※この作品はR-18です。

異世界脱獄転生   作:ボルメテウスさん

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魔物の召喚者

とある村に魔物の襲撃から数日。

 

あの少女をさすがに俺達の旅に同行させる訳にはいかず、彼女には帝国にいるアリスに任せる事にした。

 

魔力提供の影響を受けた彼女の戦闘能力ははっきり言えば、最初に会った時と比べても強すぎるぐらいに強化された。

 

戦場にいた敵兵を全て一瞬で殺す程の力を持っており、並大抵の転移者では決して勝てない。

 

その事もあってか、現在は他の国からの侵略はなく、安息の地を求めて来る人々はかなり多い。

 

だからこそ、今回の魔物の被害にあった数少ない村人も帝国へと向かう事にした。

 

「それにしても、ゴブリンの数は異常ね」

 

「そうなのか?」

 

ゴブリンの生態にあまり詳しくない俺はそのままベルベットに尋ねる。

 

「魔物の多くは転移者が作り出したと言われる。

だけど、ゴブリンが村を襲撃するのは普通はないのよ」

 

「そこまでなのか?」

 

「ゴブリンは主に集団で戦わなければならない程に弱い。

だからこそ、その弱さを補う為に洞窟の中で待ち伏せを行ったりするわ。

村を襲撃するとしたら、あの場所で強力な個体がいなければ可笑しいわ」

 

「それがいなかったという事は」

 

「おそらくは、意図的に魔物を操っているもしくは暴走させている奴がいるわ」

 

それと共にベルベットはそのまま魔物の手を解放する。

 

「それは?」

 

「あんたには詳しくは言っていなかったけど、喰らってその力を我が物に出来るようになる。

そして、私の鼻には、奴らの匂いは既に分かっているわ」

 

「ベルベットって、本当に凄いんだな」

 

「あんたがいなかったら、ずっとあそこにいただけよ」

 

そう言いながら、おそらくはベルベットが向かっているのは、その魔物が操っている人物の元だろう。

 

ベルベットの危機感地能力で魔物を避けていた。

 

やがて、辿り着いたのは、魔物がよく住みそうな洞窟だった。

 

周辺には村を襲ったゴブリンもいたが、それ以外にも多くの魔物がいた。

 

「なんというか、まさしく魔物の巣窟だな」

 

「そうね。

しかし、ここまでの魔物を集めるなんて、転移者の仕業かもね」

 

「そうなのか?」

 

「魔物をここまで操る事ができるのは、それこそ魔物を操るのに特化したり、召喚する転移者でしょうね」

 

「勝てるのか」

 

「この程度のレベルしか呼べない奴相手だったら」

 

同時にベルベットは魔物の手を大きく広げる。

 

そこから出てきたのは炎だった。

 

「えっと、それは」

 

「朱菜から習ったのよ。

こういう魔物相手には有効だから!!」

 

その言葉と共にベルベットはそのまま真っ直ぐと魔物に向けて、炎を放った。

 

放たれた炎は、集団でいた魔物達を焼き殺した。

 

それに気づき、魔物達はすぐにこちらに向けて、走り出した。

 

「まったく、嫌になるわね」

 

それと共に、そのまま腕を地面を叩く。

 

それと共に、瞬時に地面は氷の床と変わり、魔物達は脚を滑らせる。

 

集団だからか、互いの牙や武器で刺さり、自滅していく。

 

「それって、アリスの」

 

「レンの風はあんたが纏わないとできないからね。

けど、それ以外は魔法を直接喰らえば、使用できるから」

 

おそらくはベルベット1人で十分なのは、これが理由だろう。

 

改めて、彼女の強さを自覚すると共に、魔物達がいる洞窟の中へと入る。

 

目の前には、暗闇で見えないのだが、ベルベットが放つ炎によって、視界は問題なかった。

 

「それにしても、可笑しいわね」

 

「可笑しい?」

 

俺はそれに首を傾げる。

 

「魔物を操る奴や召喚する奴にしては、あまりにも雑すぎる。

魔物の配置もここまで雑なのは、素人でも可笑しいぐらいに」

 

そう言いながら、襲い掛かる魔物を倒していく。

 

やがて、奥まで進むと異臭を感じる。

 

疑問に感じ、見てみると、そこには1人の人間が座っていた。

 

見れば、俺と同じ制服を身に纏っているようで、おそらくはクラスメイトだろう。

 

だが、その近くには魔方陣があり、おそらくはあれから魔物を出しているだろう。

 

現に、未だに無尽蔵に魔物が呼び出されているようだが。

 

