※この作品はR-18です。

TSアイテムで人生が変わる話   作:てぬてぬ@TSF

19 / 35
人気コスプレイヤーに変身して本人と百合えっちする話・後編

「あいすさん、これやっぱ恥ずかし過ぎますって・・・・・・!ぬ、布地が少なくて・・・・・・!」

「大丈夫ですよ、噛んジャーキーさん。私も着ましたけど、ちゃんと大事な所は隠れてるから」

あいすさんが住んでいるマンションの一室。大きな姿見が置かれた部屋で、俺はもじもじと体を隠していた。

今、俺が着ているのは人気ソシャゲの序盤に貰えるキャラ、その踊り子バージョンの衣装だ。端的に言って、滅茶苦茶エロい。問題は、そのエロい衣装を俺が着ているということなんだけど。

「ほら、ちゃんと見てください。綺麗でしょう?」

あいすさんに促され、姿見に視線を向ける。そこには、顔を真っ赤にして恥ずかしげにしながらも、煽情的で際どい衣装をまとったあいすさんの姿が映っていた。これが今の俺だとは信じられない。でも、俺の横に立つあいすさん本人の存在が、こっちの恥ずかしがってるあいすさんが俺なんだと実感させてくる。

「ふふ、可愛いですよ。私と違って、初々しい感じが魅力を引き立てています」

そんなことを言っているあいすさんも、特徴的な衣装を着ていた。一言で言えば、ものすごく改造された修道服だろうか。チャイナ服のような深いスリットが入り、背中の部分にも切れ目が入っている。こっちも大概えっちな見た目だが、俺が今着ているものに比べればマシに見えてしまう。

「う、うぅ・・・・・・どうしてこんなことに・・・・・・」

羞恥心で頭がくらくらとしながら、俺はここ数週間のことを思い出す。俺があいすさんの部屋に居候することになった、一部始終を。

 

絶頂による気絶から意識を取り戻した後。俺は、あいすさんの非常に美しい土下座を目の当たりにしていた。

「ごめんなさい!!!」

「いや、顔を上げてくださいあいすさん。事情は分かりましたから」

曰く、あいすさんは引きこもり時代にストレス発散の為に、おな、自慰行為にハマっていて。一度体のスイッチが入ってしまうと、中々鎮まらないらしい。今では随分と落ち着いたが、何故か俺の体にはその癖が残っているようだ、とのこと。

「ちゃ、ちゃんと説明するべきでした・・・・・・先走って、あんなことを・・・・・・!」

最初こそ雰囲気やらなんやらで押し通せたが、俺が気絶している内にあいすさんは正気に戻ってしまい申し訳なさで死にたくなったようだ。その結果が、目の前の滅茶苦茶に綺麗な姿勢の土下座。

「気にしてませんよ、あいすさんは俺の為にやってくれたんですよね?じゃあ感謝こそすれ、責めるなんてことは無いです」

俺の言葉に、あいすさんはそろりと顔を上げた。涙目でこちらを見つめ、小さく呟く。

「・・・・・・正直、途中で面白くなっちゃったというか、悪ノリしてたとしても許してくれますか?」

予想外の返事に、俺はちょっとびっくりした。いや、そうか・・・・・・でも、うん。

「まぁ、はい。そもそも俺があいすさんの体になってしまったのが悪いんですし、俺はあいすさんに頼るしかないんですから」

そう、俺があんな怪しげな定食を食べなければこうなっていなかった可能性は高い。だから、あいすさんは悪くない。・・・・・・それに、気持ちよかったのは事実だし。

「と、とにかく!これからどうすればいいか考えましょう。あいすさんにご迷惑をかけてしまいますが、本当に居候させてもらってもいいんですか?」

「は、はい!その方が、何かあった時の為にもいいでしょうし!」

あいすさんの快諾を受け、俺は彼女の住居であるマンションの一室に居候することになった。それから二週間、色々と元に戻る方法を調べているが、いかんせん事情が事情の為中々進展していない。あいすさんは夕方まで仕事で外出しているので、俺は一人でパソコン(俺の部屋から持ち出してきた)とにらめっこする日々が続いていた。

「ふぅ・・・・・・」

息をついて立ち上がる。そろそろ夕飯の準備をする時間だ。居候させてくれただけでは無く、物置を整理して個室まであてがってくれたのだ。それも、ベッドなどの家具まで融通してくれた。だから、せめて家事くらいは手伝っておきたい。というわけでキッチンに向かい、夕飯を準備していく。あいすさんは自炊をしていないようで、キッチンはピカピカだ。今日の献立はアジの一夜干しと大根おろし、玉ねぎの味噌汁にめかぶとキャベツのツナマヨサラダ。手の凝ってないお手軽料理だが、それでもあいすさんはいつも喜んでくれる。と、丁度玄関が開く音がした。

「ただいまー」

「おかえりなさい、あいすさん」

ぱたぱたとスリッパの音をさせながらエプロン姿で出迎えると、なんだか感じ入ったような表情をしているあいすさん。居候し始めてからずっとこんな感じだ。本人曰く、「帰りを待ってくれている人がいるのが嬉しい」らしい。

「お疲れ様でした、丁度夕飯の準備が出来たところです」

「うぅー・・・・・・!ありがとう、噛んジャーキーさん。何から何までしてもらちゃって」

「それはこっちのセリフですよ。ここに住ませてもらった上に食費も着替えも全部あいすさん持ちなんですから。せめて、これくらいはさせてください」

衣食住、その全てをあいすさんに依存しているのだ。むしろ足りないくらいだと思う。

「・・・・・・なんか、私ばっかり得してる気がするなぁ」

「?何か言いました、あいすさん?」

彼女の小声の呟きは何を言ってるかまでは分からなかった。あいすさんはにっこりと微笑んで、手荷物を置きつつ返事をする。

「ううん、なんでも!ちょっと着替えてきますね!」

それから、俺たちは夕飯を食べつつ和やかに会話をした。最近のアニメのことや、あいすさんの仕事のこと。たまに俺の同人誌の話を楽しそうにしてくれて、俺はちょっと照れてしまう。その後、食器を二人で洗っていると、あいすさんがふと訊ねてきた。

「そういえば、噛んジャーキーさん。新しい漫画は描いたりしてるんですか?」

「いやぁ~・・・・・・こんな状況なんで、中々。どうにも集中が続かないんですよね。元に戻る方法を探す合間にちょいちょい進めてはいるんですけど」

元に戻る方法と言っても、ネットのほら話が出てくる程度が関の山だ。時間経過で戻るかとも思ったけど、二週間近く経っても兆候は無い。なので、気晴らしを兼ねてネームを作っていたのだが、状況が状況なだけに遅々として進まない。まぁ、こればっかりはしょうがない。

