【R-18】男女比率がおかしい貞操観念逆転アカデミアだけど強く生きよう 作:hige2902
「ふざけんなっつーの」
缶ビールが小気味よい音を立てて開いた。
香山は冷蔵庫を大きな尻で閉め、喉を鳴らして冷えた黄金の液体を喉に流し込む。さわやかな炭酸とコクのある麦の旨味が口に広がった。
「っぷあー」
風呂上がりの髪を後ろで纏め、使い古したTシャツにステテコのいでたちで口元に滴るビールを拭う。今度は冷凍庫を開け、欲望の赴くままに冷凍ピザを取り出してレンチンした。
不機嫌な顔のまま、解凍を待つあいだ台所からリビングを見渡す。おしゃれなローテーブルの上にはどこからかの封筒が散乱しており、ソファは人をくつろがせるという役割から服や洗濯ものなどの荷物置きに変わっている。
なんとなく買った間接照明のスイッチには埃が積もっていて、役割を失って久しい。
誰かから押し付けられるように貰った観葉植物はいつのまにか枯れ果てているが、土を捨てるには手続きが必要と知ってからは面倒なのでそのままだ。(雄英なら引き取ってくれるだろうが)
ようするに三十代独身の部屋のサンプルの一つ。
現場から一線を引き、雄英で教鞭を執るようになってから二回ほど引っ越し、そこそこ長いあいだ住んだマンション。それなりにいいところだが、愛着もそれなりだ。
「引っ越しめんどくさ」
呟きに同意するように電子レンジが鳴る。
封筒や書類の上にトレーのままのホカホカのピザを置き、衣類がソファから落ちない程度に押しのけて座る。テレビでネトフリを起動して、何を観ようかと探しているうちにそこそこの時間が経過してしまう。もうどうでもよくなって安っぽいホラー映画を流した。
それをBGMにスマホでSNSを眺めながら、味の濃いピザをビールで流し込む。美味い。
悪くないどころか結構良い仕事終わりの夜にも関わらず彼女がムスッとしているのは、観たい映画が見つからなかったからでも、雄英が全寮制に移行するにあたって教師もそれに倣うからでもない。いや引っ越しが大変なのはそうだし、渡我の雄英編入でごたごたした書類仕事が重なった忙しさもある。
それらはほんの些細な事だ、兎山の件に比べれば。
「いい歳してなーにマジになってんだか。犯罪すれすれなのわかってないのかっつの。おまえに関係あるのかって、なんかあったら矢面に立つのは担任のわたしじゃん!」
後になってから言いたいことが湧き出てきて、そのとき口に出来なかった事にも苛立つ。
浅い酔いに愚痴をこぼし、一気にビールを呷る。空になったのでもう二、三本取ってきてドスリとソファに腰掛けた。
しばらくすると、映画はちょっとしたお色気シーンになっている。たぶんこの後死ぬ男女が、ベッドの上で抱き合いながら口付けを交わす。そしていよいよというところで殺人鬼が現れた。
きっと、兎山は彼とヤるだろう。そしてそれを止める権利は無い。
自然とそういう思考になって、想像してしまいなんとも言えない居心地の悪さを覚える。
普段はぶっきらぼうな面が表に出ているが、彼女とて性欲はあるだろうしなんなら強い方に違いない。そういうレッテルを貼られてもいるし。
それに今でこそ制御しているが【兎】の個性に引っ張られる可能性だってある。きっとバコバコとハメまくるはずだ。
香山の心情としては、羨ましいかと問われれば、そりゃあわたしだって女だし。それは自然な欲望。けど、普通は別の物にぶつけて消費するのが常識じゃない? といった感じ。
例えば、とテーブルの書類の山からタブレットを発掘して適当にアダルトコンテンツを閲覧する。なんとなく漫画の気分。
入浴後だが、まあ潮吹きしない程度にすればいいかと灰色のショーツを半脱ぎにして秘部に指を這わせる。幸い、タオルは洗濯したあと放り投げた物がソファの上に山ほどある。
ふと好みの男子学生が目に留まり、表紙買いした一冊を表示させる。導入を飛ばすと、壺役の洋ナシ体系オバサン教師が男子学生を脅してレイプしていた。場所は学校の更衣室ようで、無機質な背景が逆に生々しさを際立たせている。
いわゆるモブオバ的な顔の無い教師が、スタイルの良い男子の性器を手コキしながら言った。
『なんだぁ? もうおまえのペンがビンビンじゃないか。補習をヤル気満々で先生うれしいぞ』
『こ、これは精力剤を飲まされたから。じゃなきゃ先生みたいなオバサンに勃つわけ』
