※この作品はR-18です。

桜の季節   作:sudachi0402

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第十一話

 

 

 

 

「何!?前線が突破されただと!?あそこには呉の第一艦隊が展開していたはずだろ!?第一艦隊が負けたのか!?」

 

「提督!急いでお逃げください!ここにもうすぐ深海棲艦が…!」

 

「馬鹿を言うな!部下をおいて敵前逃亡など出来るものか!俺は軍人だ。覚悟はできている。最後まで戦い抜いてやる!」

 

 

……………

 

 

「提督!入電です!瑞鳳より、0300当泊地防衛線より南西12キロ地点で戦艦棲姫を中心とした水上部隊を観測とのこと!」

 

「…っ!全員を招集しろ!今すぐにだ!」

 

「はっ!」

 

 

……………

 

「ここまで奴らの進行が早いとはね…」

 

「伊勢、ワタシたちで止めるしかないネー!」

 

「私も…!やれるだけやってやります!」

 

「みんな…覚悟はいい?生きて帰りましょう!」

 

 

……………

 

 

0502龍鳳被弾 損害 中破

 

 

0505川内 轟沈 

 

 

0510那珂、衣笠被弾 損害 大破

 

 

0511那珂、龍鳳 轟沈

 

 

0523瑞鳳、金剛、那智被弾 損害 小破

 

 

0530那智、衣笠 轟沈

 

 

……………

 

 

 

「朝雲ちゃん!危ない!」

 

「朝雲!」

 

瑞鳳さんが私に覆いかぶさるように立ちはだかった。

次の瞬間発生した爆風は私にも感じられた。

それと同時に襲ってきた衝撃波で私は海面に瑞鳳さんとともになげ出され、意識を手放した。

 

 

 

私は手に滴る生暖かい物に触れて目を覚ました。

意識はまだはっきりとしない…

 

だがまだ砲撃の音は続いている。

それと同時に…ヒューヒューと苦しそうな空気の抜けるような呼吸音が聞こえた。

 

恐る恐る目を開ける。

 

そこには…血が流れ続けている瑞鳳さんの変わり果てた姿があった。

 

弓をいつも引いていた右手は吹き飛び右半身が深く抉れ、内臓が飛び出ていた。

 

「瑞鳳さん!」

 

呼び掛けても瑞鳳さんは目の焦点が合わない。

もう既に青白くなった瑞鳳を抱きかかえ当たりを見回す。

 

今まで死んでいった仲間の奮闘もあって、敵は戦艦棲姫しか残っていなかった。

 

恐らく、戦艦棲姫の一斉射が私に当たりそうになったのを瑞鳳さんが庇ってくれたのだろう…

 

けど…瑞鳳さんはこのままじゃ…

 

「朝雲!もういいネー!瑞鳳は…もう無理ネ!諦めてさっさとこいつを!」

 

その金剛さんの言葉に私は何かが抜け落ちたような感覚がした。

 

私が戸惑っていると私の手を冷たくなった瑞鳳さんの手が掴んだ。

 

「行って。私はもう持たないわ…朝雲ちゃんは…守るべき…相手がいるでしょう…カハッ」

 

「瑞鳳さんそんな…!私のせいで…!それにまだ息があるのに置いていくなんて…まだ助かるかも…!」

 

「行きな…さい…これは…私が選んだ結末よ…もう艦載機も無い。なら…少しでも戦える貴方を救ったほうが良いでしょう…?」

 

「瑞鳳さん…ごめんなさい…」

 

「霞ちゃんのこと…守ってあげるのよ…」

 

「はい…」

 

そう言って私は戦っている金剛さん達の方へと足を向けた。

 

 

 

0540瑞鳳 轟沈

 

 

「Shit!まさか…私がやられるとは…提督…申し訳ないネ…私もここまでのようネ…」

 

「金剛!」

 

「金剛さん!」

 

 

0550金剛 轟沈

 

 

「伊勢さん!夜戦突入後、戦艦棲姫の右舷に私と霞で魚雷を叩き込みます!注意を買ってもらってもいいですか!」

 

「ええ…!任せて!主砲、四基八門、一斉射!」

 

いい具合に伊勢さんが戦艦棲姫の動きを止めてくれている。

今なら!

