誘惑禁止条例 ※性犯罪被害は条例違反にあたらない 作:大中小太郎
それから、月日が経って――
「あっあっあっあんっ♡ 藤次、さんっ♡ やっ、待っ♡ ふぁんっ♡ さっき、イって♡ ふぁぁぅっ♡」
藤次とクレアは、肉体関係を持つ仲になった。
女優の裸身が、自分のベッドの上で悶えている。
木城クレアが、結婚したい女性としてアンケート上位に名を連ねるような美女が。
服の上から見た印象よりも豊満で肉感的な肢体が、珠の汗を浮かべて火照り、自分の挿入で達している。
「やだっ、そんな目で、見ないでぇ♡ ああんっ♡」
彼女の腰を掴みながらの正常位。
ピストンの勢いで揺れる乳房と乱れる顔を恥じるクレア。
しかし抽送の角度を変えると、また背筋を反らして嬌声を上げる。
メディア上で彼女の姿を目にした男は、いくらでもいる。
妖女が溢れた時代、美人を目にする機会に恵まれている男たちでも、魅力的だと感じる女優。
それがいま、自分だけの女となって、自分の逸物を受け入れて喘いでいる……っ!
「クレア、そろそろ出したい。後ろからでいいか……っ」
「もう、お好きなんだから……♡」
限界が近付いてきたので頼むと、クレハは嬉々として応じ、体を反す。
その間にも結合部を離さず、挿入を維持したままだ。
互いの息が合わないのできない、体を重ねることに慣れた男女の動きである。
「後ろから、女を征服するような体位……♡」
豊かな乳房が強調されていた正面から、なだらかな背中と丸いヒップを描く背面に。
ベッドのシーツを軽く掴んで尻を上げ、片手で髪を撫でながら、こちらを振り返る。
紅潮したその横顔は、この後バックで激しく突かれることを知った上で、そこから得られる快感を待ちわびている。
女優の彼女だが、その表情が演技でないことは、おねだりするように肉棒を締める膣の動きが保証していた。
「っ!」
艶美な姿に我慢できず、尻肉を掴みながら腰を打ち付ける。
「ああぁぁんっ♡ いきなりっ、つよ……いぃっ♡ あぁぅっ♡ 音っ、立てちゃっ、やぁ♡ あああんあんっ♡」
クレアが甲高い声で喘ぎ、悶える度に揺れる尻。
その肉に指を食い込ませながらピストンを続けた。
激しく身体を打ち付ける音と水音が混ざり合い、互いの興奮を昂らせていく。
「あああぁぁぁっ♡」
一際強く腰を打ち付けると、子宮口を突き上げられたクレアが全身を痙攣させる。
同時に膣が強く収縮し、絶頂を物語る。
それでも動きは止めない。絶頂の一つや二つ、目指す快感の極地の階段に過ぎないからだ。
「んはぁっ♡ 藤次さぁんっ♡ イって、イってます、からぁっ♡」
「まだだよ、クレア。もっとだ」
「ひぅっ!? ああぅんっ!♡」
膣が痙攣している間もピストンを続け、大人の女性ぶった余裕の態度を奪っていく。
女優、母、大人、そういう彼女のプライドを一枚ずつ快感で剥がしていき、ただのメス一匹にするための連続絶頂。
この時間こそ、クレアという美女を完全に自分のものにした気分になる。
「ふぁっ、ああんっ♡ またっ、んっ♡ イっ、くぁぁぁっ♡ これ、ひぁうぅぅっ♡ だめ、んんっ♡ 止まらな、ぃぁぁぁ♡ イクのぉっ♡ 止まらな、ぁぁぁぁぁっ♡♡♡」
そしてクレアもまた、全てを忘れてただの女になるこの時間を愛していた。
絶頂に何度も押し上げられているクレアの膣は、次第に痙攣の度合いを激しくしていく。
それでも男根を逃すまいとするように締め付ける膣内は、普段の知的な彼女からは想像も出来ないほど貪欲だった。
「ふぁぁぁっ♡ おっぱい、またぁ♡ 後ろから、掴むのっ♡ んぁぁぁうっ♡ らめって、言っ♡ あっあっあぁぁぁイクイクからぁぁぁっ♡」
ハーフとはいえ、彼女も妖女だった。
妖女の血が半分なら淫らさも半分かと思えば、生粋の妖女に何ら引けを取らない。
性感帯は広く深く、男の無骨で力強い手指に最適な女体をしている。
前の夫と離婚して以来、一人娘のためストイックな女優業を送っていた体は、その反動が来たように藤次とのセックスに溺れていた。
「やぁんっ♡ んあぁぁっ、だめぇっ♡ まだっ、イクぅ♡ ずっとイッてるぅぅううっ♡♡♡」
絶頂に次ぐ絶頂でイキまくりながら膣を締め付けて藤次の射精感を促すクレア。
「っぐ!」
そんな女体に容赦なく、膣内に溢れんばかりの白濁液を放った。
「あっああぁぁあぁ~~~~~♡♡♡!!」
クレアは叫びながら全身を痙攣させ……くたりと脱力する。
(聞こえなかった、よな?)
