※この作品はR-18です。

TSF短編集   作:ゔぁいらす

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日輪特機サンバイザー 〜ウチのレッドがある日文字通り紅一点になりまして〜 「chapter:3.大和、二度目の初陣」(非R-18作品)

次の日……

 結局昨晩一晩中トレーニングをしていた大和と虎太郎は寝ぼけ眼を擦りながらブリーフィングルームにやってきた

「ふわぁぁぁ……結局朝までしてもうたなぁ……」

「……ああ。付き合わせてしまって済まなかった」

「大和言うとったやろ? したいことだからやったって。ワイも同じや気にすんな!」

「そう……か」

「ま、今日から心機一転たのんまっせリーダー!」

「ああ……必ずジャガンボード帝国の野望を打ち砕き男に戻る方法も見つけてみせる!」

「その意気やで大和! それでこそワイらのリーダーや! ワイも最大限協力するからな!」

「おう! これからも頼むぞ虎太郎!」

 虎太郎は小さくなった大和の手をぎゅっと掴み、彼のことが今までで一番頼もしく思えた大和も彼の手を握り返す。

 次の瞬間ブリーフィングルームの扉が開き珍しく眠そうな顔をした風磨が部屋に入ってきた。

 彼も一晩中大和の身体を元に戻す方法や今後の三人での連携等を徹夜で思案していたのだ。

「妙に騒がしいと思ったが今日は早いんだな虎太郎……って何をしているんだ? 二人で手を取り合って見つめ合ったりなんかして……」

 風磨はそんな二人を怪訝そうに見つめ、彼の言葉で寝ぼけていた虎太郎ははっと我に返る

「うわぁ! ふふふ風磨!? お、おはようさん! いやぁ……ええ朝やなぁ」

(せや……! いつもの感じでやってもうたけど今の大和は女の子……やっぱこういう事するの変やったかな……?)

 虎太郎は咄嗟に手を離したが冷静になった虎太郎の目の前に居るのはこちらを見つめる褐色の澄んだ瞳の少女。

 彼はそんな少女に目を奪われ不意に胸を高鳴らせていた。

(あれ……眠かったしちゃんと見てへんかったけど今の大和結構……いやめっちゃ可愛くないか? それに昨日の晩からなんかほんのりええ匂いもするしこれももしかして大和の……いやいやいやこの子は女の子になったとは言え大和なんやぞ!? それにその原因はワイにあるんやぞ…? それやのに何考えとるんやワイは……!!)

「どうした虎太郎? なんか顔赤いぞ?」

 虎太郎は自分の胸の中に生まれた感情を必死にかき消そうとするがその表情の変化を心配そうに大和は見つめた。

突然近くに美少女になった大和の顔が近づいてきた虎太郎は身体をビクリと強張らせて後ずさる。

「い、いやなんでもあらへんって! ちょっと夜中のエナドリが効いてきただけで……」

「で、二人で一体何を?」

「虎太郎と戦う決意を新たにしていたんだ。風磨、お前も含めてのサンバイザーだからな。これからも頼むぞ風磨!」

「あ、ああ……」

 虎太郎の葛藤を尻目に大和は風磨とガッチリと握手を交わした。

 

 それからしばらくすると長官が紙袋を持ってブリーフィングルームにやってきて、三人は長官の前で姿勢を正す。

「皆おはよう。大和くんのことは私の方から話を各所に通しておいた。」

その言葉で三人はひとまずこのまま三人でサンバイザーとして戦い続けられる事に安堵し胸を撫で下ろした。

「「「ありがとうございます長官!」」」

 その言葉に三人は深々と頭を下げひとまずこの三人で引き続き戦えることに安堵し笑顔を見せる。大和をアカホークから下ろす判断を迫られていた長官もその事に安堵していたようで彼は喜ぶ三人を嬉しそうに見つめていた。

「スーツの出力調整も今朝終わったよ。今後ともアカホークとして戦えるという姿を私に……そして頭の固いE.G.M.の上層部に見せつけてやってくれ」

「は、はい……! この飛鷹大和今後とも全身全霊をかけてアカホークとして戦わせて頂きます!」

 長官は変身ブレスレットの入った箱を大和に手渡し、彼はその箱を大事そうに受け取り中からブレスレットを取り出して腕に巻く。

 そのブレスレットは以前よりも細くなった彼の腕にぴったりとはまる長さにベルトが調整されていてすんなりと腕にフィットする。

その様子を見守った長官は更に話を切り出した。

「それで、だ。いつまでもそのインナーシャツで居るわけにも行かないだろう? 今の君のサイズのユニフォームも用意した」

 長官は続けて紙袋を大和に手渡し、彼はその中を覗くと見慣れた色の制服の他にあらぬものが入っており目を疑う。

「な、なんですかこれ……!」

「なんですかって……制服と下着だが?」

 袋の中には自分が元々着ていた物より二回りも三回りも小さくなった赤を基調とした制服と共に長官の言う通り地味な色のスポーツブラとショーツが入れられていたのだ。

 女物の下着を身につけるなど男児たるもの男らしくという心情を持っていた大和にとっては耐え難い事だった。

「いくら身体が女になったからと言っても俺は男ですよ!? 女物の下着をつけるなんて……」

 必死に長官に訴える大和だったが長官は苦い顔をする。

 長官としても大和の性格は知っているしこれまで地球を守るために尽力した彼のポリシーを無視し辱めるような事をしたくはなかったがこうせざるを得ない理由も確かにあったのだ。

