誘惑禁止条例 ※性犯罪被害は条例違反にあたらない 作:大中小太郎
その後、木城クレアを中心とする炎上は、つつがなく鎮火していった。
芸能人として仕事の話を失うといった損害もなく、炎上で生じた批判者が、その倍の支持者を呼び集めるという結果に終わった。
いまでは、カウンター気味に炎上した幾つかのアカウントが、野次馬たちに『蜜の味』を提供している。
一連の騒動は結局、妖魔界からの出稼ぎに職を奪われたくない底辺層の反発を利用したキャンセルカルチャーに過ぎなかったのだと、ネットの民たちは結論付けた。
そういう面倒な仕事が片付いた後の、朝――
「ちゅっ♡ んんっ♡」
「ぷあっ♡ ふふっ♡」
「はぅっ♡ おっきい」
藤次は、シーア・ニナ・ユスティネの三人掛かりで、肉棒を慰められていた。
「みんな、朝から済まないな」
シーアたちに起こされ、飲み物を渡された藤次は、それを飲み干して下腹部を見る。
そこでは三人の褐色エルフたちが、各々の乳房で肉棒を取り囲んでいた。
「もう、駄目ですよ旦那様♡」
「そうそう、そこはもっと威厳ある感じにしてくれないと♡」
「私たちは奴隷ですもの。もっとこう、従える感じにしてくれた方が嬉しいんです♡」
正面からはシーアが、左右からはニナとユスティネが、三方向から額を付き合わせる。
彼女らの眼前にはそそり立つ雄の柱があり、それは雌の象徴たる乳房たちに埋もれていた。
三人は胸で『押しくらまんじゅう』をするように乳圧を掛け、顔を沈めて舌で奉仕している。
肉棒の全方位を包み込むトリプルパイズリフェラを、まるでモーニングコーヒーのように堪能している自分が、いまだに信じられない。
「威厳か……なら、お前たちに命令だ。俺がいいと言うまで続けろ」
「あぅ♡」「はぁい♡」「喜んで♡」
あえて偉そうな口調を心がけ、仰向けになってベッドに身体を沈める。
両手を頭を後ろに沿えて、ビーチで日光浴でもするように。
そんな男の下腹部を中心に、ベッドの上で伏した三人の美少女が口淫を続ける。
彼女らの背中とヒップが身じろぎする様は、ベッドの上に妖花が咲いたかのようだ。
「んふ……ちゅ♡ れろ、ちゅっ♡」
「ぺろ、れるっ♡」
「ちゅっ♡ ちゅっ♡」
三人それぞれ違った舌技で、藤次の肉棒を悦ばせる。
シーアは先端に吸い付き、ニナは舌を突き出してカリを舐め、ユスティネは横笛を吹くようにキスをする。
それぞれの手は己の乳房を捧げ持ち、根元から幹を甘く包んで、乳肉で擦り上げた。
「ふふ、旦那様はじっとしていてくださいね♡」
「毎日頑張ってくれてるおちんぽ、癒やしてあげるから♡」
「他にして欲しいことがあったら、いつでもご命じくださいませ♡」
まどろむように、彼女たちの奉仕を堪能する。
ともすればこのまま二度寝をしてしまいそうな、睡眠と性感が融合した悦楽だ。
「ふと気になったんだけど、胸や口でするのは、女性も心地いいものなのか?」
「もちろん♡ お腹で受け止めるのとは、また違った気持ちよさがあるんですよ♡」
「それにこれなら、旦那様をずっと気持ちよくしてあげられるもん♡
入れられちゃったら、こっちがイキすぎて、すぐ動けなくなっちゃうし……♡」
「ですから、遠慮せず堪能してくださいね♡
旦那様に普段いただいている快感を思えば、百分の一も返せていなんですから♡」
という彼女たちも、飽きることなく奉仕を続ける。
舌と胸の感触を用いて、眠る猫の背を撫でる程度に、愛情と献身を示していた。
彼女らの首には、いまでもチョーカー型の首輪がある。
シーアも、ニナも、そして先日にはユスティネも自分の奴隷になった。
こんなに可愛く美しく、淫らで献身的な少女たちを三人も、我が物にしている――
不徳ながら、雄の本能を満たす光景に、寝ぼけていた劣情が動き始める。
「そろそろ入れたい……ユネ、仰向けになれ」
「ぁ♡ はい……」
