「ねー、直之。あたし喉乾いたからジュース取ってきてよ」
「お前の方が冷蔵庫に近いじゃん、お前が取ってくればいいだろ」
「やーだー。炬燵から出たくなーいー」
「俺だっていやだっての。おっけいじゃあいつも通りじゃんけんで決めるぞ、最初はグー!」
「「じゃんけんぽん!」」
冬のある日、それなりの築年数が経っているアパートの一室で、大学生くらいの男女が炬燵を挟みじゃんけんをしていた。女性の方は薄くブラウンに染めた長髪に、凛々しい顔立ちに強気そうな表情を浮かべている。エネルギッシュな雰囲気が、比較的小柄な体格を大きく見せているようだ。男性の方は平均以上の身長に、短く刈り込んだ髪、そしてひと昔前の俳優のようなやや濃い顔立ちをしている。がっしりした体格は筋肉で出来たものなのか、太っているというイメージは感じられない。
「「あいこでしょ!」」
外では結構な勢いで雪が降り、気温は例年よりも下がっている。当然部屋の中も寒波の影響で気温が下がり、体を冷やさないためには炬燵や湯たんぽ等の暖房用具が必須だろう。
「「あいこでしょ!」」
そんな部屋の中で、男女は炬燵から出たくない為にじゃんけんに興じていた。一手目は互いにパー、二手目は互いにグー。三手目も互いにグー。ただのじゃんけんとは思えない程に真剣な表情で、視線が交錯しバチバチと火花を散らしているかのようだ。そして、四手目は、
「っしゃあ!!」
「だぁ~もうっ!」
男がグー。女がチョキ。勝利した男はそのままガッツポーズを決め、女は炬燵の台にがくりと崩れ落ちた。
「くっそー、馬鹿正直に三連続グーとかさぁ・・・・・・うえぇさっむ!」
「裏をかいたんだよ、裏を。あ、俺柑橘系な」
渋々といった様子で炬燵から出る女に、男は注文を付けながらスマホを操作する。大学の連絡用グループチャットには、「豪雪の為休講」の文字が映っていた。
今村哲(いまむらてつ)と鹿屋麗(かのやれい)は幼馴染のカップルだ。高校入りたての時期から付き合い始め、今年で6年になる。まるで家族のように息の合っている二人だが、最近の哲には一つの悩みがあった。それは、彼女である麗の性欲の強さである。
「ふぅ・・・・・・」
炬燵で温まりながら、寒さに震えながら冷蔵庫に向かった麗の後ろ姿を見る。初めて体を重ね合わせたのは今から二年半前。キャンパスライフやアパートの同棲にも慣れ始めた頃、麗の方から誘ってきたのが始まりだった。二人にとってとても素晴らしい体験であり、哲は大切な思い出として心の奥に仕舞ってある。問題は、その後だ。
最初は一週間に一度くらいだった性行為は少しずつ間隔が短くなり、今では殆ど毎日誘われている。流石に体力が持たないと哲は麗に言うと、彼女は不満げに頬を膨らませるも納得してくれるが、彼女を満足させられない自分が情けなくもあった。
(最近なまってた体鍛え直してるんだけど、それでもきっついからなぁ)
高校時代は陸上部として過酷な練習に耐えていた哲だったが、大学に入ってからは特にサークルには所属していない為、体力は前に比べて確かに落ちていた。しかし、例え全盛期だったとしても麗の性欲を全て受け止めるのは無理だろう。ここ数日は異常な程の寒さの為か流石の彼女も誘ってはこなかったが、寒波が過ぎた後が怖いと哲はと、
「あーもー寒い寒い!面倒だからまとめて持ってきたよ!」
炬燵の台に何本ものペットボトルと酒の缶、二つのコップを並べ、ついでに持ってきた色んなお菓子やつまみを置いた麗は、滑り込むように炬燵に入った。持ってきたジュースには手も付けず、炬燵の中に手を突っ込んで温めている。
「おい、こんなに持ってきても飲み切れないだろ。まだ昼なのに酒までもってきて」
「こんな寒さなら冷蔵庫に入ってなくても大丈夫でしょー。どうせこの雪で出掛けることも出来ないし、だらだらしようよ」
にへらと笑いながら言う麗。可愛さに少しドキッとしつつも、哲は頷いてジュースを飲もうと手を伸ばした。
「・・・・・・ん?おい麗、これなんだ?初めて見るけど」
哲が手に取ったペットボトルは、見たことないラベルが張られたものだった。前衛的過ぎるデザインの為商品名が読み辛いが、どうやらVice Versaサイダーと書かれているようだ。
「あーそれ?雪降る数日前にさ、街中で配ってたんだ。試供品ってやつ?なんか着物みたいな服着た可愛い女の子がせっせと配っててね、めっちゃ可愛かったから受け取っちゃったんだよね」
「へー・・・・・・。この英語、逆とか反対って意味だよな。どういう味なんだ?」
「さぁ?あたしも飲んでないし。っていうか飲むなら半分こね、一本しか無いんだから」
「へいへい、分かったよ」
哲は丁度半々になるようにサイダーをコップに注ぎ、片方を麗の方に差し出した。彼女はコップを受け取りながら、催促するようにそれを少し揺らす。
「ん?なんだよ」
「折角だしさ、乾杯しようよ。なんでもない一日に乾杯ってのも結構ロマンチックじゃない?」
麗の言葉に、哲は苦笑しながらもコップを掲げた。コン、とコップ同士の触れ合う音が響いた後、二人はサイダーに口をつける。
「んー・・・・・・なんだ、炭酸は控えめだけど何種類かのフレーバーが混ざってるな」
「そだねー。でも結構飲みやすくてあたしは好きだな」
味を話し合いながら、お菓子にも手を出し始める二人。気が付けばジュースだけでは無く酒も飲み始め、仲良く騒ぎながらちょっとした宴会のようになる。外には雪が降りしきる中、夜になっても哲と麗はだらだらと飲み続け、酔いでふらつく体で布団を敷き、寒さを凌ぐために抱き合いながら眠りにつくのだった。
もぞり。抱き合っていた相手が身じろぎする感覚で、哲は微睡みから目覚めた。
(ん・・・・・・)
温かい感触。布団から出ている顔はやや寒いが、抱き合いながら布団に入ったことで震えながら眠れないという事態は避けられたらしい。
(頭、いてぇ・・・・・・)
頭の奥の鈍痛に、顔をしかめながら目を開ける。哲は酒には強い方で、昨日飲んだ量程度では二日酔いすることも無いはずだった。が、
「・・・・・・んあ?」
哲の目に映ったのは、自分の寝顔だった。口の端から涎を垂らしながら、幸せそうに眠っている。
(・・・・・・寝ぼけてんのか、俺?)
