七海建人「私の黒閃記録は53万です」 作:天間緑茶
吉野純平は夏油傑と一緒に里桜高校の敷地に居た。母の痴態を見てから一週間ほど経った。つばささんの不登校や僕の失踪を受け学校は学生に注意喚起をする様だ。
夏油さんから仲間になる条件を教えてもらった。それは真人さんのやろうとしていた事の引き継ぎだった。真人さんみたいな特別な術式はないが、人を苦しめる事に関しては僕の術式は優れている。
虎杖悠仁は縛りで1人でくる様に仕向けた。僕も1人だと伝えそれを守っているので誘き寄せられるであろう。
「ありがとうございます夏油さん僕にチャンスをくれて……しかも僕が望む事が成功するだけでいいなんて」
「私こそ君には感謝しているよ。君の様な予想外の混沌が生まれるのは実に面白い」
「さて、僕は行きます。あまり猶予も無さそうなので」
僕はこれから無関心な学生と教師を全員鏖殺する。とくに伊藤は念入りに痛めつける。
「闇より出でて闇より黒くその穢れを禊ぎ祓え」
僕の術式は式神を媒体とした毒だ。人を死に至らしめる猛毒。殺すつもりが無くても呪力の弱い人間であれば死んでしまうため調整には苦労する。
僕は体育館に集まっている全員に足を麻痺させる神経毒を注入する。呪霊の見えない彼らは式神が真横を通り過ぎても認識しない。瞬く間に皆動けなくなる。
僕は女子生徒を全裸に剥いて可愛い子を味見をする。もちろん一期一会一挿入だ。僕のやっている行為を誰を止める事ができない上に男たちには強姦をしなければ殺すと脅しをかけたらミミズの様に男どもは不自由な手足で女を犯していた。僕が演出したミミズ人間達は生を得ようと必死にもがいていた。
僕は下調べしておいた伊藤の彼女を犯しながら伊藤に問いかける。
「タバコない?」
「あ、ある!」
目の前で彼女が犯されているのにこの男は何事をない様に保身に走っていた。興奮が覚めてしまったのでそうそうに射精してハゲの校長に譲る。
「何個ある?」
僕は前髪で隠している火傷の跡を伊藤に数えさせる。1、2.……10……。伊藤が数え終わると自分がこれから何をされるのか悟る。
「じゃあ自分でやろうか?」
伊藤は罵りながら叫びながら自身の額に火のついたタバコを押し付ける。
「これでお揃いだね!じゃあ反対側は僕がやるよ」
僕が伊藤で遊んでいるとようやく真打が登場する。
「純平!何してんだよ!」
「来たな、呪術師」
虎杖悠仁。千年前に暴れて居た宿儺の器として高専に所属する秘匿死刑が予定されていた呪術師だ。反吐が出る正義感と善性は僕が出会うには遅すぎた。
虎杖悠仁は呪術師としては未熟だ。術式もなく闇雲に殴るしか脳がない。
「体育館見た?人間がミミズみたいに交わってのたうち回ってる!醜いよね!」
「どうしたんだよ純平!お前そんな奴じゃ無かったろ!」
そんな奴じゃなくてもそうなるんだよ。別に良いじゃないか人間も呪霊も呪術師も呪詛師も皆醜い。僕はたまたま呪詛師としての醜さの才能があっただけ、虎杖悠仁も正義感を気取っているが生に執着して宿儺を宿す姿は十分醜い。
「君は自分を俯瞰してみた事はあるかい?」
「俯瞰?」
「第三者目線で客観視しするって意味、馬鹿なの?君宿儺の器何だってね、爆弾持ったテロリストと何が違うの?」
「それは……」
「僕が犯した罪より君がこれから起こす罪の方が遥かに重いと思わない?なのに正義面しやがって!死ねよ!正義気取るならまずはお前が死ねよ!」
虎杖は純平の言っている事が正しいと思う。
「!!!でもッ!それでも!俺が今お前を止めない理由にはならない!!」
「精細を欠いた動き、自信が無いんだろ自分の正しさに。君の運動性能は高い。だから僕は君が出した隙を見逃さないよ!」
澱月!
