※この作品はR-18です。

誘惑禁止条例 ※性犯罪被害は条例違反にあたらない   作:大中小太郎

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第六話(後編)

 

 

 

シーアたち奴隷と暮らす生活には、新たな日課が加わっていた。

 

木城クレアの住むマンションの部屋まで、ユスティネを迎えに行くことだ。

 

「いらっしゃい、西条さん」

「ああ、旦那様。本日もお仕事、お疲れ様でございます」

 

そんな自分を迎えたのはクレアと――シーアである。

 

「いつの間にか仲良くなったんだな……」

 

最近、藤次やシーアたち西条家と、木城クレアとアイナの母娘は、親交が深まっている。

元はユスティネがクレアに雇われていた縁に始まり、そのユスティネの雇用をこちらに譲ってくれたことから、会う機会が多くなった。

ユスティネの紹介で知り合ったらしいシーアも、こうしてよくお邪魔している。

それというのも――

 

「木城様には、母親経験者として色々とご指導をいただいているんです」

 

シーアが言うように、妊娠した彼女の相談に乗ってくれているからだ。

 

「もう、クレアでいいのに」

「はい、クレアさん」

 

と、すっかりママ友めいた距離感になっていた。

 

「ささ、どうぞ上がっていってください」

「いつもすみません。これ、お土産です」

 

かくして、今日もクレアに招かれる。

お土産に菓子類も忘れていない。なにせ――

 

「あっ、藤次おじさん!」

 

素直にそれを喜んでくれる可愛い娘さん、アイナがいるからだ。

 

「こんばんは、アイナちゃん。今日はアイスだよ?」

「やった! 開けてもいい!?」

「こらアイナ、お礼を言うのが先でしょう?」

 

人気店のアイスが入った箱を恭しく差し出すと、無遠慮に喜んだアイナを、クレアが叱りつける。

 

「ありがとっ」

「はは、喜んでもらえてなによりだよ」

 

その無邪気さに心が癒やされる。

いずれシーアから産まれる子も、きっと彼女のように愛らしいのだろう。

 

「もう、あまり甘やかさないでくださいね?」

「申し訳ない、口下手には他の方法が思いつかないもので」

 

微笑するクレアに詫びながら、鞄をシーアに預けるのだった。

 

 

 

 

「ニナ、ここにトラップを置くんだよ?」

「こ、こう? もう、人間界の子供ってこんな複雑なゲームで遊んでるの?」

「お嬢様、そんなに画面に目が近いと視力が落ちますよ?」

 

リビングでは、アイナの他に、ニナとユスティネの姿があった。

いまはニナが手にしたスマホで、何かゲームをしているらしい。

 

「ニナまで気軽に上がり込むようになって……」

 

ニナが務めているのは、藤次の兄夫婦の家だ。

その家がクレアのマンションから程近い位置にあるせいか、仕事帰りに『ユスティネを手伝う』という名目でお邪魔して、実質的にはアイナの遊び相手になっているらしい。

 

「お気になさらないでください」

 

テーブルの対面席から、クレアが言う。

 

「元々は、一夫多妻の家庭で育った子ですから。賑やかな方が安心するんですよ。離婚してからは、寂しい日々だったでしょうから」

 

申し訳なさそうに娘を眺めるクレアに、「なるほど」と納得させられた。

一夫多妻の家庭に産まれれば、母や姉妹が多数いる大家族状態が当たり前だ。

クレアは夫と離婚すると同時に、他の妻たちとも疎遠になったらしい。

それはアイナにとって、何人もいた家族がたった二人になってしまうという、大きな喪失だったのだろう。

 

「私たちとしても、お嬢様のお世話をさせていただくのは幸いです。

 予行演習……といっては失礼ですけど、もう可愛くて……」

 

隣の席ではシーアが、膨らみ始めた腹を撫でつつ、目はアイナを眺めている。

いずれ出会う我が子の将来像を、アイナに見ているのだろうか。

 

「ところで、西条さん。今月分の振り込みをさせていただきたいのですが」

「あ、はい。お願いします」

 

クレアがスマホを取り出して操作する。

アプリを通じて、藤次のスマホにお金が振り込まれた。

ユスティネの給料やその他の諸経費だ。

 

「確認しました。ありがとうございます」

「こちらこそ。ユネさんの働きを見れば、心苦しいくらいです」

 

ユスティネはいま藤次の奴隷で、それをクレアに貸し出している形だ。

その代金の振り込みなのだが――

 

「今更ですが、よろしかったのですか?」

 

クレアがユスティネの雇用を藤次に譲ったことで、こういう手間を踏んでいる。

藤次がユスティネを貸さないと言えば、クレアはメイドを失うことになるので、彼女にとって得のある話ではない。

 

