誘惑禁止条例 ※性犯罪被害は条例違反にあたらない 作:大中小太郎
「おはよう、修吾くん」
「……おは、よう」
翌朝――ヘラは、驚くほどいつも通りだった。
昨夜は夜遅くまで修吾に犯され、そのまま修吾の布団で眠りに就いたはずだ。
朝、修吾が目を覚ましたら姿がなく、土下座する覚悟で顔を出したら、
「朝ご飯、もうできてるから。座って待っててね」
「あ、はい……」
いつものヘラだった。
夏だというのに露出を嫌うような長袖とロングスカート、艶やかな角と髪に、物静かな笑み。
料理はいつも通り美味しいし、仕事に行く支度も整っている。
「じゃあ、行ってくるわね」
「あの、ヘラさん……」
出勤しようとしたヘラを、玄関口で呼び止める。
靴を履いていたヘラは、声音から用件を察したのか、ヘラは少し肩を震わせたが――
「……あのことは、気にしないで?」
驚くほど優しい表情で、振り返られる。
「私も、悪かったから……全部、無かったことにするから」
無かったことにする。
わいせつ行為を受けた女性が、しばしば選択させられることではある。
だが、ヘラの言葉には泣き寝入りとは違うニュアンスを感じた。
修吾を責めないということ、揉め事にしないということ、そして――
二度としないでとは、言っていないということ。
「っ!」
「きゃっ」
直感的に、修吾はヘラを背後から抱き寄せた。
玄関の戸を開けようとしていたヘラは、小さく悲鳴を上げて体を強張らせる。
「しゅ、修吾くん……っ!?」
「早く……」
修吾は、この場で襲う気はないと伝えるように、抱いた肩を軽く叩いた。
「早く、帰ってきてくださいね? 待ってますから」
まるで専業主婦が夫を送り出すような台詞になってしまった。
ただ、言葉に込めた情欲は、ヘラにも伝わったようだ。
つまり――帰ってきたら、またするぞ――と。
「……っ」
ヘラは何か言おうとして、ためらうように口を閉じる。
背後から抱きしめる修吾にその顔は見えないが、耳がほんのり赤くなっているように見えた。
「い……いつも通りの時間に、帰ってきますから……」
あえて言葉を額面通りに受け取り、修吾の腕に手を沿えた。
そのまま、顔を隠すように振り返らず、家を出て行く。
自然と手を離した修吾も、呼び止めずに見送る。
(帰ってくる、か……)
その言葉を聞いて安心したのは、なぜだろうか。
ヘラが、ふとしたきっかけで姿を消してしまいそうに感じたからか。
だから、帰ってくると言ってくれて、安心した。
安心したら、下腹部に熱が湧き上がってきた。
ヘラは帰ってくると言った。
帰れば修吾が何をするか察した上で、『いつも通り帰ってくる』と、そう言ったのだ。
○
ヘラが仕事に行っている間、夏休み中の修吾は家事を済ませた。
昨夜のことがある以前からしていたが、より熱心に。
ヘラは自分がすると言っていたが、仕事で疲れているヘラの体力を更に使わせたくない。
彼女の体力は、別のことのために、温存してもらわねばならないからだ。
(洗剤はこれ、だったよな? 柔軟剤って洗剤とどう違うんだ?)
