いつの間にか吹雪は止み、夜の帳に雪がしんしんと降り続いている。窓を叩いていた風もすっかり大人しさを取り戻し、眠ったかのように物音を立てない。平静でありながらも無警戒にはなることができない、緊張感を孕んだ空間。瞳を閉じた村娘の耳には火の爆ぜる音とレイギエナの規則正しい寝息だけが響いている。
その寝息に僅かな熱と呻きが含まれていることを、聞き逃すことはなかった。
村娘はゆっくりと身を起こし、レイギエナの寝顔を見つめれば仄かな辛さが滲んでいる。視線を胸へ、お腹へと移らせ、さらにその下へ。
美麗な尾の付け根、鷲掴みにされそうな両足の間、そこには大きくそり立ったレイギエナの生殖器が存在を主張していた。興奮した状態から無理に眠らされたせいか、それは萎えることなく硬さを失っていない。大きく尖った容貌はまるで角のようであり、人間のそれに比べたら2倍ほど長く径は細い。張り詰めたことで血管が浮き彫りになり、赤褐色に脈打つそれは華麗なレイギエナの中にあるにしては醜悪だ。
村娘の落ち着いていたはずの鼓動が大きく跳ねた。手袋を外したままの右手を陰茎へと伸ばす。そうっと触れれば、体温より高い熱と鼓動が伝わってくる。緊張に震える手で包み込むように握り、上下に動かす。レイギエナの先端から透明な液が垂れ、彼女の手を濡らした。そのまま手を何往復させれば、徐々に太さを増し、苦しげに震える。
村娘は手を止めないように羽織っていたストールを左手で外す。ブーツを脱ぎ、ズボンも脱ごうとしたが左手だけでは上手くいかない。もどかしくなりながら立ち上がり両手で脱げば、熱を帯びた吐息が自然と漏れる。対照的に足裏はひんやりと冷たい床に触れ、晒された足がぶるりと震えた。無防備な足を覆い隠すように座り込み、レイギエナのものに顔を近づければ、汗と獣が混じったような匂いがする。雪でも舐めるかの舌先で触れる。苦く、獣のにおいが口に残った。
「ふっ……んんっ……」
陰茎の根元から、舌全体で味わうように舐める。逃さないように両手で抱え、何度も角度を変えながら舌を這わせる姿は餌を与えられた獣のように浅ましく、熱に浮かされた村娘の表情は一目でわかるほど如何わしい。
夢中で舌を這わせていれば、密着した娘の胸を鱗の凹凸が刺激する。動くたびに感じる甘い刺激に布越しでもわかるほど胸の先端は固くなっている。幾らかの恥ずかしさを隠すように偶然を装いながらも、わざと胸を擦りつけるように舐め続けば先ほどよりも刺激は大きい。だが焦らすような浅い快感に村娘は自らの指を胸へ這わせる。
「あ……」
いつもより熱を帯びていることを自覚し増々羞恥心が募る。だが指は止まらない。きつく目を閉じ、初めて触るかのように自らの胸を弄る。なだらかな丘の、突き出した先端をぐりぐりと押し込めば、じんわりとした喜びを覚えるが、それだけでは足らないとでも言うかのように下腹部が熱く疼き出す。
もっと気持ちよく……
その時、レイギエナの翼がピクリと動いた。村娘は慌てて手を放し、レイギエナの顔を見つめる。先ほどに比べて少し苦しそうだが起きた様子はない。
村娘が快感に夢中になっている間にも、あふれ出た液体から先端から溢れ出している。根元から陰茎の先端までをなぞる様に舌を這わせ、液が出るところを舌先でチロチロと何度も掠めるように刺激する。陰茎は太さをまし、苦しそうに先端をひくつかせていた。愛おしそうに一度口づけを落としてから村娘は陰茎を咥えた。口の中には納まりきらないほど長く、半分も入らなかった。それでも入りきらない下の部分を手でさすりながら、えづくほどに奥まで迎え入れて舌で包み込みながら上下する。空気の入らない息は荒く、苦しさに視界は歪むがそれでもレイギエナの顔を見れば、自身の熱に蝕まれているかのようにうなされて、苦し紛れに吐く息は荒い。
きもちいいんだよね?