一声かけただけで、三人は肉棒からパッと離れた。
「もう、ユネってばズルい……」
「やっぱり旦那様、大きい方が好きなんじゃ……」
仰向けになったユスティネの左右、半ば並ぶようにして、シーアとニナが身を低くしている。
三人ともメイド服の胸元を開いて乳房を踊らせており、さりげなくスカートをめくり上げて、藤次に下着を披露していた。
日に日に、そういう男を誘惑する小技を上達させている。
「二人も可愛がってやるから、いまは旦那様を手伝うんだ」
「あっ♡ だ、旦那様? 手伝うって……」
ユスティネの足を開かせると、彼女はそちらには逆らわなかったが、シーアとニナに向けられた命令について不安がる。
彼女がそうであるように、シーアとニナも命令の意味を察して、少し頬を染めていた。
「どうした?」
あえて、圧迫するような確認をすると、強気な態度を見た二人は軽く息を呑む。
威厳ある態度で――という注文を守った藤次に、命令に従う悦びを触発されていた。
「ふふ、ごめんなさいユネ」
「旦那様の、命令だから……」
「きゃっ」
シーアとニナは、ユスティネの両腕をそれぞれ掴んでベッドに押さえ込む。
片手で手首を拘束しつつ、もう片方の手をユスティネの下半身へ。
「さあ、旦那様……♡」
「ユネのおまんこ、準備できたよ♡」
シーアはスカートを指先で抓んで持ち上げ、ニナはショーツのクロッチを指でズラして秘所を晒させる。
まるで、貴人が服の着替えをするとき、指一本たりとも使わせず補助するように。
ベッドの上で女を脱がすことにさえ、主人の手を患わせない――これはそういう奉仕だった。
「ふ、二人とも……っ、やっ、恥ずかしい……っ♡」
藤次はともかく、同性のシーアやニナに脱がされるという体験に、ユスティネは困惑と羞恥を覚えている。
そこに初々しさを感じて、普段とは別の興奮が肉棒を滾らせる。
「ニナ、入口を広げろ。シーアは、無理をするなよ」
「「はぁい♡」」
シーアは子供を宿したお腹を忘れないようにさせ、ニナにはユスティネの陰唇を指で開かせる。
「やっ、見ないで……っ」
まるで生娘のように顔を覆うユスティネだが、口を開いた膣は濡れそぼり、湯気が立ちそうなほど熱を帯びていた。
「駄目よ、ユネ。あなたも旦那様の奴隷になったんだもの」
「恥ずかしいのは分かるけど、そんな可愛い顔してたら、旦那様がかえって燃えちゃうよ?」
シーアとニナが左右から語り掛ける間に、張り詰めた逸物を秘裂にあてがう。
ニナの指の間、左右に広げられた陰唇の中心に、赤黒い亀頭がすんなりと滑り込んでいくと――
「くぁ……っ、ふぁっ、んんんぅっ♡」
ユスティネは口を吐いた嬌声を必死に噛み殺すが、身体に走る痙攣が絶頂を物語り、豊満な胸が震動している。
「わぁ……ユネのお腹に、旦那様の形が浮いて……」
「明るいところで見ると、こんな風になってるんだ……」
シーアとニナが息を呑む。
自分に入っているときとは異なる視点が、二人にとっても新鮮なようだ。
「こら、見てないで手伝うんだ」
「ひゃうっ♡ あっ♡ あんっ♡」
藤次は緩やかに腰を動かし、ユスティネの膣内を解しながら、シーアとニナに命じる。
「旦那様……?」
「手伝うって……」
「もちろん、ユネが感じるように、気持ちいいところを弄ってやるんだ。
いつも俺がお前達にしているように、乳首やクリトリスを苛めてやりなさい」
お前達にしているように――という台詞があれば、それ以上の説明は不要だった。
シーアとニナは顔を赤くして生唾を呑み、ユスティネが血相を変える。
藤次は彼女らにレズプレイを強要しているのである。
「だ、旦那様っ、それはお待ちくださ――ああんっ♡」
慌てて制止しようとしたユスティネは、子宮口を擦り上げて黙らせる。
「だ、旦那様? 確かに、同じ夫を持つ『義姉妹』がそういう工夫をすることはありますが……」