 

「霞!行くわよ!」

 

「はい!」

 

私と霞の放った魚雷の一斉射は戦艦棲姫の足元に吸い込まれていった。

 

 

「やったの?」

 

「今のは良かった…ナイスだ…」

 

「伊勢さん!」

 

「なんとか…なったんでしょうか…?」

 

「あれだけの砲撃と魚雷を受けて沈まないほうがおかしいわ…二人共…よくやったわ…けれど…犠牲が大きすぎたわね…」

 

戦闘中はアドレナリンが出ていたのか全く湧き上がってこなかった悲しみと涙が湧き上がってきた。

 

しかし、次の瞬間私は驚きで目を疑った。

 

「伊勢さん避けて!!!」

 

「え?」

 

私が見たものは海に消えゆく伊勢さんとゆっくりと立ち上がる戦艦棲姫の姿だった。

 

 

私はとっさに叫んでいた。

 

「霞!逃げて!」

 

今は夜だ。

全力で逃げればなんとかなる。

 

「そんな!私だけ逃げるなんて!」

 

「これは命令よ!早く行きなさい!お姉ちゃんが食い止めている間に!行って!もうすぐ到着する本体に伝えて!」

 

「分かりまし…た…絶対に!迎えに来るわ!」

 

 

霞艤装の音が遠のいていくのが聞こえた。

 

さぁて…一対一ね…

 

いいじゃない。

瑞鳳さん…ごめんなさい…貴方に助けてもらったのに悪いけど…ここが私の墓場みたい…

 

私は鉢巻を結び直し、今立ち上がりきった戦艦棲姫と対峙する。

 

主砲を強く握り直し、残弾を数える。

12発。

 

魚雷は…3本。

 

足止めしかできない。

 

けど…

 

「十分じゃない。」

 

戦艦棲姫へと一発放つ。

距離が近すぎるのも遠すぎるの不利だ。

なら…駆逐艦の戦い方は…動き回る!

 

目眩ましを使いながら先程霞と魚雷を打ち込んだところを重点的に狙う!

 

丁度一周した。先程の損傷が見えてくる。

やはり相当ダメージは入っているようだ。

旋回が遅い!

 

今ならまた狙える!

私は狙おうとした。

いや、詳しく言うと撃とうとした。

 

だが…撃てなかった。

 

奴が…主砲をこっちに向けていたのだ。

 

嘘だ…そんな早く旋回できるわけがない…

 

一度撃とうとしたらすぐには避けることができない。

 

私と戦艦棲姫は同時に主砲を発射した。

 

身体が千切れる。

本当にそんな感覚を味わった。

吹き飛んだ左手。

 

瑞鳳さんと同じように私も内蔵が抉れて血がどんどん溢れてく。

あぁ…死とはこんな感覚なのか…

 

痛い…苦しい…寒い…

 

戦艦棲姫は笑っているようだった。

 

しかし、私の顔を見て顔が引きつったようだ。

 

「喰らいなさい…」

 

戦艦棲姫の右舷で爆発が起こる。

 

「まさか…死にかけの駆逐艦から反撃をくらうとは思っても見なかったでしょう?ふふ…」

 

それでも奴はピンピンしている。

あれでなおかすり傷程度なのか…化け物。

それに…頭も切れる。

 

あぁ…そろそろ…かな…

ごめん…霞。先に行くよ…

 

寂しい…戻りたい…みんなにも…会いたい…

 

カエシテ…

 

その思いを最後に私は意識を手放し、ドロのような物の中に落ちていった。

 

 

 




誤字脱字等はコメントにて。

朝雲実は沈んでました。
じゃああれは誰…?

次は久しぶりに春雨たちのほのぼのでも書きましょうかね…
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