「アイズさん、痛いです」
「ご、ごめんなさい……」
市壁の上、僕は仰向けに倒れていた。
今日も今日とてアイズさんと訓練をしていた僕は、相変わらず彼女に回し蹴りを喰らい意識を刈り取られていた。目が覚めた頃には彼女の膝が頭の下にあって、そう、膝枕をされていた。柔らかくて、温かい。でもやっぱり痛いものは痛い。ジトーと彼女を見つめ非難するとアイズさんは申し訳なさそうに顔を逸らした。
「えと、加減しているつもりなんだけど……難しくて……ベル、訓練する度に変わってるから……」
しょぼんとした可愛らしい表情を浮かべるアイズさん。
起き上がり、僕達は膝を向き合わせて反省会……というより、お説教タイム。
「ごめんなさい……」
「…………」
「あの、その……どうしたら、許してくれる? 私、なんでもする、よ?」
なんでもする。そんな言葉に心揺さぶられない者が、果たしてこの下界にいるだろうか。いや、いないはずだ。きっと古代の英雄達だってそんな言葉を聞かされれば頭を悩ませるはずだ。アルゴノゥトだってエピメテウスだって、嗚呼、何をしてもらおう、と。
「…………ベル?」
普段は表情がほとんど変わらない彼女。
付き合いが長ければ、多少なりともわかってくるものだけどそうでない者にはきっとわからない。アルフィアお義母さんも表情筋が死んでいるとか叔父さんも本人も言っていたけど、そんな人を親に持ったからだろうか……なんとなく、わかる。彼女のわずかな表情の変化に。
「どうして、黙っているの?」
両手をついて、少し四つん這い気味になって僕の顔を覗き込んでくるアイズさんの瞳は潤んでいて、まるで飼い主に嫌われまいとぷるぷる震える子犬のようだった。両手を股の間にしているせいで、彼女の胸はむにゅりと形を変えたのが見えた。
「ごくり」
「ベル? 当たり所、悪かったのかな……どうしよう、アミッドに怒られる」
そういえば、この間、僕はアイズさんのおっぱいを買ったんだよね……? ということは、目の前にある布の中に収まっている魅惑の果実は僕の所有物なのでは……?
「ベル、何か言っ―――」
「なんでもするって言いました……よね?」
「え? うん、言った……けど」
改まって思うと、顔が熱い。
今から口にする言葉について、自分でも馬鹿じゃないのかと思ってしまう。でも、うん、これはお仕置きなんだと思えば………戦いじゃ僕、アイズさんに勝てっこないし。そう、これは正当なお仕置きなんだ。お祖父ちゃんも言ってた。
<強い女ほど『わからせ』だよなあ>
って。
意味はわからないけど。
輝夜さんを躾けるのと同じなのかもしれない。
「アイズさん」
「ん?」
「これから、お仕置きをします」
「!!」
目を見開くアイズさん。
ビクッと肩が揺れた気がする。
「そう……だね、今まで君のこと、沢山傷付けてきたし……そのせいで、仲良くしてくれないんだよね?」
違うんです。
ただ身体が勝手に反応して逃げ腰になっちゃうだけなんです。別にアイズさんのこと『暴力剣士』とか思ってないんです。『全自動命摘み取り機』とは思ってるけど。ついアイズさんが挨拶しようと手を上げただけで殴られるって防御反応してしまうせいで、微妙な関係なだけなんです。
「いいよ、それで君が許してくれるなら」
苦笑に近い微笑みを浮かべて、アイズさんは言った。
可愛い顔をしている。
それでいて、今日に至るまでの自らの前科をよほど気にしているのか受け入れ態勢万全であった。僕はごくりと喉を鳴らして、緊張で暴れる心臓の音を耳朶に聞きながら間を開け、ようやく言った。
「アイズさん」
「うん」
「―――――胸を触らせては貰えないでしょうか」
「――――――」
どこかで、ヒューヒョロロ~なんて鳥が鳴いているような気がした。僕は何を言っているんだろうか。アイズさんも自分の耳がおかしくなったのかと、鳩が豆鉄砲を食ったような表情をしてしまっている。いや、ひょっとしたら本当に聞こえなかったのかもしれない。
「お胸を」
「うん、聞こえてたよ?」
アイズさんは自分の胸を隠すように腕を交差させた。
