誘惑禁止条例 ※性犯罪被害は条例違反にあたらない 作:大中小太郎
須東リディアは、ここ最近、母が人間界の男性と結婚したことで、いままで無かった家名を得た。
そのことからも推測できるが、妖魔界におけるリディアの人生は質素な平民だった。
ここで言う平民を、現代日本の一般的な国民と一緒にしてはいけない。
井戸から水を汲むとは言わないが、冷暖房完備なんて貴族みたいと思うくらいではある。
だから、リディアにとって人間界での暮らしは、それだけで夢見心地だったのだ。
ましてやそこに、魅力的な義兄がいるのなら。
「んふぅう♡ ちゅぷっ、れろっ♡ じゅぽっ♡」
朝――リディアは大きく口を開き、巨根を呑み込んでいた。
義兄の部屋、そのベッドの横に、制服姿で膝を付いている。
ベッドの縁に腰掛けているのは、つい先ほどリディアが起こしてあげた義兄の隆史だ。
「ほら、頑張れリディア。早く兄様を射精させないと遅刻するぞ?」
隆史はそう言って、妹の頭を撫でてやる。
「あふっ♡ 兄様ぁ♡ 朝から、こんな……」
リディアは嬉しそうな声を上げ、亀頭の裏筋に舌を這わせる。
赤黒い肉棒に、白魚のような指が絡み付く様が、どこかアンバランスだった。
「まだ○学生の義妹に、朝勃ち処理しろだなんて、外道です♡ 鬼畜です……♡」
「へぇ、物欲しそうな顔で起こしに来たから、てっきりそのつもりだと思ったのになぁ」
その通りだった。
いわゆる殿方の朝勃ちというものを見てみたくて、早起きして義兄を起こしに来たのだ。
パジャマの下を膨らませるそれは、寝ぼけているのに雄々しくて、そのギャップに生唾を飲む。
そんなリディアの情欲を察して、隆史は「抜いてくれよ」と高圧的に命じてきたのだった。
「俺を
「そ、それはだめっ、絶対だめです!」
リディアは先日、人間界では禁忌である『誘惑』を、この義兄にかけた。
それにより強制的に自分を襲わせて、義兄の精気を貪ったのだ。
これが発覚した場合、罪に問われるのはリディアである。
たとえ義兄も性犯罪で裁かれたとしても、共倒れ。
そしてリディアの場合、妖魔界への強制送還がありうる。
失うものが多いのはリディアであるため、リディアはその脅しに屈さざるをえない。
「じゃあ、兄様のご機嫌を取らないと駄目だろう?」
優しげなのにサディスティックな笑みに、背筋がぞくぞくする。
その脅しは、あくまでリディアを『被害者』にするためのものだからだ。
誘惑禁止条例――
男性にセックスを求めてはならない、求められても合意してはならない。
この条件下で、セックスをしたい未婚の女性はどうすればいいのか?
