※この作品はR-18です。

誘惑禁止条例 ※性犯罪被害は条例違反にあたらない   作:大中小太郎

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第五話(中編)挿絵あり

 

 

 

仕事で起きた問題を上層部に釈明するのは、どんな業種でも憂鬱なものだ。

 

「弊社CMの炎上についてですが、結論から申しまして――不利益はありません」

 

会議室に並ぶお歴々、年配の男性や妖女のキャリアウーマンに、きっぱり断言する。

休日返上で行った調査の結果は、資料として配付してあった。

 

「炎上はSNSに限られており、起用した女優の炎上が、当社のCMに飛び火した形です」

「そうか。個人的な炎上とは?」

「妖魔界の労働者との個人契約――これが奴隷売買と見なされたことによるバッシングです」

 

他人事とは思えない炎上だ。

それだけに、起用した女優こと木城クレアの擁護にも熱が入る。

 

「今般、妖魔界の奴隷を人間界で雇用することを、人間界の奴隷問題と混同して叩く論調が散見されています。無論、その奴隷たちは妖魔界の企業に雇用された時点で法的には労働者、人間界でも不当な扱いは固く禁じられており、いわゆる黒人奴隷や児童労働と結び付ける声は的を外しております」

 

理解の浅い大衆による、奴隷という単語への過剰反応だ。

人間界では心証の悪さを鑑みて、報道などでは労働者と呼んでいる。

しかしシーアたちのような当事者が、誇りを持って奴隷を名乗ってしまうこともあり、妖女の外国人労働者=奴隷という認識が、水面下で広がっていた。

 

「また、魔力AIを用いて実際にバッシングを行うアカウントを調査したところ――ネガティブな反応を示す人間は、問題となったCMの顧客層ではないことが確認できております」

 

藤次も若者ではないが、広告業という職業柄、ネットの炎上に関しては目を配っている。

だが経営陣には、炎上などについて肌感覚の無い者が多い。

そんな彼らに、今回の炎上がどの程度のものなのかを伝えるのが、いまの藤次の仕事だ。

 

「資料を見ると、炎上の勢力となっているのは人間女性のようだね」

「しかも大部分が独身で、恋人の存在に言及するコメントがない……」

「CMはラブホテルだったな。確かに、顧客層ではないな」

 

簡潔に作った甲斐あって、反応はいい。

 

「ラブホテルの客層は、パートナーのいる夫婦や恋人たち、つまり男性と妖女になります。

 この層は弊社CMに否定的な反応を示しておらず、非難する層との意見対立が目立つほどです」

 

それについては、割といつもの光景だ。

聴衆の一人である重役が片手を上げる。

 

「ラブホテルだけならそうだろう。だが奴隷問題が絡んでくると、痴話喧嘩では済まない。

 先ほど君の口にした奴隷問題へのバッシングに、顧客層が賛同する可能性は低いのかね?」

 

ただラブホテルのCMが炎上しただけなら、話は簡単だ。

利用しない連中が喚いたところで、利用したい男性と妖女は流されない。

だが、その男性と妖女も『奴隷問題』となれば、「それはよくないのでは……」と影響されうる。

しかし――

 

「はい。妖魔界の奴隷と人間界の奴隷では、歴史的背景も境遇も大きく異なることが、SNSの訂正機能により認知されています。

 過去に起きた類似の炎上案件でも、顕著な売上の低下は起きておりません。

 現状、奴隷バッシングは一部界隈が内輪で盛り上がっているものであり、それ以外の心を掴んでいるとは言い難いのです」

 

要約すると『こんな炎上、大したことないですよ』と言っている。

それだと舐めているように聞こえるが、ボヤで済むか大火事になるかは見極め可能だ。

 

「故に、現状のままであれば不利益はない、か――話はよく分かった」

 

重鎮の男性が安心したように微笑み、しかし妙に鋭い視線を藤次に向ける。

 

「だが、こういう火事は燃え広がると莫大な不利益をもたらすものだ。

 もしこの件が拡大するとすれば、どういう展開が考えられるだろう?