「構いませんよ。ユネさんも首輪を嵌められるなら愛しの旦那様がいいでしょうし。

 それに、こうして西条さんとのご縁もできますから」

 

後半は少し照れ臭そうに微笑みながら、思わせぶりなことを言う。

いや、思わせぶりというか、明確にそういうメッセージだ。

つまり、ユスティネをきっかけに、クレアは藤次と親しい関係になりたい――と。

 

「願ってもないことです。こちらもシーアたちがお世話になっておりますから、このご縁を大事にしていきたいと思っております」

 

こちらもそう答える。

言外の意味に対する明確なYesだ。

 

直言を避けながら気持ちを伝え、シームレスに恋仲へ――大人の恋愛である。

まだ肉体関係などはなく、娘のアイナの反応を見ながらの『お試し期間』といったところだが。

まさか電波に乗っている女優と、そんな関係になるとは夢にも思わなかった。

 

「私も、クレアさんは信頼できる方だと思います」

 

シーアもそう言ってくれている。

主人であり婚約者である藤次が新たな女を作った形だが、一夫多妻が基本の妖女にとって、そこは不倫ではないようだ。

もちろん、クレアのことを隠さずに伝えて、シーアの目で人となりを確かめたからこそである。

妖女の一夫多妻家庭に新たな妻が加わるときは、夫よりも妻たちの合意と信頼が必要不可欠なのだそうだ。

 

「藤次おじさん、おじさんもやろっ?」

 

と、大人の話など一顧だにせず、アイナが袖を引いてきた。

母親が見知らぬ男を家に招くようになってストレスではないかと懸念したが、こうして懐いてくれるのは嬉しい限りである。

 

「もうアイナ? いまお話してるから――」

 

クレアが嗜めようとすると、スマホが着信音を鳴らした。

藤次のスマホだ。

 

「…………」

 

表示されている発信者の名前を見て、思わず眉間に皺を寄せる。

 

「どうぞ?」

「ああ、いえ……」

 

クレアにそう促されて、応答拒否をしようとしていた指を止めた。

ここで露骨に拒否しては怪しまれるかもしれないという気持ちが生じて、咄嗟に選択を改める。

 

「では、ベランダをお借りします」

 

いまにして思えば、かえって怪しい振る舞いだったが、このときは気付かなかった。

シーアやクレアの怪訝そうな視線に見送られながら、ベランダに出て応対する。

 

「もしもし――ああ、久しぶりだな。どうした?」

 

冷たい声音で答えながら、ちらりと部屋を振り返る。

シーアとクレアは何か話しており、ニナとユスティネはアイナと盛り上がっている。

耳に聞こえるのは、相手の、妙に同情を誘おうとするような声音だけだ。

 

「そうか、大変だな。まあ喉元過ぎればというし――」

 

両親が離婚したとか、帰った地元でイジメを受けているとか、どこまで本当か分からない苦境を聞き流す。

気に入らないのか、相手の口調がヒートアップしてきたが、こちらの心は妙に冷え切っていた。

久しぶりに声を聞くが――いつの間にか、こんなに感情を動かされない存在になっていたのか。

 

「俺か? 実は、近いうちに再婚するんだ。子供も産まれる」

 

ベランダから室内のシーアを一瞥した後、視線を夜景に戻す。

相手は絶句しているようなので、静かにたたみ掛けることにした。

 

「そういうわけだから。そちらのことはそちらで何とかしてくれ――」

「おじさーんっ。早くやろーっ?」

 

思わぬタイミングでアイナの声。

相手側にも聞こえただろうが、説明するのも面倒だ。

 

「じゃあ、達者でな」

 

通話を切った後、即座に着信拒否設定。

これだけ言っておけば、流石に関わってこようとはしないだろう。

 

「お待たせ、アイナちゃん。そのゲーム、おじさんにもできるかな?」

 

夜景に背を向けて、明るい室内へ。

昔のことなど振り返らず、彼女たちとの輝かしい未来の方へと足を向ける。

 

 

 

 

「お腹の子供を保護する魔法?」

 

その日の夜、寝室でシーアが口にした言葉を、思わず繰り返した。

寝室にいるのは藤次とシーアだけだ。

今日はシーアの日なので、ニナとユスティネは別室でもう休んでいる。

 

「はい。妖魔界にはそういうものもあるんですよ?」

 

妖魔界には魔法がある。

ただ、呪文をうんたらかんたら唱えたら炎が出るといったRPG的なものではない。

その多くは生活に根ざしたものであり、庶民的な需要によって生まれるものばかりだ。

 

「そうか。よく考えたらあって当然なくらいだな」

 

