※この作品はR-18です。

服飾文化研究会にようこそ!~僕が女装させられて先輩方にオモチャにされる日々~   作:桃ノ木ネネコ

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<前回までのあらすじ>
主人公白石圭太は美人保険医が顧問の『服飾文化研究会』に強引に入れられる。
しかしそこは服飾研究とは名ばかりのコスプレHを楽しむ場所であった。
そこで祥太は言われるがままに女装して、顧問の沙由美と先輩部員たちに
オモチャにされる日々を送っている中、謎の女装男子youtuber・グレンと知り合う。


第23話:お見合いなんて認めない(その1)

「お見合い・・・ですって?!」

圭太は部室に着くなり衝撃的なことを聞かされる。

「そうなのよ・・・」と沙由美も憔悴しきったように言う。

「そうですか・・・少し寂しいですが、沙由美先生もそんなお年ですし、

結婚というのは人生で大事なことですもんね。」

「・・・え?」

「これを機に僕も『可愛い』を卒業して『カッコよくて素敵な大人』を目指そうかなと・・・」

「ちょっと?!」

「沙由美先生、どうかお幸せに・・・」

「何を勘違いしてるの?!」

「へっ?違うんですか?」

「違うわよ!というより勝手に話を終わらせないで!!」

沙由美は必死の形相で圭太に迫る。

「お見合いをすることになったのは・・・葵ちゃんよ。」

「はぁ?!」

圭太は思わず素の声を出してしまう。

 

その横では葵がすました顔で勉強している。

「あ、葵さん!それはどういうことですか?!」

「・・・親が勝手に決めたの。私の留学を許可する条件ですって。」

葵は眉一つ動かさずに答える。

「こないだの事で兄が家を継がないって言いだしたもんだから、私にお鉢が回ってきた感じね。

つくづく勝手な話だと思うわ・・・。」

葵はため息をつく。

先日、葵の兄が親の決めた許嫁以外の女性と結婚すると言い出し、

家の相続の放棄まで言い出したと、圭太たちは葵から聞いていた。

「そんなの・・・勝手すぎるじゃないですか!?葵さんの人生の問題ですよ!」

「仕方ないわよ。親がそういいだしたら聞かないもの」

「でも・・・それでも僕は納得できません!!だってまだ高校生なのに!!」

「私だってそこまで馬鹿じゃないわ。会うだけ会ってすぐに断るつもり。」

「だけど・・・」

圭太は口ごもる。

「それだけでも大いに問題なのに、その見合い相手もさらに問題なのよ・・・」

と沙由美が言う。

「相手が・・・?」

「27歳の大会社の御曹司。」

「27歳・・・て!絶対やめた方がいい奴です!!やめましょう!今すぐ断りましょう!!」

圭太は即答する。

 

「無理よ。向こうのお父様とお母様にもすでに話は通してあるみたいだし、

それにもう日取りも決まってるらしいの。」

「そんな・・・それじゃあ・・・葵さんの留学の話はどうなるんですか・・・」

圭太は絶望な顔をする。

 

そして沙由美が切羽詰まったようにこう言う。

「こうなったらね圭ちゃん!あなたその格好で

葵ちゃんのお見合い相手を誘惑しなさい!」

「それが教員が生徒に対して言う言葉かぁ!」

「だってもし間違いがあっても君だったら実害ないでしょ!」

「ありまくりですよ!大体誘惑だったら沙由美先生の方がお得意でしょ!」

「あんたもどさくさにまぎれてなんてこと言うの!

大体高校生と本気で見合いしようとか考える27歳なんて変態に決まってるでしょ!

私になびくとは思えないもの!」

と沙由美が逆ギレ気味に叫ぶ。

「だからって人身御供は嫌ですよ!」

 

二人のやり取りをしばらく冷ややかなまなざしで見ていた葵だったが、

やがて参考書をカバンにしまい始める。

「・・・とにかく、これは私の問題です。会うだけ会ったら私は断るつもりです!

事態がややこしくなるのでくれぐれも変なことはしないでくださいね。」

そう言うと葵は外へ出て行ってしまった。バタンと扉の閉まる音が部室に響き渡る。

沙由美と圭太は黙って葵が出て行った方を眺めていた。

圭太と沙由美は葵が出ていった部室のドアを見つめている。

葵がいなくなって数分後、沙由美が沈黙を破る。

 

「圭ちゃん、葵ちゃんの事どう思う?」

「葵さんの事ですから、そんな簡単に流されやしないと思いますけど・・・」

「断ってあっさり引き下がってくれる相手ならいいけど・・・」

「余計なことはするなとは言われましたが、ちょっとぶっ潰したいかも。」

二人がそんなことを言い合っている背後からいきなり

 

「そうです!ぶっ潰すべきなんです!」

 

という声が響いた。

二人が振り返るとそこには見知らぬ女性が立っていた。

「すす、すいません!部外者は立ち入り禁止なんで・・・」と慌てて取り繕う沙由美と、

女装姿を見られまいと慌てて物陰に隠れる圭太。

 