 状況の悪化を避けるため、我々は何を警戒し、何を未然に防げばいいだろうか?」

 

試されていると感じた。

この男は、不意にこういう問題を出されても、聡明に返答できるだろうかと。

内心で生唾を飲みながら、藤次は「そうですね……」と一拍の間を置き、口を開く。

 

「炎上の対象となった主演女優の木城クレアさん――彼女が炎上への対応を大きく間違えば、顧客層の印象も悪化するでしょう。こちらについては既に事務所を通じて連絡を取り、相談の上で慎重な対応を取ることを約束しております。」

 

資料にない部分も抜かりはないぞと、胸を張って答える。

重鎮は満足そうに頷いて、手元の資料を揃え直した。

 

「それを聞いて安心した。そのまま続けてくれたまえ」

 

災い転じてというほどではないが、藤次はこの会議で、重役たちからそれなりの評価を勝ち取るのだった。

 

 

 

 

さて、仕事と言えば、シーアたちの仕事にも変化があった。

 

例えばシーアは藤次に家政婦として雇われたが、いずれはお腹の子に専念してもらうことになる。

その代打となるのが、先日契約を結んだニナだ。

しかし現状、シーアはまだ動けるし、動ける限りはしっかり務めを果たしたいと言っている。

ならニナと協力して家事をすればいいのではないかというと、彼女たちが言うに「二人がかりでやるほどの仕事量ではない」という。

元妻などは、主婦がいかに重労働であるかを事あるごとに説いてきたが、現状の我が家は人手不足ならぬ人手過多のようだ。

 

「こんなので給料もらうのは心苦しいし、追加で他の仕事を探してもいい?

 もちろん、主人は旦那様だけだけど……」

 

照れ臭そうに付け足しつつ、ニナは『副業』の許可を求めてきた。

 

妖魔界の奴隷契約と、仕事の雇用契約は、微妙に別物だ。

ニナが藤次の奴隷だからといって、その家政婦や情婦以外の仕事をしてはならない、ということはない。

彼女たちが人間界で汗を流す第一の理由は、故郷への仕送りだ。蔑ろにはできないだろう。

 

「そういうことなら……紹介できるかもしれない」

 

相談を受けた藤次はふと、ニナを必要としている人物を思い出したのだった。

 

 

 

 

「ああ、義姉さん? ニナはまだそっちに居るかな?

 よかった、寄れそうだから迎えに行くよ。ああ、そっちで待たせてやってくれ」

 

終業後、藤次は車を運転しながら、ハンドフリーで兄の家に電話を掛けていた。

 

兄は藤次よりずっと早く結婚している。

お相手は妖女であり、二人が学生時代からの付き合いだった。

間に生まれた姪っ子もシーアたちと同年代なのだが、最近、兄夫婦は新たな命を授かったらしい。

 

そこで藤次は、副業先を探していたニナを、兄夫婦に紹介してみた。

 

「それ助かるーっ。お腹も大きくなってきたし、家政婦さんを雇うかどうか迷ってたのっ」

 

兄夫婦のうち、妊婦の兄嫁がそう言ってからは、話は早かった。

兄には彼女以外にも事実婚の妻がおり、頼めば妊婦の手助けをしてくれるだろうが、その妻たちにもそれぞれ仕事がある。

誰かが休職するか、家計から支出して家政婦を雇うか迷っていたところに、藤次がニナを紹介したわけだ。

 

「旦那様のご親戚なら、仕事に手は抜けないわね」

 

ニナもこの話を歓迎した。

藤次としても兄夫婦に預けるなら安心だし、兄夫婦としても藤次の紹介なら招きやすい。

こうした三方よしの縁により、ニナは兄夫婦の家で家政婦をしているのだった。

 

「今日もお疲れ様、ニナ」

「うん、旦那様こそ。迎えなんていいのに……」

 

兄夫婦の家でニナを車に乗せ、自宅に向けて走らせる。

メイド服姿のニナは助手席にちょこんと座っており、藤次の運転を興味深そうに見ている。

 

「車はまだ慣れないか?」

「それもあるけど……なんだか、旦那様がそうやって動かしてるの見てるの、変な感じで……」

 

