血と悪魔(大人悪魔ほむら×大人さやかR18短編集) 作:さんかく@
匂わせ増しましなのでこちらに
「さやか…さやか」
「ん?……あ、おはよう、あいたっ」
相方の声で目を覚ました途端、パチン、とさやかは額を叩かれた。
もう…なんなのよ、と呟きながら、さやかは視線を相方に向ける。恐ろしいほど美しい黒髪の相方が、目を細めてこちらを見下ろしていた。長い黒髪がさやかの顔にかかって。
「…貴方って、ほんとう犬ね」
「へ?」
ほむらはさやかの疑問には答えず、ため息をつきながら囁いた。左耳の紫のイヤリングが光る。朝早いというのに珍しく、彼女は私服に着替えていた。
「買い物に行くわよ、今日一日は付き合ってもらうわ」
そうだ、とさやかは思いだす。ホワイトデーのお返しにさやかは彼女の言うことを何でも聞くという約束をしたのだった。
「ああ、うん…わかったわ」
気恥ずかしそうにさやかは頷く。無理もない、さやかはベッドの上でシーツにくるまって先ほどまで眠りについていたのだ、生まれたままの姿で。相方はばっちりと外出準備も整っているというのに、こちらは丸裸、気恥ずかしいことこの上ない。思わずシーツの中でもぞもぞと丸くなる。その動きが滑稽だったからか、黒髪の友人はフ、と一瞬笑みを浮かべた。
「あら?ご主人さまに裸を見られるのがお嫌なの?あんなに夜は激しかったのに?」
「ば!ち、違うわっ、け、けど、なんかこのシチュだと恥ずかしいじゃないっ…!」
シーツから顔だけ出して、蒼い髪の女性は叫ぶ。顔は真っ赤だ。20代中盤だというのに、彼女のこのような仕草は出会った頃と全然変わらない。恐ろしいほど美しいその容貌に、ほむらは苦笑を浮かべた。
「馬鹿ね…」
そうして、さやかの身体の上に覆いかぶさると、ゆっくりとほむらは細い白い腕をさやかの首にまわした。さやかの頭を上から抱きかかえる。普段なら決してしない優しい彼女の仕草にさやかは顔を赤くした。
「ど、どうしたのよ、あ、あんた…妙に優しくない?」
「別に普通よ…?」
そう言って、気持ちよさそうに目を瞑りほむらはしなだれてくる。ほむらの服から微かに薔薇の香りがし、心地よさにさやかも目を瞑る。こちらはまた眠りにつきそうだ。ほんの数秒ほどそうしていただろうか、ほむらが口を開いた。
「結構良かったわよ、貴方」
「へ?……」
「夜のことよ、あんなに激しく頑張るとは思わなかったわ、下手くそなりにね?」
「わわ、は、恥ずかしいから言わないでっ!」
くすくすとほむらは笑いだす。そうなのだ、主人の命令になんでも従うということで飼い犬は深夜からそれはもう頑張った。もちろん主人は終始余裕綽々であったが。
「あら、私が眠りにつくまで、ずっと私の上で盛っていたワンちゃんに言われたくないわね」
「そ、そんなに私盛っていたなんて!そ…あ?」
ほむらが面白そうに目を細めて、人さし指を下に向ける。不思議そうに視線をそこに向け、
そうして、さやかもやっと気付いた。自分の身体の変化に。みるみる顔が青ざめる。
「ようやく気付いた?発情犬さん?」
「うわあ…もう」
さやかが唸りながら頭を抱えるのを見て、ほむらはやれやれという様にため息をついた。口元は面白そうに緩んだままだ。
「朝、貴方を起こそうとしたら、そっちが先に「起きてた」わ」
「…っ、仕方ないじゃない!こ、こういうものみたいなのよ、てか解除してよ!」
パチン、と器用にほむらがさやかの額をまた叩く。
「あら、開き直り?シーツの膨らみを見た時の飼い主の気持ち、貴方におわかり?」
「ご、ごめんなさい」
神妙に謝る駄犬に、溜飲が下がったのか、ほむらは妖しく微笑むと、さやかがくるまっているシーツを乱暴に掴んだ。慌てて抵抗するさやか。
「え、ちょ、やめてやめて!」