目を擦りもう一度見てみるが、哲自身の寝顔が消えることはない。手を伸ばし自身の顔の頬を撫でてみると、生えかけた髭のざらざらとした感触が伝わってきた。
「・・・・・・え?」
動揺する哲。混乱しながら毛布をめくって起き上がり、事態を確認しようとする。すると、とんでもない光景が哲の目に飛び込んできた。
「は、え、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!??!?」
毛布を剥がされ、寒そうにしている自分自身。慌てて自分の体を見下ろすと、いつも麗がパジャマ代わりに着ていたセーターの生地が、二つの膨らみで盛り上がっているのが見えた。手を伸ばし触ってみると、柔らかな感触が手のひらに伝わってくると共に変な感覚が触られた胸から感じ取られる。
「ちょっと、もー、哲うるさいよ・・・・・・何騒いでんの・・・・・・」
目を擦りながら、自分の体が目を覚ました。まるで麗のような口調で喋りながら、視線が哲の方を向く。
「・・・・・・え?あたし?」
二人は見つめ合い、混乱が広がる部屋の中で哲と麗は言葉を交わす。
「お、お前、ひょっとして麗か?」
「そういうあんた、もしかして哲?」
互いに確認し合った二人は、やがて示し合わせたように悲鳴を上げた。
「「え、えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!???」」
「えーと、つまりアレ?あたし達、なんかの映画みたいに入れ替わってるってこと?信じらんないんだけど」
「しょうがないだろ、実際こうなってるんだから信じるしかないって」
起床してから数十分。互いに名前やプロフィール、二人しか知らない秘密を確認し合った二人は、入れ替わっているという事実を受け止めた。
「え、これどうすんの?どうやったら戻れるとか、哲知ってる?」
「いや、流石に知らないけど・・・・・・なんか自分の体が勝手の動いてるの気持ち悪いな」
「あー酷い!それアタシに気持ち悪いって言ってるのと同じだからね!」
プンスカ怒りながら女らしい振る舞いをする自分の体の麗を見ながら、哲はゲンナリとした表情を浮かべる。
「いや、だって想像してみろよ。俺の姿で女っぽい振る舞いしてたら気持ち悪いだろ?動画撮って見せてやろうか」
「そういう偏見、差別だよー?いいじゃん別に気にしなくても。別に哲がそういう動きしてたって・・・・・・ごめん、やっぱ無理かも」
「おい」
想像して気持ち悪くなったのか、顔が青くなる麗にツッコむ哲。しかし、現状どうしてこうなったのか全く分からない。哲は頭を掻こうとして、今は麗の体だということを思い出しやめた。
「んーまぁ、今日も大学休講みたいだし、時間経過で戻るかもしれないからしばらく様子見てもいいんじゃない?ほら、何事も経験って言うし」
「落ち着いてんなぁ、麗は。俺は正直混乱しっ放しだよ、ったく」
麗の言葉に苦笑しながらも、哲はその能天気さに救われるような思いだった。
(こんな非現実なこと、もし一人だったらもっと焦ってたかもしれない。今回ばかりは麗の能天気っぷりに感謝だな)
とりあえず朝食を食べようと、二人は食パンにオレンジマーマレードを塗ったものと、レンジでチンしたウインナーをもそもそと食す。
「うわ、オレンジマーマレードおいし。哲が柑橘系好きだからかこの口だといつもより美味しく感じるわ」
「そういうもんか?あぁでも、確かにいつもより味気ない気がする。当然だけど味覚も違うんだな」
そんな話をしながら食べ終わると、哲の体の麗は不意に眉を顰めるような表情をした。哲が訊ねてみると、彼女はとんでもないことを呟く。
「おい、どうした?」
「あー、これ、どうしよう・・・・・・ねぇ、哲。あたしトイレ行きたいんだけど」
「・・・・・・そうか、そういう問題もあったか」
頭を抱える哲。麗は尿意を一度意識したせいか、もじもじと体をくねらせ、困ったような目を向けてくる。そんな自分の体を見て顔をしかめる哲だが、仕方ないと溜め息を一つつき言った。
「はぁ・・・・・・分かった、念の為一緒にトイレ行こう。俺もやり方を教わった方がいいだろうし」
「そっか、そうだよね。うわマジか、今からあたし達互いの体でおしっこしちゃうのか・・・・・・変態みたいな状況だなもう」
二人はやや緊張しながらも、一緒にトイレに向かう。洋式の便座が設置してあるそこは、哲と麗が入るだけでかなり窮屈になる狭さだ。
「せっま・・・・・・っていうか哲の体が大きいのよ。食べてるご飯とか結構同じなのに、なんでこんなに発育に影響が出るんだか」
「そりゃこっちのセリフだよ、今、そのデカい体なのはお前だろ。正直、俺の体に見下ろされると威圧感があってちょい怖いって知ったわ」
「あたしは慣れたけどね。あーでも、こうやって自分の体見下ろしてると庇護欲湧いちゃうかも。可愛いなぁあたし」
「馬鹿なこと言ってないでズボン下ろせ。難しいことでもないからよ」
麗がズボンとパンツを下ろすと、哲の体の局部が露出した。異様な状況の影響か、哲のペニスは半勃ちしているようだ。通常よりもかなり大きいそれは、客観的に見るとグロテスクのようにも見える。
「うわ・・・・・・この角度から見るのは初めてだけど、自分のものとはいえ結構グロいな」
「そのグロいのであたしを責めまくってるのはどこのどいつよ。あぁでも、あたしに哲のおちんちんが付いてるって考えると、ちょっと変な気分になるかも」
その言葉と共に、むくりとペニスが反応しようとする。その様子に哲は慌てて目を逸らしながら言った。
「おい、人の体で興奮するなって!いいから便器の方向け!」
「はーい」
頬を染めながらの哲の言葉に、麗は少しニヤつきながらも言われた通りにする。
「ったく・・・・・・あとはちんこを握って、小便が便器の中に入るように調整すればいいんだよ。で、ちょっと踏ん張るようにすれば・・・・・・」
やれやれと首を振りながら話す哲に、麗が割り込むように言った。
「いや、調整しろって分からないんだけど?っていうか何、踏ん張るって、あ、ヤバい漏れそうっ・・・・・・!」
「お、おい!」
ペニスから尿が出る寸前、後ろから手を回した哲がペニスを握り、位置を調整した。瞬間噴き出す尿は、僅かに便器の外に飛び散りながらも大部分は水が溜まった部分に注がれる。麗は女性の時とは少し違う解放感に、目を細めながら呟いた。
「ふぅぅぅぅ・・・・・・なんか気持ちいい、液体がおちんちんを通って出てく感じが・・・・・・射精みたいな?」
「変なこと言うなっ!大体放尿と射精は全然違うっての、まったくお前は・・・・・・」
「そうなんだ。っていうかこの体勢、手コキみたいだね。ほら、二週間くらい前にあたしがしてあげたじゃん、こうやって後ろからさ」
「黙ってろって!」
哲は言いながら、少し嫌な予感がしていた。なんというか、麗のスイッチが入ってしまっているような、いつも誘ってくる時に漂わせている雰囲気を今の麗から感じる。