シーアの腹部に目を向ける。

ネグリジェを着たシーアの腹部は小さく膨らんでおり、そこを撫でる微笑みは聖母のようである。

注目すべきは、シーアが腹部をさすると、ネグリジェの下でうっすらと紋様が輝いたことだ。

まるで成人向け作品に出てくる『淫紋』のようであるが、色は白く、紋様はどこか神秘的だった。

 

「クレアさんから教わったんです。外部から衝撃を受けても胎児を保護する護身魔法ですね」

「触れてもいいか? ああ、本当だ。見えないクッションみたいなのがあるな……」

 

ベッドの縁に腰掛けた藤次は、正面に立ったシーアのお腹を両手で撫でる。

素肌に触れる直前、それと区別がつかない感触の、見えない何かがあった。

漫画のように言えば魔法障壁のようなものが生じているらしい。

 

「凄いでしょう? 物がぶつかったり転んだりすることはもちろん、強い震動や圧迫も平気なんだそうです」

「それは安心だな……」

 

後に調べたが、人形や卵などを用いて徹底的に検証された魔法だった。

妖魔界において子供は至宝、胎児を保護する魔法の研究が徹底されたのも道理だろう。

 

「それに、他にも……」

 

すると、シーアがもじもじとしながら、言葉を足そうとする。

頬を赤らめた様子から、口に出される前に察しが付いた。

 

「激しいセックスをしても……大丈夫、だそうです♡」

 

妖しげな笑み。

妊娠したことで精神的な変化があったのか、歳を経た魔女が男を魅了するかのようだ。

 

「まさか、そのために……?」

「いえっ、もちろんお腹の子を守るために修得したのですがっ。

 そういうときにも役立つって、今日、クレアさんからお聞きしまして……」

 

こちらが目を離している隙に、そんな話をしていたらしい。

いやもちろん、胎児の保護はいくらしても足りないので、その魔法を伝授してくれたのは大助かりだが。

 

なにはともあれ、寝室でそれを教えたシーアの意図は明白だ。

いままではお腹の子を気にしてマイルドに済ませてきたが、いまなら――と。

まだ妊娠してなかった頃のような、思う存分に生殖器をぶつけ合うようなセックスが、またできるのだと……

 

「っ」

 

生唾を呑む。

この子を、あのときのように蹂躙してもいいのだと言われて。

改めて、自分の妻となる彼女の肢体に見入る。

少し大人びた顔、大きくなった乳房、敏感になった肌に、また欲望を叩き付けていいというのか。

 

「本当に、大丈夫なのか……?」

「はい♡ 世界中の夫婦が証人だと……」

 

人間と妖女の夫婦となると、妊娠しても営みは絶えないのだろう。

胎児を保護した状態でまぐわう夫婦も少なくあるまい。

それで特に事故や副作用が報告されていないなら、安心してもいいはずだ。

 

「なら――」

 

欲望のまま伸ばそうとした手は、シーアを抱き寄せる直前に止まった。

 

「いや、万が一ということも……」

 

あるべき自制心だった。

自分はもう父親になるのであり、彼女は大事な身体だ。

決して、欲望のままに突いていいような身ではないのだ。

 

「旦那様……」

 

躊躇っていた主人の代わりに、シーアの方から抱き付いてきた。

反射的に腰を抱いて受け止めると、抱き寄せられた頭の横から、耳元に囁かれる。

 

「私だって気付いてます。なにか、お嫌なことがあったんでしょう?」

 

見抜かれていた。

それについて驚きもない。むしろ彼女に隠す方が難しいだろう。

 

「言いたくないならいいんです。ただ、旦那様のお気持ちを軽くできないままではいられなくて」

「シーア、だからって……」

 

シーアはこちらの心中を察して、問い質さずセックスで晴らそうとしている。

しかし、妊娠する前ならいざ知らず、妊婦にそんな真似をさせるわけにはいかない。

 

「いいんです――いえ、こういう言い方は卑怯ですね。

 私が……我慢、できそうにないんです♡」

 

シーアはこちらの手を取ると、ふくよかさを増した胸に導いた。

ふわりとした感触が右手に広がり、自然と指を乳房にかぶせる。

見上げたシーアの目は、色情に濡れていた。

 

「妊娠して以来、旦那様はお優しくて……私に無理のないよう、気を遣いながら可愛がってくれて……♡ 嬉しいんですよ? 気持ちいいんですよ? でも……」

 

熱い吐息と共に、彼女の熱情が言葉となって掛けられた。

 

「忘れられないんです♡ 私を孕ませてくださったときの、あの雄々しいセックスが♡

 蹂躙するような激しさで、完膚なきまでに果てさせられて……

 身も心も抵抗できなくなったまま思い通りにされてしまうのが、何よりも気持ちよくて幸福な♡

 あの、全身全霊が旦那様のものになっているような時間が……恋しくて、仕方ないんです♡」

 

シーアは欲求不満だったのだ。

そこまでは言わないにしても、気を遣われたセックスに不完全燃焼を覚えていたのだろう。

お腹の子を守る防護魔法を修得したのも、蓄積した不満足を解消するためでもあったのだ。

 

「それとも……旦那様は、ご不満じゃないんですか?

