誠に遺憾の意ってやつだけど、これから先の話をするには一人…どうしても説明しなきゃならない奴が居るんだ
コイツがまた嫌な奴でね
いっつもお姉ちゃんに付き纏ってさ
僕が何を言おうがどこ吹く風で僕がお姉ちゃんに抱き着いたりしたらすぐに邪魔してくるし…
しかも、なにが気に喰わないって僕程じゃないけど頭がキレて、運動とかも出来る方だったんだよ
それにあの馬鹿、お姉ちゃんがアイドルになったの見て女の子だって嘘までついて同じグループに入っちゃったんだ
信じらんないだろ?ホント、とんだストーカー野郎だよ。
でも、亜藍の奴だってお姉ちゃんにとっては大勢の内の一人でしかなかったみたいでさ
高校に上がってお姉ちゃんがアイドルを始めた時も、それからも…ずっと付き纏ってた亜藍なんか相手にしてなかった。
僕は心底安心したよ
亜藍はお姉ちゃんのトクベツじゃないんだってね
だから…僕は安心して計画を進められたんだ。
僕がお姉ちゃんのトクベツに成る為の最終段階
それはね、豚共を殺す事だったんだ。
父親の方は…もう言うまでも無いかな?
母親の方は…まぁこれが救いようのないクズでね
自分の旦那が娘をレイプしたって知って一番最初にしたことがお姉ちゃんの顔を殴って左目を失明させる事だったよ。
お姉ちゃんがあの豚を誘っただとかなんとか言ってさ…
本当に、あの時僕が側に居れば絶対にぶっ殺してやったってのに…!
…………でも、そこまでクズなら僕だって大手を振ってぶっ殺せる
そして、お姉ちゃんの幸せを邪魔する豚共をぶっ殺した僕はお姉ちゃんと結ばれて…お姉ちゃんは僕だけを見てくれる。
そんなハッピーな未来予想図、その為のインク代わりってとこかな
僕とお姉ちゃんが高3になった冬、僕は豚共を撃ち殺した。
ん?どうやって拳銃なんて手に入れたかって?
おいおい、僕を馬鹿にしないでくれよ
あんなモノ、買うだけで足がつくじゃないか
自作だよ、ほら…ちょっと前に3Dプリンターで拳銃作ったヤツが逮捕されてたろ?
近距離の人間を撃ち殺す事だけを考えるなら存外難しい事じゃない。
それこそ大昔の火縄銃とかで言えば機構の複雑さって面では自転車とかの方がよっぽど複雑に出来てるんだ
極々単純に言えば金属製の弾と火薬、それに片方が塞がった筒さえ有ればいいワケだからね。
極論、パチンコ玉と花火とかから採れる火薬に鉄パイプ…これだけでも当たりどころが悪ければ死ぬんじゃない?
まぁ、流石に僕はもう少し凝ったモノを作ったけどさ
そんなこんなで僕お手製の拳銃は無事に暴発もせずに僕とお姉ちゃんの生物学上の両親をぶっ殺した。
僕のお姉ちゃんを散々傷付けたんだ、生かす筈ないだろ?