買い物も家事のうち。
ヘラにもらったメモと睨めっこしながら、慣れない手付きで品を籠に入れていく。
兄の遺品である車を運転して帰宅する途中……町を流れる川を見かけた。
『水難事故に注意』
そんな看板が目に留まる。
「…………」
自然と思い出すのは、兄のことだった。
――水難事故だった。
溺れていた子供を助けようとして、子供は助けたが自分は助からなかった。
昔から人のいい兄だったが、死に際まで善人だったのだ。
人が事故死する経緯は様々だが、きっと……胸を張れる部類の死に様だったのだろう。
だからこそ、胸に罪悪感の針が刺さる。
(そんな兄貴の奥さんを、俺は……)
そうせざるを得ない事情が、あったと言えば、あった。
夫と子を成さぬまま未亡人になったヘラに対する、妖女社会の無言の圧力。
もし修吾がヘラを抱かなかった場合に予想される、彼女の人生に落ちる影。
逆にヘラが修吾の子を宿したらどうなるか。
ヘラの親族は彼女を称える。妖魔界において妊婦とは英雄の如しだからだ。
ヘラはそれを複雑に思いながらも、親族の手厚い助けを受け、我が子を育める。
彼女だって一度は修吾を呼び寄せて誘惑を試みたのだ、修吾の子が嫌というわけではないだろう。
比較すれば、ヘラは修吾の子を孕んだ方が、人生を好転させられるのだ。
しかし、彼女の誇りが、修吾にそれを頼めない。
だから、抱いてと言えない彼女を、修吾の方から犯すのだ。
(それが、ヘラさんを救うことになるなら……)
不思議な話だ。未亡人の兄嫁と義弟が密通するという不義が、彼女を助ける大義となるのだ。
人間界ではともかく、妖魔界では、修吾とヘラの関係は肯定される。
妖女が大量にいる現代日本では、『国際結婚に伴う複雑な家庭の事情』として看過されるだろう。
(でも……ヘラさんは、兄貴を
死に別れたなら、後を追うその日まで、想い続ける。
とても美しい話だ。そんな人が兄の妻であることを、誇らしくすら思う。
だから、修吾はそれを止めさせられない。
体は自由にできても、心までは奪ってはならない。
なぜならそれは、兄への裏切りだから。
ヘラにとってそうであるように、修吾にとっても、それは越えられない一線だ。
(俺が愛しちゃ、いけないんだ)
ヘラを抱いても、愛してはならない。
兄を想い続ける彼女の心だけは、踏み込んではならない『聖域』だ。
自分が亡き兄から奪っていいのは、あくまで兄嫁の『体だけ』なのだ。
(それならそれで、いいさ)
外道になろう。
死んだ兄の妻に劣情を抱き、脅して犯して孕ませる、鬼畜野郎になろう。
心なんていらない、その淫らな体さえ好きにできれば満足だという男に。
最後までそうであれば、ヘラは身ごもった後、その子を連れて妖魔界へ帰れる。
赤子という妖女にとって最大の『成果』を持ち帰った彼女は、親族に大歓迎されるだろう。
後はそのまま、修吾とは疎遠になればいい。
修吾はとんだ無責任男となるが、妖女には『子種さえもらえればいい』というスタンスも多いので、割と周囲の理解を得られる決着だ。
逆に彼女が妖魔界に帰らなければ、彼女はこの田舎町で、
どちらが彼女の幸福かなんて、考えるまでもない。
だから自分はこれからも、『兄嫁を襲って無責任中出しで孕ませる男』であろう。
自分が彼女を幸せにしてやれる方法なんて、それくらいしかないのだから。
(呪うなら、俺だけを呪えよな。兄貴……)
今度、墓前に行って詫びよう――
そう心に決めながら、修吾は自宅の駐車場に車を入れる。
「ん?」
ふと……人影を見た気がした。
車庫に入る直前、屋敷の外壁沿いに、誰か居たように見えた。
車庫に入ったことで視界が切れてしまったため、確証はない。
車から出て、見かけた場所に顔を出したとき――それらしい人影はなかった。
(気のせい、か?)
