「ったく、ツイてねぇな」
寒々とした曇り空の下、ヨレヨレのコートを羽織った男は苛立たしげに呟いた。
「あぁクソ、面倒臭え」
男は忙しなく貧乏ゆすりをしながら、街中を歩いている。その表情は、世の全てを憎んでいるかのように攻撃的だった。通行人達は男と関わり合いにならないよう、そそくさと道を空けていく。
彼は、数年前までは多少名の知れたチンピラだった。喧嘩や博打、女遊びに明け暮れ、己こそが男の中の男だと大それた考えをしていた。
しかし。男はひょんなことから本職のヤクザに喧嘩を売り、返り討ちにされ全治半年の大怪我を負ってしまう。面子は潰れ、慕ってくれていた不良達は離れていき、挙句治療費の為に件のヤクザから借金をする羽目になってしまった。それからというもの、借金を返す為に博打にのめり込み、日々の生活費と合わせて債務は膨れ上がっていく一方。今回街に出たのも、いつも金を借りている闇金以外ならすんなりと金を貸してくれるのではないかという浅知恵からだった。
結果として、ブラックリストが回っているのか門前払いされ続け、男は悪態をつきながら周囲に当たり散らすことになっているのである。
「あぁクソッ!」
憂さ晴らしに路上の看板を蹴りつけるが、その程度では男の機嫌は直らない。何か、ストレスを発散出来るものは無いか。男の尖った目が、獲物を探すように周囲を睨む。と、
「・・・・・・あん?」
目に留まったのは、古臭い印象を受ける小さな店だった。看板が薄汚れていて前半部分は読めないが、後半には「ファイナンス」と書かれているように見える。どう見ても怪しげな雰囲気だが、男は渡りに船とばかりにズカズカと店に入っていった。
どこか薄暗い店内。辺りを見渡すが、誰もいない。
「あーん?廃屋かよ、期待させやがって」
薄暗く、人がいないとはいえ埃などは積もっていない。手入れされていることは一目見れば分かるが、金に目が眩んでいる男は気付けなかった。
「おや、お客さんかい?」
「うおっ!?」
店の奥から、幼なげな女の声が響く。驚いた男が素早くそちらに振り向くと、薄暗闇の中から和装の少女が現れた。
「って、なんだガキかよ・・・・・・親はいねえのか、こちとら客だぞ」
「ふふふ、まぁそう言わずに。こんななりでも仕事は出来るもんさ。さて、それでいくらご入り用かな、お客様?」
その言葉に、男は目を見開かせる。今までの金融では、悪名が知れ渡りすぎたのか一目見ただけで
追い返されていたのだ。
(こいつはチャンスかもしれねえ・・・・・・!ガキの仕事ごっこで金をせしめてトンズラしちまっても、俺の罪にはならねえだろ!)
都合の良い考えを浮かべながら、勧められるままに来客用のソファに座る。少女は男の思惑を知ってか知らずか、見た目に似合わない妖艶な笑みを浮かべていた。
「さて。その様子だと即金がお望みのようだね」
「あ、あぁ。ここは、いくらまで貸してくれんのかな?」
疑われないよう、慎重に会話を進めようとする男。しかし、欲望でギラつく目つきは隠せていない。
「そうさねぇ。うちは少し特殊だから、ひとまずは・・・・・・」
少女はさらさらと書類に書き込み、それを差し出してくる。男が受け取って目をやると、
「200万!?」
かなりの大金が提示されている。しかも、担保や身分証明すらいらないという。信じられない、というよりありえないことだ。
(いや、ありえなかろうが知ったことか!金さえ手に入りゃあこっちのもんだ!)
男は、少女の気が変わらない内にと急いで契約書にサインをする。当然偽名だ。それを受け取った少女は一旦奥へと引っ込み、戻ってきた時には分厚い札束を二つ、紙袋に入れて持ってきた。
「はい、お約束のものだ。大事に使うといい」
少女の手からひったくるように紙袋を受け取った男は、中身を確認してほくそ笑む。そこには、確かに本物の一万円札が束になって入っていた。
(ガキのおもちゃみたいな紙切れが出てくるんじゃないかと心配してたが、どうやらマジの現ナマだ。運が向いてきやがったぜ!)
