※この作品はR-18です。

誘惑禁止条例 ※性犯罪被害は条例違反にあたらない   作:大中小太郎

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第五話(後編)挿絵あり

 

 

 

今日も藤次は、社畜にあるまじきことに八時間労働で仕事を終えた。

以前は自主残業する独身のワーカーホリックだったが、最近は既婚者組と同じ時間帯での終業だ。

 

しかし今日に限って言えば、早々に帰宅する大義名分もある。

先日から対処しているCM炎上に対処するため、とある人物に会うからだ。

 

場所はとある喫茶店。

雰囲気とメニューからして大人向けで、ビジネスで利用されることが多い。

藤次がその一席で待っていると、ほとんど同じ時間に、待ち合わせの人物がやってきた。

 

「西条さん、お待たせしました」

 

木城クレア。

会うのはCM撮影のとき以来だ。

ハーフ妖女の美貌とスタイルをレディーススーツに包み、社交的な笑顔を輝かせている。

 

「この度は、私の不用意でご迷惑をお掛けしております」

「いいえ、当社も事情は把握しております」

 

今回の炎上案件について、クレアは頭を下げ、藤次も下げ返す。

 

――発端となったのは、彼女の投稿したブログの炎上だ。

 

人間と妖女のハーフに生まれた彼女は、デビュー当初から双方の不和を憂い、その解消を目指した発信を行っている。

ハーフという視点と是々非々な姿勢が評価され、女優業と共に随筆家(エッセイスト)としての注目度も高い。

時に説教臭い内容が『ボヤ』を起こしていたが、その程度で済んでいた。

 

しかし偶然撮影された『メイドの妖女と歩く姿』から、妖女の家政婦を雇っていることが発覚。

これが、『妖女の労働者を雇っている=妖魔界の奴隷を買っている』という風潮に引火。

同じタイミングでラブホテルのCMに出演していたことも追い風となり、炎上と呼べる規模に拡大した運びだ。

 

「それにしても予想外でした――まさか、ユスティネの雇い主が、木城さんだったとは」

 

藤次との意外な接点が、ユスティネだった。

 

「私も驚きました。もちろん、ユネさんにとっては雇用主の個人情報ですから、いたずらに話すわけにはいきませんよね」」

 

ユスティネがシングルマザーに雇われているという話は聞いていた。

藤次の家に住んでいるのはアパートが焼失したからで、雇い主は藤次ではない。

藤次はユスティネの雇い主が木城クレアとは知らず、逆に木城クレアも『親友の雇い主が親切で部屋を貸してくれた』としか説明されていなかったそうだ。

 

「ユスティネからも聞きましたが、彼女と一緒にいるところを写真に撮られたとか……」

「はい、娘とユネさんと一緒に買い物をしていたところを撮られてしまったようです。

 芸能人を見かけても迷惑を掛けないところが、日本のいいところだと思っていたんですけどね」

 

木城クレアは困ったように微笑む。

写真自体は、クレアとその娘さんとユスティネが街角を歩くだけのもの。

撮影したのは記者でもパパラッチでもなく一般人で、SNSで話題になればという程度の気持ちだったらしい。

 

しかし、ネットに放流されたこれに対して、底意地の悪い者が指摘した。

 

『この褐色の女性、妖魔界の奴隷なのでは?』

『服が妖魔界の奴隷商人と提携してる人材会社の支給品なので確定』

『元奴隷の労働者であって奴隷じゃないぞ。ロンダリング済みだぞ』

『普段あれだけ偉そうな口を利いといて奴隷売買かよ』

 

妖魔界からの出稼ぎ労働者を雇用することを奴隷問題とする論調が、クレアに牙を剥いた。

 

「画像は消去させましたが、気がつけば槍玉でした。

 私は有名税みたいなものですが、ユネさんには責任を感じさせてしまったようで……」

 

クレアは自分の風評よりも、ユスティネの胸中を案じていた。

ユスティネは人間界のネット事情に疎く、事の次第を把握したのもつい先日のこと。

クレアからは「気にしなくていい」と言ってもらえたが、堪らず藤次に相談してきたわけだ。

 

「実際のところ、木城さんの私生活に影響は?」

「いいえ、具体的なことはなにも。記者や投稿主の粘着もありません。

 奴隷バッシングそれ自体、狭い界隈でいま流行しているだけの難癖商売ですし」

 

シーアもニナもユスティネも、故郷の内乱で奴隷化したのは事実だ。

しかし人間界に来た頃には企業を通じて『解放済み』、その後の待遇も決して奴隷ではない。

主人の立場を利用して抱いている藤次が言えた義理ではないが、元奴隷を雇うことを奴隷購入と見なすのは暴言すぎる。

筋が通らないことを承知で、体のいい『棍棒』に使う者たちが居るだけだ。

 

「では、対策を立てましょう」

 

藤次にこの件を相談してきたときのユスティネは、ひどく落ち込んでいた。

自分のせいで、雇い主のクレアにも、藤次の仕事にも、泥を塗ってしまった――と。

 

だから藤次は会社に説明して、木城クレアと共に『消火』に当たることにしたのだ。

 

「うちの可愛いユネを泣かせた奴ら、生かしておかない――って顔してますよ?」

「え? ああ、失礼。そこまで物騒なことは……」

 

クレアに内心を言い当てられて、藤次は我に返る。

しかし彼女は、むしろ藤次のそんな顔が見られて安心したように微笑んでいた。

 

「ご心配なく。私も同じ気持ちです。

 私が私の言動で燃えるならまだしも、落ち度の無い方々まで罵られるのは許せませんもの」

 

微笑するクレアの瞳にも、静かな闘志が見て取れる。

 

これまでは、仕事を通じた浅い付き合いだった。

しかし、いまこのとき、藤次は女優・木城クレアと、同じ敵を相手にする同胞となるのだった。

 

 

 

 

多くの人々が帰路につく頃、藤次は木城クレアを車で送る。

クレアの家で勤務しているユスティネを拾って帰るためだ。

 

「どうぞ、部屋の前まで」

「よろしいんですか?」

 

