※この作品はR-18です。

TSアイテムで人生が変わる話   作:てぬてぬ@TSF

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片思いの女子に憑依して色々楽しんでいたら元に戻れなくなりそうで慌てる話

「こ、これが・・・・・・!」

 

目の前の小瓶を見つめ、丸刈りの少年は震える声で呟いた。小瓶には無色透明の液体が入っているが、なんのラベルも貼られていない。少年は手にしている小瓶をじっと見つめ、湧き上がってきた唾をごくりと飲み込む。

 

「憑依薬・・・・・・これさえあれば、あの渕見さんに・・・・・・」

 

興奮しているのか、少年・・・・・・井口融の頬は赤らんでいた。ただの噂だと思っていた薬が自分の元にある。その事実に胸を高鳴らせているらしい。

 

最初はクラスメイトから聞いた与太話だった。幽体離脱し他人に乗り移れる薬がある。高校の近くにある古びた雑貨屋で、店番の女の子に合言葉を言えば売ってもらえる、と。嘘にしてもくだらない内容だ。

 

しかし、友人の中には実際に憑依薬を手に入れた者がいた。それを使い、担任の女教師に乗り移って「色々と楽しんだ」らしい。憑依の間は対象の記憶が残らないので好き勝手出来たようだ。ならばその薬を見せてみろと周囲の者達ははやし立てたが、合言葉は日替わりの為再度購入は出来なかった、と嘯いていた。

 

もし本当に憑依薬なんてものがあるなら、色々と悪いことにも使えるだろう。が、融の頭にあるのは友人が自慢げに話した内容。女性の快感は男のそれより遥かに気持ちいいという実体験のことだ。

 

どうせ嘘やでたらめだ。そう思いつつも、それを聞いた日から融は悶々とした日々を過ごしていた。野球部での練習にも中々身が入らず、考えるのは憑依薬のことばかり。そして、もし手に入れたら誰に憑依してどういうことをするか、ということだけを考えていた。考え過ぎのせいか、心身共に妙に疲れが癒えない。罪悪感を覚えているのか自慰の回数も減少気味である。

 

誰に憑依するかはすぐに決まった。同じクラスの渕見みどりという名前の女子だ。融が密かに思いを寄せている相手でもある。比較的小柄ながら発育のいい体に、まるで花咲くような元気いっぱいの笑み。誰からも好かれるような人柄で、クラスの中心人物の一人だった。

 

野球部のマネージャーも務めている彼女は、部員である融と接することも多い。レギュラーになれず落ち込んでいた時、親身になって励ましてもらったこともある。人懐っこい彼女にそんな風に接せられて、当然の流れで融は恋に落ちてしまった。多感な時期故の一目惚れだ。

 

それでも彼は好意を伝えず、あくまでクラスメイト、部員とマネージャーとしてみどりと接している。どうせフラれるだろうという悲観的な考えはそこまで間違っていない。今までに5人が彼女に告白したが、全員もれなくフラれたという話を聞いたことがあるからだ。

 

だから、融はみどりと恋人同士になることを諦めている。そんな中耳に入った憑依薬の存在は、彼の恋慕や情欲を煽るには十分だった。もしもみどりに憑依して、その体を好きに味わえたら。倒錯した感情に自己嫌悪しながらも妄想は止められない。結局、勉学と部活の両方ともが疎かになってしまっていた。

 

そんな折、朝練を終えて教室に戻り、自分の机に座った融は奇妙なものを発見する。引き出しの中には見覚えの無いメモ用紙。『憑依薬の合言葉。今日まで』とボールペンで記されていた。その後には合言葉と思わしき文字が続いている。

 

イタズラか?そう思った融だが、自身の欲には抗えなかった。部活が終わった後、全速力で雑貨屋まで走る。店番には確かに女の子がいて、妖しい雰囲気を漂わせている彼女に記されていた合言葉を告げた。

 

「ほぅ。息を切らして駆け込んできたと思えば、成程。少し待っていておくれ」

 

店の奥に引っ込んだ女の子は、すぐに戻り融に小瓶を手渡してくる。まさか、本当に。息を整えながら思考が纏まらない彼に、女の子はにっこりと微笑んだ。

 

「お望みの憑依薬だ。どう使うかは、全て君次第だよ」

 

そして。帰宅した融は、夕飯とシャワーもそこそこに自室で憑依薬を見つめている。これを飲めばみどりに憑依出来るのか。いや、手の込んだイタズラかもしれない。あるいは小瓶に入った液体は毒か何かかも。でも、もしかしたら・・・・・・。危険だと告げる理性と抗いがたい欲望が融の中でせめぎ合っていた。

 

「・・・・・・よ、よし」

 

最終的には欲望が勝り、融は小瓶の蓋を慎重に開ける。中の液体はなんの匂いも無く、まるでただの水のようだ。微かに震える手で口元に運び、一気に飲み下す。口の中に広がったのはほんのりとした甘みと薬品めいた苦み。妙に舌に残る味だ。

 

「・・・・・・」

 

しきりに唾を呑み込みながらベッドに横たわるが、特に変化は無い。話によれば幽体離脱した後、憑依したい者の元に向かえばいいらしいが・・・・・・肝心の幽体離脱の兆候は感じられなかった。結局嘘だったのか。落胆を覚え始めた時、融は奇妙な浮遊感を感じ始めた。

 