ありふれたオートマ車の操作に、ニナは興味深そうな目を向けていた。

妖魔界の感覚からすると、人が車内から車を操るというのは、超能力めいているらしい。

 

あるいは、運転している男性がどこか魅力的に見えるという、女の心理なのかもしれない。

 

「ニナもそのうち免許を取るといい、仕事にも役立つぞ」

「考えてはいるけど、事故を起こしそうで怖くて……」

「そこはもちろん気を付けるべきだけど、例えば妖魔界だとまだ自動車は珍しいんだろ?」

「珍しいどころか異界の乗り物よ? 妖魔界だと竜とかゴーレムとかが車を引いてるのよ?」

 

なんともファンタジックで信じがたいが、藤次も動画で見たことがある。

 

「じゃあ、いつか故郷に帰ったとき、異世界の乗り物を華麗に使いこなしていたら、みんな驚くんじゃないか?」

「それは、ちょっと楽しそうだけど……」

 

容易に想像できるのか、ニナはくすくすと笑う。

 

――ニナとは主従となり、肉体関係も持ったが、普段はこういう気安い態度で話している。

当初はニナも、シーアと同じように敬語でへりくだろうとしたのだが、それは藤次が拒否した。

シーアは元からああいう口調らしいが、ニナは少し無理をしているように感じたからだ。

 

案の定、シーアとニナは「奴隷として」「主従として」と敬語を推してきた。

最終的には、聞いていたユスティネが『必要なときには奴隷らしく振る舞う』という条件を出して、いまの形に落ち着いたのだった。

 

(なんだか、奴隷っていうより、娘がいたらこんな気分なのかもな……)

 

ニナはシーアやユスティネと比べて、年相応の不器用さがある。

そのせいか、既に自分の奴隷であると理解していても、娘のご機嫌を伺う父親のような心境にさせられた。

 

「義姉さんの世話はどうだ? 何か苦労してないか?」

 

ニナの新しい職場となる兄夫婦の家について尋ねる。

ニナは歓迎されているか、兄夫婦や姪っ子の生活はどうかという、二つの意味での質問だ。

 

「とてもよくしてもらってる。旦那様のお兄さんとその奥様、とても仲良しね」

「ああ、周りが困るくらいにな。学生時代からああなんだ」

 

兄と義姉の仲睦まじさは、周辺空間の糖度を上げる勢いである。

年頃の娘さんもいるのに――と考えて、その子のことも気になった。

 

「娘のルナちゃんとは会ったか?」

「ええ、年も近いし、名前も似てて縁起がいいし。連絡先も交換しちゃった」

 

ルナとは兄夫婦の娘で藤次の姪っ子だ。

盆や正月に会う程度だが、混血の妖女として、年々魅力的な美少女に成長している。

 

ちなみに、名前が似ていると縁起がいいというのは、妖魔界のジンクスだという。

 

「それはよかった。あの子も年頃だし、母親が妊娠して家政婦まで家に来るとなると……な」

 

家族が増えるというのは、大きな環境の変化だ。

難しい年頃の姪っ子が、ニナという家政婦を歓迎してくれるかどうかは、大きな懸念だった。

 

「そういう心配は、たぶん要らないと思う。

 ルナちゃん、家の門限ぎりぎりまで彼氏の家にいるし、よく泊まってるみたいだし。

 私が仕事を終えて帰る前後に、ちょっと会って話すくらいだから」

「彼氏? ……もう居るのか」

 

年頃なのだから当然だが、まだ早いのではないかと過保護な叔父心も湧いてくる。

 

「たしかご親戚の、奥様の従弟さんだって聞いたけど」

「義姉さんの? あー、結婚式のとき親族の挨拶で見かけて以来だな……」

 

驚いたことに姪っ子の彼氏は、母の従弟、つまり「いとこ叔父」らしい。

血縁上はセーフだろうから、野暮は言わないでおく。

 

「色々と興味深い話も聞かせてもらってる……どうやって襲わせてるのかとか、拘束プレイとか」

「ん? すまない、よく聞こえなかった」

 