(いくら麗でもこの状況で変な気分になるなんてことは・・・・・・いや、あるかもしれない・・・・・・)
今までのことを思い返した哲は、予感が的中しているだろうことを感じる。とりあえず放尿が終わったペニスを軽く振ってからから手を放し、言った。
「ほら、これで終わりだ。早くパンツとズボン履けよ」
「へー、ほんとに振って水気飛ばすだけでいいんだ。らくちんだなぁ」
呑気に言いながらパンツとズボンを上げる麗に、哲は内心ほっと一息ついた。しかし、その安心は間違いだったことをすぐ知ることになる。
「よーし、じゃあ次は哲の番ね!ほら、座って座って!」
一旦トイレの外に出た後、ぐいぐい体を押してくる麗。その勢いに違和感を覚えつつも、哲は便器の前に立った。
(・・・・・・今から、麗の体で用を足すのか・・・・・・)
恥ずかしいような、後ろめたいような気持ち。哲はゆっくりと息を整えようとして、
「えいっ」
麗に、一瞬でパンツまで下ろされた。
「っ!?麗、なに急にっ」
「女の子は漏らしやすいって言うでしょ?だから早くしないと。ね?」
覚悟も出来ないままに、便座に座らさせられる哲。温かいカバー付きの便座が尻に触れると、いつもよりも柔らかい気がする。すると、麗は哲の両膝に手を当てて広げてしまった。
「あっおい、広げるのは絶対必要ないだろ!」
「いや、閉じたままだと太ももにおしっこが伝って汚れちゃうかもしれないから。普通だよ、普通」
嘘か本当か分からないことを嘯く麗だが、どっちにしろ今の哲では足を閉じようとしても麗の、自分の力に敵わない。仕方なくされるがままにする。
「あとは、男と同じかなー。踏ん張るっていうよりも力を抜くって感じだけど」
「お、おーけー。ふぅっ・・・・・・」
言われた通りにしてみると、哲の股間から温かい尿が溢れ出した。男の時に比べてすぐに出たように思えて、自分の体とは違うことを哲は改めて自覚する。と
「うわぁ、あたしのってこんな感じなんだ。ちゃんと手入れしててよかったー」
麗が、しゃがんで股間を凝視していた。
「っおい、俺の体でそういうことするんじゃねえよ」
「いいじゃん、そっちはあたしの体でおしっこしてるわけだしさ。おあいこおあいこ」
「いや、全然おあいこじゃ・・・・・・っ」
ぶるるっ、と哲が体を震わせる。どうやら尿を出し切ったらしい。
「えーっと、とりあえず紙で拭けばいいんだよな?」
哲がトイレットペーパーに手を伸ばすと、その手を麗が掴んだ。もう片方の手で人差し指を立て、ちっちっちっと舌を鳴らしながら振っている。
「そんな簡単じゃないよ、拭き方にもコツがあるんだから。折角だしあたしがやったげる」
「は?いや、それは・・・・・・」
「なによー。それとも哲はあたしのおまんこ触りたいの?えっちー」
「今までも散々触ってるだろそれは!・・・・・・まぁ、じゃあ頼む」
微かによぎる嫌な予感はありつつも、哲は麗に任せることにした。麗は張り切ってトイレットペーパーを千切り、そっと自分の体の股間に手を伸ばす。
「ぅんっ・・・・・・」
湿った秘部を撫でられ、哲の口から艶めかしい声が漏れた。治りかけの傷口を触られたような、鋭敏な感覚。そのまま秘部を拭かれると、ぞわぞわと背筋に何かが走った。
「んっ・・・・・・!?」
「ちょっと、変な声出さないでよ。感じちゃってるの、哲?」
「そんなわけ、んああっ!?」
トイレットペーパーを持つ麗の指先がとある部分に触れると、全身に電流が走るような刺激に襲われ、哲は大きく喘いでしまう。滲んできた涙を拭いながら、哲は混乱しながら麗に聞いた。
「い、今のって」
「ふふん、クリトリスよクリトリス。あたし弱いのよねー、ここ」
「いや、それは知ってるけどなんでクリをっくぅんっっ!!??」
ビクンと哲の体が震える。トイレットペーパーを便器の中に捨て、麗は指先で直接クリトリスを擦っているようだ。喘ぎながら身を震わせる哲を見て、麗はニヤリと笑いながら言う。
「どーお?あたしの体、気持ちいいでしょ?」
「おまっ馬鹿!ふざけてる場合じゃっひぃんっ!?」
「ふざけてなんかないよ?いつ戻るか分からないんだし、最近溜まってたし。折角だから入れ替わったまま愉しむのもありかなーって」
「だからってこんなっ、せめて布団でっ・・・・・・!」
懇願するような哲の声に、麗はしたりと微笑んだ。さっと哲を抱えてトイレを飛び出す。
「言質取ったー!うわっあたしの体かるーい、ていうか哲の体の筋肉が凄いのかな?」
麗はいつも通りといった様子で話しながら、じっとりと汗をかき始めた自身の、今は哲の体を運んでいく。運ばれている哲はというと、下半身を晒したままの状態で、目を白黒させて混乱から脱却出来ていないようだ。
布団が敷かれている場所まで来た麗は、優しく哲を布団へと寝かす。そして自身もズボンとパンツを下ろし、先ほどに比べて二回りほども大きくなっている哲のペニスが姿を現した。
「ちょ、お前、マジでするのか?」
「うん、あたしも男の快感を味わってみたいし。哲だって女の快感気になるでしょ?さっきよりももっとずーっと凄いんだから」
「・・・・・・はぁ。分かった、分かったよ。一度スイッチ入った麗が止まらないのは知ってるし、ここ数日ご無沙汰だったからな。だけど、アレだ。無理はするなよ?体が入れ替わってるとか訳分からない状況だ、変に体に負担がかかってるかもしれないから」
「やった!哲大好き!」
観念したように言う哲に、麗は思い切り抱き着いた。自分の体の力で締め上げるようにされ、哲は苦しそうな声を上げる。
「おい、力強いって!く、苦しい・・・・・・!」
「あ、ごめんごめん。哲、最近鍛えてるもんねー。あたしのか弱い細腕とは大違いだ」
自身の腕から解放され、ぜえぜえと息をつく哲。その力の差に、入れ替わっているという事実を強く実感させられた。そして、今からその力強い自分の体と性行為をするという事実。
(いや、どういう状況だよ本当に・・・・・・。クソ、腹を括るしかないか)
輝く瞳でペニスをおっ立てている麗は、もう止まらないだろう。哲は現状を受け入れ、覚悟を決める。それに、哲自身も異性の快感に興味が無いわけではなかった。
「あのな、マジで乱暴にはするなよ。俺の体は力が強いってさっき分かったろ」
「分かってるよ、ちゃんと優しくするからさ。ほら、足開いて」
言われた通りに哲が足を開くと、ひやりとした外気が股間に当たりぴくっと体が震えてしまう。そんな様子を眺めながら、麗はペニスを片手に握り、いつの間にか用意していたコンドームを装着していた。
「うわ、何この感じ・・・・・・なんか、おちんちんに感覚が集中してるみたいな気分」
ゆっくり扱きながら、麗は快感を味わうように呟く。
(なんか、自分がちんこをシコってるの見るのは変な気分だな・・・・・・って、なんだ・・・・・・?)