質の高いマンションの地下駐車場に入ると、クレアに誘われる。

女性を送るにしても、部屋の前まではあれなので、車内でユスティネを待つつもりだった。

 

「せっかくですし、ユネさんを驚かせてあげましょう」

 

小粋な笑みで言うクレアの申し出を断るわけにもいかず、藤次は彼女の部屋まで同道する。

 

(妙に……距離感を近付けられてる気が……)

 

もちろん、共に炎上案件を解決する仲だからだろう。

しかし、話題の芸能人に親密にされると、年甲斐もなくドギマギしてしまう。

 

「ただいまー」

 

そうしているうちに、クレアの部屋に到着。

 

「奥様、お帰りなさいませ」

「ママおかえりーっ」

 

出迎えたのはユスティネと、クレアの娘さんらしい少女。

後者の娘さんは、小学校低学年くらいだろうか。

耳の形などは人間だが、クォーターでも妖女だけあって整った顔立ちだ。

 

「アイナ、いい子にしてた?」

「うん、ユネにネットのこと教えてあげたんだよ?」

「また? もう、この子は……」

 

母親の顔になったクレアに、アイナというらしい娘さんは胸を張る。

時代というか、このくらいの歳の子なら、人に教えられるくらいには精通しているらしい。

 

「えっ、藤次様っ!?」

「やあ、お疲れ様。迎えに来たよ」

 

ユスティネはというと、クレアと一緒にいた藤次に驚いている。

それを見て、アイナも藤次に注目した。

 

「だれ?」

 

人見知りはしないらしく、クレアの手をくいくいと引いて尋ねている。

 

「ふふ、ユネお姉さんの大事な人よ」

「奥様っ!?」

 

クレアの紹介を聞いて、ユスティネが慌て出す。

察するに、藤次とユスティネの関係は、クレアにもだいたい把握されているようだ。

だとすると気まずいが、反応を見るに悪いようには伝わっていないらしい。

 

「ユネの彼氏っ?」

 

物怖じしないのは母親譲りか、初対面のおじさんである藤次にも、アイナは目を輝かせる。

 

「初めまして。お母さんにはお世話になってます。

 お察しの通り、ユスティネの彼氏さんだよ」

「っ」

「おーっ、ユネってばやるーっ」

 

あっさり言い切られて、ユスティネは頬を染め、アイナは興奮していた。

恋人というより婚約者公認の愛人みたいなものだが、彼氏でもいいだろう。

 

「お、奥様っ? お夕飯はもうできておりますのでっ。お嬢様の学校の連絡書はテーブルの上に」

「ええ、ありがとう。帰りが遅くなってしまってごめんなさいね」

 

ユスティネは慌てて話題を動かし、クレアが小さく笑いながらそれに応じた。

 

「ユネ、もう帰っちゃうの? まだ動画途中だよ?」

 

そこでアイナが残念そうな顔をして、ユスティネの袖を掴む。

どうやら藤次たちが来るまで、一緒に動画でも見ていたようだ。

 

「申し訳ありませんお嬢様、また明日……」

「うぅ……」

 

どうやらアイナはユスティネとお別れしたくないらしい。

ユスティネの袖を離さず、母に訴えるような目を向けている。

 

「「はぅっ」」

 

そんな少女に胸を打たれるユスティネと母クレア。

可愛いのは分かるが、ユスティネが無理に残れば時間外労働が長引く。

ユスティネからも言い出しにくいし、クレアからも頼みにくいことだろう。

となれば自分はどうするべきか――と、藤次は少し考えて、結局は子供のおねだりに負けた。

 

「まあ、動画一本くらいなら」

「でしょ!」

 

そのくらい待てると言う前に、アイナが味方得たりとユスティネを引っ張る。

 

「あらあら。藤次様、申し訳ありません。すぐに――」

 

お転婆なお嬢様に引っ張られたユスティネは、部屋の奥へ。

 

「まったくもう……ごめんなさい西条さん。お時間を取らせてしまって」

「いいんですよ。私は車で待ちますので」

「そんな。どうぞ上がっていってください。お茶くらいはお出しします」

 

今度は藤次がクレアに引き留められる。

 

(まあ、今後に備えて子育てのコツを聞くのもありか)

 

シーアに帰りが遅れることを連絡しつつ、藤次は有名女優の家に上がらせてもらうのだった。

 

 

 

 

「そうですか、前の旦那さんとはそのような経緯で……」

「ええ、主夫の仕事もろくにせず趣味に没頭して。

 子供の面倒も十分に見なくなったので、妻たちで相談して同時に離縁しました」

 

藤次とクレアは、ダイニングテーブルを挟んで、それぞれの昔話を交換していた。

二人の共通点はバツイチであるということ。

それが有名女優との話の肴になるとは、藤次も思わなかった。

 

「私と元妻も似たようなものです。人間、誠意を欠けば同じ末路を辿るものなんでしょうな」

「はい。自分がそうならないよう、他山の石と思うしかありませんね」

 

クレアは離婚以前、一夫多妻家庭の一員だったらしい。

しかし専業主夫だった男は、いつしかヒモのような生活に甘え、家事や子供の世話を怠るようになった。

文句を言っても改善は一時的で、浪費癖もあったことから、妻一同は離婚を決心したという。

 

「木城さん、他の奥様方とは……」

「一斉離婚したとき、ほとんどが妖魔界に帰りました。私は人間界の生まれだったので日本に残りましたが」

 

夫を共有する妻たちは義姉妹の契りを結ぶ。

離婚後も義姉妹の縁は維持されることもあるらしいが、クレアはそちらも離縁となったようだ。

となると、正真正銘のシングルマザー。母一人、子一人の人生だったようだ。

 

「だから、ユネさんには本当に助けられているんです。

 急に一家離散めいたことになって、あの子には寂しい思いをさせてしまいましたから」

 

確かに、いまユスティネと一緒に人気配信者の動画を見ているアイナを思うと、離婚なんて起きない方がいい出来事だ。

 

「それだけに、今回の炎上、ユネさんに気負わせてしまったことは心苦しいです」

 

愛称で呼んでいることからも分かるが、クレアはユスティネを大事にしてくれているようだ。

そしてその気持ちなら、藤次も遅れは取らない。

 