「すまない大和くん……君が男だということは重々承知だ。しかし世間からの目もある。女の体になってしまった以上は我々E.G.M.の象徴たるサンバイザーのリーダーである君をノーブラで外に出歩かせるわけには行かないんだよ。ひとまずあまり可愛らしく見えない身に着けやすい地味なものを何着か用意させたつもりだ。着替えはここの向かいの空き部屋を今後君専用の更衣室として使えるように手配しておいたからそちらを使ってくれ」

 大和は自分たちが地球の守りの要の象徴として扱われている立場も重々理解はしていたしここ数日女の体で過ごしている間どうしても胸が擦れてしまう事に辟易としており背に腹は代えられないと長官の言葉に渋々ゆっくりと頷いた。

「はい……それが長官のご指示なら……」

「大和……」

 大和は先程までとは一転して表情を曇らせながら長官から受け取った袋を抱え込み部屋を出て指示された向かいの部屋へ向かい、そんな彼を虎太郎と風磨は複雑な表情で見送った。

 

 それからしばらくしてブリーフィングルームの扉が開き服を着替えた大和が姿を現す。

「や、大和!?」

「……その格好は……」

 その姿を見た風磨と虎太郎は目を丸くし、大和は顔を赤らめた

「あ、あまりジロジロと見ないでくれ……恥ずかしいだろ……? ちょ、長官……変な所はないでしょうか?スカートは股が落ち着かないし何より丈が短すぎるような…」

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 顔を赤らめる大和のユニフォームは以前と変わらず赤を基調としたものだったがボトムが丈の短いミニスカートになっており、彼は必死にその短い丈を引っ張って見るがその下からは褐色の瑞々しい太ももが顔をのぞかせている。

「ああ。似合っているよ。サイズもしっかり合っているようで安心したよ」

「長官の言う通り似合ってるやん! かわいいで!」

「……ああ。しかしミニスカートとは……」

 そんな大和の姿を見た二人はそんな反応を返し、それに対して更に大和の顔が赤くなる。

「か、可愛いって言うな……! これは長官の指示で仕方なく……」

「それにしても長官? なんでミニスカなんや? いくら女モンや言うてもズボンでもよかったんちゃいます? もしかして長官のシュミでっか?」

「……ああその事なんだがこのユニフォームはまだサンバイザーのメンバー選びが決まる以前に女性隊員が入隊する前提で作られていたものから今の大和くんのサイズの近い物を仕立て直してもらったものなんだ。断じて私の趣味ではない」

「今に始まったことではないが使い回しということか……」

 予算の都合で難儀することは今まで無かったわけでもなく風磨はやれやれと言った感じで頭を抱える。

「ああ。君たちの新兵器開発に予想以上に予算がかかっていてね……それに大和くんの件もあって再調整で更にコスト嵩んでいるんだ。そこで急遽用意できるのがこれしか無かったというわけなんだよ」

「ってことはもしかしてワイや風磨の制服も女モンのがあるっちゅーことですか?」

「ああ。これの黄色と緑色のものもレディースのS.M.Lの3サイズが倉庫に眠っているよ」

「そうなんですか長官! そんならワイが女にされてもうても安心っちゅーわけでんな! なんてなははははは!」

 虎太郎はそんな冗談を言っておどけてみせたがそれに対する長官や二人の反応は重いものであった

「す……すみません……ワイそんなつもりで言うたわけちゃうんです……」

「ごほん! とにかくだ大和くん、その身体でアカホークとして戦う道を選んだのなら今まで以上に困難なことも出てくるだろうが今後とも宜しく頼むぞ」

「……はい」

 長官の言葉に大和は小さな声で……しかしながらその言葉を噛みしめるようにしっかりとそう答えた。

 

 そんな時ブリーフィングルームに警報音が鳴り響き条件反射の様に三人は持ち場に付く。

「なんやこんな時に!」

 そしてモニターには地図が表示されそこに赤い点が表示され、更に怪人が戦闘員を引き連れ人々を襲っている現地の監視カメラの映像が映し出された。

「大和くん。早速だがその体になってからの初仕事の様だ。エリアB-9黒倉町でシソーマが暴れている。早速急行してくれ!」

「「「了解!」」」

「よし……日輪特機サンバイザー……出動!」

 長官の出動の声とともに駆け足で三人はブリーフィングルームにある通路を通り、E.G.M.基地地下に格納されている小型戦闘母艦スカラ・ベースへと乗り込み怪人が現れたエリアへと急行した。