「お、おぉ?」

 

同時に意識が遠のき始め、体の感覚が曖昧になっていく。麻酔でもされたかのように気を失うと、次の瞬間には自室の空間に浮き上がっていた。視界の下にはベッドに寝ている自分が見える。友人から聞いた通りの状況に、融は興奮を抑え切れず声を漏らした。

 

「成功した・・・・・・?おい、マジかよ!」

 

慌てて今の自分を確認しようとするが、腕や足の感覚はあるのに視界には映らない。どうやら本当に幽体離脱しているようだ。だったら急がなければ。憑依薬には時間制限があるらしく、一定時間が過ぎれば強制的に自分の体へと戻されてしまうらしいのだ。

 

窓を開けて外に出ようとする融。しかし、窓の淵を掴むことが出来ない。幽体なので当然だが、気が急いている彼は混乱するばかりだった。数十秒後、窓をすり抜けられると気付きなんとか外に出る。既に空は暗く、建物からの明かりと街灯が眼下を照らしていた。

 

どうやって動いているのか分からないまま、融は夜空をふわふわと進んでいく。みどりの家の場所は知っている。野球部の買い出しを手伝った時に訪れたことがあるからだ。とはいえ、夜の街並みは普段と違って見える。その上自身は浮いているのだ。ちゃんと辿り着けるか不安になってしまう。

 

が、そんな彼の気持ちは杞憂だったようだ。迷うこと無くみどりの家まで到着した融は、壁をすり抜けて中に侵入する。確か、彼女の部屋は二階にあったはず。記憶を頼りに探してみると、すぐに見覚えのある扉を発見した。

 

「ここ、だよな」

 

デフォルメされた動物が描かれたプレートに「みどりの部屋」と記されている。間違い無い、この部屋だ。幽体には必要無い深呼吸を繰り返した後、融はそっと扉をすり抜ける。そこには勉強机に向かい、課題を片付けているらしいみどりがいた。

 

「うーん・・・・・・」

 

シャーペンを手先で回しつつ、悩ましげな声を漏らすみどり。部屋に入ってきた融には気付いていないようで、とても無防備な姿に見える。異常な状況による背徳感でくらくらしながらも、彼はみどりへとゆっくり近付いた。

 

憑依する為には自身の幽体と相手の体を重ねわせればいい。事前に聞いていたようにみどりの背中に手を伸ばす。なんの感触も無く、彼女の体に手がずぶりと沈んだ。瞬間、吸い込まれるように体の中へと引き寄せられていく。

 

「っ、な、なに?えっ・・・・・・」

 

みどりの体がびくりと震え、虚ろになった瞳がさまよう。全身が微かに痙攣し、手に持っていたペンが音を立てて落ちた。やがて痙攣は治まり、意識が戻った瞳が何度も瞬きを繰り返す。慌てたように立ち上がり、自分の体を見下ろした。

 

「せ、成功だ・・・・・・!」

 

みどり・・・・・・彼女に憑依した融が上擦った声を上げる。顔をぺたぺたと触ると、いつものざらついた皮膚とは違う感触が返ってきた。スキンケアをしているのか、瑞々しくハリが感じられる。カメラ機能で確認しようと辺りを探し、みどり本人のスマホを手に取った。しかし・・・・・・。

 

「あ、顔認証じゃない」

 

スマホのロックはパスワード式で、融では解除出来ない。仕方なく部屋を見回すと、さっきまで目に入っていなかった姿見を発見した。丁度いい。呼吸が早くなりながら姿見の前に立つと、ストライプ模様のパジャマを着たみどりがそこに映る。その表情は、普段の朗らかな笑顔とはかけ離れただらしない笑みを浮かべていた。

 

「ほん、ほんとに渕見さんになってるんだ」

 

興奮からどもりつつ呟くと、女性らしい声が口から漏れる。自分の声ではない違和感と、憑依に成功したという実感。融はみどりの心臓が鼓動する音を聞きながら、姿見に顔を近付けた。頬を上気させた彼女の顔が間近に見える。

 

「はぁ、はぁ」

 

吐息がかかる程の距離。ここまで近くでみどりの顔を見たことは無かった。潤んだ瞳の中にも彼女が映っていて、もっと覗き込もうとして更に顔を近付ける。が、

 

「いてっ」

 

ぶつけた鼻を押さえ、数歩後ずさる融。目の前にみどりがいるのでなく、みどりに憑依した自分が鏡の前に立っているということが頭から抜けていたらしい。形の整った鼻をさすりつつ、もう一度姿見に視線を向けた。

 

「・・・・・・よ、よし」

 

気を取り直しパジャマのボタンに手をかける。融の息は荒く、心臓の鼓動は未だ激しい。自分の興奮がみどりの体に影響しているのだ。今やっていることは痴漢やストーカーよりも悪質だと思いながら、それでも手の動きは止まらない。ボタンを上から一つずつ外していき、彼はパジャマを脱ぎ捨てた。

 

「うぉっ・・・・・・」

 

小振りながら形のいい乳房が、落ち着いた紺色の下着に包まれている。これがナイトブラか。拙い知識で考えながらそのブラを外そうとする。が、どうすればいいのか分からない。女性の下着の仕組みは彼の知識の外だ。

 

