ミヴァルが俺に向かって拳を振り下ろしてきて、それを俺は後ろに飛びながらかわす。
よけられた事にミヴァルは怒りが込み上がって来て、俺に向かって走りながら再び拳を振り下ろして来る。
「うおおおおおお!! このクソガキが!!!」
「(随分と血の気が荒いルーマニア人だ。でもあんまりしつこいのは嫌い…だ!)」
俺は拳を振り下ろして来たのと同時にクロスカウンターでミヴァルの顔面に叩きつけ、それにミヴァルは思わず後ずさりする。
軽いパンチを放っただけだが、それでもミヴァルの顔面の鼻を流血させる程のパンチ力を見せる。
ミヴァルは流血している鼻を腕で拭きながら舌なめをする。
「へへへ…、なかなか良い拳を持ってるじゃねぇか…!」
良い拳…ねぇ、さっき思った通り、あれは軽いパンチだ。それだけでも流血させる程の威力…、これが本気出せば顔面崩壊は確実。
前に森川がいい例だ、まああれでも軽いパンチだけど。
俺がそう思っている内にミヴァルが俺の間地かに迫っていて、タックルを仕掛けて来た。
考えが仇となった事に俺は受け身を取って、ミヴァルのタックルを受け止める。
すると俺の身体はほんの少しだけ動いただけで、ミヴァルのタックルは何ともなかった。
どうやら俺のステータスがかなり影響していて、そのパワーは並じゃなかった。お陰で身体に何の影響もない。
それに対しミヴァルは有り得ない表情をしており、俺はそのまま勢い良く放り投げた。
「ふん!!」
「うわぁ!!!」
遠くへと投げ飛ばされたミヴァルは俺の家から遠ざけて、なるべく被害を増やさないようにした。
俺の家が壊されたら、死んだ両親に顔向け出来ない。
それだけは避けたい。
そして俺は投げ飛ばしたミヴァルの所に向かい、ミヴァルは怒り満ちた状態で俺を睨みつけてくる。
怒り満ちている奴に対し、俺はブレザーを脱いで、戦闘態勢へと入る。
この広い場所なら奴を叩きのめしても問題はない。
「やってくれるな…ガキがあああああ!!!」
怒り任せに俺に向かってくるミヴァル、だがそんな奴に対し俺は再びクロスカウンターの左を叩き込み。
俺のクロスカウンターが再びミヴァルの顔面に直撃し、一瞬怯んだ際に飛び膝蹴りを奴の顎に食らわせる。
「グホッ!!!」
奴の顎が真上に上がった時、俺は回転後ろ回し蹴りを食らわせ、ミヴァルの顔面に再び直撃して、奴は意識が途切れる。
そのまま地面へと倒れ、俺は止めに奴の首をへし折る。
首を折られたミヴァルはそのまま地獄へと落ちていった。
「ふぅ…厄介な奴って思ってたけど。やっぱりチートは凄い」
俺は心配する程でもなかった敵の様だ。しかし新島の野郎…殺し屋まで雇ってまで俺を殺しにかかるとは、奴も徐々に行動が大きくなってきている様だ。
でもまああいつに狩られる程、俺はドジじゃない。
まあそんな事はともかく、こいつから何か良い物がないかな? その後で証拠隠滅スキルで消して、スッキリするだけ。
俺が死んだミヴァルの死体から何かを探し出す。すると一つのキーを見つけた。
どうやら車の鍵みたいだ。
「車の鍵か…。てことは近くに車があるって事かな?」
俺はそう言いながらミヴァルを証拠隠滅スキルで消して、その後鑑定検索でミヴァルの車を探す。
すると近くにミヴァルの車を発見し、そこに俺は向かう。
そしてミヴァルの車の所に辿り着き、俺はそれを見ると、それは外車だったのだ。
しかもその車はハイパフォーマンスカーでも有名なマッスルカーである【フォード・マスタング】だったのだ。
最新式の車で、海外ではかなり有名な車だ。型を見る限り7代目の車だな。
まさかこの世界でもこの車があるなんて、思ってもいなかったな。でもこれは良いかもしれない。
今調べたらこの車、足が全く付かない車で、ナンバープレートも特性な物らしく、交通機関に全く影響されない物だ。
一体ミヴァルはどんな手を使って手に入れたんだ? まあいい…俺の車は足が付く車だから、免許を取った際にあれを使うとして、こいつは利用価値がある。
これなら遠くの場所にまで行く事が出来る。ホントなら免許を取った後に乗るつもりだけど、こいつなら足も付かないから隠れながら乗る事も可能だよ。
ミヴァル…こいつは貰っておくぜ。
俺はそう思いながらマスタングを収納させて、家に戻ってあらかた整理をするのだった。
――――
家での整理を終えて、俺は再び隠れ家に戻る。
その際にマスタングに乗って、乗り心地を確かめる。
アメ車のスポーツカーとも言えるマッスルカーは確かにハイパフォーマンスを感じ取れるパワーを感じる。それに頑丈だしなかなか良い。