「まぁ、体が元に戻らないことにはイベントにも参加出来ませんからね。同人誌のネタ自体は固めておきたいですけど」

「そうですか・・・・・・。あ、じゃあ噛んジャーキーさん!食器洗い終わったら、少し付き合ってくれませんか?ちょっと、協力してほしいことがあって」

「あ、はい。分かりましたけど・・・・・・一体何を協力すれば?」

俺の言葉に、あいすさんはニッコリと微笑むだけで答えてくれなかった。

 

───そして。

「きゃーやっぱり似合う!私よりも雰囲気がしとやかだから、絶対合うと思ってたんですよ!」

「いや、いやいや!俺じゃなくてあいすさんの体が綺麗だからですって!」

俺は今、丁寧に化粧をされた挙句あいすさんの着せ替え人形になっている。折角だから、色んな服を着ている自分を客観的に見てみたいと彼女に言われ、頷いた結果がこれだ。いや、確かに今の俺の体はあいすさんと同じだから似合ってるとは思う。思うけど、女性の服やコスプレ衣装を自分が着ているという事実に変わりは無いのだ。全身から火が噴き出る程に恥ずかしい。

「う、うぅ~・・・・・・あいすさぁん、もう勘弁してください・・・・・・」

「そ、その表情も可愛い・・・・・・私よりも体の魅力引き出してません?」

あいすさんは興奮したような様子で、ゴツいカメラで俺をパシャパシャと撮りまくる。どうやら、あいすさんは自分と同じ姿になった俺のことを痛く気に入っているようなのだ。嬉しいやら恥ずかしいやら切ないやらで俺は火照る体のまま俯いた。甘ロリファッションと言うのだろうか、白と青を基調にした、フリルでふんだんに彩られた服が見えた。胸元は大きく押し上げられ、あいすさんの美乳が主張している。これ、あいすさん本人が着てたら見惚れてしまうくらい綺麗で可愛いと思うけど・・・・・・実際に着ているのは俺だ。男としての尊厳が粉々になっていくのを感じながら、俺はあいすさんに懇願する。

「せ、せめてボーイッシュな感じの服装でお願い出来ませんか・・・・・・?」

「うーん、そうですね。私も無理強いはしたくありませんし。じゃあ、これはどうでしょう?」

あいすさんが手に取ったのは、ネット小説からアニメ化した作品に出てくる男装執事の服だった。ピシッとした執事服を元に、原作通りの装飾が施されている。

「それならまぁ、はい」

今着ている服より万倍マシだ。俺は急いでフリル塗れを服を脱ごうとして、結局自分で脱げずあいすさんに手伝ってもらう。男どうこうじゃなくて、人としての尊厳もおしまいかもしれない・・・・・・。

数分後。俺は執事服に身を包み、頭には猫の耳付きのカチューシャを装備していた。これもだいぶ恥ずかしいが、まぁさっきよりは羞恥心は薄い。どこから用意してきたのか、あいすさんは俺に銀盆を渡しながら言ってきた。

「わぁ~これも凄い似合ってる!最高ですポーズ取ってください、ポーズ!」

ハチャメチャにテンションが高い。初めて会った時もここまでじゃなかったぞ・・・・・・。しかし、こうやって褒められまくるのは悪い気はしない。比較的男性っぽい服なこともあって、俺はおずおずと作中のポーズを真似てみた。

「カッコいい~!可愛い~!えっなんでそんな魅力的なんですか!?私の顔なのに!?」

「あ、あいすさんの顔だからじゃないですか?」

「いやだって私より遥かに凄いですって!本当に!」

物凄い勢いでカメラのシャッターを切りながら、食いつくようにあいすさんが言う。この二週間で分かったことだが、あいすさんは好きなものに対して暴走する癖があるようだ。まぁ、気持ちは分かる。あいすさんのコスプレはクオリティーが高いし、きっと中身が俺だから他人のように見ることが出来ているんだろう。それにしたって興奮し過ぎてる気もするけど。

俺はあいすさんにベタ褒めされるままに、様々なポーズを取っていく。他にも、亡国の王子(本当は少女)や武人肌の女幹部など、色んな衣装を着させてもらった。この頃になると羞恥心も完全に麻痺して、俺自身ノリノリで付き合っていたりしている。と、ひとしきり撮り終わったあいすさんが満足気に息を吐いた。

「ふぅ~・・・・・・!眼福、眼福。ねぇ噛んジャーキーさん、いっそ私の代わりにコスプレやりません?絶対人気出ると思うんですけど」

「そ、それは流石に無理ですって!あいすさんが人気なのは貴女自身の人柄もあるでしょうし、俺じゃ代わりになるわけ無いですよ」

ぶんぶんと首を振って否定すると、彼女は拗ねたような口調で呟く。

「そんなことないけどなぁ~・・・・・・うーん、でも・・・・・・分かりました!じゃあ代わりに、今のコスプレ画像を私のSNSに投稿してもいいですか?他の人からすれば私と全く同じですし、いいですよね?ね!?」

ぐいっと顔を近付けるあいすさん。きらきらと輝くような丸い瞳に、瑞々しい唇。今のあいすさんはすっぴんだけど、やっぱり綺麗だ。なんでこんなに俺を持ち上げるのか分からないまま、俺は曖昧に頷いた。

「ま、まぁそのくらいなら。俺とは気付かれないでしょうし、はい」

「やったー!」

万歳をして喜ぶあいすさんはとても可愛らしい。一瞬、この体になってよかったと感違いするくらいだ。いや、でも俺は自分の体に戻らないと。色々生活も不便だし、あいすさんに迷惑かけ続けるわけにもいかないし。・・・・・・何より、この体のままだとあいすさんに男として見てもらえない気がする。

そう。俺は、この無邪気でエネルギッシュな女性に恋をしている。この二週間で、その想いがより強まった。吊り橋効果かもしれないけど、自分の気持ちは抑えられない。男に戻れたら、折を見て告白したいとすら考えているのだ。断られるとは思うけど、うん。玉砕上等だ。

「あ、そうだ噛んジャーキーさん。もう一つ、お願いがあるんですけど」

「あ、はい。なんですか?」

心の奥に秘めた感情に気付かれないようにしながら、俺はあいすさんに返事をする。想いを伝えるのは元に戻ってからにしよう、今のままだと色々不健全な気がするし・・・・・・。

「お風呂、一緒に入りません?」

・・・・・・え?