「彼女は、私の妻になる女性の親友であり、いずれ義姉妹として迎えたく思っています。

 今後のことがどうなろうと、私たちが彼女を見捨てることはありません。

 そこだけはご安心ください。もちろん、彼女の雇い主である木城さんについても同様です」

 

照れ臭いことを言い切った後、お茶を口に運ぶ。

 

「まあ……」

 

クレアは驚いたような、羨ましそうでも嬉しそうでもある顔をしていた。

 

「でしたら、ひとつ提案があるのですが――」

 

ユスティネに聞こえないよう、クレアは声を潜める。

藤次がその提案を受け取り、前向きな検討を約束する頃には、ユスティネとアイナの動画視聴も終わっていた。

 

 

 

 

さて、今回の炎上については、シーアたちも知るところとなった。

 

「うっわ、炎上ってこういうのなんだ……リアルタイムで見るの初めて……」

 

ユスティネから事の次第を聞いて唖然としたのは、ニナだった。

藤次のスマホを借りてSNSを開いた彼女は、炎上の内容に目を通している。

 

「まるで言葉戦いのみの合戦……いえ、無秩序な乱闘ですね」

 

ニナの隣から画面を覗いたシーアが、見慣れない様子で感想を述べる。

 

「火事と喧嘩はネットの華だな」

 

ニナがトレンドにあった『#奴隷』に触れると、奴隷問題に関する投稿が確認できる。

そのほとんどは、妖魔界で奴隷落ちした妖女を労働者として迎え入れるのは奴隷売買への加担だとする非難の声だ。

フォロワー数の多い発信者を中心に、賛同する者たちの声が書き連ねられていた。

 

「……私は、こういうものはよく分かりませんが」

 

シーアの目が細くなる。

幸か不幸か日本語の解読に熟達した彼女には、なにを書いてあるか分かるようだ。

日本の男は元から女性を奴隷にしているから驚かないとか、自我を持った女性を妻にするより自我を奪った妖女を奴隷にしたいのだろうとか、概ねそういう系統の愚痴や煽りが並んでいる。

 

「この方々は、奴隷という悪を責めていながら、実際に奴隷がどんな日々を送っているかには興味がないのですね」

 

インターネットには素人なシーアにも、察するものがあったようだ。

 

「同感。これは正義なんかじゃない」

 

静かな怒りを宿した昏い瞳でスマホ画面を見ているのは、ニナも同じだ。

 

「戦も知らない連中が、卑しい真似をする大義名分のひとつまみに、何かを使ってるだけ。

 内乱のとき、前線にも立たず略奪や暴行に熱心だった連中は、だいたいこんなだった」

 

忘れそうになるが、シーアたちは『戦争』を知る者たちで、敗者として奴隷に落ちた者たちだ。

奴隷バッシングを行うアカウントの誰よりも、奴隷のなんたるかを知っている。

 

「最近ユネが落ち込んでたのはこういうこと」

 

ニナが憤懣やるかたない顔で溜息を吐く。

シーアも憮然としていたが、案じる表情を藤次に向けた。

 

「旦那様、この炎上なるものは、深刻なのでしょうか?」

「ユスティネにも言ったが、もう手は打った。このまま何事もなければ、収まっていくはずだ」

 

藤次は居間から廊下の方に視線を配る。

視線の先には風呂場の扉があり、いまはユスティネが使っているところだ。

今回の炎上は、何か違法行為が発覚したわけでもなく、大多数の人間を敵に回すような不謹慎があったわけでもない。

なにが起きるか分からないのがネットとはいえ、この炎上が深刻化する可能性は薄い。

 

「そもそも君たちのような出稼ぎ労働者の受け入れは、国同士が約束した経済協力の一環だ。

 企業も魔力持ちの労働者は歓迎しているし、大手メディアも奴隷バッシングには乗っていない」

 

もっと言うなら、人間界と妖魔界で積極的に人材を出し合い経済を活性化させることは、両世界の主要国が大々的な会議で合意したことである。

 

「こうした奴隷炎上がいくらか予想を超えたとしても、君たちが人間界にいられなくなるなんて事態には至らないだろう」

「それを聞いて安心しました」

 

今回の炎上を知って、シーアたちが不安になるとすれは、そういう展開だろう。

自分はもちろん、他にも奴隷となっている同郷の者たちの未来が、気がかりだったのだ。

 

「あとはユネですね。だいぶ気に病んでるみたいですし」

 

シーアがユスティネの胸中を案じる。

藤次も言葉を尽くして大丈夫だと保証したのだが、様子を見る限り、隙あらば表情が曇っていた。

そこで、風呂に入ったところを狙って、なにか妙案はないかとシーアやニナを助けを求めたのだ。

 

「もう、しょうがないなぁ……」

 

ニナは壁のカレンダーを横目に見る。

カレンダーには『シーア』『ニナ』『ユスティネ』といった名前が曜日ごと記されており、たまに『休み』とも記入されていた。

つまり、「その日は誰の番か」ということであり、今日はニナと記されているが……

 

「旦那様、今夜はユネを部屋に呼んであげて」

「……いい、のか?」

 

藤次の確認には、順番を譲っていいのかという意味と、落ち込んでいるときにそんなことをして大丈夫かという意味がある。

 

「こういうときは、何かも忘れさせてもらうのが一番なの」

 

どこかお姉さんぶった顔で言い切るニナに、思わず笑みが零れる。

 

「代わりと言ったらなんだけど、今晩このスマホ借りてもいい? もっと色々見てみたいし」

「ああ、おかしなサイトは覗くなよ?」

 

ニナはネットに興味が深いらしい。

いずれお金を蓄えてスマホやPCを揃え、電子の世界に名乗りを上げるつもりらしい。

藤次は私用と仕事用で二つ持っているので、ひとつ貸すくらいは問題ない。

 

(精力剤、飲んでおこう)

 

なんにせよ、今夜も頑張らなければならないようなので、妖魔界製の滋養強壮剤を接種しておくのだった。

 

 

かくして、寝室。

 

「んぢゅっ♡ ちゅぷっ♡ んっ♡ じゅぶるっ♡」

 