哲はその光景を眺めながら、体が熱っぽくなり、視線がペニスに向かってしまうことに気付いた。
(これ、麗の体が発情してるってことか?)
考えながらも、股間からじゅわっと何かが染み出すような感覚を覚える哲。漏らしたわけではないようだが、未知の感覚に哲は戸惑って、しかし視線はペニスから外せない。自然と息が上がり、目の前のペニスを求める感情が湧き上がってくる。
「な、なぁ麗。お前、ずっとこんな気分だったのか?」
「え、何?どういう・・・・・・あ、そういうことか。あたしの性欲の強さ、その体になったから分かるでしょ?そうなんだよね、哲のことが好きだ―って思ってスイッチ入っちゃうと、自分じゃ我慢するの大変なんだよ」
「・・・・・・なんか、ごめんな。体力的にキツいとはいえ、何度も誘いを断ったりして」
「別にいいって、あたしがなんか変だってことは分かってたし。それに、哲はあたしに合わせようと頑張ってくれてるじゃん」
そう言って、屈託無く笑う麗。自分の顔だというのに、どこか愛おしさを感じた哲は口を開いて、
「んぅぅっ!?!」
ペニスが膣の入り口に触れ、喘ぎ声を上げた。
(あ、熱いっ!?)
ペニスが触れている部分が燃え上がるように熱を放ち、哲は腰を引こうとする。しかし、麗はがっちりと腰を掴んで逃がさない。
「よし、それじゃあ挿れてみよっか!あっなんか入り口の時点でぬるぬるで気持ちいい、流石あたしのおまんこ!」
「まっ待って、俺はまだ心の準備がっ!」
「大丈夫、これだけ濡れてるなら準備万端だから!いくよっ!」
ずぶり。麗が思い切り腰を突き出すと、ペニスが膣の中へとすんなり挿入っていく。
「ひぁっなっんんんんんっぅぅぅぅぅぅぅっっ!!?!?」
哲の口から悲鳴のような声が漏れる。体の中に、熱い棒が侵入してくる感覚。気持ち悪いはずなのに、今の哲の体は悦びに打ち震え、さっきとは比べ物にならない程の快感が産み出されていた。逃げるように体をくねらせるも、快感から逃げる術は無い。
「うっわ、これすっごい・・・・・・!生き物みたいにうねって、おちんちんに絡みついてくるっ!」
「俺の声で変なこと言うなっんんんああっ!!いいから、一旦抜けって!」
「む、無理だよっ!そっちがおまんこ締めて吸い付いてきてるんだって!あっまたぁ!」
今まで何度も体を重ね合った体同士だからだろうか。中身が入れ替わっていてもいつも通り、いや、いつも以上の快感が双方に襲い掛かる。ペニスに貫かれた哲が身を捩らせると、膣内が啜り上げるように蠢いて麗のペニスをねっとりと刺激した。慌てたように腰を引き抜こうとしても、膣の肉が名残惜しそうに亀頭と竿にまとわりつき、奥へ奥へと誘導されてしまう。結果、麗は慣れない動きで腰を振り、哲はその度に悶えながら可愛らしい喘ぎ声を上げることになった。
「ひんっ!うぅっ、なかっ抉られてぇっ!!?」
「あたし、ここ弱いもんねっ!でもっこっちもカリが擦れて気持ちいいっ!」
腰の動きが拙くても、元自分の体の弱点を知っているからか麗の責めは的確だった。異性の快感に翻弄されて、哲は無意識の内に膣を締め上げる。麗は嬉しそうにしながら膣から与えられる刺激を受け入れ、少しずつ腰の動きを速めていった。
「くっうぅぅぅっ、やめっはやすぎっぃぃぃああぁぁぁっっ!!」
駄々をこねる子供のように、首を振り、快感から逃れようとする哲。しかし、今の麗には逆効果だったようだ。嗜虐的な笑みを浮かべながら、麗は一層力強く腰を動かす。
「その顔っすごいっ、哲っていつもあたしのこんな表情見てたんだっ!なんかもっと興奮しちゃうっ!」
ごりごりと膣の奥を抉られて、許容量を超えた快感が哲の脳に送り込まれていく。逃げ場も無く、快感だけが溜まり続ける体が限界を迎え、哲は強制的に絶頂させられた。
「やっあぁぁっんんんんんあああああああっっっ!!!!」
「うわちょっヤバっくぅっ!!?」
哲の全身が痙攣し、視界が明滅する。振動するように蠢く膣が強烈にペニスを締め付け、麗はこみ上げる射精感を堪えることも出来ずに放ってしまった。コンドーム越しの精液が膣内で暴れ回り、哲は温かさを感じながら再び絶頂した。
「っく、あぁぁっっ!!?んぅぅぅぅぅぅううっっっ!!」
何度も何度も脳内で何かが弾けて、哲の心がぐずぐずに溶けていく。絶頂の余韻に浸りながら、その表情はだらしなく微笑んでいた。
「うぅっ、んっ・・・・・・!」
「はー、出ちゃった・・・・・・凄いね、射精・・・・・・おちんちんの根本から全部出ていっちゃうみたいな感じ」
荒い息を吐きながら、視線を麗の方に向ける。萎んだペニスからコンドームを外した麗は、そのまま縛って布団の横に置いた。
「そっちはどうだった、哲?あたしの体、気持ちいいでしょ・・・・・・って、聞くまでも無さそうね」
麗に言われて、哲は自身の状況を自覚する。股を開いたまま愛液を滴らせ、口の端からはよだれが零れている。慌てて足を閉じて服の裾で涎を拭き、まだ余韻の抜けきらない体を引きずるように起き上がった。
「いや、なんというか・・・・・・凄かった。津波に飲み込まれて流されるみたいな気持ちよさで・・・・・・」
「でしょー?哲も知ってるけど、あたし激しくされる方が好きだからさ。なんだろ、相手を気持ちよくさせられた達成感みたいなのも強いのかな、男って」
「それはあるかもな・・・・・・っていうか、いくらお前が激しくされるのが好きだからって、無理はするなって俺言ったよな!?」
「えー、気持ちよかったしいいじゃーん。それにいつもはもっと激しくシてるんだから全然無理じゃないってば」
口を尖らせながら言う麗に、哲は汗で張り付いた髪の毛を後ろに纏めながら溜め息をつく。
「はぁ・・・・・・まぁ確かに、気持ちは良かったけどさ」
「おっ、今の女の子っぽい仕草可愛い!いいねいいねー、あたしの体生かしてるじゃん!」
「うるさい、張り付く髪が邪魔だっただけだよ。ったく・・・・・・」
やれやれといった様子で立ち上がろうとする哲。ひとまず服を着ようとして、ふと気付いた。
(・・・・・・あれ?なんか・・・・・・)