 

「ほらほら、早く入りましょう!冷えちゃいますよ?」

「まっ待ってくださいまだ心の準備が、うわぁっ!」

情けない声を上げながら、俺は浴室へと押し込まれた。当然裸だ。

「これやっぱおかしいですって!?いくら今はあいすさんの体でも、中身は男ですよ!?」

「大丈夫、私は噛んジャーキーさんのこと信じてますから!」

そ、そういう問題じゃない。俺は必死に目をつぶりながら、しかしそれ以外何も出来ず立ち尽くす。この二週間お風呂はずっと目をつぶるか薄目でなんとかやってきた。体を洗う時も、うろ覚えの般若心経を唱えながら無心でしていたのだ。出来る限り意識しないよう、あいすさんに失望されないように。だというのに。

「シャワーかけますよー」

「ひぃんっ!?」

生温いシャワーが俺の体に浴びせられる。徐々に熱くなっていくそれを敏感に感じてしまい、俺は身をくねらせた。

「さっきはウィッグで誤魔化してましたけど、少し髪の毛に痛みがあるみたいなので。髪の手入れ、教えますね」

そう、俺とあいすさんが一緒にお風呂に入ってるのには理由がある。女性の髪の毛の手入れ方法を、あいすさんが教えてくれるというのだ。

「あ、あの、やっぱりあいすさんが脱ぐ必要な無かったんじゃ」

「変に濡れたら結局脱ぐことになりますし、二人で入った方が時間の節約にもなりますから。ね?」

色々と言いたいことはあるが、現状では反論出来ない。あいすさんは縮こまる俺の後ろに立ち、優しく温水を髪の毛にかけていく。

「それじゃあ、始めるよ。準備はいいですか、噛んジャーキーさん」

───それからのことは、よく覚えていない。気が付けば、俺は頭にタオルを巻いて浴槽に浸かっていた。髪の毛だけでは無く、全身まで隅々まで洗われてぐったりとしてしまっている。対するあいすさんはどこか艶々した顔で、俺を後ろから抱きしめる形で同じ浴槽に入っていた。

「なんだか、妹が出来たみたいです。私は一人っ子だし、友達も殆どいなかったから」

・・・・・・まぁ、あいすさんが満足そうだしいいか。ただ、次は絶対にお断りしよう。俺の精神が持たない。と、折角なのでこの機会に聞いてみる。

「あいすさんって、いつもこんなに距離近いんですか。俺が言うのもなんですけど、勘違いとかされません?」

「そんな、全然ですよ!私、そこまで人付き合い得意な方じゃないので」

「えぇ・・・・・・」

思わず困惑の声が漏れた。しかし、嘘をついているような感じはしない。どうやら、本気でそう思っているみたいだ。

「元々引きこもりなので、そういう人間関係のこともよく分からなくて。実は、あんまり仲のいい人も多くなかったりして。でもなんででしょう、噛んジャーキーさん相手だと安心出来るんですよね」

「・・・・・・まぁ、体がこんな風になってますし・・・・・・」

勘違いするな、俺。

「それもあるかもしれませんけど・・・・・・まぁいいや」

あいすさんがそっと抱き着いてくる。柔らかい力を込められると、お湯から感じる熱とは違う熱っぽさが、じわりと湧き上がってくる気がした。

「ちょ、ちょっと離れてくださいあいすさん。その、『スイッチ』が入っちゃいそうなので」

スイッチ。体が疼き、発散させないと治まらないようになってしまう状態をそう呼んでいた。この二週間の内、もう三回もスイッチが入っている。この前なんて二日前だ。それなのに、今の俺の体は欲しがるように下腹部を中心に疼き始めている。

「あ、そうですか?気にしないでください、元は私の責任なので。それじゃあ・・・・・・」

あいすさんは、俺の腰回りに伸ばしていた手を胸元まで持っていった。お湯に浮いているおっぱいを手のひらで包み、微妙な力加減で揉みしだいてくる。浴槽に入っていることも相まって、おっぱいが溶けるような感覚と刺激を同時に感じた。

「あっ、あいすさんっ、んくっ・・・・・・!」

「大丈夫、いつも通り私に身を任せてください」

耳元で優しく囁かれると、抵抗する気力も無くなってしまう。俺はあいすさんのされるがままに揉まれながら、彼女に背を預けて女性の快楽を味わった。と、

「んああっ!?」

きゅっと俺の両乳首をつねるあいすさん。びりびりと快感が走り抜け、手足がぴんと伸びてしまう。

「ごめんなさい、あんまりにも可愛くて。痛くなかったですか?」

「ふぅっ・・・・・・痛くはない、ですけど・・・・・・ちょっと急だったので、んんっ・・・・・・!」

乳首を弾かれながら、おっぱいをじっくりと揉まれる。感じる所を全部分かっているような指使いに、やはりこの体はあいすさんのものなんだと自覚する。その体の快楽を味わっていることに対する罪悪感が湧くが、他ならぬあいすさん自身の手による愛撫で押し流されていった。

「あんっ!あいすさっ、もうっじゅうぶっんですからっ!」

「イけない方が逆にキツいですよ?今日はこのままおっぱいだけでイってみましょうか」

うきうきとした様子であいすさんが言い、言葉通りにおっぱいへの責めが激しくなっていく。手の動きに合わせて形を変える俺のおっぱい。もう何度もあいすさんに揉まれているが、未だに俺のものだとは信じられない。強弱をつけて与えられる快感で、俺の心がぐずぐずになっていく。

「ぐっんんんんん!やっやぁっくぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!!」

ただでさえ女性の快楽は強烈なのに、それをあいすさんから受けているという事実。それが何より気持ちよくて、幸せだ。湯船に浸かりながら、後ろのあいすさんへと振り返る。せがむような視線を向けると、彼女は微笑んで唇を重ねてきた。

「んむっ・・・・・・!」

弾力のある唇が合わさって、そこから柔らかくぬめついた舌が侵入してくる。俺は、親鳥から餌を貰う雛の様に舌に吸い付いた。たっぷりの唾液が分泌され、互いに交換し合いながら熱烈なキスを続ける。

「んふっぅぅぅぅぅっ・・・・・・!」

おっぱいが強く掴まれた。微かに感じる痛みすら快感に変わって、俺の脳みそを焼いていく。体の奥に疼きと熱が蓄積して、今にも溢れ出しそうだ。あいすさんの歯茎に舌を這わせながら、俺は絶頂が近くまで来ていることを感じる。あぁ、もうすぐ、もうすぐだ。

