「とりっくおあとりーと!」
バイト帰りの夕方、アパートに着くなり声が聞こえてきた。そういえば今日はハロウィンだったと思い出す。駆け寄ってきた5歳くらいの女の子は首から下を白い布ですっぽりと覆い、頭には猫耳のカチューシャを付けていた。どんな仮装かは分からないけど可愛らしいな。
「あーっと・・・・・・ごめん、ちょっと待ってて」
急いで自室の鍵を開け、中に入りお菓子を探す。なんかあったっけ。一応食べかけのスナック菓子や飴はあったが、これを渡すのは衛生上問題があるだろう。駄目だ、手頃なものが見つからない。
「ごめん、いい感じのお菓子が無くて・・・・・・」
「じゃあトリックだね!えい!」
玄関に戻り、しゃがんで目線を合わせながら謝ると、女の子は残念がる素振りも見せず元気に言う。そして、手に持っていた杖のようなものを振るった。日曜朝のアニメで出てくるような、マジカルなステッキみたいな形状をしている。と、
「おっと」
振るわれたステッキは俺の頭に当たり、シャララーンと音と光を放った。瞬間、視界がぐわんと歪む。え、なんだこれ!?痛みも殆ど感じなかったのに、急な異常に混乱する俺。しばらくすると視界は元に戻っていき、目の前には・・・・・・。
「わー、すごいすごい!」
無邪気にぴょんぴょんと跳ねる、俺自身が立っていた。
「は、え、なっ・・・・・・!」
突然のことに声が出ない。なんだ、そういうおもちゃか?それとも鏡?状況が分からない。すると、目の前の俺はにこにこと微笑みながら口を開く。
「いれかわりのまほう、せいこう!やったー、おとなのからだだ!」
「入れ替わり?入れ替わりって・・・・・・」
目の前の俺は明らかに俺じゃない。そして、その雰囲気はさっきの女の子によく似ていた。まさか。俺が自分の体を見下ろすと、そこには白い布地。布地から突き出た手にはステッキが握られている。これは、その、つまり・・・・・・。信じがたい状況に思考が止まりかけるが、強引に動かし口を開いた。
「まさか、君はさっきの女の子?」
「うん!ねぇ、すごいでしょ!まほうだよ、まほう!わたしがめのまえにいるのってへんなかんじ!」
少し舌足らずで言う俺・・・・・・いや、女の子。待ってくれ、これって本当にあれか?魂が入れ替わってるとか、そういう感じの・・・・・・。夢じゃないかと頬に手を伸ばすと、そこからはぷにぷにとした感触が伝わってくる。ざらついた俺の肌とは全然違った。
「ちょ、ちょっと。すぐに元に戻してくれ。なんでこんなことが出来るか分からないけど、入れ替えられたなら元に戻せるだろ?」
「えー。だって、もどしかたわかんないよ?」
「は、はぁ!?」
理不尽な言葉に思わず声を荒げてしまう。が、俺の喉から漏れるのは可愛らしい女の子の声だ。そんな様子を見て何がおかしいのか、俺になった女の子はきゃっきゃと笑っている。
「じゃあなんで、その、入れ替わりの魔法なんか・・・・・・」
「えっとね、きれーなきものをきたおねえさんからまほうのステッキをもらったんだ!すごいよね、ほんものだったみたい!わたしがはやくおとなになって、いっぱいおかしたべたいしよるもたくさんおきてたいっていったらね、じゃあこれをあげるよって!」
子供らしい、要領を得ない会話。だけど唯一の手掛かりだ。細かく聞き出そうとした所で後ろから声がかかる。
「やっと見つけた!ちょっと莉奈、一人で行っちゃ駄目って言ったでしょう!」
「あ、おかーさん」
急いで近付いてくる女性。女の子の呟きから察するに、この子の母親らしい。・・・・・・不味くないか、これ?