犯されるしかない。
その制約でレイプ願望を育んでしまった一部の女にとって『脅迫』は、『熱い口説き文句』だ。
「はい♡ がんばります♡ 私のお口で、兄様のこと、いっぱい気持ちよくいたしますから♡」
リディアはうっとりした表情で言いながら、口を大きく開く。
両手は床について、膝を曲げて座り、顔と口を義兄に差し出すように。
「だから言わないで♡ 私の生活、終わらせないで♡ 私のお口、好きにしていいですからぁ♡」
リディアが何をして欲しいのか理解した隆史は、義妹の頭を両手で掴む。
そしてそのまま、張り詰めた怒張を、丸く開かれた彼女の口腔へと突き込んだ。
「おぶっ♡ んぶぅっ♡ むぉおっ♡」
いきなりの乱暴な挿入に、リディアは目を見開いて驚く。
しかし、すぐにその目はトロンと蕩けた。
義兄が自分の頭を鷲づかみにしている。
その事実だけで、彼女は絶頂してしまいそうになるほど興奮していた。
「やっぱりリディアはいけない子だな。兄様のちんぽで口を犯されてるのに、なんだその顔は!」
隆史は嗜虐的な笑みを浮かべ、ベッドの縁から立ち上がる。
リディアはペニスで上顎を引っ掛けられるように追従して、膝を伸ばす。
リディアの両腕が義兄の腰を抱き寄せ、肉棒を咥えて放さない。
それを確認した隆史は、義妹の口に挿入したまま腰を軽く振る。
「んふぅうっ♡ んむっ♡ んんっ♡」
「ほら、もっと舌を絡めるんだ。言うことを聞かないと、この画像、ネットにばらまくよ?」
隆史がスマホに表示したのは、以前リディアとハメ撮りしたときのものだ。
全裸で仰向けに横たわり、両脚を広げて秘所を見せつけている姿。
「ぷは――やっ、それはだめっ♡ 兄様ぁ、許してくださいぃ♡」
「なら、ちゃんと奉仕するんだよ。わかったね?」
隆史はリディアの頭を撫でると、今度はリディアからしゃぶるように促す。
リディアも隆史の真意は分かっていた。
頭を撫でる手は優しいし、脅しの画像も顔が分からないものだ。
それに、さっきは喉奥を突いていたのに、いまはリディアの好きにさせようとしている。
脅されているから仕方ない――という体裁を、リディアに与えるためのものだった。
「にい、さまぁ……んんんっ♡」
今度はリディアの方から、隆史の逸物を喉奥まで呑み込む。
じゅぷ、じゅぽ――と、端正な人形めいたリディアの口から響いているとは思えない、淫猥な音。
今度はそれが、リディア自身の動きによって鳴り止まない。
「くっ、そう、上手だよリディア……もっと強く、奥まで呑み込んでっ」
「んぶっ♡ おぶっ、じゅぶるるるっ♡」
隆史の指示に従い、喉の奥へ亀頭が当たるようにしながら、頭を上下させる。
義兄が、感じてくれている。
いつも、一度のセックスで十数回もイかせてくれる義兄を、いまは自分が快楽に染めている。
それが嬉しくて、息継ぎなんて考えもせず、自らの動きで喉奥まで犯させる。
「ああ、すごい、こんな美少女の義妹に、朝からイラマチオさせてる。俺、幸せ者だなぁ」
隆史の声には、隠しきれない悦びがあった。
その声を聞くだけで、リディアの身体の中心に熱が集まり、目が♡になっていく。
「ぷはっ♡ 兄様ぁ♡ ……私、首が、疲れちゃって♡ もう、自分で動けないです♡」
「おいおい、いいところで……」
「はい♡ 兄様をイかせないと、学校に行けません。だから……」
リディアは制服のブラウスをたくし上げると、豊満な胸を土台にして鎖骨に掛ける。
そしてシャツのボタンを開いて、青色の上品なブラを露出させた。
「もう一度、兄様が動いてください♡ 飽きさせないように、私、おっぱいお見せしますから♡」
「…………」
リディアは隆史に再び口を開きながら、ブラのホックを外して乳首を晒す。