ベッドの縁に腰掛けた藤次に、ユスティネが熱烈なフェラチオを繰り広げていた。

 

「んぐっ♡ んんっ♡ ぢゅるるるっ♡」

 

全裸になった藤次の見下ろす先で、ネグリジェに豊満な肢体を透かせたユスティネは、逸物を根元までくわえ込んでは吸い上げる。

舌を裏筋に絡みつかせ、亀頭を喉奥で責め、頬をすぼめてバキューム。口内を真空にするようなディープスロートだ。

 

「いいぞ、そのまま、思うように続けてごらん」

 

藤次はユスティネの頭を軽く撫でながら、優しい口調で声を掛ける。

しかしユスティネは、それをどう受け取ったのか、より激しく頭を前後させた。

 

「んぐっ♡ んんっ♡ ぢゅぶるっ♡」

 

上目遣いに藤次の反応を見ながら、ユスティネは懸命に頭を前後させる。

妖女は口内の性感帯を刺激するため熱心なフェラをしてくれるが、ユスティネのこれは、自分の快感のためではない。

自分の快感など後回し、己の呼吸を犠牲にしてでも、主人に快感を与える献身的な口淫だ。

健気で、それ以上に必死な様子に、藤次は笑みを返す。

 

「気持ちいいよ。その調子だ」

「ああ、よかったぁ……♡」

 

金髪をくしけずるように頭を撫でると、ユスティネが安心したように表情を和らげた。

その手がネグリジェの肩紐を下ろすと、彼女の豊満な乳房が姿を現す。

 

「お胸でも、いたしますね♡」

 

ユスティネは妖しく微笑みながら、口から抜いた藤次のペニスを谷間に挟む。

その豊かな膨らみが、藤次の半身を柔らかく圧迫する。

 

「あぁ、たまらないなぁ」

「ふふ、これだけは、シーアにもニナにも負けませんもの♡ んっ♡ ちゅるっ♡」

 

ユスティネの両手で上下に揺らされた乳房が、陰茎を左右から擦り上げる。

谷間から顔を出した亀頭は、再び彼女の口淫に包まれた。

 

「藤次様、もっと、遠慮無くご命じになってください♡

 おっぱいでも、お口でも、おまんこでもお尻でも、お好きなようにお使いくださいませ♡」

 

パイズリフェラを継続しながら、エルフ耳まで紅潮させて、誘惑の言葉を口にする。

普段は控えめなユスティネだが、今夜はやけに積極的だ。

 

「…………」

 

そんなユスティネに、藤次は――

 

「見ていられないな」

 

底冷えした声音で、そう口にするのだった。

 

「え? きゃっ」

 

藤次はユスティネの手を引いて、強引にベッドに上がらせる。

藤次の膝上で対面するような形になったユスティネは、戸惑いと不安の表情でこちらを見ていた。

 

「ユネ……無理してるだろう?」

「っ」

 

驚きに目を見開いたユネは、すぐ気まずそうに視線を反らした。

 

「そ、そのようなこと……藤次様にご奉仕させていただくのに、無理だなんて……」

 

藤次とするのが嫌というわけではない――という意味では本音なのだろう。

だが、こうして身体を重ね合う行為の中で、心の機微を隠すのは難しい。

 

「君とするのも、今日が初めてというわけじゃないんだ。身体が強張っていることくらい分かる」

 

藤次はユスティネの背中を抱き寄せ、子供をあやすように撫でた。

 

「と、藤次様……?」

「勘違いならいいんだけど、まだ……自分のせいだと思ってるんじゃないか?」

 

ユスティネの肩が小さく震えて、図星を物語る。

やはり炎上の件が、ユスティネをセックスに集中させていない。

妖魔界出身のユスティネにとって、ネットの炎上は『最悪、被害者を失職や自殺に追い込むもの』という印象だろう。

正確な実態は伝えたつもりだが、やはり奴隷である自分がクレアや藤次に負担を掛けたことを思い悩んでいる。

 

「だからせめて、必死に気持ちよくしようとしてくれたんだな」

 

怖れから来る『媚び』だった。

普段の、相手の男性を興奮させてより燃え上がろうというテクニックのようなものではない。

弱い立場の者が、見捨てられたくない一身で下手に出るような……不徳な者しか喜べない部類の媚びだ。

 

「違うん、です……」

 

やがてユスティネは、絞り出すような声で答え始めた。

藤次は安心させるように髪を撫でて、続きを待つ。

 

「なにもかも自分のせいだとまでは、思っておりません。ただ……悔しくて」

 

ぽつぽつと語りながら、ユスティナは藤次の胸板の上で手を握り込む。

 

「私たちは誇りをもって奴隷を名乗っておりますが、実際に人間界での生活は、奴隷とは程遠いものです。本当に奴隷なら、いまごろ水と粗食だけを対価に畑を耕さされていたでしょう……」

 

彼女がそんな境遇になっている未来を想像してしまい、藤次は思わず抱く腕に力を込めた。

気持ちは伝わったのか、ユスティネも抱き返してくれる。

 

「そうならずに済んだのは、人が奴隷商人と呼ぶ方々が、人間界への道を与えてくれたからです。

 クレア奥様も、卑しいこの身を蔑まず、藤次様は私に女の幸福を教えてくださいました……っ」

 

奴隷と出稼ぎ、どちらがマシかで言えば明らかに出稼ぎだ。

むしろ奴隷になる以前より快適な暮らしを送れている――と、口にする妖女も多い。

故郷に仕送りをしながら学びを得て、よりよい仕事に就いて一人前になった元奴隷も、続々と現れている。

もし奴隷のままでいたら、その可能性すら奪われていたのだ。

 

「そんな、私たちを救ってくださった方々が……」

 

ユスティネが顔を上げると、目尻からは涙が零れていた。

 

「まるで、悪人のように誹られていることが、悔しくて……っ。

 止めさせることのできない自分が……無力で……っ!」

「…………」

 

少し驚いた。

ユスティネのこんな表情は初めて見る。

彼女は、気に病んでいたのではない――怒っていたのだ。

 

「ですから、藤次様……」

 