「それは、その、マンネリ解消というか……わ、私たちには、まだ早いかなって……」
シーアとニナは赤面しながら戸惑っている。
表情から読み取る限り、本気で嫌がってはいない。興味はあるが踏ん切りはつかないというところだろう。
だったら、自分がすることは一つだった。
「お前達……」
「ひゃっ♡」
「やんっ♡」
シーアとニナの秘所に指を這わせた。
ユスティネに左右から覆い被さる形で尻を向けていた二人に、両腕を駆使して手淫を見舞う。
腰では真ん中のユスティネを責めるのも忘れない。
「自分の立場を忘れたのか?」
腰と両手を用いて、三つの膣内を同時に掻き回すと、三人の嬌声が上がった。
「あぁぁんっ♡ 申し訳、ございませんっ♡」
「ふぁぁっ♡ 旦那様っ、怒らないでぇっ♡」
「忘れてませんっ♡ 片時もっ、忘れてませんからぁっ♡」
三つの秘所から鳴る水音を伴奏に、少女三人が喘ぎ声を合唱する。
「なら命令に従え! お互いを気持ちよくするんだっ!」
思い切って命令を口にすると、奴隷の首輪が淡く発光する。
すると、シーアとニナが、抽送を受けて揺れるユスティネの乳房に吸い付いた。
「きゃうっ♡ 二人ともダメっ♡ やっ♡」
敏感な乳首を同時に責められたユスティネが、たまらず嬌声を上げる。
藤次にされたときよりも抵抗感が強いようだが、『命令』されたシーアとニナは止まらない。
「ちゅっ♡ ごめんねユネ、旦那様のご命令だから……っ」
「れるっ♡ こうして見ると本当、おっきい。男の人が夢中になる気持ち、分かるかも……♡」
「ひっ♡ あっ♡ やんっ♡ あっあっあっ♡ んんんっ♡」
二人はユスティネの腕を押さえ込んだまま、自分がされてきた舌使いを真似るように乳首を転がす。
そんな三人をじっくり眺めながら、緩やかに腰を前後させる。
「ふぁっ♡ やぁっ、旦那様ぁっ♡ わたしの、おっぱい、旦那様のなのにぃ♡」
乳首を膣内を三人がかりで責められるユスティネは、その三点責めよりも、藤次以外の人間に感じさせられているということに困惑していた。
「俺だけじゃ飽きられるかもしれないからな。色んな方法で気持ちよくなってほしいんだ」
「ひぁうっ♡ しょんなことっ、ないでしゅっ♡ 旦那様のお手々や、お口でされるのっ、いつもすっごく気持ちいいのにっ♡」
挿入に喘ぎながら、ユスティネは藤次の手による愛撫を欲していた。
女の細い指や舌では、男にされているときと比べて物足りないのだろう。
(楽ができるかと思ったが、物足りないなら仕方ないか――)
そう思い、手を動かそうとすると。
「ユネ? なにを言ってるの?」
先んじてシーアの片手が動き、驚いたことにユスティネの陰核を指先で抓っていた。
「ひきゃうっ!?♡」
陰核を抓られたユスティネは、突然訪れた強い刺激に素っ頓狂な声を上げた。
シーアが指先をピンと伸ばすと、その腹でクリクリと転がす。
「旦那様にご挿入いただいているだけで幸せなのに、愛撫までおねだりするなんて……
あなた、自分の快感のために、旦那様のお手を煩わせるつもりなの?」
シーアの声音が少し怖い。
艶然とした笑みの中に、どこかサディスティックな影が差している。
まるで女主人のような口調で説教しながら、親友のクリトリスに指を踊らせて。
「あああぁぁぁっ♡ シーアぁっ♡ だめ待ってっ♡ ひぁうぅぅぅっ♡」
こちらは腰の動きを変えていないが、ユスティネの嬌声が甲高くなる。
シーアとニナの手管が、ユスティネの性感帯を扱い慣れてきた証だろう。
「勘違いしちゃダメよ? 私たちがおねだりしていいのは、旦那様がそれをお喜びになるとき。
お疲れの旦那様にご負担をかけるような奴隷は、うちにはいないのよ?」
きゅう! と、シーアの指先がユスティネの陰核を抓り上げた。
「ひきゃぁあああっ!?♡」
これまでより強い刺激に、ユスティネの視界が白く染まる。