良くあいつがこんなものを持っているのが不思議でたまらない。
っと俺がそう思っていると。
《習得鍛錬!運転スキルを取得しました》
ん?こんな所で運転スキルが身に付いた…? 以前俺を始末しに来たエージェントたちの車を乗って運転したけど、その時は習得されなかったな。
まさか最高級の車を乗らないと駄目な条件? 結構ケチなスキルだなおい…。
そう思いつつ俺はマスタングを操り、隠れ家に戻った。
隠れ家に戻る際、ハンドリングとアクセルワークの感触が確実に分かる事は言うまでもない。
そして地下に行き、マスタングの状態を見る。
「ふむふむ…、外見は良い状態だけど。中身はちょっとだけ違和感があったな」
俺は乗って分からなかった所をリフトに載せて見ると、丁度足回り部分に駄目な所を見つけた。
そこを交換し、新しい部品に交換して置く。
足回り部品に1つだけ新品状態があった為、それを複製スキルを使って良い状態のパーツを使った。
古い部品は処分して、エンジンオイルやクーラント液、ブレーキオイルは清掃スキルを使って、新品に生まれ変わらせて再利用する。
これで当面は問題はない。本当は新しいのを入れ替えた方が良いんだけど、清掃スキルはどんな液体も新品の状態に変えてくれるから、返って良いんだよね。
後は武器の方だな…。
「銃だけじゃなく、ナイフも持った方が良いかな?やっぱ…」
そう…学校で銃を使うのは最終手段であり、接近戦の武器はないのだ。この間はナイフを使った手下に難なく勝てたが、あいつ等はこの後武器を使って来るに違いない。その時接近戦用武器は必ず必須だ。
俺はハンマーでナイフを製作する事にした。
家にあったプロパンガスを複製して何十本持って来て、その内の一本を使いチューブを通しガスを送り、専用の筒に通して火を起こし、引火させて鉄を熱し、ハンマーで叩いて形を整える。
するとまたしても例のスキルが発動する。
《習得鍛錬!鍛錬スキル取得しました。またそのスキルにより、工業系スキルが全て統合され、エクストラスキル、匠の極みを取得しました》
っとエクストラスキルの匠の極みを習得したみたいだ。
その匠の極みのスキルを調べて見る。
【エクストラスキル匠の極み、工業系のスキルの数が揃った時に統合され、1つとなったエクストラスキル。中には建築スキルも含まれている為、どんな時にも役立つスキルである】
うわ~…凄いなこれは、でもこれなら行けるかも知れない。この隠れ家…修理する所はあっても建築する場所が分からなかったから、この後この隠れ家を拡張して行けば、快適に過ごせる場所になる。
そうしていく内にナイフ作りに取り掛かり、さっきまで打っていた感じが違っていた。
ナイフの打ち加減や熱の最適温度、更に焼き入れや様々な仕上げ作業などの事が頭に入り込んでくる。
これなら失敗しないで出来そうだ。
っと思いつつ俺はナイフ作りを進めて、そして自作で最高級のナイフが完成した。
そして鞘も作って置こう。
――――
一通りの物が出来た後、俺は美羽の救出方法を考えながら今の新道寺カンパニーの株価を調べて見る。
スパコンの画面に今の株価の値段が表示された。
どれも少しづつだが右肩下がりになっている、それと同時にヴィクトリア重工が徐々に右肩上がりになっている。
完全に狙っての行動だな。
「外道共め、私欲のために腐った行動をしやがって、絶対に美羽を襲わせはしない…この俺が居る限り」
そう…美羽は襲わせはしない。
彼女が襲われるのは学園の音楽室、彼女は新島の手下【栗原(くりはら)仁雄(ときお)】という人物とその部下に襲われ、更に部下に動画を撮らせながら凌辱すると言うゲームの内容だ。
更に奴は自ら美羽を妊娠させて、新島一族の後ろ盾と動画と生まれた子供をネタに乗っ取りを目論んでいる。大方時期を見てヴィクトリア重工に吸収させる腹積りか
そして美羽を自らの玩具にして心を殺し未来を閉ざそうとしている。
しかし残念ながら、それは…。
「栗原はクラスメイトの1人であり、筋書きを把握しているので以前からマークしていた奴だ。潰されるのは哀れだが同情の余地は無い」
そう…栗原は、本当に運が悪い奴だ…この俺に殺される運命なのだからな。勿論女を傷つけようとする以上楽には死なせない。
出来立てのナイフの餌食にしてやる、覚悟しろよ…。深窓のお嬢様が稀に見せる全てをかなぐり捨てた哄笑にはそそる物があるんだ!
美羽が襲われるのは約一週間後、その準備は出来ている為、その時を待つのであった。