物足りない。余韻が治まった体が、哲にそう伝えてくる。もっと欲しい。もっと、愛し合いたい。本能にも近い欲求が体の奥底から湧き上がり、哲は動きを止めてしまった。
「ん?どしたの哲?」
声をかけてくる麗の方を、潤んだ瞳で見つめる。一度絶頂しているからか、あるいは体の感覚に馴染んできたからか。胸の高鳴りは抑えきれず、哲は麗に抱き着いた。
「おわっと!え、なに?」
「・・・・・・な、なぁ、麗。その、なんだ・・・・・・もう一回、しないか?」
上目遣いに言われ、麗は心臓がドキリと跳ねる。
(え、すご、なんか滅茶苦茶可愛いっ・・・・・・!それに、哲が二回戦目をおねだりしてくるなんて久しぶり)
「だ、駄目、か・・・・・・?」
「ううん全然そんなことない!よーし、もっと気持ち良くしてあげるからね!」
麗は哲に抱き着き返しそのままゆっくり布団に押し倒す。そのまま哲の上着に手をかけて、ブラジャーも含めあっという間に脱がしてしまった。
「ふっふっふ、さっきはおまんこだけだったけど、女の子の体は他にも気持ちいいところいっぱいあるからね~!」
手をわきわきさせながら哲の胸元に手を伸ばす。汗ばんだ膨らみに麗の指先が触れると、既に敏感になっているのか、哲は小さく声を漏らした。
「あっ、ん・・・・・・」
むにゅり。小ぶりだが形のいい胸を、麗の両手が優しく揉んでいく。じんわりとした快感が揉まれた場所から哲の体に広がり、再び体に熱が灯るような気分になる。哲はされるがままになりながら、自身もそっと手を伸ばした。
「あたしの胸柔らか~い!他人が揉むとこんな感じなんだー・・・・・・え、ちょんんっ!」
半勃ちのペニスにそっと指を這わせる哲。愛おしげに撫でながら、カリの部分を重点的に責め始める。
「麗にもっ、気持ちよくなってほしいからさ・・・・・・んぅ・・・・・・!」
胸からの快感に震えながら、哲は元々は自分についていたペニスをしごいていく。ゆっくりと、形を確かめるように。あっという間に血液が充填されていき、ペニスは大きさと固さを取り戻した。
「て、哲ぅ、弱いとこばっか擦らないでよぉ・・・・・・!」
「麗だって、あんっ、揉み方がいやらしいだろっ」
言葉を交わしながら快感を送り合う二人。緩やかながら的確な手コキに耐えられなくなったのか、麗は片方の手を哲の股間へと伸ばした。
「っくぅぅぅぅぅっ!!?」
「どう、クリトリスの感覚はっ?一度イった後だからすっごい鋭い感じでしょ?」
膨れ上がって存在を主張しているクリトリスを、人差し指で潰しながら麗が言う。言葉の通り、トイレの時とは比べ物にならない落雷のような刺激が哲の全身を駆け巡り、思わずペニスを強く握ってしまう。
「あっ、それも気持ちいいっ!」
「ひっ、ぅぅうんっ!なん、でこんな快感の種類があんだよっくぅ!!」
膣、胸、クリトリス。微妙に違う感じ方に翻弄されながら、哲はやり返すようにペニスを強く扱く。我慢汁が細い指に塗りたくられ、擦る度にぬちょぬちょといやらしい音を立てていた。
「っそろそろ、もう一回挿れていい?このままだとあたし、暴発しちゃいそうっ・・・・・・」
射精感を堪えているのか、顔を歪めながら麗が言う。哲は頷いてペニスから手を放し、布団の横に置いてあるコンドームの箱を手に取った。中の一つを取り出して、包装を破く。
「なぁ、麗。俺、ちょっとやってみたいことがあるんだけど。口でコンドーム被せるやつさ、どうやってすればいいんだ?」
トロンとした瞳で麗を見つめながら、哲が言う。その姿は、パートナーに気持ちよくなってもらいたいと願う女そのものだった。
(っ、哲可愛すぎる・・・・・・!悔しいけど、あたしより可愛いかも・・・・・・)
哲の姿に見惚れてしまった麗だが、すぐに正気に戻って返事をする。
「あー、えっと、突起がある方を口の中に向けて、フエラムネ吹く時みたいに咥えて被せる感じかな」
「フエラムネって、また懐かしいな・・・・・・分かった、やってみる」
コンドームをそっと咥え、顔をペニスに近付ける。我慢汁の独特な匂いが哲の鼻腔をくすぐり、頭に靄がかかったような、ぼぅっとした気分になる。コンドーム越しに唇が亀頭に触れ、哲はそのまま一気に咥え込んだ。
「ん、むぅっ・・・・・・!」
「うわっ、あたしの口の中も気持ちいいっ!」
喉奥まで押し込むように、コンドームを根本まで被せる。薄いゴムの向こう側から感じる熱さと脈動に、哲はうっとりと目を細めた。コンドームが外れないよう慎重に口を離し、麗の顔を見上げる。
「ど、どうだ?」
「すっごい上手、あたしよりも上手いんじゃない?」
いつも哲にされているように、麗は哲の頭を撫でる。そして、麗はそのまま布団に仰向けになりながら言った。
「今度はさ、哲が上になってみない?自分で気持ちいいところ探せるし、あたしも騎乗位を男側で感じてみたいしさ」
「き、騎乗位か・・・・・・まぁ、うん。試してみよう」
僅かに残っていた羞恥心を、哲は捨て去り元自分の体の上に跨る。そびえ立つペニスに位置を合わせ、がに股で腰を下ろしていった。
「ふぅっ、んん・・・・・・!」
ぐちゅりという音と共に、亀頭が膣の入り口を抉る。それだけで熱っぽい快感が襲ってくるが、哲は構わずペニスを膣の奥へと導いていく。甘い痺れが湧き上がり、子宮が催促するように疼いた。
「キツ、くはないっけど・・・・・・芯が、刺さるっ、感じがぁ・・・・・・!」
ぺたん。ペニスを根本まで飲み込み、哲の尻が麗の股間に着地する。快感に震える哲の目元から、涙がつぅっと頬を伝った。
(腰は動いてないのにっ、あたしの中がうねうね絡みついてくる・・・・・・!気持ちいいけど、もどかしいっ)
腰を動かしたい欲求を感じながらも、麗はそれを無視して哲を見る。頬を赤らめながら、微かに震えてペニスが馴染むまで待っている彼女は、とても綺麗に見えた。
「気持ちいい、哲?慣れたら動いていいからね」
麗の言葉に、こくりと頷く哲。数十秒の後、哲はゆっくりと腰を動かし始めた。
「く、ぅっ、んぅ、あぁんっ・・・・・・!」