「んっぷ、んんんんんんんっっ!!」

じゅくり。股間から何かが漏れる。垂れ流されているはずの愛液は、お湯に溶けて分からない。俺はおっぱいと口内を貪られながら、浴室の熱気に煽られるように絶頂した。

「んあぁぁっんんんんんんんぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!!!」

甲高い嬌声をあいすさんがキスで塞ぎ、吸い込んでいく。全身が痙攣し、波打つ湯船からお湯が零れていった。俺はとろんとした表情であいすさんを見つめる。彼女はとても嬉しそうな、愛しそうな聖母の笑みを浮かべていた。

「ふふ、ちゃんとイけましたね。気持ちよかったですか?」

頭を撫でられ、胸元に抱き寄せられる。暖かで、ほっとする感覚。俺はあいあすさんに身を預けながら、こっくりと頷いた。

 

 

数日後。俺はあいすさんとテーブル越しに向き合いながら頭を下げていた。

「いや、本当勘弁してください。流石に、まだ覚悟が出来てないので・・・・・・」

「むぅ~・・・・・・まぁ、そうですよね。無理強いするのは嫌だし、また今度ってことで。覚悟が決まったらいつでも言ってくださいね!」

明後日にある小規模のイベントに参加する予定のあいすさんが、俺も一緒に参加しようと誘ってきたのだ。なんでも、一緒に参加する予定の人が風邪を引いてしまったらしい。だからといって、俺自身がコスプレイヤーとして参加するのはハードルが高過ぎる。いや、出来る限りあいすさんの頼みは聞きたいけど、流石にこれは・・・・・・。

というわけで頭を下げて謝ると、あいすさんは頬を膨らませながらも了承してくれた。・・・・・・これ、もう何度か頼まれたら断れなさそうだ。その前に男に戻らないと、うん。

「でも、絶対人気出ると思うんですよね。あぁでも、私だけで独り占めするのも悪くないのかな・・・・・・」

なにやら不穏なことが聞こえてきた気がするが、きっと気のせいだろう。そうに違いない。

そして、二日後の朝。あいすさんはいつものスーツケースを引きながら出掛けていった。メイクをばっちり決めた顔で、俺に笑いかける。

「いってきます!お土産、楽しみにしててくださいね!」

「はい、いってらっしゃい。道中気を付けて」

その返事に満足したのか、彼女は大きく頷いて意気揚々と部屋を出ていく。いや、やっぱり可愛いよこの人。ちなみに、気になるサークルの新刊も可能なら買ってきてくれと頼んである。小規模イベントでも見逃せないからな。

「さて、と」

これからどうしようか。男に戻る為に調べると言っても完全に頭打ち、忽然と姿を消した定食屋の情報も掴めていない。・・・・・・ネーム描くか。最近スランプ気味だけど、なんか今日はいけそうな気がする。俺はパソコンを起動してペンタブを手に取った。さて、いけるかな?

 

「ふぅ」

小休憩を挟みつつ、気が付けば夕焼けが窓から覗く時間になっていた。これほど集中出来たのは久しぶりだ。ネームもかなり進んだのは良かったけど、昼ご飯抜いちゃったな。でも、この時間から食べるのは夕飯が入らなくなりそうだ。そろそろあいすさんも帰ってくるだろうし、夕飯の準備をしながらちょいちょいつまみ食いでもしちゃおうか。と、

ピンポーン

玄関のチャイムが鳴る。あいすさんだったら鍵を持ってるはずだし、一体誰だろう。インターホンの受話器を取って確認すると、どうやら配達か何かのようだ。

「すみません、ブチ猫宅急便です。判子をお願いしたいんですけども」

「あ、はーい」

外に出られないといっても、今までも何度かあったことなのでこれくらいは大丈夫だろう。俺はタンスから判子を取り出して玄関へと向かう。ドアを開けると、いつもの配達員と同じ制服を着た男性が立っていた。

「こんにちわ。えぇと、こちらにお願いできますか?」

紙片を差し出してくるので、それを覗き込み判子を押そうとする。しかし、その紙片は白紙だった。疑問に思った俺は顔を上げて、

「っ!?」

体を押し込まれ、玄関口に倒れる。何をする。そう言おうと男性を見上げた瞬間、俺は凍り付いた。

「大声を上げないでよ。傷つけたい訳じゃないんだ」

男性は、大振りのナイフを持ってこちらに向けている。後ろ手にドアを閉め、鍵を掛けながら続けて言う。

「今日は早く帰ってきてたんだね。いつもは30分くらい遅いんだけど。でも、良かったよ。その分長くあいすちゃんと愛し合える」

男性の目は濁っていて、どこか正気ではない雰囲気が漂っていた。ねっとりと粘つく視線に晒されて、思わず身震いしてしまう。

「お、お前、誰だ」

なんとか声を絞り出すと、男性・・・・・・おそらく、あいすさんのストーカーは眉根を上げて呟いた。

「へぇ、勇ましいね。もしかして四日前にSNSに上げていた藍騎士カティルの口調かな?でも、大丈夫。そんなことしなくても、今日僕はあいすちゃん自身と愛を深めに来たんだから。ふふふ、やっぱりノーメイクでもかわいいね、あいすちゃん」

「っ!」

おぞましい笑みを浮かべて言うストーカーは、酷く病的に見える。話が通じない。

「さ、立ち上がってくれあいすちゃん。折角だから、僕に部屋の中を案内してくれよ」

ストーカーは靴を脱いで、倒れている俺の近くまでやってきた。ナイフを突きつけられているから、従うしかない。恐怖を必死に呑み込みながら、俺はゆっくりと立ち上がる。

「何が、目的だ」

「だから言ってるじゃないか。あいすちゃんと、愛を深めに来たんだよ。今日だって、君はつれない態度を取るんだから。でも、それは想いの裏返しだよね?僕には分かってる。誘ってくれたってことを」

支離滅裂な物言い。駄目だ、完全に自分の世界で完結してるタイプだ。説得するのは難しいだろう。どうすれば。

「ほらほら、中を案内して?ここが愛の巣になるかは分からないけど、僕もあいすちゃんが普段過ごしている場所を見てみたいんだ」

「・・・・・・」

今の俺は、あいすさんの体だ。だから、このストーカーはあいすさん本人だと勘違いしてるんだろう。見たところ、ストーカーはそこまでがっしりした体つきでは無い。元の体ならがむしゃらに組み付けばなんとかなるかもしれないけど、今はどうしようもない。俺は、ゆっくりとリビングへと向かいながら考える。一体どうすればいい?あいすさんはもうすぐ帰ってくる。それまでになとかしないと、彼女にも危害が及んでしまうかもしれない。

「へぇ、ここがあいすちゃんが生活しているリビングかぁ。監視カメラは付けられなかったから、見るのは初めてだよ。うーん、いい香りがする」

ストーカーの言葉を聞きながら、俺は震える体を抑えて思考していく。俺だって死にたくはない。だけど、あいすさんに危害が及ぶのはもっと嫌だ。考えろ。考えるんだ・・・・・・!