背中側にホックがあることに気付いた融は、四苦八苦しつつ取り外そうとする。みどりの体は柔軟で、背中まで簡単に手を伸ばせるようだ。そのままどうにかホックを外しナイトブラを脱ぐと、胸が外気に晒された。姿見に映る生の乳房に、彼の視線は釘付けになってしまう。

 

「うわ、すご・・・・・・!」

 

ネットの画像や動画で女性の胸を見たことはある。局部と違ってモザイクもかかっていなかったそれは、しかしみどりの胸とは比べ物にならない。目の前の、手の届く場所にあるという存在感。そして、みどり自身に好意を抱いているという感情が興奮を加速させていく。

 

融は姿見に映った胸に手を伸ばすが、平らな鏡面の感触しかしなかった。当然だ、姿見が映しているのは今の自分の体なのだから。視線を落とし生唾を呑み込む。綺麗な膨らみに先端の突起が視界に飛び込んできた。

 

触ってもいいのだろうか。憑依し上半身裸になっているというのに、今更になって躊躇する融。好きな人の生乳に圧倒されているようだ。が、そんな躊躇も溢れ出る情欲には勝てず、そっと手を伸ばし乳房全体を包むように触れてみる。

 

「触られてる感覚が、ていうか柔らかい、あ、あぁ」

 

熱っぽい息と共に呟き、指を乳房に食い込ませる。みどりの胸を触っている感覚と触られている感覚が同時に伝わってきた。融はくらくらとする頭のまま、本能に従ってゆっくりと揉みしだく。むにゅむにゅと形を変える乳房から、甘い快感がじんわりと広がった。

 

「ん、うぅっ」

 

艶めかしい声が口から漏れ、融の手つきが一瞬止まる。今まで聞いたことの無いみどりの喘ぎ声は、ただでさえ興奮している彼の精神を更に熱くさせていく。手つきがどんどん激しくなり、柔らかさと快感に溺れ始めた。

 

「ふぅっ、だめだ、気持ちいい・・・・・・っあぁっ!」

 

欲望が加速するままに乳首をつまむと、痺れるような鋭い刺激が走る。揉みしだきながら乳首もこねくり回して女性の快感に溺れる融は、ふと目の前の姿見に目をやった。そこには自分の胸を揉みながら乱れているみどりの姿が映っている。見たことの無い彼女の姿は、とても卑猥で煽情的だ。

 

ずくり。下腹部が疼く。自分自身の体では経験したことの無い感覚に、融は慌てたような動きでパジャマのズボンとパンツを下ろす。しっかりと手入れされているのか、陰毛の生えていない女性器が露わになった。融の興奮と胸への刺激によって、愛液で濡れ始めている。

 

「こ、これが・・・・・・渕見さんの、おまんこ」

 

姿見を凝視し呟く融。もっとよく確認しようと座り込み、大きく股を開いた。修正も何もされていない女性器はてらてらと輝いている。割れ目がひくつき、まるで融を誘っているかのようだ。手を伸ばし、指を這わせてみる。

 

「っんんんん!?」

 

乳首以上の鋭い刺激に思わず口をもう片方の手で押さえ、喘ぎ声が漏れないようにした。よくよく考えれば、家の中にはみどりの家族がいるはず。バレたら大変なことになってしまう。ほんの僅かに残った理性で、湧き上がる嬌声をなんとか飲み込んだ。

 

だが、それでも指の動きは止められない。割れ目をなぞり、愛液が指を濡らす。伝わってくる快感に思わず股に力が入って閉じそうになってしまった。男の自慰とは比較する気にもなれない、途方も無い快感。みどりの体から与えられるそれに溺れながら、融は姿見に映る痴態から目が離せない。

 

「んっ、くぅ、ふうぅっ・・・・・・!」

 

脱ぎ捨てたパジャマを拾い上げ、口に押し込んで噛み締める。そうやって嬌声が彼女の家族へと届かないようにしつつ、女性器と共に胸も刺激し始めた。溢れる愛液がぐちゅぐちゅと音を立て、乱暴な揉みしだきに乳房が形を変え続ける。

 

「むぅっんんん、ふぅっく!?」

 

女性器を擦る指先が突起物・・・・・・クリトリスに触れるとみどりの体がのけ反った。女性器のものよりも更に直接的な快感は、融の精神を真っすぐに貫くかのようだ。姿見に映るみどりは全身に汗を滲ませつつ、びくりびくりと震えながら切迫した表情を浮かべている。部活の時の彼女の表情が脳裏によぎり、そのギャップに昂りが増していった。

 

際限無く熱が下腹部に溜まり続け、視界が涙で霞んでいく。何かが来ている。大きな波のような何かが、自分を呑み込もうとしている。そう感じながらも手の動きは止まらず、融はそのまま女性の絶頂を迎えた。

 

「んんっんんんうぅぅぅぅっっ!!?」

 

全身を快感が駆け巡り、意思とは無関係に痙攣する。女性器からはぷしりと潮が噴き出し、敷かれたカーペットと姿見をべったりと濡らした。みどりの体は後方に倒れ込み、駆け巡る快感のされるがままになっている。口元から涎を垂らし、溢れる涙がカーペットに滴っていく。

 

「は、ぇ・・・・・・ふぅ、ひぃ・・・・・・」

 

初めての女性の絶頂を味わった融は、虚ろな様子で天井を眺めていた。股を開いたまま倒れている様子は無様だが、そこまで気が回っていないようだ。絶頂の余韻がようやく治まり始めた辺りで、のそのそと体を起こす。

