僕はほのかを探して稚内に向かった。天候が急変し、帰れなくなった僕たちは……。

1 / 1
ゲーム「センチメンタルグラフティ」の二次創作です。pixivにも同じものを掲載しています。



沢渡ほのか~稚内の一夜

 ほのかから手紙をもらった。

『ほのかです

 函館山でのこと、私、やっぱりわからなくて…

 あなたがどうしてあんなことをしたのか…

 稚内の別荘にいます              ほのか』

 

 函館山の夜景を見に行ったあの日、僕はほのかを傷つけるようなことをしてしまった。

 ほのかにキスしようとして平手打ちを喰らったんだ。

 ゴミが入ったために目を閉じたほのかを、僕が誤解した。

 僕に裏切られたことがショックだったらしく、ほのかは泣いていた。

 今年の夏、僕たちはそれぞれの気持ちを確かめあい、交際を始めた。

 手も握らないプラトニックな関係だったけど、僕たちはお互いを信頼し、いい関係を築いていた。

 それが一転、ほのかと連絡が取れなくなった。

 電話をしても取り次いでもらえない。手紙を出しても返事がない。

 札幌まで行ったけど、ほのかは僕を見ると逃げ出してしまった。

 本気で怒っているようだ。もう僕たちの関係は元に戻らないのだろうか?

 

 ギクシャクした関係が続いていたそんなある日、ほのかから手紙が来た。

 うれしかった。

 稚内の別荘まで来いということなのだろうか? 行ったら許してもらえるのだろうか?

 ほのかと仲直りしたい。また笑顔が見たい。できるなら、またほのかと付き合いたい。

 僕は取るものも取りあえず、祈るような気持ちで稚内に向かった。

 

 稚内は広い。

 手紙には別荘の住所が書いてあったものの、探すのは大変だった。

 雲行きも怪しい。この季節、降るとしたら雪だろう。しかもこの天候では吹雪くかもしれない。

 ほのかに、ほのかにもう一度会いたい……。僕はそれだけを思って付近を探し回った。

「あ、あれは!」

 冬の海を見つめてたたずむ後ろ姿。それは間違いなくほのかのものだった。

「ほのか〜! ほのかぁ〜!」

「あっ…」

 僕の叫び声に振り返ったほのかが一瞬困惑した表情を浮かべた。

「ほのか…やっと、やっと会えた……」

「私……」

 そのまま言い淀むほのかをさえぎる。

「待って。まず、謝らせて欲しいんだ。この間は本当にごめん。あんなことしちゃって。でも……」

「でも?」

 そう問いかけ、ほのかも黙る。ほのかは僕の言葉を待っている。

「でもわかって欲しいんだ。僕はほのかだから…その……あんなことしちゃったんだ」

「えっ?」

「だから、その…上手く言えないけど、ほのかだから、相手がほのかだったから……」

 続きを言ってもいいのか? 僕の心にためらいが浮かんだけど、それは一瞬だった。

「キスしたいって思ったんだよ。でも、その……やっぱりごめん」

「……私だから? それ…ほんとう?」

 戸惑ったような表情でほのかが聞き返す。

「うん」

「ふ〜うっ…もういい……」

 大きく息をつくと、ほのかがにっこり笑ってそう言ってくれた。

「えっ?」

「許してあげる」

 いつものほのかの笑顔がそこにあった。

「ほのか!」

「不思議だけど、毎日ここで冬の真っ白な海を見ていたら、なんだか素直な気持ちになれたの」

「ほのか、それじゃ僕たち、これで仲直りできたんだよね?」

「うん……。あっ、でも今度またああいうことしようとしたら、私、絶対許さないから」

 上目遣いでちょっと僕をにらむようにして、ほのかが微笑んだ。

「うん」

 ようやく取り戻したほのかの笑顔を僕は失いたくなかった。だから力強く言い切った。

 

       ×       ×       ×       ×       ×       ×

 

