※この作品はR-18です。

桜の季節   作:sudachi0402

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第十八話

 

 

 

「先遣隊より入電!敵陸上型棲姫の随伴は戦艦2隻、正規空母2席、重巡1隻、軽巡1隻、駆逐艦4隻!」

 

「長門。思ったより少ないわね。」

 

「ああ。しかし...何故奴らは戦艦棲姫を随伴に置かない...」

 

「確かに妙ね...あの戦艦棲姫は厄介よ。もう既に壊滅した艦隊もあると聞いたわ。」

 

「分からないな。だが...今は目の前のことに集中しよう。」

 

「ええそうね...私たちの仕事はこいつらよ。」

 

「第一戦隊!前進!目標は敵主力艦隊!」

 

 

 

........

 

 

 

ふーん。

 

来るんだ。

 

自分たちがどんどん押し込まれてるのに気が付いてないのかしら...

 

あなたたちの後ろは...もう居ないのよ...

 

いいわ。

 

ここで沈めてあげる。

 

 

 

.........

 

 

 

 

「時雨ちゃんたちまで駆り出されるなんて...前線はそこまで大変なんですの?」

 

「でも私達だけで撤退支援となると...数が足りないんじゃない?」

 

「でも...戦況を聞く限り帰ってくる人数自体が...」

 

「はいはい。熊野は心配性なんだから。大丈夫だって。」

 

「鈴谷は暢気で羨ましいですわ...」

 

「あの...鈴谷さん。」

 

「んー?どうしたのさ?」

 

「海防艦の子たちが怖いって...」

 

「えぇ...ったく...仕方ないなぁ。お姉さんに任せなさい!」

 

そう言って私は困り顔の三日月の頭を撫でながら後方へ移動する。

固まっている海防艦たちの傍へ行くとみんな一斉に群がってくる。

 

「鈴谷さん...」

 

「はいはい。大丈夫だって。この鈴谷が守ってあげるから。」

 

そう言って頭を撫でる。

 

「熊野もいますわよ!」

 

熊野は本当に気が利く。

私は苦笑しながら海防艦たちを抱き寄せる。

 

「鈴谷は上からあなたたちを守ってあげる。だから...あんたたちは下から私たちを守ってね。」

 

「...うん」

 

「よし!じゃしっかり気を引き締めていこう。」

 

その直後、砲撃音が聞こえた。

横に何かが飛んでくる。

グシャっと鈍い音がする。

 

「...は?」

 

咄嗟に海防艦の目を隠した。

それはさっきまで話していた三日月に上半身だった。

 

苦しむ間もなく逝ったのだろう。

目は見開かれて驚いた表情をしていた。

 

「クソ!熊野!一体何!?」

 

相棒からの報告が無かったことに私は違和感を覚えた。

 

「鈴谷!左!敵深海棲艦!」

 

「数は!?」

 

「1隻ですわ!」

 

居た。確かに一隻だ。

1隻?どうして気が付かなかった?

誰も発見できなかった。

 

警戒は怠っていなかった。

 

一体どこから現れたというのだ....

 

ここから前線までは距離がある。

こんなに奥深くまで潜り込まれてくるなんて....

 

「熊野!私達で潰す!行くよ!」

 

「鈴谷さん...!気を付けて...」

 

海防艦の癖に嬉しいこと言ってくれるじゃん。

 

「有難う。あんた達は撤退しなさい。ここじゃ足手まとい。撤退して...提督に伝えて。前線は破られたってね。」

 

「はい...!」

 

「んじゃ。よろしくね。」

 

「また...会える?」

 

「会えるように頑張るよ。」

 

そう返して私は海防艦に背を向ける。

 

「最上型、航空巡洋艦鈴谷。いっくよー!」

 

「鈴谷遅いですわ!」

 

「ごめんごめん。どう?あいつは一体何?」

 

「分かりませんわ...戦艦にしては小さすぎますし...重巡にしては主砲の数が変ですわ....」

 

「まぁなんでもいいけど、三日月の仇。取るよ。」

 

「勿論ですわ。私たちの仲間を沈めたこと、きっちり後悔させてやりますわ。」

 

「熊野!左は任せたよ!鈴谷が右から行く!」

 

「了解ですわ!」

 

「おっと...」

 

飛んでくる砲弾を躱し主砲を構える。

提督に貰った20.3cm(3号)連装砲。

 

「いっけー!」

 

 

 

 

........................

 

 

 

 

 

「鈴谷さん達大丈夫かな...」

 

「大丈夫よ。だって重巡の中では演習でトップクラスだったじゃん。」

 

「でも急いで提督に伝えないと...心配...」

 

「ねぇ!あの航空機って!」

 

「加賀さん!」

 

私たちは手を振って合図を送る。

 

数分後、加賀さんが霞さんと一緒に私たちと合流した。

 

「あなたたち。撤退支援のために待機中では?」

 

「鈴谷さんと熊野さんが危ない!」

 

「どういうこと?きちんと説明して頂戴。」

 

「えーと...大っきい深海棲艦がいきなり現れて...三日月さんが...それで!鈴谷さんと熊野さんが撤退しろって!」

 

「なるほど...急いで提督に報告するわ。貴方達。お疲れ様。報告有難う。」

 

 

 

 

..............

 

 

 

 

「突破された!?馬鹿言うな!それに三日月が...?クソ!前線は一体どうなってる!付近の鎮守府へ連絡を入れろ!第3艦隊は出せるか?」

 

「はい。先ほど全艦入渠、完了しました。疲労は溜まっていますが...何とか出せます。」

 

「そうか。今すぐ出せ。出撃中に無線で状況を伝える。」

 

「それと提督。そろそろ作戦通りなら第2艦隊も戻ってくる時間です。」

 

「そうか...ドックの整備を頼めるか?」

 

「はい。」

 

明石が出て行ったあと、俺は頭を抱えていた。

何が起こっている?三日月が轟沈した?

 

前線で何が起こってる...

鈴谷...熊野...

必ず助けてやる。

 

もう少し...持ちこたえてくれ...

 

 

 

...............

 

 

 

はあ。

 

弱い。

 

弱すぎる。

 

目の前には艦娘二人が倒れていた。

一人は瀕死。もう一人は...もう長くないな。

 

「くたばり...なさい...」

 

艦娘が砲弾を放つ。

しかし、それは私の装甲にいとも簡単に弾かれてしまった。

 

私はゆっくりと近づく。

 

その艦娘は恐怖に顔をゆがませる。

 

ああ。なんて気持ちのいい。

いい気分だ。

 

「...に...熊野に近づくな!」

 

もう動けないと思っていた艦娘が熊野と呼ばれていた艦娘を庇うように覆いかぶさった。

 

私は二人に主砲を向ける。

 

命とは。儚いものだな。

 

 

 

 

そして...爆音がこだます。

 

 

 

 

 

 

 




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