天路々天音
名前の由来は天路々→天への路→天へと立つ藍染惣右介の道標
天音→天からの音→物語を識る現実世界の住人からのアドバイス
まず始めに、作中における彼女の行動は全てが偽りの無い本心からの行動である。
周りの全てに幸福になって欲しいというのも嘘偽りの無い本心であるし、その為の行動も全力で遂行している。
しかしながら自身の
多くの人間に囲まれながらも誰よりも孤独だった彼女はそれを当然の事だと理解しながらもいつの日か自分を見てくれる誰かを探していた。
今回、亜藍青は彼女の本質を暴いたが彼女を見る事は無く理解しようと歩み寄る事も無かった。
しかし、その原因はやはり天音が作っているために自業自得であり本人もそれを理解したうえで諦観している。
都合の良い奇跡も、運命の出逢いも、ハッピーな結末も自身にもたらされるものでは無いという確固たる確信すら持っておりその本性は作中でのノー天気な楽天家ではなく悲観的な厭世家。
全ては自身の思う通りに動き、その想定を超える事は一切無い
そんな日常こそが彼女の18年間であり、周囲への期待も希望すらも抱かない無感動な少女を作った要因である。
それでも彼女が破滅的思想を持たず善人たらんと行動し続けたのは天性の善性故であり、彼女は生涯自身のエゴを持つ事は無かった。
自身というものを全くと言っていいほどに持たず、ただ周囲へ無償の愛と庇護を振り撒く彼女はただ其処に居るだけで周囲の歯車を狂わせる。
人間とは常に他者と比較し生きる生物である
そして、彼女の周囲の人間は否応なしに彼女と自身を比較する。
彼女の真球が如き心は常に周囲の人間に自身の不足を突きつける。
自身の欠点を無理矢理に自覚させ、晒し上げられ続ける彼女の周囲の人間は例外なく狂ってしまう。
結果として、彼女の周囲の人間は二つのパターンに分けられる
一つは彼女を愛し、崇拝する
一つは彼女を憎み、敵対する
この不可逆にして絶対の性質は彼女におおよそ友と呼べる存在を赦さず、彼女へ孤独を強いた。
勿論、彼女にはそれら全てを無視して恋人や友人を作る事も可能であったが彼女は最期までそれをしなかった。
意のままに人を操り、周囲を否応なしに狂わせる稀代の天才はしかしその全てを善行へ費やし最期まで誰からの理解も愛情も求めずに一人でその生涯に幕を引いた。
天路々琴音
名前の由来は琴音→琴の音→琴は爪で弾く事で音を出す→爪弾きにされる事で音を上げる
作中の彼女は語り手として登場したが、これはミステリー等で言われる信頼できない語り手というものであった。
本当の彼女は万能の天才ではなく、自身の異常性故に周囲へ溶け込めず孤独を恐れる少女である。
致命的なまでのコミュ障と絶望的な話術の低さはそのまま彼女の対人経験の少なさに直結する。
幼い頃より天才と持て囃された彼女は、しかしてただ友人を求め一人で泣き喚く幼い少女であった。
サイドストーリーのラストで触れたように、彼女にとっての亜藍青とは自身の孤独を癒す唯一の友人であり彼女の世界を色付けた仄かな想い人であった。
もし、もしも亜藍が両親を殺害する前の彼女に告白していたとしたら間違いなくその返答はイエスであり天音の死ももう少し先延ばしになっていた。
そして、孤独で無くなった彼女はきっと愛する姉の死すらも二人で乗り越えていただろう。
亜藍青
名前の由来は亜藍青→あ、い、おしか無い→う、えが無い→コイツより上は無い
サイドストーリーの語り手として登場した
唯一天音の本質に気付いた人間であり、人を見るという点に関しては異常とも言える洞察力を持つ。
しかしその性質により周囲から避けられた彼もまた孤独を抱えていた。
もう一つの本編では彼は常に天音を思い、味方し続けているように見えるがそれはあくまで天音を死なせない為であった。
天音とは敵対する事自体が既に敗北である、という事実を理解した彼は天音の意思を汲み取り常に味方をし続ける事で彼女に死を選ばせないよう努めていた。
しかし、唯一天音の本質を看破した彼ではあるが決してそれは彼の聡明さを意味しない。
彼が優れているのはあくまでも人を見抜く力であり、天音のように人を意のままに操る事も出来ず、琴音のように事前に策を巡らせる事も出来なかった彼は結果として最悪の事態を引き起こした。
理解者を求める天音に中途半端な理解を見せ、側に居てくれる誰かを求める琴音に最後まで側に居続ける事が出来なかった。
彼は確かに察しが良く、頭の回転も悪くは無い
しかし、彼の求める結果を望むには彼はどうしても無力で浅慮であった。
もし、もしも彼が天音を受け入れその孤独を癒せていたならばきっと天音は自身のデストルドーを跳ね除けて初めて笑う事が出来ただろう。
そして、大切な琴音の為に暴走しないように適度にいなしつつ初めて自分の為に何かをする天音を見れていただろう。
要はザエルえもんが悪いよ…悪い男だぜ……
伏線紹介
本来ならば伏線を作者自ら解説するなど大紅蓮氷輪丸ですが、今回に限り解説する事で皆様の心を折れると確信したので少々お付き合い下さい。
執拗にこすられたワンピースネタ
掲示板形式という事で天音のモノローグはほとんど出さずに済んでいたのですが、どうしても構成上掲示板形式以外が挟まるので苦肉の策としてワンピースネタを差し込む事によりルフィのように本心がそのまま出ている為にモノローグが無いという方へ読者の皆様を誘導したかった。
迷子の末に虚圏へ
一番最初には馬鹿過ぎる事のアピール。
その次はもしかしたら藍染隊長の誘導だったのでは?と納得させる。
そして本質は天音がBLEACHのストーリーを完全に記憶している事の伏線。
最序盤にて十刃を結成する事で後の滅却師、ひいてはユーハバッハを確実に始末出来るように入念に準備していた。
マキマとの出逢い
マキマの名前がキをとる事でママになるのは有名ですが、天音もまたマをとる事でアネとなります。
魔が差さなければ琴音やマキマの姉となれた天音、という幕引きにしたかったのでエピローグでのマキマ転生は最初から決まっていました。
など、他にも結構伏線はありましたが全てを説明するのは流石に違うのでこの辺で終わります
さて、あとがきとして本作と連動した他2作は対比をテーマとして書いていました。
例えば、ラスボスに転生しつつもあくまでもただの人間であった他の掲示板民と天音
例えば、周囲の人間に囲まれつつも誰からも理解されずさりとてその本心では自らの定めた正義へと向かう藍染惣右介と天音
例えば、周囲と違うが故に孤独であった天音と琴音
例えば、自身の力により周囲から真の理解と愛情を得られなかったマキマと天音
それらの対比が少しでも皆様の心を揺らせたならば作者としてこれ以上無い幸福です。
最後に、拙作を読んでいただきありがとうございました。