「こら、シーア」
藤次は嗜めるように、彼女の膣内を掻いていた指を奥へ進めた。
「ぁぁああっ♡♡」
シーアは甘く達して背筋を反らし、ユスティネが責め苦から救われる。
「あまり苛めてやるな」
最近、シーアはたまにSな一面を垣間見せる。
元から秘めていたのか、それとも妊娠による気性の変化だろうか。
「申し訳、ございません♡ 差し出口、でした……っ♡」
くちゅくちゅと膣内を掻き回され、小刻みに痙攣しながら、シーアは艶然とした笑みで振り返る。
「俺はただ、皆で気持ちよくなりたいだけだ」
「ひぁうっ♡」
ニナの膣内に入れた指も奥へ進める。
「ほら、ペースを上げるぞ。二人でユネをたくさんイかせてやるんだっ」
「んぁんっ♡ あっあっあっあっあっ♡ だんなしゃまぁっ♡」
射精が近付いてきた怒張の動きも加速させた。
「ユネ、乳首を強く吸われるのが好きなのよね? ちゅぅぅぅっ」
「ここ、お腹のところ……子宮を上から押さえたら気持ちいい?」
シーアが音を立ててユスティネの乳首を吸い上げつつ、肉芽への手淫も加速させる。
ニナもまたユスティネの乳首に舌をちろちろとさせながら、肉棒に突かれる子宮を手の平で軽く圧した。
「んおっ♡ おぁっ♡ あ゙あ゙あ゙ っ っ っ ♡」
ユスティネは目を剥いて、喘ぎ声を乱れさせる。
藤次一人とのセックスでは体験できなかった、集団で多数の性感帯を刺激される快感に狂わされていた。
「らめぇ♡ らめなのぉっ♡ シーアでっ、ニナでっ、わらひっ♡ おっぱいイってりゅっ♡
だんなしゃまのおちんぽで敏感な身体っ♡ お友だちにまでイかしゃれてりゅっ♡
これだめですっ♡ 知っちゃいけないのですっ♡ ああぁぁ変わっちゃうっ♡ わたしまたっ♡
旦那様に生まれ変わらされるっ♡ 旦那様の思い通りに作り替えられちゃいましゅっ♡」
女同士の快感を覚えてしまったユスティネは、初めて男を知ったときのような顔をして、絶頂の間隔を短くしていった。
「いいぞ、その調子だっ」
左手はニナを、右手はシーアを感じさせる。
その二人はユスティネを感じさせ、ユスティネは膣で藤次を悦ばせる。
そういう奉仕の好循環めいたものが、ベッドの上で繰り広げられていた。
「あぁんっ♡ 旦那様っ♡ お手々そんな動かしちゃ、お手伝いできないですっ♡」
「やだ、ユネってば、そんなイかないで♡ こっちまで、伝わって来ちゃってっ♡」
ユネに引き摺られてか、シーアとニナも藤次の手淫により、小刻みに達し続けている。
「っく……っ!」
やがて訪れる射精の瞬間。
それに逆らわず、逸物をユネから引き抜いて、彼女の腹部に放出させた。
「んあっあ゙あ゙あ゙ぁぁぁっっっ♡」
「ひゃうぅぅっ♡ 熱いの、お手々にっ♡」
「やだっ、私もっ、イクぅぅぅっ♡」
こちらが達すると同時に、ユスティネが大絶頂に至り、シーアとニナも手淫に果てる。
飛び散った白濁液は、ユスティネの腹や臍だけでなく、ユスティネに触れていたシーアとニナの手にも撒き散らされた。
「はっ♡ はぁっ♡ はぁぁぁっ♡」
「はふぅ♡ 旦那様の、お精子……♡」
「外になんて、もったいない……♡」
ユスティネは息も絶え絶えに放心。
シーアとニナは手に付着した白濁液を見て恍惚とし、まるで美酒でも扱うように香りを吸い込み、舌で味わう。
「ふぅ……みんな、良かったぞ」
内容こそ濃密だったが、藤次の負担は小さく済んだ。
なにせ軽く腰を前後させただけで、それ以外はシーアとニナがユスティネを感じさせてくれた。
それでも、朝の運動というには、いささか過激だったが……
○
あれからシーアたちは、少し変化した。
以前よりも露骨に、ご奉仕するようになってきたのだ。
それは媚びるというより、迷惑にならないようにと我慢してきたものを、我慢しなくなったように見える。
(前の炎上で、『遠慮しなくていいんだ』と思うようになったのかな)
