輝夜さんはそこのファミリアの人達とやりとりをして果物を沢山譲ってもらっていた。リアカーに積まれたそれらを運ぶのは僕で、輝夜さんはなんと後ろの方に腰を下ろして「ほらほら働け働け~」などと宣っていた。僕はとても疲れたよ輝夜さん。

 

 

 

「く、ぁあ~……」

 

 

大きな欠伸と共に僕は目を覚ます。

柔らかくて温かい感触が頬のあたりにあって、上には輝夜さんの手が置かれていた。もぞもぞと体を起こして外を見てみると日は傾き、都市は黄昏色に染まっていた。輝夜さんの方を見ると綺麗な顔で眠って静かに寝息を立てている。

 

「すぅ……すぅ……」

 

仰向けで眠る彼女は、決して美の女神様にだって負けていないと思う。事実、輝夜さんは所謂『劣化版美の女神』みたいなものらしい。詳しいことは輝夜さんが嫌がって教えてくれないけれど、輝夜さんの実家である『ゴジョウ』家の家伝だとかで女性は主神のコノハナノサクヤヒメ―通称:サクヤヒメ―様の身姿を模倣し追及するのだとか。なぜそんなことをするのか? という理由は……あまり聞いていて楽しいものではなかった。まあ敵対する神でさえ篭絡してやる、という考えがあるのだとか。つまるところ、『ゴジョウ』は始祖と主神の『生き写し』を作り出す呪われた一族なんだそう。

 

だから輝夜さんの容貌は美で劣っていようとも、サクヤヒメ様と同じなんだとか。

あとは……そう、輝夜さんは僕に積極的なスキンシップをしてくるけれど、ある程度ラインを引いているらしい。自制している節があるけれど、それも『ゴジョウ』の家伝が理由だとかで、つまり……輝夜さんの身体には12年という歳月をかけて蓄積させた『毒』があって、もし仮に僕が輝夜さんと男女の睦言を交わしたりすると死んでしまう恐れがあるんだとか。

 

「ひょっとしてアミッドさんと話してたのってそれの話なのかな?」

 

アミッドさんなら、輝夜さんの『毒』を消失させることはできなくても、僕が口にする『解毒薬』は作れそうな気はするし。うん、きっとそうかもしれない。

眠れる輝夜さんは、無防備で、綺麗だ。本人は前の主神を心底嫌っているみたいでアストレア様に出会うまでは相当荒れていて髪も短かったらしいけれど、僕は女神様にだって負けてない美貌を持つ輝夜さんが好きなんだと思う。

そんな眠っている輝夜さんは、肌襦袢は若干左右に開けて鎖骨と胸が少し露出していて、その大きな胸を僕の枕にしていたというのに完全にリラックスして寝ていたのがわかるくらい熟睡中だ。第三者が来ればすぐに起きるかもしれないけれど、僕相手ならどう動こうが気にしない。今だって胸元から離れたのに起きないし。

 

「う~ん……兎に種付けされたい……Zzz」

 

姉の幸せそうな寝顔を観察する。

ひっどい寝言が聞こえた気がするけれど、僕は気にしない。こういうのは聞かなかったことにするのが優しさというのだ。

 

「……やっぱり【アストレア・ファミリア】のお姉ちゃん達は美人さんが多いなあ」

 

【ロキ・ファミリア】にだって負けてない。なんなら【フレイヤ・ファミリア】にだって。可愛らしいドワーフに、ずる賢い小人族、忠誠的な妖精と金髪クールな妖精さん。すらっと長い手足に大きな胸のヒューマンのお姉さんに母性に溢れたアストレア様にだって対抗しうる胸を持つお姉さん、いつも明るく振舞う、だけど格好いいところも併せ持つ赤髪のお姉さん……そして極東の貴族出身の黒髪のお姉さん。アストレア様も含めれば、美人さんでありながら可愛いお姉さん達ばかりだ。

 

「温泉でしっぽり……ふふふ……」

 

見ている夢の内容を除けば、完璧だ。

寝起きのせいもあってか、血が巡って僕の身体の一部がビクンと疼いた。寝起きだからね……あとは、いつも悪戯されてばかりだから。うん、やっちゃってもいいよね?