「はい…大丈夫。うん…早ければ明日の朝一番の札幌行きで帰るから」

「どうだった?」

「うん……吹雪じゃしょうがないだろうって」

 電話を切ったほのかが僕に向き直ってそう告げた。あのあと、すぐに天気が急変したんだ。

 なんとか別荘までたどり着いたものの、吹雪の影響で交通機関が寸断されてしまっていた。

 札幌に戻る手段がなくなった僕たちは、ここで一夜を過ごすほかはなくなってしまった。

「そう。じゃあとりあえず、今夜はここで二人きりだね」

「あ〜っ、もしかしてヘンなこと考えてるんじゃないでしょうね?」

 下唇を噛むようにしてほのかが僕をにらむ。

「ま、まさか! せっかく仲直りできたのに、またほのかとケンカなんかしたくないよ!」

 あわてて手を振って否定する。

「そう…ならよかった……でもよりによって吹雪だなんて……夜が心配だなぁ〜」

「えっ?」

「ううん、なんでもない……」

 目を伏せたほのかが小さくつぶやいた。

 

 有り合わせのもので軽く食事を済ませ、交替で風呂に入り、僕たちは床に就いた。もちろん部屋は別々だ。

 普段だったら残念に思うのかもしれないけど、今日ばかりは心の底からよかったと思った。

 別荘にはテレビもなく、長い夜をほのかと二人っきりでいると間違いを犯しそうだったからだ。

 それが怖かった。今度こそほのかの信頼を裏切ることはできない。

 

 窓がガタガタと鳴っている。外ではゴウゴウと風の渦巻く音がする。

 別荘はしっかりした造りのようでこんな強風にもビクともしないけど、音はうるさかった。

「う〜ん、すごい音だな。これじゃ眠れないよ」

 僕がひとりごちたとき、

コンコン

 ノックの音がした。ほのかか?

 まさかという思いと、よこしまな期待とに胸が高鳴る。

「ん? はい、開いてるよ」

 ドアが開く。そしてほのかが顔だけを出して僕に言う。

「あっ、ごめんね……入ってもいい?」

「ほのか……そ、そりゃいいけど」

 ほのかが部屋に入ってきた。ライトブルーのパジャマに黄色のカーディガンを羽織って恥ずかしそうに立っている。

「………」

「どうしたの?」

 無言のほのかに問いかける。

「笑わないでね」

「うん」

「あのね……外の吹雪の音が怖くて眠れないの」

「そ、そうなんだ」

 気が抜けた。やっぱりそんなことがあるわけないか……。風が怖いなんて、なんだかんだ言ってもほのかもやっぱり女の子なんだな。

「それで…お願いがあるの……」

「えっ、なに?」

「ここで寝てもいいかな?」

「そ、それはいいけど……い、いいの?」

 緊張で声が裏返ったのがわかった。

「うん……だってあなたのこと、信用してるから」

「ほのか……」

 僕の動揺に気付かないのか、ほのかは

「ウフフッ…私、ソファーで寝るね」

 小さく笑うとソファーに向かった。

「いいよ僕がソファーで寝るから。ほのかはベッドで寝てよ」

 ベッドから降り立ち、ほのかを引き止める。

「ダメだよ、冬の北海道だよ? 風邪引いちゃうよ……」

「それはほのかだって同じでしょ?」

「私は北海道の子だから」

「だけどさぁ」

 沈黙が流れた。

 しばらく無言が続いたあと、おずおずとほのかが切り出した。

「……いっしょに寝ようか」

「えっ!」

「そ、その代わり……ヘンなこと、絶対しちゃダメだからね!」

 

 いっしょにベッドに入る。セミダブルの幅を存分に使い、精一杯体を離して横になる。

 あんまりほのかに近づくと理性を保てなくなるかもしれない。

 そう思って、落ちそうなぐらいベッドの端に寝たんだけどほのかに怒られた。

「そんなに端じゃ落ちちゃうよ。それに、布団が届かないからもっと近くでもいいよ」

「う、うん……」

 断るとほのかを意識していることを悟られそうなので、僕はその言葉に従った。

 

 それからしばらく、僕たちはたわいもないおしゃべりを続けた。ほのかが積極的に話しかけてきたからだ。

 僕も一生懸命に話題を探してそれに応じた。沈黙が怖かったんだ。

 5年生のときの思い出。転校した土地の話。最近あったこと……。いろんなことをしゃべった。

 些細なことで笑いあい、ちょっとした冗談で拗ねて見せる。いつしか僕の緊張も解けていった。

 ふと気が付くと息がかかるほど近くにほのかの顔がある。

「も、もう寝るね」

 あわてたようにほのかが言い、僕から身を離すと目を閉じた。

「あ、うん……おやすみ」

 そう答えた僕はベッドから降りると小さい電球だけ残して明かりを消した。

 