彼女らは先の炎上を通じて、人間界の世情を学んだようだ。
妖女や奴隷を忌避する層はいるが、大多数は肯定的であること。
自分たちは存外に、人間界の人々に歓迎されているということ。
いわゆるノイジーマイノリティとサイレントマジョリティを学んだのだ。
結果どうなったかというと、奴隷であることを遠慮しなくなった。
出勤の前に上着を着せたりネクタイを締めたりなんて新妻的なことは序の口。
家事は万端、風呂に入れば一緒に入って身体を洗い、上がればタオルで身体を拭いて髪を乾かす。
お酒の手酌は決して許さず誰かが注ぎ、主人が欲情すれば予知していたように近くにいてガードを緩める。
事がセックスになれば、相手を疲れさせないよう積極的に動き、主人が責めたいときにだけ淫らに求める。
至れり尽くせりとはこのことだ。
思わずほくそ笑みそうになるときがある。
まるでその人間が、一から十まで自分のためだけに存在しているかのような愉悦に。
それも見目麗しい妖女が三人も――悦に浸るなという方が無理な相談だ。
最近、仕事をしている間も、そんな彼女らの待っている我が家に早く帰りたい。
シーアたちという、一流の使用人かつ性奴隷である妖女たちが待つ家は、まるで自分を王様にしてくれる城だった。
(人生、何が起きるか分からないな……)
ほんの少し前には予想もしなかった生活だ。
元妻と夫婦だった頃といったら……家のあちこちにはホコリや抜け毛が積み重なり、流し台には洗っていない食器が小山となり、洗濯機の中には夫の服だけが脱水後に放置されていて、出前ばかりで使われなかった食材が冷蔵庫の中で賞味期限を迎えている――
分担したはずの家事はいつしか常習的にサボり始め、日中の有り余る時間でなにをしていたのかと問えば、SNSがソーシャルゲームや動画視聴に主婦友ランチを『色々』と要約するだけ。
夫と話すより電話やボイスチャットをしている時間の方が長く、こちらのスマホに届くメッセージは帰宅途中の買い物リスト――
ベッドに誘えば二回に一回は舌打ちで拒否され、スマホを覗いてみれば夫に対する悪口雑言……
改めるように言うと――モラハラ、精神虐待、家父長制、生理なんだと喚き立て、数日間の不機嫌アピールと家事ストライキ。
そういう女が、化粧を落とすと正直好みではない顔で、雑な部屋着姿でソファーに寝転び、「おかえり」ではなく「冷蔵庫に入れといて」と出迎える。
ほんの少し前まで、自分にとっての家とは、そういう場所だったのだ。
「っと」
よくない思い出に囚われていた意識が、スマホの呼び出し音で我に返る。
信号待ちを利用して画面を見ると――
「…………」
噂をすれば、と言っていいのだろうか。
あまり気分のよくない名前が表示されていた。
(まあ、いいか)
運転中であることを言い訳に、ハンズフリーにもせず応答を断る。
ただいま電話に出ることができませんという案内が、向こうに届いていることだろう。
折り返し掛けるのは、時間ができたときでいい。
――三人の妖女と暮らす日々に、そんな時間がいつ出来るのかは、自分にも分からない。
○
「というわけで、ケーキを買ってきたから、皆で食べなさい」
「なにが『というわけで』なんですかっ!」
帰宅するなり、シーアに叱られてしまった。
「シーアにはちゃんと酸味のあるものを買ってきたぞ?」
「それは、助かりますけどっ。旦那様と来たら私は愚かニナとユネまで甘やかそうとしてっ」
シーアは相変わらず、奴隷を贅沢させようとする主人に対してご立腹だ。
「わぁ、綺麗……これ本当に食べ物なんですか?」
「へぇ、こういうのって、テレビとかで誇張されたものだとばっかり思ってた……」
ユスティネとニナは、既にケーキの箱を開けて、色とりどりの品に驚いている。
シーアもそうだが、人間界の甘味は、彼女たちにとってかなり新鮮なのだそうだ。