内心で嗤いながら、そそくさと店を後にしようとする男。その背に、少女は優しげな声を掛けた。
「ご利用、ありがとうございました。貴方の人生が上向くことを願っているよ」
声の調子とは裏腹に、少女の顔にはゾッとするような笑みが浮かんでいる。まるで、狩場に誘い込んだ獲物を見る捕食者のような笑み。しかし、幸か不幸かそれを男が知ることは無かった。
あれから1週間が経過した。実際には、借りた200万を全部溶かすのに1週間しかかからなかった、というのが正しい。
「クソがよぉ!」
荒れに荒れながら、男は街中を進んでいく。もうどこにも金の当ては無かった。もう一度あの店に行った所で、今度は親などがいたら通報すらされかねない。
(強盗でもしてやろうか、あぁ!?)
破滅的なことを考えながら歩いていると、見知った顔を見つけた。
自身に200万を貸し付けた和装の少女。彼女は横断歩道で信号が変わるのを待っているように見える。と、男と目が合った。
(・・・・・・?)
少女は男を見て微笑む。そして、青になった横断歩道には見向きもせずに、くるりと背を向けて歩いていってしまった。
(なんだ・・・・・・?)
男は、まるで何かに誘われているような気分に陥った。この世ならざる、魔力のような。自然と、少女を追って足が動く。
少女は時折り男を振り返り、妖艶な視線を向けてくる。そのまま、奥まった路地へと入っていってしまった。
(あのガキ、誘ってやがんのか?)
疑問が浮かぶが足は止まらない。そのまま少女を追いかけ、男は路地へと脚を踏み入れた。すると、
「いねぇ・・・・・・!?」
路地は一本道で、少し歩いただけで行き止まりになっていた。少女の姿は、どこにも無い。まるで煙のように、姿を消してしまっていた。
「一体どういうことだ?」
幻覚でも見たのだろうか?しかし、男は今はクスリなどはやっていない。と、
チクリ
「っ!?」
首筋に、何かに刺されたような痛みが走る。振り向こうとした男の体は、しかしがっしりと後ろから抑え込まれてしまう。
「なってめぇんぐっ!?」
口を何かで塞がれ、声が途切れる。男は逃れようともがくが、徐々に体に力が入らなくなり、意識が混濁していく。最後に男が見たのは、こちらを無表情で眺めるスーツの男性だった。
「んあ・・・・・・」
誰かの話し声が聞こえ、男はうっすらと目を開けた。ぼんやりと辺りを見回すと、高級なホテルの一室のような光景と、何やら話している二人の男性が目に入る。
「って、あぁ!?」
思うように体が動かせない。見ると、男は全裸にされた上で手足を拘束されていた。
「おや。もう目が覚めたんですか」
会話をしていた二人の内、ホテルの支配人のような恰好をした、顔立ちの整った男性が目を覚ました男に気付く。目を細めながら男を見つつ、支配人のような男性は呟いた。
「かわいそうに。意識が無い間にやってしまった方が楽だったんですが」
意味深な、恐ろしげなことをいう支配人。男は目を見開いて怒鳴る。
「おいこら、どういう意味だよ!!」
「私からは何も。じゃあ、予定通り始めてしまってください」
肩をすくめ、支配人はもう一人の黒服の男に頷く。黒服はトランクケースから何かを取り出し、男に近付いてきた。
(こいつらなんなんだ!?借金のカタに俺の内臓でもバラそうってのかよ!!?)
ビビりながらも、せめてもの抵抗として黒服を睨みつける。と、黒服が手に持っているものに気付いた。
(なんだ、ありゃ・・・・・・?)
一言で言うならば、肌色のスキンスーツ。よく見ると、それはまるで人間が脱皮をするとしたらこういう皮が残るだろう、という印象を受ける、奇妙なものだった。人で言う背中側に切れ込みがあり、中は空洞になっている。しかし、全体的に随分と小さい。服として見ても、小学生程の子供が着る程度のサイズしかなかった。
黒服は拘束されている男の元まで来ると、まず足の拘束を外す。ここぞとばかりに暴れようとした男だったが、黒服に凄まじい力で抑えられ足を動かすことさえ難しい。
「てっめぇ、何しやがるこのホモ野郎!」
苦し紛れの罵倒にも耳を貸さず、黒服は先ほどのスキンスーツの中に男の足を入れていく。明らかにサイズがあっていないはずなのだが、スーツはぴっちりと男の肌に吸い付いてくる。そして、
「っがぁ!!?!?」
暴れている男の動きが止まった。スーツに包まれた部分から激痛が走り、ガクガクと体が痙攣する。何が起こったか分からない表情で己の足を見ると、そこには細く、白く、若々しい足がある。決して、男の足ではない。
「どっ、どうなってやがっぎぃぃっ!!」
スーツが肌に張り付き、締め付けられる。その度に激痛が走り、男はつばを飛ばしながら叫ぶ。やがて、男の下半身は全てスーツで覆われてしまった。
「が、あ・・・・・・なん、だこれ・・・・・・!?」
そこには、一糸纏わぬ少女の下半身があった。毛も生えていない、成熟しきっていない肢体。腰辺りより上は男の体のままなだけに、酷くアンバランスな光景だった。
あまりのことに呆然とする男。しかし、黒服は容赦なく上半身にもスーツを着せようとしてくる。反応が遅れた男は、ろくに抵抗も出来ないままスーツを被せられた。
「~~~~~~~~~!!!!!」
暗闇の中、痛みに悲鳴を上げる男。だが、声が出ない。指先から顔面まで、スーツに覆われ動くことすら出来ない。ゴキゴキという音。体が、作り変えられていくような感覚。男は、痛みと共に意識を失った。
ぴちゃぴちゃとした音が耳を打ち、男の意識は徐々に覚醒していく。初めに感じたのは、股間を何かが這い回るような感覚と、そこから広がるジンジンとした熱。そして、下腹部が疼くような快感だった。
(あ・・・・・・?なんだ・・・・・・?)
