キャラクター召喚技術確立後における現代社会の様相について 作:CCOA公式広報
朝起きると、正月だなという実感は無かった。
寝ぼけ眼で1階に降りると、とりあえず「明けましておめでとう」と虚しく呟き、食事と着替えを済ませる。
ありがたい事ではあるのだが、日本の伝統家屋を基調としたこの屋敷は、一人で住むにはとても広々と感じてしまう。
割と厚めに着込み、ドアを開けた。
―あっ、あん! お、お願い……ます……ーメンをザーメンをください…し!―
―セシリアはやっ……ド変態…おら、正月早々……―
―くぅぅぅぅう!―
つんざく嬌声とほのかに聞こえる会話は隣家よりのもので、僕にとっては日常風景だ。
「田山さーん! 明けましておめでとうございます!」
「おら、お掃除フェラしろっ……おー! 胤村くん! あけましておめでとう!」
「ぐぶっ、じゅ、ちゅる、れろぉ、ちゅ、お、おほーひ、いたひ、まふわ…ぢゅぶるる、れろぉ、ん」
田山さんは僕が初めて接客したお客様で、仲良くしてくれてるお隣さんだ。
この前買ったばかりのセシリア・オルコットを相当気に入ったようで、ここ最近聞こえてくる嬌声は彼女のものだったと思い返す。
お嬢様やお姫さまなど地位のある女性が好みというので、今までにもそれに該当するキャラクターをオススメしては購入してくださっている。
2階の窓から手を振ってくれているがもう片方の手はセシリアの頭を押さえているのだろう。腰も動かしているようで、反動からか金髪が何度かふわりと見える。
「もう姫はじめ済ませたんですかー?」
「ラ・フォリアに6発仕込んだ! んで、竿直しにセシリアとやったとこで、今フェラしてもらって……おぉ、そこ、もっと舐めろ、口すぼませろ、吸いつけ! 飲め飲め飲め!」
「ん゛ん゛っ! の、のみまひゅ。飲みまひゅから喉奥におひんぽさまごりぃいって、ん゛、ぢゅぶ、ちゅるるるる! ん! んぅぅぅぅぅ!」
僕との会話をよそに、田山さんは天を見上げた。射精の快感に打ちひしがれているのだ。
20秒ほど経ってこちらに顔を向け直した。クリスマス前に精力剤を箱で買っていたので、射精量も相当のものとなっているはずだ。
見せつける様に、ザーメンまみれになったセシリアの顔を窓ガラスに押し付ける。
目元は赤く、綺麗な金髪に夥しくかかった精液は極めて官能的で、口元についた精液をペロリと舐めとる。性暴力にも近いフェラをされたというのに、健気に見せる笑顔が僕自身の劣情を刺激した。
「こいつ本当に具合が良いよ! オススメしてくれたけど、こっちからもオススメするよ! 本当にありがとう!」
「どーいたしましてー! それじゃ、僕、初詣行ってきますので!」
「おーう、気を付けてなー……ラ・フォリア何まだへばってんだ! 昼までに30発中出しするって約束だろうが」
「あ、あ! も、もうダメ、おまんこ、疲れ、て……」
「うるせぇ!」
嬌声の声色が変わった。ラ・フォリア・リハヴァインは田山さんがはじめて購入したヒロインで、感想を聞いた時には「妻にする」と即答していた。
接客業として、自分がオススメした商品がウケると本当に気分が良くなる。
さて、嬌声を響かせているのは、何も田山さんの家だけではなかった。
方々の家からそれぞれの嬌声・悲鳴がにわかに聞こえてきて、なるほどノイローゼになる人が出るのも頷ける。しかし、それでも5年前よりかはマシになったものだ。
僕が住むこの竹室市で指定された条例で、各住宅各施設の防音化が義務付けられた。
4年の期間を費やして既に80%の住宅・施設が防音化を完了しており、残りの20%は農家さんの離れだったり、漁師さんたちの簡易宿泊所といった施設のため、今一度調査して条例の変更を考えると、市の便りに書いてあった。
4年と時間がかかったのは、防音化自体はあくまで外壁工事で済ませる予定だったが、これを機に多くの世帯が家ごとリフォームしようという話で持ち上がり、建て直しの期間がどうしても嵩んでしまったからだ。
