何やら最近不穏な空気が鎮守府内に漂っている…
私は少し気落ちしながら廊下を歩いていた。
大規模作戦が近いからだろうか…
みんな…少しピリピリしているような気がする…
どうしてだろう…
夕立姉さんや時雨姉さんでさえ喧嘩寸前まで行っていた…
あの二人が喧嘩なんて今までしたことなかったのに…
白露姉さんもずっと黙ったまま…
食堂も話し声が少なかった。
いつもなら賑やかなのに…
唯一笑い声を響かせていたのは海防艦のみんなや雪風さん達くらいだった。
何かあったのかな…?
でも…みんな何故か私にはとっても優しくしてくれる…
下を向きながら歩いていると誰かにぶつかってしまった。
「ひゃう…」
驚きのあまり思わずそんな声を出して私は尻餅をついた。
「うおっ春雨すまない…!」
その声が聞こえた途端、私は顔が真っ赤になった。
恐る恐る顔をあげるとそこにはやはり司令官がいた。
「し…司令官!?ごめんなさい…」
「いや、いいよ。前をちゃんと見てなかった俺も悪い…それと…大丈夫か?怪我はないか?」
「は、はい!大丈夫です…」
………
沈黙が続く。
き、気まずい…
何か言わなきゃ…
「じゃ…じゃあ私はこれで…」
そういって隣を通り抜けようとすると、司令官に腕を掴まれた。
「きゃっ!」
また驚きすぎて声が出てしまった…
「あ、悪い。すまない…」
そういって
司令官はすぐに手を離した。
「どうしたんですか?」
「春雨…少し話さないか…?」
「へっ?」
今日は司令官に合ってから驚いてばかり…
司令官に並んで歩きながら私は思わずため息をついた。
「わざわざすまないな…一応聞くがこの後予定とかはないよな…?」
「はい…この後は部屋に戻ってゆっくりしようとしていたので。」
私、今司令官に誘われて二人で歩いている…
そこで私は頭を左右に振った
駄目だ駄目だ一体私は何を考えてる…
全くこの人は…すぐ勘違いさせるような行動を取るんだから…
気の抜けた頭を正常に戻すように私は聞いた。
「ところで…話って…なんですか?」
少しの沈黙の後、司令官は口を開いた。
「最近忙しくて話せてなかったろ?だから久しぶりに話したくなってな…。それはそうと最近どうだ?」
この人私に気があるんじゃないの?と思わせるくらい甘いセリフだと私は思った。
好きな人にこんな風に会いたいって言われたら普通勘違いしてしまう…
少し考えてから答える。
「私は元気です。ちゃんといつでも戦えます。ただ…司令官はなにか知っていませんか?みんなが…少し暗いというか…雰囲気がピリピリしている理由を…」
「お、そうか、元気なら良かった。………すまない…私は…知らない」
嘘だ。そう直感した。
でも…私には教えてくれない…私に関係する何かあるのだろうか…
……………
春雨と別れたあと、すぐに俺は執務室に戻った。
「クソッ」
そう言って俺は机の上の1枚の紙を睨みつける。
本作戦にて、各鎮守府より数隻づつ選出し遊撃部隊を編成
当艦隊は作戦海域にて本隊到着前に敵主力と交戦、以降敵殲滅まで出来るだけ多くの深海棲艦を叩く。
要するに、囮だ。
俺の送った嘆願書は無視された。
うちの鎮守府から遊撃部隊は春雨、雪風、が選出された。
上からの命令には断れない…
何故あんな優しい子を…
二人とも俺にとっては大切な部下だ。
この生きて帰れるかもわからない部隊に送り出すなんて出来るはずがない。
どうすれば…
コンコンと執務室のドアをノックする音が聞こえた。
「入れ」
そういうと、明石が入ってきた。
「どうした?なにか足りないのとかあったのか?」
「いえ!足りないものがあるだなんて滅相もない。充実してますよ!今回は…例のメールの件できました…」
「何か分かったのか?」
「はい。凄いのが。」
そういって明石はニヤリと笑った。
誤字脱字等はコメントにて