緩慢に目を開ける。薄暗い照明と、大きな鏡の付いた天井が見えた。そこに映っているのは、年端もいかない小学生くらいの少女と、その股間にむしゃぶりついている大柄な男性だった。
少女は明るめの色をした長髪をベッドに乱れさせ、男にされるがままになっている。ぼんやりとした表情は、何が起こっているかも分かっていないようだ。
(あれ?)
そこで、男は気付いた。鏡に映っているのは、少女と男性だけだ。自分が映っていない。どういうことだと考える前に、強烈な刺激が下腹部から届いた。
「んああっっ!?」
高く澄んだ、可愛らしい声が部屋に響く。思わず口を抑えた。
(今の声、あ?え?なんだ・・・・・・?)
男は酷く混乱している。どうにか事態を確認しようと体を起こすと、そこには、己の股間に吸い付く男性がいた。
「っっっはぁ!!?!!?」
本能的に蹴り飛ばそうとする男。しかし、短くひ弱な足ではじたばたと藻掻くことしか出来なかった。
「あぁ、目が覚めたんだねぇ。丁度良かった、しっかりとほぐれたところさ」
股間から顔を上げ、大柄な男性が言う。汁塗れの顔にニタリとした笑みを浮かべる姿に、男は嫌悪感を覚えた。
「あぁ!?なんだこのホモ野郎が!離れやがれっ!!」
罵倒するが、何故か喉から出る声は自分のものではない。大柄な男性はその様子をニヤニヤと眺めながら、愉しそうに話す。
「あぁ、やっぱりそうなるよねぇ。大丈夫、安心して。僕は君みたいな娘を何人も相手してきたんだ」
「なに訳分かんねぇことを・・・・・・っ!?」
下半身に電流が走る。さっきからずっと感じていた感覚が、より強くなってきた。
「えっあっんんぅっ!?!?」
ぐちゅぐちゅと、大柄な男性が股間を擦ってくる。今まで経験したことの無い感覚が襲いかかってきて、男の意志とは関係無く身悶えしてしまう。理解が追い付かない彼の目に、鏡に映る少女の姿が映った。
大柄な男性に股を弄られ、悶えながら喘ぐ少女。そして、今の自分の状況。まるで、鏡に映っている少女が自分のような。ありえない、と男は思おうとするが、絶えず与えられる快感に思考が翻弄される。喉から出る声は間違いなく幼い少女のものであり、一層混乱が加速した。
「そろそろいいかな。じゃあ、初体験いってみようか」
責めを中断し、男性は膨張した己のモノを軽く扱く。そして、息も絶え絶えな男───少女に覆いかぶさった。
「は、はなれろぉ・・・・・・!」
なんとか押しのけようとするも、少女の力では到底敵わない。そのまま男性は、ゆっくりと腰を進め、亀頭と入口が触れ合った。
「ひぃっ!?」
熱い塊のようなものが、自身の股間に触れている。鳥肌が立つような嫌悪感を覚えるが、しかし体の方はせがむようにくねらせてしまう。そして、
ズプリ・・・・・・
男性のペニスを、少女の幼い膣が飲み込んでいく。入らないサイズ差に見えたが、少女の膣は柔軟に形を変え、ペニスをキツく締め付けながらも奥へ奥へと導いていった。
「は、あぁぁぁぁぁんんんんんんっっっ!?!!?」
体の中に、熱された杭のようなものが侵入してくる。痛み、嫌悪感、異物感、そしてその全てを塗り潰すような快感が湧き上がってくる。
「なっんこれっくぅぅぅぅああああああぁぁぁぁぁ!!?!?!?!」
少女は叫ぶ。喘ぎ声のようにも、泣き声のようにも聞こえるそれは男性を興奮させ、ギチギチに満たされた膣を更に押し広げようとする。根本までは飲み込めず、ペニスを2/3辺りまで挿入したところで止まってしまったが、男性は構わずピストンを開始した。
「いっぎっがぁっくぅぅぅっ!!!」
「あぁ~、やっぱり初物はいいねぇ。皮を着たての娘が混乱しながら快楽に振り回されるのが私は大好きなんだよ」
中を無理やりに押し広げられ、乱暴に挿入を繰り返される。しかし、そんな風に扱われているというのに、少女の体は快感を生み出し、精神はその異性の快感に振り回されていた。
(なんだ、何が起こってるんだよ!?)