そして両手で愛撫し始めて、肉棒を招くように舌先で舐めた。
「兄様ぁ♡ はやく♡ リディアのおっぱい見て、もっと大きくしてください♡
もっと興奮して、ムラムラして、それを義妹のお口で解消してくださいませ♡」
亀頭を鼻に乗せながら懇願するリディアに、隆史の口が獰猛な笑みを刻む。
「いいんだな? オナホみたいにしちゃうぞ?」
「ひあっ♡ か、髪ぃ♡ やっ、引っ張っちゃ、だめ……っ♡」
隆史はリディアの長い黒髪を、軽く掻き上げる程度に掴むと、顔を上に向かせる。
「
「あっ、ああぁぁ♡」
免罪符を与えるような義兄の言葉に、リディアの体が震える。
被害者という立場を与えられるほど、理性の鎖が外れていき、淫魔めいた本能が目覚めていく。
「やぁ♡ いやです♡ 兄様、お願い♡ ひどいこと、ひどいことしないでぇ♡」
そう懇願するリディアの口元からは……飢えた犬のように、涎が垂れていた。
「だったら、何て言えばいいか分かるな?」
「はい♡ 兄様専用のお口まんこ♡ 兄様のおちんぽケースです♡ お好きに使ってください♡」
リディアは義兄に髪を掴まれたまま、最大限に口を開くと、指を引っ掛けて頬を左右に引っ張る。
自分の口腔を、膣の代わりに差し出すという、雄弁な姿勢だった。
「ああ、リディアは『いい子』だな」
そして隆史は、今度こそ容赦なく、リディアの口内を膣代わりに使い始めた。
「おぶっ♡ ぶふぅっ♡ んぎゅっ、おっごぉおお♡」
喉奥まで一気に突き入れられ、亀頭が口蓋垂を擦りあげる。
呼吸が出来ず、涙を浮かべるリディアだったが、それも一瞬のことだった。
「魔人種の体は頑丈だっていうのは本当なんだな。息継ぎもあまり必要ないんだっけ?
なら、本気でオナホ扱いして大丈夫だよなっ!」
「おごっ!? んぐっ♡ んっごっ、んぉっ♡」
隆史はリディアの頭を掴むと、まるで道具を扱うように乱暴に動かし始める。
「んぉぉっ♡ おぶっ♡ じゅるるるっ♡ おぉぉぉぉっ♡」
「イったな? 喉に性感帯があるって噂も本当かよ。やっぱりお前は、エッチなサキュバスだ!」
喉奥を何度も突かれながら、リディアは体を痙攣させ、絶頂する。
「そら、おっぱい持ち上げろ! 兄様を誘惑してばっかりの悪いおっぱい、自分の指で揉みくちゃにするんだ! 兄様を興奮させないと、ずっと終わらないぞ!?」
「んんんっ♡ んをっ♡ おおおっ♡」
イラマチオされながら、リディアは言われた通り両手で乳房を掴む。
隆史にされるときを再現するように、リディアの細い指が柔肉に食い込み、胸を変形させる。
「さあ、そろそろイクぞ。ラストスパートだっ! リディアの口をぶち犯してやる!」
隆史は自分の射精に向けて、リディアの頭を前後に動かす。
「じゅぼっ♡ おぉふっ♡ んぐぅっ♡ をっをっをっ♡」
リディアは白目を剥きかけながらも、決して義兄のペニスから逃げようとしなかった。
むしろ自分からも進んで舌を伸ばし、唇をすぼめて吸い付いてくる。
「ほら、出るぞ! リディアの喉マンコにザーメン出してやるっ!!」
「~~~~~っ♡」
びゅるるるっ! という音が聞こえそうなくらいの、生々しい射精。
口内に大量の精液を注ぎ込まれ、リディアは背中を大きく仰け反らせた。
「んっ♡ んぐっ♡ んっんっ♡」
リディアは喉を鳴らして、注がれたものを嚥下していくのだった。
義兄との同居が始まって一ヶ月。
リディアが、義兄からの苛烈な性的虐待を訴えたことは、一度もない。
○
妖魔界には男性が少ない。
元は色んな種族がおり、エルフや獣人、角付きの悪魔種などがいた。
それらはちゃんと男女等分に生まれていたが、サキュバスという種族は違った。
男性が滅多に生まれないのは、サキュバスという種の特徴だ。