頬がどこか赤い。
その瞳には戸惑いの色が浮かんでいた。
というか、僕自身、顔が熱い。
今、鏡を見れそうにない。
「えと、私の……胸、を触る……? のが、お仕置き……?」
「お仕置きっていうのは、その、罰を与えることであって……女の子であるアイズさんが僕にお胸を好き放題されるってことは、凄く恥ずかしいことであって……殴るとか、そういったことはリヴェリアさんがしているだろうから、少し趣向を変えて攻めた方がいいんじゃないかって………一応、そういう感じで、理屈は通りますか?」
僕は何を言っているんだろう。
アイズさんは目をぐるぐる回している。あ、混乱してるやつだ。頭の上にきっと『?』マークをいっぱい浮かべているやつだ。
「で、でも……えと、ベルの周りには綺麗なお姉さん達がいて、私よりも胸の大きいお姉さん達もいて……だから、えっと、その」
「今、僕の目の前には、アイズ・ヴァレンシュタインさんのしか、ありません」
「!!」
「確かにアイズさんの言う通り、お胸の大きいお姉さん達が周りに沢山いますけど……アーディさんとか輝夜さんとか春姫さんとか……でも、今はアイズさんなんです。僕に、アイズさんを……女の子をお仕置きだからって殴るなんてできませんっ」
「う、うん?」
「ア、アイズさんは昔、僕のこと殴ったし、お風呂入っているところにやってきて、押し倒したこともありますよね!? 僕の裸見るどころか跨ってたって聞きました!」
「はぅっ!?」
「ええとええと………それに、僕、お金、この間払いましたよね!?」
「!?」
「あの後、落ち着いて確認したら、あの額……アイズさんの『
「!?」
「つまり、アイズさんのお胸……おっぱいは、それくらいの価値があるってことで、それを僕は買ったってことなんです!」
「え、え、え…………え?」
「ということは、アイズさんのおっぱいは、実質、僕の所有物ってことになりませんか!?」
「私の胸は……ベルの物だった……の……??」
アイズさんは完全に混乱していらっしゃる。
両腕を交差させているけれど、そのせいでおっぱいの形はむにゅりと変わってしまっている。僕ももう何を言っているんだろうという感じだし、なんだか暑いし、アイズさんを直視するのがきつい。でも、理屈は通っている筈なんだ。心の中のお祖父ちゃんだって「通っとる通っとる」って言ってるし。
「……………」
「……………」
沈黙が苦しい。
アイズさんは瞳を右に左に動かして考え込んでいるし、僕ももう言葉を紡げそうにない。何をやっているんだろう僕は、恥ずかしい、馬鹿みたいだ。
「ごめんなさいアイズさん」
「………?」
立ち上がろうとしながら、謝罪する。
ここまでの言いくるめでも十分、
「気にしないでください」
「え………どこ、行くの?」
「帰ります。その前に、アミッドさんのところに懺悔に行こうかと」
「アミッド………」
馬鹿みたいな発言をして迫ってしまったことをアミッドさん……聖女なんて言われている彼女の元で懺悔しよう。アストレア様を困らせたくないし、アミッドさんならまだ……。そう思って去ろうとすると、ぐいっと手を握られた。振り返ると、アイズさんが少し不満そうに唇を尖らせていた。
「アイズさん?」
「ア、アミッドと仲いいの、ずるい」
「え?」
「アミッドの胸、触ったの?」
「えと……」
触ったどころじゃない。
それ以上だ。
アイズさんもオラリオ中の誰も知らないだろうけど、アミッドさんはスイッチが入ると接吻好きだ。間違いなく。一度しか関係を持っていないけど、何度接吻したか、数え切れない。彼女の方から求めてくる上にトロンとした目をするんだ。アミッドさんはえっちだ。
「いいよ」
「え?」
「それで君と仲良くなれるなら……ううん、君のこと、沢山、傷付けたし、私の胸、君の物だって………だったら、いい、よ?」
拝啓お祖父ちゃん、お元気ですか。
お祖父ちゃん、『パパ活』とか『ママ活』とかいう言葉を知り合いのアマゾネスさんから聞いたんですけど、お祖父ちゃんはお金で女の子を買って遊んだりとかしたことありますか?
