一般向けです。
今回は、プロローグで触れた不思議な夢について触れます。
因みにタイトルは、dreamのシングル、「Heart on Wave」を元ネタにしています。但し、内容については、dreamのシングル、「My will」を参考にしています。
2024年。
日曜日。この日は、二人共にアルバイトであるが、日曜日は午後からシフトである。
この日、森嶋帆高と天野陽菜は、アルバイト先から近いマクドナルドに立ち寄り、昼食を摂ってから出勤する事にした。
当初、帆高はマクドナルドを避けていたが、陽菜が「ここのマックは私がいたお店とは別だし、私は平気だから」という理由で、二人は初めてマックに来た。
窓側の席にて。街を見下ろす二人。眼下には、今日も様々な傘の花が咲いている。
「私と帆高が出会うきっかけになったのは、マックだったわね」
「うん。あの日の事は、今でも覚えているよ、陽菜」
「私も…」
そう言うと、二人は窓の外に目を遣った。
「この二年半、俺達は離ればなれだったけど、一度だけ、『繋がっている』と思った事があったね、陽菜」
「えっ!?」
「あの、12月の事」
「ええ」
帆高の言葉に陽菜が頷く。
2021年12月。
代々木の廃ビルの解体工事に伴い、屋上の祠の魂抜きの儀式が行われた。儀式は、気象神社の神主と巫女二人が執り行った。
その日の夜。帆高と陽菜は、不思議な夢を見た。
帆高と陽菜は、天空に浮かぶ、緑の大地にいた。互いに何かを話してはいるが、声は聞こえない。
但し、二人共に、「お前達の選択、悔いが無いならば、それで良い」とだけ聞いた。
そして竜が去ったところで、二人は目が覚めた。
陽菜はその翌日、アパートを訪ねて来た巫女に、その事を話した。
その数日後。12月下旬。
帆高に来客があった。保護司が帆高宅を訪ねた際に、安井刑事と気象神社の巫女を連れて来たのだ。
安井刑事と巫女から、あの代々木の廃ビルが解体された事を聞かされた帆高は、巫女に不思議な夢を見た事を話した。そして、陽菜も不思議な夢を見た事、その夢を見た日が祠の魂抜きの日だった事を知った。
「その不思議な夢を見た時、陽菜は何を言ったの?」
「覚えてないわ。名前を呼んだのは確かだけど、それ以上は…。帆高は…?」
「俺も同じだよ。ただ…?」
「何?」
「あの夢は、会いたい、会えない、そういう日々を過ごしていたせいなのか、人はこの空の下で繋がっている、という事を、伝えたかったのかな、って…」
「うん…」
陽菜が頷いた。
二人は、再度空を見上げた。
「ねぇ、帆高」
「何?陽菜」
「あの祠の鳥居をくぐった時、迷いは無かったの?」
「無かったよ。覚悟を決めていたから」
帆高の表情は、あの日と全く同じだった。
「うん…、有り難う」
「さてと、そろそろ行くか」
腕時計を見て、席を立つ帆高。それを陽菜が呼び止めた。
「帆高、ちょっと待って」
「えっ!?どうしたの、陽菜」
「ほら」
そう言って陽菜は帆高の左の頬を指差した。彼の左頬にはトマトソースが付いていた。
「あっ、有り難う」
「接客業なんだから、身だしなみ、ちゃんと整えないと、ね」
陽菜に言われると、帆高は口元を紙ナフキンで拭いた。
「どうかな、陽菜」
「うん、OKよ」
トレーを回収台に置くと、二人はバイト先に向かう。今日の雨脚レベルは4と、やや強いが、バイトが終了する頃は2と予報があった。
「今日も終わったら迎えに行くよ。陽菜」
「ええ、終わったら買い物、宜しくね」
「ああ。それじゃ行ってくるよ」
「ええ。帆高も、気をつけてね」
二人は手を振ると、アルバイト先のホームセンターと書店に向かう。
帆高の担当は、レジ打ちだが、品出しや店内の巡回もこなす。又、力仕事もあるが、苦にしてはいない。
一方、陽菜の担当は、レジ打ちだが、客注の対応やフェアの企画立案、商品の補充や店内の案内も担当する。
日曜日や祝祭日は、ホームセンターも書店も親子連れが多い。時には迷子の対応や店内放送をする事もある。
日曜日という事もあり、今日の二人のシフトは長いが、平日に比べ、勤務終了の時間は早い。
先にシフトを終えた帆高は、いつも通り陽菜がアルバイトしている書店に向かう。
陽菜が退勤する迄は、帆高は店内をぶらつく。
「帆高。お待たせ」
「あ、お疲れ、陽菜。それじゃ行こうか」
「ええ」
二人はバイト終了後、その足でスーパーに向かう。日曜日は退勤時間が早い為、ゆっくり買い物が出来る。しかも、ごったがえすのを回避出来る。
買い物を済ませると、二人は陽菜のアパートに向かう。日曜日は、仕事の後に楽しみがある。それは一緒に食事をする事。日曜日は帆高は月曜日の講義の都合上泊まれないが、陽菜の振る舞う手料理を、凪も含めた三人で楽しむのが、三人の至福の一時であった。
インターミッション3 終わり
次回もインターミッションです。