 

「す、凄かった・・・・・・。女の快感は男の何倍もあるって本当だったんだ」

 

熱っぽい息と一緒に呟き、目の前の光景をぼんやりと眺めた。カーペットは体液でびっしょりと濡れており、口に押し込んでいたパジャマも同様だ。姿見にかかった潮は乾きかけて白い汚れになっていて、そこには一糸纏わぬ姿のみどりが映っている。。あられもない姿に一度絶頂したはずの肉体が再び疼き始めた。

 

「賢者モードが無いってのも本当なんだな・・・・・・。よ、よし」

 

ふらつきながらも立ち上がり、全裸のままベッドに向かいそのまま寝転がる融。毛布を被りながら体をまさぐり始める。ベッドや枕、毛布からはみどりの匂いが感じられるようだ。実際の体臭なのかはともかく、まるで彼女に包み込まれているような気分に陥ってしまった。

 

「あぁ、気持ちいい・・・・・・気持ちいいよ、渕見さん」

 

自分に言い聞かせるように言葉を零し、柔らかな胸を両手で堪能する。乳首は固くなっていて、指で弾くとクリトリスに似た快感が伝わってきた。何度味わっても慣れない甘美な悦楽に、融は毛布にくるまって没頭し続ける。

 

「んん、ふぅ、はぁっ・・・・・・!」

 

ひとしきり揉みしだいた後、片手を股間に伸ばした。体から湧き上がってくる欲求のままに指を這わせ、少しずつ女性器の中に押し込んでいく。みどりの指はほっそりとしているが、侵入してくる感覚では酷く太く思えた。

 

「っくうぅ・・・・・・っ!」

 

中が蠢き、指を締め上げる。内側から擦られる感覚は暴力的な気持ち良さだ。もっと、もっと感じたい。融はぐちゅぐちゅといやらしい音を立てながら抜き挿しを繰り返す。胸を揉みしだいている方の手で乳首をつまみ、ぎゅっと強めにつねった。途端に全身が反応し四肢に力が入る。

 

「っっっ~~~~~!!!」

 

顔を枕に押し付けて嬌声を抑え込みながら、意思とは関係無く痙攣してしまう。思考には靄がかかり、ただただみどりの体を貪ろうとする融。倫理や道徳はとうに消し飛んでいた。二度、三度と毛布の中で絶頂を繰り返す。四度目に達した瞬間、心身共に限界を迎えた彼は自分でも気付かないままに意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、うぅん・・・・・・」

 

心地良い疲労感を覚えながら、蒸し暑さに目を覚ます融。毛布を跳ねのけると部屋の照明で目がくらんだ。どうやら自慰をし続けている間に眠ってしまったらしい。全身は色んな体液でべたべたになっていて、いくらみどりの体とはいえ少し不快だ。

 

ぐっと伸びをしつつ、先程までの快感を反芻する。凄い気持ちよかった。女性の、みどりの体は底なしである。どれだけまさぐっても快感が湧いてきて、どこまでも上昇していくような。限界や果ては存在しないのだろうか。と、

 

「・・・・・・あれ?」

 

枕元の時計が視界に入り、おかしなことに気付く。憑依薬には効果時間があり、一定の時間が経てば勝手に元の体に戻されてしまうと聞いていた。しかし、時計が示す時間は深夜の二時。効果が切れるはずのタイミングはとっくに過ぎている。

 

それなのに、融の精神はみどりの体に残ったままになっていた。彼は全裸のまま不安を感じ始める。ただの勘違いならいい。しかし、もしもこのまま元に戻れなければ・・・・・・。ぞわりと恐怖が湧き上がり、さっきまでの気分は完全に消し飛んだ。

 

「ど、どうすればいいんだ、これ」

 

みどりの声で呟き、意味も無く立ち上がる。が、何をすればこの肉体から抜け出せるのか分からない。そもそも、憑依薬の成分も仕組みもまるで理解していないのだ。噂や友人の話、店番の女の子から言われたことが知っている全てなのだから。

 

誰かに助けを求めようとしても、みどりのスマホはパスワードが解けない。かといって部屋を出れば彼女の家族と顔を合わせてしまうかもしれない。怪しまれないよう、みどりのように振る舞えるか?いや、無理だ。融は必死に打開策を考えるが、状況が絶望的なのを深く理解するだけにしかならなかった。

 

もし元に戻れなければ。自分はみどりとして生きていくことになるのだろうか。じゃあ、自分の体は?魂の抜けた体は朝になれば家族に発見されてしまう。救急車も呼ばれるかもしれない。意識不明のまま、植物状態と判断されるのだろうか。

 

そもそも彼女として生きていくなんて無理だ。気絶前とは別の理由で呼吸を乱しながら、融は泣きそうな表情をみどりの顔に浮かべる。彼女の人生を奪う気は無かった。ただ、好きな人の体を・・・・・・。言い訳を心の中に並べつつ、がっくりとベッドに腰を下ろす。女性らしいほっそりとした手で顔を覆った。

 

「ヤバい、ヤバいヤバいヤバい・・・・・・!」

 

時間が経てば解決するかもしれない。朝までに元に戻れればいいのだ。だが、もし朝になっても駄目だったら?どうしようもない。みどりは自分に憑依されたまま、自分の体は病院に運ばれてしまう。不味すぎる状況だ。

