異世界召喚されたユウキのスキルを知った女性達は今日も彼を愛する 作:昆布 海胆
深い闇から星の光以外の光が浮かび上がる。
空が少しずつ青さを増していく明け方・・・
魔法で生み出された鳥がダーマンの一室へ飛び込んでいた。
「アリア姫様、ローザから報告書が届きました」
「読み上げて頂戴」
つい先程眠りから目覚め、上体をベットの上で起こしたアリア姫は長い髪を流しながら連れていたメイドに伝える。
メイドの手の中で魔法生物の鳥はその姿を変化させ、手紙になっていた。
そこに書かれていたのは昨夜ローザが書き記したユウキの現状、そして現在判明しているスキルの効果と推測であった。
「無限成長ですか・・・でも不可解な事もありますわね・・・」
報告書の中にはシズの事に関しては書かれていなかった、だがハナだけでなくローザもユウキに魅了されている事実が記載されていた。
そして、アリア姫自身もゼロがユウキのレベルを上げた時に自身の体に起こった不思議な感覚に気付いていた。
まるで猫が発情期を迎えたように体が疼きだしていたのだ。
それ以来ユウキが望むのであれば自身の体を差し出す覚悟を持っていたのである。
「今日の会議では成長を続けているとだけ説明するとしましょう」
それは現在もユウキのレベルが市民の基準とされている6に到達していない、その事実を報告するべきではないと判断したからである。
過去にレベルが下がると言う事例は報告されておらず、それを伝えたところで、アリア姫がユウキを自国を守る為に独占する目的で匿っていると推測されるのを防ぐ為でもあった。
ダーマンから更に西に進んだ砦。
そこに常駐する兵士達は今日もバラモヌに支配されたデーモンの町周辺の小さな村へ向けて進軍していた。
逃げ遅れた人間や、逃げなかった人間がバラモヌの魔物達に蹂躙され、犯され、苗床とされているのを開放するのが彼等の役目であった。
魔物は異性の人間を犯し孕ませ増える、それは人間の男の精液で雌の魔物が孕み、魔物の雄の精液で人間の女が孕む。
その結果生まれるのは人間ではなく魔物なのだ。
つまり魔物にとって人間は殺さずに捕らえるのを目的とする生き物なのであった。
これが明らかに戦闘力で負けている人間が魔物に勝てる理由であった。
「雄の魔物には男が、雌の魔物には女が相手をするのを忘れるな!」
「「「オウッ!!!」」」
魔物側からすれば人間は殺さずに捕らえる物、逆に人間側からすれば魔物は殺す物。
抵抗する者を捕らえるよりも殺すほうが遥かに楽なのは言うまでも無いだろう。
だからこそまともに戦う事が出来ていたのだ。
「くっこいつっ!」
1人の女剣士が2メートルはある巨体の化け物と戦っていた。
女剣士の名はレイラ、戦っている相手は雌のオークである。
オークのその股間にしがみ付くように人間の男が張り付き、その男性器を召すのオークに挿入していた。
それは村に残っていた男性なのだろう、雌のオークの中へ精液を注ぎ続ける事しか考えられなくなったかのようにレイラに一切の興味も示さず交尾をし続けていた。
そして、その男性はレイラにとっても保護するべき民間人なのである。
生きた鎧の様にオークの下半身にしがみ付く男性、それを傷つけないように戦うレイラの表情は曇っていた。
「くそっ!増援はまだか!」
そのしがみ付いた男性を殺してしまうのは勿論駄目なのだが、このまま雌のオークに止めを刺すもの駄目なのだ。
何故ならば魔物の体液によって中毒症状を発症している人間は解放されるとそのまま人間を襲うのだ。
助けた相手に犯される、これほど理不尽な事も無いだろう。
だからこそ一定数の人数で固まって戦うのが基本となるのだが、レイラはこの雌のオークと戦い始めた時に仲間と逸れてしまっていた。
同時に他の魔物が襲ってきたのだから仕方ないと言えば仕方ないのだが、そのせいで止めを刺す事が出来なくなっていたのだ。
「ぎゃぁっ!?」
オークの太い腕が剣ごとレイラの体を吹き飛ばす。
地面を転がりながらも体勢を立て直し、向かい合って刀を構えるレイラ。
先程の一撃で剣が少し曲がってしまったが、オークの腕に確かな切り傷が出来て出血を始めていた。
後は時間稼ぎをすれば出血が酷くなりオークは倒れる、そう読んだレイラは更に距離を離そうとして気付いた。いや、気付いてしまった・・・
「くそっ・・・いつの間に・・・」
少し離れた場所でレイラと雌のオークを囲むように何匹ものオークがその姿を現していた。
そいつらは全て目の前の雌のオークと抱き付いた人間の間の子供であろう。
雌に比べて体は一回り小さい、だがその股間には立派な勃起した性器がそそり勃っていた。
明らかにレイラを捕らえて嬲る気なのだ。
だが・・・
「ぶひぃいいいい?!!!」
一匹のオークの叫び声が響き、そのまま地面に倒れた。
その後頭部には矢が刺さっており、それは増援が到着した証拠でもあった。
「どっちを見ている!お前の相手は私だ!!!」
周囲のオークが矢で倒れていく、その光景に気がそれた雌のオークにレイラが飛び掛った!
