もしかしたらこうなってたかもしれない、というだけの話で本編とは殆ど関係ありません。
物語の始まりは、「狂気の改造編」の終盤からです。
礼華は口から胃袋へ直接、化け物の卵をいくつも産み付けられた。
何も考えることができなくなった頃、突如として腹部に鈍く強烈な痛みが走る。気が付かない内に放心状態にいた彼女の意識が強制的に呼び起こされ、彼女は蹲って自分の腹部を両腕で抱き締めた。体内に意識を向けると、胃袋へ入れられた球形の物体がそれぞれ振動をし始めている。そしてそれらは、段々と身体の下へ——彼女の肛門へと動いていた。
(これって…………もしかして、出産!?)
そう考えている時間も無く、化け物の卵と思わしき球体全てが出口を求めて大移動を続けている。このままいくと、彼女はお尻から——。
(それは、それだけは嫌っ! お尻から出産なんて……)
一も二も無く礼華は肛門の括約筋を絞めて卵が出てくるのを防ぐ。絶頂の勢いで失禁した上に、今度は肛門から産卵しようとしている。流石にこれ以上の醜態を、彼女の自尊心が許すことは無かった。彼女の人間としてのプライドが、これ以上の羞恥に耐えられる訳がない。たとえ命を失うことになろうとも、自分が人としていられるのであれば彼女には構わなかった。
「ひぐぅっっ!」
遂に一つ目の卵が出口のすぐ近くまで到達した。臀部の筋肉全てにありったけの力を籠めて、必死に卵の脱出を妨害する。卵の大群は次から次へと彼女の体内から出るために、出口付近に集まってくる。お腹がゴロゴロと鳴り、限界を迎えていることを訴える。だが、それでも彼女は力を入れ続ける。
(駄目っ、ここから先には……………絶対に………っ!)
ボッコリとした膨らみが下腹部へと移動し、彼女の身体が震えだす。人としての尊厳を守る為、それだけを考えて卵が出て行かないように力み続けた。
もう限界はとっくに超えており、これ以上は——。
「ひぐぅっっ!?」
その時、頭に電流が走った。だがそれは放電されたわけではなく、それに近い別の何か。快感という強烈な刺激。それが彼女の胸部から全身に伝わる。
ちょうどつい先ほどまで大人しくしていた化け物の触手が乳首の奥深くへと侵入し、そして勢いよく引き抜かれる。
「ん゛お゛おぉぉぉぉっ!」
突如として全身を襲った快楽に彼女の身体が打ち震える。広げられた乳首の穴から白濁した液体が噴き出し、痙攣する秘部から潮が吹く。
——しかしそれでも、礼華は肛門の穴をぴったりと閉ざして卵達の進行を食い止める。
「たとえ人智を超えた絶頂を与えられようとも、人間としての矜持は必ず守る」と、彼女の揺るがない信念の下、筋肉を引き締める。
そんな彼女の胸に、再び触手が深くまで挿入されては一思いに引き抜かれる。
「っ~~!」
全身が再度強烈な性的感覚に襲われるが、出口の穴を固く閉ざしていた。
それから数度、触手によるニプルファックを受けるが依然として礼華は尻の筋肉を引き締めたまま、常人であれば溺れる程の快感漬けに晒されては耐え続けた。
すると、触手の乳首責めが突然に終わりを告げた。
「……??」
卵が産まれるまで永遠に続けられるのかと思われた快楽地獄が一瞬にして終わり、礼華は疑問を抱く。「何があったのか」、「私は許されたのか」と、頭に浮かぶ疑念は晴れる事無く数を増す。——ただ、結論から言えば許されるはずがなかった。
そして更に言えば、彼女にとっての地獄はこれからクライマックスを迎えることとなるのだった。だがそれを彼女が知る由も無い。
「っ痛っ…」
性的興奮を与え続けられる地獄から解放されて一転、彼女は真の地獄に叩き落される。
卵を産み付けられて膨張した腹部が鋭い痛みを断続的に訴え始めたのだ。一秒毎に意識を奪われそうな激痛の中、自分の身体に意識を向けると体内でプチプチと何かが弾ける感覚を彼女は認識した。そして、その音がする度にただでさえ大きく膨らんだ彼女の腹部は更に醜く膨張していく。
「っつぅ……、っ!」
膨らみ続ける腹部を両腕で押さえ、声も上げられなくなる程の苦痛に悶え苦しむ。地獄のような時間が五分近く経過した時、引き締め続けた彼女の菊門から生暖かい液体が滴り落ちてきた。
化け物に顔を覆われた状態から得られる情報を、礼華は集める。
精液のような粘性は殆ど無く、それでいて水から遠い感触の液体から鉄のような匂いが彼女の鼻孔を刺激する。特徴的な色は見えなくとも断言ができるそれは、言うまでもなく血液だった。
「っ! っ~~~!」
肛門から流血していることに気づいた直後、腹部の激痛が更に酷くなった。
ミチミチと音を立て、張り裂けそうになるまで腹が膨らむ。それと同時に、彼女は喉から逆流してくる何かを抑えることができず、吐き出した。床から匂ってくる鉄のような香りが自分の口からも放たれる。
各種各器官が異常を来した後、彼女の身体は遂に限界を迎えた。
「っ…………」
声も上げられないまま、礼華は意識を手放した。
そして、膨らみきった腹部が段々と赤く染まっていったかと思うと、風船のように割れて鮮血が爆散した。部屋の半分近くを赤黒く染め、彼女の肉片が散らばり、白かった部屋は一瞬にして凄惨な現場に変わってしまった。
破裂したかのような大穴が開いて息絶えた礼華の身体から、ゾロゾロと蠍のような生物が数え切れないくらいに現れた。それぞれの体は小さいが、よく見れば彼女の顔面に張り付いた化け物と同じ姿形をしている。
衝撃的な出産を経て外界に出て来た化け物達は再び彼女の肉体へ戻って行くと、その屍をグチャグチャと貪り始めた。骨を齧り、血を啜り、肉を食む。
礼華の生きた痕跡が四方に飛び散った血液だけとなるのに、然程時間はかからなかった。
~DEAD END~
これにて「月の下で、枯れ汚華」完結です。
ご高覧ありがとうございました。