かなり喘がせてしまったことに気付き、部屋の壁を見回す。
たぶん、大丈夫だろう。壁や扉の向こうに、他の住人たちの気配は無い。
ここは新居――人間男性と妖女たちの一夫多妻家庭に合わせた、新時代のマンションだった。
〇
妖魔界の様式を取り入れた、少し洒落た外観のマンションだ。
8LDKや10LDKといった大家族向けの間取りが1フロアごとにあり、昨今の一夫多妻家庭に対応している。
都心のタワーマンションというほどではないにせよ、羽振りがよく見えるが、働き手が多数いる一夫多妻家庭なら現実的だ。
壁や窓の防音機能が特に優秀であることも、現代的である。
「ごめんなさいっ、寝過ごしちゃって! 朝食はいいわっ」
「そうだろうと思いまして、サンドイッチです。運転中はダメですよ?」
朝、予定より起床が遅れてしまったクレアが、ユスティネからバスケットを受け取っている。
以前の炎上事件があっても、クレアの女優業は多忙なままだ。今日も朝からどこかで収録らしい。
「旦那様? あまり『夜更かし』はいけませんと、昨夜申したはずですが?」
「いや、その……すまない……」
クレアを見送った後、笑顔で振り返ったユスティネに、藤次が詫びる。
自分ではなく彼女の方が熱心だったのだ――などと、朝食の席では言えない。
「クレアさんだけではなく、旦那様のお体も、ですよ?」
と、主人を気遣ってくれるユスティネは、相変わらずメイド服だ。
以前はクレアとアイナの暮らすマンションに家政婦として通っていた彼女だが、いまはこの広いマンションで一緒に暮らしながら家事をしてくれている。
「いいんじゃない? ママ、明らかに前より活き活きしてるし」
などと言って朝食を終えたのは、クレアの愛娘ことアイナだ。
クレアと事実婚の状態にある藤次にとっては、正式にというわけではないが、義娘となっている。
子供の成長は早いもので、前より背が伸びて、顔立ちも流石は女優の娘と言わしめるものになってきた。
「あ、でも妊娠は計画的にねっ? キャリアのこともあるし、ママにはもう私がいるんだから順番は最後でも――」
「ごふっ、ごほっ!」
「あははっ、パパってば動揺しすぎー」
連れ子から思わぬ釘を刺されて、むせかえる藤次である。
「あ、アイナちゃん? 近頃の小学校じゃ、そのくらいの話題は普通なのかい?」
「うん。クラスの子たちも一夫多妻な家の子が多いし」
自分たちもそうであるとはいえ、驚くべき時代だった。
「耳年増なのはこの際いいとして、その、ボーイフレンドとかはまだ早いからなっ」
「えー、でも私、結構モテるからなー」
「ダメだからなっ!」
「やだ、パパ可愛いっ」
なぜかアイナは嬉々としているが、藤次としては若年層の性の乱れが不安で仕方ない。
せめて中学、いや高校、いやいや大学生になってから――と、すっかりお父さんである。
「ふぁ~、アイナぁ? 旦那様にヤキモチされて気持ちいいの分かるけど、あまり遊ばないの」
欠伸をしながらやってきたニナが、アイナを嗜める。
はぁい――と、素直に言うことを聞くアイナ。二人のその様子は、姉妹を思わせた。
クレア・アイナの母娘と同居するようになって、最も関係が気安くなったのは、この二人だろう。
「もう、ニナ? だらしないわね。また夜遅くまで仕事?」
「まあね。翻訳業も楽じゃないわー」
朝食の席に遅れて来たニナを、ユスティネが迎える。
ニナはいま、メイドではない。
日本に来てから日本語を学び、いまは翻訳業に就いている。
以前は藤次の兄夫婦の家で、妊娠した兄嫁を助けていたが、彼女のスキルアップのために『転職』を決意した。
その時点で奴隷でもなくなっているのだが、外した首輪の代わりにチョーカーを常用しているのは、藤次との主従関係までは止めていないというメッセージだろう。
「いまは何の翻訳をしてるんだ?」
「児童文学。本当は学術書とか翻訳して故郷に役立てたいんだけど、それは経験を積んでからね」
ニナが翻訳業を選んだのは、人間界の本を故郷の言葉に翻訳して届けるためだ。
文化や学問を伝えることで、何かと後進的だった故郷を変えたいのだという。
故郷では奴隷となり、外国に出稼ぎに行くほどだった彼女は、新たな人生を歩もうとしているのだろう。
「もっと稼いでお金を貯めれば、その……安心して子供も作れるし……」
「ああ、俺もいまより稼がないとな」
気恥ずかしそうに期待を口にするニナに、藤次は迷いの無い顔で頷いた。
それを見てニナは嬉しそうに微笑むと、朝食に手を伸ばす。
仕事もするし母にもなる――ニナの故郷では『働く女』と『産む女』に二分されていたそうだが、人間界に来たことで『仕事と家庭の両立』という選択肢を知り、彼女はそれに挑戦している。
勢いで子供を作らず、しっかり前準備を重ねるところも、彼女らしい。
