七海建人「私の黒閃記録は53万です」 作:天間緑茶
漸くコネクションのある歌姫が京都の呪術高専に務める事になったので春日部というシン・陰流の一級呪術師への伝手ができるようになった。領域展開という必殺必中の必中を無効化できる要素は以外にも多く、最終的には呪力さえあれば容易説は濃厚な物の使い手が少なければ対抗策も広まる事はなく、今のところ一部の者たちが技術を独占している。
中でも御三家は仲良くはない割にその辺は手を組んでいるあたり似たもの同士なのが良くわかる。もちろん真希真依が知るはずもなく、見る機会が一番多いシン・陰流からヒントを得るしかない。
領域展開が出来れば関係ないのだが、今でもできないよね状態なので迂回路を模索する。
「お久しぶりです歌姫さん」
「珍しい七海からの誘いだ。呪術師を辞めてから音沙汰も無いし、夏油もああなってしまったからな。心配してたんだぞ」
「夏油さんの件は本当に残念でならないです。私も自分の事で手一杯で、どうしてもこちらの世界とは距離を取ってしまって……」
「……灰原の事未だにか、いや、そう簡単に割り切れる方がおかしな話しか」
灰原?学生時代の少しの付き合いの傷ならとうに癒えているが、勘違いをしてくれているなら否定する必要もないため利用する。
「歌姫さんも現場をお辞めになって教職に専念するのはその為ですか?」
「そうでもないんだが、後輩の育成をもっと大事に思ってな」
「成程、五条さんと同じですね」
「あいつと一緒すんなっ、あーもうあいつの顔思い出して来ると腹立って来る」
「五条さん顔はかなりイケメンですよ。性格はあれですし、昔も今もジャンルは違うクソガキではありますが」
「顔が良いだけだろ、それに私は人の容姿にあれこれ言う気はない」
「今も昔もお綺麗ですよ」
「っな、お前変わったな……まぁでも嘘でも有難うな」
まったく、呪術に関わる奴らはどうにも奥手と言うか性に興味がないと言うのか。基本的に我が強い女性陣ばかりなので面倒臭いのは確かですが、容姿に問題は無いんですがねえ。家入さんはタバコ臭くてかなわない。常に吸い続けてるし、彼女の滞在する場所も長いしたくない。それに比べれは歌姫は何と普通か。服のセンスは中学生男子だが、それもまた良い。五条坂はこれに手出しせず30過ぎても放置するとは根っからのクソガキ体質なのか、女性関係に興味がないのか。
だが、気になる事はある。おおよそ確信しているが歌姫は男性との交際経験があるのか?京都陣営との橋渡し願いのみの予定だったが、さっきのリアクションを見て興味が湧いた。
「今日もう少し時間ありますか?実は行ってみたい場所がありまして……」
「おお、いいぞ
とは言ったが、なんで京都からUSJなんだ!ちょっとの範囲超えてるだろ!見ろ!周りなんてカップルや、制服女子高生集団ばかりだぞ!」
「だから1人では来にくいんじゃないですか」
「それはそうだが、これはまるで……」
「せっかく休日です。休んで遊ぶ、喉乾いたでしょう?ビールでもどうですか?」
「の、飲む!」
そして1時間後。
「ひゃっほー」
2時間後。
「見ろ七海!ミニオンだぞ!可愛いなぁ!」
「ええ、おまかわですね」
そして夜の飲食店にて。
「でさー、どいつもこいつも私を舐めやがって、学生で一級の奴らなんか日下部さんが言うなら!って感じで準一級の私の言う事全然効かねえんだよ!死ぬぞガキが!こっちは死なせなくねえのに調子こきやがって、御三家のクソガキどもが!」
「まぁまぁ、少し声を抑えてお店や周りの人に迷惑ですよ」
「うるせぇぞ!今私が話してるんだ!私の話を聞け!」
「なら横失礼しますよ」
歌姫と肩と肩がぶつかる距離まで詰めて、これなら聞こえますと囁く。
「そ、そんなに近づくなぁ〜〜〜」
「今日は疲れましたからね、少し休みましょう」
「ン〜〜〜〜」
ちょろい。ホストに行ったらハマる典型的な拗らせた女性くらいちょろさだ。こんなテンプレみたいな流れですら歌姫にとっては新鮮だったのであろう。酒癖の悪さも体の距離感が縮まる毎に鳴りを潜め潮らしくなっていく。
ベッドに連れ込みシャワーも入らずキスと愛撫で逃げ道を塞ぐ。酩酊気味で流されるままに身を委ねるる歌姫はそのまま処女を喪失した。
「まて七海、そこ、よわぃッ!ぁン!」
「イクんですか?良いですよ!もっと気持ち良くなって!」
「あ、イクッ!ぃくぅっうーーー」
アルコールが抜けるまで全裸の歌姫を抱き寄せるとそのまま睡魔に襲われていた。
一睡後に目が覚めた歌姫が虚気味な目で私の顔を覗き込んでいたので、目元から顎筋を撫でる。きっと心中では一夜の過ちと嘆いていたり、自分でも知らない自分を曝け出して驚愕したり、冷静になったからこそ不安定になっているのだろう。
「シャワー行きましょう。髪、洗ってあげますよ」
今更照れるには遅すぎるとは言え素の状態で全裸なのは歌姫でも躊躇するらしく、自らの足で動こうとはしないが手を取って引いてあげれば容易く誘われる。お湯が出るまで少し冷え込むので体を重ねてキスをすると、もう諦めたとばかりに歌姫は受け入れる。
髪を洗いつつ歌姫に今の心境を問う。
「後悔しているんですか?」
シャワーのお湯を軽く肩に当てて、しゃかしゃかと長い髪の隙間から頭皮を揉みほぐして緊張感を和らげる。
「何て言えば良いんだろうな、正直言うとこんな事になると思ってなかったってだけだな。後悔するには楽しすぎて、呪術師として生きるあまりに無知だっただけだと思う」
「私達は呪い呪われるばかりで喪うものが多すぎます」
「そうだな……」
「甘えても良いのではないでしょうか、誰もが五条悟の様に完璧にはなれない。ならば人並みとして妥協して生きて行くしかない。今くらいしか聞く事もできなそうなので敢えて聞きますが、好きだったのでしょう五条さんが」
「っぅ、今でもそれははっきりしないが、より一層遠く感じるよ。あいつは一人で進みすぎる。認めたくは無いがきらい……ではなかったんだろうな------っておい触るな」
「すいません。重かったのでつい」
「まったく、軽薄だぞ。どれ、次は私が洗ってやる」
「元気になりましたね。では、お願いするとしますか」
「任せろ」
こうしてその後湯船でイチャイチャして、ベッドでもう一度天下一武道会を開催し、目的である日下部の訓練を遠目に校舎内から見て簡易領域を大体修得、校舎内で歌姫と天下一武道会の決勝をして東京へ帰った。
「「建人様ー歌姫って人からまた電話ー」」
「釣った魚に餌をやらねえなんて可哀想だな」
「一回やったくらいで彼女面する面倒な女に引っかかったのね」
ダブル双子に煽られて、ほとほと遠距離で良かったと思うのであった。