 

 三人が指示されたエリアに着くと戦闘員が人々を一つの場所に集めており、連れてこられた人々は二人一組で殴り合いをさせられていた。

 その中心には映像に映っていた岩肌のような身体を持つ怪人が高笑いを浮かべている。

「グハハハハ!! そうだ争え! 力こそが全てだ! 弱い者に存在価値はない! 最後まで生き残った強者のみ助けてやるぞ! そうして互いに争い、奪い合い強いものだけが生き残る! この世界を力だけが全ての世界に変えてやるのだ!!」

 怪人はそう声高に叫び戦いを拒否したものは問答無用で戦闘員に羽交い締めにされたり殴打されたりしていて捕まった人々は目の前の他人と戦うことを強制させられ街は一瞬にして地獄と化していたのだ。

 そんな光景を目の当たりにした三人はその人だかりの方へ走っていき

「そこまでだジャガンボード!」

 と大和は怒りに震えた声を張り上げる。

 その声に気づいたのか人々が争い合うところを悦に浸るように観戦していた怪人が彼の方に振り向く。

「グハハ……! 何だァ貴様らは? 誰であろうと俺様の計画を邪魔はさせん。行けッ! シソーズ共!」

 怪人の号令とともに戦闘員達が三人目がけて飛びかかってきた。

 それを見た三人は変身ポーズを取りながらバイズオン! と叫ぶとその姿は赤・黄・緑の戦士に姿を変える。

「天駆ける炎 アカホーク!」

「迸る稲妻 キタイガー!」

「吹きすさぶ疾風 ミドホッパー!」

「「「日輪特機 サンバイザー!」」」

 彼らは名乗ってポーズを敵に見せつけた。

「ほう! お前らがサンバイザーか! グハハハハ!! 名だたるシソーマを倒したと聞いてどんな奴かと思っていたがリーダーのアカホークがまさかちんちくりんの女だったとはなァ!」

 三人の変身した姿を見た怪人はそう高笑いを浮かべアカホークを指差し嘲笑った。

 その言葉に彼は怒りを顕にする

「俺は男だッ!!」

「すぐ頭に血が上るのはお前の悪い癖だ。敵のペースに乗るんじゃない。まずは戦闘員を蹴散らして民間人を救出するぞ」

 ミドホッパーに静止されアカホークは冷静さを取り戻し、飛びかかってきた戦闘員に対して構えを取る。

「あ、ああ……! 雑魚の相手は俺に任せろ! ミドとキは素早さを生かして囚われた民間人の救助を優先してくれ!」

「おうよ任しとき!」

「言われなくとも!」

 アカホークが指示を出しそれに答えた二人は素早く怪人をかき分けて捉えられた人々の方へ向かう。

「さあ来い! お前らの相手はこの俺、アカホークだぁぁ!!」

 彼は向かってきた戦闘員たちむけてそう叫び、一挙に相手取った。

 女の身体で戦えるか不安だった彼だが戦闘のセンス自体は衰えておらず、更にスーツの出力調整がうまく行っているのか押し寄せてくる戦闘員たちを倒していく。

 そんなアカホークの活躍で開かれた活路を使い二人は囚われていた人々を救出し避難させていく。

 ここまでは概ねいつも通りの展開なのだが戦闘員と戦うアカホークは何やら違和感を覚えた。

 身体にぴったりとフィットしているバイズスーツを身に付けているはずなのに何やら股下の風通しが異様に良く落ち着かないのだ。

 アカホークは恐る恐る顔を下に向けてみると……

「なっ……!?」

 自分の体にフィットした赤いスーツは見覚えのあるものだったが一つだけ大きく異る部分があった。

 こちらも制服同様スーツのボトムが丈の短いスカートになっていて風になびいていたのだ。

「こ、こっちもスカート!?」

 彼は条件反射的にその短い丈を引っ張るがその隙を戦闘員に突かれてしまったが民間人の救助にあたっていたキタイガーとミドホッパーが助けに入り難を逃れた。

「アカホーク大丈夫か!?」

「アカホーク! 戦いに集中しろ!」

「あ、ああ……すまん……今はそんな事気にしている場合じゃなかったな!」

 二人の声で自らのスーツの違和感をかき消し戦いを続けるアカホーク

 そして戦闘員の大半をなぎ倒すととうとう奥で控えていた怪人が大きな足音を立てながら前衛へとやってきた

「グハハハハ……面白い! お前、ちんちくりんの女のクセにやるじゃねェか!」

「だから俺は男だ!」

「ほう……そんな耳に来る甲高い声で言われても説得力がねぇなァ……ま、男だろうが女だろうが関係ねェその力でこのゲバルダス様を楽しませてみせろ!!」

 怪人はそう言うと三人の方に突っ込んできた。

「三人の連携ならやれる……行くぞ!」

「「応!!」」

 アカホークの号令で向かってくる怪人に対して構えを取り三人はそれぞれブレスレットを操作し武器を呼び出す。

「ホッパーマグナム!!」

「タイガークロー!!」

「ホークカリバー!」

 三人が声高に叫ぶとスカラ・ベースから光が照射されミドホッパーの手には銃のような武器が現れそれを手にしたミドホッパーは高く飛び上がり空中から精密な射撃で怪人を牽制し、それを見たキタイガーの腕には鉤爪のような武器が現れ足を止めた怪人の中腹めがけて突っ込んでいく。