少女は、何も理解出来ていない。当然だ。元々男だったのに肉体が少女となり、男に犯されているのだから。非現実的な状況だが、しかし、少女を犯す男性は待ってはくれなかった。
「そらっ、ちょっと激しくするよ」
腰を掴まれ、力強く突きこまれる。男性のペニスが喉から出てくるんじゃないかと思えるほどの強烈なピストンに、少女はただ喘ぐことしか出来ない。
「っぐぅぅぅやっやめっぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁっっっ!!!??」
苛烈な責めを、しかし少女の体は全て受け止めていた。それどころか、この世のものとは思えないような快感が少女を満たす。少女は股間から潮を吹きながら、何度も何度も絶頂した。
「っが、うあぁ・・・・・・っぐぅ・・・・・・!!」
絶頂して意識が飛び、流し込まれる快感で目を覚まし再び絶頂する。快感地獄のような状況に、少女はもはや喘ぎ声を上げることすら出来ない。ぐったりとした体は、しかし腰の突き入れに反応してビクビクと痙攣した。
「ふぅっ、ふぅっ、そろそろ出すよ、受け止めてね!!」
気絶しかけている少女の耳に、そんな言葉が届く。意味を理解する前に、膣がキュウキュウと男性のペニスを絞り上げ、射精を促した。
「出るっ出るよぉっっ!!」
男性の声と共に、少女の中に大量の精液がぶちまけられる。少女は体を震わせながら、未成熟な子宮に流れ込んでくるそれを感じていた。
「っ・・・・・・あ・・・・・・」
体力の限界を迎え、少女は完全に意識を失った。結局、状況を何も理解できないまま。
あれから。目を覚ました少女は、体を洗われながら事情を説明された。曰く、方々にある借金のカタとして、自身が売られたということ。体が少女のものになっているのは、特殊なスーツによるものだということ。その姿のまま、性風俗で働いてもらうということ。借金を返し終われば、スーツを脱がせてもらえるということ。少女は拒否しようとしたが、
「拒否した場合、体は当然そのままになります。今の貴女は戸籍も無い状況ですので、我々の庇護下以外で生きるのは不可能でしょう。それに、仮にここから逃げ出せたとして、幼い少女の体で生きていけるんですか?」
黒服から無表情に伝えられ、怯んでしまう。確かに、ひ弱なこの体では一人で生きていくのは難しいだろう。だが、それでも少女は反論する。
「こ、こんなこと許されると思ってんのか!?日本は法治国家だろうが!!」
「それを今ここで言っても何も変わりませんよ。まぁ、今日のところはゆっくりと考えてください。自身が置かれた状況と、どう行動するべきかをね」
黒服は、丁寧にも少女に可愛らしいパジャマを着せてから部屋を後にした。追いかけようにも、少女の体は先ほどの性行為でぐったりと疲れ果てている。
「クソが・・・・・・一体どうなってんだよ・・・・・・」
力無くベッドに寝転がる。部屋は装飾こそ少ないが広々としていて、どうやらスーツを着させられた部屋と同じ構造のようだ。壁に立てかけられている姿見には、疲れた表情の少女が映っている。
「・・・・・・」
自身の頬をつねる。すると、姿見の少女も頬をつねっているのが見えた。可愛らしい花柄のパジャマに、天真爛漫そうな顔立ち。しかし、それに似合わない渋面を浮かべながら、少女は姿見から目を背けた。
(本当にガキになってやがる・・・・・・ありえねえだろ・・・・・・)
そう思うも、現実は変わらない。胸に手を当てるが、膨らみの少ない未成熟なそれは少女の好みからはかけ離れていた。
(せめてもっと歳が上なら楽しみようもあったのによぉ)
豊満な女性が好きな少女にとって、いくら異性の体といってもそそられるものではないようだ。そのまま、少女は疲れとともに目をつむる。信じられない現実から逃れるように。
翌日から、少女の「仕事」が始まった。カナエという名前を付けられた少女は、普段は待合室のような場所で待機し、客に指名されると部屋へと赴き性行為をする。どうやらこの風俗店に通う客たちはこちらの事情を知っているらしく、がさつな言葉遣いをしたり乱暴に振る舞っても気持ちの悪い笑みを返され、力づくで犯されてしまう。日に四人程相手をすると体力が底を尽き、スタッフに促されるままに自室へと戻って眠りこける。幸い、着るものは店側が用意し、食事もちゃんとしたものが出る。性行為の一点を除けば、比較的マシな扱いをされていた。
(だからって、なぁ・・・・・・)
仕事を始めて一週間が経過した。待合室の椅子に座っているカナエは、辺りを見回す。