「ほら、莉奈、行くわよ!ご近所さんを回るだけって言ったのに、こんな遠くまで来て・・・・・・まったく、やんちゃなんだから」
「あ、あのですねお母さん。信じてもらえないと思うんですけど、実は」
「どうしたの変な口調で?言い訳は後!帰るわよ。あぁ、ごめんなさいね。ご迷惑をおかけしました」
「ちょ、ちょっと」
俺になっている女の子に頭を下げ、彼女の母親は俺の手を掴み引っ張っていこうとする。駄目だ、力が強過ぎて抵抗出来ない。というより俺の力が弱いのか。女の子はニコニコと笑いながらそれを見送っている。ヤバい、ヤバいぞ、これは。
「すみません、ちょっと離してください。俺は貴女の娘じゃなくて」
「ごっこ遊びは帰ってからにしなさい。もう暗くなるし、家に帰らないと。最近は物騒なんだから」
何を言っても本気で取り合ってもらえず、俺は母親に引っ張られて行ってしまう。女の子は俺の部屋に入り、扉を閉めてしまったようだ。ど、どうしよう。途方に暮れながら、ハロウィンで浮かれた街並みを女の子の母親と一緒に歩くのだった。
「・・・・・・」
数時間後。俺は座高の高い椅子に座り、女の子の家族とテーブルを囲んでいた。テーブルには色とりどりの料理が並び、特にパンプキンパイからは甘い香りが漂っている。
「さぁ、いただきますをしましょう。ちゃんと手を合わせるのよ」
「い、いただきます」
母親に促され渋々手を合わせる俺。結局、説明したことは何一つ信じてもらえなかった。女の子・・・・・・莉奈ちゃんは想像たくましい子供だったようで、作り話をするのも日常茶飯事だったらしい。そのせいで、俺は彼女の家族と食卓に着く羽目になっている。
いや。例えそうじゃなかったとしても信じて貰えたかは分からない。何せ俺自身もまだ信じ切れていないのだ。タチの悪い夢か何かじゃないかと、今も疑っている。だけど、母親が取り分けてくれた料理はどれもが絶品で、とても夢とは思えなかった。
どうする。どうすればいい?元に戻るにはまずこの家を抜け出し、俺になった莉奈ちゃんがいるアパートに戻らないといけない。しかし、日が落ちているのに子供を外に出歩かせる親はいないだろう。実際、抜け出す機会は殆ど見つからなかった。
ならば、とりあえず一日はここで過ごすしかないのか。莉奈ちゃんのことも心配だけど仕方がない。とりあえず、これ以上不審に思われないように彼女のフリをした方がいいかもしれないな。
「どう、莉奈?私が焼いたパイ、美味しい?」
「う、うん。美味しいよ、お母さん」
なんとか話を合わせつつ食事を進める。テーブルにはもう一人、父親らしき男性がいるが、非常に無口なようで殆ど声を発していない。だが、その瞳は慈しみに満ちていて俺と母親に注がれている。寡黙ながら優しい父親なのだろう。
「ご、ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした」
沢山ご馳走になり、ようやく食事の時間が終わった。すると下腹部からとある感覚が伝わってくる。尿意だ。トイレにいかないといけないが、初めての家なので場所が分からない。おずおずと母親に訊ねてみる。
「あの、トイレってどこに」
「なぁに、一人で行けないの?お母さんが付いていた方がいい?」
「い、いや、大丈夫、です」
流石にそれは恥ずかし過ぎる・・・・・・!必死で間取りを考え、トイレであろう場所に向かう俺。運良く正解だったようで、俺は逃げるように駆け込んだ。ほっと一息吐いた所で気付く。そうだ、どうしよう。莉奈ちゃんの体でおしっこしてもいいのか?