 

 

(そぉーーーっと……)

 

 

起きない範囲でボディタッチしてみた。寝てるのを起こすのは可哀想。そして勿体ない。でも、普段から僕に抱き着いて来たり何かと迫ってきたりするんだから、たまにはこういうことをしても咎められはしないはず。うん、きっと。アストレア様やマリューさんは「ベル君もお年頃なのね」とか言って許してくれたし。半日動き回っていた輝夜さんの肌は、寝汗もあってか微かにシットリとした感触。でも、決して不快な匂いは放っていない。むしろ甘い香りすらする……香水してたのかな?

 

浴衣をずらしてみる。

数時間とはいえ、そこにたまっていた分が解放されてほわほわっといい匂いが僕の鼻に届く。

 

「…………ゴクリ」

 

すごく、すごーっく、いけないことをしているようでなんだかドキドキする。

 

「っ……?」

 

ほんのちょっと、なでる程度に肌に触れた。

一瞬ピクついたけれど、喉を鳴らした程度。意外と眠りは深そう。これは……何しても大丈夫そう……?

 

「ふぅー……」

 

とても重要で秘密な任務をしているかのように、身体に力が入る。だから僕は一度身体を離して深呼吸をする。落ち着け、落ち着け僕。普段はあっちからしてくるんだから、こっちにはやり返してもいいという大義名分だってあるんだ。うん、大丈夫。

 

 

――ベルよ……起こさないように。起こさないように、悪戯するんじゃぞ。

 

 

心の中でお爺ちゃんがそんなことを言っていた気がするけれど。

 

 

――よいかベルよ、いくら谷間がすんごいからといって、ヒャッハーとダイブしたら台無しじゃ。

 

 

煩いなお爺ちゃん。

でも、うん……輝夜さん達が眠っている僕に悪戯して楽しんでいたのは、その気持ちは今ならわかる気がする。寝ている女の子に悪戯……すごいシチュエーションだ。僕はすっすっ、とはだけさせた場所から、真っ白な肌を撫でる。

 

「っ……、は」

 

輝夜さんの吐息が少し、乱れた。

鷲掴みにしたい衝動をぐっとこらえて、する、する、と撫でるのを繰り返す。

 

「う、…っ、ぅぅ…あ」

 

手のひらのテンポにあわせて呼吸のテンポも上がってきた。僕はそのまま、ふにふに、と手のひら全体を使って、押し込むように触る。

 

「……柔らかい」

 

触ったことがないわけじゃないのに、感触にゾクッとする。力をかければかけるほど、手のほうが吸い込まれるようにつぶれていく。しかもただ柔らかいだけじゃなくて、肌はぴちぴちで優しい跳ね返りがあるから、余計だ。

 

(これくらいなら大丈夫なのかな……?)

 

当てた手を上下させてみる。

 

「うっん、ぁんっ、んっ、っ」

 

艶めかしい声が出た。

普段の【大和竜胆】としての輝夜さんを知っている人達が、輝夜さんがこんな声を出すって知ったらどんな反応をするんだろう。僕以外の誰かに聞かせるのはすごく嫌だけど、身勝手だけど、気になる。

 

「っ……? ぅ、……ぅう」

 

そんなしょうもないことを思っている間も僕はずぅーっと、胸をぽよぽよ転がしているわけで。だんだんと細い喉のなる周期が小さくなってきた。僕の手つきにやらしく反応する周期が。

 

「…………」

 

肌襦袢が邪魔に思えてきた。

肌襦袢が柔らかい肉でムッチリ膨れている様は、見ている分には良いんだけど……いや、僕は何を考えているんだろう。

 

 

――ベル君、邪魔なんだろう? とっちゃおうぜ?

 

 

心の中のヘルメス様が、旅行帽をくいっとしながら囁いてきた。なんだろう、僕の心の中の悪魔な部分は【ゼウス】か【ヘルメス】しかいないんだろうか。じゃあ天使は【ヘラ】なのかな……やだなあなんだか。

 

 

(……よし)

 

 

起こさないように帯をなんとかしつつ、裾からめくっていくことにした。

 

 

「やっぱり……輝夜さん、綺麗……」

 

肌襦袢は、着物用の下着……らしい。

和装用に普通の女性下着なんかをつけると、かえって苦しくなってしまったり着崩れの原因になってしまうんだとか。そもそも着物は平らな寸動な体型のほうが似合うように作られている……なんてことを前に輝夜さんが言ってたっけ。下着なんて種類がいくらでもあるらしいから、僕にはわからないことだけど。

 

「っう……」

 

輝夜さんは、つまり、下は穿いているけれど上は……ブラはつけていなかった。

 

(おっぱいだ……谷間のとこ開いてたし枕代わりにしてた時にもしかしてとは思ってたけど……)

 

輝夜さんのことだから、邪魔だって言って外したのかもしれない。僕が【ファミリア】に入ってから矯正したらしいけれど、しばらくは本拠に男の人が訪れていてもお構いなしに暑いからって理由で下着姿でうろついてたし……矯正した分、こういう見えないところは脱ぐようになったのかな?