確認する方法は、彼の反応をみるしかない。
ごめんね。
レイギエナが気持ちよくなれるように必死に愛撫を繰り替えす。陰茎の脈が速くなっているのを感じ、身を乗り出し速度を上げて愛撫を続ける。
レイギエナの体がビクンと震え、翼が僅かに浮き上がる。勢いよく喉に向かって白色な液体が飛び出した。
「ごほ……ごほっ……っ…!」
苦くて熱い。強い獣臭と生ぬるくぬめぬめとした感触が、脈に連動するように注ぎ込まれ、村娘は息もできずにむせ込んだ。あわてて口を塞げば、飲み切れずに零れた精子が口元を余計に汚す。それにも構わずレイギエナの様子を確認すれば、穏やかな寝顔に戻っていた。
咳をする中で胸元に白いものがこびりついていた。ワンピースが茶色いせいで白色がよく目立つ。村娘はため息をつきながら口元を袖口で拭った。
穏やかに戻ったレイギエナの顔をみれば、村娘は満たされたような心地がした。彼が自分で感じてくれていたのだと、安心感に包まれる。
そして、それと同時に自身の残った熱も自覚し、下腹部を摩る。
ものたりない……
村娘は未だに夢の中にいるレイギエナに身を寄せる。熱の冷めきらないレイギエナの体に顔をうずめれば、野性の匂いの中に雪の香りが混じっていることを感じ取れる。何度も嗅いだことのある、レイギエナの匂いだ。
ワンピースの上から自分の陰部に触れる。胸を触ったときとは違う、明らかな快感に体が跳ねる。はしたないとは思いながらも、ワンピースの裾から手を差し込み、布越しに中指で陰核をなでた。
「んっ!」
背筋をかける快感に腕を拒むかのように足が閉じる。さらにいじれば、触るほどに下腹部の熱が多管理、締め付けるような感覚に襲われる。自然と口が呼吸を求め、息が乱れる。物欲しさに体が支配されていく。
秘所が濡れているのを感じ、村娘は下着に手をかけた。するりと足から脱がせれば、自分の鼓動の音ばかりで衣擦れの音は聞こえない。これでワンピースだけの、あられもない格好になってしまった。それでもレイギエナしかいない空間で、村娘は夢中だった。
レイギエナの陰茎はまだ硬さを保っていた。彼も満足していないのだと村娘はレイギエナの下腹部を跨ぐように立つ。緊張に足が震えるが、胸を打つような高揚感に躊躇いはない。
レイギエナが眠っている顔を見つめる。きっとこんなことをされているなんて彼は思いもしないだろう。
眠っている彼に見せつけるかのようにワンピースをたくし上げる。すっかり濡れた太ももが照らされる。熱を帯びたそこが外気に触れられるだけで、冷たくて気持ちがよくて余計に濡れる。
恥じらいのない姿を晒しても体の飢えは止まらず下半身が疼いて思考が溶ける。
欲にまみれた細く尖った陰茎を見つめながら、ゆっくりと腰を落としていく。
陰茎が陰核を掠めた。
「あっ……ん!」
予想外の刺激に力が抜け、バサリとワンピースが垂れ下がった。痛いほど指に噛みつけば体の感覚が戻ってくる。指の代わりにワンピースの裾を噛み、レイギエナの脈打つ陰茎を手繰り寄せ、自分の秘所に向ける。
手から伝わるこの鼓動がこれから自分の中に入る。熱くて硬い、待ち望んだ感覚が自分を犯す。その事実だけでお腹がじくじくと疼いてもどかしい。村娘の心臓は痛いほどに脈を打ち、期待に胸が締め付けられる。
手で支えながら腰を下ろしていく。
「っ……んあっ……」
ぬちゃりという水音と共に自分の中を割り込んでくる。痺れされるような快感を敏感になった体を余すことなく駆け巡り、痺れ刺す。進めるたびに押し寄せてくるに身をよじる。
「んんぅ……」
甘い吐息が空中へ消えていく。ずぶずぶと腰をすすめるたびに収まりきらない愛液がレイギエナの腹部を汚す。全身を真っ赤に染め上げ、圧迫感に喘ぎながらも力を抜いて自重に任せれば一番奥まで到達する。まだ彼の3分の1ほどは露出し淫靡に照らされたままになっている。深く入れようとするが一向に進まない。
「はぁ……はぁ……い、いたい……」
村娘はレイギエナの体の上へとゆっくりと倒れ込んだ。埋め込まれた熱を感じながらレイギエナの顔をみる。起きる気配もなく、ぐうぐうと眠っている。村娘は微笑んだ。密着した体から聞こえてくる鼓動に耳を澄ませれば、ただ眠っているだけではありえないほどの早鐘を打っている。