躊躇するが、漏らすわけにもいかない。背に腹は代えられず、俺はスカートとパンツを下ろし便座にちょこんと座った。おまるとかじゃなくて良かった。もしそうだったら羞恥で耐えられない。それはそれとして、男の時とは勝手が違う。ど、どうやったら出るんだ。
四苦八苦しつつ、下腹部の力を緩めるようにすると尿が溢れ始めた。ちょろろろ、という音がやけに耳につき、顔が熱くなるのを感じる。俺はロリコンではないので莉奈ちゃんをそういう対象で見ることは無いが、恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
全て出し切った感覚。トイレットペーパーを手にし、股間を拭く。そこはのっぺりと平坦で、一本の筋が引かれているような・・・・・・って、駄目だ駄目だ。まじまじと観察しそうになるのを堪え、敏感な股間の感覚を無視して尿を拭き取る。
トイレから出る頃には、俺は精神的にかなり疲弊していた。罪悪感が凄い。いや、こんな状況になってるのは莉奈ちゃんのせいなんだけど。リビングに戻ると、母親と父親は二人で食器を洗っているようだ。
「ちょっと待っててね、すぐお風呂入れてあげるから」
お風呂・・・・・・お風呂!?と、トイレでもこれだけ疲れたのに、更にお風呂なんて・・・・・・いや、母親からしたら普段通りではあるんだろうけど、俺にとっては・・・・・・。風邪っぽいから入らないと言い訳でもするか?いや、逆に心配させ過ぎても・・・・・・。
あれこれ考えている内に、俺は母親に連れられ脱衣所まで来てしまった。されるがままに服を脱ぎ、浴室に入る。というかアレか、母親も一緒に入るパターンかこれ。ついてきてくれた彼女も当然全裸。最悪の状況だ。
母親は若く、顔立ちも整っている。更には着痩せするタイプだったようで、出る所は出て引っ込む所は引っ込んでいる体つきをしていた。正直俺のタイプだ。人妻モノ好きだし。だからこそ、絶対に直視してはいけない。愛娘の中身が見ず知らずの男なんて、思いもしていないだろうから。
「大丈夫、熱くない?」
「だい、じょうぶ」
必死で目を逸らしつつ、シャワーをかけてくれる母親に返事をする。熱さなんて分からない。様々な感情が混ざり合い、俺の心の中はぐちゃぐちゃだ。顔が真っ赤になってる気がするけどシャワーのせいだと思いたい。
体を軽く流し、湯舟に入る時が来た。母親も一緒に入るらしく、後ろから抱き締められるような形で体が密着してしまう。背中と後頭部に柔らかな感触。母親の胸は豊満で、だからこそ罪悪感が募る。
「どうしたの、莉奈?いつもはもっとはしゃぐのに」
身を固くして柔らかさを無視しようとしていると、怪訝そうな声で母親が訊ねてきた。不味い、怪しまれている。
「べ、別になんでもない。大丈夫だから」
「そう・・・・・・?」
納得してくれたのか、それとも何かを疑っているのか。母親は俺の体を優しく抱き締めた。お湯とは違う温もりが伝わってくる。当然胸の柔らかさも伝わってくるが、今回は罪悪感よりも安心感の方を強く覚えた。なんというか、ホッとする。
「何かあったらすぐに言ってね。お母さんはいつでも莉奈の味方だから」
「うん。ありがとう、お母さん」
その優しさに、俺の胸がずきりと痛んだ。莉奈ちゃんに向けられる愛情を奪ってしまっているような、そんな感覚。いや、でも体を入れ替えたのは彼女なわけで。あぁもう、よく分からない。
「よし、それじゃあ出ましょうか。体、ちゃんと洗ってあげるからね」
しかし、俺の心を置いて状況は進んでいく。母親の言葉に湯舟を出て、泡立てたスポンジで体の隅々まで洗われてしまった。筆舌に尽くしがたい経験だ。精神的に酷く消耗したのは言うまでもない。
暖かな布団の中で、俺は天井を睨んでいた。お風呂を出て、着替えも終わり。就寝の時間ということで、布団で寝物語を読んでもらい。俺が寝たふりをすると、母親は安心したのか部屋を出て行ってくれたようだ。
「明日、どうするかなぁ」
明日は土曜日だ。父親はともかく、母親は家にいるだろう。そうなると家を抜け出すのは難しい。早くアパートに戻り、莉奈ちゃんに会って元に戻らないといけないのに。
彼女が魔法のステッキと呼んでいた、装飾の施された杖に目をやる。無くさないよう、母親に頼み枕元へ置いてもらったのだ。確か、この杖で頭を叩かれたら入れ替わったんだっけ。明日、もし抜け出せたら同じことを試してみよう。それでも元に戻れなかったら・・・・・・。
いや、弱気は駄目だ。一度入れ替わったんだから元に戻れるはず。そう信じなければ。だって、これ以上莉奈ちゃんとして生きるのは耐えられない。俺のメンタル的にも、莉奈ちゃんの将来的にも、絶対に元に戻らないと。
そんな風に色々と考えているせいか、全然眠気がやってこない。まぁ、当たり前ではある。肉体的には寝る時間でも、精神的にはまだまだ起きているはずの時間だから。動物のキャラクターが描かれている毛布に潜り込み、ぎゅっと目を閉じた。
脳裏に浮かぶのは、さっきのお風呂のこと。俺だって健全な男だ、あんな美人と裸の付き合いをしたら記憶に残ってしまう。それが好みの見た目なら猶更。あぁもう最悪だ。莉奈ちゃんの体で、実の母親を性的な目で見てしまうなんて。
いやでも、だって仕方無いだろ。あれだけ距離も近くて、あられも無い姿を見せられたら。挙句、浴槽で抱き締められたら胸に、おっぱいに顔が包まれかけたんだぞ。AVか何かでしか見たこと無い。あー、うー・・・・・・!