そこには、顔立ちの整った女たちがたむろしていた。30過ぎの熟女のような女もいれば、今のカナエよりも幼い娘が気だるげに雑誌を読んでいたりもしている。ここにいる者たちは、全てがカナエと同じようにスーツを着させられた元男性だった。
「しけた顔してるなぁ、そんなんじゃいつまで経っても指名増えねーぞ」
声を掛けられる。顔を向けると、ギャルのようなファッションに身を包んだ、女子高生くらいの娘が笑いかけてきていた。
「・・・・・・っせーな、てめえにゃ関係ねえだろ」
「そう言うなよ、カナエ。新人は久しぶりなんだ、仲良くしようぜ」
ニヤニヤと笑うギャル。彼女もカナエと同じく、スーツを着させられ女体化した者の一人だ。
「脂ぎったオヤジ共に媚び売れってか?はっ、ごめんだね。てめぇと違って俺にはプライドってもんがあるんだよ、ミーコ」
ミーコと呼ばれたギャルはその言葉に肩をすくめ、髪の毛をくるくると弄りながら言う。
「あー、まぁやっぱ最初はそう思うよなー。だけどアレだ、早めに割り切った方が楽だぜ。ここに来る客共はBIPだから金払いはいいし、性病の心配も無いし。何より女の体って気持ちいいだろ?臓器売られたり命の危険がある仕事よりはよっぽどマシだと思うがねぇ」
「よく回る口だな。その口で変態のモノをしゃぶってんのか?そりゃさぞかし人気が出ることだろうよ、ミーコちゃん」
喧嘩腰のカナエに、ミーコは苦笑しながら立ち上がる。指名が入ったようだ。
「ははっ、元気なこった。どこまでその虚勢が続くか、楽しみにしとくぜ」
どこかウキウキとした後ろ姿を見ながら、カナエは内心唾を吐く。
(あんな風になってたまるかよ・・・・・・俺をこんなにした奴の思い通りになるなんざ、死んでもごめんだ!)
カナエは睨むように周囲を見る。誰も彼も、どこか浮ついたような緩んだ雰囲気をしている。
(勝手に体をこんなにされて、それなのにこいつらは飼い殺されてやがる。へたれどもが!)
こんな調子なので、カナエに話しかけてくる者は殆どいなかった。精々、さっきのミーコくらいだ。カナエは待合室の中、半ば周囲から無視されながら座り続けた。愛想を良くして接客すれば指名が増え、早く解放される。分かってはいても、カナエは意固地になっていた。
カナエ以外の者たちは、客の悪口や数少ない娯楽であるテレビのことなどをやかましく話している。端から見ればただの水商売の女たちにしか見えない。と、
「カナエさん、指名です」
スタッフがカナエを呼びに来た。仕方なく重い腰を上げ、待合室を後にする。背中に刺さる他の者の冷ややかな視線が、逆にカナエにとっては心地よかった。
通された部屋には、予想外の人物が待っていた。
「よぉ、随分と見違えたねぇ。今の名前は、カナエちゃんだったか?」
「ってめぇ・・・・・・!」
カナエがヤクザに喧嘩を売って返り討ちにされ、入院費を無理やり貸し付けてきた組の若頭が、そこにはいた。
「くはっ、話には聞いてたがまさか本当に可愛らしい女の子になってるとはなぁ!」
「なんでてめぇがここにいるんだ!笑いに来たのかよ、えぇ!?」
喰ってかかるカナエ。若頭は笑いを噛み殺しながらそれを見つめ、好色の視線を向けてくる。
「なぁに、今の俺はただの客さ。ここに来たのも偶然でな、まさかお前がここで働いてるとはなぁ」
「っ・・・・・・だったら、なんでわざわざ俺を指名しやがった!?」
カナエの言葉に、若頭は上着を脱ぎながら答える。
「俺ぁな、普通の女を抱くのにはもう飽き飽きなんだよ。無理やり女にさせられて、その上で現実を認めようとしない跳ねっ返り。今のトレンドはこいつさ」
「・・・・・・変態野郎が・・・・・・!」
「なんとでも言いな。まぁ、目を付けた娘がまさかお前だとは思わなかった。今日はいつもより楽しめそうだ。支配人に教えて貰って感謝ってもんさ」
上着に続き下着も脱ぎ捨てる。かなり大きなペニスは、既に膨張し始めていた。
「真面目に働いてると神様が恵みをくれるもんだなぁ。えぇ、カナエちゃん?」
煽るように話しかけてくる若頭。カナエは思わず手を出しそうになるが、なんとか堪えた。
「へぇ、掴みかかってくるかと思ったが、存外見た目通りの性格にでもなっちまってるのか?」
「・・・・・・うるせぇ、とっとと終わらせるぞ」
ここで暴力沙汰を起こしてしまえば、この店を叩き出されてしまうかもしれない。男に戻る為にも、カナエは苦渋の決断で耐えることにした。
(体は好きに使わせてやる・・・・・・だが俺は男だ、心まで屈すると思うなよ・・・・・・!)