「ッガ!」
澱月の触手の先端は人の肉を容易に骨ごと貫通する。呪力で守っていようとその足し引きは結局人の強度に準拠する。
「ッァラア!」
虎杖の腹には間違いなく穴を開けた。しかしそれを無視してそのまま殴りかかって来た。
「ッぐ」
澱月スーツで衝撃をいなしているが、二段階の衝撃により吹き飛ばされる。
「早く宿儺に変わってもらいなよ!そのままだと死んじゃうよ」
「うるせえ!俺は死なない!」
いや致命のダメージを受けているはずだ。このままだと本当に死ぬだろう。予定とは違うが仕方がない。どうせ死んでしまうのであればこれ以上時間をかけても仕方がない。今回は早々に離脱して次に備える。ーーー!?帷が破られた!?
「ハァ、何でこうなってるんですかね?」
呪術師七海!
「お前がぁーお前がァ!」
「流石に私が殺すのは忍びないので拘束させてもらいますよ。凪さんもそれで納得するでしょう。まさかこんな事をしでかしたのを私の所為にはしないで下さいよ?目覚めた性癖の責任は自分で取りなさい!」
「許さない!僕と母さんはお前に呪われたんだ!」
「被害者気取りが……和姦との違いもわからんガキと語るものなんて無い。君の犯した罪は大変救い難いですが、情報という価値があります。運が良ければまだ生きられますがどうしますか?」
「だれがお前なんかについて行くか!」
「良かったです。精液くさいあの地獄を生み出した君とは分かり合えないと思っていました」
虎杖は澱月の厄介さを身をもって知っている。普通の拳ではゼリー状の流動に衝撃を吸収されてしまう。しかし七海の拳は流動に当たる度に黒い閃光を迸らせて駆け巡る。
純平の防壁の澱月は七海の拳の衝撃による圧力の急激な温度上昇ならよ蒸発。澱月は貫通され純平も肩を砕かれる。
バシュン!
「ァ゛ア゛痛い、痛い!」
「ーーーーーーーーーーー」
「逃げ、ないと…!まだ、まだ、僕は!」
気配を殺す事に長けた花御は純平のそばに控えていた。式神が死んでも術師は死なない。純平は澱月を盾にして花御へ捕まるとどこか大地の虚空へと逃げていった。
「あれは無理ですね……スキャンタイプとは違い私はアサルトタイプ。虎杖君ご無事で何よりです」
「ナナミン……」
「呪術界に待ったは存在しません。焦りなさい虎杖君。君にはもっと強くなって頂かないと私が困ります。私は君を呪う気は無いので自分で自分を呪って下さい」
「呪い……」
呪いは思いだ。思いの強さで負けたら勝てるものも勝てない。
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「クソ!ックソ!何だよあいつ何なんだよ!」
「------------」
「花御が毟られるなんて、七海建人……予想外の強さだ」
花御は純平を改修する際に腕を負傷した。もし毟られずに普通に掴まれていたら逃げる事はできなかっただろう。あれは花御の強度が想定以外だった様な感じであった。
「つまり七海は花御をただ掴もうとしただけで君の肉体は挽肉にされたと!危険だ……術式によるクリティカル率上昇?彼の呪力程度ではたかが知れている筈だ……何かカラクリがある筈だ」
「ゲ…夏油さん……」
「あぁごめんごめん。死に掛けだったね一応直してあげるよ」
純平は出血多量により常人では意識を失ってもおかしくない状態であった。しかし七海を睨んだときまだ死なないと呪い生命力を維持していた。反転術式ではない。毒も裏返れば薬となる。鎮静薬、止血薬、麻痺薬、麻薬。万能薬としての覚醒が先の戦いで起こり急成長した。
「花御、腕一本もらえるかな?」
「------」
呪霊の腕。通常人間では適応できない。しかし純平は通常の人間では適応できない状態を毒の術式で適応していた。ならばと羂索は試したい欲求が抑えられず突発的に人間と呪霊の融合を試みる。
「あ゛アーーーーー」
「やはり面白いよ純平、君は素質がある」
純平の中に森の呪いが毒の様に蝕んでくる。それに対して反対の毒で中和して行くと徐々にその繋ぎの違和感がなくなって行く。
植物には様々な毒が宿っていた。純平はその毒が自分の物だとわかった時に呪力の革新へと近いた。
「真人というキーを失ったと思ったが君という存在が現れる。つくづく平等が好きだよね世界は」
純平には真人のどのユニークさは無い。しかし人を呪う心は真人に似通った部分がある。純平の急成長は予想にしていなかった。どうせ何も成せずに死んでゆくと思っていた。
「でも君じゃ真人にはならないね。七海に勝つ事はおそらく無理だろう……あぁ寝てるのか、いい夢を見なよ」