武国へと向かう最中。
フランに関して、どのようにするべきか悩んだ。
こんな少女がいれば、怪しまれる。
だからこそ、それを誤魔化す方法として。
「それで、どうするんだ母」
「武国までなんとか行くわ」
そう、俺とベルベットの子供という形で武国まで向かう。
それで、周りには怪しまれないようにしていた。
だが、そんな時だった。
「王国からの刺客っ」
ベルベットの言葉と共に俺はフランの盾になるように担ぎながら、そのまま物陰に隠れる。
敵の姿は未だに見えないようだ。
それに対しての疑問に思っていると、ベルベットはゆっくりととある所を見る。
「水ね。
なるほど、狙撃という訳ね」
「狙撃って」
その言葉を聞くと、ラフタリアは頷く。
「私達は武国で確かに近接戦闘は得意としています。
ある程度、離れていても、それに対抗する手段はあります。
ですが」
「どこにいるのか、距離も離れている敵に対して、武術はほとんど役に立たない」
「私達も、それでやられた」
その言葉に、2人が捕まった訳に頷く。
そうベルベットは舌打ちをしながら言う。
この状況は確かに不利だ。
このまま隠れていても、いずれ襲われる事は変わりない。
「だとしたら、これしかないか。
レン、ごめんだけど」
「んっ、付き合う」
俺はそう、レンに言うと共に、そのまま剣となって、纏ってくれる。
そのままフランを預け、俺はゆっくりと立ち上がる。
「キド、何をやっているのよ」
「敵をなんとかする」
「なんとかって、敵の場所は分からないのよ」
「あぁ、だからこそ探す」
そう、俺はわざわざ的になるように立ち上がる。
敵のスナイパーはどこにいるか分からない。
それでも、このまま何もしないよりはマシだ。
そう、俺はゆっくりと立ち上がる。
ラフタリアはすぐに俺を止めようとするが、ベルベットがそれを遮る。
「なんとかするんでしょ」
「あぁ」
「馬鹿にどんなに言っても聞かないからね」
そう呆れた様子ながら、俺を見送ってくれた。
俺も、彼女に答えるように、ゆっくりと歩く。
それと共に周りからの気配を、風を読むように。
「ベルベットさんっ、このままじゃ、キドさんとレンさんがっ」
「あの馬鹿は確かに馬鹿だ。
底抜けの馬鹿よ」
その言葉を聞きながら、意識は別の音に集中する。
僅かな変化も逃さないように。
「けど、期待だけは裏切らない馬鹿よ」
そう、している間に聞こえた音。
それは空気が水を切り裂く音。
同時に俺はその方向に向けて、剣を振り上げる。
それと共に風の壁が作り出され、水の弾丸を斬り裂く。
「そこか!!」
その言葉と共に、レンが突風を作り、俺を飛ばしてくれる。
向かった先は、まさに水の弾丸を作り出した張本人がいる場所。
そこにいたのは、まるで狩人を思わせる格好をしている俺のクラスメイトのミズウチだった。
奴の周りには、水が浮かんでおり、それをまるで銃弾のように変えている。
「……」
ミズウチは、そのまま冷静に、俺に向けて、水の弾丸を放っていく。
先ほどよりも遥かに速い速度で放たれていく弾丸を避けつつ、ミズウチに接近しようと試みるが、やはり近づけない。
そして、ミズウチの方も、こちらに向かってくる事はない。
むしろ一定の距離を保ちながら、俺に対して攻撃をしてくるだけだ。
水の銃弾は、まるでマシンガンのように銃弾の嵐と共に、正確に俺の急所を狙う。
だが、風の壁によって防がれてしまう。
この程度ならまだ対処できる範囲だ。
しかし、少しでも油断すると風の壁を越えて飛んできそうな勢いがある。
しかもミズウチ自身がその場を動かず、水を操作し続けているため、中々近寄れない。
更に厄介なのは、俺の攻撃が届く距離まで近づいたとしても、攻撃手段がないという点だ。
ミズウチ自身は、俺から一定距離を保とうとしているし、何より水を自由に操作出来る。
だからこそ、遠距離戦が得意という訳だろう。
「ふぅ」
俺はそのまま少し離れて、真っ直ぐと突きを行うように構える。
その間にも、ミズウチの攻撃は行い続ける。
深く腰を落とし刀の切っ先を相手に向け、その峰に軽く右手を添えた状態で、ミズウチに突っ込む。
それは、身体に風を纏い、弾丸を最低限防いでいく。
そして、そのままミズウチを吹き飛ばす。
「ぐっ」
壁に激突したミズウチは、そのまま床に落ちていき、動かなくなる。
俺は警戒しながらも近づく。
「おいおい、キドちゃん。
まさか、お前が生きていたとはなぁ」
「その声は」
聞こえた声の主。
見れば、そこにはカールの奴が立っていた。
「王国から逃げたと聞いたから、非常に嬉しかったのに、まさか生きてたとはねぇ。
しかも、なんだよ、その女は」
「力を貸してくれるだけだ。
そういうお前は何の用だ」
「別に。
ただこのままこいつを連れて行かれたら、困るからよ」
同時にミズウチに近づいたカールの奴はそのまま首根っこを掴む。
「逃げさせて貰います!!」
その言葉共に、カールの奴は消えていった。
以前から、気味の悪い奴だとは思っていたけど、まさかここまでとはな。
そうしている間にも、俺はゆっくりと倒れる。
「キド、大丈夫」
「なんとか」
戦闘経験なんて、ほとんどない。
生き残れたのは、教えられた護身術のおかげだ。
そうしている間にも、気絶していく。