※この作品はR-18です。

Revolution sun and moon   作:獄華

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 『ミラボレアス』よ。悍しき災禍を引き起こし、無限の時空、世界線で破壊を繰り返してきた悪魔共め、漸く貴様らのうちの一体を相討ち覚悟で殺した。
 だが私には休息が必要だ……。無論回復しても私一人では奴等の相手は務まらぬ……。奴等が下等な動物として見ている人間にこの力を託し奴等の目指す『皇帝』を打ち倒す、『革命者』を作らねば。


叫びを聞いて

 

 

 2020年11月の寒秋の夜、少年は不貞腐れた顔で嗅ぎたくもない薬品の匂いを鼻で吸いながらベッドに横たわっていた。

 

 

 「こんなに足真っ赤にして〜。ドジなんだから」

 

 

 「うるせえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 茶化しながら少年の腫れた足に少女は薬品を塗る。

 

 

 

 「まぁ。あなたらしいけど!」

 

 

 「喧しい奴‥‥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・

 

 

 

 

 少年‥‥赤焔 澪冬(せきぜん れいと)はバイトで資材を持ち上げた際、遊んでいた小さな子供がいきなり駆けてきて驚いた彼は危うく資材を落とし子供にぶつけそうになったがすんでで彼が足で蹴って事なきを得た。

 

 

 「‥‥めっちゃ‥‥‥‥いってぇ‥」

 

 

 呻くような彼の声に、子供は驚き「ごめんなさい!」と澪冬に謝る。

 激しくキレたくなったが中学生や高校生のワルガキ共の悪戯ならまだしもまだこの子は子供だ。

 

 怒ってもしょうがない。

 

 

 「あぁ。大丈夫だ。ただ君自身も危なくなるからあんまりはしゃぎ過ぎないようにな」

 

 「うん、気を付ける!。お兄ちゃんは大丈夫?」

 

 

 「へっちゃらだ気にするな。気を付けてな!」

 

 

 「はい。危ない事教えてくれてありがとうお兄ちゃん!」

 

 

 「おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ぷっ……くくく!」

 

 

 その光景に唇を噛み締めながら揺れる一つの人影。

 

 脚を震えさせながら小さな子供に危険について説く澪冬の姿に同じバイト勤務で幼馴染みの龍園 未雷(りゅうぞの みらい)は笑いを堪えていた。

 

 

 

 

 

 あの野郎……。

 

 

 

 

 睨みつけると未雷はそのまま自分の持ち場へ消えてしまった。

 その後、足を引きずりながらバイトを続け、帰宅の路につく彼を更に笑ったのは言うまでもない……。

 

 

 

 

 

 ・・・・・

 

 

 

 

 

 「本当澪冬は昔からドジね」

 

 

 「うるせえ人の不幸嘲笑い女」

 

 

 「何を〜!。格好付かない男!」

 

 

 「いって!馬鹿っお前殺す気か!未雷!」

 

 

 「不名誉な名称を付けた罰よ!」

 

 

 「お前もつけてるだろ!」

 

 

 

 「ぷっ…!」  「クスッ…」

 

 

 

 「「ぁははははははははっ!」」

 

 

 互いに呆れながらも昔から続けて来たこのやり取りに何処か安堵を覚え二人は笑い合う。

 

 「はぁ…いって!」

 

 

 「ちょっと!」

 

 立ち上がったが痛みでよろける澪冬を未雷は支える。

 

 

 「まだ痛みはひいてないんだから安静にしてなさい」

 

 「大丈夫だよ。早く涼太や羅夢達に飯作んねぇとだろ。姉さんや兄さんも帰ってくるし」

 

 

 「それはそうだけどさ……たまには自分の身も心配しなさいよ」

 

 

 「……お前が俺の心配?。今日地球でも滅ぶのか?」

 

 素っ頓狂な顔で澪冬は答えると未雷は一気に不機嫌な表情となる。

 

 

 「馬鹿っ!」

 

 

 「いってぇ!」

 

 

 その瞬間頭を雑誌で引っ叩かれた。

 

 

 「この暴力女!」

 

 

 「うっさい!鈍感男!」

 

 

 バタンとドアを閉め未雷は部屋を出ていった。

 

 

 「あぁ……痛みを伴う場所が2箇所に増えた……あの野郎」

 

 

 頭を押さえ付けながら澪冬はベッドに腰掛けた。

 

 

 

 鈍感男…か。

 

 

 

 

 

 未雷の放ったその言葉が頭を反芻する。

 

 

 

 「俺もお前も『親がまとも』だったら会ってなかったかもな」

 

 

 

 澪冬と未雷は物心付いた時からグループホーム制の孤児院で過ごしていた。

 『兄』や『姉』達は結婚や就職するとホームから出ていきたまにしか会えなくなる。

 これはグループホームの掟だから仕方ないが幼い時はそれで離れ離れに為るたびに涙を流した。

 人材不足や少子高齢化の影響で今グループホームには澪冬も含め6人しかいない。

 

 

 

 

 今の兄と姉が消えたらまだ未成年の羅夢と涼太は何処か別の施設へ言ってしまうだろう。

 まだ二人共大学1年生だからまだ猶予はあるが……高校2年生である澪冬と未雷もそろそろ進路を決めなくてはならない。

 今やってるバイトを続けながら大学を出るか、就職するか……………。

 

 

 

 「はぁ……。結局人間ってはつくづく金に踊らされてんだな。つまらねぇ」

 

 

 

 純粋に人間が人生を楽しめるのは恐らく幼少期だけだろう。

 次第に現実と言う壁が見え始め、高く聳え立つのだ。

 

 

 

 「本当にクソみてぇな世界だ…。人間なんて皆捻くれた奴ばっかだし。俺も含めて」

 

 

 

 特にあいつ。生意気なうるせぇ女、人の不幸を嘲笑い、頭を叩く家族兼幼馴染み。

 

 

 

 散々、幼い時から喧嘩してきた未雷の姿を思い浮かべた。

 澪冬が兄なのか、未雷が姉なのか、何方とも付かずの17年を過ごして来たがそれも終わりは近い。

 ここを出ることになったら未雷ともお別れだ。

 

 

 

 

 「はっ、馬鹿野郎」

 

 

 腰掛ける彼の拳がブルブルと震える。

 

 

 

 「鈍感でもお前の好意ぐらいに気づいてんだよ…未雷」

 

 

 

そして好きになったのは……澪冬の方が早い。

小さな時からずっと彼女に恋心を抱いてきたのだ。

 

 

 「さてあいつ今頃、料理作ってるだろうし手伝いに行くか」

 

 

 

 重い腰を上げ色々痛む体を動かし未雷の元へ向かおうとした瞬間―――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「きゃあああああああああああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 未雷の断末魔がホームに響いた。

 

 

 

 

 

 

 「おいどうした!。未雷!未雷ぃ!」

 

 

 

 

 

 

 大急ぎで彼女の元へ駆け出した。

 

 

 

 

 

 





 
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