 

「ふー……っ」

 

眠っているお姉さんを脱がせたことに、妙にテンションが上がる。悪いことをしているっていうのと、とてもぞわぞわする楽しさがごちゃ混ぜだ。そして改めて輝夜さんの身体を眺める。

 

(うん、やっぱり輝夜さんの身体は綺麗だ)

 

なんといってもたわわな部分に目がいってしまうけれど、それ以外のパーツもすごい。肩や鎖骨、細いウエスト……すごい、これが『ゴジョウ』……美の女神の模倣の集大成……恐るべし、『ゴジョウ』……!!

 

(輝夜さんの肌、汗ばんでる……)

 

冷えたら風邪を引かせてしまうかも。

冒険者がそうそう体調を崩すとは思えないけれど、僕も昔はよく体調を崩していたし油断はしちゃいけない。それにお義母さんも言ってた、女の子は身体を冷やすのはあまり良くないって。

 

(温め……る?)

 

へこんだお腹に手をやる。

 

「……ン」

 

胸を触った時と違って、大人しい反応。

すっ、すっ、するする……と綺麗なくびれの横っ腹に触れ、上から下へ、下から上へとなぞる。

 

「っ、んっ……。んふっ、ぅ……あぅ……っ、や、ん」

 

胸を触った時の押し殺したようなのとは違って、かすれたような、か細い声が出てきた。

 

(……くすぐったいんだ)

 

 

――じゃあ、揉んでみたらどうなるのかしら?

 

あ、駄目だ。僕の心の中の悪魔に【フレイヤ】までランクインしてきた。寝ている今がチャンス? 輝夜さんの身体を調べさせてもらおう? わかるけど、わかるけど……。

 

――いいじゃない。 その子が眠っている貴方の下着の中に何度手を入れてきたと思っているの? 大義は貴方にあるのよ。

 

 

なんだろう……両手を組んで、「構わん、行け」とでも言わんばかりの言い分は。

 

 

「んっふっ、ふぁっ、ふぁはんっ」

 

(やっぱりくすぐったそう)

 

というか輝夜さん、お腹も意外と柔らかい。無駄な贅肉なんてまったくなさそうなのに……凄腕の冒険者って言っても、やっぱり女の子だから柔らかいものなのかな?

 

(女の子の身体って……不思議だなあ……ここらへんとかも柔らかそうだし)

 

おへそをコチョコチョコチョ。

 

「んん? はぅ……ンっ、っ、んん……」

 

そこからせり上がるようにして、胸に戻す。

こちょこちょこちょ、と触る。

 

「っひ……ぅっ!」

 

ふくらみに達するちょっと手前で、全身がびくびくっと震えた。あばらの辺りが弱いのかな? そのままサイドに流れがちな横乳を……。

 

「ぅ……、う……」

 

触ると、眉がぴくぴくと動いた。『くすぐったい』といより、『感じる』って感じなのかな。僕は手をもうちょっと上へ移動させる。室内に熱が籠っているせいもあってか肌全体が汗ばんでる。脇の下はもうジットリと湿りきっていた。

 

「っは……、はぅ、あぅ」

 

ここはくすぐったいと感じるが半々くらい? それとも、くすぐったさがもうえっちな感じに変化しているのかな。

 

くにゅ、くにゅ、と脇の下の皮膚が薄くて柔らかい、粘膜にほど近い部分を揉む。

 

「ふぁ、あ……っ、はぁんっ」

 

背筋がびくーってなった。

輝夜さんのこんな反応、初めて見るかも……。僕は手を胸に戻して、むにゅう……っと深めに指を食い込ませた。

 

「んっ、んんっ……ベ、ル……ぅ」

 

 

(まだ、大丈夫……かな?)

