※この作品はR-18です。

寄生端末人形肉オナホ   作:べっこう飴02

10 / 11
しつこいようですがあらすじどおりに主人公のおっさんが、スライムを吐きだすようになってから得たものをすべて失う話です。
さらにいうとエロはありません。
警告を無視されて読み進めた結果、不快になったとしても責任は負いかねます。


ノーマルEND 全てはなかった事に

泊りになる出張の度に憂鬱となるのは今に始まった事ではないが……

すっかり端末と化した少女を抱く生活に慣れ切ってしまった今

彼女達を呼び出すことができない環境というのは、思いのほか物足りない。

予定では二日程で帰れるはずだったのに、トラブルが

ごたついたせいで、もう一週間ほど

出張先とビジネスホテルを往復して過ごしている。

 

ただまあ……先ほどトラブルの原因は何とか片が付いた為

明日には帰る事が出来そうだ。

出張先の会社を出た時間は、既に深夜、午前零時近くにもなっていた。

これにはさすがに辟易としてくる。

ホテルまで歩いて帰れない距離ではないというのが性質が悪い。

会社の経理もうるさいし、ホテルまで十数分ほどではあるが

疲労を押して歩かねばならないらしい。

 

ただ、明るい話題もないでもない。

昨晩の沙羅からの連絡によれば、そろそろ、淫魔が

ばらまいた道具や能力を狩る動きが、一段落つきそうだ、という話だった。

調査が終了し、少なくとも、大々的に活動している連中は

粗方狩り終えたのではないか、という事らしい。

つまり、沙羅のように外部から雇われた退魔師や拝み屋も

そろそろ引き上げる頃合い、という事だ。

無論の事、国のそれを始めとした退魔組織の活動が

終わりになるわけではないので、気は決して抜けない――という事であるが。

 

あの三人に飽きたわけではないし、今の所特に欲しい

特定の誰かがいるというわけでも無いが……

今は沙羅に預けてある、端末スライムが詰まった瓶を

使う機会も出てくるかもしれない。

 

と、そんなこと考えながら人気が殆どない道を歩いていると

前方に、くたびれた背広の男が向かい側から歩いてくるのが見える。

俺と同じ、深夜まで残業に追われたサラリーマンだろうか。

そいつは、俺の姿に気づいて、何かに驚いたように目を見開くと……

深い、深いため息を、うんざりとした表情で吐いた。

 

「面倒で、憂鬱になる仕事を片付けた帰りで、見つけちまうとはねえ。

あの人はついででいい、とは言っていたが……

運がいいのか悪いのか、分らんなあ。

話には聞いていたよりも、少しばかり見えにくいな……気付かれん訳だ」

 

何だ、こいつ……

一体、何を――

 

「この分だとかなりの期間、放置されてやがったな。

ったくこいつ、どれだけやりたい放題したんだか……胸糞悪い」

 

はっきりと、男から嫌悪と侮蔑が滲み出た表情で一瞥される。

次の瞬間、そいつの腕がぶれた。

気が付いた時には、眼前の男の手の中には

緑色の粘液が僅かに滲み出ている

握りこぶし程の大きさの、脈打つ肉塊が握られている。

何だ、まさか、あれは――

 

「なるほどな。

術式が対象の血肉を媒介に、物理的な実体を体内に作っていたのか。

術者が滅ぼされても、残り続けるわけだ」

 

あの肉塊から滲む、あの粘液は……端末スライムか。

あれが、今まで俺の体内で、端末スライムを生み出して……?

であればあいつが握っている、あれは……俺の、体内から取り出した、のか?

痛みも何も感じなかったし、今だってそうだ。

何をされたのか、全くと言っていいほどわからない。

そうか、こいつ、沙羅が言っていた、遥か格上の――

 

「ただ、抜き取ったはいいが、俺じゃ被害者の逆探知まではできんな。

ま、こいつ本人を専門家のとこまで連れてけば、そっちの方はどうにでもなる。

であれば、この汚物はいらんか」

 

男の手の中で、肉塊が握り潰されて、爆ぜる。

いかなる力が働いたのか、体液が飛び散ることなく

握りつぶされたそれは粘液も含め跡形もなく消滅していく。

ったく汚ねえな、と手を振りながら、そいつは毒づいた。

 

「お前の天国はここまでだ、糞野郎。

手前の脳みそから何仕出かしたか、粗方絞り出してやるから覚悟しろ」

 

逃げようとしても体から力が抜けて、膝をついて倒れ込む。

恐らく、あの肉塊を俺の体から摘出されたときには、既に手遅れだったのだろう。

視界が暗転し、意識が遠のいていく。

余りにも呆気ない終わりだ。だが、それも仕方がないのかもしれない。

何時かはこうなるとわかっていた筈だ。

しょせん、あくとうの、さいご、なんて、ものは……………………

………………

…………

……

 