しかし女性は二人をスルーして葵の座っていた席に座った。

「大丈夫ですよ。お二人の事は葵から聞いておりますので。」

そう言うと一礼して顔を上げる。

「初めまして。わたくし、藤乃の申します。葵の・・・身内です。」

藤乃と名乗ったその女性、見た目は20代後半から30代前半といった感じの美人だった。

その顔はなんとなくだが葵に似た感じである。

二人は葵の身内の登場に少し動揺したが、とりあえず自己紹介をする。

その後、沙由美が口を開く。

「お身内ですか・・・?」

年齢からして姉妹か従姉妹ぐらいかと思われるが、ちょっとつかめない感じだ。

「あ、わたくしの事は『ふーちゃん』でOKですよ。」

「ふ、ふーちゃん?」

沙由美は戸惑いながらも返事をした。

「その、ふーちゃん・・・さんがいったい何の御用で?」

すると彼女は鞄の中から1枚の紙を取り出した。

それは見合い写真だった。

それを見て、 ああやっぱり見合いの話か。

と思いつつ、なぜこんなところに?という疑問が湧いてくる。

その疑問を察したかのように彼女が話し始めた。

彼女の説明によると、今回の見合いは葵の父親が

かなり強引に押し進めようとしているらしく、

かなりの無茶をしているとの事。

たとえ断っても葵が留学から帰った時点で

結婚話を進めるという手筈を整えているということだった。

「まったく、あのクソ親父は・・・あら失礼。」

 

「あははは・・・葵ちゃん大変ですね。」

沙由美は苦笑いをしながら答えた。

「それでね、今日ここに来た理由は見合い話をぶち壊すためなんですよ。」

「見合いを断るのではなく、見合い自体をなくすということですか?」

聞けばこの見合い相手の鈍川という男性、かなり評判の悪い人物らしく、

とにかくいいうわさを聞かないということだった。

彼女自身が興信所に素行調査を頼もうかと思ったのだが、

正攻法で行っても葵の父が握りつぶす可能性が高いらしい。

「そこで・・・あなた方が以前ある人物の過去を調べ上げたということを聞きまして、

あの男に関することの何かを…発見できないかと」

「え!?私たちのこと知ってるんですか?」

「はい、葵からいろいろ伺っております。」

「葵さんってどんなふうに私たちのことを言ってたんでしょうね・・・」

「それはまぁ・・・色々と。」

藤乃はふふふと笑った。

どうやら葵はかなり沙由美と圭太の事を気に入っているようだ。

藤乃は続けて話す。

今回、見合い相手を失脚させるにはそれなりの証拠がいる。

そのためには何かしらの物的証拠が欲しいと。

「その証拠を私が隠し持っておけば、握りつぶされることはないでしょう。」

 

「なるほど・・・」

藤乃は話を続ける。

見合い相手に何らかの弱みがあるということはわかっているが、

それをどうやって握るかが問題だと。

そこで沙由美たちに相談を持ちかけたのだそうだ。

「お話は分かりました。ですが私たちは専門家ではありません。

調べるにしても多少時間がかかったり、最悪の場合

何も見つからない可能性もあるかと思いますがよろしいですか?」

と沙由美が聞いた。

「もちろんですとも。お願いできますでしょうか。」

そう言うと藤乃は深々と頭を下げた。

「はい、わかりました。」

沙由美と圭太が引き受けると、 藤乃の顔に安堵の色が見えてきた。

***

その週末。

沙由美と圭太たちはちょっと離れた街のモールまで買い物に出かけていた。

さすがに今日は圭太も女装ではなく普通の高校生らしい服装に身を包んでいる。

ファッションとしては頑張っている方だが、家族の評価は

やはり「無理した中学生」である。

そんな彼を見て「圭太君、その首のは何?」と沙由美が尋ねる。

「・・・チョーカーですよ。」「えー、なんか首輪に見え・・・」

「それは先生の心が汚れきってるからです」

「うぐっ!痛いところを突いてくるわねぇ・・・」

そんなやり取りをしながら買い物にいそしむ二人。

…とは言ってもほとんどが沙由美の私物であり、圭太の役目は主に荷物持ちであった。

しかし荷物が多くなるにつれ、沙由美も荷物を持ってくれるようになる。

「え?いいんですか?」

「君一人に大荷物持たせてると、ものすごい強制労働臭がしてきて、

申し訳なくなってくるの」と沙由美。

そんなことを言いながら、二人は仲良く並んで歩く。

その様子はまさに仲の良い姉妹といった感じだ。

そんなこんなでモールの中にあるちょっとよさげなレストランで

早目の夕食を取っていた。

「別にフードコートでもよかったのに。」

「せっかく来たんだから美味しく食べたいしね~。

それにこっちの方がデートっぽいじゃない!」

沙由美は満面の笑みを浮かべて言った。

「あとねここ例の見合い相手の家の近所よ。」

「そうなんですか?全然気が付かなかった・・・」

「あ、ちなみに見合い相手の名前だけど、鈍川直哉っていう名前ね。」

「それも例のふーちゃんさんが教えてくれたんですか?」

「うん、一応調査依頼として出したけど、向こうにも内緒だからね。」

そう言いつつ沙由美は料理を口に運ぶ。

「まぁ近所だからってその辺を歩いてるとは限りませんしね。」

「まぁね、何かしら手掛かりがあったら面白いけど・・・」

沙由美がそう言いかけたところで、圭太が言葉を遮る。

「・・・先生、振り返らずに後ろを見てください。」

「無茶言わないでよ」

と言いつつも、沙由美は言われた通りにする。

化粧を直すふりをしてコンパクトを取り出し、後ろの様子を写す。

 

そこに写っていたのは・・・なんと渦中の鈍川本人の姿だった。

しかも見知らぬ女性を連れていた。

「・・・いくらなんでも恐ろしすぎる偶然ね」

「神が与えてくれたチャンスかもしれませんよ。」

二人は同時にうなずく。

「圭太君。今すぐこの荷物たちを1Fのコインロッカーに預けてきて。

私はあっちの後をつけるから、場所は後で知らせる。」

「了解しました。」

圭太は素早く席を立ち、小走りに去っていった。

「さぁ、尾行開始よ」

沙由美はそう言うと、急いで店を出て行った。

 

つづく

 

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