 私のこと、前みたいに、気が狂うほどイかせて支配したくないですか?

 一度孕ませた女はもう……そういう対象じゃ、なくなっちゃいましたか?」

 

誘惑の言葉に織り交ぜられた不安の声に、胸を打たれる。

シーアからすれば、ニナやユスティネに続いて、クレアまでもが、藤次と近しくなっている。

一番の女である一方で、一番に『古い女』であるという不安もあったのだろう。

彼女がそんなことを思っているのだとしたら――

 

「そんなわけ、ないだろう……っ!」

「んんっ♡」

 

シーアのうなじを掴むようにして顔を引き寄せ、唇を奪う。

 

「ぢゅっ♡ んっ♡ ぷあっ♡ あっ♡ ちゅぅっ♡」

 

唇を甘噛みして、舌を強引に侵入させる、貪るようなキス。

妊婦として気遣うようになってからは、あまりしてこなかった獰猛なキスだ。

一心不乱のオーラルセックス、腕に抱いたシーアの身体が火照っていくのを肌で感じる。

 

「ぷぁ……っ♡」

 

やがて唇を離し、間近で見つめ合う。

 

「しつこいようだが……本当に、大丈夫なんだな?」

 

最後の確認であるという念を込めると、シーアは濡れた瞳で見詰め返す。

その瞳は――魔力の発光に染められていた。

 

「はい……()()()()()()()()()()()()()♡」

 

誘惑(チャーム)』だ。

 

以前デートしたときにも、されたことがあった。

あのときはこちらの身動きを封じられ、シーアに責められるという貴重な体験だったが、今回はその逆――

 

「近頃は調子に乗ってる私に……旦那様の力強さ、思い出させてください♡

 私が奴隷なんだってこと……この身体に、改めて思い知らせてくださいませっ♡」

 

最近は聖母のような表情しか見ていなかった。

しかしいまは、主人に犯されることを待ちわびる、メス犬の顔。

そして、『誘惑』を駆使してまで自分を犯させようとする、業の深い妖女の顔だった。

 

 

 

 

「んおっ♡ ぢゅぼっ♡ おぐっ♡ ぢゅるるっ♡ んぉぉうっ♡」

 

開幕からすぐ、シーアの口内に逸物を突き入れていた。

『誘惑』で酩酊した頭がそうさせた。

 

シーアはベッドの上で仰向けになり、喉を大きく反らして口内から喉を水平にしている。

藤次は床に立ち、ベッドの縁から虚空に出たシーアの顔を掴んで、口内に怒張を挿入している。

見下ろすのは、仰け反ったシーアの顎と首筋と揺れる乳房――リバースフェラチオとも呼ばれる、過激な口淫だ。

 

「おお、いいぞっ。この角度からするのは初めてだけど、なかなか気持ちいいじゃないかっ」

「ぢゅぼっ♡ んぼぉっ♡ おぶっ! お゛ぉ~~~っ♡♡♡」

 

顎を掴んだ手を前後させ、シーアの口内に抽迭を繰り返す。

そんな強引な責めをされても、シーアは藤次の腰に腕を回して受け入れていた。

喉奥を刺激するたびにビクビクと身体が震え、すっかり豊満な部類になった胸がふるふると踊る。

 

「いいのか? お前も気持ちいいのかシーアっ! こんな、金玉が顔に何度もぶつかるようなイラマチオされてっ、感じてるのかっ!?」

「ぉぼっ♡ お゛ぉっ♡ んぶぅっ♡ ぢゅるるるる~~っ♡♡♡」

 

シーアは答えられない。

ただ藤次の腰にしがみつき、首を縦に振って、頷くと共に肉棒へ快感を与えてくる。

 

「そうかっ、ならこのまま胸を揉んだらどうなるっ? どうなるんだっ!?」

 

仰向け状態で口淫をしているシーアの乳房は、腕を下ろせば揉める位置にある。

シーアの胸には目隠ししても分かるほど触れてきたが、この角度から指を食い込ませるのは新鮮だった。

 

「ひゃうっ♡ あひぃっ♡ だんなしゃまぁっ♡」

 

乳房を揉まれたことでシーアがさらに感じたようで、ついに肉棒を口から離して身悶える。

 

「なんだ、もう限界か?」

「ちがっ、違うんでしゅっ♡ いま、おっぱいが♡ こんな触られ方、したことなかったからっ♡ しゅごく、敏感でっ♡ ひゃぁぁうぅぅっ♡」

 