「だめよ…どうなっているか確認させてもらうわ、ほら、見せなさい」
ほむらがシーツの中を覗き込もうと、顔を近づける。ひい、と声をあげるさやか。
「嘘!待って!やめて!見てもなんにも得にならないわよっ!」
情けない悲鳴をあげてさやかは必死に抵抗する。まるでみの虫がもぞもぞ動きまわっているようだ。その情けない仕草にとうとうほむらは笑った。笑いながら、さやかにもたれかかる。
「ほんと…しょうがない馬鹿犬」
そうしてゆっくりとほむらはベッドへ上がる。蒼い犬に覆いかぶさると主人は数回頭を優しく撫でた後、囁いた。
「ほら、早く済ませないと、買い物に行けないでしょう?」
こく、と犬は顔を赤くして頷いた。
今度は抵抗無く、シーツは剥がされた。犬の肢体を満足気に主人は見下ろすと、黒髪を掻きあげ、ゆっくりと犬の下腹部へ顔を近づけていった…。
* * * * *
温かい日射しの中、数名の子供達が、さやかとほむらの前を元気いっぱいに横切る。
それを見て、目を細めるさやか。「飼い主」は、横からそれを面白そうに見上げ囁いた。
「あら、貴方だいぶすっきりした顔しているわね」
「うっ…も、もう…」
そっぽを向くさやかの腕を掴み、ほむらは悪戯っ子のように目を輝かせ囁いた。
「誰のおかげかしら?」
「…あ、あんたのおかげよ…言わせないでよ、もう!」
フフフ、とほむらは満足そうに笑った。
先ほどまでの飼い犬の煽情的な痴態でも思いだしているのだろう、くすくすと笑い、もたれかかる。当の蒼い犬は顔が真っ赤だ。
休日を前に賑わっている見滝原市のショッピングモールを二人は寄り添って歩いていた。
さやかの左手には大きな紙袋。ほむらの購入したものだ、どうやら今日一日は鞄持ちらしい。
「…あんたってほんと嬉しそうね」
「だって買いたいものがたくさんあるもの」
微笑む相方につられ、さやかも微笑んだ。
黒髪の相方がそれはもう嬉しそうに買い物をする姿を見て、さやかはもっと早くに付き合ってやればと後悔した。道行く人が、時折、こちらを凝視するが、今日は特にさやかも気にならない。いつもの通り、黒髪の相方に見惚れているのだろうが、今回はその相方が珍しく楽しそうに微笑んでいるのを見て、さやかも嬉しいのだ。他人の事など気にしていられない。
「ねえ、さやか次はここよ」
「え…ここ?」
相変わらず嬉しそうな表情の悪魔と、ちょっと困ったような顔のさやか。そこは高級ブランド品の店だ。どうにもさやかは気遅れしてしまうが、相方は構わず店へと入っていった。
「うひゃあ…綺麗ねえ」
思わずさやかは感嘆のため息を漏らす。
店の外側もそうだが、内装もまた、上品で美しい。「本物」の客を選ぶ店とでもいうべきか。
「いらっしゃいませ」
「あ、どうも」
まるで礼服のような制服を着こなしたスタッフが、優雅に礼をする。思わずさやかは敬礼しそうになり、慌てて頭をこくりと垂れた。
美しい悪魔の方はというと、優雅に手で挨拶に答えながら、堂々と店の奥まで入っていく。元々高級ブランド品が好きで、この手の店に馴れているのだろう。彼女の立ち居振る舞いは堂に入っていた。後ろからさやかはおずおずと付いていく。まるで臆病な執事になった気分だ。
にしても本当に――とさやかは黒髪の相方に見惚れる。彼女はこのような「場」に相応しいのだろう、その仕草や美貌から醸し出す品位は、この店の物を纏うにふさわしいとさやかは思った。店員もそう思っているのだろう、その慇懃無礼な態度は、ただのサービスでは無いとさやかは感じた。
――われながら、うちの相方は見事なものだわ
純粋にそう思ってしまう。さやかの口から出るため息も、賞賛と賛美のものだった。
「これもいいわね」
