【R-18】男女比率がおかしい貞操観念逆転アカデミアだけど強く生きよう 作:hige2902
現状のそうかん図です。
なんとなくわかると思いますけど、緑ゾーンにいる人はともだち勢って感じです。青文字は主人公くんに向けられたものです。
変化があってやる気があれば更新していきたいなあと思ってます。
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(いやこんな事あるわけない、あるわけないし)
芦戸は混乱しながらもスマホをスワイプし、みずからの蜜で濡れて操作できずに小さく毒づいてからタオルで拭う。動画を停止し、輝度を最大まで上げてスクショで細部を確認する。
よくよく見れば男優の着ている学生服は雄英のもののように見える。動画に戻って女優がちらっと映っているシーンを探すと、やはりそうだ。
(そうだ、って……じゃあそういう事? いやいやいやいやいやないないないないえーこれまじでえーなにこれなにこれなにこれ)
不意にノックの音がした。ビクリと震える。
「どしたの三奈? 大きい声出して」
「いや別にちょっと動画見てて、それでビックリして」
急に母親の声がして、思わず事実を並べる。AVと言わなかったのは運が良かった。
「あ、そ。お風呂まだでしょ? ご飯の前にちゃっちゃと入ってね」
「あーうん、わかった」
なんとか親をやり過ごすが、それどころではない。すでに性欲は衝撃的な爆風で霧散していた。だが心臓は異様なほど波打っている。脳みそが煮込まれているかのように熱い。
そうであるはずがないと、震える指でシークバーを動かす。しかしなかなか芦戸を納得させるだけの証拠は無く、モザイク越しになんとなく見覚えのある顔立ちや甲矢に似た女優の喘ぎ声と今日見たバストが、かえって疑獄の淵へと一歩一歩近づかせる。
なにより、女優の手で欲望のままに がばりと捲られた男優の背中には強い既視感があった。しっとりと汗で濡れており、裸で抱きついて頬擦りしたくなるようなそれには。
タブレットを乱雑に手繰り寄せ、何度となくお世話になった最初の戦闘訓練の映像を呼び出す。背中丸出しの彼の初期コスチュームが露にする滑らかな地肌はまったく、甲矢から渡されたAVと同じに見えた。
「…………まじ、か」
呟いて、意味も無く頭を抱えてバリバリと掻く。短い桜色の癖毛がフワフワと揺れる。
もちろんこれらの証拠は全てが確実であると裏付けるものではない。声が似ているだけの別人かもしれないし、背中だって単にじぶんが見覚えあるというだけだ。
だが仮定を満たす場合、不愉快な事実が浮かび上がる。
これが彼と甲矢のハメ撮りなら二人は付き合っているという事だ。それはいい。いやエッチしてるところを後輩に送り付けるのは良くないというか悪趣味だし、そりゃワンチャン付き合うとか出来ればラッキーだなーくらいは思っていたので多少はこころにクるものはあるが、わたしらは友達だと今日宣言したばかりだ。
とにかく問題はこのAVにはカメラワークがあり、すなわちカメラ役の存在だ。第三者がその場にいるという異常事態。
嫌でも体育祭のオイルマッサージ事件が芦戸の心中にとぐろを巻いた。あの時はてっきり発目が良からぬ事を企んでいたのかと勘違いしたが、今回は相手が上級生というのもあって立場も実力も彼が下だ。
動画では喘いでいたようが、無理やりという可能性は低いとは言い切れない。むしろ危惧すべきだろう。なんせ彼は弱い。
静かにスマホへと視線を落とす。真実を得る方法は一つしかない。もし彼が食い物にされていたのなら、今から甲矢をぶっ飛ばしにいこう。そう決断して連絡を取る。
「あ、もしもし。今いいっスか」
『あー、どした?』
「いやーあのAVめっちゃ良かったんで、男優買いしたいなーと思って。ファンザとかで売ってます?」
『ん。あーれはね、あれはまあ身内の個撮だから売ってないよ。そんな気に入った?』
とりあえず金儲けの道具にされているようではなさそうだ。
「えーまー。んじゃあ男も甲矢先輩の知り合いなんですか」
『そうそう。会いたい?』
「いやー毎日会ってるんで」
『あ、やっぱわかったか』
こっちは死ぬほど焦っているのに、電話口の向こうの呑気な態度に僅かな苛立ちを覚えた。
「……一応聞いときますけど、そのう、二人って付き合ってる的な?」
『いや』
なぜだかほっとして、ん? と眉をひそめる。
(付き合ってないのになんでエッチしてんの? おかしくない?)
