アンダーカバー(大人悪魔ほむら×大人さやかシリーズ) 作:さんかく@
蒼い月は変わらずに半分のままでこちらを見ている、と暁美ほむらはベッドで横たわりながら、窓を眺め思う。
「相変わらず半分のままね…」
背後から相方の声があがり、ほむらは微笑んだ。蒼い髪の女性が繋がったまま背後から彼女を抱きしめているのだ。その手に自分の手を添え、ほむらは気持良さそうに目を瞑る。
「そうね…」
「ねえ」
「なあに?」
もぞもぞ、と相方が「中」で動き始めているのに苦笑しながらほむらは返事をした。どうにも堪え性の無い犬だ、もっと躾ないと――。
「さっき、あんたが言ってた「特異点」って何?」
「ああ、あれね―――」
ん…と呻き声をほむらがあげた。相方が奥まで突き上げてきたのだ。
「私が何回も同じ時間を繰り返したのは…知って…いるでしょう?」
「ええ…」
「…そのほとんど…いえ…全てが「ワルプルギスの夜」で終了…していたわ…今までは…でも…」
「でも?」
「…私が、悪魔になってから…均衡は崩れたわ…今までとは違う世界が現…れ…」
「ほむら?」
すう、はあと深呼吸をして黒髪の女性は続けた。
「大人になった私達が現れた――」
「………大人になった私達」
相方の腰の動きが止まった。乱れた息を整え、ほむらは背後を振りむくと、「続けて」と囁いた。再び蒼い髪の女性は動き始める。揺さぶられながら、ほむらは会話を再開した。微かに軋むベッドの音が聞えて。
「ええ…そうよ…私達…の…存在は…、並行世界でも稀……」
「…私達…以外の並行世界では…ほとんど大人になっていないって…こと?」
悪魔によって改変された後、箱庭の中の様に閉じ込められ、同じ時を繰り返している世界がほとんどだというのだろうか?美樹さやかは必死に相方に身体を押しつけながら、快楽で朦朧としてきた意識の中考えた。
「ほとんどね…でも、他の世界の大人になった貴方を見た事…あるわ」
「え?そうなの?」
「ええ…」
そう囁いて、黒髪の美女は後ろを振り返る。切れ長の目の中のアメジストの瞳は、普段からは想像もつかない暗い淫猥な炎が宿っていて。さやかは思わず衝動的にその唇を貪るようにキスをした。
「……妬いてるの?」
唇が離れた後、悪魔は面白そうにニヤニヤとさやかを見つめる。悔しそうに、一瞬顔をさやかは背け、呟く。
「………違うわ…ただ、別の世界の私がどんな奴なのかなって…」
「覚えてなかったわ…円環の理も…何も」
「そうなの?」
ええ、そう頷くと、ほむらは顔を窓へ向けた。身体が細かくぷるぷると震え始めた。もう黒髪の女性も限界なのだ。さやかは動きを激しくし、そろそろ終了させようと思った。交わっている間、圧倒的に耐性の強い悪魔もこうなってしまうともう終わりが近い。
「それじゃあ……記憶を保有して…大人になった私がいるのは…この世界だけ?」
「そう…よっ」
言い放つと、ほむらが「ああ」と切ない声をあげた。同時に彼女の体内がぬるぬると濡れ始める。それが気持よくて、さやかも思わず声をあげた。
「わ、あんたの中…すごい気持…イイ…」
「…………」
黒髪の女性はもう何も語らない、ただ、身体を小刻みに震わせながら快楽の波に漂っていた。
「ねえ…じゃあ、私達って…何か…特別な使命が…」
「……どうでもいいわ」
「え?」
不思議そうにさやかは震えている相方の顔を覗き込む。そこには潤んだ瞳で必死に快楽に耐えている悪魔の顔があって。まるで普通の――一般女性の様だった。
「今は…どうでもいい…だから――」
その後の言葉をほむらは紡げなかった、さやかがその唇を塞いだから。だが想いは伝わったのだろう、蒼い髪の女性は縋るように必死に身体を動かし続け、黒髪の女性の肢体を揺らした。二人とももうすぐ昇りつめる――。
闇の中、蒼白い月が二人を見下ろす。裸体のまま絡み合い、激しく繋がる二人を。前で横たわっている長い黒髪の女性が一瞬、大きく身体を反らせ、背後の蒼い髪の女性がその肢体を掻き抱いたまま身体を震わせた。蒼い髪の女性の腕の中で、びくん、びくんと黒髪の女性は痙攣しながら虚ろな目で月を見上げた。
――月が蒼い
朦朧とした意識の中、月を見ながらほむらはその身に精を受け続け、そうして意識を飛ばした。
――ねえ、さやか、私達は――