余計に目が冴えてしまい、俺は毛布の中でじたばたと藻掻く。最悪だ、最悪だ、最悪だ。俺はなんて浅ましい人間なんだ。こんな状況でエロいことを考えるなんて。いつもなら一発ヌいて無理にでも落ち着くが、今の俺は莉奈ちゃんだ。不可能にも程がある。
とにかく。とにかく、明日なんとかして家を抜け出そう。アパートに向かい、俺の体になってる莉奈ちゃんと再会。なんとしてでも元に戻る。決意を固めつつ、俺は眠れない夜を過ごすのだった。
・・・・・・と、思っていたが。莉奈ちゃんの体も疲れていたようで、しばらくするとぐっすりと眠ってしまった。単純だな、俺・・・・・・。
翌日。母親との朝ご飯を済ませ、TVを見ながら脱出の隙を伺っていると、電話を取った母親が急に慌て始めた。聞き耳を立ててみると、どうやら町内会で何かのトラブルがあったらしい。
「ごめん、莉奈!一人だけどいい子にしててね!お昼は用意しておくから!」
「分かった、お母さん」
表面上は普通に返事をしたものの、俺は内心ガッツポーズをした。運が良い。これなら、家を抜け出してもしばらくは騒ぎにならないだろう。慌ただしく出ていく母親を見送り、数分待ってから自分も家の外に出る。魔法のステッキを握り締めながら。
「うぉ・・・・・・」
昨日も思ったけど、見知った街並みは全然違うもののように見えた。莉奈ちゃんの背が小さいからか、どれもが巨大で別物みたいだ。だけど道は知っている。俺はアパートへ一直線に向かった。急がないと、母親がいつ帰ってくるか分からない。
しかし、結構時間がかかるな。元の体とは歩幅が違う為、進む速度も違う。そして道行く通行人も、威圧感が強いように思えた。見上げないと顔も見えないから当然か。
出来る限り急ぎ、アパートの周辺まで辿り着く。息を整えながら、俺が借りている部屋のインターホンを押した。頼むぞ、中にいてくれ莉奈ちゃん・・・・・・!
「はーい・・・・・・あ、私だ」
果たして、俺の姿の莉奈ちゃんは眠たげな様子ながら扉を開けてくれた。何故だろう、酷く疲れているように見える。
「莉奈ちゃん、でいいんだよね。元に戻してもらいに来たよ」
「えー。私まだこの体でいたい。夜遅くまで起きてても起こられないし、気持ちいいし。ねぇ、駄目?」
「駄目!とにかく一旦戻ろう、ね?」
駄々をこねる莉奈ちゃん。正直気持ち悪い。まぁ、俺の体だからな。揉めてる姿を周囲に見られたら嫌なので、とりあえず強引に部屋の中にはいる。すると、嗅ぎ慣れた匂いが室内に充満していた。これって、まさか。
「ちょ、莉奈ちゃん、今まで何してたの?」
「えっと、絵本に描いてあったこと!大人って凄いんだね、ここをごしごしすると気持ちいいんだよ!」
見れば、俺の秘蔵のコレクションが部屋中に散乱していた。主に巨乳モノや人妻モノ。本棚の奥に隠してたはずなのに、どうやって見つけたんだ。莉奈ちゃんはズボンを下ろし、精液塗れでカピカピになっているペニスを見せつけてくる。
「マジ、マジかよ・・・・・・!莉奈ちゃん、そういうのはしちゃいけないことなんだ。いいから早く服を着て」
「えー、なんで!お兄さんだってシてるんでしょ!気持ちよくなった時、お兄さんの記憶読めたもん!ほら、いつもこうやってるって知ってるんだよ!」
わけの分からないことを言いつつ、莉奈ちゃんは慣れた手つきでペニスを扱く。いくら自分の体とはいえ、男のオナニーを鑑賞するような趣味は持っていない。というか待ってくれ、記憶が読めるって?