例えば、友人の幾人かは地下室を作ってそこに好感度低めのヒロインを放り込んだり、あるいはサウナを作って汗だくイチャイチャする、など手の込んだ設備を設けていた。
僕の屋敷も何か設備を増やそうかと考えたが、一人暮らしに満足するとこういうところの発想が貧乏だったようで、結局外壁工事だけで済ませてしまった。
今目指している初詣先の恩治方神社はかつて小さな祠だったそうだが、この竹室市館ヶ谷地区へ僕のように多くの人々が集まり、市政移行10周年を記念して大規模増築及び区画造成が行われた事から、現在の様に大きな社殿を有した立派な神社である。中学生の時、学校の地域行事として神社開きに参加して、何やら笛の演奏を奉納した事は新鮮であった。
鳥居前町の通りに入る。しかし、人は未だに少なく、春秋の観光シーズンがオフ状態だと思い知らされる。
鳥居前町と神社の間にある堀にかかった橋を渡ると、神主さんが恭しくまばらに訪れている参拝客を案内していた。
「神主さん! 明けましておめでとうございます」
「明けましておめでとう、胤村くん。本当に来てくれたんだ」
「元旦奉納舞の案内を見て、これは見なきゃなって思いまして……」
「いやー、来てくれて嬉しいよ。と言っても空いた時間つぶしにやってるだけなんだけどね。ちょっとまだ準備に時間かかってるから、開始時間はずれ込むかもしれないけど、ゆっくり待っててね」
「はい、そうさせてもらいます」
神主さんとは結構仲良くやらせてもらっている。去年行われた竹室渡御祭で恩治方神社の山車に、いくらか金銭を奉納したことをきっかけにテスト前の祈願などを頼んでいる。
元旦奉納舞の会場となっている西の御殿へは、些か山道を通らなければならないが、それらを踏破するだけ見甲斐のあるものだ。
今年のテーマは『奉納舞を踊り切ったら元の世界へ! 姫島朱乃は無事に帰られるのか!?』
貰ったリーフレットを読むと、好感度設定を低めに召喚された姫島朱乃が制限時間内に舞を踊り切ればハイスクールD×D世界へと帰られるが、途中で購入者男性に妨害されれば負けというルールだ。
馬鹿げた内容だが、彼女らのようなヒロイン達からすれば藁でも糸くずでもすがらなければならないのだ。
西の御殿は真ん中の舞台を囲むように座席が設けられており、既に何人か来ていたが、とりあえず最前列の空いている席に座る。ちょうど部隊を見上げる場所だ。
元旦奉納舞は9時から始まる予定なので、そう人数が集まるものではない。
召喚技術が浸透してからというもの、大晦日の午後は姫納め、元日の午前は姫はじめをするものと一種の風習が出来上がっているからだ。
むしろ、今ここに集まっている人達は、物好きな連中だと言えるだろう。僕を含めて。
皆、ただ待つばかりという訳ではないので思い思いの過ごし方をしている。
何やら鞄を漁っている人、僕と同じくスマホを見ている人、何やら撮影機材の確認をしている業者の二人組、リアス・グレモリーの肩を抱いてついばむようなキスをしている男、僕と同じ年頃の男子にフェラチオをしている姫島朱乃(恐らく、舞台に出るのとは別人)……
他にも幾人かがそれぞれ暇つぶしをしているが、気づけば9時を過ぎていた。
そろそろかと思ったところで、舞台の下からひそひそと声が聞こえた。
―こ、こんな服を、着てー
―元の世界に帰りたいんでしょ?―
―…………―
―イッセーくん、悲しむなぁ。戻れる可能性より俺のチンチン優先したんだから―
―分かり、まし、た……―
―はい、OKね。そんじゃ神主さんおねがーい―
御殿にノイズが響いた
『えー、それでは皆さま、朝早くからお集まりいただきありがとうございます。元旦奉納舞を始めさせていただきます。どうぞ』
長ったらしい口上でないのは、元旦奉納舞自体が実は別にやらなくても良い行事だからである。