『ほぉー言うじゃないか……まあそのうち薬無しでもガチガチにしてやる。とりあえず、こないだの復習だな』
そう言うと教師はロッカーに手を付き、男子に無理やり立ちバックで腰を振らせる
男性が動く体位は、性交の意志無くしては基本的に成立しない。故に女性に対する性欲が感じられるので人気があった。
『ほーら! 先生の穴埋め問題にガンガン答えないと、おまえの大事な彼女の推薦取り消すぞっ!』
本職にはノイズに感じなくも無いが、まあフィクションにあれこれ言うのは野暮というもの。クチュれればいい。
半泣きの男子学生が喘ぎながら、オバサン教師の穴を懸命に突いていた。
『おぉ~……いいっ、いいぞ~。問題を解くペンが止まらないみたいだなぁ。コッチも優等生とはッ。若い高校生チンポ、うんほォ堪らん!!』
やがて男子学生が身体を小さく振るわせて射精した。ぬぽりと抜き出されたゴムの精液溜まりには、マンガ的に誇張された白濁液がたっぷりと詰まっている。
『ふ~、勝手にイきやがって。そんなに先生の穴埋め問題が難しかったか。こりゃ赤点だな』
『そ、そんな』
オバサン教師がゴムを外し、男子学生を押し倒すと騎乗位で犯す。
『せ、先生っ! ゴム付けてッ! ナマはやめてくださいっ!』
『ふんっふんっ! 四肢択一問題だ! 先生のマークシートを白くてドロドロので塗りつぶして答えるんだぞ! 正答したら生ナカ出しは勘弁してやる』
『は、早くお願いしますっ! マーク? えっ』
オバサン教師は容赦なく腰を打ち付けながら、少し咳払いをして言った。
『第一問 哺乳類の妊娠に関する次の文章を読み、下の問いに答えよ。(配点 100)
妊娠とは、卵子と精子が受精し受精卵となった生命体が着床する事から始まる。
問1 性行為において妊娠する場合、受精卵を生むため射精するのに最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 顔面
② 口腔
③ 膣!!
④ 直腸 』
『えっ! マークシート? えっ!? 塗りつぶすって、あっ♡』
『ラッキーだな、昔は共通テストじゃなくセンター試験といって五肢択一だったんだぞ!』
『も、もう出るっ、うぅッ②です! 口に出すので許して下さい!』
教師はそれを聞くと手早く膣から男根を抜き出し、ガポリと咥え込んで口淫でイかせた。
『あ゙~~精子うんまっ! ったくこんな濃厚ザーメンを溜め込むとはとんだドスケベだな。しかし誤りッ! 正解は③!!! ふんぬぅっ!』
射精したにも関わらず未だにギンギンのご都合チンポを再び犯す。
『そ、そんな。まだイったばかりで。ん゙お゙っ♡』
『さっき言ったばっかだろ、正答したら生ナカ出しは勘弁してやるって! よぅし、次は数学だ、前述の対偶は?』
『不正解なら生ナカ出し! でもそんな! あっ、すごっマンコがぎゅって』
『おっ数学とセックスは得意みたいだな! ってことはナカ出し決定だぁああ!!』
卑劣なダブルバインドで生徒を追い詰め、どすんっ! とトドメを刺すかの如く腰を一際強く落とした。
びゅるるぅっ。
勤勉の甲斐なく膣内射精を許してしまう。
『おっおおお゙~~ぴちぴちの精子効くわぁ~~……これが問1の正解だ、覚えとけよぉ。孕んだら、わかってるだろうな』
『ひ、ひどい……こんな、どっちみち……』
文章上の法的にはともかく、法解釈による通説や裁判所の判例からすると親権は父親が持ちがちだ。これは種を撒かなければ実は生らないという理屈で、精液という種子を撒いた男性に比重が傾いている。
なので女性が妊娠すればその責任は当然に男性側にあり、逃げれば胎児虐待として重い罰に問われる。この世界には胎児虐待を罰する法がある。
勃ったのだからそのつもりで性行為に及んだとされる解釈の上に成り立つ理屈だが、精力剤やED薬などによる事件性のあるものあり、昨今では法改正による男女平等が望まれていた。
その背景にあってアダルトコンテンツにおける強制生ナカ出しは、壺役への服従に近い。
『イったくせに何言ってんだ。まだまだ補習は続くからなぁ』
『もう、許して、ください』
『はぁ!? 間違えたら修正液で直さなきゃだろぉ! おらっ! 白い液出せっ!』
『ヒギィッ!』
この後、紆余曲折のすえ男子学生は都合よく快楽堕ちした。