『彼と付き合ってるのは波動だよ』
もっとおかしくなっちゃった!
「はい?」
『知らない? ほら、BIG3の』
「それは知ってますけど、え? ちょっと意味がよくわからないっていうか、んじゃなんで甲矢先輩が?」
『話すと複雑なんだけど、一言でいえば彼の性癖かな』
「はあ」
ハメ撮りが? それをクラスメイトに見せつける事が?
『彼がドスケベな天然バック*1って事』
友人を侮辱され、芦戸の口調が鋭利になる。
「……先輩でも言っていい事と悪い事がありますよ」
『そんな怖い声出すなよ』
スマホ越しになだめるような声で、甲矢は事情を説明する。複雑で捻じれた鍵穴に、同じくらいおかしい歪な鍵がたまたまぶっ刺さって性癖の扉が開いてしまった経緯を。
「それマジですか」
『うん』
(そっかー、二人ってやっぱそういう関係だったのかー。なんかいろいろと展開が早えー。普通はエッチするまで半年くらいかかるんじゃないのか?)
とんでもない性業と、いまいち理解し切れない思考の中で謎の喪失感も合わさり、事態を完全には飲み込めない。寝取られとバックが噛み合わさるってどゆこと? 脳がバグりそう。
『でさあ、やっぱり大っぴらに出来る性癖じゃないってのは自他ともに認めてて……それで頼みなんだけど、芦戸も彼の助けになってあげてほしいんだ』
「ん、へあ? えっと……助けって」
『いろいろと抑え込んでて大変だったみたいだよー、彼。体育祭のトーナメントで芦戸のヤールギュレシで組み付かれた時とか、思い返してエッチな気分になったって』
言われて、あの日の感覚が昨日の事のように蘇った。互いに服を着ていたとはいえ、【酸】のローションで男性と揉みくちゃになるあの感触。凄かった。お店でお金を払わなければ体験できないやつだ。
「あの、それってつまり……いやさすがにマズいというか、なにかしらの知らない法に触れるような、と、友達とそんな」
『いいかー芦戸ー。確かに彼の性癖は世間一般では蔑称かもだけど、それで苦しんでるなら助ける事は悪じゃないと思うんだ。もちろん両者の合意とか、そういうのは必要だけど』
固唾を飲んで、黙って甲矢の言葉に耳を傾ける。視線はタブレットに釘付けだった。あの身体を、クラスの皆とは言わないが、おそらく大半がオカズにしてクチュったであろうあの身体を好きに出来るのか。
想像して、頭ではなく顔が燃えるように熱くなった。
『だから友達として、彼を助けるのは間違ってない。これもヒーローとしての一側面、って言うのは大袈裟かな。けどまあ……芦戸にだって好みはあるだろうし、その辺の事は理解してるつもりだから嫌なら──』
差し出された飴を急に引っ込められそうになって、芦戸は慌てて手繰るように言った。
「嫌じゃないです!」
『えー無理して言ってない? なんかちょっとわたしも友達って関係を盾にしてるような言い方だったし、ゴメンな。やっぱさっきの話は』
「大っ丈夫です! わたしは全然受け止められますから! 友達なんで!!」
『ふぅん、そう……いやー相談してよかったわ。大変だったんだよ、一応拒否られた時に言い逃れできるようモザイクかけるのとか』
芦戸はその後のやりとりをあまり覚えていないが、時間も時間なのでとにかく委細は後日に詰める事だけは決定した。
通話を切った後、しばらく呆然とする。甲矢先輩と波動先輩、いつの間にそんな事になってたのだろう。
だが彼とヤれるかもという現実をしだいに飲み下すと、意識が浮上してきた。
(とりあえずお風呂いかなきゃ)
立ち上がると、入れっぱなしだったローターの紐がぷらりとぶら下がり、引き締まった太ももに触れる。
(うわ! すっかり忘れてた、危ない危ない。ていうかお母さんがノックした時、一歩間違えればオナバレしてたな。こわー)
最悪の事態を想像し、背筋が凍った。
それはそれとして、風呂の間も食事中もエッチの事でいっぱいだった。あまりにムラムラしたので入浴後ではあるがオナる事にする。淫液は濡れタオルで拭いて、朝にシャワーを浴びればいい。