ストーカーの件は、ヘラが自分を実家に呼び付けるための嘘だったはず。
きっと近所の子供が、セミ取りでもしていたのだろう。
○
夕方頃、ヘラが帰宅した。
職場にはストーカーのことを相談していたらしく、暗くなる前に帰らせてもらえているらしい。
「た、ただいま……」
どことなく、そわそわとした様子で、ヘラは玄関に立っていた。
朝の『約束』を思い出しているのだろう、玄関で修吾と向き合うと、流石に落ち着かない様子だ。
「お帰り、ヘラさん。ご飯にする? お風呂にする?」
茶目っ気を持たせて聞くと、ヘラはくすりと笑った。
「もう、なぁにそれ?」
つまらない冗談に笑うその顔は、ずいぶん久しぶりに見た気がする。
「本当に、どっちも準備できてるから」
「修吾くん、お料理できるのね。助かるわ」
ヘラは意外そうだが、修吾は一人暮らしだったので自炊はしていたし、レシピを再現するくらいの器用さはある。
「お風呂も沸かしたばかりだから」
「そう? なら、お風呂から――」
会話の間に、ヘラも安心したようだ。
帰宅していきなり押し倒されるわけではないのだと。
そこはかとなく……拍子抜けしたようにも見えたが、
「じゃあ、一緒に入ろうか」
「っ」
拍子抜けはさせなかった。
靴を脱いで上がったヘラの肩を馴れ馴れしく抱いて、逃げないように肩を掴む。
「い、一緒にって……」
「嫌だとは言わせないよ?」
耳元で囁くと、ヘラはびくっと震えて、大人しくなる。
昨夜のセックスで仕込まれた上下関係を、体が思い出したかのように。
「それ、は……」
ヘラは目を泳がせると、やがて頬を染めて、抗議的な目でこちらを見上げた。
「……家主としての、命令、ですか?」
そうであるなら――という、消極的なYESだった。
火野家の浴室は広い。
その浴室に、通販で買っておいたマットを敷いて、ヘラを座らせる。
「ほら、洗ってあげるから、胸を隠さない」
「……っ」
修吾はヘラの背後に座って、ボディソープを手に広げると、迷わず両手で胸を掴んだ。
「あっ♡ やめ……っ♡」
浴室の声は反響する。
ヘラの声に込められた官能の色も、よく聞き取ることができた。
「ああもう、柔らかいし大きいなぁ」
ぐにゅぅ――と音を立てるように、修吾の五指がヘラの豊乳を掴む。
ボディソープでつるつると滑る指が、通常とは異なる感触をもたらした。
「あっ♡ んんっ♡ ふぅぅっ♡」
それはヘラに対しても同じことで、摩擦のない愛撫に声を噛み殺している。
「ヘラさんのおっぱい、細身なのにすごいよね。何カップ?」
「っ♡ そんな、こと……言う必要、ありません……ひあっ♡」
質問が拒まれるのは予想していた。
言葉の途中で指先を乳首に運ぶと、抓るように指を動かす。
指は泡によって乳輪から先端に掛けてを滑り、それを何度も繰り返した。
「ひうっ♡ 修吾くんっ、やめてっ♡ そこ、ばかり……っ♡」
泡で滑ることにより、痛みはさほどでもないだろう。
その分、甘く抓るような刺激が高速で繰り返されて、常ならぬ快感を生じさせていた。
「修吾
「ふあぁぁぁ……っ♡」
言い直させるついでに、ぎゅむっと乳房を握る。
するとヘラは、甘えたような声で鳴いた。
「ごめんなさいっ、修吾、さ、んんんんっ♡」