「…………」
静々と姫島朱乃が舞台へと上がった。
胸は堂々と下乳をさらけ出し、尻たぶが見えるミニスカ袴とでも形容すべきであろうか。何とも卑猥な巫女服であった。
彼女がどの時系列から召喚されたかは知らないが、今の眼前に広がる光景は、恐らく作中で度々披露している外面の自尊心を傷つけるのに最良の環境であろう。
まばらな人、撮影カメラの無機質な視線、そしてここが神社だということ。
そして、自尊心どころか精神を追いつめるのに、少なくとも二つの要素があった。
「リアス………」
「朱乃ー! 頑張ってー! あ、あむぅ、ちゅる、れろぉ」
自らの痴態を応援するリアス・グレモリー
この世界の世界観に気づいていなければ、その絶望は計り知れないであろうが、彼女が『散歩中』に見た
・膨らんだ腹を一誠とは全く違う男と愛しく眺めるリアス
・AVパッケージに描かれた陰茎を笑顔で握りしめながら太ももに正の字を二つ書かれて精液を垂れ流すリアス
・ヒロイン交流会と称する催しで、太った中年男性を背に載せて四つん這いで登場したリアス
・自らと同じように首輪に繋がれ駆王学園の制服で『散歩』していたリアス
など、同じで別のリアス・グレモリーを見た事が心情を緩和していた。
目の前で男とベロチューキスを何度もしながらこちらを応援するリアス。よく見てはいないが、綺麗な紅色の髪は男のズボンへと入っている。勃起した陰茎に巻き付けているのであろう。
しかし、それよりも酷いものがある。むしろ、それが彼女の視界に入っては目を背けようと、それでも入れてしまった。
「っ!」
「ほ、ほひゅひんさま。私はどうれ、ん! ちゅ、ちゅる、ふか?」
「うん、なんかこっち見て硬直してる。あの朱乃はフェラしたことないのかな」
「ふひゅ、それは、ダメれふね。おっぱいがおおひいふぁけふぁと、ん、ちゅぽ、とのがたをまんじょく、ん! ちゅる、させられませんわ」
年下の男子にフェラチオをする自らの姿
わざわざ音を立てているのか、見せつける様にすぼめた口元には涎の痕や陰毛がついている。
退くわけには行かないとはいえ、身体どころか尊厳まで凌辱される中、舞を披露しなければならない。
「皆さま、お集まりいただきありがとうございます。本日の元旦奉納舞は配布したリーフレットの通り、今から僕は手を縛り、制限時間20分以内に朱乃が舞を踊り切れば彼女は元の世界に戻ることができます。しかし、その制限時間内に僕が縄をほどいて彼女の舞を邪魔できればチャレンジは失敗。彼女は一生、元の世界に帰る事は出来ません」
後に舞台へ上がった購入者の男性が、マイクを通して少ない観客に説明する。
どこかで見た事がある顔だ。と、思うがどうにも思いだせない
「それじゃ、始めましょう! おい、雌。お前が縛って良いぞ」
「………」
姫島朱乃が黙々と男性の手を縄で縛る。
複雑な回し方をしているのがここからでも分かり、相当の業師でなければ縄抜けなど叶わぬであろう。
しかし、男性の顔には余裕の笑みが浮かんでいた。
「…………」
チープな音響機器から囃子が流れ、朱乃は踊り出した。
踊る度に乳が揺れ、袴が舞い上がり非常にきわどい下着が何度も露わになる。
しかし、この程度で観衆たちは一々声を張り上げたりはしない。姫島朱乃と言わず、彼らが所有しているであろう数々のヒロインと毎日淫靡な生活をしているからであろう。
「………………」
「ここを、こうして、それで……」
聞こえるようにつぶやく男性だが、後ろに回って見るとそもそも手を動かしてすらいない。
……よもや、本当に踊り切らせるつもりなのだろうか。
そう思ったのも束の間。カメラマンがささっと近寄り彼に何かを手渡した。
小型ナイフである。
「……」
「ここを、こうして、それで……」
わざとらしく体を身じろぐ。