 

今からでも遅くない、雑貨屋に向かうべきか。融は余裕の無い思考を回す。適当な服を着て、家族にバレないよう家を抜け出して。駄目だ、こんな深夜に雑貨屋が開いている訳が無い。だらだらと流れる汗は、さっきまでのものと違い酷く冷たく感じた。

 

いい案は思いつけず、時間だけが過ぎていく。焦りの中、融は喉がからからに乾いているのに気が付いた。あれだけ体液をまき散らし、今も追加で汗が噴き出ているのだ。喉が渇くのも当然である。が、部屋の中には飲み物は見当たらなかった。

 

部屋の外に出て、一階にあるだろうキッチンに向かうべきか?それとも我慢するか。しかし、一度自覚してしまうと耐えられない程に体が水分を欲している。朝を迎える前に脱水症状になってしまうかもしれない。

 

「し、深夜だし大丈夫だよな」

 

幸い、部屋の外から物音や話し声は聞こえない。みどりの家族は就寝しているはずだ。念の為脱ぎ捨ててあったパジャマを羽織り、部屋の扉の前に立つ。息を整えようと努力しつつ、そっとドアノブを回した。

 

ゆっくりと扉を開き、暗い廊下に箸を踏み出す融。暗闇を見通そうとしきりに瞬きを繰り返す。電気を付ければ家族に気付かれるかもしれないし、そもそもスイッチの場所を知らなかった。手探りで廊下を進み、なんとか階段を見つける。手すりを頼りに、一段一段を慎重に降りていった。

 

「はぁ、ふぅ・・・・・・」

 

さっきまで散々痴態を演じたからか、足腰がかなり疲労しているようだ。みどりの体ということもあり、階段を降りるだけなのにかなりの時間がかかっている。それでも下手に転んだりするよりはマシだ。そう言い聞かせつつ、融はやっとの思いで一階に到達する。目的地は蛇口があるはずのキッチンか、もしくは洗面所だ。

 

「ど、どこだ・・・・・・?」

 

みどりの家の詳しい間取りは知らない。こんなことになるなら、憑依する前にもっと家の中を確認しておくべきだった。理不尽な後悔をしながら、少しずつ闇に慣れてきた目で辺りを見回す。どうやらまっすぐ進めばリビングに続いているようだ。テーブルと複数の椅子が見える。

 

「よ、よし」

 

近くにキッチンがあるはずだ。そう祈りながら融はゆっくりと歩を進めた。なんとかテーブル付近まで辿り着き、壁伝いに捜索する。暗闇に目が慣れ始めたからか、そこまで時間もかからずキッチンを発見出来た。当然シンクと蛇口もある。

 

「んぐ、ごくっごくっ・・・・・・ふぅー」

 

蛇口をひねり、出てきた水を両手で受け止め口に運ぶ。ただの水だというのにとても美味しく感じた。大量の体液を放出した体に沁み込むかのようだ。そのまま何回も飲み続けていると、突如としてリビングの明かりが付く。全身に緊張が走り、口の中の水が気道に入りかけた。

 

「っごほっ、ごほっ!!?」

 

「電気も付けずに何やってんだ、ねーちゃん」

 

むせながら声の方向に顔を向けると、呆れた顔の少年がコップ片手に立っていた。中学生くらいだろうか。そういえば、一度みどりの家にお邪魔した時に見かけた気もする。今の自分をねーちゃんと呼ぶということは、みどりの弟なのだろう。

 

「いや、その、えっと・・・・・・のど、喉が渇いて」

 

「ふーん・・・・・・へんなの」

 

挙動不審な姉の様子にも興味が無いのか、弟は冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出しコップに注ぐ。彼がごくごくと飲んでいる間、融は一歩も動くことが出来なかった。まさか、みどりの体のまま家族に会ってしまうとは。なんてタイミングだ。

 

「まぁいいや、電気消しといてよねーちゃん」

 

幸い弟は特に不審がりもせず、お茶とコップを片付けるとリビングから去っていった。階段の上がる音が聞こえることから彼の部屋も二階にあるらしい。水を飲むのに夢中だった融は、降りてくる時の音には気付けなかったようだ。

 

「は、はあぁぁ・・・・・・」

 

気の抜けた声とともにへたり込む。中身がみどりではないということをなんとか隠し通せた。弟からしてみれば、姉が憑依されてるなんて考えすらしなかっただろう。とにかく呼吸を落ち着け、壁に手を付きつつ立ち上がる。早く部屋に戻らないと、今度は別の家族と遭遇してしまうかもしれない。

 

照明が付いてることでスイッチの場所も分かり、消した後階段を上っていく。微かに鳴るギシギシという音が煩わしかった。それでもどうにか上り切り、逃げ込むように部屋へと帰還する。ようやく緊張が薄れ、カーペットに座り込む融。が、元の体に戻れていない状況を思い出し泣きそうな表情を浮かべた。

 

喉の渇きは治まったが、これからどうすればいいのだろう。姿見に映るみどりは途方に暮れた様子で、それは自分自身なのだ。さっきまでなら興奮したはずの姿も、不安に押し潰されそうな今では体をまさぐる気になれない。

 

「このままじゃ朝になる・・・・・・どうすれば渕見さんの体から抜けられるんだ」

 