「はい、よろしい。質問の答えは? このおっぱいは何カップ? 義理の弟に弄ばれてるこのデカチチは、どのくらい大きいの? ねえ、ほらっ!」
「きゃうんっ! あぁ、あぁぁ……っ♡」
苛めるように乳房を強く揉み込むと、ヘラは背筋を伸ばして喘いだ。
そして彼女は、修吾の手を掴んで、自分の胸に押し付けてくる。
「I……です……っ♡」
ヘラは耳まで赤くなりながら、蚊の泣くような声で、ブラのカップ数を明かした。
「Iかぁ、最高だな。ああ、ヤバい、すごく興奮してきた」
わざと獰猛な言い方をして、修吾は更に兄嫁の乳房を責めていく。
「やあっ♡ 修吾さんっ♡ それっ♡ なにっ♡ あぅぅぅっ♡」
修吾は両手を『パー』の形にし、指の腹が乳首を擦るようにして、手を上下させる。
「あっ♡ んんっ♡ んっ♡ んんんっ♡」
ヘラの乳房を圧しながら、指とその空白が、乳首の上を何度も駆け巡る。
乳首を連打されるような刺激に、ヘラは歯を食いしばって声を殺した。
「こういう愛撫は初めて? おっぱいを感じさせる触り方も色々なんだよ?」
「くぅぅ……っ♡ こんな、の……しなく、ても……っ♡ ひぅぅっ♡」
ヘラの声が甘い色を帯びている。
感じているのは明らかだが、媚びるような態度は取るまいと、必死に堪えていた。
容易く感じて喘ぐことは、夫への裏切りだと思っているのだろう。
「んっ♡ んっ♡ んっ♡ んんんっ♡」
「もしかして、もうイキそう? イクときはイクって言うって約束だよ?」
手の動きを早めていくと、乳首連打を受けたヘラが体を反り返らせ、修吾の腕を掴んだ。
「イ……キ……ます……っ♡ っく、ぁぁぁっ♡」
可能な限り噛み殺した声で申告しながら、小さく体を震わせた。
「はぁ……はぁ……っ♡」
がくりと脱力したヘラの背中が、胸板に寄りかかってくる。
自分の手で女を達させる瞬間は、やっぱり堪らない。
それが兄の妻であるという罪悪感も、背徳感というスパイスに変化していた。
きっとヘラも同じだろう。昨夜と比べても、果てるまでが早い。
「ヘラさんの体、綺麗だよね。手足は長いし、折れそうなくらい華奢で……」
修吾は乳房以外にも愛撫を広げていく。
脇の下から腰へ――そこから尻へと。
「お尻は小ぶりだけど、形が良くって……。足の肉付きもいい感じだし」
尻や太股を撫でつつ、両脚を開かせていく。
ヘラはしぶしぶといった風情で従い、秘所を露わにした。
「そして何より、感じやすいおまんこ」
「っ♡」
修吾は陰唇に手を添えて左右に開くと、その内側にある花弁を背中越しに見下ろした。
そこは既に熱を持っていて、湯気が立ち上るほどに潤っている。
「分かるよ。妖女の体は子作り大好きだもんね。それが夫に先立たれたら、辛いだろうさ」
修吾の指が割れ目に添えられると、いとも容易く内部に滑り込んだ。
「んんんっ♡」
ヘラは修吾の腕を掴んだまま、唇を噛んで身を震わせた。
指先は膣内の天井を押し上げて、Gスポットを探っていく。
「体が新しいオスを欲しがってるんだ。動物的な本能なんだ。敏感なのは仕方ないんだよ」
「あっ、あぁぁぁっ♡」
ヘラの弱点は簡単に見つけることができた。
単純に、弱点の範囲が人間より広いからだ。探し当てるのも早い。
「兄貴のことを想い続けたいのに、妖女の本能に邪魔されて、自分が憎かっただろう?