ほむらの視線を追って、背後からさやかが品物を覗き見る。数秒後、さやかの目がぱちくりと人形のようにまばたきした。どうやら見慣れないほどの零の多さからだろう。漫画の登場人物のように、目をこすって、再び同じものを見る。そうして、何かをあきらめたかのように、うん、とひとり頷いていた。
新進気鋭のデザイナーが作ったアクセサリーコーナーで、ほむらは歩を止めた。どうやらここで品定めをするらしい。ほむらの真剣な横顔を見て、ついついさやかはそっちに見惚れてしまう。どうやら飼い犬にとっては、高価なアクセサリーよりもご主人様の方が美しいらしい。
「決めたわ」
そうして、ようやくお気に入りを見つけたのか、ほむらは満足そうに頷くと、店員に合図する。さやかをちらりと見て、嬉しそうに微笑むほむら。つい、さやかもつられて笑う。だが、さやかがへらへら笑えるのもここまでだった。
悪魔は店員に囁くのだ。
「支払いはあの人が」
――この悪魔!
それからのさやかは、ただ、カードを持つ手が震えないようにするのが精いっぱいだった。
* * *
はあ、とさやかはため息をついた。
「あら、どうしたの?何かご不満?」
「…いいえ、別に、それより、あんたそれ似合うじゃない」
先ほど、ご主人さまが所望して、飼い犬が購入した高級ブランド品は、悪魔の手首に装着されていた。
「フフ、当然よ」
そう言って左腕を自慢げにさやかの眼前へかざす。そこにはシンプルだが上品に輝くテニスブレスレットがあった。新進気鋭のデザイナーの作品だ。さやかはきっとこのデザイナーの名前は忘れることはないだろう。
「貴方が買ってくれたもの」
上目遣いで寄りかかられて、そうして嬉しそうに微笑まれる。
急に胸を締め付けられたようになり、さやかは何も言えなくなった。
「…どうしたの?」
「え、いやなんでもないわ…ただ」
なんだか切なくなったのだ。
もしかしたら、彼女は今まで人からプレゼントをもらう機会があまりなかったのではないだろうかと。だからこそ、こんなにも喜ぶのだと。
ほむらの孤独のほんの一部を垣間見たような気がして、さやかは胸が痛くなった。
欲しい物があるなら、買ってあげよう…(財布の許す限り)とさやかは思った。
「ほら、次行くわよさやか」
「え、あ、うん」
さやかの気持ちを知ってか知らずか、悪魔はまた楽しそうに微笑んで、さやかの手を引っ張った。
* * *
妙に機嫌のいい、バイト先の上司をため息混じりで大野は見つめた。
「店長?」
「ん?なんだ大野?」
店長と呼ばれた壮年の男、村岡は口元に笑みを浮かべながら大柄な若い男に視線を向ける。
「それ、棚卸するっていってたやつですよ」
男が指差したのは、村岡が手にしている缶詰のドッグフード。確か賞味期限が切れているため棚卸するやつを、あろうことか店長である村岡は棚へ戻そうとしていた。
「おっ、うっかりしてた」
慌てて缶詰をまた箱に戻す。
はあ…と大野はまたため息をついた。
ここは見滝原市のショッピングモールにあるペットショップ。
店長である村岡は脱サラして、このペットショップを経営していた。なんとか経営も軌道に乗りかけていたが、そろそろ店をたたんでのんびりしたいと思った矢先、ある「お得意さん」が現れたのだ。
鼻歌を歌いながら、棚から缶詰を下ろしている壮年の男を大野は見つめる。店長である村岡は現在、「お得意さん」に夢中だ。大野もまた同様だが、自分の父親くらいの男がまるで思春期の男の子のように舞い上がっているのを見て、なんだかそちらの方が心配で気が気でない。人は自分よりも同じモノに夢中になっている者を見ると、意外と醒めるものなのだ。
「お得意さん」は女性であった。しかも、この世のものとは思えないほどの恐ろしい美貌の持ち主で。時折ふらりと店を訪れては、新作のリードやら、犬の餌を嬉々として買いあさっていく。
…一体どんな犬を飼っているのだろう?