村娘はこれぐらいでは起きないことをわかっていた。何度もこうして体を重ねてきたのだ。彼は起きない。だから何度も触れられる。
レイギエナの胸に口づけを落とす。よく見れば体の至る所に体色と同化してしまうような薄茶色をした古傷が刻まれている。レイギエナが野生を生き残るためにできた傷跡だ。強靭な獣である証。誰よりも悠然と空を舞い、縄張りを侵す者を退け、主として君臨することさえあるレイギエナ。その彼と村娘は交わっている。その事実が、村娘には堪らなかった。胸を締め付けるような喜びと、疼きを取り戻すような高揚感に頭が真っ白になる。
むき出しになったままの陰茎根元をなぞり、どちらの物かわからない液体を指に纏わせる。それで自身の核に触れれば、高揚しきった体は即座に快感を拾い、お腹全体で彼の陰茎を締め付けた。
「んっ……」
レイギエナに体を擦りつける様に細かく動けば、陰茎が彼女の中を擦り緩やかな快感の波が襲ってくる。擦れた胸も刺激を拾うがもどかしい。
引き抜きながらレイギエナの下腹部に膝立ちになれば、先端だけが彼女の中に入ったままで、先ほどまで侵していた範囲が水にぬれている。重みでレイギエナが呻いたような気がしたが、彼女は顔を見ずに張り詰めた陰茎を見つめる。
腰を一気に腰を下ろす。ぐちゅっという音とともに体の芯まで貫かれた。
「――……っ!ふ……ぁ……!」
余りの快感に目の前が点滅し、口からはだらしなく涎が垂れる。大きく反らされた胸ではワンピース越しでもはっきりわかるほど膨らんだ胸の先端が強調され、まるで触ってほしがっているかのようだ。意識を飛ばさないように彼の先端に集中をして奥まで届いたことを感じると、腰を上げる。掻きだされるような感覚も気持ちいい。
もっと気持ちよくなりたい。
それしか考えられずに、再び腰を下ろせば背筋を走るような快感がもたらされる。
「――あぁっ……!」
上下に体を動かしながら、淫らな水音と欲まみれの艶やかな喘ぎ声が響く。雪の静謐さに世の中など消えてしまったかのように、憚ることなく嬌声を上げる。
「きもち……いいっ!あっ!」
胸を自分で慰めながら、快楽を貪る。彼女の中で、レイギエナのものが徐々に太さをまし、熱を溜める。その変化に絞り込むかのように彼女は体を捻じり、よがってみせる。上気した顔では涙が幕をはり、しまりなく開かれた口は喘ぐことしかできない。
怒張したレイギエナを感じながら、レイギエナを見つめる。切羽詰まるような浅い呼吸に、駆り立てられるかのような苦しそうな表情。起きているように見える。だが襲われることはない。
おきないの?
喘ぎながら心の中で呟いた。
獰猛な彼はきっと自分を殺すだろう。でも彼は起きないのだ。ここまでされているのに、そんなことを知りもしない。
たまらないほどに気持ちがよくて、熱がいっそう強くなり体は激しく彼を弄ぶ。激しくなった律動に呼応するかのように、彼の陰茎が熟れた果実のように膨らみ強く脈打つ。明らかに自分に感じている様が甘美で、脳が溶ける。
弾くようにレイギエナの全身で穿つように陰茎を押し込まれる。
「――っ!!」
強烈な快感が全身を貫く。びくりと体が震え、頭が真っ白になる。
彼の熱が何も考えられなくなった村娘の体を、内側からじわりじわりとその身を侵す、支配するかのように。
「あぁ……」
注がれ続ける熱が気持ちいい。
その感覚に涙が零れた。
――
レイギエナの姿がみられなくなった。麓に住む村人たちがそう感じ始めた数か月後、村娘は旅立ちの装いをして通いの行商人たちと話していた。前々から話していた通り、彼女は行商人たちに同行させてもらいながら町を目指すらしい。冒険者ギルドがある町に。
曰く、この村には刺激が足りないのだと村人に話していた彼女は、明るく笑っていた。
憂いもなく感謝と別れを告げる娘に村長が「体には気を付けて」と声をかければ、可笑しいものでも聞いたかのようにくすくすと笑う。そしてとびっきりの笑顔で言った。
「もちろんよ」