後半が小声だったので聞き逃してしまった。

 

「ガールズトークしてるってこと」

 

屈託無く笑うニナを見たら、聞き逃したことなど、どうでもよくなった。

シーアやユスティネ以外の友人を得たこともあり、ここ最近、表情がすっかり柔らかくなった。

 

「旦那様? 緑色は進むんじゃないの?」

「おっと、すまない」

 

青信号に変わっていたことに気付かされ、アクセルを踏む。

道は帰宅ラッシュでマイルドな渋滞が起きており、あと一秒でも遅ければ背後からクラクションだった。

 

「旦那様、お疲れなんじゃ……」

「そういうわけじゃない――こともないな。今日はちょっと予定外の仕事が増えたからね」

 

担当したCMの炎上釈明で、気疲れが起きていたのかもしれない。

 

「その、大丈夫? 夜、あまり寝れてないみたいだし……そっちは私たちのせいでもあるけど」

「はは……『週休二日制』にしてもらっただけ御の字さ」

 

シーア、ニナ、ユスティネ――三人の妖女を囲うのは、若くない体に響く。

とはいえ、彼女たちのような美少女に求められて「今日は寝る」とは言えない。

シーア特性の精進料理や最新のサプリメントで滋養を養い、早めにベッドに入る今日この頃だ。

 

「もし、なにかあったら言ってよね……体のことだけじゃなくて、気持ちのことでも……」

 

ニナは照れ臭そうに黒髪をもてあそびながら、そう言ってくれる。

 

「体はともかく、気持ちって?」

「だからその……昨日は、シーアがひどいことしたって聞いたし……」

 

酷いこととは『誘惑』のことだろう。

どうやらシーアたちは各自のプレイ内容を共有して、藤次の攻略に役立てているらしい。

 

「まあ、あれはあれで……こほん。とにかく、ひどいってほどじゃなかったぞ?」

 

藤次は微苦笑する。

内心ではニナが「じゃあ次は私の番ね」と言い出さないか冷や汗を掻いていた。

 

「それならいいんだけど、その……お仕事が上手くいかないこともあるだろうし……」

 

しかしニナの表情は、その予想とは異なり、しおらしい。

女の機微に聡い方では無いが、ニナが何かを切り出そうとしているのは分かる。

藤次がゆっくり待っていると、車が赤信号で止まったタイミングで、ニナが続きを述べた。

 

「イライラ……してない?」

 

頬を染め、探るような聞き方に、妙な色気を感じた。

これは、額面通り藤次が苛ついているかいないかを聞いているのではない。

むしろ、そうであって欲しいと言いたげな……

 

「もし、なんだったら……解消、してもいいから……私で」

「っ」

 

ハンドルを切り損ねるところだった。

気恥ずかしそうに、素直になれない乙女心を感じさせる横顔で、ニナは言っている。

自分の体を使って、ストレス解消をしてもいい、と。

抱かれてもいいというだけに留まらず、乱暴な扱いでもいいという、過激なサインだった。

 

横目に見ると、ニナはエルフ耳まで赤くしながら、目を泳がせている。

動く視線はちらちらとこちらを伺い、吐息は熱を帯びて、車内に妖女のフェロモンを放出していた。

 

「夜まで我慢できるな?」

「……うん♡」

 

 

 

 

「まあ、ニナがそんなことを?」

 

帰宅後、ニナの話を聞いてそう反応したのは、シーアだった。

場所は浴室であり、一糸に纏わぬシーアが背中を流してくれている。

 

「ああ、乱暴にして欲しいっていう意味なんだろうが……妖女だと、やっぱりそのくらい普通なのか?」

「ふふっ、なにをいまさら♡」

 

シーアは藤次の体に満遍なく泡を広げていく。

まるで着替えすら自力でしない貴族のような扱いだ。

 

「ああでも、ご存知ないかもしれませんね。妖女にとっての『性癖』の重みは」

「性癖の、重み?」

「はい。苛められたいとか、猫かわいがりされたいとか、こうしてご奉仕してあげるとか」

 