もういいんだよ? 楽になれよ。全部俺のせいにして、思い切りイっちまえっ!」
親指でクリトリスを潰すと同時、人差し指と中指で膣内を掻き回す。
くちゅくちゅくちゅくちゅ! という水音が、浴室に木霊した。
「あっ♡ やっ♡ またっ♡ んんんっ♡ い、く――あああぁぁぁっっっ♡」
やがてヘラは絶頂した。
自分の声の高さに気付いて、慌てて口元を押さえる。
「さあ、ここからが本番だよ?」
修吾は休ませず、ヘラの体を前に押して、マットに手を付かせる。
「あっ♡ 待って――」
真っ白な尻と太股、その中心でヒクつく秘所の花びら。
その向こう側に続く背中の先には、赤い顔で振り返る、髪を濡らした兄嫁の顔。
「ここじゃ、ダメ……っ。せめて、布団で……っ」
ヘラの目は修吾の勃起した逸物を捉えると、息を呑んで懇願する。
「ああ、お風呂だと声が響いちゃうもんね。昨夜みたいな喘ぎ方したら、町中に聞こえるかも」
田舎町なので建物は少なく、その手の喘ぎ声はどの家からなのか特定されやすい。
火野家だと分かれば、そこに住んでいる修吾とヘラの関係も発覚するだろう。
「だ、だからなのっ。お願い、修吾さん……やあっ♡」
勝手に立ち上がろうとしたヘラを組み伏せて、マットに顔を落とさせる。
「そんなに恥ずかしいなら、声を我慢すればいいじゃないか」
「だって、修吾さん絶対に、声を上げさせようとし――ひうっ♡」
ぴたりと、肉棒の先端を割れ目にあてがうと、ヘラが体を震わせて口を閉じた。
「人のせいにするの? 声が出ちゃうのは、ヘラさんがエロいからだよ」
ヘラの耳元に囁きながら、亀頭を押し付けていく。
既に愛液で濡れているそこは、すんなりと先端を飲み込んでいった。
「ふぅぅぅっ♡」
亀頭が入り込んだだけで、ヘラは歯を食いしばって震える。
背中や尻の水滴が流れ落ちていく様さえ、艶美だった。
「認められないなら試してみよっか。俺は適当に突くだけ。
それで声が出ちゃったら、ヘラさんがエッチなだけだよね」
入口で止まっていた肉棒を、ゆっくりと奥へ侵入させていく。
「っく♡ ぅぅぅっ♡」
ヘラは声を噛み殺しているが、まだ修吾のモノは根元まで入っていない。
半分ほど埋まったところで、修吾は腰を止めた。
「やっぱり。まだ半分くらいなのに、ヘラさんの
あえて根元までは挿入せず、カリ首を利用してGスポットを引っ掻く。
「んんっ♡ んっ♡ んっ♡ んんんっ♡」
その度に、ヘラは膣を締め付けて反応を返した。
マットに食い込ませようとした指が泡で滑り、もがくように手の平でマットを撫でている。
「頑張って我慢してるねぇ。えらいえらい――とっ!」
腰を止めて尻を撫でてやり、ヘラがほんの少し落ち着かせた直後、不意打ちで一気に奥を突いた。
「あああぁぁぁっ♡」
どちゅ! という音の直後、ヘラは背筋を仰け反らせて甘い悲鳴を上げた。
「あーあ、声出ちゃった。これでもう言い訳できないね?」
「っ♡ ぁっ♡ んんん……っ♡」
ヘラは再び声を殺し始めるが、その声は明らかに大きくなっている。
ぱんっ、じゅぱっ、じゅぱん! と腰を打ち付けられる音も、浴室に大きく反響しており、ヘラの『犯されてる感』に一役買っているようだ。
「さっきより締まりが良くなってない? 声出すと興奮するタイプなんだ? 意外だなあ」
「ちがうっ♡ こんなっ♡ 雑な、セックスで……っ♡ っくぁぁぁ♡」
「感じないんだ? じゃあもっと雑にして大丈夫だね」
修吾は宣言した通り、ヘラの機微を考えない手前勝手なピストンを始める。
パンッ! パァン! と、より強い音が浴室に響き渡った。
「んあっ♡ あひっ♡ ああぁぁっ♡ だめっ♡ あん♡ ごめんなさいっ♡ ひぁうぅぅぅっ♡ ゆっく、りぃ♡ ゆっくりぃ♡」
テクニックや緩急の工夫が無くとも、妖女の体は多大な快感を拾ってしまうようだ。
性感帯が深く広い妖女の体は、どうしようもなく、粗忽なくらいの強い刺激に悦んでしまう。
「しょうがないなぁ」
修吾は片手を前に伸ばして、ヘラの口元を覆う。
「んむぅっ♡」
口を塞がれたヘラが驚いたような声を上げると同時、膣内の締め付けがきゅんと反応した。
「これなら声も隠せるだろ。ん? いま軽くイっちゃった? 口を塞がれて興奮しちゃったの?」
「んっ♡ んむっ♡ んっ♡ んっ♡ んっ♡」
膣内を穿つリズムに合わせて、ヘラが苦しそうに鼻息を漏らす。
「分かる? 口を塞がれて、好き放題に腰を打ち付けられてっ。これもう本当にレイプだよ?