「一人暮らしにしては立派だなぁ。やっぱり、僕と暮らすことを考えてくれてたんだね」

椅子を使って殴り飛ばす?いや、相手がナイフを持ってる以上危険だ。上手くナイフを持ってる手を攻撃して手放させることが出来れば。俺はただの人間だ、そんな達人みたいなことは出来ない。クソッ・・・・・・。俺が解決策を見出せずにいると、ストーカーがテーブルに置いてあるパソコンに目を付けた。

「これは・・・・・・漫画?あいすちゃん、漫画描けたんだ。天は二物を与えるんだね。・・・・・・ん?」

パソコンを覗き込むストーカー。今しかない。俺はストーカーがパソコンに気を取られている内にそっとテーブルの向かい側に回り込み。渾身の力でテーブルを押しやった。反撃されるとは思っていなかったのだろう、ストーカーは腹部にテーブルを叩きつけられ、そのまま壁との間に挟まれる。

「ぐっ!?」

しかし、ストーカーはナイフを落とさなかった。それどころか、殆ど止まることなくテーブルを押し返してくる。力では敵わない、そのまま押し返され、俺は足を滑らせ倒れ込んでしまった。

「なぁぁぁにをするんだあいすちゃんんん!酷いじゃないか酷いじゃないかねぇねぇねぇねぇ!!!」

覆い被さってくるストーカー。抵抗しようとした瞬間、顔の横、フローリングにナイフが深々と突き刺さる。

「酷いなぁ酷いなぁ、なんでこんなことするの?僕はただ、君と愛し合いたいだけなんだよ?ねぇ、どうして?返事をしてよあいすちゃん」

ブツブツと呟きながら、ストーカーは俺を見下ろしていた。そのままナイフを引き抜いて、今度は俺の体目掛けて振りかぶる。怖い。怖くて、身動き一つ出来ない。なんでだ、俺は、こいつをどうにかしなきゃ・・・・・・。

「・・・・・・あぁ、そういうことなんだね。言ってくれればよかったのに」

不意に、ストーカーがナイフを下ろす。俺の体にではなく、再びフローリングに。突き刺して、にたりと笑った。

「そういうプレイだよね?襲われたかったんだ、あいすちゃんは」

ぞわり。全身が総毛立つ悪寒を感じる。ストーカーはにたにたと笑いながら、俺の服に手をかけた。

「や、やめっ」

「分かってる分かってる。無理やりされたいんでしょ?ちゃんと叶えてあげるよ、僕は誰よりもあいすちゃんのことを思っているんだ」

強引に上着を破かれて、あいすさんに選んでもらったブラジャーが露わになる。ふざけるな。恐怖を怒りで押し殺して暴れるも、がっちりと組み敷かれていて逃れられない。

「はははっ、綺麗だ、綺麗だねぇ!さぁ、見せてくれよその中身を!ずぅっと待ち続けていたんだからさぁ!」

酔っ払ったような声を上げながら、ストーカーがブラジャーを剥ぎ取る。俺の胸元がさらけ出され、腕で隠そうとするも力尽くで押さえられ敵わない。

「あぁ・・・・・・あぁ、最高だ。僕にだけ、見せてくれるんだね。ふっふふふはははは!!」

哄笑と共に、顔を埋められた。鳥肌が立ち吐き気がするが、抵抗出来ない。ストーカーはうっとりとした顔で目を閉じて、生温かい吐息が胸にかかる。

「おいしそうだなぁ・・・・・・いい?いいよね?いただきます」

「やめろぉ!!」

俺の声も意味は無く、ストーカーは乳首にしゃぶりついた。おぞましい感覚が脳へと這い上がって、俺は体を震わせる。ふざけるな。これは俺の体だけど、あいすさんと同じ体なんだ。あいすさんを凌辱するな!嫌悪と怒りで頭が真っ白になるが、逃れる方法は無い。畜生。畜生・・・・・・!

「じゅるっんむぅ・・・・・・あぁ、美味しい。でも、ミルクが出ないのが残念だ。まぁ、時間の問題だよね?今度、ちゃんと飲ませてもらうから」

胸へと吸い付きながら、今度は俺の足をこじ開けようとしてくる。自由になった両手でストーカーを引き剥がそうとするが、力では全然敵わない。強引に開脚させられて、奴はズボンのチャックを下ろした。膨れ上がったペニスが露わになって、辺りに異臭を漂わせる。

「もう二ヶ月も出してないんだ。あいすちゃんに全部受け止めてほしくて。さぁ、一緒になろう」

「ふざけるんじゃねぇっ!くそっ、離せ、離せよっ!」

それだけ暴れてもストーカーは意に介さない。腰をがっちりと掴まれ、逃げ場も無いままペニスが近付いてくる。いやだ、いやだいやだいやだ!せめてもの抵抗としてストーカーを睨みつけながら、俺はおぞましい感覚への覚悟を・・・・・・あ。

「あははは、いい顔だ。ほら、僕を受け止め、えっがぁっ!?」

ストーカーの後ろから伸びてきた手が、顔面に何かを吹き付ける。顔を押さえてうずくまるストーカーを横に押しのけながら、後ろに立っていたあいすさんが俺の手を取った。

「噛んジャーキーさん!」

引っ張られるままに立ち上がると、あいすさんは泣きそうな顔で俺を抱き締めた。痛いほどに力を込めながら、彼女は涙ぐんだ声で言う。

「よかった・・・・・・!無事?大丈夫?」

「は、はい。俺は、なんとか。あいすさんこそ、どうして・・・・・・」

「部屋に入ろうとしたら大きな音とか声が聞こえたから。何かあったのかもと思ってそっと近付いたら、噛んジャーキーさんが襲われてて。唐辛子スプレー持っててよかったよ、本当に」

言いながら、あいすさんは手を離して横で呻いているストーカーを見る。

「こいつ、私のストーカーです。ずっとつきまとってきてて、今日も大分迷惑してたんだけど・・・・・・まさか、部屋にまで来るなんて。えい」

「いぎぃっ!?」

あいすさんは、ストーカーの顔へと追加でスプレーを噴霧する。悶え、のたうつストーカー。いい気味だ。

 

それから。俺たちは警察を呼ぼうとしたが、俺の身元を調べられたら面倒事になる可能性に気付く。仕方なくあいすさんと話をすり合わせ、彼女自身が襲われたということにした。迷惑しかかけていないが、こればっかりはどうしようも無い。平謝りする俺にあいすさんは言う。