「なるほど、胸糞悪いわね」

 

「えっ?」

 

聞こえたベルベットの声。

 

その言葉の意味はよく分かった。

 

そのクラスメイトの近くにいたゴブリン。

 

そのゴブリンが、クラスメイトを犯していた。

 

嫌悪感と共に、ベルベットはすぐにそのゴブリンを殺した。

 

同時に魔方陣は消える。

 

「この子はイオっ」

 

「知り合いって、その制服を見ればそうね」

 

「あぁ、クラスメイトで新田維緒だ。

けど、これは」

 

「魔力提供を行って、永続的に魔物を呼び出しているようね。

いわば、暴走状態に近いわ」

 

「魔力提供って、魔物にもあるのか?」

 

「えぇ、ただしあんたのとは大きく違って、かなり悪いわ。

その証拠に、既にその子の精神、死にかけているわ」

 

そう言った、ベルベットの言葉通り、イオの目は死んでいた。

 

「イオ、大丈夫なのか?」

 

「・・・キド君なの」

 

怯えた表情と共に、正気を取り戻したように、こちらを見る。

 

「どうしてここに?」

 

「・・・侵略とか、意味が分からなくて。

困惑している間に、ここに連れてこられた。

そこで、私、この近くの集落を襲えって」

 

「帝国を侵略するのに、周りの村を拠点しようと考えたようね。

魔物の襲撃であれば、事故扱いで楽に手に入る訳ね」

 

「そんなの嫌だって、言ったら、私に何か飲ませて。

そこから制御も何もできなくなって」

 

「能力を暴走させた訳か」

 

ようするに、使い捨ての駒としてイオを酷い目に遭わせた訳か。

 

どうやら、王国をこのまま放っておけば、確実にやばい。

 

「とにかく、ここから出よう。

帝国に行けば、保護して貰えるはず」

 

「けど、そいつの能力。

たぶん、まだ暴走するよ」

 

「えっ?」

 

その言葉にイオは怯えた表情で、ベルベットの言葉を聞く。

 

「あいつらが事故で魔力提供が収まって、暴走が止まるような薬を飲ませるとは思えないわ。

おそらくは永続的に召喚させるでしょうね」

 

「そんなっそんなの嫌だよっ」

 

先程までの出来事を思い出してか、身体を震わせる。

 

「どうにかできないのか」

 

「方法だったらあるじゃない。

ようするに暴走を制御させれば良いわ」

 

「暴走を制御?」

 

「そんな方法があるんですか」

 

俺も首を傾げる。

 

「魔力提供よ」

 

「ひっ」

 

それにイオは怯える。

 

「まさか、魔物の中にっ」

 

「いるじゃない、そこに。

魔力提供できる奴が」

 

そう言ったベルベットが指をさしたのは、俺だった。

 

「キド君が」

 

「あっあぁ。

そうなるな。

俺の能力が、魔力提供で、それで役に立たないからって」

 

「本来だったら、ゴブリンなどの魔物が持つ奴で、本当に役に立たない能力よ。

ただし、こいつの魔力提供は、受けた相手を進化させる。

魔物ならば、その存在を。

人間ならば、その持つ能力を。

効果なんて、実際にやらないと分からないけど、もしかしたら、制御できるかもしれないわ」

 

その言葉と共にベルベットはそのままイオに目を向ける。

 

「言っておくけど、あんたが受けないならば、私は遠慮無く殺す。

このまま暴走して、被害が出る前にね」

 

「ベルベット、それは」

 

そう言い、俺は慌ててイオの前に出る。

 

「・・・本当に、制御できるんですか」

 

「知らないわ。

やってみないと分からないわ」

 

そのベルベットの言葉は真実だろう。

 

実際に俺もどのような影響があるのか分からない。

 

けど

 

「分かりました。

やります」

 

「えっけど」

 

それはトラウマを再発する事になる。

 

俺はそのままイオに言うが。

 

「ごめんね、キド君。

けど、キド君だったら、信じられるから。

けど、こっちこそ良いのかな、魔物に散々犯されたこの身体で」

 

そう、イオは寂しそうに笑みを浮かべる。

 

「気にする事はないよ。

それにイオが良かったらだけど」

 

そう、互いに遠慮していく。

 

「まったく。

とりあえず、私はこの周辺の残りの魔物を始末するわ。

その間に」

 

「ごめん」

 

ベルベットがその場を後にしてくれた。

 

残された俺とイオ。

 

これから行う行為に対してか、これまでにない空気が流れる。

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