 暖炉の炎と常夜灯のオレンジの淡い光が部屋を満たす。

 ベッドの中で僕は眠れずにいた。さっき遠のいたはずの張り詰めた空気がまた戻ってきていた。

「雪…祭り…に……」

「えっ?」

 ほのかが話しかけてきたと思って顔を横に向ける。

「う〜ん……」

「なんだ、寝言か……」

 隣りでほのかが小さく寝息を立てている。寝返りを打ったせいでほのかの顔が目の前にある。

 安心しきったように僕の横で眠るほのか。

 一瞬よこしまな気持ちが芽生えかけたけど、それを封じ込める。

 せっかくほのかに許してもらえたのに、また嫌われるのはご免だ。

(う〜ん、寝顔もカワイイなぁ〜)

「もったいないから朝まで見ていよう」

 僕は体を動かし、ほのかと向かい合う形になった。

「ん…う〜ん……」

 その時、寝ぼけたらしいほのかが僕に身をすり寄せてきた。

「!」

 冬の北海道。しかも表は吹雪だ。深夜で気温も低い。暖炉だって燃え盛っているわけじゃない。

 だからほのかは無意識にぬくもりを求めただけなんだろうけど、僕には刺激が強すぎた。

 しかもほのかのやわらかい肌がグイグイと押し付けられている。

(ま、マズイ……)

 股間に血液が集まっていく。しかもその部分にほのかの太ももが当たっている。

「ほ、ほのか?」

 声をかけたけど反応がない。信頼しきったようにほのかは寝息を立てている。

 

 体が触れ合っている部分に感覚が集中する。

 すべての神経が鋭敏になったようにほのかのすべてが感じられる。

 白い肌のぬくもり、やわらかさ、切なげな吐息、かわいらしい寝顔、甘い匂い……。

 興奮する。そして理性が飛びかける。

 そんな気はなかったのに、つい腰を小さく前後させてしまった。

ズキン!

 先端がパジャマ越しにほのかの太ももにこすられ、言いようのない快感が立ちのぼった。

 甘美な感覚が背すじを駆けのぼる。頭の芯がしびれる。

 いけないと思う気持ちを肉体的な快美感が押しとどめる。気が付くと僕は夢中になって腰を動かしていた。

 そのたびに鮮烈な快楽が押し寄せてくる。思考が麻痺していく。何も考えられなくなっていく……。

(ほのか……)

 ほのかを起こしてしまわないように注意しながら腕を動かす。そうしてほっそりとした肩を抱く。

 柔らかく、そして温かい弾力が僕の腕に伝わってくる。

「ぅんっ……」

 その時、あえぎ声にも聞こえる吐息を洩らしてほのかが身じろいだ。

 

「!」

 心臓が破裂しそうなほど高鳴る。そのまま動きを止め、ほのかを観察する。

(い、今ならまだ僕も寝ぼけたと言って釈明できる)

 だけどほのかはわずかに体を動かしただけで再び規則的な寝息を立てはじめた。

 ……目を覚ましたわけではなかったようだ。

(ふぅ……)

 安堵のため息をつく。

 もう一度ほのかを観察する。

 わずかとはいえ、ほのかが動いたせいで僕の体との間に空間が出来ていた。

 そこから僕の理性を奪い取るようなほのかの甘ったるい体臭が立ちのぼる。

 何の気なしに視線をやった僕の目は、開かれたほのかの襟元に釘付けになった。

(ブラジャーしていない?)

 上から覗きこめるなだらかな胸のふくらみは、布地に覆われていなかった。

 淡い光が見せた錯覚かと思い、もう一度見る。間違いなくブラジャーをしていない。

ごくっ

 のどが鳴る。手が僕の意志とは無関係にほのかの胸元に伸びていく。

(これ以上はヤバイ。取り返しがつかなくなる)

 頭の中に警鐘が鳴り響く。だが手は止まらない。

 ……指先がパジャマの上から乳首に触れた。

 緊張のあまり手が震えている。その振動が指を伝わりほのかの乳首を揺らす。

 だけどほのかに変化はない。すっかり寝入っているみたいだ。

 それを見た僕はだんだん大胆になっていった。

 