「記憶?莉奈ちゃん、俺の記憶が分かるのか?」
「うん!精液だっけ、それが出たら分かるようになった!お兄さん、お母さんみたいな人が好きなんだね!」
ど、どういうことだ。なんで俺の性癖がバレている?いや、それよりも記憶が読めるってなんで・・・・・・?もしかして、性的絶頂すると分かるようになるとか?いやいや、そんな馬鹿なことが・・・・・・。俺が混乱している間も、莉奈ちゃんは手の動きを止めない。表情はとろんとしていてとても気持ちよさそうだ。
「す、ストップ!とりあえずやめよう。ね、莉奈ちゃん」
「いやだよーだ。もうこの体は私のものなんだし、私の勝手でしょ。その代わり、私の体はお兄さんの好きにしていいからさ」
「駄目だって、そういうのは!とにかく元に戻らないと・・・・・・!」
莉奈ちゃんは男のオナニーに味を占めたのか、こちらの話を聞く気は無いようだ。仕方ない、多少強引にでも体を戻さないと。俺はステッキを握り締め、莉奈ちゃんの頭を叩こうとする。が、
「嫌だって言ったでしょ。これは没収ね」
「あっ!」
いとも簡単に止められ、ステッキを取り上げられてしまう。抵抗すら出来ない体格差にどうしようも無い。そのままステッキは、今の俺の手が届かない棚の上に置かれてしまった。
「そんな・・・・・・」
「ふふん。大丈夫だよ、飽きたら元に戻すから。それまでその体で愉しめばいいじゃん」
「楽しむって、あのね莉奈ちゃん。そういうことはしちゃいけないんだ。せめて大人になるまでは」
「お兄さんは大人でしょ?私はお兄さんの体だし、私も大人。なら問題無いよね!」
無茶苦茶な物言い。莉奈ちゃんは悪い笑みを浮かべながら俺を抱き上げ、向かい合うように座らされる。目の前には俺の体。そしてそそり立ったペニス。異常過ぎる状況だ。
「ほら、女の人って胸を揉んだり股間を触ると気持ちいいんでしょ?私の体でもやってみようよ」
「だから駄目だって、っ」
伸びてくる手を振り払おうにも力が足りない。そのまま莉奈ちゃんの、俺の手が平らな胸を撫でた。全く平坦で膨らみも無い胸は、特に気持ち良さを感じたりしない。当然だ、莉奈ちゃんはまだ5歳くらい。性感が発達しているわけが無い。
「お兄さんの好みとは全然違うね。私の胸がもっと大きければ、もっと柔らかいのに」
「やめ、やめろ、やめなさいって・・・・・・!」
ごつごつした手が胸を這い、乳首を刺激する。鋭い感覚は快感というより痛みに近かった。顔をしかめる俺だが、莉奈ちゃんはお構いなしに体をまさぐっていく。片手が股間に伸び、必死にガードしようとするも意味が無い。
「んんっ!痛いからやめてくれ、莉奈ちゃんの体が傷付いちゃうから」
「大丈夫大丈夫、女の人の体は優しく扱わなきゃだもんね?ちゃんと優しくするから」
ふにり、と。のっぺりした股間を指が撫でる。ピリッとした感覚はやはり痛みに近い。莉奈ちゃんは言葉の通り、優しい手つきでゆっくりと刺激し続ける。駄目だこれ、なんか、変な気分になる。体がぽかぽかと暖かくなるような。
痛みは徐々に消えていき、代わりに感じるのは電流のような感覚。さっきと同じはずなのに、明確に何かが違う。駄目だ、よくない。理性が警鐘を鳴らす中、俺は必死で莉奈ちゃんの向かい側から抜け出そうと藻掻いた。が、
「あっ、それ気持ちいいっ」
ふとももがペニスに擦れ、気持ちよさそうに莉奈ちゃんが震える。同時に感じるのはペニスの感触。ぐにりとした感じは、自分で触れる時と微妙に違う気がした。そして熱い。火傷しそうな程だ。
「すごい、自分でするのと全然違う・・・・・・!ねぇ、もっとふとももで擦って。そうしたら私も触るの止めるから」
「は、はぁ?」
莉奈ちゃんは目をキラキラさせて俺を見つめてくる。素股をしてくれと頼んでいるわけだけど、本人にそんな知識は無いだろう。いや、俺の記憶を読めてるなら知ってるのか?とにかく、そんなことするわけには・・・・・・。
「ひっんんっ!?」
「ねぇ、お願い!そうしないとずっと触っちゃうよ。ほらほら~」
俺の、男の指が股間をまさぐると声が押し出されてしまった。これは、このままだとヤバい気がする。止めないと、でもその為には。与えられる刺激で思考が乱れ、四肢に力が入る。そのせいでペニスをふとももで挟む形になってしまう。
「んあっ、それいいっ!」
声を上げて身をくねらせる莉奈ちゃん。意識した訳じゃないけどお願い通りの結果だ。手の動きも止めてくれている。どくんどくんと脈打つペニスは熱く、固かった。いつもなら自分に付いてるものなのに、正直気持ち悪く感じてしまう。
クソ、仕方ない。そのまま両足に力を込めて閉じていると、莉奈ちゃんは腰を動かしてペニスを上下させる。我慢汁が溢れ、内股を汚していった。ぬちぬちという音に目の前の俺の体がやらかしている痴態、最悪にも限度がある。
「いい、いいよぉ、すごく気持ちいい」
うわ言のように呟き、彼女の腰の動きがどんどん早まっていく。今の莉奈ちゃんには5歳児の面影は無い。完全に男の性欲に支配されてしまっているようだ。一度出させて落ち着かせるしかないのか・・・・・・?