大野はそこがかなり気になった。ああいう美しい女性に可愛がられている犬なんて、一体どういう種類だろう?レトリバー?プードル?いや、意外とブルドッグとか…。
カラン、とドアの開く音がした。
* * * *
「おおお、いらっしゃいませえ!」
思わずさやかはびくっ、と体を強張らせた。
壮年の男が両手を組み、大げさに振りながらこちらに向かってくるのだ。店の主人だろうか?エプロンの可愛らしい犬の顔が妙に印象的だ。
「あら、相変わらずね、儲けてる?」
商人のような台詞を囁きながら、ほむらが髪を掻きあげた。
へへえ、と嬉しそうな声をあげながら、男は何度もおじぎをして愛想笑いしている。
――な、なによ、すごいお得意さまになってるじゃない!
まるでコントのようなやり取りに目を白黒させながら、さやかはただ二人を呆然と見ている。ペットショップでこのような好待遇を得られる客って、なかなか…いや、この悪魔以外ない。と、さやかは視線を感じ、店の奥を見た。…若い男だ。じい、とこちらを見ている。ドライドッグフードの袋を持ち、店長らしき男と同じエプロンをしていることから、バイト生だろうとさやかは思った。
「…?」
不思議そうにさやかが男の方を見ると、男ははっ、と何かに気付いたように驚きの表情を浮かべ、そうして手に持っていたドッグフードの袋を落した。顔をしかめるさやか。
――なんなのよ、このペットショップ!
慌てて、男――大野は袋を持ち上げる。その表情はいつになく真剣で、切羽詰まっていた。
大野は思いだしたのだ、村岡と黒髪のお得意さんの会話を。
『ところでお客様はどのような犬をお飼いになっているので?』
『あら、私の犬のこと?』
冷淡と言えるほどのクールビューティ―なお得意様が、この時だけは嬉しそうに微笑んで。
『蒼い犬を飼っているわ』
――蒼、蒼って…まさか!
大野は何故か直感で、目の前の蒼い髪の女性がお得意さんの「犬」ではないかと思った。
くだらないと思うだろうが、一度そう思ってしまうとなかなかその疑惑は大野の中で晴れず。ぐるぐると頭の中で、お得意さんの台詞が浮かぶ。
『このドッグフード、人でも食べれるの?』
『この首輪の大きさなら、人でも大丈夫?』
『もう少し大きい服があればいいのに…え、そうよ人が着れるくらいの…』
あわあわ、と大野は口をぱくぱくさせる。そうなのだ、時折発せられる、お得意さんのとんちんかんな質問。あれは対人間用だったからでは…?
そうして、不躾にも、憐れみと同情の目を大野は蒼い髪の女性に向けた。
――何、あのバイト生私をガン見してんのよ!