そう訴えるシーアの顔には、額から口にかけて巨根がべったり張り付いていて、表情がよく見えない。

しかし声音や口元からして、新しい悦楽を見出して耽溺しているのは確かだった。

 

「そうかそうか、お前の身体には、まだまだ楽しみ方があるみたいだな……っ」

 

ほくそ笑みつつ、イラマチオはここまでにしておく。

防護魔法でお腹は保護されているが、呼吸困難は別問題だろうからだ。

代わりに、シーアの頭上から覆い被さるような形で、彼女の乳房に吸い付く。

 

「んあああぁぁぁっ♡ これっ♡ ひゃうぅぅっ♡」

 

シーアの視界は、きっと男の胸板と腹筋で覆い隠されているだろう。

見えない胸元では、藤次の五指と口が、乳房と乳首を蹂躙している。

普段とは視覚的な上下が逆なせいか、平衡感覚が狂い、浮遊感のある陶酔をもたらしていく。

 

「はぁっ♡ はぁっ♡ はぁ……っ♡」

 

ひとしきり胸でイかされたシーアは、ベッドから転げ落ちそうな姿勢で脱力していた。

そんな彼女を抱き上げて、ベッドの真ん中に寝かせる。

メイド服の胸元をはだけ、頬を紅潮させた彼女は、自ら両足を開いて下着を晒す。

 

「旦那様♡ きて、来てくださいっ♡ 私にこの子を授けてくれたときみたいに、思いっきり♡」

 

いつのことだったか、激しく突きながら「妻になれ」と命じた日を思い出す。

確かにあのときは、支配的な主人として振る舞い、理性をかなぐり捨てて腰を振ったものだ。

そのときと同じようにして欲しいと願う彼女に、答えずにはいられない。

 

「本当に、大丈夫なんだなっ? 俺だって、我慢してたんだぞ……っ」

 

シーアの前で膝立ちになり、忙しなくベルトを外し、痛いほど張り詰めた逸物を取り出す。

 

「お前の中を、半狂乱になるまで掻き回すのをっ」

「はふっ♡ はぁぁ♡」

 

脅すように問いかけると、シーアは両頬を押さえて震え上がる。

下着をズラして露にした秘所は愛液を滴らせており、その様を見れば返事など聞く必要はなさそうだった。

 

「分かるか? お前に『誘惑』されたせいで、いつも以上に張り詰めてるんだ」

「ひうっ♡ 分かります♡ いつもより、おっきぃ♡ そんなに、太く、張り詰めて……っ♡」

 

まるで初めて目の当たりにする生娘のように、怯え混じりの目で凝視される。

根元を指でとり、先端を秘所に触れさせると、電気ショックを受けたように二人の体が震えた。

シーアはもちろん、藤次の方も鋭敏になっている。

 

「ああ、入れる前から分かるぞ……こんな状態で突っ込んだら、絶対に理性が飛ぶ。

 頭が真っ白になって、無我夢中で腰を振るんだ……お前の負担なんて考えないバカな男になってしまう」

「んぁぁぁっ♡」

 

先端を軽く秘裂に割り入らせ、引っ掛けるようにして外すと、シーアが嬌声と共に震えた。

フェイントを掛けるような焦らし一つで、愛液が噴き出ている。

 

「はい♡ 私も、分かりますっ♡ ぜったいおかしくなるっ♡ バカみたいに喘いじゃいますっ♡

 頭も身体もトロトロになって、ずっとずっと犯されたい女になっちゃう……っ♡」

 

自分の気が狂うことを体験から理解していても、歯止めが掛からない。

そうなりたい、一対のケダモノになってしまいたい――お互いにそうなのだと肌で感じる。

 

だから、無用になった理性など、気がつけば手放していた。

 

「っ!」

 

何度か焦らした後の不意打ちで、一気に最奥部まで貫いた。

 

「っっっっっ、ぁぁぁぁあああああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙♡♡♡」

 

まるで処女を喪ったかのような嬌声。

大きく身体を反らし、顎を上げながらの絶頂。

挿入しただけで絶頂するどころか、気絶寸前まで上り詰めていることが見て取れた。

 

「っぐ」

 

それは藤次も同じことだ。

『誘惑』によって鋭敏になった逸物が、絡み付くシーアの膣壁を感じ取る。

いままでと比べても格段に気持ちよく、いつもと違った肉ひだの感触だ。

 

(先っぽに、クッションみたいな感触が……これ、防護魔法か?)