ヘラさんはいま、夫の弟に犯されちゃってるんだよ!?」
「んっ♡ んふぅぅぅぅっ♡」
修吾の言葉攻めに、ヘラはいっそう強く締め付けた。
「ははは、またイッた。もう立派な変態さんだね」
「っ♡ んんっ♡ っっっ♡」
手の中で、ヘラが首を横に振っていた。
「認めないの? じゃあこのまま、俺がイクまで続けてやるよっ!」
修吾は本格的に、ヘラの膣内を蹂躙し始める。
「んおっ♡ んふぅぅっ♡ おっ♡ んぉぉぉっ♡」
修吾が口を押さえているのをいいことに、ヘラの声が獣めいてきた。
顔は見えないが、かなり興奮しきっていることは、絶え間なく痙攣する膣内で分かる。
「認めろよっ! ヘラさんも妖女なんだよっ、こうやって膣内を深く掻き回されると堪らなくなる天然マゾなんだっ! 気持ちいいだろっ? すぐイっちゃうだろっ? 素直に犯してって言えば、これをいくらでも味わえるんだよっ!?」
「んぐぅっ♡ おおっ♡ ふぅぉっ♡ おっおっおっ♡」
ヘラは首を縦にも横にも振ることはなく、ただ快楽に震えている。
「服従しろよ。演技でいいからさっ。媚びた演技で俺を興奮させて射精させる、魔性の女になってみろよっ!」
修吾が腰の動きを止めて手を離すと、
「お゙お゙お゙お お お ぉ ぉ ぉ っ っ っ ♡」
まだ手があるものだと思っていたヘラが、ひどく淫らな喘ぎ声を、浴室に轟かせてしまった。
「ひうっ」
慌てて自分で口元を押さえるが、時既に遅しだ。
「聞こえた? いまのがヘラさんの本音の声だよ。もう自分の身体に嘘吐くの止めようよ」
「ふぅーっ♡ ふぅぅぅっ♡」
ヘラは猫が威嚇するような声を指の隙間から零している。
その顔を覗き見ると、自分でも信じられないという様子で、目を見開いていた。
「あっ♡」
その頭に手を伸ばし、角系妖女の角を掴んで、上体を起こさせる。
感覚的には、髪を掴まれているくらいには乱暴で、屈辱的な扱いだ。
「あんたの体は、俺に犯されたがってるんだよ」
「ひ、あ……や……ぁ♡」
角を掴まれ、囁かれながら耳を噛まれたヘラは、艶めかしく体をくねらせた。
「このまま妊娠できずに、俺の夏休みが終わっちゃったら、襲われ損だよ?」
「……っ」
ヘラの目的は妊娠だ。それを拒んでいるのは心だけ。
男に脅され、逆らえないんだという『言い訳』を与えてやれば、あとは妖女の本能に従うのみだ。
「で……」
ようやくヘラがこちらと目を合わせる。
「お部屋で、待っていて、ください……」
その顔は、涙目だったが、それと同じくらい、情欲の朱を差していた。
「そこで……」
ゆっくりとヘラの腕が上がり、背後にいる修吾の首に絡んで、艶めかしく体を撫でた。
表情からは悔しさが消えていき、男をたぶらかす魔女のような淫らさが形作られていく。
きっと彼女は、先ほど修吾が与えた『魔性の女を演じる』という言い訳を、手に取ったのだ。
「思う存分に……私を、犯してください♡」
演技であるようには、とても思えなかった。
○
結局、ヘラは妖女の本能に抗えなかったようだ。
心は夫を愛しているという一点を除いて、他の全てを明け渡した。
義弟に体を許し、子宮を明け渡し、とうとう言葉や態度にさえ女の媚びを隠さなくなった。
全ては、夫と同じ血を引く子種を得るために。