怪しい店内の様子に顔をしかめながらも、さやかは相方の方に向き直る。ほむらは嬉しそうに店長らしき男と話していた。営業や交渉の腕は確かなのだろう、どういう理由であれ、ほむらがこのように買い物で店の者と楽しそうに会話するのは中々ない。
「それで、今日はこれはいかがです?新作ですよ」
「あら…いいわねえ」
村岡が手にしたのは、犬の餌皿――フードボウルだ。鮮やかな蒼い色。まんざらでもなさそうなほむらの背後で、さやかがひきつった表情を浮かべた。
「確か、蒼い犬をお飼いになられていたのでは?」
「ええ、そうよ」
嬉しそうにほむらは微笑み、背後にいるさやかの腕を掴んで、引き寄せた。うわ、と言いつつ、ほむらにもたれかかるさやか。
「今日は連れて来たわ、この犬よ」
「ちょっ…」
影で目を見開く大野と、店長の村岡。
次の瞬間、大野は村岡という男の非凡な営業の才能を目の当たりにする。
「いやあ…これはまた立派な毛並みですねえ!」
「嘘っ!ちょっと!」
満面の笑みの村岡とひきつった顔の蒼い髪の女性。あまりにタイミングが絶妙で、大野は思わず吹き出す。嬉しそうな飼い主。なにひとつかみ合わないが、どうやら円満に事は進みそうだ。
* * * * *
「ふふふ…面白かったわ」
家の白いテーブルにほむらはペットショップの袋を置く。どうやらまた大量買いしたらしい。あの蒼いフードボウルが袋から見てとれる。
「面白かったけど、何か複雑だわ」
「あら?何かご不満?」
「あ、ううん、そうじゃないけど、ほんと犬になった気分…」
あの後のペットショップ内は見ものだった。さやかの「毛並み」を褒めたたえる村岡と、面白そうにいろいろな商品を取ってくる若い男。どうやら大人のユーモアというかジョークなのだろう、ものすごく楽しく時は過ぎて行ったのだが…。
「あら?貴方人間にでもなったつもり?」
「ええっ、ちょっとお!」
歯を見せて笑うほむら。どうやらからかっているのだろう。相方が楽しそうなので、さやかも悪い気はしないのか、それ以上この話題には触れなかった。そのほかの大量な買い物袋の片づけに入る。10年前、無機質だったこの家がだんだんと物に溢れかえっていく様はなんだか嬉しい。
「ねえさやか、明日は午後から出発だけど、大丈夫?」
「え、もちろんよ、ちゃんと年休もらったから」
「そう」
何気ない会話も、何故か嬉しいのは明日の旅行が楽しみだからか。
「ほむら」
「何?」
「楽しみだね」
「……ええ」
ふ、とほむらは口元を緩め、さやかを軽く睨む。そうなのだ、お互い会話の内容はもはや問題ではなくて。会話は単に、互いの身体に触れるように、心に触れるための手段。
ならば今度は身体に触れようと、ほむらは白い手を伸ばし、相方の腕を掴む。
「でも、ちょっと寂しいわ」
「どうして?」
時計を見れば、もう21時。
「貴方がなんでも言うことを聞いてくれる日が終わるから」
「何よ、それ…」
吹き出すさやか。そうしてさやかは思いだす。今日渡すために作っていたあるものを。
「ねえ、ほむら、ちょっと…」
「?」
そのまま二人仲良く台所へ。
「実は手作りだけどあんまりうまくできなくてさ…」
照れくさそうに忠犬は笑って、白い棚から袋を取り出す。可愛いけど不器用なラッピング。黒髪の美女は、ただそれを見つめるばかり。
「はい、ホワイトデーのクッキー…見た目は悪いけど美味しいよ…?」
伺うように見つめる犬の蒼い瞳は、黙りこくった主人を映していて。
「ほむら?」
「…反則だわ」
「へ?」
ぐい、とすごい力で犬は抱き寄せられる。犬の耳元で、囁く美貌の主人の声は、それはそれは甘い妖艶な声で。
「…あと三時間は、貴方は私の奴隷よね?」
そう言うと、優しく犬を抱きしめ、床に倒れ込む。アメジストの瞳は妖艶にゆらゆら揺れて。
「始めましょう、さやか?」
「う、うん…」
主人の勢いに飲まれながらも、こくり、と神妙に頷く忠犬。
そうして二人は台所で深夜の続きを再開した。それはもう激しいもので。
会話はもはや無くなって…ただ身体と心を触れ合う二人。
「それ」が終わるのは深夜もとっくに回った頃だったという。
END
悪魔さんは場所も選ばないほど喜んでくれまして、飼い犬を好き放題しちゃいました。
翌日の蒼い犬は旅行に出発するまで、うまく立てなかったとか…。
翌日の旅行話はこちら
https://syosetu.org/novel/30242「ほむら旅行する」