彼女らは他の種族と比べて弱かったが、ひとつ強みがあった。
――サキュバスは、全ての種族と生殖可能だったのだ。
彼女らはそれにより、全ての種に自分たちの血を織り交ぜた。
結果として純血のサキュバスはいなくなった。
しかし同時に、妖魔界でサキュバスの血を引かない種族もいなくなった。
結果として、エルフは長耳系サキュバスとなり、獣人は獣耳系サキュバスとなり、それらはいま、魔人種と総称されている。
最後に生き残るのは、子孫を残したもの。
サキュバスという種はその魅力と淫らさによって、遺伝子における勝者となったのだ。
そんなサキュバスはいま、魔人種という名で、人間界に枝を広げている。
リディアの学校の教室もまた、妖魔界からの留学生や、魔人種との混血児が半数を占めていた。
「で、リディア?」
「はい、なんですか?」
級友の女子生徒・西条ルナが、不意に聞いていた。
「ぶっちゃけ、いつ妊娠できそう?」
「っっっ!? げふっ、えふっ!」
お弁当を喉に詰まらせかけた。
ルナは魔人種と人間種のハーフだ。
サキュバスの血の方が濃く出ているようで、日本人的な黒髪と、魔人的な豊満さを併せ持つ。
「る、ルナちゃんっ!? 急になにを……」
リディアは周囲の耳目を気にしたが、元より小声だったので、誰も注目はしていない。
聴覚のいい獣耳系魔人種には聞こえただろうが、慣れたことという様子だ。
「いやぁ、分かるよ。私だって半分はサキュってるんだよ?」
「変な俗語使わないでくださいっ……露骨ですか?」
「色っぽくなったなーと思うくらいには」
「あぅ」
リディアは顔を赤くする。
つまり、リディアが男性経験を積んでいることが、ルナにバレているということだ。
「相手は、ご執心だったお兄様?」
「い、言えません……」
「言えない相手っていうのが答えだね」
夢見る男子には聞かせにくい女子トークである。
リディアのような美少女なら惚れている男子も多いのではないか? それは旧時代の感覚だ。
この時代の男子なら、年頃になれば魔人種の恋人なり愛人なりがいる。
早ければ『おねショタ』に始まり、性に目覚める歳になれば同年代、ご近所に住む魔人種など。
要するに相手に困らないので、結果的にガツガツしていないのだ。
「よかったねー、リディアちゃん留学してきた初日からお兄様を話題にしない日なかったし」
「しーっ、しーっです!」
家ではあれほど淫らなリディアだが、家の外では清楚な優等生だ。
成績は優秀、雰囲気は清純、性格は控え目で、日本人ではないのに大和撫子、そんな印象である。
「もー、慌てなくても、そのくらいの『被害』、この町の
「……ルナちゃんも?」
「ないしょ♪」
つまりルナも、内緒にしなければならない相手と、そういうことをしているらしい。
同志であると発覚、リディアとルナは机の下でこっそり握手を交わした。
「そもそもさー、我慢しろっていうのが無理なのよ。
あの条約、魔人種の性欲や性犯罪ラインを人間と同じ前提で定めてんのよね」
放課後、ルナと少し寄り道をしながら、世への不満を語り合う。
「サキュにとって子供が得られるかどうかは命がけ。もし妖魔界から人間界に来てるサキュが妊娠して帰郷したら、故郷じゃ英雄扱いよ? 人間界からすると変らしいけど、生き物としては至極真っ当なことだと思うなー」
「まあ、人間界はその手のことにちょっと過敏な気はしますね」
そう、リディアたち魔人種からすると、人間界が異文化すぎるのだ。
男性が女性と同じくらいいると聞いていたから、そこかしこで盛っていて、親が子供を十人くらい連れ歩いているものだと思っていた。ジョークではなく、妖魔界の人間が聞いたらそう思う。