増援が到着したのであれば時間稼ぎをする必要はもうない、レイラは残った力を込めて雌のオークの頭部を斜めに切り裂いた!
ずり落ちるように頭部が斜めにずれてそのまま体も仰向けに倒れていく・・・
その間もしがみ付いた男は必死に腰を振り続けていた、だが雌のオークが息絶えたと同時にその腰の動きが止まった・・・
「っ・・・・・・」
顔をレイラの方へ向けて虚ろな瞳でレイラの姿を捉えた男性、その勃起したままの下半身を雌のオークから抜き去りレイラに向かって立ち上がる・・・
たとえそれが戦闘経験の無い村人だとしても、決して気を抜いてはいけないのをレイラは理解していた。
過去に助けた人間に犯された者が何人も居るのだ。
魔物の体液によって汚染された人間は脳のブレーキが外れ、予測不可能な程の異常な力と体力で異性を犯そうとする。
だからこそ、それ様の対策をしっかりとしているのだ。
「ほらっ!おとなしくしろ!」
飛び掛ってきた男性をまるで柔道の様な投げで綺麗に地面に転がし、直ぐに手足の腱を切断する。
これでどれ程リミッターが外れた体であろうと身動きが取れなくなるのだ。
切断された腱は連れ帰れば魔法で癒せるので基本的にこれが基本となっているのだ・・・
だが・・・
「うわっ?!こ、こいつ?!」
手足の腱を切断して気を抜いたレイラに男性が襲い掛かった!
手首と足首の腱を切断したのだが、膝と肘で無理矢理体を動かして襲い掛かったのだ!
レベルが低い村人であったとしても、リミッターの外れた動きは時に予想を超える事がある。
唇を奪われそうになったレイラは近付く顔を必死に押し退け、体にこすり付けられている男性器を嫌そうに蹴り上げた!