あぐらをかいたままみどりの声で呟く融。沢山の水分を摂取したせいか、再び冷や汗が滲むのを感じる。助けを求めるように周囲をきょろきょろと見回すと、ベッドの下に何かがあるのを発見した。プラスチック製の箱のようだ。引き寄せやすいように取っ手が付いている。そして、その中身は、

 

「え?」

 

ネットで見た画像や動画で見たことがある。ローターやディルドといったアダルトグッズだ。それが複数箱の中に収められている。あのみどりがまさかこんなものを。驚きのままに、融はプラスチックの箱をベッドの下から引きずり出した。

 

「うわ、うわぁ・・・・・・」

 

現在の状況も忘れ、箱の中身を凝視する融の頬が赤らみ始める。あの快活で元気いっぱいなみどりからは想像も出来ない物品の数々。もしかして、いや、もしかしなくても使っているのだろう。その内の一つ、弾力のある素材で出来た長めのディルドを手に取ってみた。

 

「すご、長・・・・・・え、これ中に入るのか?」

 

下腹部に当てると、かなり深くまで入る長さだ。おそらく一番奥まで届くだろう。その上、電動式なのかスイッチまで付いている。中に挿れた上で振動させたら・・・・・・思わず生唾を飲み込むが、すぐに考え直しディルドから手を放す。

 

「いや、こんなことしてる場合じゃ・・・・・・!」

 

元に戻る方法を探さないと。そうしなければ、自分の人生もみどりの人生も大変なことになる。しかし、愛用のものを手に取ったせいか、融の意思とは関係無く彼女の体が火照り始めた。下腹部が疼き、目の前のディルドから目が離せなくなる。

 

「・・・・・・」

 

暫しの無言。焦燥感や恐怖、葛藤が胎内に灯った熱によって押し流されていく。あるいは現実逃避をしているのかもしれない。ごくりと唾を飲み込んだ融は、着直したパジャマを再び脱ぎ捨てた。ネガティブな感情で抑えられていた欲求が全身に広がっていき、濡れ始めた股間にディルドをあてがう。

 

「ううぅ・・・・・・!」

 

期待感か、罪悪感か。ない交ぜになった感情を口から漏らしつつ、ゆっくりと手を動かした。ディルドの先端、亀頭を模した部分が入り口に触れてくちゅりと音を立てる。指とは違う無機質な感触に、比べ物にならない太さ。このまま挿れたらどうなってしまうのだろう。

 

「んっ、く」

 

結局、融は肉体の本能に抗えずディルドを奥へと進めていく。さっきの何十倍もの圧迫感と、中が押し広げられると同時に全身に走る快感。もっと奥へとせがむように下腹部が疼き、切ないような気持ちが湧き上がってきた。

 

接合部からは愛液がだらだらと垂れ、渇きかけていたカーペットへもう一度シミを作っていく。女性器がディルドを飲み込んでいく度に圧迫感は強くなっていくが、不思議と一切苦痛では無かった。心が満たされていくような感覚は、今までの快感とはどこか違うもののように思える。

 

「ふぅっ、んんん・・・・・・!」

 

二階にはみどりの弟がいる。融はさっきまでよりも一層声を潜め、しかしどうしようもなく漏れてしまう喘ぎを必死に噛み殺した。そんな状態でも手の動きを止めることは出来ず、ディルドがずぶずぶと奥まで挿入されていく。

 

「っっっ!!?」

 

そして、亀頭を模した先端が女性器の最奥に到達した。そこにはみどりの子宮と、その入り口がある。目には見えないが疼きと共に感覚が伝わってくるのだ。この体は子を孕むことが出来る、と。

 

長いディルドで中を満たされ、融は身じろぎもせず荒い息を吐いていた。動かせば凄まじい快感に襲われるだろう。我を忘れてしまうかもしれない。喘ぎ声を抑え切れず、彼女の弟にバレてしまうかもしれない。そうなったら終わりだ。みどりの痴態が他者に晒されてしまう。

 

なのに、指先はディルドのスイッチを探している。おそらく体が覚えているのだろう。ここで振動させて、いつも快感を味わっていると。融は限界だった。約束された快楽の海で、ただただ溺れたい。理性を投げ出すようにディルドのスイッチを入れる。

 

「っっんんんんんんんっ!!!!???」

 

一気に震え出したディルドは、まるで体の内側から心身をかき混ぜていくかのようだ。全身の筋肉が収縮し、下腹部から広がった快感が暴れ回る。咄嗟に口を押さえていなければ、外まで聞こえる嬌声を漏らしていたかもしれない。

 

振動が内側を揺らし、子宮を揺らし、その先の卵巣まで揺らす。それは乳首やクリトリスから感じる快楽とは別物だった。子宮口はディルドの先端に吸い付き、出るはずも無い子種を求めている。

 

「んんっふぇっはあぁぁぁっ、んっくぅ・・・・・・!」

 

さっきのように姿見を確認する余裕すら無い。まるで世界そのものが揺れているかのようだ。手探りで脱いだパジャマを掴み、喘ぎ続ける口に無理やり突っ込む。涙と涎がだらだらと溢れ、体の痙攣が治まらない。

 

「んんんんっぅぅぅぅううううっっっ!!!!!」

 

溜まり続けた疼きと熱が爆発した。そしてそれは終わらない。何度も何度も、融の心をばらばらにしながら蹂躙する。繰り返す絶頂は意識を飛ばし続け、また絶頂により意識を取り戻し続けた。