 

まだ、起きそうにない……そう捉えた僕は、むに、むに、むに、と揉ませたもらうことにした。全身を愛撫していたせいか体はすっかり温められていて、輝夜さんが漏らす吐息には怪しい匂いが混じっている。表情もどこか……艶めかしい。

 

「あん……っ、はんっ、んっ」

 

眠っているお姉さんの喘ぎ声に僕の心臓はドキドキと煩い。でも、まだ触っていたい僕はそのまま力の方向を変えたり、ときどき指も食い込ませたり……そっと乳首をつまんでみたり。

 

「んんん……っ」

 

喉が大きく鳴った。

輝夜さんの乳首はもう、根元の乳輪のところから持ち上がるみたいに勃起していた。ついつい……とむちっと肉の張ったピンク色の乳首を掃く感じの優しい、触るか触らないかのタッチで撫でる。

 

「にゃ、んっ、っ、ぅう? あっ、っ、ンぁ……」

 

すごく感じているのか、触れば触るほど勃起して、僕の指をはじくようになる。僕の指に吸い付くように。

 

 

「ひんっ……」

 

 

むにっとピンク色の部分全部を摘まむと、ぴくぴくっと全身をつっぱらせる輝夜さん。すると連動して、胸がぷるぷるやらしくウネる。

 

(輝夜さん……やっぱり、えっちだ……【ファミリア】で一番えっちなお姉さんは輝夜さんだ……間違いなく)

 

所謂、男好きのする身体ってやつなんだと思う。

着物越しでもわかる身体のライン。そして普段の猫を被っているあの感じに、それを捨てて素を出した時のあの感じ。僕だって一度は聞いたことがある。

 

『ゴジョウノ輝夜みたいな強気な女ほど、わからせてやりてぇ……』というそんな不届きな会話を。そんな会話をした男性冒険者達には、不思議と雷霆が脳天を撃ち抜き記憶が失われるという記憶処理(アーネンエルベ)な現象が起きるわけだけれど、いやーなんのことかさっぱり僕はわからない。ひょっとしたら輝夜さんを密かに守っている人がいるのかもしれない。でも、その気持ちはわかる気がする。

 

「ぅ……っ、んっ。ンンン……っ」

 

うにぃ……っと乳首を人差し指と中指の付け根ではさみつつ、五本の指をそれぞれ食い込ませた。手のひらには抜群の反動が返ってきて尖った乳首がぴんぴん暴れる。

 

「っは、ぁあ、は……、ぁ、っ~」

 

全身を悶えさせる輝夜さん。ときどきよじれるお腹にも手をやってくすぐり、小まめに敏感になってきた乳首へ戻す。

 

「ひぅ……っ。う……っ、あ、ああっ」

 

盛れる喘ぎ声。

そして乳首をつまんだことで、電気でも通ったみたいに全身がよじれた。

 

「~~~……っ、……ンァ!」

 

(あ……ひょっとして、今……)

 

「っは……っ、は……っ」

 

呼吸が乱れる輝夜さん。

これって……輝夜さんはひょっとして……寝たまま……?

 

(イッたってやつ?)

 

だとしたら……そう思うとどうだろう。

僕の中でふつふつと、戦に勝利したような歓喜にも似た……そう、征服感が湧いてきた。イケナイことをしているのはわかってる。でも、楽しい! そして面白い!

 

 

「…………あらあら、女子(おなご)の寝込みを襲うとは良い根性をしていらっしゃいますなあ、旦那様?」

 

「!!?」

 

冷ややかな声に、肩を揺らし、僕は輝夜さんの顔を見た。

輝夜さんは、ジトーっとした目で僕を眺めていた。

あれ、何だろう……急に恥ずかしくなってきた。いやでも、普段のことを思えば僕が触ったって……。

 

「お、怒ってる?」

 

「さて……まずは、貴方様の言い分を聞くことにいたしましょうか?」

 

「う……だ、だって、輝夜さんの胸、柔らかいし?」

 

「それで?」

 

「大きいし……普段から、みんなして僕に抱き着いて来たり、キ、キスしてきたり……押し倒してきたり……か、輝夜さんなんて、寝てる僕の下着の中とか浴衣の中に手を入れてくるし」

 

「ほうほう」

 

「だ、だから、起きたら輝夜さんの胸が枕代わりになってて良い匂いがして、触っても許されるかなあって思って……しょうがなかったんだよ……」

 

そうだよ、仕方がなかったんだよ。

目が覚めたら、目の前に立派なお胸がありました。どうしますか? 相手は自分に好意を持っている上に普段から迫ってくる人です。どうしますか? 心の中の悪魔はこういう事でしょう。