むしろ彼女らの故郷の甘味はどんなものだったのかと聞いてみると、『砂糖を舐めていた方がマシ』とのことだ。
「日頃の感謝を形にしただけだ。山のように積み重ねても足りないくらいだよ」
「もう、それはこっちの台詞ですのに……」
いつものようなやりとりの後、全員で夕食を取る。
食後のデザートに舌鼓を打つ彼女たちを愛でつつ、藤次は手紙を開いていた。
(シーアのお母さんからの手紙か……いや、もう俺もお義母さんと呼ばないとな)
以前にも手紙でやりとりした、シーアの母。
最初はシーアを抱いてやって欲しいと頼まれて驚いたものだが、思えばそれあってこその今だった。
その後は、妊娠したシーアには人間界で出産させたいという意向を伝えており、手紙の内容はその返答だ。
「…………」
目を通して、沈黙する。
内容は……決して悪い報せではないが、一部に目を疑うような文言がある。
「旦那様? 母が何か……」
「ああ、ちょっとな。シーアは読んだか?」
「私への手紙は別に届きましたので」
「なら、済まないがこっちも読んでみてくれ。このあたり、翻訳上の手違いじゃないか?」
首を傾げながら、シーアに手紙を渡す。
受け取ったシーアの左右から、ニナとユスティネも覗き込んだ。
「出産は人間界でも構わない――はい、私に届いた手紙と同じですね」
シーアは喜ばしそうだった。
やはり、治安に疑問符のつく故郷よりも平和な日本でということになった。
「それは嬉しいんだが、その続きだ」
「はい。えっと……『貴殿のおかげで、我が国は二度目の内乱を避けられそうだ』」
話の飛躍が大きすぎた。
いったい自分はいつの間に、異国の内乱を未然に阻止するなんていうスパイ映画めいたことを成し遂げたのか。
「あー、旦那様、想像がつかないって顔してる」
「ふふ、でも決して大げさじゃないんですよ?」
ニナとユスティネが微笑んでいることから、手紙がおかしいわけではないようだ。
「そうですね……」
シーアが言葉を噛み砕くような間を置いて、説明してくれる。
「実は、私の実家、それなりの軍閥なんです。
特に一族の長であるお婆様などは、革命に破れた旧体制に忠誠を誓っておりました。
同じような家々を束ねる中心人物でもあり、下手をすれば『革命返し』の旗印になるくらいに」
王家に仕える騎士とか、主君に尽くす武士とか、そういう家柄だったらしいとは聞いている。
「それだけに終戦後は冷遇されており、力を削がれていたんです。
ですが、新体制の下で力を尽くしてくれるなら好待遇で受け入れるとも言われていました。
一族の中にも、母を含めその選択を推す声もあったのですが……当主のお婆様は保守的で。
異界の思想や道具に毒された新体制になど従わぬ、と……」
シーアの祖母は、なかなかの頑固者だったようだ。
保守的な老人、悪く言えば老害、よく言えば忠臣、そんな女傑なのだろう。
「それが、曾孫が出来たと聞いたら、手の平をくるっと返してしまいまして」
「え?」
少し気恥ずかしそうに笑うシーアに、目を瞬いた。
曾孫とはつまり、いまシーアが宿している我が子のことだろう。
唖然としていると、ニナとユスティネも説明に加わってきた。
「妖魔界において、子供ってそれだけ説得力があるもんなの」
「婿を得た孫や、産まれた曾孫が、安心して帰省できる故郷にしたいと思われたのでしょうね」
子や孫が出来ると人が変わるというが、シーアの祖母もそうだったらしい。
どうやら自分とシーアの関係は、妖魔界で第二の内乱を引き起こしかねないキーパーソンのメンタルに多大な影響を与えてしまったようだ。
「手紙によると、お婆様は新政府に歩み寄り、一族の待遇もかなり改善されたようです」
「それは……まあ、よかったな……」
なにはともあれ、シーアの故郷は平和に一歩近づき、家の台所事情も改善されたらしい。
「もう、旦那様? これは旦那様のおかげなんですよ?
