凪とピクシーのおかげで悪魔にMAGを狙われることもなく、無事入浴を終えた串蛇。タヱと共に部屋に戻ると、豪華な食事が用意されていた。"豪華"と分かったのは、タヱが感嘆の声をあげたからだ。
「ヒメちゃん、今夜はすごいご馳走よ! ああ、でもこんなにいっぱい食べたらまた太っちゃう……」
「葵鳥は太っても痩せても美しいから大丈夫や。内面が綺麗やからな」
「ふふ……ヒメちゃんってば、嬉しいこと言ってくれるわね」
入浴時の気まずさなど、微塵も感じずに済んだことにホッとするタヱ。
目が見えない彼女の食事を手伝うため、串蛇を隣に座らせ、卓の上に並べられた膳に箸を付けていくと、部屋にノックの音が響いた。
「あ……、はーい。どうぞ」
「失礼します。……お帰り、タヱさん。媛さん。いいお湯じゃったろ?」
声と共に部屋へと入ってきた茜が、にっこりと。どこか含みのある笑いを二人……と言うより、串蛇へと向ける。その意を察した串蛇は、彼女に笑みを返して頷いた。
「茜の心遣い、しかと受け取ったで」
「ふふ……。良かったら槻賀多村自慢の酒、食事中にも飲んでつかぁさい」
先程、入浴時に差し入れてくれた酒を残し、茜は部屋を後にした。そしてこの酒には媚薬とまでは言わないが、身体を熱くさせる成分が入っている。そのことに勘の良い串蛇は、何とはなしに気付いていた。
「茜さんったら気を遣ってくれちゃって……悪いわねぇ」
酒好きなタヱは、もう風呂を済ませてしまった今、いつでも寝られるから、いくら酔っても構わないとの思いで、さっそく夕餉の刺身や鍋を肴に飲み始めた。
「う~ん、ごはんもお酒も美味しいし……最高!」
「ふふ、葵鳥が楽しいとウチも楽しい」
「ヒメちゃんってば、なんていい子なの……! ほら、この煮物も美味しいから食べてみて。ね?」
串蛇の口許へと『あ~んして』と、甘辛く煮た里芋を運ぶタヱ。串蛇はそれを口に入れ、ゆっくりと咀嚼して飲み込んだ。
「うん、ほんま美味しいなぁ……」
「ほんと、お魚もお野菜もすごく美味しいわよね」
「素材がいいのは認めるけど、ウチが美味しいと感じられるのは何より、葵鳥と一緒やからや」
「えっ! あ、あの……その、とっても嬉しいわ、ヒメちゃん。そう言ってくれてありがとう……」
そう返すタヱの頬が赤い。それは酒のせいだけでないことを、タヱ自身よく分かっている。
(これよ、これ! このヒメちゃんの直接的な表現! これに私、すごくドキドキしちゃうのよね……)
タヱは掌でパタパタと顔を仰ぎ、『暑いわね』と笑みを取り繕った。
「そうなん? ほな、脱いだら?」
「え……?」
「脱いだらええやん。どうせウチは目ぇ見えへんし。それに二人きりや」
白菊も含め、護衛達は皆、部屋の前や隣の部屋で控えているため、確かにタヱと串蛇は二人きりであった。だが、だからと言って裸になるのはどうかと思い、タヱは首を左右に振った。
「そこまで暑いわけじゃないから、大丈夫よ。さ、それよりごはん食べちゃいましょ!」
明るい声でそう言って、タヱは串蛇と共に食事を進めた。
* * *
「……ぁ、んん……?」
タヱが目を覚ますと、そこは福縁荘の部屋で、自分は布団の中にいた。
(私……いつの間に寝ちゃったのかしら……)
夕餉を終えて、串蛇と楽しく色々と話したことは覚えている。とは言え、ほぼ愚痴を聞いてもらった形なので、自分はともかく串蛇が楽しかったのかどうかは分からない。
(んも~、私ったら……せっかく旅行に来てるのに、ヒメちゃんにつまらない思いさせちゃって……!)