 

全てが快感に飲み込まれていく。今の自分がみどりの体なのかすら分からない。口から声が漏れているかも、ディルドが震えているかも、生きているか死んでいるかも分からない。永遠にも思える絶頂の中、融はただ流され続けていった。

 

 

 

 

 

 

 

気が付くと、融は自室のベッドに横たわっていた。眠りから覚めたような気分のまま、ぼんやりと天井を眺める。しばらくすると意識がはっきりしてきたようで、先程の出来事を思い出した途端飛び起きた。

 

「も、ももも元に戻ってる・・・・・・!?」

 

見回す部屋は自分のもので、触って確認した体も自分のものだ。股間には触り慣れている男性器の感触もある。どうやら、元の体に戻ってこれたらしい。

 

「じゃ、じゃあさっきまでのは」

 

夢というにはあまりにも強烈な体験は、融の心に刻み込まれていた。好意を向けるみどりの体を好き勝手貪り、女性の快楽を味わったこと。思い出すだけで男性器が膨れ上がり、苦しくなる程勃起してしまう。

 

しかし、それよりも心配なことがあった。ディルドを挿入した状態で絶頂し続けていたみどりの体はどうなったのだろう。彼女の意識が戻った時、部屋のあちこちを体液で濡らした状況を見て何を思うのだろう。

 

憑依されたという事実には辿り着けないはず。それでも、もし本人にバレてしまえば嫌われるのは目に見えていた。あるいは記憶に無い痴態を気にして心を病んでしまうかもしれない。欲望に負けて行動してしまった結果に、融は顔を青ざめさせた。

 

だからといって今から出来ることは無い。時刻は既に早朝、そろそろいつも起きている時間だ。野球部の朝練がある為、早めに家を出なければならない。

 

「・・・・・・うぐぐ」

 

朝練に行けばマネージャーであるみどりにも会うだろう。いや、もしかすれば今日は休むかも。あれだけ彼女の体で乱れたのだ、疲労もかなり溜まっているはず。でもそれは問題を引き延ばしにしているだけだ。直接会った時、どんな風に振る舞えば・・・・・・。

 

ぐるぐる回る思考の中、無常にも時間は過ぎていく。セットしておいたスマホのアラームが鳴り、融は仕方なく部屋を出てリビングへ降りていった。脳裏をよぎるのはみどりの体で彼女の家のリビングに向かったこと。あの時の不安と恐怖が湧き上がってくるが、家族にバレないよう何食わぬ顔で朝食に口を付けた。

 

「い、行ってきます」

 

結局、いつも通り家を出て高校までの道を走っていく。足腰を鍛える為あえて自転車には乗っていない。気分的には足取りが重いが、朝練に遅れたら先輩やコーチにドヤされてしまう。融はいつもの道をいつもの様に走り、すぐに高校に到着してしまった。

 

グラウンドには既に何人かの部員がいて、その中にみどりの姿は見えない。ひとまずホッとしながら合流し、準備運動の後朝練を開始した。いつもならもうみどりが来ている時間になっても、彼女は姿を現さない。やはり今日は休みなのだろうか。と、

 

「ごめんなさい、遅れちゃいました!」

 

快活な声と共に姿を現したのは、汗だくになりながら走ってきたみどり。余程急いだのだろう、髪型が多少乱れていた。マネージャーである彼女の遅刻には周囲もそれ程怒らず、すぐに朝練が再開される。そんな中、融は跳ね回る心臓を抑えるので必死だった。

 

遅れてきた以外、みどりはいつも通りに見える。その様子からは、自分が彼女の体から抜け出した後何があったか伺い知れない。気が気ではない融はミスを連発し、厳めしい顔のコーチから散々怒鳴られてしまった。

 

「どうしたの、井口くん?なんかいつもより調子悪そうだけど」

 

朝のホームルームが近付き、部員が学生服に着替え終えた頃。教室に向かおうとしていると、みどりが心配そうな表情を浮かべて声をかけてくる。びくりと震えながら足を止めた融は、強張った表情でどもりながら答えた。

 

「い、いや、その・・・・・・だ、大丈夫。ちょっと夜更かししただけだし」

 

「そうなんだ。無理はしないでね、最近風邪も流行ってるから。もしかかっちゃったらかなり長引くタイプだって」

 

人懐っこい笑みを浮かべるみどりは昨日までとなんら変わり無く見える。もしかして、全ては夢だったのだろうか?憑依薬というのは嘘で、ただえっちな夢を見せる薬だったのかも。そう思う程度には、彼女の様子は普段通りだった。

 

「そういえば、私は夜更かししたって訳じゃないんだけど・・・・・・宿題終わらせてる内にいつの間にか寝ちゃっててね。おかげで朝練に遅れちゃったんだ」

 

そんな融の願望を打ち砕く言葉が放たれる。屈託なく告げたみどりは、何でもないことのように続けた。

 

「それに、うーん。妙に体が疲れてるんだよね。眠りが浅かったのかなぁ」

 

「へ、へぇー・・・・・・。そういうこともあるよな、うん。あるある。そういえば二限目の小テストだけどさ」

 

「あー、英語の。そっちの復習も出来なかったんだよねぇ・・・・・」

 