しかし実態はむしろ逆。
妖魔界の人間に『日本のイメージは?』と聞いたら「禁欲的」という答えが返される。
「人間界に生まれた私でも思うわけよ……『え? こいつら選り好みしすぎじゃない?』って」
町を歩くルナが一瞥したのは、人間のOLだ。
男性なら顔立ちで見分けるが、魔人種なら雰囲気や匂いで分かる。
「異性の選り好みをするのは当たり前だよ? 私たちだって誰でもいいってわけじゃないし」
誤解されがちだが、魔人種は『男なら誰でもいい系ビッチ』ではない。
きちんと、体がその人を欲しいと思うかどうかで選んでいる。
ただ、その選別基準に、容姿や年齢を重視していないのだ。
結果、年配の男性や不細工やデブと腕を組んでいたりするので、そちらを重視する女性からは驚かれている。
「なんていうか、後天的に養われた恋愛観に囚われすぎっていうか……
見かけたOLが、男性と魔人種のカップルとすれ違う。
年配の男性と獣人系の少女で、親子ほど離れているようにも見える。
OLはそれを不愉快そうに見た後、駅に向かっていった。
「むしろ本能を毛嫌いしているまである。誘惑禁止条例なんてのがまかり通るくらいには」
他方、魔人種の女子高生に逆ナンされて、困り果てている会社員らしき男性もいた。
視線はときおり胸に奪われて、体はOKを出しているが、倫理的な問題を理由に断っている。
腕を抱かれて胸を当てられた男性は、その腕を振り払うと、鞄を抱いて逃げてしまった。乙女か。
「愛は尊いけど性愛はNG。愛されたいのにあれはだめこれもだめ」
ルナとリディアが辿り着いたのは、街の一角にある――女性向けのアダルトショップだった。
放課後に制服で入れる店ではないが、同じことをしている女性客が多すぎて、黙過されている。
「そりゃあ、愛の足りない人生にもなるよねぇ」
だからリディアも、店に入る。
愛しい人の興趣を掻き立てる手段に、選り好みなどする気はなかった。
○
「兄様……その、今日の分、なんですけど……♡」
夕食後、リディアは風呂上がりの隆史に声を掛けた。
リディアの服装はルームウェアだ。
白いキャミソールと、裾にスリットの聞いた柔らかいショートパンツ、肩に同じ素材の上着。
明らかに普段使いではなく、異性の目に自分を焼き付けるためのルームウェアだった。
「ん? ああ、一日一回ね。今日はなにしてほしい?」
一日一回、甘えてもいい――その約束はいまでも有効だ。
リディアはその権利を、もっぱら隆史を誘惑するために行使する。
表向きには妹が兄に甘えていると言い張れそうな『おねだり』で、手出ししてもらえるような状況を作るのだ。
「えっと、じゃあ……」
リディアは薄着のルームウェアのまま、隆史の服の裾を指先で抓んで、上目遣いに見上げると、
「お部屋で、『よしよし』してください♡」
リディアは思う。
自分も大概だけど、隆史も大概シスコンだと。
「よしよし、今日も一日がんばったね、リディア」
「あう、あうぅぅ♡」
自室のベッドに腰掛けたリディアは、後ろから隆史に抱き寄せられ、頭を撫でられていた。
特に卑猥なことはされていない。純粋に可愛がられている。
「に、兄様……その……」
「いつもありがとう。今日のご飯も美味しかったよ。俺も美味しいもの作れるようになるからね」
「は、はい……」
「学校はどうだった? なにか困ってることないか?」
べったべたに甘やかす隆史である。
もっと別のことを期待していたのだけど、これはこれで嬉しくて、つい寄りかかってしまう。
「なにか欲しいものないか? 今度お買い物に行こうか?」
「はい、日曜日にでも……あの、でも……」
「ん? なに? なでなでされるの飽きちゃった? 膝枕にする?」
「あぅ……♡」