シーアはまるで幼子を扱う母の如く、藤次の世話を焼いている。

こうして風呂で背中を流すのも、最近は誘惑のためではなく、純粋に藤次のケアをしたいからだ。

セックスになれば喜んでするが、しなかったとしても何一つ不満はないらしい。

 

「妖女は業の深いもので……普通に抱いていただけるだけでも至福の時を過ごせるのに、それに慣れてくると、自覚した自分の性癖を満たしたくなるんです」

「それは……普通じゃないか?」

 

セックスとは、不慣れなうちはそれだけで特別だ。

スタンダートな行為でも、異性の体に衝撃を覚え、絶頂を知れば夢中になる。

しかし場数を踏んでくると、単なるセックスでは物足りなくなり、各々の性癖に沿った展開を求めるものだ。

 

「もう、旦那様ってば……お忘れですか?」

 

ぴたり――と、シーアが藤次の背中に身を寄せる。

豊満な乳房が背中に押し潰され、大人びた声音が背後から耳元に響いてきた。

柔らかな半球と中心の突起を、背中に感じる。

 

「妖女は、人間さんよりも、ずーっとエッチなんですよ?」

 

シーアが緩やかに体を上下させ、泡に塗れた乳房が背筋を滑る。

極上の感触に背中を流され、藤次の逸物がみるみる立ち上がっていった。

 

「んっ♡ 普通のセックスですら『あれ』なんです……はぁ♡

 力強く……突いて、いただくだけで……っ♡ 達するの、止まらなくなるほどなんですよ?

 はぁふ♡ そんな体が……ぁ♡ これという性癖を、刺激されちゃったら……あん♡

 それはもう……新しい世界が始まっちゃうんです♡」

 

藤次の背中に乳房と乳首を擦り付け、シーアは言葉に喘ぎ声を混ぜる。

 

「はぁ♡ 普通のセックスでも、何度もイキ続けて……んぁっ♡ 天国に、行けるんです♡

 あっ♡ その上、性癖に沿ったプレイをされると……ふぅっ♡

 もっと上の、言語に絶した悦楽の時間が、始まっちゃうんです♡ あっ♡ はぁぁ♡

 あれを、知ってしまったら♡ はふぅ♡ もう、それが、生きる意味になっちゃうくらい♡」

 

甘い声と、泡立つ体が擦れ合う音が、浴室に奏でられる。

思わず振り返って押し倒したくなるが、今夜はニナとの約束があるので、ぐっと堪えた。

 

「ニナはたぶん……()()()()()()()()()()()

 誇りも、羞恥心も、全部へし折られないと……浅ましくよがり狂う自分を、許せないんです」

 

確かに、過去にニナを抱いたときにも、そのような傾向があった。

『逆らえない命令』という免罪符を得た途端、抑圧された欲望を解放されて、淫らに狂うところがある。

 

「条件付けられてるんです。命令されたり、脅されたりすると、燃え上がっちゃうんです。

 自分が淫らなメスだって再認識させられると、自由になった気がしちゃうんですよ。

 それこそ、怖い態度で強要された方が……()()()()()()()()()っていうくらいに……♡」

 

親友の性癖を暴露しながら、シーアの手が背後から胸板をなで回して、屹立する股間を撫でる。

 

「もしものときは、私のせいにして構いませんから……今夜、試してみてくださいな」

「……試す?」

 

答えは分かっているが、ためらう気持ちから、鸚鵡返ししてしまった。

シーアは、藤次の理性の鎖を解錠するかのように、艶っぽい口調で答える。

 

「犯してあげてください♡ 悪徳な貴族様のように……あの子を、性奴隷として厳しく躾けてあげてください♡」

 

結局――風呂ではシーアを抱かなかった。

今日の精力を、全てニナに叩き込むためだ。

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

ぱんっ! ぱぁん! ぱぁんっ!

