七海建人「私の黒閃記録は53万です」 作:天間緑茶
野薔薇の居場所がわかった。といっても芻霊呪法を扱う呪術師をいくつかピックアップして目星が付いたというだけなのだが。
「という訳でキャンプに行きましょう」
「キャンプだぁ?」「私野宿は嫌いなのよねぇ」「携帯の電波届くのかなぁ」「皆んなが行くなら私も行く」
ダブル双子も随分打ち解けた。最初は真希に問い詰められたり、私に対する態度に美々子と菜々子がブチギレたりでてんやわんやだった。美々子と菜々子は真希真依より付き合いも長いため色々教育する時間はあったため、私が一言言えば静まるのだが、私が真希真依を優先していたフラストレーションは当然真希真依に向けられる。
何度も何度も衝突があれば全員ひん剥いて白閃をぶち込む作業。実のところ既に魂断ちはできるのだが、真希がパパ黒の様なゴリラ化するのが嫌で中々実行できないでいる。
「ねぇ真依、このタープとか可愛くね?」
「こったの方がおしゃれだと思うんだけど」
特に今時慣れした美々子と真依は中がいい。真希が唯我独尊故に仕方ない。
「建人様ーテントにはベッドが欲しい」
「菜々子の言う通りだな、どうせやるなら地面は勘弁」
「ついでに修行もしますので覚悟して下さいね」
「「「「はーい」」」」
完全に女学生の引率の先生役である事に慣れきったが、今後ここにメンバーを追加するのには精神的に負担が大きい。釘崎野薔薇をどうしたものかと、模索しているうちにキャンプ場についてしまった。
「という訳で貴方達の魂の繋がりを断ちます」
「えらく待たされたな、実はずっとできたたんじゃねえのか?」
「ええその通りです」
「おいっ」
「焦らしても仕方ないので早速ですが行きます。分割設定値5:5!十劃呪法!黒閃の極みアアぁ!」
黒閃からの白閃!
魂断ち soul severed
「これは……」
「呪力が溢れてくる」
裏返った。
真希はフィジカルギフテッド。
真依はアンリミデッドバレットワークス。
「それが天与呪縛の本来の姿です。では試し切りと行きましょう。ここに宿儺の指と雑魚呪霊のセットがあります。こあつにこれを食わせると、あら不思議、特級呪霊の降臨です」
「っな!」
「そりゃやべえだろ流石に」
「問題ありません。今のお二人なら余裕ですよ。宿儺の指はそこそこの強度と再生力があるので中々壊れない生きたサンドバックとして丁度いいです。私も何度か試しましたが指一本だとスパーリングにもならないので、5本くらいは欲しいですが、貴方達なら丁度いいでしょう」
そう言うと美々子、菜々子にキャンプ飯の準備を任せて買い出しと称して野薔薇探しに向かうのであった。
目的の少女は存外すぐに見つかった。
「何か用か?おっさん」
クソガキだった。食指も伸びないレベルでうざい見下し方。おっさんと言う生き物は全部性犯罪者とでも思ってるんじゃないかと言う感じだ。
「いえ、ただ呪力を感じたもので」
「あーそう言うことか、不審者かと思ったわ、キモいメガネ掛けてるし」
私のメガネはウインドガードの付いた実用的な仕様。この良さがわからないとは……くそガキが……
「初対面の人にそういう事を言ってはいけません」
「怒った?嫌思った事つい口にしちゃうんで、で?結局何の用?」
「いえ、その気があるなら是非呪術高専にいらして下さい。貴方なら一級に成れるでしょう。これ名刺です。それでは」
メスガキは怖い。バックボーンを考えればわかるが現時点で付け入る隙が無い。
何なのだあの小娘!既に精神が完成しているではないか!
私は逃げる様にキャンプ場へ去った。
「よう、もう戻ってきたのか」
「思ってたより余裕だったから次は一人でやれるわよ」
「「建人様どうした?」」
「燃え尽きました」
七海建人不敗伝説はここに幕を閉じた。
「とでも言うと思ったか!小娘!」
「うわ、出た」
「小娘、貴方の術式は芻霊呪法というどうしてもインファイトが重要になる術式、一瞬の判断が致命傷になる。来なさい!わからせして上げますよ」
「やっぱり変質者じゃねえか!ッフン!」
釘崎野薔薇は金槌で釘を飛ばす中距離射程で場面を支配しようとしがちだ。