「元々はストーカーを放置していた私のせいだから。とりあえず、謝罪合戦するのは後にしましょう。ね?」

ぐうの音も出ない正論に、俺は頷きながら部屋を後にした。俺がいると色々都合が悪いので、相談した結果近くのホテルに泊まることにしたのだ。

帽子とマスクで顔を隠しながら、俺は人混みを歩いていく。不思議なことに、動悸は多少激しくなるものの歩けない程の不調になることは無かった。体に慣れてきた。そんな感じがする。

ホテルに着いて結構後。とっくに日が落ち切った深夜23時頃に、あいすさんから連絡が来た。ストーカー自身が錯乱しながらも自供しているので、比較的スムーズに終わったとのこと。ほっとしていると、続けてメッセージが飛んでくる。

『このまま噛んジャーキーさんの所に向かってもいいですか?』

『構いませんけど・・・・・・部屋の方に帰らなくていいんですか?』

『色々と散らかっちゃってて・・・・・・正直、片付けする気力が無いんです。折角なので、私もそっちに泊まっちゃおうかなって』

あぁ、確かに。俺がストーカーに仕掛けたせいで色々散らかってしまってたし、警察の手も入っている。明日、部屋に戻った時に片付けを手伝わないと。

『了解です。ホテルの方には俺から連絡しておきますね』

『わーい!お願いします!』

あいすさんの返信を見た後、俺はスマホから目を離して天井を眺める。大事にならなくて良かった。そう思いながらも、俺は自分の情けなさに歯噛みした。あんなストーカー相手に、いいようにやられそうになるなんて。男として、本当に情けない。と、

「あれ?」

体が、少し震える。どうやら、今になって恐怖心が湧き上がってきたらしい。確かに、命の危険もあったんだ。怖いと思うのは普通だろう。でも、それ以上に情けない気持ちが強い。だって、あいすさんは臆せずに立ち向かったのに。

「あぁもう。駄目だな、俺は」

吐き捨てるように言って、俺はベッドの上に大の字になったままあいすさんが来るのを待つ。今までの出来事を思い出しながら、ぼんやりと考えた。

なんで、俺はあいすさんの体になったんだろう。原因はあの定食屋だと思うけど、目的が分からない。こんなことをして、一体何になるというんだ。俺に対する嫌がらせにしては婉曲過ぎるし、大体こんなオカルト染みたことを起こす奴がまともな訳が無い。

変身定食。そんな気の抜けた名前の定食は美味しかったけど、多分あいすさんの体になってしまった元凶でもある。だけど、よく考えたら注文をいたのは俺自身だ。店員の女の子も何やら意味ありげな様子だったし、あの時に気付くべきだった。・・・・・・いや、無理だ。SNSで知り合った人気コスプレイヤーと同じ肉体になるなんて、あの時に気付くのは難しいだろう。

だからといって、現状あいすさんに迷惑をかけているのは事実だ。早く男の体に戻って、あわよくば想いを伝えたい。一切手がかりが無い中で、それでも俺は願う。元の体に戻れることを。と、

「ん、ぅ・・・・・・」

あいすさんのことを考えたからだろうか。体の奥、子宮があるであろう下腹部に火が灯る。熱と疼きがじわじわと漏れ始め、俺は困惑した。まさか、こんな些細なことで『スイッチ』が入るなんて。深呼吸をしつつ、心を落ち着ける。発情したままあいすさんを迎えるわけにはいかない。

「ふぅ、んんん・・・・・・あぁ、くそ」

これは、よくない。元々、簡単に抑えられるようなものではない。でも、自分で慰めるのには抵抗がある。この体はあいすさんと同じなんだから、俺が手を出すのは彼女に対して不誠実だと思うからだ。

目をつぶって、大きく息を吸って、吐く。少しでも熱を発散しようとするけど、上手くいかない。むしろ、目をつぶったことで熱と疼きがより鮮明に感じられるようになってしまった。ずくんずくんと下腹部から伝わる、男の時では味わえなかった感覚。脳をじりじりと焼いていくようなそれは、酷く甘美で濃厚だ。顔を枕に押し付けて、どうにか堪えようとする。

「はぁ、ふ、ぅぅぅぅ・・・・・・・」

艶めかしい女性の声。俺が、出しているものだ。意識しないようにと思う度、逆に強く意識してしまう。あいすさんと同じ、女性の魅力に溢れた肉体。無意識に股間に伸ばしそうになった手を押さえて、俺は悶々としながらあいすさんが到着するのを待つ。ベッドの上で悶えるものだから、シーツがしわでぐちゃぐちゃになってしまった。

 

どれだけの時間が経っただろうか。もどかしい気持ちに苛まれている俺の耳に、スマホの通知音が聞こえる。汗に塗れた手を伸ばし確認してみると、あいすさんがホテルに到着したようだ。火照った体を引きずって、入り口の鍵を開ける。程なくして、ノックの音が部屋に響いた。

「噛んジャーキーさん?いますか?」

「あ、開いてます」

か細い俺の声に不安を覚えたのか、あいすさんは結構な勢いで部屋の中へと入ってくる。いつものスーツケースだけでは無く、何かが入ったビニール袋も提げているようだ。

「か、噛んジャーキーさん!?大丈夫ですか!?」

扉の近くで膝をついている俺を見て、あいすさんは慌てて駆け寄ってきた。

「す、すみません・・・・・・スイッチが、入っちゃったみたいで」

息も絶え絶えに言う。あいすさんは荷物を放り出して、俺に肩を貸してベッドまで連れていってくれる。体を寝かされた後、聞いてきた。

「ごめんなさい、辛かったですよね。もっと早く来れてたら・・・・・・」

「いや、あいすさんは、悪くないですよ。俺が、こ、こんな風になったのが悪いんですから」

「そんなこと・・・・・・!あぁもう!と、とにかくそんなに辛いなら自分で慰めればよかったじゃないですか!」

複雑そうな表情を浮かべては消して、あいすさんが言ってくる。俺は力無く、火照った顔で微笑みながら答えた。

「だって・・・・・・この体は、あいすさんと同じものじゃないですか。俺が、勝手に慰めるのは、あいすさんに申し訳ないですよ」

「っ・・・・・・噛んジャーキーさんは、お人よし過ぎですよ!だから私みたいな人間に押し切られるんです!」

何故か怒ったような雰囲気で、あいすさんは俺に覆いかぶさってきた。ストーカーにやられた時には恐怖と不快感しか湧いてこなかったが、あいすさんが覆いかぶさってくると安堵感が心を包むのを感じる。それに、俺はもう限界だ。縋るように、彼女の首に手を回して引き寄せる。同じ形の唇を重ねながら、そっと抱き締めた。