 今度は手のひらを胸のふくらみに当てた。

 手のひら全体でなでまわし、そっと指を立てて揉んでみる。

「ん、ふ……ぁ」

 感じているのか寝ぼけているのかはわからないけど、ほのかの声が僕の性感を刺激した。

 それにより、これ以上固くならないと思っていた股間がさらに硬化する。

 いつしか僕は、窮屈な姿勢にもかかわらず夢中になってほのかの胸をまさぐっていた。

「んふぅ……」

 眼を閉じたまま、ほのかが切なげな吐息を洩らす。

 パジャマ越しの愛撫では物足りなくなってくる。だけどもしほのかが目を覚ましたら……。

 ためらいは一瞬だった。

 性の衝動に後押しされた僕はボタンを外し、ほのかのパジャマをはだけた。

 

 鎖骨から続くなだらかなラインと、ほのかの真っ白な乳房が僕の目を射た。

ごくっ

 のどが大きく鳴る。息も荒くなる。

 深呼吸して気持ちを落ち着かせるともう一度ほのかの胸元を覗きこんだ。

 ソレはビデオで見た女優のような大きさはないが、形はよかった。

 上を向いているのにお椀型を保ち、呼吸に合わせてわずかに上下している。

(きれいだ……)

 素直にそう思った。

 手のひらを握ったり閉じたりして震える指先を落ち着かせる。

 そうして再びほのかの胸に、今度は直接手のひらを当てた。

 指によって形を変えるふくらみは、同時に僕の指を強く押し返す弾力を持っていた。

 それだけではなく、僕の手技に合わせるかのように先端の突起が尖っていく。

(ほのかの胸をもっと楽しみたい……)

 ふたつの胸にむしゃぶりつき、舐めまわしたい衝動に支配される。

 だけど今姿勢を変えたらほのかが目を覚ますかもしれない。そんな危険は冒せない。

 悶々としながら、僕はほのかの胸をなぶりつづける。

「ぅん…ぁあん」

 わずかに開いた唇から切なそうな声が洩れた。

 動きを止めてほのかをうかがう。だけど目を覚ました様子はない。

 胸を玩弄されることで、無意識ながらほのかも快感を得ているのだろうか?

「ぁふっ…やぁ……ふぅ」

 少しずつほのかの声が艶を帯びていく気がする。

 もう止まらなかった。

 僕はより大胆にほのかの胸を玩弄しつづけた。

 

 ほのかの胸に口を寄せた。

 さっきまでの警戒心はもうなくなっていた。正確には気が回らないほど性感が煽られていた。

 ちゅぱちゅぱと乳首を吸い上げ、ふくよかな乳房をもみしだく。

 舌先で乳首を転がし、軽く歯を立て、唇でしごきあげる。

「あぁっ…あっ、やんっ……あぅっ、あんっ」

 短い間隔でほのかがうめく。まるで目を覚ましているのかと錯覚するほどの悶え方だ。

 そんな声に興奮をかき立てられながらふとほのかの顔を見上げた僕は、次の瞬間全身を硬直させた。

 目が合った。ほのかは起きていて、僕をじっと見つめていたんだ。

「ほ、ほのか……」

 混乱する。どうすればいいのかわからない。

 ほのかとの約束を破ったのは僕だ。こともあろうに、ほのかの胸を手で、口でいじくりまわしていたんだ。

 とても言い訳ができる状況じゃない。

 きっとほのかは怒っている。僕はうろたえて視線を泳がせた。

 その時、

「いいんだよ……」

 小さな声がした。

「え?」

 耳を疑った。ほのかは今、なんて言った?

 聞き間違いと思った僕はほのかの顔を正面から見た。

 するとほのかは恥ずかしそうに視線を逸らし、壁のほうを見ている。

 その姿からは怒りの感情は見受けられない。

(怒ってはいないみたいだ。それに……まさか、ほのかはしてもらいたがってる?)