反省する気持ちはある。帝都に帰るまでに挽回したいものだという思いも。
(朝起きたら何か、ヒメちゃんが喜んでくれることをしないとね)
手を伸ばせば届く距離に敷かれた布団の中で、小さく寝息を立てる串蛇の背中を見て、そう誓いを立てるタヱ。そうして目を閉じ、改めて眠りに就こうとするのだが──ずくんっ。
夕方、風呂で串蛇に触れられた箇所に甘い疼きが走る。
「っ、あ……!」
(……やっ! ちょっと、何……? 今はヒメちゃんが隣にいるのに……こんなの困るわ……!)
タヱはそれなりに良いお年の女性なので、自身を慰める術は知っているし、その経験だって勿論ある。しかしこれまで一度たりとも、誰かが傍にいる状態でそれをしたいと思ったことはなかった。
(あぁっ、やだ……胸とアソコが、すごくむずむずしちゃってる……! これってヒメちゃんに触られたから……? それで気を遣らないまま、中途半端に終わらせてしまったせいかしら……)
タヱのその考えは的を射ているが、茜が差し入れた酒も身体を火照らせる後押しをしている。
ともあれタヱは、じくじくと熱く身体を疼かせながらも寝て全て忘れてしまおうと思い、目を瞑った。しかし、目を閉じれば感覚は過敏になると言うもので、余計に焦れったさが募る。
「……は、ぁ……!」
たまらずに、吐息と共に漏れる甘声。股間に刺激を送り込もうとして、脚が勝手にすり動いていく。
「……んっ、ふ! あ……は、ぁ……っ……」
中途半端な刺激はもどかしさを煽るだけの結果となり、タヱは耐え切れない程の飢えを覚えることになった。
「あっ、はっ……、あぁぁ……んっ、んはァ……ッ」
(だ……だめ、私……っ、隣でヒメちゃんが寝てるのに……我慢できないっ……。ずくずくと、おっぱいの先やお豆さんが脈打って……どうしようもなく、落ち着かない気分なの……!)
「んぁあ、ああ……っ!」
不意に喘いでしまうが、唇を噛んで声を押し殺し、浴衣の胸元に手を挿し込み、己の乳房をやわやわと揉んでいくタヱ。
こんなこと、いけないことだとよく分かっているが、それでも疼きを止められなかった。
(ああ……! どうか……どうかヒメちゃんが……目を覚ましませんように……)
そう胸中で祈りながら指腹で、キュッと乳首を捉えていく。瞬間、痺れるみたいな快感が走り抜け、思わず腰が浮いてしまう。
「っは、ぅ……! んっ……はぁ……ッ!」
喉奥からせり上がってきた声は、予想に反して大きなもので、串蛇が目を覚ましてしまったのではないかと焦るが、彼女の肩は、寝息と共に小さく揺れていた。
(よ……良かった……。起きてない……)
安堵してタヱは、今度こそ喘ぎを漏らさないようにと唇をキュッと噛み、そして自慰を再開した。
「……んっ」
片手で乳房を撫でるように揉みながら、するりと股間へと手を伸ばしていく。そうして股の間に指を挿し込むと、ぬるりとした透明の蜜が付着した。
(あぁ……すごい私……たっぷり濡れちゃってる……)
愛液の多さに昂奮し、つるりと秘裂を指でなぞると強い快感が訪れて、それだけでもう達しそうになってしまった。
「っあ……!」
(な……何これ……っ。何だか今日、すごく気持ちいいんだけど……これってやっぱり、ヒメちゃんに触られたから……って、だめだめ! ヒメちゃんはただ身体を洗ってくれただけなのに、こんなこと考えるのはいけないわ……っ)
『まるで彼女を性の対象として見ているみたいだ』と、タヱは慌てて思考を振り払った。
(でも……あぁっ、とにかくとろとろで……もうイっちゃいそう……!)
『我慢できない』とばかりに指の動きを速めていくタヱ。荒い息を吐いて胸先をこすり立て、肉豆を激しく摩擦していると──バサッ。
不意に掛け布団が跳ね除けられた。
(……え?)