隆史は頻繁に、こうやってリディアを甘やかそうとする。
その手付きに性的な意図はなく、肉体関係がなくともリディアを可愛がりたいのだということが伝わってきた。
「に、兄様……意地悪です♡」
こんなことをされたら拒めるはずがない。
でも、これではセックスに繋がらない。
リディアがそういう意図で部屋に招いたと知りながらこれでは、焦らされているようなものだ。
「なんだい? してほしいことがあるなら言ってごらん?」
「うぅ……」
言えない。条例があるから言えない。
女性は男性を誘惑できない、セックスを求められないし、求められても応じられない。
だから犯されるしかなくて、襲いやすい環境を整えることで言外の誘いとしている。
なのに手出しせず、できない『おねだり』をさせようとする――これはそういう焦らしだ。
「兄様ぁ……♡」
そういう抗議と、精一杯のおねだりを込めて、リディアは背後の隆史を濡れた瞳で見上げた。
「ごめんごめん、ほら、キスしてあげるから」
「んっ、ちゅ♡」
唇を重ねられる。
優しいキスだ。体を包む腕も乱暴さがない。まるで赤ん坊を扱うかのよう。
(優しいの、ズルい……♡)
普段は犯しておいて、たまに優しくする。まるでDVのような手口だ。
いや……逆だ。
本来の彼はそういう性格で、たまに自分が犯させているだけだ。
優しい彼に似合わないことをさせて、悪者にしてしまっているのは、自分の方なのだ。
「ちゅぷっ♡ ぷっぁ……はふぅ……んっ♡ ぢゅる♡」
リディアは振り返り気味にキスをしながら、舌を伸ばして義兄を誘う。
隆史の口が応える――舌を入れられ、口内を蹂躙し始めてくれた。
「れろぉ……ちゅぱ♡ はむ、んっ、んん~♡」
舌と唾液を交換し合う。
その度に体が熱くなり、下腹部が疼いた。
「ぷはっ……兄様ぁ? また義妹にこんなキスして……駄目なんですよ♡」
(兄様、もっと……もっとして♡ もっと苛めてください♡)
言葉では隆史を咎めながら、瞳は雄弁に本音を語っていた。
「リディアが可愛くて、ついね……どうしよう、またムラムラしてきちゃったよ」
「あっ♡ いけません、兄様ぁ♡ 落ち着いてください♡ やんっ♡」
隆史の手がリディアの肢体をなで回す。
服越しに乳房を揉み、太股をさすり、臀部を撫で回し、ショーツの中に指を差し入れてくる。
「あっあっあっ♡ 兄様っ♡ お止めください♡ エッチなことしちゃ、だめぇ♡」
(気持ちいい♡ 日に日に、上手になってるっ♡ 私のイかせかた、見抜かれてる♡)
自分の身体の機微が、彼に知り尽くされていくのを、リディアは感じていた。
敗北感と不安感を持ちながらも、補ってあまる嬉しさがあった。
「
義兄の手が加速する。
発情した義妹を慰めるのも『よしよし』のうちだと言うように。
乳房をこねる動きが速くなり、膝に乗せたリディアの足に自分の足を絡め、開かせていく。
ショートパンツの中に入り込んだ右手が、激しい水音を立てて掻き回した。
「あっあっあぁん♡ 兄様ぁ♡ らめっ♡ らめですっ♡ イかせちゃらめっ♡
エッチになっちゃう♡ 私それされたらエッチになっちゃいます♡」
リディアは身をくねらせて悶えた。
抵抗の意思はなく、むしろ受け入れているように見える。
「こんなに淫らなのに、おねだりを禁じられて、可哀想に。ほら、思いっきりイってごらん?」
声は優しく、手は激しく――そのギャップに胸が甘辛く締め付けられる。
「やぁっ♡ おねがいします♡ にぃさまぁ♡ おねがいですからぁっ♡」
リディアは身も世もなく懇願した。
その言葉は、止めてほしいとも、イかせてほしいとも解釈できるものだった。
「もっと声を出していいんだよ? 可愛いイキ声、兄様に聞かせてごらん?」