オカズは迷った末に彼のハメ撮りにする事にした。さっきまで憤っていたが、納得した以上それはそれ、これはこれなのだ。
気合を入れて、今日身体を拭いたバスタオルを自室に持ち込んでおいた。湿っているが、潮吹きを受け止めるには十分使える。床に敷き、その上で膝をついてしゃがむ。タブレットの角度もバッチリだ。イヤホンチェックも怠らず、スマホから移した彼の個撮を再生する。
ローターを入れ、不完全燃焼で終わった身体を慰めた。
「んふぅ~、あー」
つい先ほど中途半端に終わった事もあり、すぐ吹きそうになって少し手を緩めた。やはり本イキするのは動画に合わせたい。
ゆっくりと乳首をイジメながら、モザイクが濁す男性器を目で追う。
(もうしばらく我慢すれば、本物の生チンポを見れる)
どれくらいの大きさなのだろう、形はバイブとそっくりなのか、硬さは、熱いのか、普通の人肌なのか、臭いは、色は。味は。貴重な精液も飲んでみたい。
細めの海苔で隠された程度のエッチなマンガである程度は知っているがしかし、やはり性的魅力を誇張されているであろう事は薄々と理解している。保健体育の授業で資料的イラストを見た事があるものの、勃起時は載ってなかったし生々しい断面図にさほど興味は無く記憶は遠い。
それ故に勃起した男性器の姿という、思春期の女性が重く抱くその果てしない疑問。そして、エッチっていつになったら出来るんだろうと、相手もいないのにふとした事で考えてしまう確たる答えの無い自問。
二つの問いは未定のはずだったが、いつの間にかもう数日もすれば解けると確約されたという幸運の激突。脳内はそれに押しつぶされ、IQは2くらいになる。
(見たい見たい見たい、シたいシたいヤリたい)
「ん“っ! あひっ! …………ふっうぅ~、はっはっはっ♡」
普通、オナニーで大きく喘ぐことはそうそうない。淡々とアダルトコンテンツを眺め性器を弄って、こぼれる程度に口から洩れるくらいだ。
だというのに、芦戸は必死に口を閉じ、どうしても無理そうなら息を止めてまで嬌声を抑え込んでいる。
今日、何気ない会話をした男の子が気持ちよさそうに喘いでいる。取蔭も耳郎も、小森も知らない、たぶん1-Aでじぶんだけが知っている、クラスメイトであり、友達でもある彼の信じがたい痴態。
(クソッ、エロ過ぎる! なんて身体してんだよ。甲矢先輩、昼時は毎回こんな羨ましい事ヤってたのか!?)
「んひぃっッ! ん、んん“っ!」
根拠の無い喪失感と秘密を独占する背徳、非現実的官能が入り混じり、じぶんでも知覚できない程の性的興奮に身を侵されていた。
本能の赴くままに女性器を激しく責める。ぐちゃぐちゃと愛液が泡立ち、本気汁がボタボタと滴る。すでに何度も連続軽イキしているが、それでも手を休める事が出来なかった。
僅かばかりの理性が、夜という事もあり歯を食いしばってよがり声を懸命に噛み殺す。
最高に気持ちいい本気の潮吹きの手前で何度も焦らす。
(ヤバい、声でちゃう! オナバレしちゃう……けど絶対気持ちいのクる、これッ! 今まで一番!! なら。アレ、やろうかな久しぶりに)
過激なオナニーに慣れると本番で困るという噂があるので控えていたが、極上の吹きネタとやがて訪れるであろう快楽に我慢できない。
思い切ってローターを中指で押し込み、子宮口に当てる。
「オ“ッ!! っほ、っはぁん♡」
悦楽が電流のように子宮に響く。
ふっふっふっ、と小刻みに荒い呼吸でクリを激しく擦り、片手で乳房を下から強く揉みしだいた。既に敷いていたバスタオルは役割を失っている。
同じくして騎乗位で腰を振る甲矢も、もうもたなくなっていた。
『んっあ! ああ! これ凄いぃ! はぁっはっはぅぅっ、ど、どう? 気持ちいい? わたしのマンコっ気持ちいい? んおっ! ほ!? こらぁ♡ チンポでぇ返事するなぁ♡』
(いいないいないいな♡ あんなに激しく……わたしもっ! わたしも、あんなふうにパコれるんだッ!)