 そしてアカホークには真紅の剣が現れ一気に相手に大ダメージを与えるというのが三人のよく使うコンビネーションだったのだがアカホーク手に現れたのは今まで持ち慣れた剣ではなく二対の赤い短剣だった。

「何だこれ!?」

 見慣れない武器に困惑していると彼のブレスレットに長官から通信が入る

『大和くん。怪人の出現が急で説明しきれていなかったが……』

「そうですよ長官!? なんなんですかこのスーツ!! なんでスーツまでミニスカなんですか? それにこの武器は……!?」

 突如繋通信が繋がり聞きたいことが山ほどあったアカホークは長官に疑問を投げかける

『ああ……それは以前まで君の着ていたスーツの出力では今の君の身体は耐えることはできず、元々サンバイザーが結成される前に用意されていた女性用強化スーツのプリセットデータから調整したほうが手っ取り早く予算も最小限で抑えられたからだ。そしてその武器はホークツインダガー。今の君の背丈ではホークカリバーほどの大きさの剣を振りかざすのは困難だと研究班が判断してね……この間取ったデータから今の君の身体に合わせてホークカリバーを2つに分割し新たな武器に作り変えたんだ。威力は下がるが今の君ならそちらのほうが扱いやすいはずだ。新兵器も現在最終調整中だからもう少し粘ってくれ!』

 長官がそう言った瞬間ミドホッパーとキタイガーが怪人に殴り飛ばされ建物の壁に激突する。

「ぐあっ!」

「なんやあいつ……今までの奴とはパワーも防御も段違いや……」

「つまらん! つまらんぞ緑のも黄色いのも!! おい赤いの! 何をぼーっと突っ立ってる!? 俺様はもっと強い奴と戦いてェんだ!」

 気を取られている間に連携が崩れてしまい二人にダメージを負わせてしまった事に負い目を感じたアカホークは必死に起き上がろうとする二人を見つつ二対の短剣をぎゅっと握りしめ怪人に向かっていった。

「うおおおおおおお!!!!」

  声を上げ握りしめた剣は驚くほど今の彼の手にしっかりと馴染んでいて、アカホークは怪人に向かい二振りの短剣を振りかざし怪人に刃のラッシュを食らわせるがラッシュを怪人は太く硬い腕でその連撃をガードした。

 そんな硬い腕のガードに怯むことなく更に攻撃に力を込め攻撃を続け、そのスピードも早めていく。

(この武器なら手数で押し切ってガードさえ突き崩す事さえできれば……!!)

「グハハ! ちんちくりんのクセになかなか骨はありそうだな! だがッ……!」

 ラッシュを受けきった怪人はその豪腕をブンと振り回すとアカホークは軽々しく吹き飛ばされ中を舞い地面に転がりながら叩きつけられた。

「ぐあぁぁぁぁっ!!!」

 そして地面に転がり倒れるアカホークの元に二人が集まってくる。

「ホーク!」

「大丈夫か!?」

「グハハハハ! 赤いの! 確かに他の二人にくらべりゃまだ面白え戦い方をするなァ! が、しかしお前の攻撃は軽い! 軽すぎる!! そんな攻撃では俺様のこの鋼鉄以上の硬さを誇る豪腕を貫くことはできねェぞ!!」

 遠くから怪人の勝ち誇った笑いがこだまする。

「くそっ……やはりこんな身体じゃマトモに戦えないのか……?」

 それがアカホークの身体が女になってしまったからなのか単に怪人が強力になっていたからかは彼には分からなかったが相手にあれだけ攻撃を食らわせたのに全く歯が立たない無力感にアカホークは地面を殴りつけた。

「何を言ってる……よく見ろ! やつはおそらくその防御力故気づいていないがヤツの腕にはお前の付けた傷が確かにできている。そこを狙えば……」

「せやでアカホーク……! あんさんが女になったんはワイのせいでもあるけど……それでもその体でも戦えるところを長官や偉いさん達に見せるんやろ!? そのためならワイも力貸すから諦めんといてくれ! どんな時も諦めへんのがワイらのしってるアカホーク……飛鷹大和やろ!?」