 疑念が浮かんだけど、それを確かめる勇気は僕にはなかった。

 だけどもほのかの態度は僕の行為に同意しているとしか見えない。

 それどころか、さらに行為を進めることを求めているのかもしれない。

 そう考えてみると、かすかに目元を染めてすがるような眼差しをしている。目付きもとろんとしているようにも見える。

 言葉どおりに受けとってもいいとしか考えられない。

「私のこと、ずっと好きでいてくれたんでしょ? ……いいよ」

「ほのか……。ほのかを僕のものにしたい。ほのかだから、ほのかだから一つになりたい!」

 まっすぐに見つめあったままささやいた。

こくん

 小さくほのかがうなずいた。

 

「……電気」

 僕から目を逸らすとほのかが小さく言った。

「え? ……あっ」

 ほのかが求めていることを察した僕はベッドから降りると壁際のスイッチを消した。

 そしてちょっと迷ったあとで、服を脱いでいった。

 全裸になる。その間にほのかも脱いでいた。

 ほっそりとした両腕で恥ずかしそうに自分の乳房を隠している。

 部屋の電灯はすでに消してある。明かりといえば窓の雪明りと暖炉の火だけだ。

 暖炉で燃える炎に照らされ、ほのかの体が陰影に富んで見える。

 暗くて見えない股間の翳りが僕の興奮をかきたてた。

 

 ほの暗い闇の中にほのかの裸身だけがぼんやりと浮かび上がっていた。

 不安そうな眼差しをほのかが僕に向ける。僕は経験がない。僕だって不安だ。

「ね、ねぇ……」

 小さな声。そしてほのかは続けて

「わ、私……初めてなの」

 早口で言う。

「だ、だから……優しく…してね」

 最後は聞き取れないほど小さな声だった。

「ぼ、僕も…その……初めてなんだ。上手くできなかったらごめん」

 ぎこちない笑みを返す。

「そっか……いっしょだね」

 緊張で引きつったほのかの顔に、少しだけ笑みが戻った。

 

 静かにベッドに横たえる。

「ほのか……」

 名前を呼んでそっとキスをした。

「んっ……」

 甘い吐息が頬に当たる。

 僕は舌を伸ばし、閉ざされたほのかの唇を割った。そのまま口の中に静かに進めていく。

 わずかに開いた歯の間を抜け、ほのかの舌に触れた。

「んっ…んぅっ……」

 小さく鼻を鳴らし、ほのかはかすかに身をこわばらせた。

 それに構わず、僕はほのかの舌を追いかけ、からませた。

 ほのかも僕に応えて舌を動かす。

 ……闇の中に僕たちのくぐもった声だけが響いていた。

 

 唇を離す。

 暗い部屋を満たしていた濡れた音が止む。

 ……見つめあう。

 もう一度唇を合わせようと僕が顔を近づけるとほのかが顔を逸らせた。

「ご、ごめんね。なんか、恥ずかしくなっちゃった……」

 今の行為が生々しく甦ったのだろう。ほのかが小さく詫びる。

 恥じらうほのかの態度に僕も羞恥心を覚えた。

 だけど近づけた顔を戻せるほど冷静ではなかった。そのまま首筋に顔をうずめる。

「……あ」

 艶っぽい声を聞きながら、石鹸の香りとともに漂うほのかの甘酸っぱい匂いを胸一杯に吸い込んだ。

 

 女の子の匂いが肺を満たす。

 そうしながら首筋に舌を這わせる。耳たぶを甘噛みする。鎖骨のくぼみに唇を寄せる。

「あぁっ! あんっ……」

 感じているらしいほのかの声が僕を大胆にさせた。

「ほのか、ほのかぁ……」

 浮かされたように名前を口にして、肩口から胸に唇をすべらせた。

 ふくらみの頂に口をつける。もう片方の乳房は手のひらで包みこむ。

 これまでさわったどんなものよりも温かく、やわらかく、そして弾力がある。

 まるで僕の手にあつらえたかのようにぴったりと収まる乳房を静かにもむ。

 同時に口に含んだ乳首を舌の先でゆっくりと転がす。たちまち硬くしこっていく。

「んっ! ぁあん……」

 その途端、背中を反らせてほのかがあえいだ。

 その動きに離されないよう、ほのかの体にしがみつく。体重をかけないよう注意して覆いかぶさる。

 そのままほのかの顔を上目遣いに見るけど、白いのどを反らしていて顔が見えない。

(ほのかってこんなに敏感なんだ……それとも、僕が感じさせてる?)

 男としての自信が湧いた。

 

 もっと、もっと感じさせる!

