血と悪魔(大人悪魔ほむら×大人さやかR18短編集) 作:さんかく@
『今度は貴方がお仕置きして』
そう囁いて悪魔はかばん持ちの下腹部に自らの顔をスライドさせていった――
******
長い年月の間にいつの頃からか、彼女達は「魔が差して」身体を重ねるようになっていた。じゃれるような肌と肌の触れあいから、身体の一部を改変しての生殖行為まで。つい先ほど悪魔によって改変されたさやかの身体には本来無いものが股間に備わっていた。突起した生殖器、つまり男性器が。
「ほむら、ちょ待っ…」
悪魔がそこに顔を寄せてきたものだから、かばん持ち――美樹さやかはは慌てふためいて。だが後ろから頭を叩かれたように、首をがくん、と前にすると「んっ」と声を漏らしながら固く目を瞑った。
やばい――
改変されたそこを、改変した張本人である彼女の舌と指で責められる。抗いがたい快感に襲われ、さやかはシーツを強く掴んだ。
「ん…あっ」
あまりの快感でさやかは喘ぎ声をあげた。固く瞑った目の片方をうっすらと開け、相方の姿を捉える。キャミソール姿の彼女は長い黒髪を乱し、白い眩しい肢体を動かしてさやかの下腹部に生えたモノを咥えこんでいた。ぞっとするほど美しい顔の眉間に皺を寄せ長い睫毛を震わせながら。
「あん…たエッロ…」
さやかが手を伸ばしその艶のある黒髪に触れると、ほむらが反応して目を開けた。アメジストの瞳は熱を帯びていて。
「気持ちいい?」
咥えこんでいたものを離してほむらが上目遣いで囁いた。濡れた唇からみえる赤い舌。
あまりにも妖艶な悪魔の顔にさやかはただ見惚れたまま、こくりと頷いた。
「そう…」
ほむらは目を細め、赤い舌を伸ばして屹立したさやかの先端を軽く舐めた。その瞬間、そこから頭のてっぺんまで一気に電気が走ったような快感がさやかを襲う。
「あ、あっ」
びくん、とさやかの身体が一瞬はねた。ほむらはさやかの屹立していたものから唇を離し上体を起こす。端整な顔にへばりついた液体を指ではらい、はあ、と息を吐いてさやかの顔を睨み、そして失笑する。
「まったく、仕方がない犬ね」
パチン、とほむらが指を鳴らす。同時にさやかの上体がベッドのヘッドボードに押し付けられた。あいたっ、と間抜けな声があがる。ほむらが猫の様に這い寄りさやかの上に跨った。長い黒髪が光を遮りさやかの視界を薄暗くする。耳元でぞっとするほど艶のある声がして。
「今度は貴方「が」お仕置きしてって言ったでしょう?」
「だって気持ち良すぎるんだもの、あんたのく…んっ」
さやかの首筋をほむらが舐めた。そうして白い細い腕をさやかの下腹部へと伸ばし生殖器に指を絡め動かし始めた。固く目を瞑るさやか。ほむらの手の中でソレが再び大きく膨らみ固まる。さやかの首筋を舐めていたほむらが小刻みに揺れる。笑っているのだ。
「ほんと救いようのない馬鹿犬だわ」
ほむらはさやかの肩を抱くと身を捩らせて仰向けになった。今度はさやかがほむらの上にのしかかるような形で上になる。さやかの頭を抱き寄せひと撫ですると、ほむらは耳元に唇を寄せた。
「おいで」
ひどく優しい声だった。
パチン、と音がして、窓のブラインドが一斉に落ちた――。
*****
飼い主においでと言われて喜ばない犬はいない様に、悪魔においでと言われて喜ばないかばん持ちもいない様で。さやかは待てが解かれた犬さながらの勢いでほむらの首に舌を這わし舐めはじめた。そんな犬の様子に口元を秘かに緩めるほむら。苦笑しているようにもみえるその表情はかつて決して浮かべることのなかったもので。
「ほむら」
そう切なそうにさやかがほむらを呼ぶと、応じる様にほむらがキスをした。角度を変えながら何度もキスをして。そうしてさやかはほむらのキャミソールをたくしあげると開かれた両足の間に先端をあてるとそのままゆっくりと腰を沈めた。陰茎がずぶずぶとほむらの中へ隠れる様に入っていく。大きく息を吸うほむら。