 二人に鼓舞されアカホークは力を入れ直して立ち上がる。

「ああ……そうだったな。俺は……俺は姿は変わろうと日輪特機のリーダー……アカホーク! お前らより先に諦めるわけには行かない!」

「……それでこそ大和だ。オレも焼きが回ってきた様でその暑苦しさが少し心地よく感じるようになってきた」

「よっしゃ……そんならサンバイザータイフーンに賭けるしかあらへん! 今日はもちろんホークが決めるやんな?」

「ああ……!」

立ち上がったアカホークに二人は言葉をかけ、彼も二人に向けて深く頷く。

二人が居てくれるかぎり自分は何度でも立ち上がれるとアカホークはいつにも増して二人が心強く感じた。

「おいお前ら! この期に及んで何をごちゃごちゃ話してんだァ!? 弱者は弱者らしくこのゲバルダス様にさっさと捻り潰されろォ!」

 そんな三人のやり取りに痺れを切らした怪人は彼らの方に迫ってくる。

「サンバイザータイフーンをアカホークの作った傷めがけて命中させればヤツのあの硬い腕も破壊できるはずだ! まずは命中させるチャンス作るぞ!」

「任しとき!」

「……よし! 行くぞ二人共!!」

 この状況を打開する為一撃必殺のサンバイザータイフーンを試みる事にした三人。

 アカホークがそう叫ぶと最早勝ちは我のものだと言わんばかりの怪人に対し三人は再び確実に必殺技を命中させるための隙を作るために連携攻撃を仕掛ける。

 ミドホッパーが銃を連射し牽制を仕掛けて活路を開きキタイガー怪人に突っ込んでいきアカホークは高く飛び上がる。

 ミドホッパーは銃撃を怪人の顔めがけて連射し、それを大きな腕でガードせざるを得なくなった怪人の視界が制限され、更に怪人に当たらなかった銃弾が地面に辺り砂塵を巻き上げ更に視界を奪った。

「クッ! この期に及んでそんなつまらん虚仮威しをォ!!」

怪人は視界を奪われ苛立ちからその大きな腕を闇雲に振り回す。

「つまらんかどうかはこれからやで!」

 ミドホッパーの銃撃を素早くすり抜け舞い上がった砂塵の中から飛び出したキタイガーは怪人に急接近し鉤爪で攻撃を始めるが既のところで怪人はその攻撃を腕で受け止めた。

「何度やっても同じことォ! お前らの攻撃など蚊に刺されるほどでもないッ!」

「それはどやろな? 今や! アカホーク!!」

 キタイガーが叫ぶと遥か上空からアカホークは怪人の顔めがけ飛び蹴りを見舞う。

 キタイガーの攻撃を防御するために両腕を使っていた怪人はその攻撃を防ぐことができず、その蹴りは見事に怪人の顔面に命中する。

先程まで彼らの攻撃にびくともしなかった怪人もまともに蹴りを食らってはひとたまりもなかったのか吹き飛んでバランスを崩し大きな音を立てて地面に倒れ込んだ。

「お、おのれぇ……弱者ごときが無駄なあがきを……!!」

 怪人はゆっくりと立ち上がろうとするがその巨体の重量から大きな隙が生じた。

「よっしゃ! ワイらのファインプレーや!」

「今ならやれる……このチャンスを逃す手はない!」

「ああ! サンバイザータイフーンだ! 行くぞ!! ホッパー」

 この期を逃す訳には行かないとアカホークがどこからともなくラグビーボールのようなものを取り出し力いっぱい空高くに放り投げるとそのボールを追いかけるようにミドホッパーは跳躍しオーバーヘッドキックの要領で蹴り飛ばす。

「行ったぞタイガー!」

「おうよ……! おりゃぁぁぁぁっ!! 行け──ー!!! かっとばせホーク!!!」

 キタイガーは飛んできたボールを走って追いかけ鉤爪を使って力いっぱいアカホークめがけてトスをする。

 二人のエネルギーが詰まったボールはアカホークの方に飛んでいき……

「よしっ……サンバイザータイフーン! ブレイズシュートォォォォォォ!!!!!」

 アカホークはそう叫び飛んできたボールを力いっぱい殴りつけた。

 三人のエネルギーを帯びて光り輝いたボールは体勢を建て直さんとする怪人目掛けて勢いよく飛んでいったのだが……

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! こんな子供だましに俺様は負けんッッッ!!!! ふンっっっっっっっっっっっ!!」

 怪人もここで負けるわけには行かないと咆哮を上げ、飛んできたボールを左腕で弾き飛ばし衝撃で怪人の装甲を纏った左腕は粉々に砕け散ったが撃破には至らなかった。

「何っ!?」

「なんやて!?」

 弾き返されてきたサンバイザータイフーンは彼らの前で爆発し、三人は吹き飛ばされてしまう。

「……サンバイザータイフーンが弾かれた……だと?」

 エネルギーをボールに込め満身創痍の三人はその場で膝をついた。

「グハハハハ! 今のはなかなか効いたぜェ? しかし俺様のほうが2枚か3枚は上手だったって事だなァ! もうアレを打てる余力も俺様に勝てる技も残ってねぇんだろ? それなら残った右腕でこの左腕の礼をたっぷりしてやんねェとなァ!!!!」