 

シーアの子宮口に当たる亀頭に、そこだけ薄いゴムを装着したような感覚があった。

胎児を保護している防護魔法の効果なのだろう。

つまり――遠慮はいらないということだ。

 

「はひゅっ♡ あっ♡ うそぉ♡ わたひ、いまぁ……っ♡」

「動くぞっ!」

 

いまは脳の言語野よりも腰を動かしたかった。

それも全力で、現世の全てから解放されて踊り狂うように。

 

「んぉっ♡ お゙っ♡ らめっ♡ おひっ♡ これっ♡ ちがっ♡ あひゅぅっ♡

 だんな、しゃまっ♡ いつもとっ♡ 感触、ちがって♡ んおっ♡ おっおっおぉぉぉ♡」

 

腰を叩きつければ打ちつけられるほど、シーアは獣じみた声で叫ぶ。

ベッドのスプリングによる上下の動きだけでなく、腰を回し、押しつける動きも加えながら抽迭を繰り返す。

 

「いぐっ♡ イってりゅっ♡ わたし、もうっ♡ イキっぱなしでしゅっ♡

 いぐっ、いぐいぐいぐいぐゔぅ゙ぅっっ♡♡♡」

 

シーアの膣が絶頂を繰り返し、搾り取るような圧迫感を連続させる。

 

(なんだ、シーアの膣内、まるで別人……っ)

 

もはや違う女を抱いているかのようである。

シーアと身体を重ねるたび、結合の噛み合わせが一致していくのを感じてはいたが、それとは違う。

 

「んああっあ゙ぁぁっ♡ だんなしゃまぁ♡ これっ♡ 私っ♡ お腹、おっきくなったからっ♡

 中の形っ♡ 変わってりゅっ♡ きゅんきゅんしたときの形、変わっちゃってるんですっ♡」

 

どうやら身重になるに連れて、膣内の状態も微妙に変化しているようだ。

ここしばらく奥を突くことはなかったし、逸物も『誘惑』により限界以上に張り詰めている。

それらの要素が、まるで初めて交わっているかのような新鮮さを生み出していた。

 

「ああ、まったく、お前は……っ!」

 

ぐん! と下から上へと角度を付けて突き上げる。

 

「んお゙ぉぉっ♡」

「妊娠中なのにっ、前よりも淫らになって!

 あれほどっ、孕むまで犯してやったっていうのにっ、まだ足りないのか!?」

 

ずん! ずんっ! と、防護魔法をいいことに子宮口を様々な角度で連打する。

そのたびにシーアは嬌声を上げ、秘裂から潮を噴く。

 

「あぎゅうっ♡ らって♡ らってぇ♡ 旦那様がっ、淡泊になった気がしてっ♡ んぁぁんっ♡

 赤ちゃん、大事なのに♡ ひぁうっ♡ 幸せ、なのにぃ♡ 足りないって、身体が言うですっ♡

 旦那様にっ♡ んおっ♡ またっ♡ 雄々しく、屈服させられたいって♡ あっあっあああぁぁぁっ♡」

 

足を広げられ、上からプレスされながら、シーアは懺悔するように喘ぐ。

言葉の切れ目に抽送を受け、大小の絶頂を挟みながら、目の前の男を興奮させる言葉を止めない。

 

「まだっ、産んでもないのにっ♡ 二人目っ、欲しがってるんですっ♡ お゙ぉ っ♡

 旦那様にっ♡ あひゅっ♡ 孕ませレイプされちゃった体験っ♡ 忘れられないんでしゅっ♡」

 

両手で腹部を抱きながら、乱暴なピストンを無抵抗に受け入れ、喘ぎながら訴える。

目は悦楽に輝き、口の端からは涎が零れ、顔は淫らに紅潮していた。

 

性癖――ただでさえ淫らな妖女が、より乱れ狂うことになる、性癖。

シーアのそれが何なのか、いま分かった。

 

「お仕置きっ♡ お仕置きしてくださいっ♡ ひぎゅうっ♡ お仕置きれいぷっ♡ してぇっ♡

 シーアのっ、聞き分けのないおまんこっ♡ んぁぁっ♡ だんなしゃまのぉ、逞しいのでぇっ♡ 

 増長してる私にっ♡ ああぁぁっ♡ 奴隷のっ♡ 悦びぃ♡ 思い、出させてぇっ♡」

 

服従させられること、屈服させられること。

奴隷として全ての権利を奪われ、自分より強く優位なオスの支配下に置かれること。

肉欲の限りを尽くされたときだけ味わえる、心身を砕くような連続絶頂。

そんな悦楽の極地に膝を折り、一匹の雌奴隷に堕ちていく時間に、シーアは魅せられていたのだ。

 

「できない、なら――()()()()()()()♡」

 

『誘惑』が、追加された。

連続絶頂で虚ろになっているシーアの目が、再び魔力を宿らせて、こちらを魅了していた。

 

「っっっ!」

 

思考が飛んだ。

危険な薬物でも投与されたのではないかというほど、頭が真っ白になった。

 

(犯、す――この女、を――俺の、奴隷――っ!)