 

藤次の腰が、ニナのヒップに衝突する音が、寝室で繰り返される。

 

「んあああぁぁぁっ♡ だめだめぇ♡ 旦那様ぁっ♡ そんなっ、どすんって、強くぅ♡」

 

ベッドの上で伏せたニナが、嬌声を上げている。

足は膝立ちになって尻を上げ、逆に頭は低く、両手は顔の横でシーツを握り込んでいる。

その顔には目隠しがされており、両手は手錠で拘束されていた。

以前、シーアにも使ったSMグッズだ。

 

「ふぅっ、ふぅっ!」

 

藤次は琥珀色のヒップを掴み、膝立ちになって腰を振る。

ニナの膣内に収まった剛直を、抜ける直前まで引いてから、一気に奥まで打ち付ける。

ぱん! と、自分の鼠径部がニナの尻肉にぶつかり、陰茎が膣壁に包まれた。

 

「ひぁうぅぅぅっ♡ しょんなっ♡ んおっ♡ 乱暴にっ、突き入れるのぉ♡ ああぁぁっ♡ こわいっ♡」

 

助走を付けて打ち込むような抽送を受ける度、ニナは全身を痙攣させていた。

藤次の肉棒に膣道の性感帯を擦られ、子宮を突き上げられる度に、達しているからだ。

 

「なんだ? 拒むのか? ニナ」

「ひうっ♡」

 

ぱんっ! と、抽送ではなくスパンキングの音と共に、ニナを問い詰める。

 

「誘ったのはお前だぞ? こうして欲しかったんだろう? ほら!」

「んぉぉぉっ♡」

 

ずんっ! と角度を変えて腰を押し込むと、大きく口を開いたニナは獣めいた声で鳴いた。

両眼を覆われていても、その顔に描かれているのが恍惚であることは、十分に見て取れる。

全裸の肌に浮かんだ汗が、絶頂の痙攣で流れ落ち、シーツにぽたぽたと降り注ぐ。

 

「俺のイライラを解消してくれるんだろうっ!? この体でっ! 犯されるの大好きな淫乱おまんこで!」

 

ぱぁん! ぱぁん!

不規則なリズムで激しい抽送が連続すると、ニナは喉を反らしたり首を振ったりと、ロッカーのように髪を振り乱した。

 

「ひぎゅぅぅっ♡ それ、はっ♡ 旦那様がっ♡ お辛いかと、思ったからぁ♡」

「なんだ? 俺のせいにするつもりか? んん?」

「ああぁぁぁ♡ やぁぁ♡ おしりぃ♡」

 

左右の手で尻肉を抓るように揉み回すと、挿入とは別種の快感に襲われた妖女が身をよじる。

人間の女なら「痛い」と拒否するような、乱暴な責め立ての連続だ。

しかし、ニナの体に走るのは鮮烈な性感ばかり。

妖女だからというだけではなく、目隠しによっても鋭敏になっているようだ。

 

「まったくお前たちといったら! 事あるごとに俺を誘惑して!」

「んおっ♡ おっ♡ おおおぉぉぉっ♡」

 

強弱のあるスパンキングを織り交ぜながらピストンすると、ニナは再び連続絶頂の時間に入る。

シーアやユスティネに比べればボリューム不足な肢体だが、容易にイってしまうその敏感さは、征服のし甲斐があった。

 

「こっちは疲れてるっていうのに! 男に腰を振らせて好き放題に喘ぎやがって! イキたがりの色情狂が!」

「はひぃっ♡ んぁぁぁっ♡ ゆる、し、て――ああぁぁぁイクイクまだイってるのにイクのぉぉぉっ♡」

 

罵倒しながら責め立てると、ニナは怯えるどころか、達する頻度を上げていく。

怒張の出入りだけでなく、尻を叩かれるだけでもイキ始めた。

 

「こうして欲しかったんだろっ!? 命令だ白状しろ!」

 

藤次の声に反応して、ニナの首輪が輝く。

 

「はひっ♡ 欲しかったのぉ♡ あなたのっ、このっ、すっごいセックスっ♡ してほしくてっ♡ あああぁぁぁ犯してっ♡ 私を逆らえなくしてっ、無理矢理イカせてぇっ♡ でないとっ♡ でないと駄目なのっ♡ こんな風にいっぱいイけないのぉっ♡」

 