 怪人は右腕の拳を握り、力を使い果たした三人の方にぼろぼろになった左腕を引きずりながらゆっくりと近づいてきた。

 一度ならず2度までも自分の攻撃が通用しなかった無力感にアカホークは絶望する

(やはり俺がこんな身体になってしまったばっかりに……すまん風磨……虎太郎……せめてお前らだけでも……)

 自分の不甲斐なさで二人をこんな目に遭わせてしまった。

 それならばせめて二人だけでも助けなければいけない。

 アカホークとして……サンバイザーのリーダーとしてそれだけはなんとしてでもやらなければならないことだとアカホークは力を振り絞り二人を守ろうと怪人の前に立ちはだかった。

「グハハハハ……何故そんな弱えェ奴を守ることにこだわる! 全員ここで俺様に捻り潰されるんだから立ち上がれる力があれば弱者らしくそんな奴ら捨てて逃げて陰から指咥えて見てた方がほうが良いのによォ!」

 怪人は高笑いを浮かべ更に距離を詰めてくる。

 怪人が一歩一歩と近づいて来るたびアカホークの胸には恐怖が広がっていく。

 しかし自分がここで引く訳にはいかないと胸の奥から這い出る恐怖を押しつぶしアカホークはそこから一歩も動かない。

「確かに今の俺ではお前に勝てないかもしれない。だがタイガーもホッパーもこんな身体になった俺のことを信じてくれた。アカホークで居ても良いと言ってくれた!そんな2人を置いて俺だけ逃げることなどできるものか!!例えこの身が砕けようともこの2人には指一本触れさせん!!」

アカホークは怪人を睨みつけた

「ホーク・・・!バカ言ってないで逃げろ」

「せや・・・せっかくのワイらが倒れ損やないか・・・」

 倒れていた二人もなんとかアカホークに加勢しようと必死に体を起こそうと試みるが先程のダメージとエネルギーの消耗が激しく地面に膝をつくので精一杯だ。

「この期に及んで友情ごっこか!弱者らしくて反吐が出る!それならばお望み通りお前から叩き潰して後の2人もすぐにお前の元に送ってやろう!!」

 怪人はそう叫ぶとアカホークに向けて拳を振り上げた。

 サンバイザーはここで怪人に捻り潰されるのをただ待つだけの運命なのか……? 

 彼ら三人と救助され遠巻きに眺めていた人々や野次馬たちは皆息を呑む。

 その時三人のブレスレットに再び長官から通信が入った。

『三人共良く耐えてくれた! たった今新兵器の最終調整が済んだ所だ。まだテスト演習も何もしていないぶっつけ本番での使用になるがこれで……これで勝利を掴んでくれ!!』

 長官の祈るようなその声とともに再びスカラベースからなにかが射出され、怪人を掠めながら彼らの前に姿を現したのは奇抜な形をした赤・黄・緑の色をした大きな筒のような物だった

「グハハハハ! なんだそりゃそんなデカブツで今更何ができるというのだァ!?」

『それは我々E.G.M.の総力と予算3ヶ月分を費やして開発した必殺武器サンバズーカだ! それに君たちの武器とサンバイザータイフーンをセットしたまえ! 早く!!』

「は、はいっ……!クソッ…………重い…………!!」

アカホークは藁にもすがる思いでサンバズーカと呼ばれたそれを真っ先に持ち上げようとするがダンベル一つマトモに持ち上げられなかったその体一つではビクともしなかった。

「グハハハ!!何かと思えば使えもしない武器を呼び出しただけとは笑わせる!所詮貴様ら弱者ではこの俺様には勝てねぇんだよぉ!ほーらどうした?少し待ってやるからそのデカブツを持ち上げて俺様を倒してみせろよぉ?」

(クソッ……やはりこの身体では二人の足手まといになるだけなのか……逆転のチャンスすら俺のせいで物にできなくなってしまう……!)

怪人は武器を持ち上げられないアカホークを嘲り笑い彼は自分自身の非力を呪った。

しかし次の瞬間重くびくともしなかったそれがゆっくりと持ち上がり始める。

「いっつもおっそいんですよ長官……でも今はこの逆転サヨナラのチャンスに賭ける他あらへん……! 動けッ!いてくれワイの足……!!ふんぬぬぬぬぬぬぬっ!!!」

アカホークがその声の方に目をやるとキタイガーが右隣でサンバズーカを持ち上げていた。

「タイガー…………!」

「無謀で非効率な賭けだが……何もしないよりはマシだ! うおぉぉぉぉ!!!」

左隣ではミドホッパーも同じ様にサンバズーカを担ぎ上げる。

「ホッパー……!」

「き、貴様ら!まだ立ち上がるのか!?そこで寝ていた方が少しは長生きできるってのによぉ!!それにこの期に及んで助け合いだぁ?トチ狂ってんのかこれ以上笑わせてくれるなよ!?」