驚きの余り、手が止まる。そして人の気配を感じて足元を見ると、そこには串蛇の姿があった。
「ヒ、ヒメちゃん……!」
見られたかと焦るが、串蛇は目が見えないため大丈夫と自分に言い聞かせ、タヱは努めて平静を装い、彼女に声を掛けた。
「ど、どうしたの? 眠れない?」
「せや」
「ま……枕が変わって、落ち着かないのかしら」
「そうやない。葵鳥、あんたのことが気になるからや」
そう言うと同時に串蛇は、タヱに覆い被さっていった。
「ヒ、ヒメちゃん!? あっ……んぅぅっ……!」
口付けで唇を塞がれてしまうタヱ。串蛇の舌が中へと強引に割り入ってきて、上顎の綿密な襞や歯列の裏をまさぐってくる。
「あぁ……葵鳥……」
「やっ……ん、んぁ、はぁ……っ!」
息継ぎも出来ない程、激しく濃厚な口付け。舌を吸われ、口内を隈なく舐めこすられと、その情熱的な唇愛撫に頭が蕩けそうになる。だがタヱは、残る理性で制止を呼び掛けた。
「ヒ……ヒメちゃん、だめ……っ! こういうことは……好きな人としか、しちゃいけないのよ……」
「そらそうやろ。ウチかてお好きさん以外にこんなことしたないし」
「えっ……?」
「葵鳥は賢いくせに鈍いな。ウチはあんたのことが好きやと、そう言うてるんや」
「そ……それはでも……姉を慕うような気持ちなんじゃ……っ」
「それだけやったらこんなことしたいと思えへん。……なぁ、葵鳥。ウチはあんたに触れたいんよ……。ずっとずっと、こうしたいと思うてた……」
滔々と言い募り、タヱの頬を両手で包み込み、再び唇を重ねていく串蛇。
タヱはと言うと、驚きの連続ですっかり固まってしまっていた。
(う……嘘でしょ? ヒメちゃんが、私のこと好き……? でもそんな……女同士で……って、そういう考えは古臭いんじゃないかしら。これからの時代、もっと自由な考え方を持って行かないと。特に私は新聞記者なんだし、その道を示すべきなんじゃない?)
などと色々と小難しいことを考えているうちに、気付くとタヱは浴衣を脱がされてしまっていた。
「っ……!」
慌てて浴衣に手を伸ばそうとすると、串蛇に腕を掴んで止められた。
「あかん。葵鳥の身体、ウチに見して」
「見せてって……でも、見えないんじゃっ……」
「知ってるやろ? ウチの"見る"は"触る"ということや」
口付けていた唇をタヱの首筋へと滑らせ、そして掌で持ち上げるようにして、柔らかく丸みを帯びた乳房を優しく揉んでいく串蛇。
「ふぁっ、ぁ……は、あ……っ、だめぇ!」
「だめってなんで? 葵鳥、疼いてしゃあないんやろ? ウチが隣で寝てるのに……自分で自分のこと可愛がるほど……」
「……っ!」
自慰に耽っていたことを気付かれていたと知り、タヱは羞恥で何も言えなくなってしまった。それを承諾の合図と受け取り、串蛇は『ちぅっ、』と乳首を吸い立て、舌で転がしていった。
「っあ……! んっ、ああ……!」
焦れが強い状態で、かつ自慰も途中で止まっているため感度が鋭くなっているようで、タヱは大きく身悶えした。
「あぅっ、あっ、あっ、あ……! ヒメちゃん、だめぇ……っ!」
「葵鳥の"あかん"は"ええ"やな」
『はみっ』と胸先を甘噛みして、股間にグリグリと膝を押し付けていく。瞬間、ぐちゅっと卑猥な水音が辺りに響いた。その音色を聞き、羞恥に拍車が掛かったタヱは真っ赤になり、顔を覆った。
「ああ……っ、いや……!」
「何がいや? ウチは嬉しいけどなぁ。いっぱい感じてくれて。……あぁ、葵鳥……めちゃくちゃ可愛いわぁ……たまらん」
しみじみとそう言って、串蛇はタヱの乳房に頬ずりした後、彼女の股を開かせ、股間に顔を寄せていった。
「っあ……! だ、だめっ……本当にだめよ、ヒメちゃん……っ。それだけは……だめっ……!」
串蛇が今から何をしようとしているのか、察しが付いたタヱは、ふるふると首を左右に振った。しかし串蛇はそれを無視して、ツンと尖らせた舌先を、彼女の肉豆へと伸ばしていく。
「ぅあ……ひぃ……ッ!」
ビリリと背中に、快楽の電流が走り抜ける。だがまだ幾らか余裕があるため、タヱは串蛇の愛撫から逃れようとして身を捩った。しかし──グイ!