若頭は何を考えているのか、その様子をニヤつきながら眺めている。そして、カナエの服をゆっくりと脱がし始めた。
「ん・・・・・・」
ねっとりと、指がカナエの肌を這い回る。手慣れた動きで服や下着を脱がされ、カナエはあっという間に全裸に剥かれてしまった。
「ははぁ、女っ気の無い体だなぁ。被ってる皮が皮だから当然か」
「皮?」
聞きなれない言葉。そういえば、ミーコも少し前に似たような言葉を使っていたことをカナエは思い出した。
「あぁ、そうだ。そうやって人間に被せて、別人に作り変えちまうもんを、俗に皮って呼んでるのさ。一般には出回らない代物だがな」
言いながら、若頭は平坦な胸に付いている突起・・・・・・乳首を指先でこねくり回してくる。静電気のような刺激が、ピリピリと伝わってきた。出来るだけ表に出さないよう、カナエは表情を固くする。
「生娘じゃあるまいし、随分と緊張してるじゃねえか。えぇ?」
若頭の言葉にも無視を決め込む。
(指定の時間が過ぎりゃあ終わるんだ、それまでは耐えろ・・・・・・!)
そんなカナエの様子に、若頭は笑みを深め、脱ぎ捨てた上着のポケットからタブレットケースを取り出した。
「まぁ、そんなところだろうとは思ってたさ。だけど、いつまでそのままでいられるかな?」
中の錠剤を自分の口に放り込み、そのままキスをしようとしてくる。本能的に危険を察したカナエは、抵抗しようとするが簡単に組み伏せられてしまった。
「やめっむぐぅ!?」
若頭の舌がカナエの唇をこじ開け、口内に侵入してくる。それと同時に唾液と錠剤が流し込まれ、カナエは抗うことも出来ずに嚥下してしまった。そのまま口内を蹂躙され、顔が火照ってきた辺りでようやく解放された。
「て、てめぇ、何飲ませやがった・・・・・・!?」
潤む瞳で若頭を睨むカナエ。若頭はニヤつきながら言い放った。
「あぁ、皮を着てる奴専用の媚薬みたいなもんさ。折角だ、互いに楽しみたいだろう?」
くつくつと笑う若頭。カナエは再び殴り掛かりたい衝動に襲われたが、すぐに異変に気付いた。
体が、熱い。それだけではない、全身が疼いて、股間が湿り始めている。
「おー、相変わらず効きが早い。どうだいカナエちゃん、いい気分だろう?」
「ふざ、けんな・・・・・・っ!」
触っていないのに、全身から快感が這い上がってくるような感覚。カナエは身悶えしながら、それでも若頭を睨む。そうしていなければ、へたりこんでしまいそうだった。
「我慢すると辛いぜぇ、カナエちゃんよ。ほら、お望みのもんだ」
若頭が、ずいと腰を突き出して己のモノを見せつけてくる。むせ返るような男の匂いが鼻腔を刺激し、体が芯から熱くなってくる。カナエは、立派なそれから目を離せなくなっていた。
しゃぶりたい。深く口に咥え込んで、思い切り味わいたい。信じられないような考えが頭に浮かび、カナエは否定しようとする。しかし、
「あ・・・・・・う・・・・・・」
ゆっくりと、自分からペニスに顔を寄せる。屹立しているそれを眺めるだけで、下半身がキュンキュンと疼いてしまう。鼻をひくつかせ、亀頭から垂れる我慢汁の匂いを嗅ごうとしてしまう。