必死で声を抑えながら、緩慢な動作で腰を振る哲。麗はそれを眺めながら、愛おしさが胸から溢れてくるのを感じていた。自分の体になった哲が、愛おしくてたまらない。衝動のままに、麗は手を広げながら言う。
「ねぇ、哲。キス、しようよ。ほら、こっち来て」
「えっ、あっ・・・・・・」
ぐいっと引き寄せ、麗は自身の胸元に哲をすっぽりと納める。熱っぽい体を抱きしめながら、見下ろすように顔を近付けた。
「んむっ・・・・・・」
身長差があるからか、互いに見下ろし見上げるような形になる。哲の柔らかい唇と麗の少しかさついた唇が触れ合い、重なった。性器で繋がったまま、体全体が密着している。
「ふぅんっ、むっんぐっ」
舌を絡ませ合うと、ぐちゅぐちゅと唾液が分泌されていく。ねっとりとした、淫靡なキス。口内を貪り合いながら、哲は再び腰を動かし始めた。
「んっふぅ、んむぅっんんんんっ・・・・・・!」
ぐちゅりぐちゅりと唾液が混じり合い、ずちゅりずちゅりと性器が擦れ合う。しかも、体が入れ替わっているという異常な状況で。哲は腰を回すように動かしながら、全身で麗を味わった。
「じゅるっ、んんんんんっ!ちゅう、んむっ!」
上と下で激しく交わりながら、哲の腰の動きがどんどん早くなっていく。限界までペニスを引き抜いて、一気に下ろし根本まで咥え込む。喉から上がってくる喘ぎ声は、くぐもった呻きになり麗の口に吸い取られていくかのようだ。互いに昂ぶり合う心と体。そのまま、一気に頂上へと昇り詰める。
「んぷっ、出るっ!出るよ哲ぅっ!」
「っくぅ、来てっ来てくれ麗っ!出してっ出してぇぇっんんんんんんん!!」
唇が離れ、麗から焦ったような響きの言葉が漏れる。哲は求めていたものが与えられる悦びから、思い切り腰を落として膣でペニスを啜り上げた。亀頭がぶくりと膨れ、コンドーム越しに子宮口にキスをする。膣内が収縮して精液を求めると同時に、哲の頭の中で大きな爆発が起こった。
「いくっいくっいくっぅぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁああぁああああああ!!!!」
「出ちゃうぅっっっくぅぅぅ・・・・・・!!」
どくり、どくり、どくり。二度目とは思えない程の量と濃さの精液が、子宮目掛けて放たれた。ゴムを突き破らんばかりの勢いで脈動し、コンドームの精液溜まりが一瞬で膨れ上がる。
「っあ、ぁぁぁぁ・・・・・・!」
全身を突き抜ける快感に耐えられなかったのか、哲の体から力が抜け、麗にもたれかかる。自分の体の上でぐったりとしている哲の頭を撫でながら、麗は心底愛おしそうに微笑んだ。
「っあー、可愛いなぁ、もう!よいしょ、っと」
「んんっ・・・・・・!」
膣からペニスを引き抜く麗。コンドームには、一度目よりも多くの精液が溜まっていた。片手で外した為精液が少し零れてしまったが、同じように縛って布団の横に置く。と、まだ息が荒いままの哲が、途切れ途切れに声を上げた。
「な、ぁ・・・・・・麗・・・・・・」
「どしたの、哲?」
「あの、さ・・・・・・俺、気持ちよく、出来てたか・・・・・・?」
哲は、麗とのセックスが嫌いなわけではない。むしろ、気持ちよすぎていつもへとへとになってしまうのだ。だから、その気持ちよさを麗にも味わってほしかった。自分はいつも、これだけの快感を麗から受け取っているんだと。
(まぁ、結局麗の体の快感に流されてしまったけど・・・・・・)
少し自嘲しながら、自分の体である、今は麗の顔を見上げる。麗は感極まったような表情でぷるぷると震え、がばりと哲に抱き着いてきた。
「あーもー!今の哲可愛過ぎる!気持ちよかったに決まってるじゃん!哲もあたしの体気持ちよかった?気持ちよかったよね!?」
「わぷっ!?おい、だから力が強いって!」
哲の言葉にも構わず、麗はぎゅうっと抱き着きながら哲を撫で繰り回す。わしゃわしゃと頭を撫でられ、絶頂の余韻もあって哲はむず痒さを覚えた。
「だからっ、やめろってば!」
じたばたと暴れるが、入れ替わった状態では力で敵わない。そのまま、哲は麗にくしゃくしゃになるまで可愛がられるのだった。
「で、だ。元に戻らずに夜になった訳だけど」
あれから。ひとまず着替えた二人は、いつも通りに過ごすことにした。適当にTVをザッピングしたり、大学の課題をやったり、炬燵で駄弁ったり。入れ替わっているということ以外は全く同じ生活をしていた。
しかし、夜になっても入れ替わりが戻ることは無かった。病院に行くべきか、そう考える哲に、麗は呑気そうな態度で声をかける。
「まぁ、朝に入れ替わってたんだから寝て起きたら戻ってるんじゃない?」
「そうかもしれないけどな・・・・・・もしこのまま戻らなかったらどうするんだよ。俺、お前のフリとか出来ないぞ」
「そんなー、哲はあたしのことをよく分かってると思ったのに・・・・・・よよよ・・・・・・」
「俺の顔で泣き真似するなって。そりゃ確かに麗のことはよく知ってるけど、それと麗みたいに見えるよう演技するのは別の話だろ」
そう言いながら、哲はなんとか乾かした布団を敷く。
「ほら、今日は早めに寝るぞ!昨日みたいに抱き合いながら寝れば戻れるかもしれないし」
「はーい。ふふふ、今の哲は可愛いし抱き枕に出来るとか最高じゃん!」
「それはお前が可愛いからだろ、これはお前の体なんだから。ったく・・・・・・」
「うわ、さらっと格好いいこと言うねー。いっけめーん」
「いいからこっち来いっての!」
茶化すように言う麗を、哲は腕を引っ張って布団に引きずり込もうとする。筋力が足りていないのは明らかだが、麗はニコニコしながらそれに従い、二人は毛布にくるまりながら密着した。
「えっちした時も思ったけど。いつもはあたしの方が小さいから、こうやって包み込めるように抱きしめれるのは嬉しいな。」
「あー、確かに。俺も変な感じだな。自分が覆いかぶさってくるように抱きしめてきてるのに、なんか安心するんだ」
布団の中、二人は囁くように言葉を交わし合う。
「ふふ、あたしも哲に抱きしめられたらほっとするからね。体が覚えてるんじゃないかな」