ユスティネは罪悪感の目で藤次を見上げる。

藤次は、普段は優しい言葉を紡ぐ彼女の唇が、よくない言葉を紡ぐことを予感した。

 

「もし、私がご迷惑になるようなら……どうか、容赦なく……んんっ!?」

 

強引に唇を塞いだ。

容赦なく自分を追い出してくれ――とでも言おうとしたのだろう。

そんなことは、言葉にすることさえ許さないと、身体で説き伏せる。

 

「んっ♡ ちゅっ♡ んむっ♡」

 

最初こそ驚いていたユスティネの顔が蕩けていき、頬に涙を伝わせる。

 

「そんなこと、二度と言うな!」

 

藤次はユスティネの両肩を掴み、ベッドの中央に押し倒しながら声を張る。

 

「あ……っ」

 

こうも怒りを露にする藤次は、ユスティネはもちろん、シーアやニナも見たことがない。

思わず硬直したユスティネだったが、何が原因で怒っているのかを理解すると、口元を押さえた。

 

「俺が、この程度のことで、お前を切り捨てるとでも思っているのか! 二度と言うな!」

「も、申し訳、ありません……っ」

 

ユスティネは胸を打たれたように震える。

自分は、思っていたよりずっと、彼に愛されていたのだと理解して。

そんな彼に、なんて馬鹿なことを言ってしまったのだろうと、後悔していた。

 

「そんなに言うなら……」

 

藤次はユスティネの頬を撫でると、彼女のエルフ耳に軽くキスをして、耳元で囁く。

 

「お前が、どれだけ必要とされてるのか、身体に教えてやる」

 

先ずはキスの雨からだった。

 

「あっ♡ は、ぁうっ♡」

 

耳から首筋へ、首筋から鎖骨へ、胸の谷間へ、乳房の縁へ。

直接的な性感帯にはあえて触れず、愛情表現を最優先して、ユスティネの褐色肌をついばむ。

 

「は、うっ♡ 藤次、様ぁ……っ♡」

 

甘い前戯を受けたユスティネが、戸惑うように身をよじる。

妖女の身体には、物足りないくらいの刺激だろう。

 

「やぁ♡ そんな、お優しく……んぁぁう♡」

 

しかし今回のユスティネの蕩け方は、いつもと違った。

いつもの彼女は、肉感的な肢体を好き放題されることを好んでいた。

こういう、恋人との幸せな時間を大切にするような前戯は、あまり体験していない。

 

「だめ、ですぅ♡ こんなのっ……んあぁぁ♡ 生娘でも、ないのに……あぅっ♡」

 

両肩から両腕、腰から足を愛撫されて、ユスティネは呼吸を荒げる。

快感の量は普段より乏しいのに、心に響く。

自分がいま慈しまれていることを強く感じさせる行為が、彼女の胸を甘く締め付けていた。

 

「じっとしていろ。何も考えなくていいんだ」

 

藤次の手が、ようやくユスティネの豊乳に触れる。

触れるにしても羽毛が乗るくらいの浅いもので、だというのにユスティネの身体は鋭敏に震えた。

 

「はぁっ♡ ああっ、ああぁぁっ♡」

 

手の動きはゆっくりで、決して強くない。

ただ、そんな弱い愛撫が、ユスティネの精神を誘導していく。

 

「藤次様ぁ♡ 分かります、お気持ち、伝わってきて……あぁ♡ 私、こんなに思われてっ♡」

 

気持ちいい、ずっとこうされていたい――と思う反面、

もっと強く、もっと激しくしてほしい――と渇望する。

心は慈愛を感じて癒やされているのに、体はいつもより焦らされているため燃え上がる。

そうした相反するような熱情に挟まれて、それ以外のことなど何も考えられなくなっていた。

 

「藤次様っ、私、もう大丈夫ですからぁ♡ さっきみたいなこと、もう、思ってませんからぁ♡」

 

気がつけばユスティネの心からは、当初あったネガティブな感情など消し飛んでいた。

 

「本当かい?」

「はい♡ 藤次様、すごいです……私の気持ち、こんなに簡単に、綺麗にされちゃって……まるで、魔法みたい……」

 

気持ちの込められたスキンシップで、心が洗われる。

肉体が性に敏感な妖女だからこそか、性の悦びはメンタルケアにも効果的だった。

 

「お気を遣わせました……どうか、ここからは、いつも通りに……♡ 私にも、あなたを癒やさせてくださいませ♡」

 

ユスティネは藤次の頭を両腕で抱き寄せる。

相手のことを考える余裕が生まれてきたのなら、大丈夫だという言葉も強がりではないだろう。

 

「そうか、なら……」

「あっ♡」

 

乳房に置かれた両手の指に少し力を込めて、谷間に顔を埋めながらユスティネを見上げる。

 

「今日は、お前に甘えさせてもらうぞ」

「っ」

 

驚いたような顔をするユスティネの乳首を口に含む。

 

「はぅっ♡」

 

思わず、といったように声が漏れた。

かなり敏感になっている。いつものように、強く責めれば責めるほど喘ぐだろう。

 

「ひあっ♡ あっ♡ んんっ♡」

 

しかし、いまはそういう気分じゃなかった。

復活したとはいえ気落ちしていた彼女を、ことさら責め立てるのは気が乗らない。

 

「ふぁ♡ 藤次、さま? あっ♡ な、なんだか……いつもと、んんっ♡」

 

だから、それこそ赤ん坊が母の乳を求めるように、静かに乳首を吸っては舐める。

 

「は、ああぁっ♡ んうぅっ♡」

 

ユスティネも最初は困惑していたが、手は無意識のうちに藤次の頭を撫で始めた。

その顔には困惑と興奮が混ざり合い、頬の朱が色濃くなっていく。

 

「やっ♡ そんな……藤次様、こんな……赤ちゃん、みたいにぃ……♡」

 

ぴくんっぴくんっ――と、小刻みに震えながら、ユスティネが声を絞り出す。

 

「甘えて、る……っ♡ 藤次様が、私に……っ♡ ふぁうっ♡ おっぱい、吸って、るぅ♡」

「嫌か?」

 

過敏な反応を示すユスティネに尋ねると、彼女は首を強く横に振った。

 