「んふっ、んんん」

柔らかく、暖かい。もう何度も味わったものだけど、どうしてこんなに安心するんだろう。きゅうきゅうと子宮が疼き、目の前の彼女を求めて治まらない。

「んむっ、あっむ・・・・・・!」

ぴちゃぴちゃと、唾液のいやらしい音が部屋に響く。脳髄まで痺れるような快楽と心地良さを感じながら、ふと思った。俺は、あいすさんが好きだ。だからこそ、男に戻ってから告白しようと思っていた。そうしないと、異性として意識してもらえないと思っていたからだ。

だけど。本当にそうだろうか?あいすさんは、今の俺をどう思っているんだろう。

「んっ、ぷはっ!ねぇ、あいすさん」

絡みつくようなキスの合間に、俺は声を出す。潤んだ瞳であいすさんを見つめ、不安混じりに呟いた。

「あいすさんは、俺のことをどう思ってますか?こんな、ずっと迷惑かけっ放しな俺を」

あいすさんは、ちょっと驚いたような表情の後くすりと笑った。その後、聖母のような笑みを浮かべて言ってくる。

「そうですね。なぁなぁで済ませてしまって、私自身の気持ちを伝えていませんでした。うん、じゃあ、言いますね」

頬を染めた彼女は、俺に告げた。

「大好きです。likeじゃなくて、loveですよ?」

その言葉は、すっと俺の心に沁み込んできた。きっと、頭の隅では気付いていたのかもしれない。あいすさんの、好意に。

「元々は、噛んジャーキーさんの同人誌が好きなだけだったんですけど。実際に会えて、お話して。優しい人だなぁって思いました。その後に、噛んジャーキーさんが私そっくりに変身して。二人で過ごす内に、どんどん気持ちが変化していったんです」

彼女は語っていく。俺が今まで知らなかった、思いの丈を。

「変ですよね?自分の生き写しみたいな姿になってから、恋をするなんて。きっと、私の想いは歪んでいるんだと思います。過去のトラウマとか、色々で。噛んジャーキーさん本人を愛していると思っていても、実際は違うのかもしれない。自分では、分からないんです。それでも」

透き通った、それでいて激しい感情を秘めた瞳で俺を射抜く。

「好きです。私は、噛んジャーキーさんが大好きです」

───あぁ。じゃあ、いいか。俺は、このままでも。

「俺も、好きです。最初は勘違いしちゃいけないと思っていたけど、やっぱり好きになってしまった。俺の、この気持ちもあいすさんの姿になってからですから。お互い様ですよ」

俺とあいすさんは見つめ合って、やがて笑い出す。あれだけ悩んでいたのが馬鹿みたいだ。言葉にすれば、こんなに簡単なことだったのに。

「んっ・・・・・・」

どちらともなく、キスを再開する。啄むように唇を何度も重ねながら、あいすさんは自身と俺の服を脱がしていった。

「ふふ。良かった。私達、両想いだったんだ」

幸せそうに微笑みながら、あいすさんは生まれたままの姿で俺に抱き着いてくる。むにゅりと四つのふくらみが重なって、甘い痺れが伝わってきた。

「あっ・・・・・・。あ、あいすさん」

「ねぇ、噛んジャーキーさん。さわりっこ、しませんか?」

言って、あいすさんは俺の胸に手を伸ばす。輪郭をなぞるように揉まれると、ぞくぞくとした感覚が脳まで突き抜けた。おずおずと、俺はあいすさんの胸へと手を伸ばし、片手では零れてしまいそうなおっぱいをそっと揉んでみる。

「んっ」

艶やかな声があいすさんから漏れる。初めて触った彼女のおっぱいは、しっとりとした肌触りでとても柔らかかった。俺が指を沈ませるように揉んでみると、あいすさんも負けじと俺のおっぱいを揉む。快感のキャッチボールのように、俺たちは倒錯的な刺激に身を任せた。

「はぁ、ぅ・・・・・・!気持ちいいですか、あいすさん?」

「うん、とっても気持ちいい。噛んジャーキーさんはどう?」

「俺も、気持ちいいです。でも、それ以上に幸せで。俺なんかが、こんな幸せでいいのかなって・・・・・・あいてっ」

俺の言葉に、あいすさんが軽くデコピンをしてきた。頬を膨らませて言ってくる。

「俺なんかが、じゃないですよ。私の好きな人のことを貶すのはやめてください」

「ご、ごめんなさい。でも」

「でも、じゃない。卑下し続ける噛んジャーキーさんなんてこうですっ!」

「んあああっ!?」

きゅっと乳首をつねられ、俺は嬌声を上げた。いつも通りの、しかしいつもより満ち足りる快感。俺は身をくねらせながら、思わずあいすさんのおっぱいを強く揉んでしまう。

「んんっ!ふふ、可愛いですよ噛んジャーキーさん。自信を持ってください、貴方は立派な人です」

「わかっ分かったからくにくにするのやめっくぅぅぅぅぅっ!」

あいすさんは俺を励ますような言葉を言いながら乳首を弄んできた。ヤバい、力が抜ける。くたりと胸元にもたれかかってしまう俺の頭を撫で、あいすさんが耳元で囁いた。

「ほら、噛んジャーキーさんも私を気持ち良くしてください。ね?」

俺の口元に、あいすさんの乳首が当てられる。これは、そういうことだろうか。おそるおそる、口に含んでみる。汗のせいだろうか、少ししょっぱい。

「んっ・・・・・・吸っても、乳は出ないですけど」

その言葉に、歯を立てないように気を付けながら吸い付いてみる。実際に何かが溢れてくることは無いが、なんとなく気分が満たされるような感じだ。そのまま乳首を味わっていると、徐々に固くなっていくのが分かった。

「ふっ、んぅ・・・・・・!」

あいすさんの艶めかしい声。そういえば、俺からあいすさんを責めるのは初めてだ。気分が高揚していくのを自覚しつつ、ちゅうちゅうと乳首を吸った。その度にあいすさんが敏感に反応してくれて、俺はとても嬉しくなる。