立ち上がりサンバズーカを支える2人を見た怪人は驚きと憤りを顔に滲ませる。

しかしサンバイザーの3人はそんな怪人の言葉よりも互いの間にある強い力。

ただそれだけで立ち上がりサンバズーカの砲身を担ぎ上げ怪人に向けた。

「一人でできへん事も三人ならなんとかなる。それがサンバイザーやろ?」

「珍しく良いことを言うなタイガー。その通りだ。互いにできないことはカバーする。それはこれまでもこれからも変わらないはずだ」

アカホークは二人のその言葉で自分が二人の足を引っ張らない事に固執していた事、そしてそれが大きな間違いだと気づいた。

そしてアカホークは思い出す。

三人で互いに協力し、弱点を補い合っていたからこそサンバイザーとしてここまで戦い続けてこれたという事を

「そうか……そうだったな。女の身体にされたことで頭がいっぱいになってそんなあたり前のことすら忘れていたのかもしれない。俺たちは三人でサンバイザーなんだ!!頼む!力を貸してくれ!」

「当たり前やろ!」

「何を今更……」

「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」

 三人は力を振り絞りサンバズーカを持ち上げて立ち上がり、それぞれ対応した色の部分に武器をセットするとサンバズーカから仰々しい起動音が流れ銃口に光が灯る!

「おお! ほんまにぴったりや!」

「全く根拠もなにもないがこれなら勝てるかもしれない……いや、勝つぞ!」

「お前がそんな事を言うなんて珍しいな……しかし今は勝利を信じるだけだ! サンバイザータイフーン! 装填!!」

 アカホークは再びどこからともなくラグビーボールのようなものを取り出すとサンバズーカに装填する。

 するとサンバズーカから更に仰々しい待機音が流れ始め、液晶の照準サイトには怪人の姿がロックオンされ【Sunvisor Final Blaster setup all green】の文字が表示され三人はそれぞれのトリガーに手をかけた。

「よし……行くぞッ!」

「「「サンバイザーファイナルブラスタァァァァァァァァァ!!!!!」」」

 三人は技名を叫びながら同時にトリガーを引くと凄まじい発射音と共に銃弾が発射される。

「フンッ! 発射方法を変えた所で所詮はあのラグビーボール!! 一度受けきった技など恐るるに足らんッ!」

 怪人はその砲撃に対し再び防御姿勢を取ったがその一撃は怪人の腕は愚か胸部までもたやすく貫いた。

 一瞬の出来事に怪人自身も自分の身に何が起こったかわからず、突如胸部に襲う痛みと歪む視界で徐々に自分の置かれた状況を理解していく。

「ぐ……あ……なんだと……このゲバルダス様の腕を貫通した……だとォ!? ぐはっ……所詮俺様も弱者だった……という事か……いいやそんなはずは……ないっ……そんな事……認めんっ……認めんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 怪人は断末魔を上げその場で倒れ込みながら爆散する。

 その爆発を三人はただ呆然と見つめ、爆煙は夕焼けの中に溶けていった。

「な、なあ……ワイらホンマにあの怪人倒したんか?」

「あ、ああ……厳密に言えばオレたちがと言うよりはこのサンバズーカが奴を吹き飛ばしたと言った方が正しいが……」

 あまりの唐突な勝利を受け入れられない虎太郎と風磨は変身を解除してその場にへたり込んだ。

「はは……細かいことは良いだろ……? ともかくお前達のおかげで今日も勝てたって事だ!」

 大和は変身を解除するとへたりこんだ二人の肩を抱く。

 抱き寄せた二人の方は少し前よりも遥かに大きいものに感じられた。

「ああ……!」

「せやな……! ちょ!? 大和!! 痛っいたたたたたた! 痛いてそこ!! あんま強く抱きしめんといてーな!!」

 彼らは顔を見合わせその顔には勝利の悦びから自然と笑みを浮かべていて、三人が夕焼けの中勝利を分かち合うその姿は以前となんら変わらないように見えた。

 

 そして基地へ帰還し軽い手当を受け三人はブリーフィングルームに帰投すると長官はボロボロになった三人を労った。

そしてサンバズーカは激しさを増すジャガンボード帝国との命中率の低さや使用後の消耗が激しい点そして狭い場所では本来の威力を発揮できない等の弱点を克服するために急遽開発されたもので、その威力の高さから悪意による転用が起こらないよう厳重なセーフティーと三人で息を合わせて発射しなければ不発に終わっていた事を彼らに告げる。

「長官! 何故そんな重要なこと教えへくれ無かったのですか?」

「あの状況では最小限の説明をしている時間しか無かったし失敗することなど考えていられないだろう?」

「まあまあ大和、そんなものすごい武器をワイらはぶっつけ本番で見事使いこなせたっちゅー訳や。今はそれでええやんか! なぁ風磨!」

「ああ……確かにサンバズーカは強力だが今の長官の言葉を聞いてなおさら大和がオレ達サンバイザーには必要不可欠だということもわかったからな。今後とも頼むぞ」

「虎太郎……風磨……」

 女の身体にされ右も左も分からないまま長官や二人に気を使わせ今日の戦いで足を引っ張っていたのは紛れもなく自分だった。

 もしそれが二人の迷惑になるのならば意地を張るのをやめてアカホークの任を降りよう。

 そんな事を戦っている最中心の片隅で考えていた大和だったがサンバズーカを三人で持ち上げた時、そして今もそんな言葉をかけられまだ必要とされていて自分はここに居ても良い。

