COMIC CITY 大阪 123 鋼の錬金術師 新刊 作:木桜 春雨
死んだと思った女性は生きていた、腹に空いた穴も塞がっていた、夢だったのかと思ったが現実だ。
何故なら女の顔の左半分は痣で皮膚は青黒く変色し、へこんでいたからだ。
少し時間はかかるかもしれないが、治療する治るからとマルコーは女性に安心させるように声をかけた。
だが、傷は数日、一週間がたっても少しもよくなる様子はない、最後の手段とばかり賢者の石を使おうとマルコーは考えた。
数日前にフラスコのこびとの治療をして、てっきりホムンクルスだと思った男は調べてみると肉体は造られてものではなく、人間のものだった。
体調不良と多少の栄養不足、あとは生きるという気力の問題だ。
診療した後、あんたは人間だと説明した時の男の顔は驚きで言葉も出てこないのか、しばらく呆然とした後に呟いた。
自分は神になれなかった、だが、人になってしまったのかと。
「あの女の顔は元通りになるのか」
男に言われた時、マルコーは困った顔になった、だが、黙っているわけにもいかず治療はしないと正直に答えた。
「何故だ、男ならともかく女だぞ」
「本人が、このままでいいと言っている、無理に治療をすることはできない」
医者だろうと言われて少し困惑気味の表情になったマルコーだが、金がないから、治療費が払えない、このままでいいと言われたこと素直に伝えた。
すると男はシャツのポケットから取り出したものをマルコーに見せた、これならいいだろうと言わんばかりの様子に賢者の石か、そう呟いたマルコーの声はどこか力がない。
「試したんだ」
どういうことだ、意味が分からないという男の目の前に机の引き出しから取り出したものをマルコーは見せた。
それは小さな青い石だ。
「赤い石が砕けて青くなった、ほかの石、液体でも試したが、同じ結果だ、あるんだな、こういうことが」
「何が言いたい、人間ではないというのか、あの女は」
「そんなことは、ない」
断定しながらもマルコーの言葉に力強さはない。
悲壮感さえ漂うような表情には医者としての力不足の自分を頼りなく思っているのかもしれない。
人を治せるのは人だけだ、まるで独り言のように男は小さく呟いた。
自分は死んだと思ったのに生きている、腹に手が突き刺さったのは、あれは気のせいではない。
それにしても、これからどうしよう、ここまで一緒に旅をしてきた男は訳ありなのか、軍の施設でしばらく過ごすということになった。 その話を聞いたとき、ほっとしたものの、内心はがっくりとしてしまったのは自分は一人になったという現実を改めて実感したからだ。
これからどうしよう、しばらくは公園でもどこでもいいてから野宿生活になるだろう。
ベッドで休みたい、風呂に入りたい、以前は当たり前にできていた生活が、ここではできないのだ。
恵まれていたんだと思っていると声をかけられた、振り返ると眼帯の男性が近づいてきた。
「ブラツドレイさん、ええーと、何か用ですか」
「ああ、もし暇なら街へ出てみないかい」
頷きそうになって一瞬、戸惑ってしまったのは自分の顔が今、どんな状態が思い出したからだ。
オペラ座の怪人は、もっと悲惨な気分だったんだろうな、自分の顔を見られて化け物だって言われたら、傷つくのは当たり前だろう。
そしてた今、自分は彼と同じだ。
所持金も残り少ないので治療をしてあげると言われても断ってしまったのは、今思い出しても後悔しかない。
医者のマルコーという人は優しそうな感じがして、治療費は少しぐらいなら待ってくれるかもしれないと思った。
だが、待ってくれたとしても払える日がいつなのか、もしかしてた踏み倒してなんてことになったら、それこそ人間としてどうなのかと思ってしまう。
「話がしたくてね、父の事も聞きたいし」
父、お父さんか、家族が近くにいるって心強いだろうな、そんな事を思っていると思いが顔に出たのかもしれない。
困っているなら相談にのる、助けるよと言われて驚いてしまった。
そんな言葉をさらりと口にするのは年の功だろうか、普通なら疑って、相手は騙そうとしているのでと思ってしまうのだろうが、今の状況は普通ではない。
「行こうか」
手を差し出されてしまう、これは断ることができないなあと思いながらにっこりと笑った女は、そうだとブラッドレイを見上げた。
「あたし、木桜美夜といいます」
「ではミヤ、行こうか」
ドアがノックされ入ってきた彼女の姿を見たマルコーは内心ほっとしたのは、やはり治療をしてほしい、顔の痣を消したいと思って来たのだとほっとした。
できる限りのことはしようと考えていたのだ、だが女の宇土から入ってきた、もう一人の女の姿を見て無言になった。
ホムンクルスの美女、ラストだったからだ。
続いてブラッドレイも入ってきた。
「マルコー先生、この体調がよくないみたいで」
即座に断ろうと思った。
妖艶な美女は絡みつくような声音でドクターと呼びかける、だが、何故か、視線は自分の隣にいる彼女に、そしてマルコーへと。
まるで、何かを訴えかけているような感じだ。
「見せたほうがいい」
突然、ブラッドレイが羽交い締めするように女の体を抱きしめると、ラストが服を脱がした。
背中の肩甲骨、両肩の皮膚が変色している。
「これは打ち身で、寝ている時にぶつかったみたいで」
女の言葉にマルコーは声を荒げた。
「馬鹿な事をいうんじゃない」
素人目に見ても、そうは見えない、なのに本人ははそれほとじきにしていない様子で、それがマルコーニと愛想笑いでより紫色に変色した皮膚の色は壊疽のようにも見える。
美女、ラストは、あいつから自分をひきずりだしせいかもと呟いた、部屋の中はしんとなった。
生きていたのかとマルコーが驚いたように尋ねるとブラッドが街で向こうから近づいてきたと説明した。
静かな口調で説明する表情は浮かない顔つきだが、隣で効いているラストも同じだ。
不快さを隠そうともしない。
「とにかく、君は」
不意にマルコーは、部屋から出て行こうとする彼女を見ると近づき、手を掴むと治療すると断固とした口調で声をかけた。
大人向けの内容にしたいので、ブラッドレイとラストは外せない。