 

――行けよ。

 

と。

普段の彼女達の行いも鑑みれば、天秤は僕に傾く。

うん、間違いなく。

アストレア様だって、僕が触ったって怒らないし。大義名分はあるんだ。

 

「なるほどなるほど……まあ、貴方様のほうからくるなんて空から兎が降ってくるくらいには今のところあり得ない現象でございましょうし? 抱き着いて眠っているのだから、互いに当たるモノは当たる。故に致し方なしでございましょう」

 

「うぅ……」

 

お互いに……の辺りが引っかかる。

いや、わかるよ? 輝夜さんの言わんとしていることは。寝起きにお姉さん達がたまに頬を染めながらチラチラとどこかを見ていることがあるし?

 

「はぁ……」

 

これからきっと、『ハイク』を読まされるだろう罪人のようにしょんぼりとしていると輝夜さんは溜息を一つ。

 

「ごめんなさい……金輪際触りません……まな板でも洗ってます」

 

「おい待て、私はそこまで追い込むほど怒ってなどいない。あと、まな板とは何の話だ。【アストレア・ファミリア(わたしたち)】の中に胸のないやつはいないはずだ」

 

「でも輝夜さん達も悪いよ、僕だって男なのに、いっつもいっつも……」

 

「だから待てと言っているだろう!? 別に怒っていない、お前の言い分も分かった。 その、ほら、あれだ、この胸……いや、身も心もお前のものなのだから、触りたいなら触ってもいい!」

 

身体を丸めて、輝夜さんの膝に顔を埋める僕の背中に輝夜さんは手でわしわしと摩ってくる。

 

「ただ、その……一人ではじめていたのが、少し気に入らない」

 

「輝夜さんだって、寝てる僕のを握ってるじゃん!」

 

「柔らかいのから硬くなるのを感じてみたかったんだ、仕方ないだろう!」

 

「意味がわかりません!」

 

「お前の身体は私達のだ!」

 

「横暴だ!」

 

「いいや、これは許されることだ! 派閥唯一の男……愛すべき弟分であり将来の伴侶の射精管理くらいできずして、何が女か!」

 

「もっと意味が分から……わぷっ!?」

 

わーわー、ぎゃーぎゃーと言い合っていると、若干頬を膨らませた輝夜さんに抱き込まれる形で引き倒された。

 

「むぐぐ……」

 

「……楽しかったか?」

 

「むむぅ……」

 

「そうかそうか……私の身体は、十分お前を楽しませられるというわけだ。これに関してはあのクソ女神に感謝してやら……いや、無理だな」

 

「むぅ……」

 

 

胸で溺れそうな僕。

ぷはっと上を向いて呼吸できるようになって輝夜さんと見つめ合う。あれこれ言っているけれど、輝夜さんの瞳は熱を帯びていて…‥。

 

「ハツジョ―してる?」

 

「多少は。ですがそれも当然かと……眠っている間に執拗に触られて……かと思えば下着の中には手を入れてこない。まあ、それはそれで気に入らない反面、お前が私を抱いて怪死するのを避けられた安心はありますが」

 

 

そ(・)う(・)い(・)う(・)気(・)分(・)になっているらしい輝夜さんの全身からは、発情した女のソレが滲み出ている。それに僕も心臓が暴れ回ってドキドキ。頭を撫でてくる輝夜さんへ、身体を伸ばして顔を近づける。

 

「ふふっ、……ンっ」

 

ちゅっと唇をくっつけた。

 

「ぷふ……ふぁ」

 

ちゅっちゅ、と唇を擦り合ってお互いの熱を交わし合う。寝てるところを悪戯するのも楽しかったけど、起きてるときのもやっぱり良いかも。

 

「んは……ちゅっ、ベル……」

 

重ねる時間に応じて、輝夜さんの表情がトロンとしていく。いつもの猫かぶりでもなければ、品の無い素のそれでもない、女の子っぽく蕩けていく。

 

「ベル、舌を出せ……」

 

「ふぁい」

 

言われるまま、舌をぺろっと輝夜さんへ差し出す。

輝夜さんはまず先っちょを擦らせるように、それからだんだん舐り合う面積を増やしていった。僕はそれに合わせて、ぎゅーっと強く胸を捕まえる。

 

「んっ……くぁああああんっ」

 

「輝夜さんってえっちだね」

 

「うるさい」

 

「胸、触られるの好き?」

 

「…………ノーコメント、だ」

 