「……っ」
ソレが体内に入ってくる時、ほむらはあまり声をあげない。何か言いたそうな表情のまま目を閉じ体を震わせながら侵入を受け入れる。固く閉じられた目に震える睫毛そして何か言いたげに微かに開いたままの口。その瞬間のほむらの表情は扇情的で、さやかは彼女のその顔が好きだった。その時だけは悪魔とか魔獣とか嫌な事全てを忘れてくれているようで。
「…見ないで」
扇情的な声で苦しそうに囁くと、ほむらは顔を横に背けた。気づけばうっすらとその目は開かれていて。さやかは腰をほむらの両足の間に更に強く押し付けた。残りの陰茎がすべてほむらの中に収納されて根元まで押し付けられる。ほむらが顔を反り返らせ身体をびく、びくと痙攣させた。その瞬間だけはほむらも余裕が無くなるらしい。
「さやか…っ」
ほむらが名前を呼んだ。さやかの背中に回されたほむらの手に力がこもり、タンクトップにしわを作った。さやかがほむらの肩に頭を預ける。こちらも余裕は無いらしい。
「お仕置きして…」
さやかは犬の様に呻くと、ほむらの上で激しく動き出した。
****
白いきめ細やかな肌はひんやりと冷たいのに、ほむらの体内は溶ける様に熱い。まるでほむらそのものみたいだ、とさやかは朦朧とした意識の中で思う。一見冷徹なように見えてその中身はとても――
「ほむら…あんたの中…やば」
さやかが堪らず声をあげる。苦しそうにだが目を細めて犬の顔を見つめる悪魔。ベッドの上で二人は激しく絡み合って。互いに息は荒れ、その顔は紅潮していた。あれからほむらの中を何度も出し入れしているが、さやかは奥に突き入れる度に腰のあたりがゾクゾクして射精しそうになるし、ほむらは奥に当たる度に身体がビクン、と痙攣して普段出さない声をあげてしまう。だが耐性は悪魔の方があるようで、次第にその表情は苦しそうなそれから妖艶なものへと変わっていった。
「気持ちいいの?」
「ん?」
「私の中…」
さやかはこくりと頷く、その顔は恍惚としていて。それを見て、くすくすとほむらは笑った。余裕を取り戻したらしい、さやかの肩に置いてあった手を這わしてその腰を掴む。
「じゃあもっとして…」
そう囁いて、ほむらは甘える様にさやかの頭に顔を寄せた。
さやかがほむらの中で果てたのは、それからしばらくしてのことだったー
******
「なんだか疲れたわ」
「大丈夫?」
「貴方がそれ言う?」
う、と口ごもるさやかを横目で見てほむらはくすくすと笑った。
「ほんと犬ね」
そう囁いて、頭をさやかの身体にもたれさせた。
すでに太陽は真上に昇っていて、二人のベッドにも眩しい光が差し込んでいた。二人は横向きになって、さやかがほむらを後ろから抱きかかえるような形でまどろんでいる。互いの部屋着ももうしわくちゃで、シャワーを浴びようにも二人共動く気にもならなかった。しばらくして、何かを思い出した様にさやかはほむらに囁いた。
「ねえ、今朝のあんたって、なんだか様子が少し――」
「変だった?」
「うん、どうして?」
ほむらが顔だけさやかの方に向けて横目で見つめた。切れ長の目はまだ熱を帯びていて。だが何も語らずにまたふい、と前を向いた。気まぐれな猫の様だ。さやかはふう、と息を吐いて思い直したようにまたほむらの頭に顔をのせて目を瞑る。彼女の艶のある黒髪はなんだかとてもいい香りがして。抱きしめている身体はとても柔らかくて感触がいい。ふと、つい先ほどまでの彼女の様子がさやかの脳裏に浮かんで―。
「あ」
さやかが声をあげる。ほむらが何事かと身じろぎするが、何かに気づいたように固まった。ほむらの後頭部を怯えた表情で見つめるさやか。静かだが低い声でほむらが囁いた。
「さやか」
「はい」
「……当たっているわ」
「……ごめん、なんか不可抗力で…」
情けない表情を浮かべてさやかはほむら(の後頭部)を見つめた。そうして、視線を己の股間に移すと心でそこに語りかけた。
――ですよね?