忘れもしないよ…二匹を殺したのが12月24日の午後3時52分16秒78
そこから僕はひたすらお姉ちゃんを待った。
その日はコンサートの日でさ…お姉ちゃんのコンサート、勿論観たかったけどグッと我慢したよ
なにせ、僕とお姉ちゃんとの記念日なんだ…使い古されたものでもやっぱり凝りたいじゃないか
そして、4時間22分54秒13後に漸くお姉ちゃんは帰ってきた。
いつもの聞くだけで笑顔になっちゃう声でただいまーって言いながらゆっくり近付いてくる足音に僕は心臓が口から飛び出ちゃうんじゃないかって心配しながら待ったよ
そして、お姉ちゃんが扉を開けた。
最初、お姉ちゃんは豚共を見て少し硬直したんだ
当然さ、日本程治安の良い国で死んでる人間なんて見る機会無いからね
だから、僕はお姉ちゃんを抱き締めて安心させようとして──
逆に、思いきり抱き締められたんだ。
お姉ちゃんは僕を抱き締めながらボロボロ泣いてたよ
あの豚共に僕が何かされたんだろうとか怖かったろとか一緒に居られなくてごめんだとか…
僕はそれを聞いて、足元から崩れ落ちそうだったよ
分かるだろ?そう──お姉ちゃんは、自分をレイプした豚と散々虐待してきた豚を
だからこそ、最初に出たのが僕を心配する言葉だったんだ
どうしよう、どうすれば…そればっかりが頭の中を巡ったよ
勿論、僕だって馬鹿じゃない。
お姉ちゃんがどういう反応をするかを予想して42通りのパターンを練ってた…でも、それは全部お姉ちゃんがあの豚共を憎んでる事が前提だった。
そこだけは覆らないと思ってさ…
だから…僕は賭けに出ざるをえなかった
僕はなんとか涙を流して震えながらお姉ちゃんに抱き着いてこう言ったんだ
「お父さんが僕をレイプしようとして…仕方無く撃った」ってね。
勿論、なんで拳銃持ってんだとかに突っ込まれたら終わりさ
賭けとも言えない杜撰な方向転換…でも、僕は必ず成功すると思ってた
何故って?決まってる…お姉ちゃんは僕の言葉を絶対に信じてくれるからさ。
普通の人間なら疑ったり探ったりする場面でも、お姉ちゃんは僕の言った事を聞いて…ギュッと僕を抱き締めてくれたんだ。
「俺がなんとかするから」…って言って僕を抱き締めながらお姉ちゃんはずっと僕を励ましてくれた。
怖かったろ、もう大丈夫…お姉ちゃんがついてるからなってさ
当初の予定とはかなり変わっちゃったけど…コレはコレでありだと思ったよ。
大きな秘密を持った僕達はこれから二人で一つの運命共同体
僕は晴れてお姉ちゃんのトクベツに成れる…
でも、そこで気付いちゃったんだ。
お姉ちゃんの左手に嵌められた指輪に
おかしいな、こんなの今朝出て行く時には着けて無かったのに
お姉ちゃん、こういうのはあんまり好みじゃ無かったのに
でも…気付いちゃった───コレ、亜藍の指輪だ。
亜藍が嵌めてた指輪をお姉ちゃんは薬指に着けてた。
ストンと、座り込んじゃった僕にお姉ちゃんは心配そうに言ったよ
「大丈夫、あー君も一緒だから…これからは三人で暮らそう」
僕は、お姉ちゃんの
そこはもうとっくに埋まってて…
お姉ちゃんと二人じゃなきゃダメなのに、三人じゃダメなのに
でもね…本当は三人ですらないんだよ
二人ともう一人…僕は、オマケなんだ
それに気付いた僕は…お姉ちゃんの
痛くないように薬で眠らせてから、感染症にならないようにゆっくり皮を剥ぎ取った。
亜藍なんか…僕以外の人間なんか、皆お姉ちゃんを顔でしか見てないんだ……!!
なのにお姉ちゃんはそんなのをトクベツになんかして…
だから、僕はそれを証明した。
お姉ちゃんの携帯を使って、亜藍を呼び出した。
お姉ちゃんと同じ髪の色に染めて、お姉ちゃんと同じ声音で亜藍と喋ったよ
お姉ちゃんが豚共から受けた事を全部亜藍に打ち明けて、だから殺したんだって…一緒に逃げてくれないかって
僕は泣きながら亜藍に訊いたんだ。
亜藍は、ゆっくり僕を抱き締めて…
「辛かったな、大丈夫だ」って言ってさ。
アイドルやってた貯金があるから、お前だけは…俺が助けるからって
それを聞いて…僕は心底思ったよ
辛い過去があったから?
どうにもならない現実?
お前の中のお姉ちゃんは──そんな事で人を殺すのか
お前はお姉ちゃんをたかがその程度で人殺しにするのか
やっぱりこいつは何もわかっちゃいないんだ
お姉ちゃんの事を何もわかってないこいつが
だから…僕は亜藍を抱き締めながら、ゆっくりとお姉ちゃんが居る部屋まで向かったんだ。
扉を開けた瞬間、亜藍は目を見開いてたよ
だから…僕は亜藍の頭を思いっきり殴りつけた。
手近にあったスパナでね
でも…あいつは死ななかったんだ。
人間って案外頑丈に出来てるよね…
でも、僕はラッキーだと思ったよ…これでお姉ちゃんに証明出来るんだってね。
お姉ちゃんに使ったクスリが切れてお姉ちゃんが起きる頃には亜藍も意識を取り戻しててさ。
お姉ちゃん、最初は何が起こったか分からないって顔してて…
でも、こっちを見た瞬間にとっても驚いてたよ。
両手両足を縛った亜藍の上に、僕が乗ってるだけなのにね
お姉ちゃんに見てもらおうと思ったんだ…
亜藍が本当にお姉ちゃんのトクベツなら…僕とのセックスでイクなんて事無い
亜藍の想いが本物なら、それは性欲なんて陳腐なものじゃない筈だろう?