顔を背ける輝夜さん。

ぐに、ぐに、と寝てるときにはしなかった力加減で極東の御餅のような感触の胸をこねる。

 

「ひゃっ、うっ、飽きない、のか……ぁ?」

 

飽きない。

それだけの感触がここにはある。

ぎゅいぎゅい指を食い込ませながら、接吻(キス)もより深く。

 

「はぅ……っあぅ、ぁあむ」

 

口の中まで舌を入れて、互いにねろねろと舐めまわす。一度絶頂を迎えた分、性感が戻ったらしく輝夜さんのこぼす吐息が、次第にやるせなく甘えたものになっていく。

 

「ン……」

 

握り締めた胸でも、尖った乳首がぴんぴん、と手のひらに当たって自己主張。そんな乳首を指でつまめばぴくぴくと反応させて、全身をよじらせる。

 

「くぅぅ……っ、ふぁあああんっ」

 

寝ていたときの分も含めて、好き放題されていたのが悔しかったのか。だけど表情には、そういうのも悪くないとばかりに悦びめいたものが浮かんでいる。

 

「はぁ、ぁ……ん、あらあら?」

 

「っ!」

 

輝夜さんが熱い吐息を零し、離れた舌が引いていた糸が顎にかかりながら何かに気付き、それに触れる。そこは僕の下半身にあるもので、興奮しているのだから当然どうなるかなんてわかりきっている。

 

「さっきから腹に当たっているなとは思っていたが……やれやれ、正直、寝ている間に口に突っ込まれるなり、ぶっかけられるかと思ったが」

 

「僕、輝夜さんの中でどういう人間だと思われているのかな?」

 

輝夜さんは言いながら僕のモノに優しく手を添わせ撫でり撫でり。

僕は指で弄っていた乳首を甘噛みし、吸い付く。

 

「ひゃぁんっ。 い、きなり……吸うなっ。びっくり……するだろう!? あっ、あっ、吸い過ぎ、吸い過ぎぃ……今、敏感、にっ、なってる……からぁっ」

 

たぶん、輝夜さんが思っている以上に敏感になってるんだろう。すごく焦ってるのがわかる。

 

「そんな吸って……むずむずする……何も、出ないのにっそんなにいい、のかぁ?」

 

「甘い感じがして……出る?」

 

「ぁああぁぁあ……っ。んっ、んくっ……出なぃいいぃぃい……そもそも、私はお前と本番ができん……【戦場の聖女(デア・セイント)】に解毒薬、を……んぅうう……」

 

全身をのたうたせて悶える輝夜さん。たぶん、軽くイッた……よね? あ、目がもうやめろって訴えてきてる……僕は名残惜しいけれど口を離した。わなわな震える身体が、のしかかった僕の身体に擦り寄るような反応をする。

 

「はぁ……いいかげん、終わりだ……これ以上は、本当にまずい……歯止めがきかなくなる……汗でベタついてるし……はぁ……風呂、入るか」

 

歯止めが効かなくなる。たぶん、本当に輝夜さんの『女』な部分が疼いているんだと思う。さっきから僕のをズボン越しに撫でながら輝夜さんの下半身はもじもじと動いてる。輝夜さんは上体を起こすとちょうど膝の上に跨ったようになっている僕の頬を撫でて唇を重ねた後、脱げている肌襦袢を直し始めた。だから僕も自然と輝夜さんの上から降りる。

 

「ねえ、輝夜さん」

 

「んー?」

 

「その、えっと」

 

僕も、もじもじ。

輝夜さんは、熱い吐息を吐いて我慢。そして僕を見て、視線を下に下げて妖しい笑みを浮かべた。口が逆さ三日月のような形になってるような気がしないでもない。あー、悪いこと考えてる顔だ。

 

「いやだ」

 

「む」

 

「そんな顔してもダメだ」

 

ほら、日も暮れてきているし皆、夕餉の準備をしているかもしれん。とっとと風呂に入るぞと僕の後ろに回って背中を押してくる輝夜さんは、どこかわざとらしい。僕が何を求めてるかわかってて、輝夜さんはわざと断ってる。それもわかる。ただ僕が怖いのは、この人のする怪しい笑みだ。

 

 

 

 

 

「……覚悟しておいてくださいませ、旦那様。一人で処理する暇など決して与えませんので」

 

 

 

耳元で輝夜さんはそう呟いて、僕の耳をちろりと舐めた。

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