早口で相槌を打ちつつ話題を変えようとする融。みどりも別に固執せず、彼の話に乗ってきた。そうこうしている内に教室まで辿り着き、それぞれの席に別れホームルームが始まる。が、融の心臓は中々静かにならなかった。

 

昨夜の記憶で頭の中がいっぱいになる。あれは現実にあったことのようだ。みどりに憑依し、好き勝手いじくり回し乱れ続けた記憶。途端に男性器が反応し、ズポンの上から盛り上がってしまい痛い程だ。

 

ちらりとみどりの席に視線を向けると、丁度彼女と目が合ってしまう。融の気持ちを知っているのかいないのか、にっこりと笑う彼女に動悸がもっと激しくなるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

時間は少し遡る。パジャマを口に突っ込み、女性器の収縮でディルドを押し出したみどりが部屋に倒れていた。がに股のままの様子は酷く卑猥で滑稽だ。完全に意識を失っている彼女は、しばらくするとぱっちりと目を開く。口内のパジャマを吐き出しつつ、ゆっくりと体を起こした。

 

「あー、気持ちよかった」

 

朗らかに呟き、ずっしりと重くなっている四肢の感触を確かめる。かなりの疲労だ。いつも自分でしている自慰行為では、ここまで疲れるのは稀である。みどりは実に満足気な表情で、周囲にまき散らされている体液の片付けを始めた。

 

「中々情熱的だったなぁ、井口くん。ふふ、私の見込み通りだったよ」

 

カーペットやベッドを棚から出したウェットティッシュで拭き、消臭剤を吹き付ける。これでしばらくは誤魔化しつつ、家族の目が無い時にコインランドリーで洗えばいいだろう。楽観的に考えながら、みどりは先程までの体験に思いを馳せた。

 

「自分の体を好き勝手されるのがあんなに気持ちいいなんて、あの子の提案に乗って良かった。少しは井口くんへのお礼にもなったかな」

 

彼女は、融に憑依されている間の出来事を覚えていた。理由は明白、全てはみどりが仕組んだことだったのだ。

 

元々、雑貨屋から憑依薬を初めて手に入れたのはみどりだった。ひょんなことから店番の女の子と知り合い、他人に憑依出来るという薬を勧められたのである。彼女が女の子に望んだのは単純なものだ。異性の、男の感覚を知ってみたい。

 

元々、見た目や雰囲気に似合わず性欲が旺盛だったみどりは異性の快感に興味があった。女性の方が気持ちいいとは聞いていたが、実際に経験してみなくては分からない。そんな気持ちに応えるように、女の子はおあつらえ向きの薬を売ってくれたのだ。

 

憑依する対象は決めていた。同じクラスの野球部員、井口融。みどりが密かに気持ちを寄せている相手である。どうせなら好意を抱いている者の体を味わってみたい。それに恐らく、彼も自分を好いてくれているだろう。そう思った彼女は憑依薬を貰った日の夜、早速それを用いて融の体に入り込んだ。

 

その体験は素晴らしいものだった。一般的に言われているよりも男の体は敏感だったし、特に射精時の快感は女性の快感よりも直接的な感じがしてとてもいい。夢中になって何発も出した後、融にバレないようしっかりと処理をして彼の体から抜け出した。

 

それから、みどりは何回も憑依薬を使って融の体を楽しんだ。融本人は疲労を自覚しているようだが、まさか夜な夜な憑依されているとは思いもしていないだろう。だが、その内みどりは現状に物足りなさを感じ始めてしまう。

 

だから彼女は一芝居打つことにした。憑依薬の噂を流し、融の耳に入れようとしたのだ。女の子に相談し、憑依されている間も意識が残るタイプの憑依薬を作ってもらった。ご丁寧に合言葉も用意し、頃合いを見て彼の引き出しに忍ばせる。何故か。憑依薬を手に入れた融は、自分の体に憑依しにくると思ったからである。

 

男の快感を経験したみどりはそれに熱中した。なら、女性の快感を男が経験したらどうなるのか。あるいは融も気に入ってくれるかもしれない。彼の体を散々に貪った分、気持ちよくなってほしかった。

 

「~~~♪」

 

鼻歌を奏でつつ、重い体を動かし部屋を掃除するみどり。目論見は大成功と言えるだろう。融は彼女よりも遥かにはしたなく乱れ、感じ続けてくれた。その事実が何よりも嬉しい。そして、とても興奮する。

 

「今度は、井口くんが私に憑依している時に井口くんに憑依してみようかな。なんだか入れ替わってるみたいになりそう」

 

どこか自分がおかしいという自覚はある。だが、湧き上がる欲求を我慢する気は無い。だって誰にも迷惑をかけていない、WINWINの関係なのだから。

 

今度融に憑依する時はどうしようか。乳首は開発中だが、後ろの穴にはまだ手を付けていない。自分のコレクションから、男性にも適しているのを選び彼の家近くに忍ばせておけばいいかも。夢を膨らませながら、掃除を終えたみどりはシーツを変えたベッドに寝転んだ。

 

そうだ、互いの体が開発され切ったら融に全てを打ち明けよう。その時、彼はどんな顔をするのだろうか。きっと驚くはずだ。

 

「楽しみだなぁ」

 

みどりは実に幸せそうな表情のまま目を閉じる。疲れ切った体はすぐに微睡み始め、目覚ましの音にも起きなかった彼女はいつもより大幅に遅れて家を出るのだった。

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