「そういうもんか・・・・・・んっ、おい麗、ケツを揉むなケツを」
「いやー、思わず手が伸びちゃうといいますか。体が覚えてるんだね」
「いや、どう考えてもお前の意志だろそれはっ」
「哲の体がすけべなだけですー。あー、やーらかい」
大きな手でむにゅむにゅと哲の尻を揉みしだく麗。じわりと熱が体に広がっていく気はして、哲は麗の腕を掴んで引き剥がそうとする。が、揉む手は止まらない。
「おいっ、これから寝るんだろ、盛るなって!」
「だってこんなに揉み応えがあるからしょうがないじゃんかー。・・・・・・あ」
間の抜けた麗の声に、哲はどこか不吉な予感を覚えて聞こうとする。しかし、その前に太ももの辺りに熱を帯びた棒の感触を感じてしまった。
「・・・・・・お前、まさか」
「・・・・・・ごめん、哲。勃っちゃった」
舌を出してこつんと自身の頭を叩く麗。薄暗い中でも見えるそれに、哲は思わず大声を上げる。
「こ、この馬鹿ー!だからやめろって言ったろ!あんだけたっぷり出しといてまだ足りないのかよ!」
「時間も経ってるし回復したのかな?それに、哲だってもっといっぱい出したこともあるじゃん。だからしょうがない、体が覚えてるから」
「体が覚えてるって言葉を免罪符にするんじゃねえ!あぁもう、擦りつけるなって!」
哲の柔らかい太ももに、パジャマ越しのペニスが擦り付けられる。その感触と熱に、哲の体もスイッチが入りかけているようだ。じわじわと全身に回り始める疼きに耐えながら、哲は言う。
「おまっ、ほんとやめろって・・・・・・!」
「えー?本当に嫌ならやめるけど・・・・・・駄目?」
動きを止めて、麗は哲の顔をじっと見つめる。懇願するような目つきは、哲の顔でありながらいつもの麗そのものだった。
(ぐっ・・・・・・弱いんだよ、その表情には・・・・・・!)
惚れた弱みか、哲は麗のおねだりには弱かった。ましてや、今は体力的にも余裕がある状態だ。入れ替わっているという異常さえ無視すれば、二つ返事で受けていただろう。哲は悩んだ結果、ポツリと呟いた。
「・・・・・・一回だけだぞ」
「え、マジ!?やったー哲大好きっ!」
ぱぁっと顔を輝かせ、哲に抱き着く麗。生えかけのヒゲのせいでざりざりとした感触の頬ずりをされながら、哲は麗のパンツに両手を突っ込んだ。
「ほら、しごいてやるから落ち着けって」
火傷しそうな程に熱いペニスを細長い指で包み込む。そのまま亀頭から竿にかけて刺激していくと、ペニスは悦ぶようにビクビクと震えていた。
「んんっ!うわ、しごかれてるところが見えないと、感じ方が敏感になってる気がするっ・・・・・・!」
麗はもじもじと身を捩らせながら、尻を揉んでいた手を哲の胸と股間に持っていった。柔らかな二つの膨らみを撫でながら、既に固くなり始めているクリトリスを指先でこね回していく。
「うぅっんんっ!?お、おい麗」
「二人で気持ちよくなろ、哲?」
哲の耳元で囁き、麗は乳首を弾きながらクリトリスを押し潰した。声を堪えながら、体を震わせる哲。負けじとペニスを擦り上げ、亀頭を手のひらで包むように刺激すると、とろりとした我慢汁が溢れ出した。
「ふぅっぅぅ、哲、じょーず・・・・・・!」
「麗だってっ、クリと乳首を同時にこねるのやめっろぉっ!!」
快感のキャッチボールをするかのように、互いの手淫で高まり合っていく二人。やがて麗のペニスは一層脈動して大きくなり、哲の膣からはぬるぬるの愛液が湧き出していた。二人は示し合わせたかのように服を脱ぎ、麗が哲に覆いかぶさる。が、
「・・・・・・あ、しまった。コンドーム、朝のアレで切れたんだった」
コンドームの箱を漁った麗が残念そうな声を上げる。
(危険日ってわけじゃないけど、流石に中出しはヤバいよね・・・・・・しょうがない、挿入は無しで・・・・・・)
そう思って麗が哲の方を見ると、哲はしょんぼりと眉根を下げ、潤んだ瞳で麗に訴えかけてくる。ペニスが欲しい。挿入してほしい。中に、出してほしい。
「そう、か。それじゃあしょうがないよな、俺が手コキでイかせてやるから・・・・・・」
表情とは裏腹に、納得したような言葉を紡ぐ哲。それを見て、麗はたまらなくなった。
「いや、大丈夫!今日は危険日じゃないし、それにあたしは手コキじゃ満足できないよ!ね、だからお願い!生で挿れてもいいでしょ!?」
最低なことを言っている自覚はあった。しかし、哲を、目の前の女性を満足させてあげたいという欲求の方が勝ったのだ。自分の体のことを思って我慢している哲に、思い切り女の快感を味わってほしい。麗は哲の理性を吹き飛ばすために、唇に吸い付いた。
「んむっ!?むぅっ、んんん!!!」
抵抗するように手足をじたばたさせる哲だが、麗はそれを無視したまま、哲の口内の唾液を啜る。逃げるように引っ込もうとする舌を吸って自身の舌に絡ませながら、ぎゅうっと小柄な体を抱きしめた。
「んん、んぅ、ぅ・・・・・・」
哲の体から力が抜ける頃。ようやく唇を解放した麗は、耳元で囁きながら腰を哲の股間に近付けていく。
「ねぇ、哲。君が心配することなんて何も無いんだよ。大丈夫だからさ、頷いて?お願い」
懇願するような口調に、とろんとした表情の哲は、しかし何かを察したように両手を伸ばした。背中に手を回し、たくましい体に抱き着きながら言う。
「・・・・・・麗、ありがとうな。俺の為にそこまで言ってくれて。お言葉に甘えることにする。だからさ、俺を犯してくれ、麗」
「っ、哲ぅっ・・・・・・!」
二人で抱き合う。心臓の鼓動が互いに伝わり、じんわりと染み渡っていく。抱き合ったまま、麗は腰を動かし膣の入り口にあてがった。
「いくよ、哲」
「あぁ。来てくれ、麗」
亀頭が肉をかき分けるようにして、ずぶずぶと膣に入り込んでいく。微かに息を漏らしながら、哲と麗は見つめ合ったまま、やがて根本まで繋がった。ぴったりとピースがハマったような、満たされた感覚。どちらともなく、再び口付けを交わす。
「んっ・・・・・・」
貪るようなものとは違う、想いを伝え合うようなキス。ゆっくりと麗の腰が動き始め、熱と快感が二人の体に広がっていく。