 女の子がいちばん感じる部分……アソコを攻めようと、僕はほのかの下半身に手を伸ばした。

 おへその下から続くなだらかな曲線に沿って指を動かす。

 と、シャリシャリした陰毛の感触がした。さらに指を進める。

 ぬかるんだ溝に指が到達した。

 ヌルヌルで温かく、やわらかなひだを指先が感じる。そこを何度も指でなぞる。

 

 淫溝の中ほどにくぼんだ部分が見つかった。

 中指でそのまわりを巡るように揉みこみ、くぼみをこするように動かす。

 と、ほんの少し力を入れただけなのに、ヌルッという感じで指がもぐりこんだ。

「あぁんっ!」

 細いのどを見せてほのかがのけぞった。どうやら処女の膣に指を入れてしまったようだ。

「ごめん、痛かった?」

「ううん、平気……びっくりしただけ」

 泣き出しそうに潤んだ瞳でほのかが答えた。

「ごめんね」

 再度謝ると、僕はより慎重にその辺りで指をうごめかした。

 

 肉ひだの合わさったところにコリッとした手応えがあった。

「ひゃんっ!」

 弾かれたようにほのかの体がビクッと震えた。続いて小刻みに体を痙攣させる。

 どうやらクリトリスみたいだ。

 女の子のいちばん敏感な部分。そう聞いたことはあるけど、まさかこれほどとは……。

 もう一度、今度は慎重にクリトリスに指を置いた。

「あ、あんまり強くすると痛いの……」

 頭の上でほのかの声がした。

「さわらないほうがいい?」

「あ、そういうわけじゃ……そっとさわって……」

 ほのかは自分でクリトリスをいじったことがあるんだろうか?

 そんな疑問が浮かんだけど、それを聞くのはやめにした。

「痛かったら言ってね」

 僕は目標を変えることにした。クリトリスだけじゃなく、女性器全体を愛撫することにした。

 

 ももの付け根を指先でたどる。陰唇をつまむ。中のぬめりをまとい、静かにかきまぜる。

 くちゅくちゅと湿った音が立ちのぼる。それと同時にほのかの息がせわしなくなっていく。

「あん…っ!」

 切なげな吐息を洩らしてほのかが鳴く。それが僕を勇気づける。

 僕は右手を淫裂で、もう片方の手と口は胸でほのかを攻め立てた。

「ぁあっ、あっ…あぁん……んふ…っ!」

 短い間隔の呼吸で、僕の指に、口に、手に合わせてほのかが嬌声を上げる。

 それに合わせるように僕の指がぬめりに包まれていく。

 淫裂の中をかきまぜるように指を動かすと、

「あぁんっ、ぃゃぁ……」

 そんな声が聞こえた。

 だけど言葉ではそう言いながら、ほのかの抵抗は形ばかりのものに僕は感じた。

 乱れているのを僕に見られて恥ずかしいらしい。興奮がいや増す。

「あァン…」

 ほのかのかわいらしい唇が僕の名前を呼んだ。顔を上げた僕とほのかの目が合った。

こくん

 小さく、だけど力強くほのかがうなずいた。

「ほのか」

 名前を呼んでその手を取る。そして僕の下半身で屹立する男性器に導く。

びくっ!

 握らされたほのかの体が小さく震えた。

「熱い……それに、とっても固い……」

 そのまま手を添えて軽く上下させる。

「僕のも…お願い……」

 耳元でささやくとほのかはまた小さくうなずき、握った手を自分からさわさわと動かしはじめた。

 火照った体とは対照的にひんやりとしたほのかの指の感触は、たちまち股間に快感として伝わった。

「あぅっ!」

 不覚にも声が出た。

 経験のないほのかがただ本能的に動かすだけの手が、僕に圧倒的な快感を与えている。

 たちまち先端から先走りがあふれ、それがほのかの指を濡らす。

 まるで射精したかのような大量の先走りのせいで、ぬちゃぬちゃと淫らな水音が鳴る。

 そしてすべりが良くなったほのかの指が僕をさらに高めていく。

「ほのかっ!」

 何かに衝き動かされるような思いに駈られ、僕はほのかと唇を重ねた。

 

 ……ひとつになりたい。

 ほのかの足の間に身を移す。そして勃起をつかんで角度を固定すると膣口にあてがった。

「行くよ」

 それはほのかに声をかけるというより、まるで僕自身に言い聞かせているような言葉でもあった。

 『男』になる。愛するほのかを僕のものにする。ほのかの人生に責任を持つ……。

 どことなく不安そうに僕を見上げていたほのかだったけど、数瞬後、

こくっ

 小さくうなずいた。

 それを見た僕は、一瞬のためらいのあと、ほのかの中に入っていった。

 

ぐぐっ!