「んぅぅっ!もう、甘えんぼですね」

髪の毛を梳くように撫でられると、心が喜んでいるのが分かった。と、あいすさんは俺の股間に手を伸ばしてくる。ぬるりとした感触と、強烈な快感。

「んむっんんんんっ!」

「あっんああああぁっ!!」

クリトリスが指先で刺激され、俺はくぐもった声を上げる。反射的に乳首を強く吸ってしまい、あいすさんからも鋭い嬌声が漏れていた。

「ふ、ぅ・・・・・・。噛んジャーキーさん、やってみたいことがあるんですけど」

「んぅっ・・・・・・なんですか?」

「貝合わせ、って知ってます?」

貝合わせ。女性器同士を擦り付ける、アレだ。俺は描いたことは無いけど、まぁ知ってはいる。

「・・・・・・えっと。します、か?」

あいすさんから体を離し、足を開く。愛液がたらりと垂れて、ベッドのシーツを汚していった。あいすさんは、いやらしいポーズを取った俺に嬉しそうに頷いて、そっと足を絡めてくる。肉感的な太ももが擦れ合い、敏感な刺激が伝わってきた。

「わ、私も初めてなので。痛かったりしたら、言ってくださいね?」

少しだけ不安そうな表情になりながらも、あいすさんが腰を近付けてくる。二人の股間から立ち上る熱気が混じり合って、部屋に充満していくかのようだ。そして、

くちゅり

「「っっっぁぁあっ!!!」」

膣が、おまんこ同士が触れ合った。全く同じ声で喘ぐ俺にあいすさん。快感で腰が動き、それでおまんこが擦れて更なる快感を生んでいく。

「はっ、あ、んんんっ・・・・・・!あ、あいすさん、あいすさんっ!」

「噛んジャーキーさんっ、気持ち、いいですっ!」

なんと言えばいいのだろう。快楽を互いに与え合う感じが、何故かしっくりくる。あいすさんと、おまんこ・・・・・・性器を擦れ合わせているという事実が、心身をより一層興奮させてくるのだ。ねだるように腰をくねらせ、あいすさんのおまんこへと押し付ける。

「く、ふっ・・・・・・!もう、負けません、よっ!」

「んぅぅっ!は、はは。あいすさん、好きです。大好きです!愛してます!」

負けじと腰を動かすあいすさんに、俺は溢れ出してくる気持ちを伝えた。理性が完全に溶け落ちて、俺は本能のまま愛する相手と体を重ねる。

「うふふっ、うれ、しいなっくぅうぅぅぅっ!私も大好き、愛していますっ!」

愛の言葉を交わしながら、俺たちは腰を押し付け合う。火が煽られるように熱が高まっていき、じわりじわりと二人で絶頂へと上がっていく。腰の動きが激しくなっていき、淫靡な水音が響き渡った。絡まった足は愛液でびちょびちょだ。

「「んんんぁぁぁぁっ!!」」

互いのクリトリスが擦れて潰れる。鋭く痺れるような快感が俺たちを襲い、嬌声がぴったりと重なった。クリトリスをより刺激出来るように、俺も、あいすさんも腰の動きを変化させる。限界が、近い。

「あいすさっもうっそろそろぉっ!!」

「うんっうんっ私もっぅぅぅぅうううう!!」

痙攣と共に、腰が不規則に押し当てられる。何かが弾けるような感覚。それは連鎖的に爆発して、俺たちの精神を吹き飛ばしていった。

「「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」」

歓喜の咆哮。ばちばちと視界が白くスパークして、全身が震え股間から液体が噴き出す。快楽が絶え間無く溢れ、俺とあいすさんは絶頂した。

「あぁ、ぁぁ、ぁ・・・・・・!」

絶頂はしばらく続き、一生分の快感を味わったような気分だ。俺は未だに痙攣している体をなんとか動かして、同じく痙攣しているあいすさんの元へ這っていく。添い寝の様に横に寝転がりながら、俺はあいすさんを抱き締めた。

「か、噛んジャーキーさん・・・・・・?」

「もう、離しません。大好きです、あいすさん」

余韻に浸かる中で、俺はあいすさんを見つめて言う。彼女は蕩けた表情で、心底嬉しそうにふにゃりと笑った。

「えへへ・・・・・・うん。私も、大好きです」

抱き返し、密着してくるあいすさん。彼女の鼓動を全身で感じ、俺は幸福感に包まれていく。俺は、幸せ者だ。

そうして、俺たちは抱き合いながらゆっくりと微睡みに落ちていった。とても、暖かな微睡みへと。

 

 

「こっちに目線くださーい!」

「「はーい!」」

数か月後。俺とあいすさんは寒空の下、双子姉妹キャラのコスプレをしながらポーズをとっていた。

あれから、この体で生きていくために色々と調べたのだけれど。その結果、とんでもないことが発覚する。なんと、俺の戸籍が書き換わっていたのだ。最初から女性として生まれ、女性として生きていたように。実家にも連絡してみたが、どうやら家族の記憶すら書き換えられているらしい。

「神様が、ご褒美をくれたのかもしれませんね」

とは、あいすさんの言だ。信じられないような状況だが、今の俺にとっては好都合でもある。仕事の方はひとまずバイトで誤魔化しつつ、俺はあいすさんの強い勧めと自身の希望もあって、彼女とそっくりの見た目である『柊そるべ』としてコスプレ&同人活動を続けることになったのだ。

パシャパシャパシャ!

シャッター音が絶え間無く鳴り響く。覚悟を決めてあいすさんと双子コスプレイヤーとして活動することにはなったけど、やはり慣れることは無い。俺の浮かべる笑顔はひきつっていないだろうか。レンズを向けてくる人達に、変だと思われていないだろうか。頬に熱気を感じながら、俺はあいすさんに合わせてポーズを取った。

「そるべ、大丈夫?」

あいすさんがそっと囁く。悪戯っぽい表情の中に、僅かに心配そうな雰囲気を滲ませているようだ。

「うん、まぁ。まだ慣れないけど、どうにかなってる・・・・・・かな」

俺があいすさんとコスプレするのを決めたのには、当然だけど理由がある。第一に、あいすさんの望みを叶えたかったということ。第二に、過去のあいすさんと同様にコスプレをすることで人前に出ても大丈夫になれるのではないかとということ。そして第三に・・・・・・俺自身が、やってみたかったということ。

「すいませーん、こっちにも目線くれますか?」

「「はーい!」」

実際に、こうやってコスプレしながら人前でポーズを取っていると、なんとも言えない楽しさが湧き上がってくる。周囲の人達の視線を釘付けにする感覚と、あいすさんと一緒にキャラクターとして振る舞う面白さ。男の頃からは考えられなかったけど、どうにもハマッてしまいそうだ。

「ねぇ、そるべ」

撮影会の合間の小休憩、あいすさんがひそひそ声で耳元に囁いてくる。

「今、楽しい?」

ほんの少しだけ不安そうなその問いに、俺はにっこりと笑って答えた。

「はい。とっても」

寒空の下、俺は温かな想いになりながらあいすさんに微笑むのだった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。