学校が終わり、俺は一足先に帰り、自宅から隠れ家に向かう時だった。
「隼人君」
「ん?あ、香織…」
すると後ろから香織が居て、俺の後を付いて来ていたのだ。何やら思いつめた感じの様子である事には顔に出ているみたい。
「どうした?」
「…ねえ隼人君、もしかしてなんだけど…まさか裕子ちゃん達、狙われてるのかなって…」
っとその事に俺は少しばかり言葉を詰まらせる、ここまで来て、香織は何か感じているのかと思ったのだろう。
鬼ヶ原の件で恐らく香織の鋭さを強めたのだろう。
まあ、いずれ話す予定だったから、この際話そう。
「香織、今から俺が話す事を誰にも話さないでくれるか?」
「え?どうして?」
「これは、今後の事の為だ。いいな?」
その事に香織はただ頷き、俺は香織に今後起こる事を話した。今後の事を話した途端、香織が信じられない表情をしながら両手を頬に当てながら言う。
「噓でしょう!? 私に起きた事が裕子ちゃん達に起こるって言うの!?」
「ああ、その為に俺は橘…いや、裕子達を救う為にも準備をする必要があるんだ。その為なら…俺はドブの水を被る事も辞さないさ」
っとそう言って俺は原チャリに乗ろうとした際に、香織が俺の腕を掴んできた。
それに俺は香織の方を見る。
「香織…?」
「隼人君、私も手伝う。裕子ちゃん達が襲われるなら、私にも何か出来る事はない?」
「香織、良いのか?俺と協力すれば香織はまた襲われる可能性が高くなるんだぞ?」
そうなれば香織は奴らの餌食になるのは明確、そうなると俺の努力は水の泡となる。
しかし香織はそんな事、何とも思ってなく、当たり前な事を言い出した。
「大丈夫!私はもう隼人君だけのものだし、それに裕子ちゃん達が襲われても隼人君なら助けてくれるでしょう?」
っと自信満々な表情をする香織に対し、俺は苦笑いするしかなかった。
まさかここまで信頼するとは嬉しいよ、本当に。
「分かった、それなら今から向かう隠れ家に行こう。そこで色々と準備があるから」
「隠れ家…?」
香織はその言葉を聞いて首を傾げる、まあそうだろう、普通隠れ家なんて聞かないからな。
そう言いながら俺は香織を隠れ家に連れて来た。香織は一度部屋を見渡し、少しばかりジト目で俺を見て来た。
「ねえ隼人君、ここってラブホテルだよね…?」
「あ、ああ…良い隠れ家がなぜか此処なんだよね…」
あははは…これは何とも言えないよ。でもなぜか香織はそんな様子を何とも思ってなかった様で、逆に関心するかのように見ている。
「でも確かに、ここならば見つからないし、私達との“あれ”も出来るね」
「ん?達?あれって…」
「もう!分かってるでしょ…」
っと香織は少しばかり頬を赤く染めながら、俺に近づき、腕に抱き着きながら言う。
「エッチな事…だよ、ラブホテルを隠れ家にするんだったらどうせするんでしょ?」
そう言う言葉に俺は思わず興奮する状態だが、今はあえて抑える事にした。
今は大変な時期だ、興奮するのは裕子達を助けた後だ。
「香織、すまないが興奮するから、その辺で」
「ええ~そんな~♪」
っと何やら楽しげに言う香織、おいおい…状況が状況だし今は少しは抑えてくれよ。
――――
そして俺は香織を連れて、地下へ連れて行き、隠れ家へと案内した。
拠点で、俺の車であるピックアップトラックがある事に香織は気づいた。
「あっ、あの車、こんな所に置いてあるの?」
「ここなら俺の車を整備する事が出来るし、改造も行う事が出来るからな」
「そ、そうなんだ…(ここで何をしているのか気になるけど、あまり気にしない方が良いかも…)」
なんだか香織は何か思いつめた様子になっている様だが、あえて気にしない方が良いかもな、余計混乱させるだろうし…。
そう感じた俺は取り合えずまずやるべき事をする、ここにPCを置く為のスペースを測る。PC…いや、スパコン並みにしないとな。
因みに香織は車以外に辺りを見物し、置かれている物を見渡していた。気になる物があるのは言うまでもないか。
そして香織を家まで送り、俺は帰り際に香織と話す。
「香織、あの隠れ家の事は誰にも話しちゃだめだぞ?」
「うん、あそこは誰にも言わないよ。言うとしたら裕子ちゃん達だね…」
「ああそうだ。その時までは俺達の秘密だ。それじゃあおやすみ」
「おやすみ♪」
っとそう言って香織を別れ、俺は再び隠れ家へと向かった。実は一度家に戻った際にPCを複製して収納の中に入れておいたのだ。
それを使ってPCを連結されて、スパコン並みのPCにする、だがそれだけのPCを使うと、熱量もとんでもないものになる、その為冷却する装置を作る必要がある。
丁度香織を送る際に、ピッタリなタンクがあったんだ、ガスタンクの大型のタンクがね。
そのタンクに冷却液と冷やす為の装置を作れば完璧。スパコンの完成だ。
何とか二週間後に間に合わせる様にする。この後の為にも。
そして二週間が過ぎ、裕子と美也子が一緒に帰る所を俺は隠密スキルを使って見張っていた。
「ねえ美也子、後で香織の所に寄らない?」
「良いですね! それと隼人先輩も誘いましょう?」
「あはは♪ 良いわね、手塚君が抜けると香織が寂しがるからね~♪」
そう言う2人、おいおい…なんだか照れる事を言うじゃんかお前ら…。俺ってそんな風に見えるわけ?
俺がそう思っていると。突然2人の背後に誰かがやって来た。
その人物たちは石上達の手下で、手下たちは裕子達の口元を布で塞ぐ。
「んっ~~~!!?」
「んんっ~~……」
すると2人は意識を奪われ、手下たちはそのまま裕子達を連れて行く。
「(っ!あいつ等がそうだな! 待っていろ裕子!美也子! すぐに助けに行く!)」
そう思いながら俺はあいつ等の後を追いかけ、裕子達の元に行くのだった。
絶対に助けるからな…!