俺が考えている内にも、莉奈ちゃんは激しく腰を動かしていた。ゆさゆさと振動が伝わり、ペニスがふとももの肉に擦れていく。ひょこひょこと足の間を上下しているのは滑稽にさえ思えた。自分が関係していなかったら笑ってしまっていたかもしれない。
だが、不幸にも俺は当事者だ。目の前の俺、もとい莉奈ちゃんの荒い息が顔にかかり吐き気がする。それなのに・・・・・・ペニスから伝わる熱が、こちらにも溜まっていくような感じがした。
「っ、ちょっと莉奈ちゃん・・・・・・!」
動きはどんどん乱暴になっていき、ふとももを擦っていたペニスが俺の股間に近付いていく。止めようにも力では敵わない。そして、ついに互いの性器が触れ合ってしまった。瞬間、鋭い感覚が俺を襲う。
「んんんっ!?」
ビリビリと電流が走ったような刺激に思わず体が跳ねた。そのせいで性器同士がもっと擦れ、刺激が倍増していく。これ、駄目だ。このまま続けるのは不味い。頭の中で警鐘が鳴るが、今の俺では莉奈ちゃんを止められない。
「あっ、そこ気持ちいい。何これ、なんでっ?」
「莉奈ちゃん、不味い、不味いから、っく・・・・・・!」
未知の感覚に耐え切れず、俺は倒れ込むように目の前の莉奈ちゃんへと抱き着いた。おかしい。こんな子供の体なのに、どうして気持ち良さを感じてしまってるんだ。お腹の奥が熱い。全身が敏感になって、心が震えもっと快感を求めていく。
「あぁっ!?」
抱き着いたせいで更に密着してしまい、亀頭の膨らんだ部分が割れ目をぞりぞりとなぞった。気持ち悪さと気持ち良さが同時に這い上がってきて、俺の脳を焼き切ろうとしてくる。為す術が無いし抗えない。もう、これは・・・・・・。
「お兄さんっ私もうっ!」
「駄目、だ・・・・・・!」
切羽詰まった響きの声。辛うじて制止しようとするが意味は無かった。白濁した精液がペニスの先端から噴出し、俺の体を汚していく。熱い。そして臭い。それなのに、どうしようもなくお腹の奥が疼いてしまう。
「はあぁぁ・・・・・・気持ちよかったぁ。自分でするのとは全然違うんだね」
莉奈ちゃんは呆けたような声を出し、愛おしそうに萎み始めたペニスを撫でた。一度出したことで落ち着いたらしい。対する俺はまるで疼きが治まらない。これじゃ生殺しだ。俺だって、もっと・・・・・・。
いや。いやいや。俺は今何を考えた?これはあくまで莉奈ちゃんの体だ。いくら無理やり入れ替えられたからって、こんな幼い、それも他人の体で気持ちよくなろうなんて間違ってる。ぐっと堪えて押し黙る俺に、莉奈ちゃんは俺の顔でにやりと笑う。
「あれ、どうしたのお兄さん。なんか物欲しそうだけど」
「・・・・・・そんなこと、無いよ。ほら、満足したでしょ。だから体を元に戻してくれ」
「ふぅん?でも、お兄さんは満足してないんでしょ?だって、ほら」
「んっ」
そう言って莉奈ちゃんが俺の股間に手を伸ばすと、そこにはぬちゃりとした粘液が垂れていた。ペニスから出た我慢汁や精液とは違う。それは、割れ目の間から染み出たものだ。そんな、あり得ない。この歳で愛液が出るなんて・・・・・・。
「ねぇお兄さん、素直になろうよ。二人で一緒に気持ちよくなろう?」
「駄目、だって。こういうのはよくない、から」
込み上がる疼きを抑え、熱い息を吐きながら答える。だけど、莉奈ちゃんは俺の返事を聞く気は無いようだ。強引にこちらを押し倒し伸し掛かってくる。汗と男の体臭に包まれて暑苦しい。
「挿れる・・・・・・のは流石に無理だよね。小さいし。残念だなぁ」