それを見て朱乃は安心したのか、彼への意識はそのままに舞を続ける。
ロープが切り落とされると、さっと舞台の下へと落ちた。囃子の音量の方が大きいため、朱乃は気づいていないようだ。
「(あと、あと少し……)」
20分というのは思いのほか早い。
というより、事実、朱乃の舞は扇情的で下乳がいつ零れるのかと期待している自分がいるのを否定できない。
だが、それ以上に、このチャレンジの失敗を願ってもいるのだ。
朱乃が男性に後姿を許したその瞬間。男性は彼女に後ろから抱き着いた。
「はい、ざんね~ん。チャレンジ失敗!」
「きゃ、は、はなして! あん!」
何とかバランスを保っていた下乳は揉みしだかれた事で、あっけなく乳首まで晒してしまい、男性に抵抗しようと体をこわばらせたことであっさりと袴が床に落ちる。
「神主さんから、本番は掃除が大変だからっていうから車の中でいたぶってやるけど、折角来てくれたお客さんのためにもイラマぐらいは見せないとな」
「やめて! 離して! お願い! いや!」
朱乃の顔は相当青ざめており、彼女なりに抵抗しているのだろうが、体の密着具合からすると、ただ男性のチンポに刺激を与えているだけだ。
「『跪け』」
「い、いやぁ、たすけ、て、イッセー……」
あれだけジタバタしていたのに、急に大人しくなって男性の前に跪く。
ヒロインたちは原則として購入者に逆らえないよう『加工』されているのだ。
押し付けられる陰茎を辛うじて唇が抑えているが、抵抗というよりかはそういうシチュエーションを楽しんでいるようだ。
彼女のファーストキスは誰に、そしてどの部位で捧げられたのだろうか。
ここからが佳境であろうという時、僕の胸ポケットが唐突に震えだした。
取り出した端末には副店長の文字。
これからが良いところなのに、という最悪のタイミングで僕は御殿から外へ出た。
『おー、明けましておめでとう』
「……おめでとうございます」
『なんやえらい暗いやん』
副店長は関西の出身だそうで、確か正月は向こうで過ごすと言っていたはず。
家不足が取り上げられるこの頃だが、副店長のように家を数軒持つ者は珍しくはない。
「さっきまで、ちょっと神社で奉納舞見てたところでしたんで……」
『あー、それはごめんなぁ。いや、俺も君らの保護観察者の一人やし、心配なってなぁ』
「まぁ、心配してくれるのは悪い気しないですけど」
副店長は僕をはじめ、働いている高校生アルバイトの保護観察者を引き受けてくれている。
詳細は後に記すが、『育児』が追い付いていないこの社会では重要な役割を果たす立派な大人なのだ。自身も4人の子供を持つというのに、申し訳ないぐらいに感謝している。
「それで、何の用ですかね。挨拶のためだけに連絡したって感じじゃなさそうですけど」
「あー、そー、それでさぁ。ちょっと5日のシフト入って欲しいんや、け、ど……」
「いや、はい、別に構わないですけど」
「ほんまゴメン! 恩に着るわぁ。いや、な。仲下さんの奥さん産気づいたみたいで、しばらく一緒にいたいって言うて……」
「あ、遂に産まれるんですね! いや、もうそれでしたら喜んで引き受けます!」
「ほんまゴメン! 一応、休日出勤の形で処理しとくから、時給1.25倍で出すから、よろしくね。うん」
「はい、分かりました。それじゃ5日出勤との事で、はい、はい、分かりました。それじゃ5日に、はい……」
副店長の声は申し訳なさ気だったが、こちらとしてはむしろ稼げて万々歳だと思っておこう。
仲下さんは正社員、今年で勤続5年目になる人で僕の指導を担当してくれた人だ。
奥さんは確かマケン姫っ!の二条秋だったはず。
去年最後の出勤日で「そろそろ子供が産まれるかも」と話をしていたから、こういった形で少しでも恩返しをしなければという気持ちも強い。
「あ」
納得するも束の間、西の御殿からぞろぞろと人が出てきた。