 

◇

 

 

何というか、いろいろと面倒くさい一日だった。

会社中の部署あちこちをたらいまわしにされて一日が潰れてしまった。

何か月か前、出張先で帰る直前に倒れた件に関わる書類の話……

らしいのだがどうにもその辺りの記憶はどうも曖昧なのだ。

ようやく帰れそうだが……まったく、こういった事があるから出張は嫌になる。

以前も出張中の帰りに怪我をしたことがあるが

その時も非常に面倒だった覚えがある。

 

帰りの電車に乗る為に、駅の構内を歩いていると

小柄な誰かが俺のすぐ近くを、馬鹿みたいな速さで走り去っていく。

危ねえな、と毒づいて振り返ると

腰までシルバーブロンドの髪を伸ばしたブレザーの後姿……

……体格からすると小学生か、あれは?

 

「ごめーん、今、急いでるんだー!

もし次に会う事があったらその時に謝らせてー!」

 

顔は見えない。

妙に間延びした喋り方に似合わぬすさまじい健脚で

走り去っていくそいつに追い付くのは困難だろう。

まあ、電車の時間もあるのでよくわからんガキにかまっている暇もない。

目的のホームに向かう為に、俺は再び速足で歩きだした。

 

 

◇

 

 

いつものように、満員電車の中、吊革に捕まって

電車に揺られながら目的の駅の到着を待つ。

丁度、目の前でスマホを操作している

黒髪ショートの女子高生のように

俺もスマホを見て時間を潰してもいいのだが

微妙に疲れている為か、頭が上手く働かない。

……というか、彼女のスマホに繋いだ

イヤホンからの音漏れが微妙にうっとおしい。

こちらの視線に気づいたのか、彼女は

猫を思わせる切れ長の目をこちらに向けて来た。

 

……うわ、拙いなこれ。

 

この手の輩は色々と面倒臭いのだ。

俺は慌てて目を逸らそうとしたが……

目の前の彼女は、ばつが悪そうにスマホの音量を下げると

無言で頭を下げて来た。

何だ、思ったより……まともな反応だな。

まあ、最初からやるなという話ではあるが

子供相手にそこまで言っても仕方がない。

下手に突っつけば、こちらが悪者にされる、というのもあるが。

結局、目的の駅に着くまで、微妙に気まずい空気のまま待つ羽目になったが……

まあこういう日もあるだろう。

 

 

◇

 

 

駅を出てから、人気のない細道に入って、歩き続ける。

ここまでくれば、あと少し、といったところだが……

何やら、道の途中で言い合いをしている二人組に出くわした。

夢中になっているのか、俺の存在に気が付く様子がない。

 

一人は、後ろ髪をリボンでまとめた、気の強そうな白いセーラー服の女の子。

もう一人は、これと言って特徴のない

強いて言えば大人しそうな学生服の男の子。

どちらも幼さを残した顔立ちで

制服からすると、このへんの中学生のカップルか?

そりゃあ、この辺りの今の時間は殆ど人気は無いが……

痴話喧嘩なら場所を選べという話だ。

というか、この細い道のど真ん中でやられると、俺が通れない。

 

「だから先輩の事は、ただの憧れだったって言ってるじゃん!

何あの人とは、何もなかったよ、それじゃ駄目なの?」

 

「いや、駄目ってことはないけど……」

 

「あーもう、昔っからそうなんだから、この鈍感男!

私は、あんたと、これからもずっと一緒にいたいって、気付いたって言ってるの!

それが――」

 

「え、それって、ひょっとして――」

 

「「あ」」

 

ようやく、俺の存在に気が付いたのか

二人そろって顔を真っ赤にして、道を開けた。

はあ、とため息をついて、無言のままそこを通る。

背後で、気恥ずかしさを誤魔化す為か

ぺこぺこと頭を下げている気配がするが……正直どうでもいい。

俺はさっさと帰って飯を作らなければいけないのだ。

 

途中で、大森公園に聳え立つ、樹齢数百年物の大樹の姿が目に留まる。

ここまでくれば、俺のねぐらの安アパートまで後数分。

丁度いい目印ではある。

 

アパートに帰ったら、飯を作って、食って、風呂に入って、寝る。

明日も仕事、その次も仕事。その繰り返しだ。

給料が安いから、金も溜まらない。

女にもまったくと言っていいほど、縁がない。

まあ、今のご時世、俺の様なキモくて金のないおっさんの生活など

珍しくもないのかもしれないが。

……宝くじとか当たらねえかなあ、買ってないけど。

多分、これが死ぬまで続くんだろうなあ、思うと憂鬱になり……

深く、深くため息をついた。




とりあえず、あと一話で終わります。
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