 そう認められた気がしてふと気づくと頬には涙が伝っていた。

「お? 大和泣いてんちゃうん!」

「な、泣いてなんかない! 俺は男だぞ!? 男がこんな事で涙を流すなんて情けない……! 断じて泣いてないからな!」

 虎太郎に言われて急いで目に浮かんだ涙を拭き取り強がりを言う大和。

 そんな彼を風磨は呆れたように見つめ大きなため息をついた

「やれやれ。身体が女になってもお前が相変わらずだって分かって安心したぞ。心配したオレがバカだった様だ」

「なんだと!?風磨!さっきの感動を返せ!!」

「感動ってことはやっぱ泣いてたんちゃうん! 相変わらず素直ちゃうなぁ大和は」

「違う!断じて無い!虎太郎お前ってヤツはすぐに調子に乗ってぇ〜!」

「おいこら長官の前だぞ。全く何をやってるんだか」

「「「風麿!元はといえばお前が!」」

 三人が些細なことで言い合いになるのは長官からすれば何度も見た光景で、上層部から大和を解任するように言われた時はどうなることかと頭を悩ませていたがこうしてあたりまえになった風景が再び見れたことを心から喜んだ。

それと同時にこの風景がもっと長い間見られるように自分も長官として彼らを見守り続けようと決意を新たにするのだった。

「まあまあ今はその辺にして……今夜はまだ大和くんの復帰祝もできていなかったしサンバズーカの完成と起動成功、それに君たち三人の勝利を祝ってこれからぱっとどこか夕飯でも食べに行こうじゃないか!もちろん私のおごりだ」

「ホンマでっか!? いよっ!さっすが長官! 太っ腹〜一生ついていきまっせ〜!」

長官のおごりという言葉を聞き虎太郎は大喜びするがその後ろで大和は複雑な表情浮かべていた。

「本当に良いのですか長官……? サンバズーカに三ヶ月分の予算がかかっていると……それに俺のせいで余計な負担を…」

大和は新兵器の建造でE.G.M.の財政が困窮しているのに自分の我儘でスーツや武器の再調整をしてさらに予算を嵩ませてしまっている事を気負いしていたのだ。

しかしそんな彼の言葉を長官は笑顔で遮り

「いいからいいから! 今日くらいは細かいことを気にするな。慣れない身体であそこまで戦えたんだから大したものじゃないか。何より君がその身体でも戦えることを頭の硬い上層部の連中に見せつけることが出来たんだ。だからそんな顔してないで私に奢らせてくれ。」

「は……はいっ! 謹んでご馳走になります!」

大和はこれからも当分の間はアカホークで居ても良いと長官に言われた気がして少し救われたように感じ、長官の言葉を受け入れ頭を深々と下げた。

「何食おかな〜てっちりかなぁ〜それかカニとかどやろか!? 回らへん寿司も捨てがたいなぁ……なあお二人さんは何食いたいん!?」

 虎太郎は豪勢な夕食を思い浮かべじゅるりと舌なめずりをする。

 そんな彼を見た風麿と大和はやれやれと言わんばかりに顔を向き合わせため息を吐いた。

「お、おい虎太郎くん……! おごるとは言ったが少しはE.G.M.と私の財政状況も考えてだな……」

「はいはいわかってますって! ほな行こ! 大和! 風磨!」

「全く……本当にいつも能天気なヤツだな……」

「ああ。でもそのお陰で俺も今まで通りで良いんだってちょっとは思えたよ。風麿、こんな身体になってしまって今日もお前と虎太郎に世話をかけさせたがこれからも頼むな」

「フッ…愚問だな。それにアイツも言っていただろう?一人では出来ない事も三人ならなんとかなる。それがサンバイザーだと。何もお前だけがオレや虎太郎に負担をかけているわけではないんだ。あまり気負いするな。その身体での戦い方にもこれから慣れていけば良い。ま、それまでにお前の身体をもとに戻せるのがベストなんだが……」

風磨は少し恥ずかしそうにそう言ってそっぽを向いた。

「そうか……そう……だよな!俺達三人でサンバイザーなんだよな!」

「おーい大和!風磨〜!何してんねんはよ行かな店閉まってまうで〜!ですよねぇ長官!」

「だそうだが?大和、こんな所でボーっとしていて良いのか?」

「そうだな。待ってくれ虎太郎ー!俺は焼き肉が食べたいぞ!」

大和は虎太郎の声に答え彼の元に駆け出した。

そんな大和の以前よりも小さくなった背中とを見て女になってしまったことを相当気に病んでいるのではないかと心配していた風磨は密かに安堵の笑みを浮かべながら彼の後を追い、三人と長官は近所の焼き肉屋でいつもより贅沢な夕食を楽しんだのだった。

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