たから、僕の粗末な膣内でなんか射精するわけない。
だから…僕はお姉ちゃんの眼の前で亜藍を犯したんだ
ハジメテだったさ…血だって出た。
亜藍は、最初こそやめろとか何考えてんだとか言ってたけど僕が上で腰を振ってると徐々に息が荒くなってさ
やっぱり、コイツの垂れる愛だのなんだはただのおべんちゃらに過ぎなかったんだ
僕のお姉ちゃんを騙すなんて…こんな悪い奴は死んだ方が良い
僕はお姉ちゃんの眼の前で亜藍の射精を受け止めて
お姉ちゃんの眼の前で、亜藍の首を絞めたんだ。
動物的な繁殖本能ってヤツなのかな?
亜藍は死ぬまでに僕の膣内で2回出してから、動かなくなった。
挿入してた性器も萎えて勝手に抜けてさ…糞尿が勝手に出てきてた。
ああ、やっと邪魔者が消えたんだって…僕は嬉し涙まで流したよ
だから、お姉ちゃんが眼の前に立ってる事に気付くのが遅れた。
お姉ちゃんが寝てる間に腕を縛ってたんだけど…
やっぱり姉妹だよね、お姉ちゃんは縄を引き千切ってた。
僕は…まぁ、どうなるか何となく分かってたさ
ここまでやったんだ…お姉ちゃんはきっと僕を拒絶する
もしかしたら殺すかもしれない
でもね……それでも良かったんだ。
お姉ちゃんが僕を拒絶しようと…それこそ殺そうとも、お姉ちゃんの中に刻み付けられた僕は消えない
僕は…お姉ちゃんの
でも、お姉ちゃんは僕を抱き締めた
ゆっくり、ゆっくり抱き締めて…泣いてたよ
気付いてあげられなくてごめんって
辛かったね、苦しかったね…ごめん
…………違うよ、僕が言って欲しかったのはそんな事じゃない
僕は!お姉ちゃんに謝って欲しいワケじゃない!!
なんでお姉ちゃんが僕に謝るのさ!?
僕はお姉ちゃんの顔を剥がして!恋人を犯して!!そして眼の前で殺したんだぜ!?
恨めよ!憎めよ!!僕だけを──僕だけを見てよ!
そんな、そんな……普通にしないで!!
僕を……
でも…お姉ちゃんは、僕の顔を胸に埋めながら…ゆっくりと言ったんだ。
「俺が…やったんだ
だから全部俺がやったんだ
だからさ……悪い奴は死なねぇとな」
お姉ちゃんは、僕の作った銃で自分の頭を撃ち抜いた。
僕の
結局、僕は最後までお姉ちゃんの
………これで僕の話はおしまい、ご静聴感謝するよ
さて、そろそろ時間だね
ん?なんの時間かって?
……お姉ちゃんの死んだ時間さ
言ったろ?僕、結構こういうのは凝るんだって
まぁ、あの人と違って僕は悪い人間だから…同じ所には行けやしないだろうけどね
だから…せめて、僕の死体は鳥とかに食べてもらいたいなぁ…
鳥葬ってヤツだよ。
僕はお姉ちゃんの所に行けないから、せめて僕の身体だけは
死体は──空に還るんだ
バイバイお姉さん、君は僕みたいになっちゃダメだよ
そう言って、彼女は軽く飛び降りた。
下からの音が聴こえないくらいに高い筈なのに、いやに鮮明に彼女の潰れる音が響いた。
そして、彼女の最期の言葉も
それが謝罪だったのか、愛の告白だったのか、はたまたどれでもない何かだったのか…それは私にはわからないけれど
きっと…彼女の恋は、これで終わった。