『あーもうイクからな、一緒にイこ、な? 射精しよ? あっああ!』
それを聞いて、ローターの振動を最大にした。
ぬっちゃぬっちゃと彼の剛直が甲矢の膣でシゴかれる。奔放で底なしの女子高生の性欲の餌食となり、柔らかな痴肉の歓待を受け、今にも精液を吐き出してしまいそうだ。
『あー潮が込み上げてッ! あーくるッ! 子宮イキするっ! イッッッんああああ!』
「ふっふっふああ、んぐうっ!!」
芦戸は必死に食いしばって声を殺し、ほとばしる絶頂と共に潮を噴いた。淫液がブシャーと勢いよくバスタオルに打ちつけられる。
全力疾走したかのように胸を上下させ、雑にローターを引きずり出して電源を切る。タブレットもスリープにし、くたりとした身体でしばらく呆然とした。
「はあーーはあーーーっ! すごっ、かったあ~~」
その後は一段落したあと特有の冷静さで、ふらふらとオナニーの後始末をする。思ったより激しくしてしまったので、親に勘付かれてないか不安だがもうしょうがない。なるようになれだ。今はどうでもいい。
そうして余韻のあるうちにベッドに潜り込み、まどろみながら人生史上最高のオナニーを反芻する──
(めっちゃ良かった~。けどまた子宮口にローター直当てやっちゃったな。本番でちゃんとイケるのかなぁー。あーちょっと不安)
──動画を最後まで見ずに閉じたので、彼がゴムに出した量と、モザイクゆえに甲矢の膣が一度も彼の男根を根元まで咥えてない事を知らないままに。
ゆっくりと満ち足りた疲労感に身を任せ、小さくかわいい寝息をたてた。
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雄英の送迎バスに揺られながら、芦戸はぼんやりと車窓に映るじぶんを眺めてなんとなく思った。
昨日の出来事は夢かなにかだったのかも。
そう考えてしまうほどには非現実的だった。
彼が波動先輩と付き合っているというショックはそれなりにあるが、まあ友達だし、いつかはそういう時が来るんだろうなーとは理解していた。取蔭や耳郎だったらもうちょっとモヤっとしたかもだが。
そんなぼんやりとした思考で下駄箱にたどり着く。靴を履き替えていると声をかけられた。
「おはよう芦戸さん」
「あ、あー。おはよ」
どっと鼓動が速まる。そこには彼がいたのだ。挨拶をした、ただそれだけで、じぶんが何か悪事を働いてしまったかのように錯覚した。顔をまっすぐ見ることが出来ない。
流れで教室まで一緒に歩くが、芦戸は会話に身が入る訳が無かった。
悶々としながら、世間話が破綻しないようにするので精いっぱいだ。
(エッチな事なんて知らなそうな雰囲気して、ヤりまくってるんだよなあ。甲矢先輩の言葉が正しければ)
こっそりと横目で彼を盗み見る。女性には無い肉置きの良い情欲を誘う体躯。
(これをわたしも、好きにできる……のか? けどそれってどうなんだ。正しい事なのか?)