イベントが終わってしまったのだろう。折角、早くに出たのにどこか損したように感じてしまう。
「リアス、この後家に帰って、な?」
「えぇ、分かっているわ。帰りにコンドーム買って帰りましょう?」
「舞台の私、とってもエッチでしたわね」
「いや、お前の方がドスケベだと思うよ。それにほら」
「あんっ!」
リアスとキスばっかりしていた男性のカップルはそのまま帰るようで、恐らくコンドームというのも避妊を目的としたものでは無かろう。
僕と同年代に見える男子は、口元に陰毛を引っ掛け、精液か涎の痕を残す姫島朱乃のマンコを弄りながら出てきた。
こういう催しはちゃんとヒロインを連れてきた方がいっそ良いのかもしれない。
反芻と学習を繰り返すと、御殿の裏側から何やら物音とさめざめとした泣き声が聞こえた。
「うぅ、ぐず、うぅ……」
「はぁ、良いシチュエーションだと思ったんだけどなぁ」
「録画したやつ後で送っときますね」
「畑山さん。それじゃ、また撮影の話あったらお願いしますね」
「うん、いや、こちらこそありがとうございました。まだもう一つ構想はあるんで、多分、近いうちに連絡すると思いますので、はい」
カメラマン二人組が一礼して場を去ると、残っていたのは畑山と呼ばれた男性と、四つん這いになって椅子として支える姫島朱乃だった。目には涙を浮かべている。
しかし、畑山という名前とあの顔は、僕の脳裏でどこか一致するところがあった。
確か職場で見たような、気が、す、る………あ!
「AV男優の畑山タネマキだ!」
「? おー、オレオレ。終わったから車回して。はーい。って、うお」
「す、すみません。え、と、畑山さんですよね」
「はい、そうですよ」
「う、うわー、本物だぁ」
電話をかけた直後に話しかけてしまい、申し訳なさが出ているが、それ以上に著名人に会えたという実感が先行してしまった。
現代社会においてAV男優女優は既に社会的な地位を確固たるものとしており、性が氾濫するこの頃においては、益々その勢いをとどまる所をしらない。
キャラクター召喚技術が浸透しはじめた時、AV業界は性的欲求の自己完結により、追いやられてしまうのではという危惧が社会全体で議論されたが、むしろ男優や女優たちが率先して、それぞれの性癖に合うキャラクターを召喚し、プロダクションという不安定ながらも資本をバックにした多様なプレイを映像コンテンツとして供給する事により、キャラクター購入者たちにそれらのプレイの先達として、より多くの人々から支持と購買意欲を高めた事があげられる。
ここ最近では、性教育の一環として小中学校の体育館で上映会を開いたり、朝の報道番組で各作品の月ごとの売り上げがランキング形式で紹介されている。
他にも、アメリカのポルノスターとされる人々も日本に拠点を移すなど、どこと言わず世界規模でAV業界の中心地、先進国としての地位を日本が確立した事は多くの経済学者が指摘している。
「あ、えっと、く、黒髪美人シリーズ最高です! この前の新作も買いました!」
「おー、ありがとうね」
畑山タネマキ、というAV男優は大俳優という訳ではないが、ここ最近勢いのあるAV男優の一人なのは間違いない。
黒髪美人シリーズという作品で自ら監督主演を務めており、その出来栄えは常に妙を極める。
今回の様に姫島朱乃や、マケン姫っ!の天谷春恋、とある魔術の禁書目録の神裂火織、魔法科高校の劣等生の司波深雪、ワンピースのボア・ハンコックなどとの性交を、それぞれシチュエーションや関係性を巧妙に演出したものが多く、僕自身新作が出ると分かれば予約をしてしまうほどだ。
「さっきの奉納舞も、もしかして撮影の一環ですか……?」
「そうだよ。といっても、この雌すぐにイクからあんまり長い映像にはならないんだけどね」
「っ………」
「おら!」
悔しそうな表情をしているのが、畑山さんの癇に障ったようで思いっきり尻を叩かれる。