ぬちぬちと音を立てながら、割れ目にペニスが押し当てられた。多分、挿入されたら死ぬという予感がある。この体には俺のモノは大き過ぎるのだ。莉奈ちゃんもそれは分かっているようで、半勃ち状態のペニスをゆっくりと擦り付けている。
「くっ、んん!り、莉奈ちゃん」
「やっぱりさ、両方気持ちよくなくちゃ。私の体が射精みたいになるかは分からないけど」
熱い熱いペニスが割れ目を擦る度、ピクピクと全身が動いてしまう。自然と涙が溢れて視界は滲み、喉からは悩ましい吐息が漏れた。成熟していない体が発情している。二次性徴もまだなのに、快感を求める疼きがどんどん強まっていく。
「ふっ、ふっ、どう?ちゃんと気持ちいい?」
「あっんぅ、駄目っだ!とま、止めてくれ・・・・・・!」
最早懇願するように言うが、莉奈ちゃんは笑みを深くして腰の動きを早めた。きっと、今の俺の表情は蕩け切っているのだろう。ずくりずくりとお腹の奥が疼き、痺れ、全身に広がっていく。俺は逃れたくて、それなのにもっと欲しくて、気付けば再び目の前の男に抱き着いていた。
「ぬるぬるで、ぷにぷにで凄い!これならまたすぐ出せそうだよ!」
「んんんっ、ふぅっ、くぅんっ!」
気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい。頭の中がそれだけで一杯になる。股間に擦り付けられているペニスから、噴き出す子種が欲しくてたまらなくなる。駄目だ、駄目なのに、もう止められない。
子供を産める体じゃないのに、莉奈ちゃんの肉体は発情し切っていた。中にいる俺のせいなのかもしれない。俺と莉奈ちゃんが入れ替わらなければ、あと十数年は彼女も経験しなかったはずなのに。快感に呑まれ流されながら、頭の片隅でそんなことを考える。
「あっまた上がってきたぁ・・・・・・!ねぇ、出すよ!いいよね?ねぇ!?」
「ひぁっんんっぅぅぅっ!」
切羽詰まった男の声。俺はそれに喘ぎ声で答えることしか出来なかった。腰の動きがますます激しくなり、我慢汁と愛液が混ざり合い二人の体を汚していく。あぁ、何かが来ている。大きな何かがすぐそこまで。
イくのか。この体で、幼い子供の、莉奈ちゃんの体でイってしまうのか。逡巡する間も無く、俺は爆発する快感に呑み込まれた。
「っっっあああああぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」
視界が真っ白になる。全身がバラバラになる。快感で、全てが塗り潰されていく。あまりにも暴力的な快感の爆発に、俺は少しも抗えない。自分がどうなっているかも分からなかった。
どれだけの時間が経ったのだろう。視界に色が戻り始め、始めに見えたのは俺の顔。荒い息を吐き、表情はだらしなく歪んでいる。そして、次に感じたのは精液の匂い。莉奈ちゃんは凄い勢いで射精したみたいで、喉元近くまで精液が飛んできていた。
あぁ、駄目だ。こんなのを味わってしまったら戻れない。というより、主導権は莉奈ちゃんにあるんだから仕方ない。気だるさと快感の余韻の中、俺は全てを諦めようとして・・・・・・気付いた。さっきまで好き勝手やっていたせいか、棚の上からステッキが落ちている。丁度、俺が押し倒されている右側に。
莉奈ちゃんはまだ気付いていないようだ。射精の快感にまだ浸っているんだろう。しかし、横を向けばすぐに気付いてしまう。今しかチャンスは無い。でも、本当にいいのか?もう一度、あの快感を味わいたくはないのか?