旦那様が私に子を授けてくださったから、故郷で第二の内乱が起きることを避けられたのです」
「……大げさじゃないか?」
シーアは首を横に振る。
ニナやユスティネにも目を向けると、同じような反応だった。
「大げさでも何でもなく、あり得たことよ」
「そうですねぇ。例えばですけど、シーアが人間界で旦那様と出会わず、冷遇されたり搾取されたりしていたら、シーアのお婆様はいまとは逆の選択をしていたと思います」
逆と言うと、新政府と和解せず、反乱分子という方向に力を注ぐ選択か。
なるほど確かに、政府軍との衝突は避けられそうもないし、その後は復讐の連鎖で紛争ループ……なんてことも国際社会ではしばしばだ。
それを防ぐことに役立てたなら、シーアに出会えてよかった――
「旦那様、微妙にご理解いただけてませんね?」
「本当、名誉貴族にされたっていいくらいなのに」
「人間界の男性って、女を妊娠させることを『男の功績』と思わないんですねぇ」
なぜか笑顔で呆れられていた。
「まあ、先方から感謝されているってことは分かったよ」
改めて手紙を読むと、自分たちをよい方向に変えてくれたことを感謝すると書き連ねられていた。
いつか直接お会いしなければと決めて、手紙を畳む。
「旦那様? 感謝しているのは、実家だけではないんですよ?」
と、隣席のシーアが身を寄せてくる。
「そうそう、もうちょっとこう、恩に着せてもいいんじゃない?」
「旦那様がどう思われていたとしても、私たちは旦那様に人生を救われているんですよ?」
いつの間にか席を立ったニナとユスティネも、肩や腕に手を触れてきていた。
言うまでもなく、誘われている……
これも、遠慮が無くなってきたと喜ぶべきか。
シーアは受け入れられていることを感じ取り、安心したようでいて艶のある微笑を浮かべると――
「その……お礼を、させていただけませんか?」
○
そして、ケーキなんかよりもずっと甘い時間が始まる。
「はい、旦那様♡ どうぞお召し上がりくださいませ……♡」
居間のソファーで、仰向けに寝転ぶ。
頭の後ろにあるのは、ユスティネの太股だ。
そして目の前にあるのは、メイド服の胸元を開いた彼女の、下から見上げる豊満な乳房。
ユスティネは藤次を膝枕しながら上半身を屈め、垂れ下がらせた豊乳を口元に運ぶ。
「はぁふっ♡ 旦那様ぁ……おっぱい、そんな掴まなくても♡ あっ♡ 逃げませんからぁ♡」
口元に降りてきた乳首を迷わず口に含み、もう片方は手中で弄ぶ。
柔らかな膝と胸に頭部を挟まれると、脳まで蕩けてしまいそうだ。
「んっ♡ ちゅ♡ 男の人でも、乳首は気持ちいいって、本当?」
胸板にはニナが頬ずりして、乳首にキスをしている。
床に膝をつき、ソファーで仰向けになった藤次のシャツをはだけさせ、露にした乳房を擦り付けながら、手では腹筋をなで回していた。
胸板から腹部という、あまり重点的には触れない部分への奉仕が、新鮮な快感を与えてくれる。
「ふあっ♡ あんっ♡ 旦那様っ♡ シーアも、頑張りますからっ♡ あまり、突き上げちゃ、ダメですからね?」
そして下腹部、とっくに張り詰めた逸物の上では、半裸のシーアが腰をグラインドさせていた。
膨らみ始めのお腹を大事そうに撫でながら、慣れたような腰使いで騎乗位を愉しんでいる。
お腹の子供を気遣って動きは激しくせず、膣を用いてペニスを揉みほぐすような動きだ。
「あぁ、いいぞ……」
視界はユスティネの乳房に覆われて、彼女たちの姿は見えない。
しかし、乳首を舐めると後頭部で身もだえするユスティネの太股、泡嬢のようにボディを撫でるニナの身体と舌、逸物を包んで太股に擦れるシーアの膣と尻――
三人の妖女たちに全身を包み込まれるかのような、女肉の布団に包まれているかのような、この恍惚感……っ!