僕は最近、歳の近い年上の女の子の『胸部』を買いました。
お値段なんと彼女の愛剣と同じ値段です。
女の子って時々、よくわからない。
「じゃあ、いきます」
「……………うん」
言って、僕は恐る恐るといった感じで真正面にある両手をアイズさんのおっぱいへと伸ばした。真っ白な戦闘衣装の上からその膨らみに指が触れると、アイズさんは一瞬だけどビクリと身体を揺らした。流石に恥ずかしいのか、頬を染めた顔を逸らしてアイズさんは両手を後ろにして抵抗1つしない。両手を後ろに胸を差し出すような形で彼女は座っている。アイズさんのおっぱいは柔らかくて温かくて弾力があって、【ファミリア】のお姉さん達と比べればそうでもないかもしれないけれど、やっぱり大きい方だと思う。
「わ、わぁ……」
思わず、歓喜の声が漏れる。
だって歳の近い異性の身体だし、アイズさんだし。
正面から鷲掴むような形から、ふにふにと軽く撫でるように触れる。指先がおっぱいに沈み込むにつれて、アイズさんの呼吸が僅かに乱れる。普段ならまず聞くことのないアイズさんのくすぐるような甘く漏れる声を聞いて、興奮してしまう。
「ん……ん、ぅ……んっ」
きっとアイズさんだって、まさか自分のおっぱいを触られるなんて夢にも思っていなくて、甘い息を吐き続ける。僕は青空の下で何やってんだろうなんて心臓をドキドキさせながら、少し動きを変えて、じんわりとアイズさんのおっぱいを揉み続けた。するとアイズさんの身体はだんだんと火照り出してきて、漏れ出る吐息も熱っぽくなってくる。
「アイズさん、痛くないですか?」
「んっ………ぅ、ん……大丈夫、だよ……気に、しないで」
優しくしているつもりだけど、輝夜さん達とするのとはシチュエーションが違うというか、どうしても緊張してしまう。だから力が入って痛みを与えていたらと気にしていたけど、大丈夫そうだった。どころか、甘い声を堪えているのか返ってくる言葉が途切れ途切れ。捏ねるように優しく、弾力を手のひら全体で感じ取りながら揉んでいると少し変わった感触が伝わってくる。少し手を退けてみれば、戦闘衣装を押し上げて自己主張しているポッチがあった。アイズさんはしっかり感じてくれていて、その証拠に乳首が勃起したんだ。再び手のひらで彼女のおっぱいを覆うように掴んで、するりと位置を変え、指でボタンでも押すようにして乳首を押し込むとアイズさんの身体が大きくビクリと震えた。
「んんっっ……!」
「っ」
アイズさんはビクリと身体を揺らして、眉間を険しくし、そして次には何が起きたのかわかっていないような、でも恥ずかしいと言いたげな顔をした。痛いわけではなさそうで、ただ戸惑っているようで……たぶん、アイズさんはえっちなこととは無縁な生活だったんじゃないかと思えてくる。だって昔からリヴェリアさんが呆れるくらいには怪物を倒してばかりだったし。保護者であるリヴェリアさんが、そういうことを教えているとは考えにくいし。アイズさんは僕の手の動きが止まっている間に何度か身じろぎすると穏やかな呼吸を取り戻していた。さすが第一級冒険者、自分の身体に何が起きているか理解できていなくても体勢を整えようとする能力は高いらしい。……これならまだ続けても、大丈夫かもしれない。
「んふ……っ、んっ、あ……、ふぅ……んっ」
おっぱいの根元から掬い上げるように大胆に揉むと、アイズさんはビクッ、ビクッ、と身体を揺らした。咄嗟に抵抗して僕を突き飛ばそうとせず、それを押さえているのか身体こそ反応するたびに揺らすけれど差し出すようにして胸を張るような姿勢を維持しているのは流石としか言いようがない。そんなアイズさんの反応が、好きにできるというような反応が、僕の加虐心をどんどん加速させてくる。
「ぁぅ………、はぁ………んっ、んんんっ、やっ……あっ、ふぁぁぁ……!」
戦争衣装越しに手のひらに当たる乳首をキュッとつねると、アイズさんはブルリと震えた。唇を半開きにして甘い喘ぎ声を吐き続ける。
「んぁん、あ、はぁ……、ふぁ、あぁ……あ……ん、はぁ……胸、なんだか……変……ふぁ、ぁ……」
アイズさんのおっぱいを揉み続けて、何分時間が過ぎたのか。
もみゅもみゅと揉み、戦争衣装越しでもわかるくらい勃起している乳首をコリコリと弄っていると、アイズさんはうっとりした顔になって呟いた。
「どんな、感じですか?」
「んんっ………は、ぅ………んっ」
脇の下の少し下、おっぱいとの境目付近に指を沈めるようにしているとアイズさんは両脚をもじもじとさせては身体を揺らし、甘い声を漏らし、ビクリと身体を揺らす。
「ビリビリする、ような……ひ、ん、変な感じ……んっ」
