※この作品はR-18です。

THE LOVERS   作:さんかく@

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洋上で沈思黙考する元鞄持ち(回想エロあり)

蒼い空を映して海は蒼く輝く。

時には太陽の光を反射して、ちりばめたダイヤのように輝いて。

 

「……綺麗」

 

ため息をつきながら、美樹さやかは呟いた。周囲には誰もいない。一人、船のオープンデッキの柵にもたれ、海を眺めている彼女はどことなく物憂げで、孤独に見えた。

蒼い空に白の甲板。さやかの蒼い髪に白いワイシャツ。白と蒼の世界に彼女は独り取り残された唯一の人間のようだ。

 

――さやかちゃんの目って綺麗な青空みたい

 

遠い昔の幼馴染の言葉を思い出し、さやかの口元が緩む。その瞳は郷愁で揺らめいて。

 

「…帰りたいな」

 

ぼそりと呟いた。

どこへ?と誰かが聞いたとしても、彼女はきっとうまく答えられないだろう。それほど彼女は遠くまで来ていたのだ。

 

「まどか」

 

幼馴染の名前を呼ぶ。懐かしい子供の頃の記憶、何も知らず幸せに過ごした日々。さやかにとって、まどかはかつてあった幸せの記憶そのもの。そして妹のような愛くるしい存在。美樹さやかは未だに、あの頃に戻りたいと思うことがある。中学二年の、何も知らないあの頃に。果てしなく遠いあの頃。唸りつつさやかは頭を振る。

 

――未練がましいわ

 

そう、さやかは決めたのだ、今の世界を維持すると。

それが正しいかどうかはわからない、だが、まどかを思うがためにとうとう人外と成り果てた女性を見て、さやかは決意し、協定を結んだのだ。10年前に。

 

暁美ほむらという女性と。

 

「……ほむらかあ」

 

ふと、間の抜けたいつもの声でさやかが呟いた。

どうにも、彼女――黒髪の相方を思い出すとさやかは複雑な気持ちになるらしい。長い間連れ添っているというのに、さやかは未だに彼女の全てを理解している訳ではなかった。

 

かつて誰よりも孤独に戦い

ただ一人の女性を愛して悪魔と成り果てた

 

黒髪の――美しい女性

 

「……………」

 

ぎゅっ、とさやかは自分の掌を強く握る。そうしてまた、ゆっくりと開き手を見つめた。

もう何度も彼女に触れている手。

不思議な縁だと思う。もう10年も彼女とずっと連れ添っている。そのきっかけを忘れるわけはない。

 

しかし――自身のほむらに対する感情は何と名付けていいものか?

 

さやかはまた大きくため息をついて、過去に思いを馳せる。二人で互いに対する感情について語り合った時のことを。あの時も結局解答は得られなかった――いや、自分は何か答えたはずだが、なんと答えただろう?

 

*     *       *

 

『私が貴方をどう思っているか?……貴方もそんなことを考えるようになったのね、あら、からかってないわよ?』

 

ある日、そう言うと口に手をあて、くすくすとほむらは笑った。成長した美しい彼女。

朝の光を浴びた艶のある黒髪。

 

『変な人…』

 

アーモンド型の目を細め、こちらを見る。揺れるアメジストの瞳。白い手がさやかの元へ伸びてきて、そうして彼女の艶のある唇が視界に広がった。

 

白い世界。

荒い息と、時折漏れる彼女の喘ぎ声。

 

『さや…か…貴方…はどうなの?』

 

馬乗りになった状態で、肢体を大きく揺らしながら、ほむらはさやかを見下ろす。

妖しく光るアメジストの瞳。

 

『同情?…それとも……っあ、ん……懺…悔……?』

 

美しい顔を時折快楽で歪ませ、喘ぎながら問い掛けてくる悪魔。恍惚とした表情。二人は既に繋がっていて、悪魔は体内に収納した相方の「突起」を、さやかは包み込むようなほむらの温かい「内部」を味わっていた。手は確かめ合う様に、互いに握り合い、指を絡め合って。「突起」が「最奥」に当たる度に、ほむらはさやかの手を固く握り、肢体を震わせた。

 

『……私は、………よ……』

 

下から呻きながら、さやかはどうにか声を絞り出した。

 

動きを止める悪魔。しばらく惚けたように組み敷いた相方を見つめ、そうして数秒後、泣きそうな顔でほむらは微笑んだ。

 

『馬鹿ね…』

 

そうして、ほむらは目を瞑ると、腰の動きを再開した。長い睫毛が振動の度に揺れる。乱れる黒髪。さやかの上でほむらは艶めかしく腰を動かし続け、何度も鳴いた――。

 

*      *        *

 

ぱちん、とさやかは頬を両手で挟むようにして叩く。

どうにも相方を思い出すだけで、興奮するのは彼女に身体の「一部」を改変させられた影響もあるだろう。思考の整理がうまくいかない。さっきの男と自分が同類のような気になって、さやかは自己嫌悪に陥った。

 

「……そろそろ戻ろ」

 

なんとはなしに一人呟き、さやかは踵を返し、オープンデッキを後にした。

 

 

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