好感度を低めに設定すると、こういう反抗的なプレイが楽しめると、友人が言っていたが確かに見るだけでもそそられてしまう。
「良かったら君も座りなよ」
「良いんですか?」
「大丈夫、大丈夫。こいつ作中だと正妻じゃなくても良いとか言ってたけど、俺のハーレムの中だと6番目ぐらいだし」
姫島朱乃の椅子としての役割がより一層強調される。畑山さんは尻の方に座り、僕が肩から背中にかけて座る事になった。
役者さんとここまで近くで喋るというのに、どこかてんぱってしまっている。
「君、名前は?」
「た、胤村付雄です」
「胤村くんかぁ。この辺の子なの?」
「はい、といっても生まれは別なんですけど、高校進学でこっちに引っ越してきたというか一人暮らし始めてるというか……」
「一人暮らし。へー、凄いじゃん。おい、へばんな!」
「つぅ!」
尻の方がだんだん下がってきたのを許すようでは、ヒロイン保有者としての面目が立たないのであろう。もう一度、思いっきり尻を引っ叩いて、四つん這いの体勢を維持させる。
「ごめんね。こいつ、Sだなんだって言われてイキリ散らかす割に弱いとこあるから」
にわかに、朱乃の方を見ると反抗の様子は見られない。
またお仕置きされる訳にはいかないからであろう。
「めちゃくちゃ緊張してるね」
「そ、そりゃ職場でもよく見る方ですから」
「職場? バイト?」
「はい、キャラクター販売所で……」
「竹室市の?」
「そうです。駅前のとこで」
「すげー」
そう思った畑山さんは、胸元から名刺を取り出した。
「AV男優 畑山タネマキ」と大きく書かれ下には電話番号と事務所住所が書いてある。
「良かったらお近づきの証に貰っといてよ」
「い、いいんですか!? やったー!」
「そんなに喜ぶもんかなぁ」
「すみません。裏にサイン貰って良いですか」
「はいはい~」
ファン対応になれているのか、さらっとボールペンで書いてくれると裏には特徴的な筆跡でサインを書いてくれた。
しばらく財布に入れておこうと決意した時、目の前に大型車がやってきた。
自動運転技術は既に浸透しており、運転席には誰もいない。その為、後部座席をとても広くすることができ、これでカーセックスに興じる事ができる優れモノだ。
「タネマキ! 迎えに来たぞ!」
ドアを開けて早速抱き着きに来たのはボア・ハンコックだった。
僕は思わず朱乃から飛び上がるが、ハンコックが抱き着いたので彼女にかかる重さは変わらない。いや、それ以上であろう。
それを知ってか知らずのように、畑山さんとハンコックの周囲にはハートの雰囲気が立ち込めていた。
「ハンコック、待たせてごめんな」
「気にしておらぬ! 皆、車の中でタネマキの精液を嗅ぎながら待っておる。早く帰りたいのじゃ」
「ごめんごめん。それじゃ胤村くん、俺帰るからさ。新作出たらよろしくね!」
「はい、ありがとうございます! このサイン大事にします!」
朱乃の尻をビンタすると、のそのそと動きだすが、とてもはやいとは言えない
タネマキさんとハンコックの体重がかかっている上に、二人はそれに気にする事も無くイチャイチャとベロチューキスを重ねている。
しかし、それでも彼女は進まねばならないと逆らうことができず、苦悶の表情を浮かべながら、ようやく車へと到達した。
「僕もヒロイン買ったらああいう事できるのかなぁ」
出発した車を目で追うと、車窓から見えるピンと立った二本の脚とその間に割って入るタネマキさん
恐らくハンコックか、朱乃を犯しているのだろう。
その後ろでは神裂火織の姿も見えたが、そこで車は曲がり角へと入ってしまった。
新年早々、有名人に会えるとは中々ツいているのかもしれない。
財布に入れたサイン付き名刺を何度も見ては、どこか優越感に浸る。学校で自慢してやろう。
思いがけない出会いに胸が高鳴り、僕はウキウキで帰宅した。
考察7,エロ3ぐらいの割合になりそう