帝国での協力関係を結んだ俺達は次の目的地に向けて、旅を行っていた。
さすがに人数が多すぎると、王国から動きが察知される可能性もあって、今回の目的地に向かう旅に関しては俺とベルベットの2人で向かう事にした。
その事に関して、不安を感じていたが、ベルベットの事が信用できる為、俺は皆に安心させるように言うと共に、そのまま向かった。
「それにしても、ここはのどかだな」
そう、俺は田舎道と言える風景を呟く。
「ここには、戦争をしてまで奪う価値のある物がない田舎の村だからなのか、王国もここを狙う動きはほとんどないわ。
だからこそ、私達はこうして通れるけど」
そう、俺の言葉に同意しながらも、その村の光景を見つめる。
それは何か懐かしむように、悲しそうな目で。
「ベルベットは捕まる前は、どこに?」
ふと、俺はしばらく一緒に行動しているとはいえ、ベルベットの事をほとんど知らないと思い、質問した。
「ここと似た、どこにでもある普通の村よ。
けど、王国が侵略に向かう道中の邪魔という事で、蹂躙されたわ」
その言葉と共にベルベットは当時の怒りを思い出すように、強く握り締めた。
「だからこそ、私は復讐をする。
今は逃げる事しかできないけど、何時か」
どう、王国への復讐を再度言うように、ベルベットは決意を固めた表情を見せる。
「そっか。
俺は未だに生き残る事しか考えていないのに、凄いな」
「別にそれが普通よ。
それに、あんたが生きているだけでも、私の復讐の手助けになるのだから」
「どういう意味だよ? それ」
「さぁね」
そんな会話をしながら、既に夕方に近づきそうになる。
そろそろ寝泊まりできる場所を探したい所だが、少し遠くに村が見える。
野宿よりマシだろうと思って、俺達は村に辿り着いた。
だが、村に入る直前、ベルベットは俺を抱えて、物陰に隠れる。
「ベルベット」
「しっ」
俺が何事か聞こうとする前に、静かにするようにジェスチャーをした。
すると、そこから見える景色は残酷な光景だった。
村人だと思われる住人の死体が道に転がっており、その死体の肉を喰らっている存在がいた。
人間よりも小柄で、不気味なその存在はゲームに出てくるゴブリンによく似ていた。
「まさか、魔物の襲撃とはね。
それで、どうするの?
あいつらは村人を襲うのに夢中な様子だから、通り過ぎれば安全に「助けるに決まっているだろ」だと思ったわ」
ベルベットの提案に対して、俺はすぐに返答した。
それに対してベルベットは呆れながらも、頷く。
「とりあえず、物陰に隠れながら、襲撃していくわ。
ゴブリンがどれだけいるのか分からない以上はね」
同時にベルベットはそのまま死肉を喰らっているゴブリンに対して、魔物の腕による一撃で吹き飛ばす。
ゴブリンの悲鳴を聞くと共に、村の中に潜んでいるゴブリン達が敵襲だと思い、次々と迫っている。
それに対して、ベルベットは俺を抱えると共に、近くの建物の天井に跳躍して、そのまま屋根の上まで駆け上がる。
そして、屋根の上に着地する。
「ちょっと待て!? いきなり何を……」
「静かにしてなさい。見つかるでしょう?」
ベルベットの言葉を聞きながらも、俺達は屋根の上で息を殺す。
同時に見えたのは、ゴブリンの集団であり、その数に圧倒される。
先程まで死肉を喰らっていたゴブリンの死体を見て、警戒するように自分達の背中を互いに守り合うように固まる。
「さて、とりあえずは」
同時にベルベットはそのままゴブリンがいる所とは反対側に降りる。
それと共に、目の前にある家に向けて、思いっきり殴る。
魔物の腕による馬鹿力なのか、簡単に家は崩れる。
そして、崩れた家はそのまま先程まで集まっていたゴブリン達の上に落ちる。
その光景を見た俺は呆気に取られる。
そんな俺に対してベルベットは言う。
「さて、とりあえず、これで全滅したわね」
そう言いながら、他のゴブリンがいないかどうか確認するように辺りを見渡していた。
それによって、ゴブリンが全滅していた事にゆっくりと息を吐く。
「なんとかなったかな」
「あの」
そう俺とベルベットが話していると、後ろから声が聞こえる。
振り向くと、赤髪の女性がいた。
「貴方達がゴブリンを?」
「まぁ、そうね。
あなたはこの村の生き残りかしら?」
「えっえぇ、この近くの牧場で牛を飼って、生計を立てている村人です」
そう、彼女は呟く。
「それにしても、ゴブリンが来るとはね。
本当に運が悪かったわね」
「えぇ、まだマシな方ですから」
そう、赤髪の少女が苦笑いをする。
「ゴブリンが来たのが、運が悪いというのは?」
「ゴブリンを含めた魔物という存在は昔の転移者が悪趣味で作り出したのよ。
どういう事なのか、女性の悲惨な目に遭うのが好きな奴がね」
どうやら、その転移者は屈辱系が好きだったようだ。
あまり趣味が合わないし、まさか現実で行うような奴がいるとは。
「その良かったら、今夜泊まりませんか。
その、まだゴブリンがいるかもしれないので」
「良いのか?」
「えぇ、勿論」
そう赤髪の少女に言われて断る理由がない。
「じゃあ、お言葉に甘えて……あっそうだ。俺の名前はキドって言うんだ」
「私はベルベットよ。
悪いけど、少しの間厄介になるわ」
そう言いながら、俺達はそのまま彼女の家で厄介になる事にした。