ニナは口の端から零れる涎にも気付かず、淫らな告解を繰り広げる。

 

「知っちゃったからっ♡ あぁんっ♡ 旦那様にっ♡ 蹂躙、されるのっ♡ あひゅっ♡ 服従するとっ♡ こんなっ♡ 気持ちよくなるってっ♡ んぉぉっ♡ 教えられ、ちゃった、からぁ♡」

 

ニナが喋っていようといまいと、藤次はセックスを止めない。

腰を掴んで上下に揺らしながら突き続け、ニナの膣内を肉棒で味わい尽くす。

自分の快感のために女体を使う身勝手なセックスだというのに、彼女の膣内は歓喜の痙攣で応えてくれる。

 

「おねだりっ、できないからぁ♡ 奴隷だからっ♡ あああぁぁっ♡ だからっ♡ 命じて、もらわないとっ♡ んんんんっ♡ できないっ♡ して、もらえないからぁ♡ そういうのっ、察してよぉ♡」

 

立て続けの絶頂に苛まれながらも、ニナは言葉を紡ぐ。

その間にも、ポルチオに押し込まれた亀頭に達し、尻を指圧するように押し込まれた親指でイキ、奥を突く直前で寸止めされてはアクメを迎える。

 

「そうかそうか、それは済まなかったな。なら命令だ! もっとイケ! おまんこ締めろ!」

「ひぎゅぅぅ♡ はいっ♡ イクっ♡ イクイクイキましゅいっぱいイクからぁぁぁっ♡」

「いいか、いまお前は奴隷なんて上等なもんじゃない! 性奴隷だ! いまお前がしていいことは、この淫らな体で俺を愉しませることだけだ!」

「んぁぁぁぁっ♡ そんなっ♡ んぎゅぅぅぅっ♡ ひど、いっ♡ ああぅぅぅぁぁぁぁっ♡ なりゅっ♡ 性奴隷しましゅっ♡ イクのっ♡ イキまくるの気持ちいいのぉっ♡」

 

シーアの見立ては正しかったようだ。

普通のセックスでも連続絶頂に陥る妖女の体が、更に一段階上の恍惚状態に上り詰めている。

その快感があまりに強すぎて、他の何を失っても手放せない。

誇りも、名誉も、これまでとこれからの人生を全て捧げても、この天国を味わっていたい。

それを与えてくれる男が、いつしか神様に思えてくるほどに。

 

「旦那様もっと♡ もっと犯してっ♡ 妊娠してるシーアにできないことっ♡ 私にしてぇ♡ 優しくなんてっ、なくていいからぁ♡ 私にはっ♡ 悪くてエッチな旦那様でいいのぉっ♡ 嫌がってもっ、逃げようとしてもっ♡ 無理矢理っ、押し切ってっ、気持ちよくしてよぉっ♡」

 

自分がなにを言っているのかは……当然、分かっていないのだろう。

そういう状態だからこそ、自分でも自覚できない深層心理が表れるのかもしれない。

 

「ああ、いいぞ。泣こうが喚こうが、最後まで好きにしてやるよ!」

 

藤次もまた、理性を手放した。

一度ペニスを引き抜き、ニナの体を仰向けにさせ、正常位へ。

 

「ひぁっ♡ あっ♡ んぁぁぁ♡」

 

自ら足を開いたニナの秘所に、再び肉棒を挿入する。

すんなり奥へ入った反面、角度が変わったことで、ニナは小さく達していた。

拘束された両腕を頭上に上げて、こちらに向けられた胸の先端で、乳首を尖らせている。

その細い腰をがっちり掴み、軽く呼吸を整える。

 

そこからは――彼女の膣内を、逸物でサンドバックにする時間だった。

 

「あああぁぁぁっっっ♡ んぉぉぉおおおっ♡」

 

ぱんっ! ぱぁんっ! 肌と肉がぶつかり合う音と、結合部からの水音が重なる。

ニナはもう、意味のある声を発せられなくなっていた。

獣じみた鳴き声を漏らすだけの雌へと成り果てていた。

 