耳元で囁かれ、首筋を舐められ、乳房を愛撫され、秘所をかき混ぜられる。
リディアの理性は既に崩壊寸前であり、体の方が先に限界を迎えた。
「あああぁぁぁっっっ♡」
ガクガクガクッ! とリディアの全身が痙攣して反り返り、服の中で潮を吹く。
「あひっ♡ はひぃ♡」
「よしよし、いっぱいイけたね。いい子だよ、リディア」
意識をもうろうとさせるリディアを優しく撫でて、隆史は汚れた服を脱がしてやるのだった。
○
「に、兄様っ!? こ、これぇ♡ 外してぇ♡」
我に返ったリディアは、両手を手錠で拘束されていた。
手首にはベルトのようなものが巻かれていて、ベッドの支柱に固定されている。
足首と太股もベルトを巻かれ、鎖で結ばれている。
そのため膝が強制的に曲がり、自然とM字に開かれていた。
花のかんばせには、白い肌を塗りつぶすように、無骨なアイマスクが装着されている。
服はとっくに脱がされており、仰向けでも張りのある巨乳と、濡れた秘所が丸出しだ。
「部屋に帰ったら、
隆史の声は優しかったが、からかうような嗜虐心も込められていた。
「きっと、これでリディアを魅力的にしてほしいって、誰かが置いていってくれたんだろうね」
「……っ♡」
言うまでもなく、それを置いたのはリディアだった。
今日の放課後にアダルトショップで購入して、こっそり隆史の部屋に置いたのだ。
それが置かれていることの意味を、分からない隆史ではなかった。
「さあ笑って。写真に撮ってあげるからね」
隆史の指が、スマホのシャッターを切る。
カシャリという音が、リディアの羞恥心を煽る。
「い、嫌ですっ♡ そんなのぉ♡」
恥ずかしくて顔が真っ赤になりながら、リディアは必死に身をよじらせた。
「リディアのスマホの暗証番号、俺の誕生日なんだね。この写真、登録されてるアドレスに送っちゃおうか? この『ルナちゃん』なんてどうかな?」
予想外のことだった。
隆史はリディアのスマホで撮影しているらしく、その写真を同級生に送ろうとしている。
「だ、ダメですっ♡ それだけは許してくださいっ♡」
「ならおねだりするんだ」
リディアは耳元で囁かれ、ビクッと震える。
「
リディアが思いつく中で、一番卑猥な言葉を使って、俺を興奮させてごらん?」
「あ、あぁ……っ♡」
脅されている。
転じてそれは、リディアの好きなようにしてあげるというラブコールだ。
だが、この胸の興奮は、どちらに対してだろうか?
拘束され、脅迫され、犯される――条例を守るための体裁であるはずのそれに、体裁以上の興奮を覚える自分がいた。
それを、もっと深く知りたくて……
「嫌、です♡」
リディアが言うと、隆史から意外そうな気配がした。
目隠しで顔が見られないことを悔やみつつ、リディアは挑発的に言葉を続ける。
「そんなこと、できません♡ 兄様、優しいから、きっとそんなことしません♡
「へぇ……そういうこと言うんだ?」
隆史の声に凄みが生じて、リディアの背筋を甘い寒気が駆け上がる。
SMプレイ用の拘束具を自分から使わせた上で、『その程度では屈しない』と言う。
それはつまり――もっと過激なことをしてみて欲しいという意味でしかない。
こうでもしないと、この優しい義兄は、そういうプレイをしてくれないから。
別にリディアがMというわけではない。
ただ……優しい義兄が、『悪い人』になる瞬間に、興奮してしまうだけだった。
「
「あぁ……兄様ぁ……♡」
日に日に堕ちていく義兄妹の夜は、まだまだこれからだった。
ご一読いただきありがとうございます。
また長くなったので、前後に分けて二話投稿です。
このまま義妹編の完結までお読みください。
追記
誤字報告をくださった方、まことにありがとうございます。