香織との初体験を終え、一度学園に登校する事にした俺達、あれから鬼ヶ原達の行動が気になる…。
あいつ等は一体何処で何をしているかを調べる必要があるからな。
俺は香織を守りつつ、学園に入って様子を窺った。
しかし鬼ヶ原達の姿が無く、更に掲示板にこんな物が張り出されていたのだ。
【鬼ヶ原源二、及び多数の生徒の者達を追放処分とする。理由 校規を著しく乱す行為が確認された為…】
鬼ヶ原達の追放…。この学園では追放と言うのは退学と同じ意味であり、更に社会的にも見放されると言う意味でもある。
しかし追放か、これはもしや…。
「ねえ、隼人君…これ」
香織は俺の袖を引っ張りながら聞いて来て、それに俺は香織に振り向きながら言う。
「香織、鬼ヶ原達の事はもう心配はない様だ。ただまだ油断もならないから、そこだけは気を付ける様にしないと…」
「うん…、そうだね」
俺は香織との警戒を強めながら、今後の学園生活を送る事にする。とは言え俺はまだ裕子達を救わなければならない。
その為ひとまず2週間後に備える為、準備はしておこう…。
――――
学園での様子は分かった所で、俺は学校を終えた後隠れ家に行き、その間に今日届いたコンプレッサーとスプレーガンを持っていく。
これがあればリフトの色も、パワーラックの色も変える事が出来る。
後はペイント専用の塗装を買うだけだ。これはもう選んでいる…リフトは青色で、パワーラックは黒色と赤色のするつもり、その方がなんかカッコいいと思った。
そしてここにもやはりPCを置いた方が良いと思う…。なんせ自宅には自作パソコンが置いてあるとはいえ、一般用とプロ用とは違うものだからな。
それを大型の器材にして、PCをより活用的にする為に揃えよう。っと俺がそう考えた時だった。
《これまでのスキルの使用とスキル進化により、エクストラスキルが解放されました。エクストラスキル複製を取得しました》
「ん?エクストラスキル?」
聞きなれないスキルを耳にして、すぐさま俺はそのスキルを確かめる。
【エクストラスキル、スキル進化の影響で最上位のスキルを使用する事が出来るスキル。今まで規制がされている物が使用が可能】
【複製スキル。あらゆる物を複製し増やす事が出来るスキル、消費物に特に効果的でなんでも増やす事が出来る、ただし金銭物は複製出来ない】
「マジか…?って事はこれから作る為の材料をわざわざ買い揃わなくてもいいって事か?マジ便利! まあお金は増やせないのは仕方ないよな」
俺はそう思いながら今ある塗装のペイントを増やす為、5個複製してみた、するとそれらが光って、文字通りに塗装のペイントが5個複製された、本当に複製されたんだな?
これは便利だな…本当に、万能修理や完全整備のスキル以上の重宝のスキルだ…。
これなら今後消費の多いであろう弾薬で困る事がないな。当然手榴弾も。
そう思いつつ俺は今行う作業をするのだった。
翌日、俺は香織と共に学園に登校した際に、別方向から裕子と美也子がやって来る。
「おはよー香織!」
「おはようございます!先輩」
「おはよう裕子ちゃん、美也子ちゃん」
「おはようさん」
適当に挨拶をし、裕子が香織に話しかけた。
「ねえ掲示板見た? 鬼ヶ原達が追放されたっていう話、あれどうなってるの?」
「う、うん…そうだね」
っと香織が少しばかり重苦しい表情をし、それに裕子が見て首を傾げた。
「香織? どうかしたの?」
「え?な、何でもないよ、本当に」
その様子に慌てて隠す香織、まああいつ等に襲われかけたばかりだからな、無理もない。
そう俺が思っていると。
「あれ?橘じゃねぇかよ」
誰かが裕子の名を呼んで、俺達は振り向くと、長身の男性が低身長のデブ男を引き連れてやって来た。
っておいおい、こいつ等は確か『石上(いしがみ)達朗(たつろう)』と『森川(もりかわ)智(さとし)』じゃないか!
こいつ等は裕子と美也子を凌辱する奴等、石上はかつて裕子と同じ部活に所属していたもので、密かに裕子を思っていたがそれを見向きもしない事から自分の物にしようとしていた。
そして森川はアニオタで以前いじめを受けていた時に美也子に少し慰めて貰って、その時のお礼をしたいと思ったが、少しばかり強引な所が彼女に嫌がられてしまい、その際に自分の想いが通じたと錯覚した様だ。
どいつもこいつも身勝手な連中ばかりだ、それじゃあモテないのも当然だ。
「何よ、石上」
「何よじゃないだろう? 以前から俺が作ろうとしている部活、何で来ないんだよ?」
「言ったじゃない。今のあたしには興味ないって、香織と一緒にいる方が楽しいのよ、今は」
「おい!」
石上が裕子に問い詰めようとした際に、俺が割って入って来て、奴は俺を見る。
「な!手塚! 何でお前が!」
「まぁ落ち着きな、お前がいくら叫んでもそのやり方じゃ誰も振り向いてはくれないぞ」
「くっ!」
奴は歯を噛みしめながら後ずさりし、森川の方を向く。
「行くぞ!デブ!」
「あっ!待ってください! あの!美也子ちゃん!また後で話そうね~!!」
っと石上と森川はそう言って立ち去って行き、裕子は面倒臭そうな表情をし、美也子は困った感じになっていた。
まあ無理ないよな。
「もう、しつこいったらありゃしない!」
「そ、そうですね。でも困りました…。私…あの人苦手で」
「心配すんな、そん時はまた追い返してやるよ」
っと俺がその事を言うと、裕子と美也子が驚いた表情をする。
「良いんですか!先輩!」
「ありがとう手塚君! でもさっきはありがとね?」
「良いって事よ」
そう言って俺達は教室へと移動し、美也子は二年の教室へと向かった。
これで奴等が裕子と美也子に襲いかかると見て対応するべきだな。実行に移すのは死角になっている体育館の倉庫の一角だ、あそこは使っていない倉庫があって、悪事に打ってつけの場所がある。
奴等は手下達を使って裕子と美也子を捕らえ、体育館倉庫に連れて行き、中毒性の高い媚薬を使い、身体を快楽状態にし、依存症に堕とそうとしている。
そうなったら詰みだ。どんな手段を用いてでも阻止する必要がある。
だが問題がある、犯行が体育館倉庫で行われる事は分かるが、時間帯が分からない、それを確かめる必要があるな…。
危険だが裕子達が連れて行かれる所を確認し、後を付け現行犯で奴等をねじ伏せる。絶対に薬を打たれる前に全てを片付けて二人に今後もいつもと変わらない日常を過ごさせる。
そう思いつつ、次の襲撃に備える為に頭の中で救出までの絵図を引きながら早くこの授業が終わってほしいと願っていた。