藤次もそんな彼女に歩調を合わせている。
彼女もまた、妻の一人なのだから。
「さて、そろそろ行かないと」
こちらも出社の時間が迫っている。
「行ってらっしゃい、パパ」
「ああ、行ってきます」
アイナにそう見送ってもらえるだけで感慨の極みだが、朝の幸せはまだ残っている。
食卓を離れ、とある一室に立ち寄った。
「シーア」
シーアの私室だ。
「ああ、旦那様。おはようございます」
朝食の席に姿が無かったシーアが、椅子に腰掛けている。
服の胸元が開いているのは、別に藤次を誘惑したいわけではない。
「ああ、おはよう。
「ふふ、ご覧の通り、食欲旺盛ですよ」
シーアの腕の中には、赤ん坊がいた。
名は透――男の子だ。
その後、無事に産まれてくれた、藤次とシーアの子だ。
「ああ、相変わらず美味しそうに吸っているな」
「もう、旦那様? そんな羨ましそうな顔をしないでください」
「おいおい、そういう意味じゃないぞ?」
妊娠が明らかになってから月日が経ち、シーアは人間界で出産した。
母子ともに健康、その後も健やかに育ってくれている。
眠るような顔でシーアの母乳を飲んでいるその姿を見ているだけで、脳内に温かい幸福感が広がっていった。
「沢山食べて、大きく育つんだぞ」
「男の子ですもの、きっとすぐ大きくなります」
邪魔をしないよう優しく我が子の頬を撫でると同時に、シーアの肩も軽く抱く。
妻と子を同時に抱擁するこのときほど、幸福を実感することはない。
「朝食は出来てるから、シーアもちゃんと食べるようにな」
「はい。ごめんなさい、ご一緒できなくて。いま動かすと、ぐずるものですから」
赤ん坊のご機嫌もあって、シーアは朝食を後回しに授乳を優先していたのだ。
こういう細々とした育児の苦労もあるが、家にはユスティネが常駐しているし、翻訳業のニナも基本的に在宅なので、その手助けを受けている。
経産婦であるクレアの経験も大助かりだし、アイナも弟として可愛がってくれていた。
おかげでシーアに育児負担が集中することもなく、一夫多妻家庭の強みを存分に活かせている。
「今週末にはお祖母ちゃんも来るんだったな」
「まったく、わざわざ妖魔界から週一で通おうとしなくても……」
言及したのはシーアの母、この子のお祖母ちゃんについてだ。
男の子だと聞いたときの、シーアの実家の悦び様は、それは凄まじいものだったという。
男児が希少な妖魔界においては慶事も慶事、地域の一大ニュースとなるそうだ。
「最初に会ったときは切れ者の女傑かと思ったら、孫を見た途端にデレデレだったものなぁ」
産後、この新居にシーアの母や祖母を招いて紹介した。
シーアの実家は武門というだけのことはあり、その母も祖母も褐色銀髪の武人然とした女性だった。
初めて土を踏む人間界にも臆することなく、藤次との挨拶も凜然としたものだったのだが……この子を一目見た途端に、その硬い表情は溶けていった。
シーアをして、「人生で初めて見ました」というくらいに。
(こんなに沢山の美人に愛されて、羨ましい奴め)
実母のシーアを始めとして、ユスティネやニナやクレアもまた間接的な母であり、アイナという姉もいる。
妖女だらけの家に生まれた男の子は、それゆえの苦労もあるが、可愛がられて育つという。
妖女の血を引いているから男前になることは確実だ。少なくとも、女に困ることはあるまい……いや、逆に女難の人生だろうか。
なんにせよ、健やかに育ってくれればそれでいい。
「旦那様、お時間が……」
「おっと」
幸せホルモンの分泌で時間を忘れてしまっていた。
名残惜しいが、お父さんとなったいま、仕事に手を抜くことはできない。
「じゃあ、行ってくる」
「はい――」
部屋を出る前に、改めてシーアと子供を振り返る。
授乳が終わって服を正したシーアが、子供を腕に抱いて見送ってくれている。
思えば数奇な出会いだった。
妻と離婚して、同僚の勧めで奴隷を雇ったら、姪っ子のような歳のシーアと出会い――
同郷のユスティネやニナが家に転がり混み、三人のご主人様になったら、女優のクレアと縁ができて――
いまでは彼女らに囲まれ、息子すら生まれた。
そして元奴隷だったシーアはいま、可愛い我が子を抱いて、自分を見送ってくれる。
「行ってらっしゃいませ、旦那様」
見送りを受けて、藤次は仕事に向かう。
今日のお土産は何にしようか――と考えながら。
ご一読いただきありがとうございました。
クリスマスイブにエロ小説を一挙更新して夜勤の支度をする自分に
目から汗が出そうな今日この頃ですが、『奴隷編』完結です。
色々と迷走気味になった本編を追ってくださった皆々様に、
改めて感謝を申し上げます。
誘惑シリーズはまだ続きますが、引き続き不定期更新となります。
思い出したときにでも覗き見てやってください。