「嫌なわけないですっ♡ 藤次様みたいな方が、私なんかに甘えてくださるなんてっ♡ あっ♡ んんっ♡ そんな、可愛らしいお姿っ♡ 見せて、くださるなんてっ♡ ひぁうっ♡」

 

可愛いという評価は複雑なので、吸ってない方の乳首を軽く指で転がす。

 

「そんなに意外か? これだけ大きな胸を前にしたら、男なら甘えたくなる」

「だって、藤次様はいつも、大人で、頼もしくて……あぅぅっ♡ なんだか、変な気分に……ひぅっ♡」

 

それほど強く刺激しているわけでもないのに、ユスティネの反応が顕著だ。

 

(もしかすると……)

 

ふと浮かんだ仮説を検証するため、再び目の前の谷間に顔を埋める。

 

「ユネのおっぱい、美味しいよ」

「ひぁうっ♡ そんな、ことっ、仰らなくても……あっあっ♡」

 

口に含み、舌先でくすぐる程度のことで、ユスティネは頭を掻き抱いてくる。

 

「ずっとこうしていたい。だから、どこにも行くな……っ」

「ふぁっ♡ あぁんっ♡」

 

あえて弱々しいことを言い、縋るように抱きしめると、ユスティネは切なそうに背筋を反らす。

 

「行きませんっ♡ んあっ♡ どこにも、行きませんからぁ♡ あぁんっ♡ ずっと、お側におりますからっ♡」

 

やはりそうだ――

強い刺激を与えたわけでも、テクニックを尽くしたわけでもないのに、快感の声が高い。

 

どうやらユスティネは――母性を刺激されることに弱いらしい。

 

「ユネ……っ」

 

そうと分かれば、自分が大の大人であることも忘れて、彼女の体にべったりと体重を預ける。

 

「ふぁぁぅぅっ♡ あっあっあぁぁ♡ 音っ、らめですっ♡ ちゅぱちゅぱ、しちゃ♡ んぁぁぁっ♡」

 

音を立てて乳首を啄むと、ユスティネはまるで激しい挿入でも受けているように、何度も体を反らした。

 

「嫌だよ。ユネから離れない」

「ひぅっ♡」

 

まるで子供のように甘えたことを言うと、ユスティネは目を潤ませ、耳まで赤くなる。

子供好きなのは知っていた。元から母性の強い子だった。

しかし、セックスの中でそれが機能するのは、彼女にとっても初の体験なのだろう。

これまで彼女とのセックスは、猛獣のように腰を振って感じさせるか、大人の男としてリードするかだった。

ユスティネにとって藤次は『目上』であり、母性を覚える視点はなかったのだろう。

しかし、藤次が恥を捨てて少年のように甘えてきたことで、性欲と母性が連結されてしまった。

その結果が――

 

「あっあっ♡ だめっ♡ 変っ♡ 身体が変ですっ♡ おっぱいだめっ♡ やっ♡ 違うのっ♡ 止めちゃだめっ♡ 離れちゃ駄目ですっ♡ あっあああぁぁぁ♡」

 

単調に乳首を吸われ、胸を触られるだけだというのに、ユスティネの達する頻度が急増していく。

こちらに対する言葉も、どこか年下を扱うようなものに変化していた。

母性と雌性を同時に満たされるような快感に戸惑いながらも、完全に酔っている。

 

(こんなになるのか……一度や二度抱いたくらいじゃ、分からないもんだな)

 

新たに知ったユスティネの一面に、こちらも昂ぶる。

胸だけでは満足できなくなってきた。

 

「ユネ、いいね? ユネの中で、気持ちよくなりたい」

「っっっ♡ 来て♡ きてぇ♡」

 

真っ直ぐ見詰めてストレートに宣言すると、ユスティネの顔が歓喜に震え上がり、自ら足を開く。

 

「私のここに、おいでになって……気持ちよくなってくださいませ♡」

 

どこか、貴族の令息に女の味を教えようとするメイドのように、ユスティネは自ら秘所に指を運び、大陰唇を指で広げて見せた。

思わず息を呑む。

それこそ、女を知らぬ少年に戻ってしまったかのように。

ユスティネの母性を刺激するため子供めいた態度をとったせいか、こちらの精神まで子供に戻ってしまったのか。

 

「っ」

 

そんな興奮に背中を押されて、ユスティネの脚の間に腰を入れる。

彼女の乳房に夢中で気付かなかったが、我慢させていた肉棒は限界まで張り詰めていた。

上向きに高く反り返るペニスを指で下ろし、ユスティネの膣口にあてがう。

 

「ふぅっ♡ ふぅーっ♡ ふぅーっ♡」

 

淫唇が噛む程度に先端が埋まると、ユスティネは軽く震え、耳に響くほど呼吸を荒くした。

片手の指を唇へ添え、濡れた瞳でこちらを見上げてくる姿は、あまりにも艶やかで美しい。

 

「あうっ♡」

 

片手で乳房を掴む。

挿入の瞬間に意識を向けていたユスティネは、不意を打つ刺激に身体を震わせ――

 

「あっ♡ あああぁぁぁぅぅぅっっっ♡」

 

そのまま覆い被さるように腰を入れると、熱く濡れそぼった膣内を突き進む肉棒に、大きく身体を反り返らせた。

フェイントを掛けるような挿入は効果的だったようだ。

きゅんきゅんきゅんっと震えるように締まる膣内、それと同じタイミングで全身に入る痙攣。

 

「はひゅうっ♡ 入って、りゅ♡ 藤次様、きてりゅぅ♡」

 

入れらただけで達してしまうのは、妖女の彼女ならいつものことだが、今日は格別に反応がいい。

 

「ユネ……あぁ、気持ちいいよ」

「ああぁう♡」

 

背中に腕を回して、胸に顔を埋めながら言うと、また母性が刺激されたのか嬌声が上がる。

心身の両面から堕とすようなセックスは、彼女にかつてない悦楽をもたらしているようだ。

 

「あっ♡ 藤次様……私やっぱり変ですっ♡ いつもと、イキかた違くてっ♡ 長くてっ♡」

 