 

原始人に退化してしまったような頭が、獣欲に染められる。

 

『誘惑』の重ね掛け――最初の一度だけでも正気を失う誘惑を、二重に掛ける。

こうなってしまったら、人間の男はもう止められない。

満月を目にした狼男のように、人すら食いかねない精神状態へ陥る。

 

「あ……が……ぁ……っ」

「あぁ♡ 旦那様……なんて、お顔♡ すごい、私、取り返しのつかないこと、しちゃった♡」

 

シーアは背徳感の混ざった笑みを浮かべ、自ら体位を変える。

二重誘惑で放心している藤次の逸物から秘所を抜き、四つん這いに。

 

「膨らんだお腹が見えたら、遠慮しちゃいますよね♡」

 

シーアが尻と背中を向けたことで、妊婦の腹が隠れる。

目の前にあるのは、妊娠前と変わらない――丸いヒップ、腰の括れ、なだらかな背に掛かる銀髪。

そして何より、犯されることを待ち望む――妖女の艶笑だ。

 

「さぁ……旦那様、我慢しないで♡

 どんな目に遭っても、怒りませんから♡ 嫌ったりしませんから♡

 この、どうしようもなく淫らな奴隷に、相応しい扱いをしてくださいませ♡」

 

ここからは――誘惑禁止条例を回避するための、形式上のレイプではない。

 

()()ではなく、()()()でもなく、徹底的に犯してほしいと。

 

そんな、終わるまで撤回できないトリガーを、シーアは引いてしまったのだ。

 

「こ、の……っ、ド淫乱が!」

 

ぶちこんだ。

シーアの腰を掴んで、抜けていた肉棒を秘裂に滑り込ませるなり、乱雑に下腹部を打ち付けた。

 

「んあぁぁんっっ♡ きたっ♡ きてりゅぅっ♡」

 

途端に、シーアは顔をのけぞらせ、舌を突き出して絶頂した。

腰を引くと、肉襞の絡み付き具合に腰が震える。

鋭敏になった肉棒がもたらす快感に、口から涎が垂れるのを感じたが、拭いもせず腰を踊らせる。

 

「お前はっ、妊娠してるのにっ! 母親になるのにっ! そんなことばかり考えていたのか!」

 

片手は握り潰すような強さで尻肉を掴み、もう片方の手は甲高い音を立ててスパンキング。

相手がMだからというプレイの範疇ではない、苦痛を与えることを目的とするような強さで。

 

「んぎぃぃっ♡ しゅ、すみませんっ♡ ごめんなさいぃっ♡ んおっ♡

 せっかく、旦那様にっ、妻にしていただけたのにっ♡ あああぁぁぁっ♡ 身体がっ、欲深くてっ♡ あぎゅうっ♡ メスにされるのっ♡ 赤ちゃんいてもっ、止められないっ♡ 我慢できないんでしゅっ♡」

 

シーアはやはり妖女だった。

どんなに健気でも、謙虚でも、その奥底には妖女の過剰な肉欲が眠っていたのだ。

それが男を知り、夫にまでなってしまったことで、彼女もついに自重の限界を迎えたのだろう。

 

「だんな、しゃまぁ♡ 従えてぇっ♡ こんなっ、淫らな私をっ♡ 従えてくだしゃいっ♡

 だめなの♡ 私みたいな妖女はっ、男の人に、言うこと聞かせられないと、だめなんでしゅっ♡

 エッチなご褒美とお仕置きでぇ♡ 飼い慣らされないとっ♡ だめなのぉっ♡」

 

パン! パン! パン! と、盛大な衝突音が室内に木霊する。

 

「ふうっ、ふぅっ、っぐ、ふぅぅぅっ!!」

 

苛めるというより、いたぶると表現する方が適切なくらいの、激しい抽送だ。

藤次はそれこそ人型の獣のように、言葉を忘れて、半ばのけぞりながら、ひたすら男根を前後させる。

 

もはや逸物はシーアの膣内と融け合ったかのようで、正常な感覚が機能していない。

まだ射精は堪えられているのか、それとも既に射精してしまったのか。

いま勃起状態なのか、とっくに萎えていてそれでも突いているのかも、分からない。

はっきり言えるのは、意識を失うまで腰を振り続けるであろうということだけだ。

 

「おっおっおっおっ♡♡♡ 奴隷で、いいっ♡ 性奴隷でいいのぉっ♡

 あああぁぁぁっ♡ 旦那様のっ♡ 一番の、お気に入りになれるならっ♡

 あひゅあぅっ♡ 支配してっ、犯してっ、孕ませてっ、産ませてっ♡

 旦那様のためだけに生きるっ、雌奴隷でいいっ♡ してっ♡ してぇっ♡」

 