頭の中で欲望と倫理を延々と議論させる。
結論など出るわけもなく、保留しているうちに一日は始まる。
授業の合間の休憩時間に、芦戸は頬杖をついて半目で彼を眺めていた。八百万と拳藤、柳たちと談笑している。
(知らないんだろうな、あいつらは……)
あんな真面目そうな素振りをしておいて、その実は……思い出して少し憂鬱になる。
昨夜はヤれると有頂天になっていたが、時間が熱情を冷やすと、こんな重大な秘密を一人で抱え込むのは想像以上につらくなった。
椅子を浅くかけなおしてスマホを取りだす。通知はまだ無い。
(フツー翌日にはすぐ連絡するだろ~)
軽い苛立ちを覚えて、知らず知らずのうちに貧乏ゆすりを始める。とにかくなにかしらの結論が欲しい。これでは生殺しだ。かと言ってこっちからあれこれ尋ねるのはがっついているようで恥ずかしい。
女にはそういう妙で繊細なプライドがあるのだ。
「どんしたん? 芦戸。今日めっちゃスマホ見てるけど」
後ろから耳郎が尋ねるが、言葉を濁す。
「ん、あ~いやなんでもない」
取蔭も気になったのか、覗き込んでくる。
一瞬、こいつらになら相談してみようかと思いはしたが、まだ甲矢のイタズラという線もある。もう少し待ってからでも遅くはないだろう。
やがて放課後になり、どうやら今日は音沙汰無しといったところ。
下駄箱で小さく溜息をついたところで、スマホが鳴った。
メッセージを確認すると、甲矢からは短く、放課後の時間と場所が伝えられていた。
(ん? え? 今から)
「おーいどしたー。帰ろー」
「なんだよ今日、スマホばっか見て。やっぱなんかあった?」
すでに外で待つ耳郎と取蔭が待つ。夕焼けに照らされて、眩しそうだ。
芦戸も上履きから靴に履き替える。
棟の玄関口 ──大半の建物は大雨などの水害対策で土台を高くしてある── から一段降りようとして、やめた。
「わたしちょっと用あるから、今日は先帰っててよ」
「そりゃいいけど、大丈夫か?」
と察しのいい取蔭が尋ねる。
「いや~こないだ会った中学の先輩が実技について色々教えてくれるらしいから」
ふーん、と二人はなんとなく納得した。芦戸は筆記が壊滅的と言っていたし、なら実技で少しでも点を取っておきたいのだろう。
取蔭たちを見送り、芦戸はキュっと口を結んで甲矢の待つ場所へと歩き出す。
やがてちょっとした階段が見えてきた。傾いた夕陽が、芦戸の影を伸ばしている。一歩ずつ、登る。なんてことない動作なのに、それが何故だか緊張した。
もう、後戻りできない気がして。
階段を登る。
そして雄英敷地内の自然公園に着く。見回すと、ベンチに座った甲矢が「おー来たか」といつも通りの感じで声をかけた。
「あの」と口を開いた芦戸を無視して「こっちこっち」と案内する。
小走りで追いついて並んで歩くが、どんどんと人気の無い方へ進んでいく。
不安になりプライドを捨てて尋ねた。
「あのー昨日の話なんですけど、アレってそのー、いつになりそうなんですーかね?」
「今から」
「は?」
てっきり今日は打ち合わせか何かだと思っていただけに、気持ちが追い付かない。
「今からって今からですか?」
「早い方がいいでしょ? そだ、これあげるよ。持って来てないだろ?」
ポケットから渡されたのは、二つの小さな正方形の袋だ。
「一個は途中で外れた用な。付け方は、わかんなきゃ教えてくれるから大丈夫大丈夫」
「これ……って」
芦戸の掌の上にあるのはコンドームだった。黒地に蛍光色でメーカーのロゴが印刷されている。
「次からはじぶんで買ってね。出来れば同じやつ。ドラッグストアが恥ずかしかったら、アマゾンとかでも売ってるから」
急に生々しくなって、怖くなる。昨夜は素晴らしい性体験を夢見ていたのに、現実では小さな恐怖が芽生えていた。ヤれなくてもいい。もう、帰りたいとさえ。
ちっぽけな少女が広漠な心細さを覚え、思い切って対処を切り出す前に、雄英七不思議の内の一つ「なぜか都合よく人の来ない体育倉庫」に着いた。
着いてしまった。
「ここで、ですか」
「そう。ちょっと暑いけどね」
急すぎる。
いっそ彼はいなくて、もはや全て甲矢のイタズラであってくれとさえ願うようになっていた。
がらりと甲矢が扉を開ける。差し込んだ夕陽が、暗い室内で適当な箱の上に座ってスマホをスワスワしている彼を照らした。
「ん……え! あ、芦戸さん!? なんでここに!」
彼は戸惑うが、芦戸は芦戸で心の準備ができておらずいっぱいいっぱいだった。
(いた、ホントに。てことはやっぱマジなんだ。やばいやばい、いたよ。うわー! なんか狂いそう!)
もじもじと足元を見つめるしかない。
「甲矢先輩? これって……どういう」
「いやー彼女、まえ言ったと思うけどわたしの中学の後輩でさあ。まだ処女らしいから」
がっしりと芦戸の肩を組んで彼に近づきながら、薄く笑って続ける。
「ちょっと