同じ大学に行こうと誓い合った彼女は彼氏をオバサン教師に寝取られた形になり、それを尻目に二人はなんだかんだ幸せそうというか、都合の良い主従関係で終わった。
クセはあるが絵がエロかったのでまあまあ使える一冊と言ったところ。
香山は愛液をタオルで拭きとりながら、一段落した後の特有のぼんやりと冷えた思いを巡らせる。
(ま、犯罪でも無ければしょせん夢よねえ。中年と男子学生が関係に至れるのは)
冷えて硬くなったピザの残りとぬるくなったビールをちびちびやって、佳境になった割には緊張感の無いサスペンスとスマホを交互にぼーっと眺めた。
その辺に放られたタブレットに映し出されている快楽堕ちした男子学生は、心なしか彼に似ていた。
xxxxxx
xxxxxx
兎山と香山が学校の屋上で問答をしてから数日経ったが、二人の関係は特に変わらなかった。普通に挨拶して、仕事をして、適当に駄弁る。
あの一件で険悪になるほど二人とも幼稚ではない。それと同時に、性に関する問題で態度を変えるとムキになっているようで大人げないからかもしれない。
ただ、ミルコと社会の関係は一変した。
少なくとも香山はそれを如実に感じ取ったし、スマホで動画を見た時はコーヒーを吹きかけた。
ミルコがちびっ子相手にしゃがみこみ、視線を合わせて笑顔で対応していた。
前後の詳細な状況はわからないが、察するに何かの救助活動の合間だろう。誰かがスマホで撮ったのをアップロードしたようだ。
ミルコが。
あの、ミルコが。
事務所を持たずに風来としながらも勇猛果敢にヴィランを蹴り倒す事に全振りし、ファンサービスもグッズもメディア露出も無くストイックに全国で指名手配級を仕留め続けた結果、ビルボード上位に名を連ねるという異端の、あの、硬派武闘派で通っている、あの、ミルコ、が。
いやもちろん彼女だって戦闘一辺倒ではなく救助活動は当然こなしてきた。それは現役期間が被っていたミッドナイトも知るところ。けれどそれだけに、スマホの中のミルコの愛嬌には違和感しかない。
いつもは安全な場所へ避難させたらすぐに次の救助者まで一っ跳びして、事態が落ち着いたら後はアフターケアが得意なヒーローや救急などに任せて去っていた。それはヴィランとの対個性戦後でもだいたい同じだが。
この心境の、いやヒーローとしての活動方針の転変は機嫌が良かったでは説明が付かない。ということはやはり、超機嫌が良かったとしか。
(ヤったわね、これ)
まあ、時間の問題だった。止める手立ても権利も無い。
(にしても、抵抗感とか無いのかな? 生徒にセックスを見られるんでしょ)
香山が体育倉庫で全員を怒った時にされた説明によれば、彼と寝るには三つの条件があるそうだ。
一つは避妊。
二つ目は消耗品などの費用の公平な負担。
最後に、定期的にハメ撮りをシェアする事。
動画はアイテム科の誰かに作ってもらった専用のアプリでアップロードし、そのアプリを端末にインストールしている者は誰でもファイルにアクセス出来る。絶対に流出する事は無く、そのセキュリティの堅牢さたるや、地の文で絶対に流失する事は無いと記された並みのとのこと。
もちろん端末側にも保存されない。インストールにあたってはストアを経由しないので多少手間ではあるが。
じゃあ安全だ、漏れて炎上とかすることは無い。
が、仮に香山が彼とヤったなら、それは波動ほか彼と関係を持った全員に知れ渡る事になる。
生徒の立場で普通に考えたら、教師が同級生とセックスしてたら引くだろう。どんな顔で教壇に立てばいいのかわからない。
(それにいろいろ比べられそうよねぇ……オバサンだし)
なんとなく、こないだオカズにした男子学生もののエロマンガを思い出す。小さく嘆息した。
ほんの少し、ミルコが羨ましく思う。きっとそういったシガラミや生徒の視線なんか気にしないのだろう。本能の赴くままに、あの蠱惑に満ちた若々しい肉体を貪るのだ。
とはいえ。
とはいえやはり
なので先陣を切るその胆力には少し引くし、ならわたしも……などと考えてしまう。
(バカらし、わたしがヤる為の理由探してんじゃないわよ)
それは結局、兎山がヤったのならじぶんも許されるのでは? という免罪符を得ようとしているに過ぎない。
自罰し、やがて昼休みが終わる。
「あー、年取るってヤね」
んー、と身体を伸ばして教室に向かった。では若ければどうなのだという思考は意図的に打ち切って。