肉棒が往復する度に絶頂しているシーアは、顔を半ばシーツに埋めながら、半狂乱になって叫ぶ。

 

「ああっ、なれっ、してやる! お前は俺の女で、妻でっ、可愛い奴隷だ!」

 

腕を伸ばして、シーアの銀髪を生え際あたりから掴む。

 

「ひぁうっ♡ 髪ぃ……♡ 引っ張ったら♡ あっあっあぁぁ♡」

 

頭を後ろに引かれ、顔を上げさせられたシーアは、四つん這いの姿勢となって尻を揺らした。

女性にとって尊厳の一種である髪の毛を、乱暴に引っ張られる――

勢いでしてしまった藤次の脳裏に、「やりすぎたか」という懸念が過ぎるが、

 

「あへぁぁっ♡ 素敵っ♡ しゅてきでしゅっ♡ 旦那様がっ、犯してるっ♡ 私のこと蹂躙してりゅっ♡」

 

少し振り返ったシーアの横顔には、悦楽に染まった鮮烈な眼差しと、顎から首筋まで垂れた涎があった。

 

「ああ、お前はっ、なんてっ! エロくてっ、可愛くて、健気でっ、従順なんだ!」

 

馬の手綱でも扱うように片手で髪を引き、もう片方の手を伸ばして胸を鷲掴みにする。

 

「ひぎゅうっ♡ あひぁぁぁうううっ♡」

 

乳房を握り潰すような握力に、シーアは悲鳴に近い嬌声を鳴らした。

女体を扱うには乱雑すぎる行為、男が感触を愉しむためだけの手付きだというのに、シーアの膣は激しい痙攣で歓喜を訴える。

 

「最高だっ! お前は最高の女だっ!

 命令すればいつでも抱けてっ、ちょっと甘やかしただけで喜んでっ!

 モノみたいに犯してもイキまくって、何人も子供を産みたがるっ、男に服従するために生まれたような女じゃないか!」

 

思っても口にすまいと思っていた雑言が、止め処なく口を吐いた。

気まぐれに尻を叩き、腕を引き、背後から突く角度を変化させる度に、シーアの嬌声が音色を変える。

 

「いいのかっ!? こんな酷い旦那様でいいのかっ!?」

「いいっ♡ いいのぉっ♡ それっ、それなんですっ♡

 旦那様のっ、そういうお言葉っ、聞きたかったんでしゅっ♡」

 

この期に及んで、シーアは愉悦の極みに達したような声を上げる。

 

「わたしっ、もらいすぎですっ♡

 お優しさもっ♡ 雄々しさもっ♡ 気持ちよさもっ♡ 子供もぉ♡ 

 全部っ、全部あるっ♡ 私の幸せなことっ、全部あるぅっ♡」

 

肉欲もあるし、愛もある。

夫婦であり、主従であり、男女である。

爛れた夜があると同時に、プラトニックな愛も損なっていない。

全部ある。

 

奴隷と主人だから愛ではないとか、乱暴なセックスだから清くないとか、そんな潔癖は無意味だった。

お互いの持っている感情や願望を全て曝け出して、相手のそれを肯定できて、受け入れ合える。

そのことが嬉しくて、あまりにも幸福で、甘美だった。

 

「く、ぁ……っ」

「ぁぁぁぁぁっ♡ 出てりゅっ♡ 熱いの、あああぁぁぁ……っ♡」

 

一度目なのか何度目なのかも分からない射精感。

防護魔法に阻まれて子宮には届かなかった精液は、結合部から外へ溢れ出た。

その余韻を味わいながら体位を変えて、正面から見つめ合う。

 

「はふぅ♡ 旦那様ぁ……んっ♡」

 

恍惚とした顔を向けたシーアと唇を重ねれば、手足を絡めながら応じられる。

 

「まだだ……今日は、限界までするぞ」

 

『誘惑』の効果は薄れてきた。

しかし、そんなものが無くとも、止まれそうになかった。

 

「はい♡ いっぱい、これからもずーっと……」

 

お互いにゆっくり腰を動かし始め、再び夢中になってしまう前の一時に、シーアの唇が言葉を紡ぐ。

腹部を片手で撫でながら、もう片方の腕でこちらの首を抱き寄せて――

 

「私たちのこと、可愛がってくださいませ♡」

 

精根尽き果て、体力的な限界を迎えるまで――二人の動きが止まることはなかった。

 

 

 




ご一読ありがとうございました。

一気読みしてくださった方はありがとうございます。
そうでない方々は、筆が止まってしまい大変申し訳ございません。
奴隷編、このまま完結まで一挙更新です。
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