 剛直が処女を割り開いていく。

「っ!」

 声にならない声を上げて全身をこわばらせたほのかが僕の腕を握りしめる。

 苦しそうなほのかの表情に、このまま続けるべきか迷いが生まれた。

 だけど亀頭部から立ちのぼる強烈な悦楽が僕の腰を止めようとしない。さらに奥深くへと陰茎がもぐっていく……。

 と、不意にほのかの全身から緊張が解けたように力が抜けた。僕も詰めていた息を大きく吐き出す。

 ……僕たちはひとつになっていた。

 

「ごめん、痛いよね?」

「ううん、平気」

 そうは言うものの、ほのかは決して平気な様子じゃなかった。眉根を寄せて苦悶に耐えているように見える。

 淫茎全体がきつく締めつけられる。こんなにきついってことはほのかが痛がるのは当然だ。

 だけどそれが僕にはこの上ない快感になっている。女の子の中は自分が想像していた以上の気持ちよさだった。

 いちばん大好きなほのかとセックスしているという興奮も大きかった。

 その肉体的快感と精神的な満足が相俟って、何もしていないのに射精感がこみ上げてくる。

 あまりに早い終了は男として情けなかったけど、苦しそうなほのかを見ると少しでも早く終わったほうがいいとも思った。

「ほのかっ、ほのかぁっ!」

 名前を呼んで体全体でほのかを抱きしめる。

「好き、大好き……」

 僕の背中に腕を回し、ほのかもしがみつく。

 ほのかの体のぬくもりが、やわらかさが、そして甘い香りが僕から理性を奪っていく。

 精液が根元までせり上がっている。限界は近い。

「はぁ、はぁ、ほのか、ほのかぁ……」

 膣の中に精液をぶちまけ、ほのかを完全に僕のものにしたい思いがよぎった。

 だけどほのかを妊娠させるわけにはいかない。中で射精したい気持ちを必死に封じ込める。

 そうこうしているうちにも性感の頂上がぐんぐん近づいてきた。

 ……ダメだ、イク!

 最後の精神力でほのかから引き抜いた。

 直後、

びゅっ! びゅくっ! びゅるっ!………

 強烈な快感を伴って精液が射ち出された。

「っっ!」

 ほとばしった白濁がほのかの下腹部からお腹、果ては胸のあたりにまで飛び散る。

「あ、熱い……」

 精を体に浴びながら、ほのかが浮かされたようにつぶやいた。

 これまでの人生で味わったことのないような愉悦に僕の頭の中も真っ白になる。

どびゅっ! どぴゅっ!………

 ほのかの裸身を僕の精液が穢していく。炎に照り映えた肌を白濁が彩っていく。

 淫靡な眺めに酔いしれながら、僕はいつまでも射精を続けていた。

 

 永遠に続くかと思われた射精もようやく終わった。

 大きく息をついてほのかに体を重ねる。

 二人のお腹の間で精液が押しひろげられ、濡れた感触がしたけど僕は気にならなかった。

「えっち……しちゃったね」

 天井を見上げたままほのかが言う。

「ほのか……後悔してる?」

 ほのかの顔を覗きこむようにして聞いた。

「ううん。だって、あなたは私だからこういうことしたんでしょ?」

 まっすぐに僕の目を見てほのかが言う。

「うん」

「私だってそうだよ。あなただから……あなたが好きだから抱かれたの」

「ほのか……」

「あなたなら……あなただけは私にヘンなことしてもいいからね」

 いたずらっぽい笑顔でそう言うと、ほのかからキスしてきた。

 そのまま唇を割り、舌が伸びてくる。それに応えて僕も舌をからめた。

 性愛の意味をこめた口付けに、射精して萎えたはずのモノがピクンッと脈を打った。

「!」

 それが伝わったらしく、ほのかの舌の動きが一瞬止まった。けどすぐに動き出す。

 気がつくと、吹雪の音はいつの間にか収まっていた。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。