男に中出しさせるためなら犯されても構わないという、天性の淫魔。
ヘラが見せたその本性は、修吾の予想よりもずっと艶めかしかった。
「んあぁっ♡ はあぁっ♡ 修吾さんっ♡ そこぉっ♡ もっとぉ♡ 気持ちいいのおっ♡ 気持ちいいのしてぇっ♡」
先に風呂から上がった修吾の前に、ヘラはバスタオル一枚でやってきた。
いまはそれも剥ぎ取られ、布団の上で種付けプレスを受けている。
「いいねぇ、素直になったヘラさん可愛いよ」
「ふあぁっ♡ ごめんなさいっ♡ いままでっ、拒んだりしてっ♡ もういいのぉ♡ 修吾さんのセックスっ♡ ずっとずっと♡ 気持ちよかったのっ♡ 体が、ずっと、待ちわびてたのぉ♡」
もはやヘラは、自分の身体を偽らなかった。
「嬉しいよっ。これからは、俺の好きにしていいよねっ!」
「してっ♡ してくださいっ♡ もう体はっ、好きにしていいからぁ♡ あの人が置き去りにしたこの体っ、修吾さんが、引き継いでっ、孕ませてくださいっ♡」
覆い被さる修吾の体に、ヘラの細い手足が絡む。
足で腰をホールドされた修吾は、そうされるまでもなく、兄嫁の子宮を目掛けて怒張を突き落とし続けた。
「あ゙あ゙あ゙あ あ あ ぁ ぁ ぁ♡♡♡ イクっ♡ いぎゅぅっ♡」
「はは、立て続けにイってくれてるね……兄貴のと比べて、どっちがいい?」
悪戯心から聞いてみる。
怒られるかと思ったが、返事はすぐに来た。
「修吾さんですっ♡ 修吾さんのおちんぽ、あの人よりおっきい♡ お腹の奥で、ゴリってして、すぐイカされちゃうっ♡」
蕩けきった笑顔で、ヘラはあっさり認める。
「体付きも、逞しくてぇ♡ 手付きも、腰付きもっ♡ 男らしすぎてっ♡ こんなのっ、ずるいですっ♡ 逆らえないままっ、何度もイカされちゃうっ♡」
新しい男を確かめるように、ヘラの両手が修吾の背を愛撫して、膣内が根元から締め上げてくる。
腰は修吾の抽送に合わせて動いており、完全に義弟とのセックスを受け入れていた。
「あの人がっ♡ 優しくてっ♡ してくれなかった激しいことっ♡ いっぱいするからぁ♡ 堕ちちゃったのっ♡ ごめんなさいっ♡ 体が、堕ちちゃったのぉっ♡」
半狂乱といった様子で首を左右に振るヘラ。
連続絶頂に陥っているらしく、全身を痙攣させている。
「んあっ♡ またイクっ♡ イクの止まらないっ♡ 修吾さんっ♡ 止めないでっ♡ あの人がっ、許してくれるようにっ♡ 無理矢理っ♡ いっぱい♡ 思いっきり♡ 犯してぇっ♡」
ヘラはあくまでも、このセックスをレイプだと言い張りたいようだ。
修吾から言い出したことでもあるが、犯されているから裏切りではないというロジックで、全ての迷いを投げ捨てた。
いまや彼女は、義弟に犯される悦びに溺れている。
「ああ、もちろんだ……っ!」
修吾の眼光にも情欲が燃え上がり、ヘラの両手首を掴んで布団に押さえつけ、唇を奪う。
そのまま舌を差し入れ、口腔を犯しながらピストンを続けた。
「んんっ♡ んんんっっっ♡」
口の中まで性感帯なのか、キスしながら突くたびに、ヘラはビクビクと震える。
「俺のものだっ! この体っ、ヘラの体はもう、俺のものだからなっ!」
「ぷあっ♡ ふぁぁぁ♡ 呼び捨て……ひぁんっ♡」
今度は両手で乳房を掴み、もぎ取ろうとするくらい指を食い込ませ、痛みと快感を同時に与える。