「はっは、あれだけ粋がっていても簡単にメスになっちまうなぁ」
若頭が言っている言葉も、今のカナエには届かない。しゃぶりたい、しゃぶりたい。しゃぶりたい。思考が染め上げられ、カナエは耐えきれずに口を開いた。
「ん、むぅ・・・・・・」
亀頭から竿まで飲み込んでいく。苦いような、しょっぱいような味か口全体に広がり、カナエはそれだけで軽く絶頂した。
「んんんんんんっっっ!!!」
股間から潮を吹きながら、喉奥の限界までペニスを頬張る。それだけで、ここ一週間で感じたものとは比べ物にならない快感がカナエを襲った。
「大洪水だなぁ。さっきまでの威勢はどうした?カナエちゃん」
夢中でペニスにむしゃぶりつく。我慢汁を啜り上げると、下半身がジュクジュクと疼いた。今の状況も、男としての誇りも忘れ、カナエはじゅぽじゅぽとペニスを舐め上げていく。
「じゅるっ、んぶぅ、じゅちゅううううぅぅぅぅ!」
「あーあー、結局はこうなるか。まぁ、仕方ねぇよなぁ。よっと」
「んぐっ!?」
若頭が腰を突き入れ、カナエの喉奥を刺激する。えずいてしまいペニスを吐き出そうとするが、若頭はお構いなしにストロークを続けた。
「いいねぇ、その抵抗が気持ちいいんだよな」
「んぐぅっ、げぇっ、んんむううぅぅ!!」
口内から喉まで、まるでオナホールのように扱われる。苦しいはずなのに、カナエの股間は愛液を垂らし続け大洪水になっていた。
「いい反応だ、中身を知ってるとよりそそるぜ!そらっ一発目だ、受け取りな!」
突き入れられた喉奥で、ペニスが膨張し震えた。ビクビクと暴れながら、精液が一気に噴き出す。
「んぐぅぅぅぅぅっっっ!!?!?」
青臭いような、苦いような味が口いっぱいに広がる。ねっとりとした濃い精液で胃から鼻まで侵略され、カナエははしたなく絶頂した。無意識の内に、一滴も逃すまいと口をすぼめて吸引する彼女の足元には、愛液の水たまりが出来ている。その姿は、誰が見ても発情しきった雌だと思うだろう。
「いい感じに出来上がってるじゃねぇか、カナエちゃん。次はどうしてほしいか言ってみな」
口からペニスを引き抜き、一度出しても萎えないそれで彼女の頬を叩く。カナエは蕩け切った表情を浮かべながら、若頭の言葉を聞いていた。
「うぅ・・・・・・」
頬に当たるぷにぷにとした感触。自身の唾液と雄の精液に塗れたそれが、欲しくてたまらない。下腹部が、未成熟なはずの子宮が強く疼き、苦痛にさえ感じてしまう。
「・・・・・・い、挿れろよ。その為に来たんだろ?」
おずおずと言うカナエ。しかし、若頭はニヤつきながら首を振る。
「駄目だなぁ、おねだりの仕方がなってない」
「あ・・・・・・」
若頭は腰を引き、ペニスがカナエから遠ざかる。カナエは思わず物欲しげな視線で手を伸ばしてしまうが、若頭は嗤いながらその手を払った。
「駄目だ駄目だ、もっと女の子らしくおねだりしてもらわないとなぁ。別に俺はいいんだぜ?このまま欲しいものを貰えず悶えてるカナエちゃんを眺めてるのも乙なもんだからな」
「ぐ、ぅ・・・・・・!」
(耐えねえと・・・・・・耐えねえといけないのに・・・・・・!)