「ねぇ、気持ちいい、哲?」
快感を噛み締めるように腰を動かしながら、麗は哲に訊ねる。ぴくんと僅かに痙攣しながら、哲は微笑んで頷いた。
「うん、気持ちいい。麗も、気持ちいいか?」
「そりゃもう!女の子の快感もいいけど、おちんちんの快感も癖になっちゃいそうだよ」
「そりゃ、んんっ、よかった」
話し合いながら、徐々に麗の腰の動きが早くなっていく。哲も腰をくねらせて、膣内のペニスを肉のうねりで愛撫していった。入れ替わった体のまま、二人は熱烈に愛し合う。互いの体から与えられる快感が混ざり合い、より大きな快感となっていく。
「ふぅぅ・・・・・・ふふ、なんか、いつもと同じだね。体は入れ替わってるし、感じ方も違うけどさ」
「そ、うだな・・・・・・っ。麗の体も気持ちいいっけど、やっぱりお前のことが好きだから、心地いいんだろうな・・・・・・んぅっ!」
その言葉にペニスがびくりと反応し、哲が小さく喘いだ。麗は感極まったような表情で、腰の動きを速めながら哲に言う。
「あーもぅ!あたしも!あたしも哲のこと大好き!愛してるっ!」
「くぅっ、ちょっはやっんんんんああああぁぁっっ!!?」
さっきまでとは違う、荒々しく男らしい突き入れに哲が身悶えする。ごつごつと子宮の入り口を刺激され、膣内がペニスをギチギチに締め上げた。喉から勝手に喘ぎ声が漏れ、哲は助を求めるようにより強く麗に抱き着く。哲の爪が背中の皮膚を引っ掻き、赤く腫れるのにも構わずに、麗は腰を打ち付け哲の中を味わい尽くしていた。
「哲、てつぅっ!大好きだよっ!!」
「んぐっぅぅぅぅぅぅっ!おれっ、俺もっ好きだっんんんんんっっ!大好きだっれいぃぃっぃぃぃぃっっっ!!」
愛を伝え合いながら、互いを求める二人。腰を動かしながら、強く強く抱き合って高みへと昇っていく。結合部からは愛液がとめどなく滴り、折角乾いた布団を再び濡らして染みが広がっていった。
「っううぅぅぅぅっ、哲っ出すよっ!全部中で出すからっっ!!受け取ってぇ!!」
言いながら、麗は思いっきり腰を突き入れる。
「あぁっぁぁ来てっくれぇっっ!!麗のがっ欲しいっ全部ぜんぶぅっっっ!!!」
哲の膣がキュウキュウと締まり、ペニスの射精を促す。子宮口にピッタリと密着した亀頭がぶわりと膨れ上がり、凄まじい勢いで精液が噴き出した。
「あぁぁっぁぁぁぁぁぁぁああああああああああっっっっ!!!」
流し込まれる膨大な子種に歓喜するように、麗の口から咆哮のような喘ぎ声が放たれる。全身が陸に上げられた魚のように震え、精液を一滴も逃がすまいと膣内がペニス全体を啜った。
「まだっ出るぅっ、くぅぅぅぅ・・・・・・!」
「はっ、あ、んんんんっぅぅぅぅ・・・・・・!」
朝の時よりも長い、大量の射精。最奥でぶちまけられているそれを、まるでごくりごくりと飲み干すように膣が蠢き子宮が収縮していた。流し込まれた全てを受け止めた哲は、痙攣する体と暴れ回る快感で、半分意識が飛んでいるようだ。それでも、哲は縋るように麗に抱き着いたまま離れない。麗はそんな哲を抱きしめ返しながら、労わるように頭を撫でる。
「・・・・・・ありがとうね、哲。あたし、君の彼女で良かった」
それを聞いた哲は、安心したように体の力が抜けていき、愛する者の体温を肌で感じながら意識を手放した。
あれから数週間が経った。入れ替わった翌日には元の体に戻っていた二人は、いつもと変わりの無い日々を過ごしている。ただ、入れ替わりの一件から互いのことをより深く知れたようで、二人の仲はより親密になっていた。
「あっちょ、ヤバい麻痺った!回復お願い回復!」
「待て待て俺狙われてて・・・・・・ヤバい三連突進来た!」
講義終わりに適当にファミレスで夕飯を済ませ、帰ってきた二人は人気タイトルのゲームに興じていた。ぎゃあぎゃあと騒ぎながら楽しそうに遊ぶ哲と麗。しばらくすると、目が疲れたのか目元を抑えつつ、哲が立ち上がった。
「ちょっと飲み物取ってくるわ。なんか欲しいのある?」
「んー、炭酸系。無かったらなんでもいいよ」
麗の言葉を背に、哲は冷蔵庫まで行き中身を確認する。日持ちする食品や総菜、ジュースやお茶の中に気になるものが鎮座していた。
「あれ?これって・・・・・・」
Vice Versaサイダー。入れ替わる前日に飲んだ、試供品のはずの飲料が一本冷やされている。首をかしげながらも、麗のリクエストである炭酸だからと一応取り出して持っていった。
「おーい麗、これ、また貰ってきたのか?」
「え、何?あー、これそこそこ美味しかったやつじゃん。買ってきたの?」
「え?麗が貰ってきたんじゃないのか?」
「?いや、違うけど。あれー、記憶違いでもう一本貰ってきてたのかな」
「ならあんな分かりやすい場所に置いてないと思うけどな・・・・・・」
自分の分のウーロン茶を飲みながら、哲は訝しむ。しかし、そんな考えはお構いなしに麗はVice Versaサイダーのキャップを空け、ごくごくと勢いよく飲んだ。
「ん、あー!なんか味変わってる!フレーバー違うのかな?ほら、哲も飲んてみてよ、味違うから」
「分かった分かった、だから押し付けるなっての」
ぐいぐいと差し出されるサイダーを受け取り、一口飲んでみる。確かに麗の言う通り、前回とは違う味がした。爽やかというか、ミントのようなフレーバーが配合されてるのかもしれない。
「あー、俺こっちの方が好きかも。ミントみたいな風味が結構いいな」
「ねー。そうだ、そういえばさ、あたしの知り合いのお母さんが家庭菜園でミント育て始めて大変なことになった話したっけ?」
「なんだそりゃ、聞いてないな。どんな話?あと、次行くクエこっちで選んでいいか?」
「いいよー。それがね、元々家庭菜園はお父さんのもので・・・・・・」
サイダーを飲み終わった二人は、世間話をしつつゲームを再開した。会話とゲームはそこそこ白熱し、結局布団に入ったのは日付が変わってからだった。
・・・・・・翌日、再び入れ替わった二人は原因に感付くことになるのだが。それはまた、別のお話。