やっぱり痛いわけではないらしくて、僕は少しずつ力を強めていく。鷲掴んだおっぱいは沈む指に合わせて形を歪め、力を弱めては元に戻ろうとする。アイズさんの顔は羞恥に染まり、初めて与えられただろう快楽に戸惑い、吐息を吐きだして、僕が満足するのを待っている。
「気持ちいい、ですか?」
「…………わ、からないよ。こんなの、知らないっ……から、君の手、すごく熱く感じて、胸を触られているのに、んんっ、身体が痺れちゃって……っ」
それが気持ちいいってことだということをやっぱりアイズさんは知らないようだった。戦闘衣装は僕の手汗を吸って、代わりにアイズさんの火照った体温を伝えてくれる。そしてすっかり硬く勃起した乳首が布を押し上げ僕の手のひらと擦れて、そのせいで彼女は身体を大きく揺らす。はっきりと終わりの時間も決めずに始めたこの行為。僕は僕で恥ずかしさで緊張して、アイズさんはアイズさんで初めてのことに戸惑い羞恥に染まる。何度もお互いに生唾を飲み込んで、そして僕は指でこねくり回していた乳首を不意打ちとばかりに引っ張った。
「んっ、んんんんんっ………!?」
瞬間、アイズさんがビクンッと大きく身体を震わせる。
そのまま身体を仰け反らせ、小刻みな痙攣を繰り返した後、ゆっくりと元の体勢に戻っていく。
「ふっ……は、はぁ、はっ……」
「……ゴクっ」
ひょっとしなくても、確信がある。
アイズさんは今、絶頂を迎えた。
そういう、女の子の反応をしていた。
アイズさんは俯いていて、さらりと流れた髪から姿を現した耳は真っ赤に染まっている。
「アイズさん……今の、気持ちよかった……んですか? お仕置き、なのに」
ちょっとだけ、意地悪がしたくなって最後につけたした。
するとアイズさんはブルッと身体を震わせながら上目遣いに僕を見つめてきた。その瞳は潤んでいて、可愛らしくて、ドキリとしてしまう。
「ご、ごめん……なさい……で、でも、本当にわからなくてっ。でも、頭が真っ白になって……ベル、魔法、使ったの?」
「使ってないです」
「じゃ、じゃあ、
「違います。というか、持ってないの知ってますよね?」
「じゃ、じゃあ、どうして?」
リヴェリアさんはアイズさんにどれくらいの教育をしているんだろう。『赤ちゃんはどこから来るの?』と聞かれたら『大聖樹の根元から流れる清水をどんぶらこっこしてやってくる』とかアホな回答はしてないですよね? いくらエルフが長命で子を成しにくい種族だからって言っても知識がないわけじゃないだろうし。
「えと、上手く説明できないな………えっと、とにかく、アイズさんがおかしいわけじゃないです」
「?」
両手を地に、股で挟むようにして僕を見つめるアイズさん。
とても可愛い。
時折、もじもじとさせているのが余計、可愛い。
「アイズさんは今、イッたんです」
「イッた……?」
「気持ちよくなっていくと、そうなる………らしいです」
「…………そう、なんだ?」
おっぱいを触っていた僕の両手を見つめるアイズさん。
瞳は泳ぎ、「気持ちい?」「痛くなかった」「変な感じ」「ふわふわする」とブツブツ言っていて、またもじもじと身体を揺らして甘い吐息を落ち着かせるように繰り返す。
「えと……」
「お仕置き……終わ、り?」
「…………」
アイズさんは上目遣いに言う。
どこかモノ欲しそうな表情をしていた。
そんな気がした。
ごくりと喉を鳴らして、アイズさんの胸元に視線を向ける。そしてまたアイズさんへ視線を向ける。
「アイズさん、次は後ろから、です」
「―――――!」
そうして僕は、今度は正面ではなく後ろからアイズさんのおっぱいを揉みしだいた。どれくらいの時間をアイズさんのおっぱいに使っていたのかを春姫さん達と合流してからわかったことだけど、2時間は彼女を責めていたらしい。
「アイズさん、立てそうにない……ですよね」
「ふ、ぅ、ん………もう少し、だけ、もたれてても、いい?」
「………はい」
「………お尻に何か、当たってる……?」
「気のせいです」
2時間もおっぱいを揉み責められたアイズさんは立ち上がることもままならず、余韻が去るまで背後の僕にもたれ掛かってビクビクと身体を震わせていた。頭を撫でてあげるとどこか嬉しそうだった。
「―――――ということをしていたんです、内緒ですよ?」
どこにいたのかと聞いてきた春姫さんにそれとなく耳打ちで説明すると彼女は頬を染めて言った。
「ベル様は鬼畜でございますか?」
そうは言っても、あのアイズさんを人生で初めて絶頂させた事実は僕の中で大きな衝撃だったんですよ? ようやく、彼女に勝てた。そう思えるくらいに。
2時間くらい、アイズさんのお胸を揉んでやりました