目尻を下げ、半開きになった口からこぼれる声は甘く官能的だ。

膣壁が蠕動し続けているのは、また絶頂が続いているからだろう。

 

「動くよ、ユネっ」

「ふぁぁうっ♡ いいっ♡ 動いてっ♡ 私のことっ♡ ああぁぁっ♡ 気にしなくて、いいですからっ♡」

 

まだ絶頂の残っているユスティネに向けて、ゆっくりと腰を前後させる。

 

「んくぅぅっ♡ あぁぁっ♡ おくっ、コツコツって♡ ふぁうっ♡ ゆっくり♡ ゆっくりなのにぃ♡ すごいっ♡ じわーって♡ 体中にっ♡ ゆっくり、イってますっ♡」

 

普段のセックスと比べればスローペースなくらいだが、ユスティネの乱れ用はいつも以上だった。

ベッドが軋む音も、結合部からの水音も、さほど聞こえない。

ただユスティネの乱れる声だけが、ヴァイオリンによる切なげな演奏のように響いている。

 

「んぁぁぅっ♡ だめですっ♡ いまっ、おっぱいだめっ♡ 吸われたらっ♡ だめっ♡ あっあっあああぁぁぁっ♡♡♡」

 

左右の乳房を掴み、顔の前まで持ち上げて中央に寄せる。

そうして二つの乳首を同時に舌でくすぐると、ユスティネは首を激しく左右に振った。

枕との間で擦れたせいか、髪留めが外れ、ポニーテールだった金髪がベッドの上に広がる。

 

「んひゅっ♡ い、吸っても、おっぱい出ませ、んっ♡ ああぁあっ♡♡♡」

 

よほど敏感になっているのか、舌先で叩かれるだけで、膣内の収縮が起きる。

小さな水音と共に舌を踊らせながら、腰の動きを少しずつ加速させていくと――

 

「ぁぁぁあああっ♡ らめっ♡ イってるんでしゅっ♡ ずっとずっとぉ♡ イったままなのにぃ♡ こんなっ♡ 幸せな気持ちにっ♡ ひゃぅぅぅっ♡」

 

ユスティネの手足が、背と腰をホールドする。

 

「だめだ、止まらない。もっと、ユネの中で気持ちよくなりたい……っ」

「ふぁぁぁ♡ 言っちゃだめっ♡ そんなっ♡ 可愛いことっ♡ だめでしゅっ♡ いまだめなんしゅっ♡ 甘えてくれるの気持ちよすぎるぅぅぅっ♡」

 

素直な言葉で懇願すると、ユスティネはまた大きく背中を反らし、深いオーガズムを迎える。

流石に小休止を入れてやるべく、胸から顔を離して、彼女の全身を見下ろした。

 

「はひっ♡ はうっ♡ ふぁぁ♡ あっ♡」

 

長い金髪を広げたユスティネは、まるで女神のように美しかった。

それ以上に、湯気が立つほど火照った肌に汗を浮かべ、蕩けた顔で喘ぐ彼女は、あまりに色っぽかった。

 

「っ!」

 

我慢の限界だった。

ユスティネの母性を刺激するため、あえて弱々しいセックスをしていたが、これ以上は自分のオスを抑えきれない。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「ふあっ♡ 待って――」

 

腰を両手で掴まれたユスティネは、こちらの興奮状態に気付いて目を丸くする。

彼女の予感を裏切らず、彼女の腰を軽く浮かせて、ハイスピードの抽送を叩き込む。

 

「ふあぁあぁぁっ♡ 急にっ♡ そんなっ♡ 奥っ♡ つよくしちゃっ♡ あっ♡ あ゙っ♡ あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ っ♡」

 

これまでのスローセックスで、身体はすっかり出来上がっていたようだ。

子宮口を連打されるユスティネは、枕を掴んで激しく身をよじり、猛烈な連続絶頂に乱れ狂う。

 

「まったく、何が『可愛い』だ! これでも可愛いかっ!? んんっ!?」

「んおっ♡ おっ♡ おゆるしっ、くださいっ♡ おっおっおぉぉ♡」

 

先ほどまでの縋りつくような抽送から、蹂躙するようなピストンに変わったことで、ユスティネの身体に駆け巡る絶頂も強烈になっているようだ。

目を見開き、口からは涎が垂れ、獣めいた喘ぎ声が鳴り響く。

 

「怒ってないぞ、安心してイけっ! ただユネに、一人前の男だって、思い知らせたいんだ!」

「んっ、んぎっ♡ イって、ましゅっ♡ 最初から、ずっとぉ♡ 藤次様のぉ♡ 逞しさっ♡ じゅうぶん、おぼえてまひゅっ♡♡ あぁあぁ゙あ゙っ♡♡♡」

 

先ほどまで子供っぽかった男が、突如として雄々しくなったような感覚だろうか。

 

「らめらめゆるしてぇっ♡ イクの長いんですっ♡ 終わってないのにっ♡ 増えてるのっ♡ イクのっ、いっぱい重なって、ぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

「許さないぞ。自分の立場を忘れて、上から目線になってたメイドには、お仕置きだ!」

 

腰のグラインドに角度を付けて、執拗に膣道の弱点を擦り、子宮を奥へと押し込んでいく。

結合部からの衝撃と、ユスティネ自身の絶頂痙攣で、彼女の爆乳がばるんばるんと音を立てそうなほど揺れ動いていた。

 

「あ゙ぁ゙あ゙ぁ゙っ♡ こんなっ♡ しゅごいっ♡ さっきまで、甘えてたのにっ♡ あっという間にっ♡ 男の人にっ♡ ずるいでしゅっ♡ こんなの溶けちゃうっ♡ 体も頭もとろとろになっちゃいましゅっ♡」

 

かつてない恍惚状態に陥っている。

性癖を満たされた上での激しいラストスパートは、妖女にこれほどの悦楽を与えるものなのか。

 

「気持ちいいだろうっ。俺の女でいれば、いくらでもこうしてやるっ! だから、どこにも行くなっ! ずっとずっと、俺のものでいるんだ!」

 

ごちゅん! と、一際に強く怒張を押し込む。

ユスティネの膣が痙攣し、彼女の瞳が瞼の裏に隠れそうになる。

 