「喘ぐだけか!? 無能な性奴隷だな!」

「おっ♡ おちんっ、ぽぉっ♡ すごっ、おっきぃっ♡ あああぁぁぁ♡ わたひのっ♡ 奥からっ♡ 体中っ♡ イカせ続けてりゅのぉぉぉっ♡ しゅごいっ♡ しゅごいのっ♡ 旦那様のレイプしゅごしゅぎるのぉっ♡ 私のことっ♡ 支配してりゅっ♡ してっ♡ してぇっ♡ あなたのっ♡ ものにっ♡ なりゅっ♡ なりゅのぉぉぉっ♡」

 

もはや絶頂していない瞬間がないというほど、ニナは痙攣し続ける。

そんな中でも首輪の命令で喋り続け、正気を失うほどの悦楽を物語っていた。

 

「ああ、出そうだ。出すぞ?」

「だし、てっ♡ あひっ♡ 孕ませてっ♡ 私もっ♡ 旦那様のっ♡ お嫁さんにしてっ♡ ああぁぁっ♡ シーアみたいにぃ♡ 幸せに、なるぅっ♡」

 

これもまた、本音。

妖女の強すぎる生殖本能の発露。

シーアという親友が、日に日に妻となり、母の顔をする姿を見て、ニナもそういう願望を育てていたのだろう。

 

「っぐ!」

 

それについて、深く考える余裕は、藤次にも無かった。

目の前に自分の子種で孕みたがっている女がいるから、後先など考えずに射精した。

 

「あああぁぁぁ旦那様っ♡ 中出しっ♡ してっ、くれりゅっ♡ ぉぉぉぉぉっ♡」

 

膣奥に注がれる精液を感じながら、ニナは幸福に包まれた表情で果てていく。

最後にして最大の絶頂を迎えたニナは、藤次が逸物を抜いた後も、打ち上げられた魚のようにビクビクと震え続けていた。

 

「いい子だ。外してやる」

 

そろそろ手錠を外してやることにした。

自由になった両手は、いまだ脱力したままで、シーツの上から動かない。

 

しかし、目隠しを外そうとすると――

 

「っ!?」

 

急に動き出したニナの手が、藤次の手首を掴んだ。

 

「はひゅ♡ だんな、しゃま♡ もっろ……でき、ましゅ♡ わたひ……もっろぉ……♡」

 

うわごとのような言葉だが、意識はあるのだろう。

その手は、目隠しを外そうとした藤次を制止している。

 

外さないで、このまま続けて――と、行動で言っていた。

 

「……そうか」

 

少し休憩したいと思っていたが、肉棒が再び元気になってしまった。

 

その日のニナは、翌日に喉が枯れてしまうのではないかというほど、激しかった。

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

事後、藤次は気絶したニナをベッドで休ませた後、キッチンで冷蔵庫を開いていた。

流した汗を補うため、飲み物をグラスに注いで飲み干す。

妖魔界の果物を使ったという、シーア特性のジュースだ。

疲労回復と精力亢進に効果的であり、効能は体で確認している。

 

「旦那様……」

 

声を掛けられて目を向けると――ユスティネが立っていた。

豊満な肢体をネグリジェに包んでいる姿は艶やかだが、その表情は明るくない。

 

「ユネ? どうした?」

 

ニナとの声を聞きつけて我慢できなくなった……という顔ではない。

顔には影があり、どこか怯えているようですらある。

なにか、言いにくいことを言わなければならないという様子だ。

 

「その、私……」

 

彼女が言いよどんでいる間に、藤次も心構えをする。

 

何かあったことは間違いない。

内乱直後であるという故郷で変事があったか、勤め先で問題が起きたか。

それとも妊娠したのか、まさかこの家を出て行きたいというのか。

 

そういうものを予想していた藤次は――

 

「私……っ、旦那様のお仕事を、炎上させてしまったかもしれません!」

 

予想外の言葉に、目を瞬くのだった。

 

 




ご一読いただきありがとうございました。

本文を書き上げていながら投稿を忘れるというアホなミスをしておりました。
次話はユスティネの話と炎上案件ですかね。
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