「このおっぱいも、俺が触りたいときに触るからな! お尻も、足もっ、体中どこでもだ!」
「はいぃっ♡ してくださいっ♡ 私のおまんこっ♡ 好きなだけ使ってくださいっ♡」
ヘラの両足を持ち上げて、肩に担ぐ。
結合部が上向きになり、より深く突き刺さるようになった。
「ムラムラしたらその瞬間に犯してやる! 逆らったら兄貴の遺影の前で辱めてやるからな!」
「いやぁっ♡ お願いっ♡ あの人は、侮辱しないでっ♡ 従いますからっ♡ 修吾さんのものになりますからぁ♡」
亡き夫を脅迫材料にされることすら、もはやヘラの悦楽を加熱させるだけだった。
「色んなセックスするからな! 野外でやったり! エッチな服着せたり! 兄貴とできなかったこと、全部させてやるっ!」
「ひうぅぅ♡ ひどいっ♡ ひどいのにぃ♡ 気持ちいいっ♡ 修吾くんすごいのぉっ♡」
脅せば脅すほど、暴力的であればあるほど、彼女は罪悪感から解放される。
「今日も中に出すぞ! 俺の子種で、ヘラの子宮を上書きしてやるっ! 文句は無いよな!?」
「あひぃっ♡ ないでしゅっ♡ らしてっ♡ らしてぇっ♡」
乱暴狼藉であることが、彼女を自由にするための、唯一の鍵だった。
「あああぁぁぁイクいくいくまたイクのぉぉぉっ♡♡♡」
「俺も、出るよ!」
修吾とヘラは、ほぼ同時に、これまでで一番激しく絶頂した。
「あはあぁぁっ♡ 熱いの……出て、るぅ♡ おっ♡ ぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」
ヘラの子宮口に密着させた亀頭から、大量の精液を流し込む。
子宮口をこじ開けて直接注ぎ込まれる感覚にさえ、ヘラはとてつもない悦楽を覚えているようだ。
「はぁっ……はぁっ……どうだい? 満足できたかな?」
「はい♡ 最高です♡ 修吾さぁん♡」
はーっと甘い吐息を漏らし、ヘラは幸せそうに微笑んだ。
瞳にはハートマークが浮かんでいるようにさえ見える。
少し前までの、陰のある未亡人なんてもう居ない。
子種を授けてくれるオスに服従する、一人のサキュバスが居るだけだった。
○
その後、ヘラの変化は顕著だった。
例えば、血色はみるみる良くなった。
肌艶が良くなり、どこか陰のあった目元は明るくなり、表情にも笑顔が増えた。
服装の露出度も、明らかに増した。
胸元が開いたブラウスやミニスカート、ガーターベルト付きのストッキング。
男心を煽るような格好をするようになったのだ。
それも外出するときではなく、修吾と二人きりになる家の中だけで。
体が、服が、態度が――修吾に対して『女』を主張していた。
おかげで、修吾もためらう必要がない。
許されるなら、食事や風呂の時間も惜しんで、ヘラと交わり合いたい。
「疲れてるみたいだし、有給を取ってみたら?」
一日中、自分と一緒に居ろ――そんな真意を隠さない提案だった。
その日のまぐわいが終わり、ヘラが自室に戻る前のことだ。
「……っ」
ヘラは修吾の意図を悟り、ぴくっと体を震わせると、頬を染める。
「……修吾さんが、そう仰るなら」
まるで、夫に対して従順な妻のように、頷くのだった。
ご一読ありがとうございました。
二万字を越えたので、前後に分けて同時投稿です。