本来であれば痛みで悶絶するのだろうが、ビクンッと反応した男性は精液を放出しながら仰向けに倒れる。
血が混じった精液と共に少しずつ魔物の体液が抜けたのだろう、男性はそれ以上無理に動こうとはせずにビクビクッと震え続けていた。
「よう、レイラ危なかったな」
「ジャン、助かったよ。でもなこいつに襲われた時なんで助けなかった?」
「えーだってお前・・・」
そう言ってジャンは仰向けに倒れた男のレイラの蹴りで折れた男性器を見る・・・
過去にどさぐさに紛れてレイラに襲い掛かったことのあるジャンはその痛みを知っていたのだ。
「それはそうとお前のパーティの方も無事に保護されたって話だ」
「そうか、重ね重ね助かった」
ジャンが倒れている男を縛り担ぎ上げる。
そのジャンに続きレイラも他の兵士たちが待つ場所へ戻る。
そこには保護された人間が数名と、戦いの最中に魔物に犯されて中毒を発症し始めている者が何名か居た。
「よし、ではダーマンへ帰るぞ」
リーダーと思われる男の宣言で一同はダーマンへ向けて移動を開始する。
魔力を動力に動くジープカーの様な物が何台も走るその光景はファンタジーとは思えない光景である。
過去にこの世界に来た勇者がスキルを使って完成させたそれ、お陰でアリア姫も1日も掛からずにダーマンに移動出来た事もありこの世界には欠かせないものとなっていた。
「それはそうと、勇者様がアリアハノに召喚されたって話だ」
ジャンの言葉にレイラが反応を示す。
勇者、御伽噺の中でしか知らないその存在。
勇者それぞれが様々な能力を保持しており、魔王バラモヌを倒せる唯一の英雄。
その人物がアリアハノに居ると言う事実にレイラは乙女の様に心を躍らせていた。
「とりあえずはこいつらをダーマンの聖女リリシア様に浄化してもらわないとな」
魔物の体液に犯された人間を浄化できる唯一の存在、それがダーマンの聖女リリシアであった。
世界会議が行なわれている最中ではあるが、一日に何度かリリシアはそうやって人々の浄化を受け持っていた。
そして、それは今日も行なわれている・・・
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁっんっ!」
「あ”っひっふぁっっあぁっっ!!!」
「んあっあひぃんぁっ!!」
聖女リリシアが祈りを捧げている周囲にはベットに括りつけられた何人もの人間が居た。
その上にその人物を犯すダーマンの僧侶達。
男には女の僧侶が跨り膣内で男性器を扱く、女には男の僧侶が覆い被さり女性器の中を肉棒で扱く。
「浄化の恵みよ、この者達の体から悪しき液体を排出せよ!」
リリシアの言葉と共に縛られた男女の体が光り輝き股間へとその光が集まっていく・・・
そして・・・
「んぶぅううううう!!!!!」
猿轡をされた拘束された男女が次々と叫び声を上げ、僧侶と繋がっている部分から一気に体液が排出される!
それは白や透明ではなく緑色の体液で、魔物の体液が一気に排出されたのを表していた。
「はぁ・・・はぁ・・・リリシア様、お疲れ様です」
僧侶の1人が縛られた女性から男性器を抜き立ち上がってリリシアに告げる。
股から流れ出る緑色の液体は次々と太股を伝わり床へと流れていく・・・
リリシアの力によって浄化された者は体内の魔物の体液を全て排出し、ぐったりとしたまま眠り続けていた。
数時間後には意識を取り戻すだろう。
そして、僧侶の体内へ排出された魔物の体液はリリシアの力で僧侶には悪影響を及ぼす事無く体外へと排出される・・・
これが魔物に犯された者を救う事が出来るリリシアだけが行なう事の出来る救済の儀式の全容であった。
儀式の魔から出たリリシアの前にレイラが立っていた。
「貴方は・・・確かレイラさんでしたよね?」
「はい、聖女様。名前を覚えて頂いてありがとうございます」
頭を下げるレイラにリリシアは微笑みながら先程の疲れも全く見せず待っていた理由を尋ねる。
「実は、私・・・勇者様にお会いしたくて・・・」
「そうですか・・・」
現在世界会議の為、アリアハノの王女アリア姫がダーマンに来ている事は周知の事実であった。
本来であれば他国の兵士であるレイラが勇者に面会をする事なんて出来る筈も無いのだが・・・
「私は悔しいのです、今日も魔物との戦いで愛用の剣を壊されてしまいました・・・私が未熟だから・・・」
それは雌のオークに曲げられたあの剣の事であった。
レイラは勇者と呼ばれる存在に稽古をつけてもらい、実力を大幅に伸ばしたいと考えていたのだ。
「分かりました、それとなくアリア姫にその話を振ってみることにします」
そう告げリリシアは頭を下げ続けるレイラの元を去る。
リリシア自身もただ適当に口約束をしたわけではない、他国のアリアハノに居る勇者の現在の実力を確認するという名目で本当に勇者が居るのか確かめるのも必要だった、その為レイラのこの件は使えると判断されたからでもあった。
そして、その後の会議でアリア姫から勇者の実力が知りたいので、レイラをアリアハノに同行させると言う了解を貰うのであった。
このレイラの存在がユウキの真なるスキルの正体を暴く手掛かりになるとは誰もこの時は予想していなかった・・・