そこにはさやかを見上げているように屹立した男性器があって。最初はそのグロテスクさにさやかも脅威を覚えたものだが、何度も生やされていくうちに次第に見慣れてきたようで。
はあ、とほむらが長い溜息をつく。
「いいわ」
「え?」
ほむらがゆっくりとこちらを振り向いた。その顔は紅潮し目は潤んでいて。
「私も…したいと思ってたから」
そう囁いて、恥ずかしそうにまた顔を背ける。
「だから来て…」
そうして二人は再びはじめた。さやかはほむらを後ろから抱きしめたまま、屹立したものを彼女の奥に向けてゆっくりと挿入していく。
「……っ」
大きく息を吸う音が聞こえ、ほむらの頭が揺れた。顔は見えないが、さっき繋がった時ときっと同じ表情だとさやかは思った。身体をぶるぶると振るわせてさやかの侵入を受け入れていくほむら。ぐちゅっという水音がして奥にあたる。びくん、とほむらの身体が跳ねた。
「わ、すご…」
さやかは気持ちよさそうな声で囁いた。先ほどの余韻の所為かほむらの中はぐっしょりと濡れていたから。中を擦るように抽送をはじめると、ほむらがはああと苦しそうに息を吐いた。それから二人は会話をやめて行為に没頭する。聞こえるのはベッドの軋む音と二人の激しい息遣いだけで。
「………の」
「え?…何?」
しばらくして、身体を揺さぶられながらほむらが何か囁いた。聞き返すさやか。
「…怖かったのよ」
ようやく、彼女がさきほどの問いに答えてくれていることを知って、さやかは息を潜める。抽送はやめなかった。その方がほむらが喋ってくれる、何故かそんな気がしたから。
「貴方が…私のことを…忘れたらって」
「ほむら」
「ふふ…可笑しいでしょ?貴方の記憶を奪ったのは私なのに今は…」
自責の念に囚われているからか、快楽に囚われているからかあるいは両方か、揺さぶられながら喋るほむらの声は泣いている様だった。さやかはいきなり抽送をより激しくする。
「…っ…あ、あ、あ」
ほむらが喘いだ。その後ろで息を荒げながらさやかが囁く。
「あんたは…何も悪くない…」
「…っ……っ」
激しく揺さぶられるほむらの身体。突き上げられるたびに鳴る水音。
「それに私はあんたを忘れたりしないし…もし忘れても絶対に思い出す……」
荒い息でさやかは必死にほむらへと語りかける。ほむらの体内がもたらす快感でさやかももう限界に来ていて。
「だって、私はあんたが‥‥」
さやかがほむらの耳元に唇をあてて、そうして彼女だけに聞こえる様に囁いた。
「さや…か…っ」
ほむらはさやかの名前を叫び、びくん、と身体を反り返らせた。その身体を強く抱きしめてさやかはその体内へ吐精する。ほむらの身体はびく、びくと痙攣し、そうしてしばらくすると弛緩し動かなくなった。どうやら達したらしい。顔が見たい、とさやかは思った。
「ほむら」
名前を呼んで後ろからその頬に手をやると、彼女の手が重なった。ゆっくりと振り返ってこちらを見る彼女の顔はとても――
「なあに…?」
ひどく優しい声で囁かれ、さやかは泣きそうになる。
「なんでもないわ」
「変なひと」
そうして二人どちらともなく顔を近づけて、いつもより長い長いキスをした。
ようやく濡れた唇を離すと悪魔は囁いた。
「もっとして…」
さやかの記憶が再び失われることはほむらにとってとても――
…だがもう怖くない。耳元で囁かれたかばん持ちの言葉を思い出しほむらは幸せそうに目を瞑った。
かばん持ちの身体は翌日まで改変されたままだったという――
END