串蛇は両手で目いっぱい花弁を押し広げ、その中身を露出させた。
「っ……!?」
ガチガチに勃起し、包皮からせり出した肉芽が露わとなり、桜色した秘肉からどろりと白濁がかった濃い愛液が流れ出してくる。そんな生々しい肉の反応がたまらなく恥ずかしくて、タヱは涙で頬を濡らして叫んだ。
「っ……、いやぁぁあああッ!!」
「……葵鳥、ええの? そない大きな声だしたら聞かれてしまうで?」
「う……ッ!」
『それは余計に恥ずかしい』と、慌てて口を噤むタヱ。しかし串蛇の唇が肉芽を捉え、指先がくちゅくちゅと膣口を刺激すると、耐えようもなく喘ぎが漏れた。
「あぅ……! はっ、あぁ……だめっ……! あっ、くぅン……!」
「ふふ……可愛いなぁ……。だめだめ言うて、ここはもうすっかり……カチカチのぬるぬるや……」
ぷりぷりとした弾力のある肉豆に軽く歯を食い込ませ、そして指先にたっぷりと蜜を絡ませながら、ゆっくりと中へと沈み込ませていく串蛇。空いた手は、優しくタヱの太ももを撫でさすっている。
「ふぁっ……! はっ、あっ、あン……っ、や……はぁあああン……!」
串蛇の丁寧で細やかな愛撫に、どんどんタヱの抵抗感が薄れていく。
(こ……こんなこと、いけないって思うのに私……ヒメちゃんに抗えない……っ。気持ちいいっていうのも勿論あるけど……でもそれ以上に何だか……はっきり物を言うところとか、年上の私をしっかりリードしてくれるところとか……そういうところが、すごくかっこ良く感じられて……)
ドキドキと胸を高鳴らせ、割れ目の内部を舐め擽る串蛇へと視線を移すタヱ。見ると串蛇は恍惚とした面持ちで、懸命に舌を動かし、愛撫してくれていた。
(あぁっ、ヒメちゃん……!)
切なさが胸を突き、それと同時に柔肉がギュッと収縮して串蛇の指を食い縛る。
「んぅ……葵鳥の、ウチの指を離せへんって締め付けてきよる。ああ……ほんま、どれだけウチを夢中にさせたら気が済むんやろな。この子は」
膣肉の誘うような蠢きに舌なめずりして串蛇は、指の束を中へと突き入れ、熱くどろりと溶けた肉壁をすりすりと撫でさする。そうしてやがて、その指先を、内部での性感帯へと到達させる。
「ぅあっ!? ンン……!」
「さて、葵鳥……うんと気持ち良うなってな……?」
そう囁くように言いながら串蛇は、指の腹で掻くようにしながらタヱの弱い部分を責め立てていった。
「やめっ……、あっ、あああっ、あ、あーーーーーッ!!」
叫び、背を仰け反らせるタヱの尿道口からブシュブシュと銀の飛沫が噴き上がる。そのサラサラとした液体を顔面に浴びながら、串蛇は続けて彼女の肉芽を唇で啄んでいく。
「ひぃぃっ、ひ……ッ! やぁああああっっ!!」
膣内で達する最中、肉豆を鋭く刺激され、絶頂に絶頂を重ねていくタヱ。
「ああっ……葵鳥、ウチのでこんなにたっぷり気を遣ってくれて……嬉しいわぁ……」
その言葉通り串蛇は嬉しげに目を細め、引き攣るみたいな痙攣を繰り返す柔肉を続けてこすり立て、小刻みに震えてヒク付く肉の実を、すり潰すかのような勢いで噛み締める。
瞬間、タヱの目の奥でバチバチと大きな火花が散り、彼女は甲高い喘ぎをあげて絶頂の極みへと上り詰めていった。
「あぅっ、ああ……! もうだめ……! あッ……あぁあぁぁぁーーーッ!!」
足の爪先をピーンと伸ばしながら背を仰け反らせ、派手に潮を噴き上げながら果てていくタヱ。深い深い満足感に、彼女は整わない息のまま、ぐったりと身体を弛緩させていった。
「……ぁ、う……、は……ぁああ……っ……」
「葵鳥……よしよし、疲れたやろ。そのままゆっくりおやすみ……」
絶頂の波に揺蕩うタヱの頬を優しく撫でて、そして頬にキスする串蛇。タヱはその優しい手付きにうっとりと目を閉じて、眠りの淵に落ちていった。