心の中の囁き。しかし、それは駄目なんだ。俺だけならいい。でも、莉奈ちゃんは元に戻さないと。彼女に悪意があったわけじゃないんだから。
「ねぇ、お兄さん。もしよかったら、もう一回」
「ごめん莉奈ちゃん!」
莉奈ちゃんが口を開いた瞬間、俺はステッキを掴んで側頭部に叩きつけた。シャララーンと音が鳴り、光が放たれる。あの時と同じように視界が歪み、そして俺達は───
「おにーさん、こんにちは!」
「こんにちは、莉奈ちゃん」
昼下がりの公園。バイトが休みの日に、俺は約束通りベンチに座り待っていた。やってきたのは莉奈ちゃんと、その母親だ。
「もう、莉奈ったら。ごめんなさいね、迷惑かけてしまって。まさか、こんなに懐くなんて」
「ははは。いえ、大丈夫ですよ。お菓子をあげただけで、こんなに好かれるとは思ってませんでしたけど」
母親に愛想笑いを返しつつ会釈する。そういえばこの人の全裸を見てるんだよな・・・・・・。いや、忘れよう。それが身のためだ、うん。
───あれから後。無事に元に戻った俺は、着替えたり体を洗ったりして証拠を隠滅した後莉奈ちゃんを家へと送り届けた。莉奈ちゃんはかなり駄々をこねたけど、なんとか説得。無事母親が帰ってくる前に帰宅させてあげられたのだ。
しかし、話はそれで終わらなかった。なんと莉奈ちゃんは俺のことを母親に報告。当然何をしたかとか入れ替わりの件は話さなかったらしいが、そのせいで俺は「ハロウィンの日にお菓子をくれた、優しいお兄さん」として母親に紹介されてしまっている。
「ねえおにーさん、あっちいこあっち!わたしね、すなでおしろつくりたい!」
「あーはいはい、分かったよ。それじゃお母さん、行ってきます」
「はい。莉奈のこと、よろしくお願いしますね」
母親は運良く俺のことを信じてくれたけれど、もし真実を知ったら卒倒するに違いない。入れ替わってたとはいえ、俺達はあんなことをしてしまっているのだから。良心が痛むが、俺とて自分の人生を壊したくはない。それに何より・・・・・・。
「おにーさん、せっかくだからまほうのステッキつかおうよ!わたし、おにーさんのからだでおしろつくりたい!」
「駄目だよ莉奈ちゃん。言ったでしょ?魔法のステッキを使うのは誰も見ていない所でだけだって」
・・・・・・そう。入れ替わりを引き起こすあのステッキは、未だ俺が所有していた。本当は捨ててしまえばよかったのだが、他に被害が出るかもしれないと思うとそれも出来ず。何より、莉奈ちゃんから脅されてもいるのだ。捨ててしまえば本当のことを母親に話す、と。
だから、俺は彼女と約束事を取り決めた。入れ替わるのは誰も見ていない時だけ。えっちなことは双方の同意が無いと禁止。今の所、莉奈ちゃんはこの約束を守ってくれている。今の所は、だけど。
「ちぇー。けちんぼー」
「バレたら大変なのは莉奈ちゃんもだからね。また入れ替わりたいなら、少しは我慢しないと」
「はーい。それじゃ、かわりにおっきなおしろつくろう!トンネルも!」
「はいはい、手伝うよ」
まぁ、一時のことを思えば上手くやれているとは思う。元に戻れたし、彼女の両親にはまだ怪しまれていないし。それに、その、なんだ。莉奈ちゃんの体で感じた気持ち良さは、俺の中にずっと残っている。忘れたくても忘れられない。
結局の所、俺が魔法のステッキを捨てていないのはそれが理由だ。もう一度、あの快感を味わいたいから。無邪気な莉奈ちゃんを利用しているとも言える。最悪な人間だな、俺は。でもいいんだ、同意の上ならば。そう言い訳をしつつ、俺は砂場の砂を一か所に集め始めた。
「それでおにーさん。どれだけがまんしたらいれかわってくれるの?」
「そうだなぁ。莉奈ちゃんがもっと大人になるまで、とか?」
「えーやだー!そんなにまてないよ!」
砂をぺたぺたと固めつつ、頬を膨らませる莉奈ちゃん。今の二人の関係は歪で、いつか直さないといけないと思っている。でも、俺だってそんなに待てない。あの疼きが、脳裏に焼き付いているから。
「分かった。じゃあ、今度お母さんがいない日を教えて。おうちに遊びに行くから、その時にね」
「ほんと?やったー!」
だから、俺はそんな提案をする。淫らなことになると分かっていながら。傍らに置いてある魔法のステッキが、怪しげな光を放った気がした。