カナエは自分の体を抱きしめる。欲しい。さっきの粘ついた男の体液が、胎内に欲しい。キュルキュルと子宮が疼き、目はペニスから離せない。全身が欲情し、体をくねらせてしまう。
「はっは、いいねぇその切ない表情。盛り切ったメスそのものじゃないか」
こちらを煽ってくる若頭の言葉も、今のカナエには届かない。思考は性欲で一色に染まり、ペニスが欲しくてたまらなくなっている。満たされたい。男の雄々しいペニスで、奥底まで貫かれたい。カナエの精神は、異性の本能とクスリに蝕まれ限界を迎えていた。
「く、くれっ・・・・・・!俺のここに、お前のをぶち込んでくれっ!」
はしたなく股を広げ、若頭に懇願する。守っていた最後の一線を越えた感覚。それすらも、今のカナエの体は快感に変換してしまう。
「くく、中々いいおねだりだが、ちと違うなぁ。今のお前は可愛らしい女の子、カナエちゃんだろう?」
若頭は焦らすようにゆっくり近づき、カナエの目の前にペニスを突き出した。
「こいつが欲しいなら、可愛らしい見た目に似合うおねだりをしてくれよ。なぁ?」
挿れてほしい。挿れてほしい。挿れてほしい。もはや恥も外聞も無く、カナエは叫ぶ。
「かっ、カナエのおまんこにそのたくましいものを挿れてくださいっっ!!」
その言葉に若頭はニヤリと嗤い、
「へっ、まぁ及第点ってところだな。そらよっ!」
一気に、最奥まで突き入れた。
「あうっあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」
どちゅりと子宮を抉られる。体は望んでいたものが与えられた歓喜で痙攣し、視界が激しく明滅した。まるで全てが満たされるような感覚と、無限に湧き出続ける快楽。ただ一突きで、カナエの男としての思考は粉々に砕かれてしまった。
「ひっあうぅっくぅぅぅぅぅっぅぅぅっぅぅぅぅぅぅっっっ!!!」
「いい乱れ方するねぇ、こっちも興奮してくるじゃないかっ!」
若頭がギラついた瞳で腰を振る。一突き毎にカナエは絶頂し、互いの下半身は彼女の潮でびちょびちょになっていく。イき続けるカナエは、既に人としての理性がトんでしまっていた。
「あぁっっっくぅ、はっ、はははっ、あははははははあぁぁぁぁっっ!!!」
壊れたように、快感に振り回されながら笑うカナエ。幼い見た目からは想像出来ない程に乱れ狂っているその姿に、若頭のペニスが一層漲っていく。
「さいっこうだなぁ!あの間抜けな屑がこんなに乱れて、しかも肉体は未成熟の少女ときた!ロリコン趣味は無かったが、これで目覚めちまいそうだ!」
若頭の言葉の意味も、もはやカナエには分からない。もっと、もっと、もっと。求めるままに膣内が蠢き、若頭の子種をせがむ。
「もっと、もっとぉ!!」
「ははは、いいねぇ、盛り上がってきた!完全にメスに堕ちた姿はそそるねぇ!!!」
四肢で若頭にしがみ付き、自分から腰を動かす。その表情はドロドロに蕩け、発情しきっていた。子を為す、孕むという女性としての本能か、あるいは純粋に快感に溺れているのか。今のカナエは、その幼さには見合わない淫乱な女としか見えない。
「いっぎ、くぅぅんんんんんんんんんんんっっっ!!」
絶頂を繰り返しているカナエは、深く咥え込みながらペニスを絞り上げる。子宮の中にまでペニスを導き、射精を促していく。
「そぉらっ、待望のもんをくれてやるっ!しっかり味わいなぁ!」
根本まで突き刺した若頭のペニスが大きく膨張する。射精の前兆とともに、カナエの膣はキュウっと収縮して精液を啜り上げようとした。
びゅるるるるるるるっっっ!!!
「────っっっ!!!!」
声にならない声。膣の最奥、子宮に直接精液を叩き付けられ、カナエは酸欠の金魚のように口をパクパクとさせる。膣は搾り取るようにペニスを扱き上げ、子宮が蠢いて一滴残らず飲み干そうとする。殆どトんでいる意識の中、カナエは気持ちよさ以外の何も感じることは出来なかった。
結局、あれから五回以上膣内に出されたらしい。意識を取り戻した後に若頭が得意げに話していたのだ。
「よかったぜぇ、またよろしくな」
肉体的にも精神的にも疲労しているカナエは、頭が回らずぼぅっと若頭を眺める。そんな様子に若頭は、笑いを噛み殺しながら頭を撫で、去っていった。
部屋に一人残されたカナエは、体液塗れのまま天井を眺める。
(俺、は・・・・・・)
ほんの数時間で、全てが変わってしまった。男に媚びて、はしたなく乱れ、イき続ける。そうはなるまいと決めていたのに。
「う、うぅ・・・・・・」
涙が零れてくる。何よりも、あの快楽をまた感じたいと思っている自分自身の情けなさで、カナエは声を押し殺しながら泣いた。
「うぅぅぅうぅーーっ・・・・・・!」
男の体も、誇りも、何もかも失って。部屋で泣いているカナエは、幼い少女にしか見えない。───彼女の仕事は、まだ始まったばかりだ。