「ひあっ♡ あふぅっ♡ 旦那様っ、嬉しそうに♡ 私のおっぱい吸ってるぅ♡」
「んっ♡ 旦那様、身体がびくんってしてる♡ 私、旦那様を、感じさせてる♡」
「あっあっあっあっあっ♡ 旦那様ぁ♡ 先っぽが、赤ちゃんをノックしてる♡」
平凡なマンションの居間で繰り広げられる、四人の痴態。
舌や結合部の立てる水音も、女の喘ぐ声も、比較的に大人しいものだ。
しかしそれが三重奏となると、優れた楽曲のように脳を支配していく。
(ずっと、こうしていたい……ああでも、もっと突きまくって喘がせてやりたい!)
相反する欲求すらも法悦のうち。
いまは後者の念が堪えきれなくなるまで、シーアとニナとユスティネによる全身奉仕を満喫することにした。
「あっはぁ♡ 旦那様ぁ♡ ひうっ♡ しょんな、私っ♡ おっぱいだけ、なのにぃ♡ んっ♡ んんんっっっ♡」
(ユスティネは、相変わらず乳首だけでイってるな……)
頭部を包むユスティネの身体が小刻みに痙攣している。
その間隔をより短くするために、息継ぎする間も惜しんで乳首を責めてやる。
「はぁっ♡ はふっ♡ 旦那様? 片腕、開いてるよね? お手々、ここに……っんあ♡」
(ニナは、物欲しそうだな。思い切り挿入されたいって、身体の動きに出てるぞ……)
ニナは藤次の片腕を抱き寄せ、指先をスカートの中に導いていた。
それに答えて下着越しに手淫してやると、嬉々として身を寄せ、美乳を胸板に滑らせてくる。
品に欠けるくらい全力で、目の前の男を誘惑する女の動きだ。
「あああぁぁぁ♡ 旦那様ぁ♡ シーアのおまんこ、気持ちいいっ? この締め方、お気に召して、くださってますね♡」
(シーアは、いつの間にか、余裕をもって腰を振るようになって……っ)
三人の中では最も経験豊富なシーアは、腰の動きと膣圧の変化で肉棒を翻弄する。
童貞くらいなら手玉に取れそうな、熟達した女の腰付きを会得していた。
もちろんそれも、主人を心地よくしたいという一心で学んだものだ。
「あっあっあああぁぁぁっ♡ 溶けちゃうっ♡ おっぱい溶かされながらイっちゃうぅ♡」
「ひぁぁぁああんっ♡ 指っ♡ しょんなっ♡ むりやりっ♡ イかされちゃうっっっ♡」
「んぁあぁっっっ♡ 旦那様っ♡ イってぇ♡ 私と一緒にぃ♡」
やがて訪れたのは、四人同時の絶頂だった。
ユスティネは乳首への集中的な刺激で深いオーガズムに至り、ニナは指で膣内と陰核を掻き回されて達し、シーアは藤次の射精と同時に腰を震わせ、弾みで引き抜けたペニスからの白濁液を浴びた。
全員が息を荒げながら、余韻を味わう。
甘い静寂も、長くは続かない。
女体に包まれるような奉仕の時間は最高だったが、その間に我慢していたもう一つの欲求は、まだ満たされていない。
動かずに奉仕されるのではなく、動いて蹂躙したいという、獣めいた方の欲求が。
「誰か……部屋からオモチャを持ってきてくれ」
気がつけば、悪人のような笑みで、そう命じているのだった。
○
居間のテーブルに置かれたスマホが、手短な着信音と震動を鳴らす。
メッセージアプリのアイコンと、出だしの文章が表示されていた。
『久しぶりだけど、最近どうしてる?』
時間を置いて、また受信する。
『ちゃんとご飯食べてる?』
『家電とか適当に使うと故障するよ?』
心配するかのような文面は、時間が経つと変化していく。
『ちょっと困ったことがあるんだけど、相談していい?』
『ネットで誹謗中傷を受けてて、脅迫までされてるんだけど』
『忙しい? 電話できる?』
切り口を変えて試すような問いかけのどれにも、既読はつかない。
三人の妖女たちが嬌声を奏でる部屋の中で、誰にも気付かれることなく、見過ごされていった。
ご一読いただきありがとうございました。
更新がやたらと伸びてしまい、まことに申し訳ございません。
挿絵も入れたかったですが、ハーレムプレイは作るのが大変で、
後日また追加させていただきます。
もうちょっとで奴隷編も完結です。