「んおっ♡ ぉぉぉっっっ♡ いま、しゅっ♡ お側にっ♡ ずっとぉ♡ いさせてくださいっ♡ ずっとずっとぉ♡ イカせてくだしゃいっ♡」

 

泣き笑うような顔で訴えるユスティネ。

 

「なら、俺の奴隷になれ! そうすれば、中出ししてやる!」

「はひっ♡ なりましゅっ♡ なりたいっ♡ ニナみたいにっ♡ あなたの雌奴隷になりゅっ♡ シーアみたいにぃ♡ ママになりたいでしゅっ♡」

 

射精を目掛けて腰を加速させながら命じると、ユスティネの口から心の奥底が吐き出された。

連続絶頂の只中ゆえに吐露された、彼女の願い。

ユスティネはシーアと違って婚約者ではなく、ニナと違って正式に奴隷でもない、下宿人だった。

あるいはそのことに、彼女は不満や劣等感を抱いていたのかもしれない。

そんな愚かしいコンプレックスを塗りつぶすように――下腹部の熱を解き放つ。

 

「っぐ!」

「お゙っ♡ んぉぉぉっ♡ あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ っ っ ♡ でてりゅぅぅぅっ♡ しきゅーっ♡ あちゅいのっ♡ いっぱいにされてましゅぅぅぅっ♡」

 

妙な、そして深い達成感があった。

自分はいま、ユスティネのより深い部分に、自分を刻みつけたのだと。

肉体のみならず、彼女自身も知らなかった性癖を通じて精神までも、自分に耽溺させたのだ。

歳不相応に豊満な肢体を持つこの少女を、自分だけの雌奴隷にする資格を勝ち取ったのだ。

 

「しゅきっ♡ だいしゅきっ♡ 藤次様、らいしゅきでしゅ♡」

 

焦点の合わない瞳で、うわごとのように訴えながら、しがみついてくる。

膣内射精された精液を一滴も逃すまいとするように、指は背中に爪を立て、足は腰をホールドして離さない。

彼女の愛情や依存心が、これまでの何倍にも増幅されたことが実感できた。

 

「はひゅっ♡ なりゅ♡ どれい♡ とうじさまぁ♡」

 

やがて意識が保てなくなったのか、絡み付いていた手足が解かれ、ベッドの上で脱力する。

涙や涎で汚れた顔を、軽くティッシュで拭いてやる。

するとその寝顔は、まるで恋の実った少女のように可憐だった。

 

「ふぅ……これで、一安心、かな?」

 

彼女に全てを忘れさせる――その目的は成功したようだ。

炎上のことだとか、藤次やクレアへの負い目だとか、シーアやニナへの些細な劣等感だとか、そういうものはもう塗りつぶせただろう。

 

「あ……藤次、様?」

 

ユスティネの体を清めてやり、自分も汗を拭った頃、彼女が目を覚ます。

意識が戻ると、先ほどまでの自分の醜態を思い出したのか、顔を赤くしていた。

そんなユスティネの、下ろされている金髪を軽く撫でつつ、隣り合って横になる。

 

「その……も、申し訳ありません。お気を遣わせて……」

 

藤次がセックスを通じて何をしようとしていたのか、ユスティネも気付いたようだ。

 

「いいんだ……それより」

 

このまま幸せに眠ってしまいたいが、実はまだ大事な用件が残っている。

 

「俺の奴隷になってくれるって、本当かい?」

「あ……っ」

 

先ほどの情事の中で出た言葉を再確認すると、ユスティネはハッとする。

 

「それは……その、あのときは……私はまだ、クレア奥様に雇われた身で……」

 

気まずそうに目を泳がせると、涙目になって撤回しようとしていた。

それが正しい。彼女の雇用主はクレアで、藤次の奴隷になると宣言したのは『気持ち』の問題だ。

しかし――

 

「実は、そのクレアさんから提案があったんだ」

「え?」

 

藤次の言葉に、ユスティネは目を丸くする。

ユスティネを迎えにクレアの家まで行ったとき、娘さんとユスティネが遊んでいる間に、交わした言葉があった。

 

『ユネさんをお譲りします――あの子、西条さんをお慕いしているみたいですから』

 

クレアはユスティネのことをよく見ていた。

シーアやニナと共に同居している中、シーアは藤次の婚約者となり、ニナは藤次の奴隷となった。

そんな中でユスティネだけが他に雇い主を持ち、居候しているだけの立場であることを気に病んでいると。

 

『それは……』

『誤解なさらず。決して厄介払いしたいわけではありません。

 我が家での仕事は、西条さんのところから出向していただく形で。

 賃金も私から西条さんにお支払いした後、ユネさんに届けていただければ』

 

つまり、雇い主こそ藤次になるが、仕事は変わらずクレアの家での家事と子守りだ。

ユスティネに懐いているアイナも、寂しい思いをしなくて済む。

何より――ユスティネは、好きな男性と正式な関係を結ぶことができる。

 

「そ、そんな話が……」

 

知らぬ間に進んでいた話を聞いて、ユスティネは目を丸くしていた。

 

「君の人間界での生活に、責任を持ちたいんだ。シーアやニナと同じように」

 

ユスティネを抱き寄せ、語り掛ける。

 

「だからもう一度言うぞ――ユネ、俺の奴隷になってくれ」

 

まるでプロポーズのように、ある意味でそれに相当することを承知で、ユスティネに訴える。

その形態が結婚だろうと主従だろうと、君の人生をくれと伝えるなら、意味は同じことだろう。

 

「あ……はぅ……ぁ……♡」

 

ユスティネは衝撃を覚えたように目を見開くと、その目を潤ませて頬を朱に染めた。

やがて、抱き寄せる藤次の腕に身を預けるように、胸板に顔を埋めて――

 

「はい――()()()♡」

 

こくりと頷きながら、藤次のことをそう呼ぶのだった。

 

 

 




ご一読いただきありがとうございました。

かなり投稿が送れてしまい、まことに申し訳ございません。
二話同時の執筆なんてするもんじゃないね。
次話の幕間も同日投稿しております。

※誤字報告いただきました方、度々ありがとうございます。
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